(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051060
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】レール基礎ブロックおよび係留システム
(51)【国際特許分類】
B66C 7/08 20060101AFI20220324BHJP
E01B 3/40 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
B66C7/08
E01B3/40
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157323
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】592136635
【氏名又は名称】株式会社オーイケ
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】大池 秀実
(72)【発明者】
【氏名】大池 悦二
【テーマコード(参考)】
3F202
【Fターム(参考)】
3F202AA01
3F202AA05
3F202CA02
3F202CB03
3F202CE01
(57)【要約】
【課題】クレーン等の係留用のアンカーを備えたレール基礎を提供する。
【解決手段】走行レール15を敷設するための略U字型のレール設置用の溝30を有するプレキャストされた基礎ブロック210であって、溝の少なくとも一方の側壁の頂部に埋設されたアンカー85であって、クレーン係留時に、溝内に敷設される走行レール上のクレーンと治具を介して接続されるアンカーを有する基礎ブロックを提供する。この基礎ブロック210を含む複数のレール基礎ブロック20を、長手方向に少なくとも一列に、溝の両端の開口が合致するように埋設することにより、係留用のアンカー85を備えたレール基礎10を施工できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行レールを敷設するための略U字型のレール設置用の溝を有するプレキャストされた基礎ブロックであって、
前記溝の少なくとも一方の側壁の頂部に埋設されたアンカーであって、係留時に、前記溝内に敷設される走行レール上の走行物と治具を介して接続されるアンカーを有する基礎ブロック。
【請求項2】
請求項1において、
前記側壁の頂部に、内部に前記アンカーが露出した凹みが設けられている、基礎ブロック。
【請求項3】
請求項2において、
前記アンカーの先端が前記側壁の頂部に一致または下に位置する、基礎ブロック。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記溝に沿って複数の前記アンカーが埋設されている、基礎ブロック。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記アンカーは、前記溝の一方の側壁にのみ埋設されており、前記一方の側壁の幅が他方の側壁の幅より広い、基礎ブロック。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、
前記アンカーが埋設された一方の側壁の幅W1と、前記溝の幅W2とが以下の条件を満たす、基礎ブロック。
0.7<W1/W2<1.5
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかにおいて、
前記アンカーが埋設された一方の側壁の幅W1と、前記他方の側壁の幅W3とが以下の条件を満たす、基礎ブロック。
1.5<W1/W3<2.5
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかにおいて、
前記溝の底面に、一定の間隔で2列に埋設された複数の埋設金具であって、走行レールの押さえ金具を固定するための複数の埋設金具を有する、基礎ブロック。
【請求項9】
走行レールを敷設するための略U字型のレール設置用の溝を備え、プレキャストされたレール基礎ブロックを複数有し、
前記複数のレール基礎ブロックが長手方向に少なくとも一列に、前記溝の両端の開口が合致するように埋設されており、
前記複数のレール基礎ブロックは、請求項1ないし8のいずれかに記載の基礎ブロックを少なくとも1つ含む、レール基礎。
【請求項10】
請求項9において、
前記複数のレール基礎ブロックは、前記溝の側壁の頂部が地表と一致するように埋設されている、レール基礎。
【請求項11】
請求項9または10において、
前記複数のレール基礎ブロックは、請求項1ないし8のいずれかに記載の第1のタイプの基礎ブロックと、
前記アンカーを含まず、前記第1のタイプの基礎ブロックの溝と同一サイズの溝を含む第2のタイプの基礎ブロックであって、前記第1のタイプの基礎ブロックとは幅および高さの少なくともいずれかが異なる第2のタイプの基礎ブロックとを含む、レール基礎。
【請求項12】
請求項9ないし11のいずれかに記載のレール基礎と、
前記溝に装着された走行レールとを有する走行レールシステム。
【請求項13】
請求項12に記載の走行レールシステムと、
前記走行レールシステムを走行するように設置された走行物の脚部と前記アンカーとを着脱可能に接続する係留治具とを有する、係留システム。
【請求項14】
レール基礎の施工方法であって、
走行レールを敷設するための略U字型のレール設置用の溝を備え、プレキャストされた複数のレール基礎ブロックであって、請求項1ないし8のいずれかに記載の基礎ブロックを少なくとも1つ含む複数のレール基礎ブロックを、長手方向に少なくとも一列に、前記溝の両端の開口が合致するように埋設することを有する施工方法。
【請求項15】
走行レールシステムの施工方法であって、
走行レールを敷設するための略U字型のレール設置用の溝を備えた複数のレール基礎ブロックであって、請求項1ないし8のいずれかに記載の基礎ブロックを少なくとも1つ含む複数のレール基礎ブロックを、長手方向に少なくとも一列に、前記溝の両端の開口が合致するように埋設してレール基礎を施工することと、
前記レール基礎の前記溝に走行レールを取り付けることとを有する施工方法。
【請求項16】
クレーンの係留方法であって、
請求項12に記載の走行レールシステムを走行するように設置されたクレーンの脚部と前記アンカーとを係留治具により着脱可能に接続することを有する、係留方法。
【請求項17】
請求項16において、
前記アンカーは先端が広がった係合頭部を含み、
前記クレーンの脚部はL字状に側方に突き出たフックを含み、
前記係留治具は、前記係合頭部に係合されるヘッドと、前記フックに係るリング状の係留部とを含むカップラーを含む、係留方法。
【請求項18】
請求項12に記載の走行レールシステムを走行するクレーンであって、
脚部に、前記アンカーと係留治具により係留されるフックを有するクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、港湾、造船あるいは重機メーカーなどに用いられる大型の門型あるいは橋型の移動クレーン、ガントリークレーンなどの荷役設備用の軌条、あるいは貨物引込線などに用いられるレール基礎に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された係留装置は、地上に敷設されたレール上を、脚部に設けた複数の車輪を有する走行装置を介して移動して荷物の吊り上げ吊り降ろしを行うクレーンを暴風時等の緊急避難時に、クレーン走行路に設けられたクレーン係留位置に停止させて係留するクレーンの係留装置であって、上記走行装置の大ロッカービームの中間にレールを挟むように設けられた門型フレームと、この門型フレームの下部に昇降機構を介して昇降するとともに、回転機構を介して回転する、先端にT字状緊締部分を有するロッドと、地上のクレーン係留位置にレールを挟んで埋設された内部にC型溝を有する基礎金具とからなり、上記昇降機構によりロッドを降下させて基礎金具のC型溝に嵌入し、上記回転機構によりロッドを90°回転して緊締するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クレーンなどの走行物を係留位置に係留するためには走行物の転倒荷重を支持する強度と重量とを備えた構造物が必要であり、現場において施工する際に時間とコストとを要する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、走行レールを敷設するための略U字型のレール設置用の溝を有するプレキャストされた基礎ブロックである。この基礎ブロックは、溝の少なくとも一方の側壁の頂部に埋設されたアンカーであって、クレーン等の係留時に、溝内に敷設される走行レール上の走行物と治具を介して接続されるアンカーを有する。走行レールを敷設するための略U字型のレール設置用の溝を備え、プレキャストされた複数のレール基礎ブロックであって、この基礎ブロックを少なくとも1つ含む複数のレール基礎ブロックを長手方向に少なくとも一列に、溝の両端の開口が合致するように埋設することにより、プレキャストされた(予め工場プレハブされた)コンクリート製のレール基礎ブロックを用いて、現場において、簡単にレール基礎を施工できる。
【0006】
このレール基礎は、一部に係留用のアンカーが予め埋設されており、アンカーおよびそれを含む構造物を現場で施工する手間を省くことができる。また、基礎ブロック全体が、アンカーを支持する構造物となる。さらに、アンカー係留のためにアンカーを使用する際は、基礎ブロックの溝内に施工される走行レールに係留の対象となる走行物、例えば、クレーンが載った状態となり、基礎ブロックがクレーンの自重を支持するとともに、クレーンの自重を受ける基礎ブロックがアンカーを支持する構造物となる。したがって、アンカーを含めてプレキャストされた基礎ブロックを用いてレール基礎を施工し、さらに、溝内に走行レールを装着して走行レールシステムを施工することにより、低コストで、短期間に、係留用のアンカーを含めたレール基礎および走行レールシステムを提供できる。さらに、走行レールシステムを走行するように設置された走行物の脚部、例えばクレーンのサドルとアンカーとを着脱可能に接続する係留治具を設けることにより、クレーンなどの走行物を安全に係留できる係留システムを提供できる。係留治具は、ワイヤー、チェーン、その他の鋼製部材であってもよく、アンカーと連結することにより、クレーンの浮き上がりを防止し、橋形クレーンなどの走行物の転倒を防止できる。
【0007】
基礎ブロックには、側壁の頂部に、内部にアンカーが露出した凹みが設けられていてもよく、アンカーの先端が側壁の頂部に一致または下に位置してもよい。アンカーの先端が頂部より突出しないか、低い位置に埋設してあることにより、アンカーの飛び出しによる、作業員、車などの走行上の障害や危険を防止できる。溝に沿って複数のアンカーが埋設されていてもよい。内部にレールが設置される基礎ブロックは長くてもよいが、運搬時の重量、取扱、また、プレハブする際の工場の生産ラインの設備などを考慮した場合、全長が2mまたはそれ以下であることが望ましく、一方、レール基礎を施工する際にブロックの数が増えると工数が増え、また、精度が低下する可能性がある。したがって、基礎ブロックの全長は0.5m以上、0.8m以上、さらには1.0m以上であることが望ましい。
【0008】
係留装置はクレーンの前後少なくとも2か所に設けることが望ましく、レール基礎は所定の長さのレール基礎ブロックを組み合わせて施工されるため係留装置が設けられるスパンに一致した位置にアンカーを予め埋設しておく必要がある。基礎ブロックに所定の間隔で複数のアンカーを埋設しておくことにより、係留装置のスパンに合致するアンカーを選択して使用することが可能となる。このため、基礎ブロックをクレーンに合わせてカスタマイズする必要がなく、量産することによりさらに低コストでレール基礎を施工することが可能となる。また、レール基礎は、クレーンが係留される位置に係留用のアンカーが埋設されていればよい。このため、アンカーを含む基礎ブロックとアンカーを含まないレール基礎ブロックとの少なくとも2種類の基礎ブロックを組み合わせてレール基礎を施工してもよい。
【0009】
アンカーは、溝の一方の側壁にのみ埋設されており、一方の側壁の幅が他方の側壁の幅より広くてもよい。係留装置はクレーンの転倒を防止することを考慮するとクレーンの外側にのみ配置されていてもよい。また、アンカーの引き抜き強度を確保しようとすると、側壁の頂部はコーン状破壊面を確保できる幅を備えていることが望ましい。一方、アンカーが埋設されていない側の側壁はレール基礎としての強度が確保できる程度の幅があればよい。したがって、左右の側壁の幅(厚み)が非対称な基礎ブロックを提供することにより、低コストで取り扱いが簡単であり、アンカーの強度も確保できる基礎ブロックを提供できる。
【0010】
基礎ブロックは、溝の底面に、一定の間隔で2列に埋設された複数の埋設金具であって、走行レールの押さえ金具を固定するための複数の埋設金具を有してもよい。レール設置用の埋設金具を工場プレハブ時に予め埋設しておくことにより、現場において精度よく、簡単にレールを施工することができる。埋設金物は、インサート(インサートナット)であってよく、ボルト(埋め込みボルト)であってもよく、プレートであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】レール基礎ブロックを用いて施工されたクレーンレール用の基礎およびレールシステム(軌条)の平面図。
【
図3】
図2に示す基礎およびレールシステムの断面図。
【
図4】アンカー付きのレール基礎ブロックの斜視図。
【
図5】アンカーなしのレール基礎ブロックの斜視図。
【
図6】
図6(a)はレール基礎ブロックの側面図、
図6(b)は平面図、
図6(c)はアンカーの埋設箇所を示す長手方向の断面図、
図6(d)は端面図、
図6(e)はアンカーの埋設箇所を示す短辺方向の断面図。
【
図7】係留位置においてクレーンに係留用の治具を取り付ける様子を示す図。
【
図8】クレーンに係留用の治具を取り付けた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に、本発明に係るレール基礎を使用した門型クレーン(橋形クレーン、ガントリークレーン)の一例を示している。ガントリークレーン2は、門型の構造体3と、門型の構造体3のガーター(横行梁)4に搭載されたホイスト(トロリ)5とを含み、運搬車あるいは運搬船などから荷物を吊り下げて搬入搬出する搬送装置(システム)を構成する。門型の構造体3は、車輪を備えた脚部(サドル、クレーンサドル)6を介して地上9に設置された2列の走行レールシステム(走行路、軌条)1に沿って縦方向(ガーター4と直交する方向)に移動し、荷物を搬送する。
【0013】
これらのクレーン2は、暴風時等の緊急避難時に、クレーン走行路の特定の係留位置89まで移動して停止させ、係留装置(係留システム)80により係留するようにしている。この係留システム80においては、左右の脚部6の前後2か所の計4か所で係留治具81によりクレーン2を固定(係留)している。本発明においては、門型クレーン2の係留装置を兼ねたレール基礎10の施工方法および基礎ブロック20を提供する。すなわち、本発明の走行レールシステム1においては、基礎ブロック20により施工されたレール基礎10に走行レール15が設置され、走行レール15の上を門型クレーン2が走行する。さらに、基礎ブロック20に係留用のアンカー85が予め埋設されており、アンカー付きのレール基礎10を容易に施工できる。この発明は、港湾、造船あるいは重機メーカーなどに用いられる大型の門型移動クレーンやガントリークレーンなどの荷役設備用の軌条(走行レールシステム)1に限定されず、貨物引込線などに好適なレール基礎10に関するものである。
【0014】
台風、地震などに対応してクレーン2の転倒を防止するためには、非常に大きな力で固定(係留)しなければならない。係留用のアンカー85としてはインサート、ボルトあるいはデーハーと呼ばれるものが知られている。係留用のアンカー85を施工する際は、これらをコンクリートに埋設した場合の引き抜き強度が重要である。一例として、風の強い地域では、5トンから20トンの橋形クレーン2で、高さにもよるが一般的に係留負荷として20トン程度の負荷に耐えられることが好ましい。そのため、この係留システム80においては、4か所に係留治具81を設置可能なので、1か所あたり5トン程度の引き抜きに耐えられるアンカー85を設置することが好ましい。
【0015】
図2に、レール基礎ブロックを用いて施工されたレール基礎10およびレール走行システム(軌条)1の概要を平面図により示している。
図3に、レール走行システム1およびレール基礎10の構造を断面により示している。本例のレール走行システム1は、ガントリークレーンなどが走行するための設備であり、レール(走行レール)15が延びた方向(長手方向)Xに延びたレール基礎10と、レール基礎10に設置されたレール15とを含む。本例のレール基礎10は、長手方向Xに一列に埋設された複数のレール基礎ブロック20を有する。基礎ブロック20は、アンカー85が埋設された第1のタイプの基礎ブロック210と、アンカーを含まない第2のタイプの基礎ブロック220とを含む。
【0016】
ガントリークレーン基礎として、本例のレール基礎10を、複数列、典型的には2列に離れて平行に埋設して2列のレールを備えた走行レールシステム1を提供できる。本例の走行レールシステム1は、レール基礎10を構成するレール基礎ブロック20に予め埋設されたインサート50に、押さえ金具(固定用プレート、レールクリップ)17およびボルト18を介して固定された走行レール15を含む。レール基礎ブロック20は、工場においてプレキャストされたコンクリート製のブロックであって、プレキャストする単位は長辺が例えば、0.5m以上、あるいは1m以上であり、本例では2mに設定されている。
【0017】
図4に、レール基礎ブロック20の第1のタイプの基礎ブロック210の外観を示し、
図5に、第2のタイプの基礎ブロック220の外観を示している。さらに、
図6に、レール基礎ブロック210を示している。
図6(a)は、基礎ブロック210の側面図(長辺側)、
図6(b)は、基礎ブロック210の平面図、
図6(c)は、基礎ブロック210のアンカー85が埋設された部分の断面図(長辺側、c-c断面図)、
図6(d)は、基礎ブロック210の側面図(端面図、短辺側)、
図6(e)は、基礎ブロック210のアンカー85が埋設された部分の断面図(短辺側、e-e断面図)を示す。基礎ブロック210の長辺側の側面図と短辺側の側面図は、左右対称な形状であり、
図6(b)と反対側の裏面の形状は、
図6(b)と同一の輪郭を持つ長方形である。
【0018】
第1のタイプの基礎ブロック210および第2のタイプの基礎ブロック220を含むレール基礎ブロック20は、長手方向(X方向)に延びたレール設置用のU字型の溝30と、溝30の底面32に予め一定の間隔で埋設された複数のインサート(埋設金物)50とを有する。複数のインサート50に、押さえ金具17およびボルト18を用いて、所定の位置に、長手方向に延びた走行レール15を設置できる。インサート50は、レール15を取り付けるための埋設金物の一例であり、インサートの代わりに、埋設ボルトあるいは埋設プレートであってよい。すなわち、第2のタイプの基礎ブロック220は、係留用のアンカー85を含まないが、第1のタイプの基礎ブロック210の溝30と同一サイズの溝30および埋設金物50を含むタイプのレール基礎ブロック(基礎ブロック)であり、左右対称の構成となっている。
【0019】
したがって、第1のタイプの基礎ブロック210と第2のタイプの基礎ブロック220とを長手方向に並べることにより走行レール15を設置するための溝30を施工できる。一方、アンカーを含まない基礎ブロック220は、アンカーの引き抜き荷重に対する設計上の仕様は不要なので、基礎ブロック210に対して幅および/または高さ(厚み)が小さくてもよい。逆に、アンカー85を含む第1のタイプの基礎ブロック210は、アンカーを含まない第2のタイプの基礎ブロック220に対して幅および/または高さ(厚み)が大きく、重量が大きくてもよい。以下においては、係留用のアンカー85を含む第1のタイプの基礎ブロック210を中心に説明する。
【0020】
コンクリート製のプレキャストされたレール基礎ブロック20(210および220)は、工場において鉄あるいはその他の金属を用いた高精度な型枠を用いて、品質管理された状態で製造される。したがって、1m以上の長さのコンクリート製のブロック20であって、所定の面について、その面の歪みや撓みなどが小さく、直線性に優れた面を備えたコンクリート製品を低コストで量産できる。本例においては、走行用レール15が設置される面(設置面、基準面)を含む溝30の精度を確保できるように、工場プレハブする際の型枠を設計し、コンクリートの注入位置などを決める。これにより、例えば、2mの単位で、直に走行用レール15を設置できる高精度な基盤あるいは基礎梁となるコンクリート製のレール基礎ブロック20を低コストで提供できる。このため、レール基礎ブロック20の施工を高い精度で行うことにより、レール基礎ブロック20の溝内に、再度、高さ調整用のモルタルを敷設して、鉄板などによる基礎構造を現場で構築しなくても、レール15を設置できるレール基礎10を施工できる。さらに、プレキャスト用(プレハブ用)の型枠の所定の位置にインサート50を取り付けることが可能であり、設置面40の両側の所定の位置に、所定の間隔で高い精度でインサート50が埋め込まれたレール基礎ブロック20を製造できる。したがって、レール基礎ブロック20を用いることにより、現場でアンカーを施工する手間と時間とを省くことができ、レール基礎10の施工に要する費用および時間を軽減できる。
【0021】
さらに、第1のタイプの基礎ブロック210においては、レール設置用のU字型の溝30を構成する一方の側壁21の頂部23に埋設されたアンカー85を含む。このアンカー85は、クレーン係留時に、溝30内に敷設される走行レール15上の走行物であるクレーン2と治具(係留治具)81を介して接続される。したがって、クレーン2が台風や地震などにより転倒することを防止できる。具体的には、側壁21の頂部23に、内部にアンカー85が露出した凹み24が設けられており、その中に、アンカー85が、その先端85aが側壁21の頂部23に一致または下に位置するように埋設されている。
【0022】
走行レールシステム1の施工例を
図3に示している。レール基礎10は、まず、地表あるいは路面9から、施工後にレール基礎ブロック210(20)の側壁21および22の上面(頂部)23および25が路面9とほぼ同じレベルになるように掘削する。その後、基礎コンクリート(基礎材)75を施工し、その上に、くさびや高さ調整用のプレートなどで、複数のレール基礎ブロック20を、レール設置用のU字型の溝30の両端の開口35同士が合致し、レール基礎10として誤差範囲となるように高さを調整して長手方向Xに並べる。さらに、高さ調整用の調整モルタルまたは調整コンクリート70を注入して長手方向Xに並べられた複数のレール基礎ブロック20の相互の位置高さを固定することによりレール基礎10が施工される。レール基礎10の天場(上面、頂部)23および25は、路面9とほぼ同じレベルとなり、車両が、レール基礎10をどこでも、容易に横断することができる。また、レール基礎10に近づけて車両を停止することも可能となる。
【0023】
次に、U字型の溝30の底面32の中心を設置面として走行レール15を搭載し、その両側に所定のピッチで予め埋設されているインサート50を利用して、押さえ金具17およびボルト18により走行レール15をレール基礎10に固定する。このようにして、第1のタイプの基礎ブロック210および第2のタイプ220を含む複数のレール基礎ブロック20によりレール基礎10を施工できる。さらに、レール基礎10に設けられた複数のインサート50に押さえ金具17を装着し、押さえ金具17により走行レール15を取り付けることにより、クレーン用の走行レールシステム1を提供できる。
【0024】
例えば、
図5に示す、耐荷重22kg/mの普通レール用の基礎ブロック20の左右対称の第2のタイプの基礎ブロック220は、全体が長さ2m、底面28aの幅(長手方向Xと直交する方向の距離)が650mmの細長い長方形で板状の基礎部28と、基礎部28から内部にU字型の溝30が形成するように上方に立ち上がった一対の側壁27とを含む。U字型の溝30の一例は幅が270mmであり、その両側に設けられた側壁27の一例は幅150mmである。本例の基礎部28は、側壁27の下側で外側に張り出した部分を含み、レール基礎ブロック220は、断面が逆Π字型で左右対称のコンクリート製ブロックとなっている。レール基礎ブロック220の側面は垂直であってもよく、下側に広がったテーパー状であってもよい。
【0025】
一方、
図4に示す、非対称な第1のタイプの基礎ブロック210は、全体が長さ2m、底面28aの幅(長手方向Xと直交する方向の距離)が745mmの細長い長方形で板状の基礎部28と、基礎部28から内部にU字型の溝30が形成するように上方に立ち上がった2つの側壁21および22とを含む。U字型の溝30の一例は幅(W2)が270mmであり、第2のタイプの基礎ブロック220と組み合わせることにより、走行レール15を設置するための共通の溝30を形成できる。アンカー85が埋設された側壁21の頂部23の幅(W1)の一例は285mmであり、アンカー85が埋設されていない側壁22の頂部25の幅(W3)の一例は150mmである。
【0026】
非対称な基礎ブロック210において、アンカー85が埋設された側壁21の頂部23の幅W1と、レール15を設置するための溝30の幅(頂部23の幅)W2、すなわち、側壁21の内側と他方の側壁22の内側との間隔(溝30の開口幅)とは以下の条件(1)を満たしてもよい。
0.7<W1/W2<1.5・・・(1)
条件(1)の下限は0.8であってもよく、0.9であってもよく、上限は1.3であってもよい。
また、アンカー85が埋設された一方の側壁21の幅(頂部23の幅)W1と、アンカーが埋設されていない他方の側壁22の幅(頂部25の幅)W3とが以下の条件(2)を満たしてもよい。
1.5<W1/W3<2.5・・・(2)
条件(2)の下限は1.3であってもよく、上限は2.3であってもよい。
さらに、溝30の幅W2と、アンカーが埋設されていない他方の側壁22の幅(頂部25の幅)W3とが以下の条件(3)を満たしてもよい。
0.3<W3/W2<0.8・・・(3)
条件(3)の下限は0.4であってもよく、上限は0.7であってもよい。
【0027】
この例では、条件(1)は1.06、条件(2)は1.9、条件(3)は0.56であり、いずれの条件も満たす。レール基礎ブロック20において、走行レール15を設置するための精度を維持するとともに、頂部が表面に現れるように地中に埋設される側壁には運搬車両などの通過に対して十分な強度が要求される。このため、溝30の側壁22は、溝30を形成するだけではなく、レール基礎ブロック20として十分な強度(断面強度)を確保できるだけの幅W3を備えていることが望ましい。その一方、側壁22の幅W3が広すぎると基礎ブロック20のサイズが拡大するとともに、コンクリート量が多くなるので重量が大きくなりすぎて工場にてプレキャストして現場へ運搬することが難しくなり、経済的メリットが得られにくくなる。したがって、条件(3)を満たすことが望ましい。
【0028】
一方、アンカー85が埋設された側壁21においては、さらに、アンカー85の引き抜き強度に耐えられることができる幅W1が必要となる。すなわち、係留用のアンカー85としては、上述したように、5トン程度の引き抜きに耐える構造であることが望ましい。アンカー85の引き抜き強度はコーン破壊と呼ばれる力法で計算され、
図3に破線で示すようにアンカー85の底部から45度に広がるコーン状破壊面86をカバーできる面積が、側壁21の頂部23に必要となる。このため、条件(3)に対して、さらに広い面積(幅)W1が、アンカー85が埋設される側壁21には要求される。一方、側壁21の幅W1が大きすぎると基礎ブロック210(20)の重量が大きくなりすぎる。また、アンカー85を含む基礎ブロック210は対称な形状であってもよいが、反対側の側壁22の幅W3を側壁21の幅W1と同じにすると基礎ブロック210の重量が大きくなりすぎる。
【0029】
このため、基礎ブロック210としては、非対称な形状を採用し、アンカー85が埋設された側壁21の頂部23の幅W1を、アンカーが埋設されていない側壁(他方の側壁)22の頂部25の幅W3より広くしている。さらに、条件(1)および(2)を満足することにより、アンカー85の引き抜き強度が十分に確保できる幅の側壁21を備えた基礎ブロック210を提供している。
【0030】
また、基礎ブロック210は左右の側壁21および22の幅が異なる非対称なブロックであるが、走行レール15を敷設する溝30の形状は、対称な基礎ブロック220と共通する。したがって、基礎ブロック210および220を含む複数のレール基礎ブロック20を、長手方向(X方向)に少なくとも一列に、本例ではクレーン2の幅(ガーター4の長さ、左右の脚部6が走行する間隔)を確保するように2列に、溝30の両端の開口35が合致するように、基礎ブロック20の端面29を合わせて(接続して)埋設することにより、所定の長さを備えたレール基礎10を施工できる。なお、本例のレール基礎ブロック20には端面29の下端に砂や塵が入りにくいように切欠き29aが設けられており、レール基礎10の施工時に端面29同士を密着させやすくなっている。
【0031】
基礎ブロック210および220を含むレール基礎ブロック20の略U字型の溝30の底面32には、予め、工場プレハブ時に(プレキャスト時に)、一定の間隔で精度よく、複数のインサート(埋設金物)50が2列に埋設されている。したがって、施工されたレール基礎10の複数のインサート50に、押さえ金具17および、本例では取り付けボルト18を用いて走行レール15を取り付けることにより、走行レール15が精度よく所定の位置に固定された走行レールシステム1を施工できる。さらに、係留用のアンカー85が埋設された基礎ブロック210を含んだ走行レールシステム1を施工することにより、所定の位置にクレーン2を係留することができる係留システム80を含む走行レールシステム1を施工できる。
【0032】
橋形クレーン2を強固に固定する場合、片側2か所の脚部6の下側付近で地面のコンクリートと固定することが好ましい。左右合計4か所で係留することにより強風、地震による転倒の力に強力に対抗できる。また、5トン耐力のアンカー85であれば、4カ所で支持することにより合計20トンでクレーン2を支持できる。そのためには、クレーン2の脚部6の前後の長さに合わせた2か所にアンカー85が予め設けられている必要がある。橋形クレーン2の脚部の間隔(前後長)は6mから8mが多い。橋形クレーン2の吊り上げ可能重量および高さなどで脚部のスパンは決定されるが、ほとんどのメーカーでは、そのスパンの長さは50cmピッチで規格化されている。
【0033】
レール基礎10を施工する際に、橋形クレーンメーカーの様々な規格のスパンに合わせた場所にアンカー85をオーダーメードで埋め込むのは大変面例である。アンカー85を埋め込むためには型枠に細工をしなければならない。アンカー85を含む基礎ブロック210を1mあるいは50cmでプレハブしておいてもよいが、他の基礎ブロック220との長さが一致しないために規格化(標準化)が難しく、在庫の種類が増える。さらに、基礎ブロック210の全長が短くなると、アンカー用の基礎としての重量が不足する可能性もあり、係留時に基礎ブロック210にかかるクレーン2の自重を支持力として活かしにくくなる。
【0034】
そこで、本例の基礎ブロック210においては、複数のアンカー85を所定のピッチ、例えば50cm間隔で予め埋設することにより、アンカー付きの基礎ブロック210を他の基礎ブロック220と同じ長さで規格化できるようにしている。この基礎ブロック210を用いることにより、概略のクレーンのサイズが事前に判明すればほとんどの橋形クレーンに対応できる。例えば、2m×2の基礎ブロック220を挟んでアンカー用の基礎ブロック210を配置することにより、5、6、7mのいずれの間隔でも係留用の治具でアンカー85とクレーン2とを接続できる。アンカー85が余分に必要になるが、アンカー85は安価である。また、基礎ブロック210の製造用の型枠にあらかじめアンカー85の取り付け位置を設定できるので作業員が位置を間違えずに、精度の高い製品を工場で製造して提供できる。
【0035】
大型のクレーンであれば片側3か所以上で係留してもよく、その場合であっても、本例の基礎ブロック210を含めてレール基礎20を施工することにより、所定の位置に予めアンカー85を設けておくことが可能となる。
【0036】
基礎ブロック210に埋設されているアンカー85は側壁21の頂部23から突出しているタイプであってもよい。例えば、アンカー85はアイボルトであってもよく、アンカー85とクレーン2の脚部(サドル)6とをワイヤー、チェーン、その他の鋼製部材で連結することにより、係留位置におけるクレーン2の浮き上がりを防止してもよい。しかしながら、側壁21から突き出たタイプのアンカーは、地表9を走行する車両の障害となったり、作業員の作業の障害となる可能性がる。アンカー85はインサートタイプであってもよく、係留時にアイボルトなどを装着して使用するタイプであってもよいが、使用時に砂やごみなどがあると使いにくく、また、係留作業に手間がかかる。
【0037】
そこで、本例の基礎ブロック210においては、側壁21の頂部23に凹み24を設け、その凹み24の内部にアンカー85を露出するように埋設している。さらに、アンカー85の先端85aが、側壁21の頂部23に一致するか、または達しないようにアンカー85を埋設することにより、アンカー85が側壁21の頂部23から突出しないようにしている。したがって、アンカー85が車両の走行の障害になったり作業の邪魔になったり、または危険要素となることを防止できる。
【0038】
凹み24の内部に露出するタイプのアンカー85として、吊り上げ用のアンカー(リフトアンカー)を用いることができる。リフトアンカーの典型的なものとしてDeha(デーハー)アンカーまたはDアンカーと称されるタイプのアンカー85が、カップラーとのセットで用いられる。このアンカー85は、係合用に先端が広がったボルトタイプのアンカーであり、例えば、特開昭61-136896号に開示されている。
【0039】
図7から
図9に、係留位置89においてクレーン2を、アンカー85を用いて係留する様子を示している。アンカー85に、ワイヤーあるいはチェーンを利用し脚部のサドルを鉢巻状に挟むことにより転倒防止としてもよい。しかしながら、ワイヤーあるいはチェーンを巻き付けることは手間であるし、また、巻き付け方により安定して係留できない場合もある。この例では、クレーン2の脚部を構成するサドル6の側面にフック87を溶接などにより取り付け、係留治具であるカップラー81によりフック87とアンカー85とを接続している。カップラー81は、アンカー85の先端が広がった係合頭部85aに取り付ける球形のヘッド82と、フック87に取り付けるリング状の係留部(グリップ)83とを含む。
【0040】
図7に示すように、クレーン2はレール15の上を走行する脚部(サドル)6を有し、サドル6は、係留位置89においてカップラー81によりアンカー85と接続するためのL字状のフック87を含む。まず、クレーン2をフック87とアンカー85とが隣接する係留位置89に移動する。
図8に示すように、カップラー81のグリップ83をL字状に上側に延びたフック87に上側から挿入し、次に、ヘッド82を凹み24に入れて、ヘッド82の溝孔82aをアンカー85の頂部の係合頭部85aと係合させる。このアンカー85の頂部85aはコンクリート製のブロック210の上面(頂部)23よりわずかに低くしてあっても、カップラー81をアンカー85に連結させることができる。
【0041】
この例において、フック87と、カップラー81と、デーハーアンカー85との位置関係が極めて重要である。すなわち橋形クレーン2が強風で傾く角度を極力小さくすることが重要である。そのためには、フック87とデーハーアンカー85との位置、およびカップラー81の長さが重要である。カップラー81を装着した後に、カップラー81とフック87との間の弛みが大きいと橋形クレーン2の片側、すなわち風の来るほうの脚部6が持ち上がり、傾いてしまい、アンカー85に必要以上の力が加わる。また、地震時に橋形クレーン2が脱線する恐れがある。さらに、基礎ブロック210に加わるクレーン2の自重を係留のために活かすことができない。一方、弛みがなければカップラー81をフック87に装着できない。
【0042】
この係留システム80においては、L字状のフック87にカップラー81のリング状のグリップ83を挿入し、グリップ83がフック87の下端に装着された後に、カップラー81の他方の端のヘッド82をアンカー85に取り付ける。したがって、カップラー81の長さは、フック87からアンカー85に到達できるだけの長さがあればよく、着脱のためのクリアランスはほとんど必要ない。例えば、フック87とグリップ83とのクリアランスを数cm以下、1cm程度に抑えることができる。一方、カップラー81のヘッド82が、アンカー85が埋設された凹み24の内部でアンカー85の周りを限られた範囲であるが旋回する。したがって、クレーン2の停止位置が多少前後してもカップラー81を用いてクレーン2をアンカー85に係留できる。
【0043】
図9に示すように、カップラー81のヘッド82をアンカー85に装着した後に、ヘッド82のストッパー82bがコンクリート面(頂部)23に付くように回転することによりヘッド82がアンカー85から外れることを防止できる。したがって、カップラー(係留治具)81により安全にクレーン2をアンカー85に係留できる。係留位置89においては、クレーン2の自重が脚部6の車輪8、および走行レール15を介してアンカー85が埋設された長さ2mの基礎ブロック210に加えられており、基礎ブロック210の重量に加えて、転倒モーメントに対抗する力をアンカー85に付与することができる。このため、走行レール15が取り付けられる基礎ブロック210にアンカー85を一体的に埋設しておくことにより、基礎ブロック210を用い、より安全に、確実にクレーン2を係留できる係留システム80、係留アンカー85を備えた走行レールシステム1、係留アンカー85を備えたレール基礎20を提供できる。
【0044】
カップラー81を取り外す際は、上記と逆に、まず、ストッパー82bを回転してヘッド82をアンカー85から解放し、次に、カップラー81を上方に移動することによりカップラー81のグリップ83をフック87から取り外すことができる。このような、コンクリート製品の運搬用として通常用いられる、係合頭部を備えたアンカー85と、カップラー81との組み合わせを用いたクレーンの係留システム80は、係留作業が容易であり、カップラー81とフック87とのクリアランスを小さくでき、安定してクレーン2を係留できる。例えば、吊り荷重(定格荷重)が50トンを超えるような大型クレーンの場合は、クレーン基礎を基礎ブロックで施工することは運搬重量などの要因で難しい可能性がある。その場合は、アンカー85を現場で施工して所定の位置に埋め込み、カップラー81を用いた係留システム80を提供してもよい。
【0045】
本例のクレーンの係留方法は、レール基礎10を施工する基礎ブロック210に事前に一体的に埋設されたアンカー85と、レール基礎10に走行レール15が取り付けられた走行レールシステム1を走行するように設置されたクレーン2の脚部6とをカップラー81などの係留治具により着脱可能に接続することを有するものである。カップラー81の代わりに、クレーン2が係留治具を備えていてもよく、例えば、特許文献1に示すような係留装置を備えたクレーン2に対しては、C型溝を形成するアンカーを基礎ブロック210に埋設しておいてもよい。
【0046】
このように、係留用のアンカー85を含んでプレキャストされたレール基礎ブロック210を用いて、走行用レール用の基礎10および走行レールシステム(軌条)1を、係留システム80を含めて、短期間に低コストで施工できる。本発明のレール基礎ブロックを用いて施工できる軌条1は、ガントリークレーンまたは門型クレーン用の軌条に限定されず、他の重量物や装置などを、操作のため、あるいはメンテナンスのためなどに常設される軌条であってもよい。また、走行レールシステムは2列のレールが敷設されたシステムに限らず、2列のレールのいずれか一方の一列のレールがレール基礎ブロックを用いて施工されたものであってもよく、3列以上のレールが敷設されたシステムであってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 走行レールシステム、 2 クレーン、 10 レール基礎
20 レール基礎ブロック