(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051108
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/11573 20170101AFI20220324BHJP
H01L 27/11582 20170101ALI20220324BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220324BHJP
H01L 21/28 20060101ALN20220324BHJP
【FI】
H01L27/11573
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L21/28 301R
H01L21/28 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157386
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細田 達矢
(72)【発明者】
【氏名】成田 容久
【テーマコード(参考)】
4M104
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104BB01
4M104BB40
4M104CC05
4M104GG10
4M104GG16
5F083EP17
5F083EP22
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5F101BA45
5F101BB02
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5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH14
(57)【要約】
【課題】ゲート電極のエッチング残渣を抑制した高品質な半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置におけるゲート電極100は、ゲート絶縁層120上に設けられた、リンがドープされた多結晶半導体を含む第1層131、炭素がドープされた多結晶半導体を含む第2層132、及びリンがドープされた又は非ドープの多結晶半導体を含む第3層133を有する積層半導体層130と、層半導体層130上に配置された金属層150とを具備する。実施形態のゲート電極101において、第3層133のリン含有量は第1層131のリン含有量より少ない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層上に設けられたゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上に設けられ、リンがドープされた多結晶半導体を含む第1層、炭素がドープされた多結晶半導体を含む第2層、及びリンがドープされた又は非ドープの多結晶半導体を含む第3層を有する積層半導体層と、
前記積層半導体層上に配置された金属層とを具備し、
前記第3層のリン含有量が、前記第1層のリン含有量より少ない、半導体装置。
【請求項2】
前記金属層は、前記積層半導体層側から順に配置された、タングステンシリサイド層と窒化チタン層とを有する積層体を備え、
さらに、前記第3層と前記積層体との間に配置された酸化物層を具備する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記金属層は、前記積層半導体層側から順に配置された、チタン層と窒化チタン層とタングステン層とを有する積層体を備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体層の上面に設けられたN型の第1ウェル領域及びP型の第2ウェル領域と、
前記第1ウェル領域に設けられたPMOSトランジスタと、
前記第2ウェル領域に設けられたNMOSトランジスタとを具備し、
前記NMOSトランジスタが前記積層半導体層を含む、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記NMOSトランジスタは、さらに前記第2ウェル領域の上面に設けられた、N型の第1拡散層及び第2拡散層を有し、
前記積層半導体層は、前記第1拡散層と前記第2拡散層との間の前記第2ウェル領域上に設けられた前記ゲート絶縁膜上に配置されている、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体基板上に設けられたメモリセルトランジスタと、
前記メモリセルトランジスタを制御する周辺回路とを備え、
前記周辺回路は請求項5に記載の半導体装置を具備する、半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体メモリデバイスを高集積化するために、メモリセルを三次元に積み上げた三次元積層型不揮発性メモリデバイスが提案されている。三次元積層型不揮発性メモリデバイスでは、例えばメモリセルアレイとメモリセルの制御回路となる周辺回路とを積層した構造を有している。周辺回路には、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等が用いられている。CMOSに用いられるトランジスタは、その製造工程等により特性が劣化してしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、特性を安定して高めることを可能にした半導体装置及び半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、半導体層上に設けられたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に設けられ、リンがドープされた多結晶半導体を含む第1層、炭素がドープされた多結晶半導体を含む第2層、及びリンがドープされた又は非ドープの多結晶半導体を含む第3層を有する積層半導体層と、前記積層半導体層上に配置された金属層とを具備し、前記第3層のリン含有量が、前記第1層のリン含有量より少ない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態の半導体装置におけるゲート電極を示す断面図である。
【
図2】
図1に示すゲート電極の変形例を示す断面図である。
【
図3】
図1に示すゲート電極の製造工程を示す図である。
【
図4】実施形態の半導体装置としてのCMOSFETを示す断面図である。
【
図5】
図4に示すCMOSFETの製造工程を示す図である。
【
図6】
図4に示すCMOSFETの製造工程を示す図である。
【
図7】
図4に示すCMOSFETの製造工程を示す図である。
【
図8】実施形態の半導体記憶装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図8に示す半導体記憶装置のメモリセルアレイの回路構成を示す回路図である。
【
図10】実施形態の半導体記憶装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の半導体装置及び半導体記憶装置について、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、その説明を一部省略する場合がある。図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各部の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。
【0008】
(第1の実施形態/ゲート電極)
図1は実施形態の半導体装置におけるゲート電極の構造を示す断面図である。
図1に示されるゲート電極100は、半導体基板110の一方の面上に形成されたゲート絶縁層120上に設けられている。半導体基板110としては、例えばシリコン基板が用いられる。ゲート絶縁層120には、例えば酸化シリコン(SiO)が用いられる。ゲート電極100は、3層構造の積層半導体層130と金属層150、必要に応じてTSI層140とを備えている。
【0009】
ゲート絶縁層120の上には、3層構造の積層半導体層130が形成されている。積層半導体層130は、ゲート絶縁層120に近い側から順に、リン(P)がドープされた多結晶半導体を含む第1層131と、炭素(C)がドープされた多結晶半導体を含む第2層132と、Pがドープされた又は非ドープの多結晶半導体を含む第3層133とを有している。積層半導体層130の第1層131、第2層132、第3層133における多結晶半導体としては、例えばポリシリコンが用いられる。
【0010】
第2層132にドープされているCは、Pを捕捉して相互拡散を抑制する作用を有する。しかし、後述の製造工程(
図2)に示すように、エッチング残りを抑制するために酸化膜160が形成されるが、第2層132の直上に酸化膜160が形成されると、酸化膜160が剥離し難くなる。そこで、第2層132の上に第3層133を介在させることによって、酸化膜160の剥離を促進している。
【0011】
第3層133は、積層半導体層130と後述する金属層150との界面の抵抗上昇を抑える作用を有する。しかし、第3層133におけるPドープ量が多すぎると、後述する酸化層としてのTSI(Through Silicon oxide Insertion)層140の増速酸化が促進される。そこで、第3層133のPドープ量は第1層131のPドープ量よりも少なく設定される。すなわち、第3層133リン含有量は、第1層131のリン含有量より少ない。
【0012】
積層半導体層130の第3層133の上には、必要に応じてTSI層140が形成されている。TSI層140は、後述する金属層150への不純物拡散を防ぐ作用を有する。TSI層140には、例えば酸化シリコン(SiO)が用いられる。ただし、金属層150の構成材料によっては、
図2に示すように、TSI層140を省き、積層半導体層130上に直接金属層150を設けてもよい。
【0013】
TSI層140上には金属層150が形成されている。金属層150としては、例えばタングステンシリサイド(WSi)/窒化チタン(TiN)、又はチタン(Ti)/窒化チタン(TiN)/タングステン(W)を、TSI層140に近い側からこの順で積層した積層体を用いることができる。
【0014】
金属層150がWSi/TiNであると、界面のWSiに不純物が拡散するおそれがある。そのため、TSI層140を介在させることが好ましい。ただし、金属層150がTi/TiN/Wである場合は、界面にWが存在しないため、TSI層140は必ずしも必要ではない。
図2に示すゲート電極100は、例えば金属層150としてTi/TiN/Wの積層膜を有しており、TSI層140の形成が省かれている。
【0015】
上記したゲート電極100は、例えば以下のようにして製造される。ゲート電極100の製造工程を
図3にしたがって述べる。
図3(a)に示すように半導体基板110を用意する。
図3(b)に示すように、半導体基板110の一方の面上にゲート絶縁層120を成膜する。
【0016】
次いで、
図3(c)に示すように、ゲート絶縁層120の上に、順に第1層131、第2層132、第3層133を成膜して積層半導体層130を形成する。
図3(d)に示すように、第3層133の上に酸化膜160を成膜する。酸化膜160には、例えば酸化シリコン(SiO)が用いられる。
【0017】
そして、酸化膜160を成膜した後、
図3(e)に示ように、酸化膜160と共に第3層133の上層部分133aを除去する。除去方法としては、機械的エッチング(CMP)又は化学的エッチングが用いられる。化学的エッチングは、例えばCDE(Chemical Dry Etching)、RIE(Reactive Ion Etching)、又はウエットエッチングが用いられる。また、これらの除去方法のうち、複数の除去方法を組み合わせて用いても構わない。
【0018】
次に、
図3(f)に示すように、第3層133の上にTSI層140を成膜し、その上に金属層150を成膜して、
図1に示すゲート電極100が得られる。
図2に示すゲート電極100は、第3層133上に直接金属層150を成膜することにより得られる。
【0019】
(第2の実施形態/半導体装置)
第2の実施形態としての半導体装置は、例えばCMOSFETである。
図4は、第2の実施形態の一例を示す断面図である。
図4に示すCMOSFETは、NチャネルMOSFET(以下、「NMOSトランジスタ(TrN)」と記す場合がある。)とPチャネルMOSFET(以下「PMOSトランジスタ(TrP)」と記す場合がある。)とを有する。なお、
図4におけるX方向をゲート幅方向、Y方向をゲート長方向、Z方向をX方向及びY方向と交差する方向として説明する。
【0020】
半導体基板110の表面近傍には、P型ウェル領域PWと、N型ウェル領域NWと、N型ウェル領域NWとP型ウェル領域PWとを電気的に分離するための素子分離領域STIが形成されている。素子分離領域STIには、例えば酸化シリコン(SiO)が用いられる。
【0021】
P型ウェル領域PWにはNMOSトランジスタTrNが設けられ、N型ウェル領域NWにはPMOSトランジスタTrPが設けられる。
【0022】
NMOSトランジスタTrNのゲート電極GCnとして、上記したゲート電極100が用いられる。金属層150の上面は、絶縁層55で覆われている。金属層150の側面は、絶縁層56nで覆われている。絶縁層56nは、NMOSトランジスタTrNのゲート電極100のサイドウォールとして機能する。絶縁層55は一部開口されており、ゲート電極100は絶縁層55の開口を介してコンタクトプラグC0に接続されている。
【0023】
また、P型ウェル領域PWにはn+不純物拡散領域NP1及びNP2が設けられており、例えばリン(P)がドープされている。n+不純物拡散領域NP1は、n+不純物拡散領域NP2とY方向に離れて配置される。n+不純物拡散領域NP1及びNP2は、NMOSトランジスタTrNのソース(ソース拡散層)及びドレイン(ドレイン拡散層)として機能する。n+不純物拡散領域NP1及びNP2は、コンタクトプラグCSにそれぞれ接続されている。
【0024】
コンタクトプラグCS、C0は、コンタクトホールの底面及び側面に形成された導電層58と、導電層58と接するようにコンタクトホール内に埋め込まれた導電層59とを有する。導電層58はバリアメタルとして機能し、チタン(Ti)と窒化チタン(TiN)の積層構造が用いられる。導電層59には、例えばタングステン(W)が用いられる。
【0025】
一方、PMOSトランジスタTrPは、特に限定されるものではなく、一般的な構造が適用される。例えば、N型ウェル領域NWの表面近傍には、p+不純物拡散領域PP1及びPP2がY方向に離れて設けられており、それらの間の領域にゲート電極GCpのゲート絶縁層120pが設けられている。p+不純物拡散領域PP1及びPP2は、例えば、ボロン(B)がドープされている。p+不純物拡散領域PP1及びPP2は、PMOSトランジスタTrPのソース(ソース拡散層)及びドレイン(ドレイン拡散層)として機能する。
【0026】
また、ボロン(B)ドープポリシリコン層180が、ゲート絶縁層120pと金属層150pとの間に設けられている。さらに、金属層150pの上面は、絶縁層55で覆われている。金属層150pの側面は、絶縁層56pで覆われている。絶縁層56pは、PMOSトランジスタ(TrP)のゲート電極GCpのサイドウォールとして機能する。絶縁層55は一部開口されており、ゲート電極GCpは絶縁層55の開口を介して、コンタクトプラグC0に接続されている。p+不純物拡散領域PP1及びPP2は、コンタクトプラグCSにそれぞれ接続されている。
【0027】
コンタクトプラグCS及びC0の上面には、導電体層(
図4では図示せず、
図10の符号D0)が接続される。この導電体層は、
図4に図示するPMOSトランジスタTrP及びNMOSトランジスタTrNと、他のトランジスタ又は外部接続端子との間の配線として機能する。
【0028】
コンタクトプラグCSは、NMOSトランジスタTrN及びPMOSトランジスタTrPのソース又はドレインと導電体層との間に設けられる導電体層である。コンタクトプラグC0は、NMOSトランジスタTrN及びPMOSトランジスタTrPのゲート電極と導電体層との間に設けられる導電体層である。n+不純物拡散領域NP1及びNP2とp+不純物拡散領域PP1及びPP2の各々は、コンタクトプラグCSを介して導電体層に電気的に接続される。また、NMOSトランジスタTrN及びPMOSトランジスタTrPは、絶縁層31で覆われている。
【0029】
上記したCMOSFETは、例えば以下のようにして製造される。CMOSFETの製造工程について、
図5、
図6、及び
図7を参照して述べる。まず、
図5(a)に示すように半導体基板110を用意し、
図5(b)に示すように、その一方の面上にゲート絶縁層120を成膜する。なお、
図4に示したP型ウェル領域PW、N型ウェル領域NW、n
+不純物拡散領域NP1及びNP2、p
+不純物拡散領域PP1及びPP2の図示は省略されている。
【0030】
図5(c)に示すように、ゲート絶縁層120の上に、順に第1層131、第2層132、第3層133を成膜して積層半導体層130を形成する。
図5(d)に示すように、第3層133の上に酸化膜160を成膜する。酸化膜160は、例えば熱酸化により形成される。
【0031】
次いで、
図5(e)に示すように、ストッパ層170を成膜する。ストッパ層170には、例えば窒化シリコン(SiN)が用いられる。
図5(f)に示すように、後にPMOSトランジスタTrPを形成する側を除去する。除去方法としては、例えばRIEが用いられる。
【0032】
図6(g)に示すように、PMOSトランジスタTrPのゲート絶縁層120pを成膜し、その上にボロン(B)ドープポリシリコン層180を成膜する。Bドープポリシリコン層180は、後にPMOSトランジスタTrPを形成する側(PMOSトランジスタTrP側)にあるゲート絶縁層120p上だけでなく、後にNMOSトランジスタTrNが設けられる側(NMOSトランジスタTrN側)にあるストッパ層170上にも成膜する。
図6(h)に示すように、Bドープポリシリコン層180上に、ストッパ層190を成膜する。例えば、ストッパ層190にはSiNが用いられる。
【0033】
図6(i)に示すように、RIEによりNMOSトランジスタTrN側のBドープポリシリコン層180を除去する。
図6(j)に示すように、NMOSトランジスタTrNとPMOSトランジスタTrPとを分離するSTI溝200を形成する。
【0034】
図7(k)に示ように、STI溝200内に充填物201を充填する。充填物201には、例えばSiOが用いられる。STI溝200に充填物201を充填した後、ストッパ層170の一部、ストッパ層190の一部、及び充填物201の一部を除去する。除去方法としては、CMPが用いられる。
図7(l)に示すように、NMOSトランジスタTrN側のストッパ層170及びPMOSトランジスタTrP側のストッパ層190を除去する。除去方法としては、ウエットエッチングが用いられる。
【0035】
図7(m)に示すように、NMOSトランジスタTrNの酸化膜160及び3層多結晶半導体層130の第3層133の上層部分を除去する。除去方法としては、ウエットエッチングが用いられる。
図7(n)に示ように、NMOSトランジスタTrN側の第3層133上とPMOSトランジスタTrP側のBドープポリシリコン層180上に、TSI層140を成膜する。
図7(o)に示すように、TSI層140上に金属層150を成膜する。
【0036】
図示は省略したが、金属層150をNMOSトランジスタTrN側とPMOSトランジスタTrP側とに分離する等、NMOSトランジスタTrN側とPMOSトランジスタTrPの形成に必要な工程を追加して、CMOSFETが作製される。
【0037】
上記した製造工程の工程(e)において、第3層133を成膜することなく、第2層132上に直接ストッパ(SiN)層170を成膜すると、その後の工程で熱を受けた際に第2層132とストッパ層170との界面に異常酸化が生じる場合がある。この異常酸化は、第1層131にドープされているリン(P)が第2層132に含まれるCによりトラップされることに起因するものと考えられ、STI(充填物201)の形成後のエッチング(工程(l))時にエッチング残渣等が生じる。このエッチング残渣は、トランジスタのリーク電流の増大の原因となる場合がある。また、エッチング残渣は、ゲート電極100(GCn)間のショート等の原因となり、製造歩留りを低下させる要因となる。
【0038】
そこで、実施形態のゲート電極100においては、第1層131よりP濃度が低い第3層133を第2層132上に設けている。第3層133には、低濃度のPドープ又は非ドープのポリシリコン等を用いているため、熱工程におけるPの偏析等を抑制することができる。これによって、エッチング残渣の発生を防ぐことができる。その結果、エッチング残渣に起因する欠陥の発生を抑制することができ、トランジスタ性能を高めることができる。さらに、エッチング残渣を減らすことで、トランジスタの歩留まりも高めることができる。
【0039】
(第3の実施形態/半導体記憶装置)
第2の実施形態の半導体装置としてのCMOSFETは、例えばメモリセルトランジスタを半導体基板上に三次元に積層した三次元積層型不揮発性メモリデバイスの制御回路等に用いられる。ただし、第2の実施形態の半導体装置の用途はそれに限られるものではなく、各種の半導体装置に用いられることができる。第3の実施形態の半導体記憶装置として三次元積層型NAND型フラッシュメモリについて、
図8、
図9、及び
図10を参照して述べる。
【0040】
図8は、第3の実施形態の三次元積層型NAND型フラッシュメモリの全体構成を示すグロック図である。
図8に示されるように、半導体記憶装置1は、例えば外部のメモリコントローラ2によって制御される。半導体記憶装置1は、メモリセルアレイ10、コマンドレジスタ11、アドレスレジスタ12、シーケンサ13、ドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16を含む。
【0041】
メモリセルアレイ10は、複数のブロックBLK0~BLK(L-1)(Lは2以上の整数)を含む。ブロックBLKは、データを不揮発に記憶する複数のメモリセルトランジスタ(以下、「メモリセル」と記す場合がある。)の集合体であり、例えばデータの消去単位として使用される。メモリセルアレイ10には、複数のビット線及び複数のワード線が設けられる。各メモリセルトランジスタは、例えば1本のビット線と1本のワード線とに関連付けられている。メモリセルアレイ10の詳細な構成については後述する。
【0042】
コマンドレジスタ11は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2から受信したコマンドCMDを保持する。コマンドCMDは、例えばシーケンサ13に読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作等を実行させる命令を含む。アドレスレジスタ12は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2から受信したアドレス情報ADDを保持する。アドレス情報ADDは、例えばブロックアドレスBA、ページアドレスPA、及びカラムアドレスCAを含む。例えば、ブロックアドレスBA、ページアドレスPA、及びカラムアドレスCAは、それぞれブロックBLK、ワード線、及びビット線の選択に使用される。
【0043】
シーケンサ13は、半導体記憶装置1の全体の動作を制御する。例えば、シーケンサ13は、コマンドレジスタ11に保持されたコマンドCMDに基づいてドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16等を制御して、読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作等を実行する。
【0044】
ドライバモジュール14は、読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作等で使用される電圧を生成する。そして、ドライバモジュール14は、例えばアドレスレジスタ12に保持されたページアドレスPAに基づいて、選択されたワード線に対応する信号線に、生成した電圧を印加する。
【0045】
ロウデコーダモジュール15は、アドレスレジスタ12に保持されたブロックアドレスBAに基づいて、対応するメモリセルアレイ10内の1つのブロックBLKを選択する。そして、ロウデコーダモジュール15は、例えば選択されたワード線に対応する信号線に印加された電圧を、選択されたブロックBLK内の選択されたワード線に転送する。
【0046】
センスアンプモジュール16は、書き込み動作において、メモリコントローラ2から受信した書き込みデータDATに応じて、各ビット線に所望の電圧を印加する。また、センスアンプモジュール16は、読み出し動作において、ビット線の電圧に基づいてメモリセルに記憶されたデータを判定し、判定結果を読み出しデータDATとしてメモリコントローラ2に転送する。
【0047】
半導体記憶装置1とメモリコントローラ2との間の通信は、例えばNANDインターフェイスをサポートしている。例えば、半導体記憶装置1とメモリコントローラ2との間の通信では、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号WEn、リードイネーブル信号REn、レディビジー信号RBn、及び入出力信号I/Oが使用される。
【0048】
コマンドラッチイネーブル信号CLEは、半導体記憶装置1が受信した入出力信号I/OがコマンドCMDであることを示す信号である。アドレスラッチイネーブル信号ALEは、半導体記憶装置1が受信した信号I/Oがアドレス情報ADDであることを示す信号である。ライトイネーブル信号WEnは、入出力信号I/Oの入力を半導体記憶装置1に命令する信号である。リードイネーブル信号REnは、入出力信号I/Oの出力を半導体記憶装置1に命令する信号である。
【0049】
レディビジー信号RBnは、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2からの命令を受け付けるレディ状態であるか命令を受け付けないビジー状態であるかを、メモリコントローラ2に通知する信号である。
【0050】
入出力信号I/Oは、例えば8ビット幅の信号であり、コマンドCMD、アドレス情報ADD、データDAT等を含み得る。
【0051】
以上説明した半導体記憶装置1及びメモリコントローラ2は、それらの組み合わせにより1つの半導体装置を構成してもよい。このような半導体装置としては、例えばSDカードのようなメモリカードや、SSD(Solid State Drive)等が挙げられる。
【0052】
次に、メモリセルアレイ10の回路構成について、
図9を用いて説明する。
図9の例は、ブロックBLK0を示しているが、他のブロックBLKの回路構成も同じである。
図9に示すように、ブロックBLKは、例えば4つのストリングユニットSU0~SU3を含む。各ストリングユニットSUは、複数のNANDストリングNSを含む。
【0053】
複数のNANDストリングNSは、それぞれビット線BL0~BL(N-1)(Nは2以上の整数)に関連付けられている。各NANDストリングNSは、例えばメモリセルトランジスタMC0~MC7、並びに選択トランジスタST1及びST2を含む。
【0054】
メモリセルトランジスタMCは、制御ゲート及び電荷蓄積層を含み、データを不揮発に保持する。以下、メモリセルトランジスタMC0~MC7のいずれかを限定しない場合は、メモリセルトランジスタMCと表記する。なお、メモリセルトランジスタMCは、電荷蓄積層に絶縁膜を用いたMONOS型であってもよいし、電荷蓄積層に導電体層を用いたFG型であってもよい。以下、実施形態では、MONOS型を例として説明する。
【0055】
選択トランジスタST1は、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。各NANDストリングNSにおいて、選択トランジスタST1のドレインは、関連付けられたビット線BLに接続される。選択トランジスタST1のソースは、直列に接続されたメモリセルトランジスタMC0~MC7の一端に接続される。直列に接続されたメモリセルトランジスタMC0~MC7の他端は、選択トランジスタST2のドレインに接続される。
【0056】
同一のブロックBLKにおいて、選択トランジスタST2のソースは、ソース線SLに共通接続される。ストリングユニットSU0~SU3内の選択トランジスタST1のゲートは、それぞれ選択ゲート線SGD0~SGD3に共通接続される。メモリセルトランジスタMC0~MC7の制御ゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に共通接続される。選択トランジスタST2のゲートは、選択ゲート線SGSに共通接続される。
【0057】
以上で説明したメモリセルアレイ10の回路構成において、同じカラムアドレスCAが割り当てられた複数のNANDストリングNSは、複数のブロックBLK間で同じビット線BLに共通接続される。ソース線SLは、複数のブロックBLK間で共通接続される。
【0058】
なお、実施形態に係る半導体記憶装置1が備えるメモリセルアレイ10の回路構成は、以上で説明した構成に限定されない。例えば、各NANDストリングNSが含むメモリセルトランジスタMC、並びに選択トランジスタST1及びST2の個数は、それぞれ任意の個数に設計され得る。各ブロックBLKが含むストリングユニットSUの個数は、任意の個数に設計され得る。
【0059】
次に、メモリセルアレイ10の断面構成について、
図10を用いて説明する。
図10に示すように、半導体基板100上には、絶縁層31が形成される。絶縁層31には、例えば酸化シリコン(SiO)が用いられる。絶縁層31内には、回路領域UAが設けられ、絶縁層31上にメモリセルアレイ10が設けられている。回路領域UAには、例えばセンスアンプモジュール16等に用いられる回路が形成される。
【0060】
まず、メモリセルアレイ10の構成について説明する。絶縁層31上には、ソース線SLとして機能する導電体層32が設けられる。例えば、導電体層32は、半導体基板100に略平行なXY平面に沿って広がった板状に形成される。導電体層32は、導電材料を用いて形成され、導電材料には例えば金属材料または半導体材料等を含む。
【0061】
導電体層32上には、11層の絶縁層33と10層の導電体層34とが交互に積層される。絶縁層33には、例えばSiOが用いられる。10層の導電体層34は、例えば下方から順に、選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、及び選択ゲート線SGDとして機能する。例えば、導電体層34はX方向に延伸する板状に形成される。導電体層34は、導電材料を用いて形成され、導電材料は例えば金属材料を含む。
【0062】
10層の導電体層34を貫通(通過)し、底面が導電体層32に達する複数のメモリピラーMPが設けられている。メモリピラーMPは、半導体基板100に略垂直でありかつX及びY方向と交差するZ方向に沿って延伸する。1つのメモリピラーMPが1つのNANDストリングNSに対応する。メモリピラーMPは、ブロック絶縁膜35、電荷蓄積層36、トンネル絶縁膜37、半導体層38、コア層39、及びキャップ層40を含む。
【0063】
より具体的には、10層の導電体層34を貫通して、底面が導電体層32に達するように、メモリピラーMPに対応するホールが形成される。ホールの側面にはブロック絶縁膜35、電荷蓄積層36、及びトンネル絶縁膜37が順次積層されている。そして、側面がトンネル絶縁膜37に接し、底面が導電体層32に接するように半導体層38が形成されている。半導体層38は、メモリセルトランジスタMC並びに選択トランジスタST1及びST2のチャネルが形成される領域である。よって、半導体層38は、選択トランジスタST2、メモリセルトランジスタMC0~MC7、及び選択トランジスタST1の電流経路を接続する信号線として機能する。半導体層38内にはコア層39が設けられている。そして、半導体層38及びコア層39上には、側面がトンネル絶縁膜37に接するキャップ層40が形成されている。
【0064】
ブロック絶縁膜35、トンネル絶縁膜37、及びコア層39には、例えば、SiOが用いられる。電荷蓄積層36には、例えば窒化シリコン(SiN)が用いられる。半導体層38及びキャップ層40には、例えばポリシリコンが用いられる。
【0065】
メモリピラーMPと、ワード線WL0~WL7としてそれぞれ機能する8層の導電体層34とが組み合わされ、メモリセルトランジスタMC0~MC7として機能する。同様に、メモリピラーMPと、選択ゲート線SGD及びSGSとしてそれぞれ機能する2層の導電体層34とが組み合わされ、選択トランジスタST1及びST2として機能する。
【0066】
キャップ層40上には、コンタクトプラグCPが形成される。コンタクトプラグCP上には、ビット線BLとして機能する導電体層(不図示)が形成される。コンタクトプラグCPは、導電材料を用いて形成され、導電材料には、例えば、金属材料が用いられる。
【0067】
なお、
図10の例では、3つのメモリピラーMPがY方向に沿って配置されているが、メモリピラーMPは、任意に配置され得る。
【0068】
回路領域UAは、上記のPMOSトランジスタTrPとNMOSトランジスタTrNとを有する半導体装置を含む。上記したように、エッチング残渣に起因する欠陥の発生を抑制することができる。
【0069】
なお、PMOSトランジスタTrP及びNMOSトランジスタTrNは、例えば、コマンドレジスタ11、アドレスレジスタ12、シーケンサ13、ドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16等に用いられてもよい。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1…半導体記憶装置、2…メモリコントローラ、10…メモリセルアレイ、11…コマンドレジスタ、12…アドレスレジスタ、13…シーケンサ、14…ドライバモジュール、15…ロウデコーダモジュール、16…センスアンプモジュール、58、59…導電体層、35…ブロック絶縁膜、36…電荷蓄積層、37…トンネル絶縁膜、100…ゲート電極、110…半導体基板、120、120p…ゲート絶縁層、130…3層多結晶半導体層、131…第1層、132…第2層、133…第3層。140…TSI層、150、150p…金属層、160…酸化膜。