(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051115
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】電流電圧制限回路及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H02H 9/04 20060101AFI20220324BHJP
H02H 9/00 20060101ALI20220324BHJP
H02H 9/02 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
H02H9/04 A
H02H9/00 B
H02H9/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157404
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】時岡 良宜
【テーマコード(参考)】
5G013
【Fターム(参考)】
5G013AA02
5G013BA03
5G013CA18
5G013CB03
5G013DA10
(57)【要約】
【課題】電圧を制限する部品のサイズを小さくすることによって、電流電圧制限回路のサイズの小型化を図る。
【解決手段】電流電圧制限回路3は、電源線31と信号線32とを備えている。電源線31には、第1ヒューズ33及び第2ヒューズ34が一次電気回路1の側から順に直列に接続されると共に、一次電圧V1よりも大きく且つ二次電圧V2よりも小さなツェナー電圧Vzを有するツェナーダイオード35が電源線31のうち第1ヒューズ33と第2ヒューズ34との間の部分に並列に接続されている。第2ヒューズ34の定格電流Ih2は、第1ヒューズ33の定格電流Ih1よりも小さい。信号線32には、信号線32に流れる電流を制限する抵抗36が直列に接続される共に、信号線32に印加される電圧を制限する保護素子が信号線32のうち抵抗36と二次電気回路2との間の部分に並列に接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次電圧の電力を供給する一次電気回路と、前記一次電気回路からの電力を二次電圧に昇圧する内部昇圧電源を有する二次電気回路とを接続する電流電圧制限回路であって、
前記一次電気回路の前記一次電圧の電力を前記内部昇圧電源に供給する電源線と、
前記一次電気回路から前記二次電気回路へ制御信号を伝送する信号線とを備え、
前記電源線には、第1ヒューズ及び第2ヒューズが前記一次電気回路の側から順に直列に接続されると共に、前記一次電圧よりも大きく且つ前記二次電圧よりも小さなツェナー電圧を有するツェナーダイオードが前記電源線のうち前記第1ヒューズと前記第2ヒューズとの間の部分に並列に接続され、
前記第2ヒューズの定格電流は、前記第1ヒューズの定格電流よりも小さく、
前記信号線には、前記信号線に流れる電流を制限する電流制限部品が直列に接続される共に、前記信号線に印加される電圧を制限する保護素子が前記信号線のうち前記電流制限部品と前記二次電気回路との間の部分に並列に接続されている電流電圧制限回路。
【請求項2】
請求項1に記載の電流電圧制限回路において、
前記保護素子は、ダイオードである電流電圧制限回路。
【請求項3】
請求項2に記載の電流電圧制限回路において、
前記ダイオードは、アノードが前記信号線のうち前記電流制限部品と前記二次電気回路との間の部分に接続され、カソードが前記電源線のうち前記第2ヒューズと前記二次電気回路との間の部分に接続されたショットキーダイオードである電流電圧制限回路。
【請求項4】
請求項2に記載の電流電圧制限回路において、
前記ダイオードは、カソードが前記信号線のうち前記電流制限部品と前記二次電気回路との間の部分に接続され、アノードがグランドに接続されたツェナーダイオードである電流電圧制限回路。
【請求項5】
一次電圧の電力を供給する一次電気回路と、
前記一次電気回路からの電力を二次電圧に昇圧する内部昇圧電源を有する二次電気回路と、
前記一次電気回路と前記二次電気回路とを接続する電流電圧制限回路とを備え、
前記電流電源制限回路は、
前記一次電気回路の前記一次電圧の電力を前記内部昇圧電源に供給する電源線と、
前記一次電気回路から前記二次電気回路へ制御信号を伝送する信号線とを有し、
前記電源線には、第1ヒューズ及び第2ヒューズが前記一次電気回路の側から順に直列に接続されると共に、前記一次電圧よりも大きく且つ前記二次電圧よりも小さなツェナー電圧を有するツェナーダイオードが前記電源線のうち前記第1ヒューズと前記第2ヒューズとの間の部分に並列に接続され、
前記第2ヒューズの定格電流は、前記第1ヒューズの定格電流よりも小さく、
前記信号線には、前記信号線に流れる電流を制限する電流制限部品が直列に接続される共に、前記信号線に印加される電圧を制限する保護素子が前記信号線のうち前記電流制限部品と前記二次電気回路との間の部分に並列に接続されている電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、電流電圧制限回路及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回路の電流及び電源を制限する電流電圧制限回路が知られている。例えば、特許文献1には、抵抗によって電流を制限すると共に、保護ダイオードによって電圧を制限する回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述の電流電圧制限回路が信号線を複数備える場合には、信号線ごとに電流を制限する部品及び電圧を制限する部品を設ける必要がある。そのため、これらの部品、特に電圧を制限する部品のサイズが電流電圧制限回路のサイズに与える影響が大きくなる。
【0005】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電圧を制限する部品のサイズを小さくすることによって、電流電圧制限回路のサイズの小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された技術は、一次電圧の電力を供給する一次電気回路と、前記一次電気回路からの電力を二次電圧に昇圧する内部昇圧電源を有する二次電気回路とを接続する電流電圧制限回路が対象である。電流電圧制限回路は、前記一次電気回路の前記一次電圧の電力を前記内部昇圧電源に供給する電源線と、前記一次電気回路から前記二次電気回路へ制御信号を伝送する信号線とを備え、前記電源線には、第1ヒューズ及び第2ヒューズが前記一次電気回路の側から順に直列に接続されると共に、前記一次電圧よりも大きく且つ前記二次電圧よりも小さなツェナー電圧を有するツェナーダイオードが前記電源線のうち前記第1ヒューズと前記第2ヒューズとの間の部分に並列に接続され、前記第2ヒューズの定格電流は、前記第1ヒューズの定格電流よりも小さく、前記信号線には、前記信号線に流れる電流を制限する電流制限部品が直列に接続される共に、前記信号線に印加される電圧を制限する保護素子が前記信号線のうち前記電流制限部品と前記二次電気回路との間の部分に並列に接続されている。
【発明の効果】
【0007】
前記電流電圧制限回路によれば、電圧を制限する部品のサイズを小さくすることによって、電流電圧制限回路のサイズの小型化を図ることことができる。
【0008】
前記電子機器によれば、電圧を制限する部品のサイズを小さくすることによって、電流電圧制限回路のサイズの小型化を図ることことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電子機器の概略的な回路図である。
【
図2】
図2は、変形例に係る電子機器の概略的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、実施形態に係る電子機器100の概略的な回路図である。
【0012】
電子機器100は、一次電気回路1と、二次電気回路2と、電流電圧制限回路3とを備えている。一次電気回路1は、一次電圧の電力を供給する。電流電圧制限回路3は、一次電気回路1と二次電気回路2とを電気的に接続する。二次電気回路2は、一次電気回路1からの電力を二次電圧に昇圧する。つまり、電子機器100では、一次電気回路1は、電流電圧制限回路3を介して二次電気回路2へ給電し、二次電気回路2は、一次電気回路1からの電力を二次電圧に昇圧する。
【0013】
詳しくは、一次電気回路1は、電源11と、コントローラ12とを有している。
【0014】
電源11は、一次電圧V1の電力を供給する。電源11は、直流電源である。例えば、電源11は、電池である。コントローラ12は、二次電気回路2を制御するための制御信号を出力する。コントローラ12は、例えば、MCU(Micro Controller Unit)等のプロセッサで形成されている。一次電気回路1に含まれるコントローラ12等の要素は、一次電圧V1の電力を利用して動作する。
【0015】
二次電気回路2は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)モジュールの一部である。二次電気回路2は、内部昇圧電源21と、LCDコントローラ/ドライバ22とを有する。
【0016】
内部昇圧電源21は、一次電気回路1から供給される電力を二次電圧V2まで昇圧する。LCDコントローラ/ドライバ22は、液晶パネル(図示省略)を制御する。二次電気回路2に含まれるLCDコントローラ/ドライバ22等の要素は、二次電圧V2の電量を利用して動作する。
【0017】
電流電圧制限回路3は、電源線31と複数の信号線32とを有している。電流電圧制限回路3は、一次電気回路1から電力及び制御信号を二次電気回路2へ供給する際に、これらの電気エネルギを制限する。
【0018】
電源線31は、一次電気回路1と二次電気回路2とを接続し、一次電気回路1の一次電圧V1の電力を二次電気回路2に供給する。具体的には、電源線31は、電源11と内部昇圧電源21とを接続し、電源11からの一次電圧V1の電力を内部昇圧電源21へ供給する。
【0019】
電源線31では、第1ヒューズ33及び第2ヒューズ34が二次電気回路2と直列に接続される。第2ヒューズ34は、第1ヒューズ33の出力側に設けられている。すなわち、第1ヒューズ33が一次電気回路1側に、第2ヒューズ34が二次電気回路2側に設けられている。第2ヒューズ34の定格電流Ih2は、第1ヒューズ33の定格電流Ih1よりも小さい。第1ヒューズ33及び第2ヒューズ34は、電源線31に流れる電流を制限する部品である。
【0020】
また、電源線31では、一次電圧V1よりも大きく且つ二次電圧V2よりも小さなツェナー電圧Vzを有するツェナーダイオード35が電源線31のうち第1ヒューズ33と第2ヒューズ34との間の部分に二次電気回路2に対して並列に接続されている。ツェナーダイオード35は、電源線31に逆バイアスとなるように接続される。ツェナーダイオード35のアノードは、グランドに接続されている。ツェナーダイオード35は、電源線31に印加される電圧を制限する部品である。
【0021】
尚、この例では、複数(ここでは、2個)のツェナーダイオード35が電源線31に並列に接続されている。複数のツェナーダイオード35を設けることによって、1つのツェナーダイオード35が破損しても、残りのツェナーダイオード35が正常に機能する。これにより、電源線31に印加される電圧を制限する機能が確保される。
【0022】
信号線32は、一次電気回路1と二次電気回路2とを接続し、一次電気回路1から二次電気回路2へ制御信号を伝送電流として伝送する。具体的には、信号線32は、コントローラ12とLCDコントローラ/ドライバ22とを接続し、コントローラ12からの制御信号をLCDコントローラ/ドライバ22へ伝送する。
【0023】
各信号線32では、抵抗36が二次電気回路2と直列に接続されている。抵抗36は、信号線32に流れる電流を制限する電流制限部品の一例である。
【0024】
また、各信号線32には、ショットキーダイオード37が二次電気回路2に対して並列に接続されている。ショットキーダイオード37は、信号線32のうち抵抗36と二次電気回路2との間に接続されている。ショットキーダイオード37のアノードが信号線32に接続され、ショットキーダイオード37のカソードが電源線31のうち第2ヒューズ34の出力側(即ち、第2ヒューズ34と二次電気回路2との間)の部分に接続されている。尚、ショットキーダイオード37の順方向電圧Vsは、ツェナー電圧Vzよりも小さい。ショットキーダイオード37は、信号線32に印加される電圧を制限する。ショットキーダイオード37は、保護素子及びダイオードの一例である。
【0025】
尚、この例では、複数のショットキーダイオード37が信号線32に並列に接続されている。複数のショットキーダイオード37を設けることによって、1つのショットキーダイオード37が破損しても、残りのショットキーダイオード37が正常に機能する。これにより、信号線32に印加される電圧を制限する機能が確保される。
【0026】
このように構成された電子機器100において、一次電気回路1の電源11は、電源線31を介して二次電気回路2の内部昇圧電源21に一次電圧V1の電力を供給する。内部昇圧電源21は、電源線31を介して供給された電力を二次電圧V2に昇圧する。二次電気回路2のLCDコントローラ/ドライバ22等の要素は、二次電圧V2を利用して動作する。それに加えて、一次電気回路1のコントローラ12は、電流電圧制限回路3の複数の信号線32を介して二次電気回路2のLCDコントローラ/ドライバ22へ制御信号を出力する。LCDコントローラ/ドライバ22は、制御信号に基づいて液晶パネルを制御する。
【0027】
ここで、電子機器100の異常時には、電流電源制限回路3は、電流電源制限回路3における電流及び電圧を制限することによって電気エネルギを制限する。詳しくは、電源線31に過大な電流が流れると、第1ヒューズ33又は第2ヒューズ34が溶断し、電源線31に過大な電流が流れることが防止される。また、電源線31にはツェナーダイオード35が設けられているので、電源線31の電圧がツェナー電圧Vz以上に上昇しないように制限される。
【0028】
信号線32では、抵抗36によって生じる電圧降下によって電気エネルギが消費され、信号線32に過大な電流が流れることが防止される。また、信号線32には、ショットキーダイオード37が接続され、ショットキーダイオード37のカソードが電源線31のうち第2ヒューズ34の出力側の部分に接続されている。信号線32に過大な電圧が印加されると、ショットキーダイオード37、ツェナーダイオード35の順に電流が流れ、その結果、信号線32の電圧は、順方向電圧Vs+ツェナー電圧Vz以上に上昇しないように制限される。
【0029】
このように、電流電源制限回路3は、電流及び電圧を制限することによって電気エネルギを制限する。
【0030】
この例では、電子機器100は、本質安全防爆構造となっている。具体的には、電子機器100は、本案機器であって、危険領域に配置される。一次電気回路1は、電気エネルギが比較的小さく、本質安全防爆の安全基準条件を満たすように構成されている。二次電気回路2では、内部昇圧電源21及びLCDコントローラ/ドライバ22等の要素が樹脂で被覆されることによって、危険領域の雰囲気に晒されないように構成されている。電流電圧制限回路3は、いわゆるバリアユニットとして機能する。電流電源制限回路3は、二次電気回路2に供給する電力を制限すると共に、異常が発生した場合でも電流電圧制限回路3における電気エネルギを本質安全の安全基準条件未満に制限するように構成されている。
【0031】
このように、電気エネルギを制限するように構成された電流電源制限回路3においては、電源線31に第2ヒューズ34を設けることによってショットキーダイオード37を小型化することができる。
【0032】
詳しくは、第2ヒューズ34が設けられていない場合のショットキーダイオード37の最大電流は、第1ヒューズ33の定格電流Ih1となる。ショットキーダイオード37は、最大電流に安全率を掛けた電流よりも定格電流が大きくなるように選択される。ここで、第1ヒューズ33の定格電流Ih1は、二次電気回路2のための動作電流だけでなく、ツェナーダイオード35のリーク電流も考慮して設定される。すなわち、定格電流Ih1は、二次電気回路2のための動作電流にツェナーダイオード35のリーク電流を加えた電流よりも大きな値に設定される。それに応じて、ショットキーダイオード37の定格電流も、大きくする必要がある。定格電流が大きくなると、ショットキーダイオード37のサイズも大きくなる。電流電圧制限回路3は複数の信号線32を備えているため、ショットキーダイオード37のサイズは、電流電圧制限回路3のサイズに与える影響が大きい。
【0033】
一方、第2ヒューズ34が設けられている場合のショットキーダイオード37の最大電流は、第2ヒューズ34の定格電流Ih2となる。第2ヒューズ34は、ツェナーダイオード35よりも二次電気回路2側に設けられているので、ツェナーダイオード35のリーク電流を考慮する必要がない。すなわち、第2ヒューズ34の定格電流Ih2は、二次電気回路2のための動作電流よりも大きく且つ、第1ヒューズ33の定格電流Ih1よりも小さな値に設定される。
【0034】
そのため、第2ヒューズ34が設けられていない場合に比べて、ショットキーダイオード37の定格電流を小さくすることができるので、ショットキーダイオード37のサイズを小さくすることができる。その結果、電流電圧制限回路3の実装面積を効果的に小さくすることができる。さらに、信号線32の多い回路でも実装面積を小さくすることができるので、信号線32を増加させて、より高精度な回路を実現することができる。
【0035】
また、ツェナーダイオード35は、定格電圧が小さくなると、リーク電流が大きくなる傾向がある。定格電圧が小さなツェナーダイオード35を採用すると、第1ヒューズ33の定格電流Ih1を大きくする必要がある。第2ヒューズ34が無い構成では、結果として、ショットキーダイオード37のサイズが大きくなる。それに対し、第2ヒューズ34が設けられた構成では、定格電圧が小さなツェナーダイオード35を採用しても、ショットキーダイオード37のサイズを大きくする必要がない。つまり、ツェナーダイオード35の定格電圧を小さくしつつ、小さなサイズのショットキーダイオード37を採用することができる。
【0036】
尚、第2ヒューズ34は、電源線31の電流を制限するものの、電圧降下が小さい。ツェナーダイオード35よりも出力側において電流を制限する部品としてヒューズ(即ち、第2ヒューズ34)を採用することによって、二次電気回路2の正常な動作を確保することができる。
【0037】
以上のように、一次電圧V1の電力を供給する一次電気回路1と、一次電気回路1からの電力を二次電圧V2に昇圧する内部昇圧電源21を有する二次電気回路2とを接続する電流電圧制限回路3は、一次電気回路1の一次電圧V1の電力を内部昇圧電源21に供給する電源線31と、一次電気回路1から二次電気回路2へ制御信号を伝送する信号線32とを備え、電源線31には、第1ヒューズ33及び第2ヒューズ34が一次電気回路1の側から順に直列に接続されると共に、一次電圧V1よりも大きく且つ二次電圧V2よりも小さなツェナー電圧Vzを有するツェナーダイオード35が電源線31のうち第1ヒューズ33と第2ヒューズ34との間の部分に並列に接続され、第2ヒューズ34の定格電流Ih2は、第1ヒューズ33の定格電流Ih1よりも小さく、信号線32には、信号線32に流れる電流を制限する抵抗36(電流制限部品)が直列に接続される共に、信号線32に印加される電圧を制限する保護素子が信号線32のうち抵抗36と二次電気回路2との間の部分に並列に接続されている。
【0038】
また、電子機器100は、一次電圧V1の電力を供給する一次電気回路1と、一次電気回路1からの電力を二次電圧V2に昇圧する内部昇圧電源21を有する二次電気回路2と、一次電気回路1と二次電気回路2とを接続する電流電圧制限回路3とを備え、電流電源制限回路3は、一次電気回路1の一次電圧V1の電力を内部昇圧電源21に供給する電源線31と、一次電気回路1から二次電気回路2へ制御信号を伝送する信号線32とを有し、電源線31には、第1ヒューズ33及び第2ヒューズ34が一次電気回路1の側から順に直列に接続されると共に、一次電圧V1よりも大きく且つ二次電圧V2よりも小さなツェナー電圧Vzを有するツェナーダイオード35が電源線31のうち第1ヒューズ33と第2ヒューズ34との間の部分に並列に接続され、第2ヒューズ34の定格電流Ih2は、第1ヒューズ33の定格電流Ih1よりも小さく、信号線32には、信号線32に流れる電流を制限する抵抗36(電流制限部品)が直列に接続される共に、信号線32に印加される電圧を制限する保護素子が信号線32のうち抵抗36と二次電気回路2との間の部分に並列に接続されている。
【0039】
これらの構成によれば、電源線31において、ツェナーダイオード35と二次電気回路2との間に第2ヒューズ34が設けられているので、信号線32の保護素子に入力される最大電流は、第2ヒューズ34の定格電流Ih2となる。第2ヒューズ34の定格電流Ih2は、ツェナーダイオード35のリーク電流を考慮する必要がなく、第1ヒューズ33の定格電流Ih1に比べて小さい。そのため、保護素子の定格電流を小さく設定することができるので、保護素子のサイズを小さくすることができる。その結果、電流電圧制限回路3の実装面積、即ち、サイズを小さくすることができ、ひいては、電子機器100を小型化することができる。
【0040】
具体的には、保護素子は、ダイオードである。
【0041】
この構成によれば、信号線32にダイオードを接続するという簡易な構成で、信号線32の電圧を制限することができる。
【0042】
より具体的には、ダイオードは、アノードが信号線32のうち抵抗36と二次電気回路2との間の部分に接続され、カソードが電源線31のうち第2ヒューズ34と二次電気回路2との間の部分に接続されたショットキーダイオード37である。
【0043】
この構成によれば、信号線32の電圧をより小さな電圧に制限することができる。それに加えて、ショットキーダイオード37は、比較的小型のダイオードである。例えば、ショットキーダイオード37は、ツェナーダイオードに比べて小さい。そのため、保護素子としてショットキーダイオード37を採用することによって、電流電圧制限回路3をより小型化することができる。信号線32の本数が多い構成においては、ショットキーダイオード37が特に有効である。
【0044】
〈変形例〉
続いて、電流電圧制限回路及び電子機器の変形例について説明する。
図2は、変形例に係る電子機器200の概略的な回路図である。
【0045】
電子機器200の電流電圧制限回路203では、電子機器100のショットキーダイオード37に代えて、ツェナーダイオード38が保護素子として採用されている。
【0046】
詳しくは、各信号線32には、ツェナーダイオード38が二次電気回路2に対して並列に接続されている。ツェナーダイオード38は、信号線32のうち抵抗36と二次電気回路2との間に接続されている。ツェナーダイオード38は、逆バイアスとなるように信号線32に接続されている。すなわち、ツェナーダイオード38のカソードが信号線32に接続され、ツェナーダイオード38のアノードがグランドに接続されている。この例では、ツェナーダイオード38のツェナー電圧Vz’は、ツェナーダイオード35のツェナー電圧Vzと等しい。ツェナーダイオード38は、信号線32に印加される電圧を制限する。ツェナーダイオード38は、保護素子及びダイオードの一例である。
【0047】
このような構成においても、信号線32に過大な電圧が印加されると、ツェナーダイオード35に電流が流れ、その結果、信号線32の電圧は、ツェナーダイオード38のツェナー電圧Vz’以上に上昇しないように制限される。
【0048】
また、ツェナーダイオード38の最大電流は、第2ヒューズ34の定格電流Ih2となる。第2ヒューズ34の定格電流Ih2は、二次電気回路2のための動作電流よりも大きく且つ、第1ヒューズの定格電流Ih1よりも小さな値に設定される。そのため、第2ヒューズ34が設けられていない場合に比べて、ツェナーダイオード38の定格電流を小さくすることができ、ひいては、ツェナーダイオード38のサイズを小さくすることができる。その結果、電流電圧制限回路203の実装面積を効果的に小さくすることができる。
【0049】
以上のように、保護素子としてのダイオードは、カソードが信号線32のうち抵抗36と二次電気回路2との間の部分に接続され、アノードがグランドに接続されたツェナーダイオード38である。
【0050】
この構成によれば、ツェナーダイオード38によって信号線32の電圧が制限される。さらに、第2ヒューズ34を設けることによって、ツェナーダイオード38の定格電流を小さくすることができ、ツェナーダイオード38のサイズも小さくすることができる。その結果、電流電圧制限回路203のサイズを小型化することができる。
【0051】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0052】
例えば、電流電圧制限回路3,203及び電子機器100,200は、防爆対応の機器でなくてもよい。電流電圧制限回路3,203は、防爆対応でなくても、電気エネルギを制限する必要がある電子機器に採用し得る。その場合、電流電圧制限回路3,203は、採用された機器において電子エネルギを制限しつつ、電流電圧制限回路3,203を小型に形成することができる。
【0053】
一次電気回路1及び二次電気回路2は、前述の構成に限定されるものではない。例えば、二次電気回路2は、LCDモジュールに含まれる回路に限定されない。二次電気回路2は、一次電気回路1から供給される電力を昇圧する限り、任意の構成を採用し得る。例えば、二次電気回路2は、フラッシュメモリに含まれる二次電気回路であってもよい。また、一次電気回路1は、一次電圧V1の電力を供給する限り、任意の構成を採用し得る。例えば、一次電圧V1の電力は、電池11によって供給されているが、これに限定されない。例えば、電池11からの電力の電圧をDC/DCコンバータによって一次電圧V1に変換する構成であってもよい。あるいは、交流電源からの電力をAC/DCコンバータ(さらにはDC/DCコンバータ)によって、一次電圧V1の直流に変換してもよい。
【0054】
電流電圧制限回路3,203は、防爆対応であるため、ツェナーダイオード35、ショットキーダイオード37及びツェナーダイオード38は、それぞれ2個ずつ設けられている。しかしながら、これらのダイオードは、2個に限定されず、1個又は3個以上であってもよい。
【0055】
信号線32の電流制限部品は、抵抗36に限定されない。電流制限部品は、ヒューズであってもよい。
【0056】
電流電圧制限回路3,203の保護素子は、ショットキーダイオード37及びツェナーダイオード38に限定されない。保護素子は、電圧を制限する部品であればよい。例えば、保護素子は、一般的なダイオードであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
100,200 電子機器
1 一次電気回路
2 二次電気回路
21 内部昇圧電源
3,203 電流電圧制限回路
31 電源線
32 信号線
33 第1ヒューズ
34 第2ヒューズ
35 ツェナーダイオード
36 抵抗(電流制限部品)
37 ショットキーダイオード(保護素子、ダイオード)
38 ツェナーダイオード(保護素子、ダイオード)