(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051122
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】保護材、保護方法、および保護材の製造方法
(51)【国際特許分類】
A41D 13/05 20060101AFI20220324BHJP
A41D 13/015 20060101ALI20220324BHJP
A41D 13/008 20060101ALI20220324BHJP
A61F 13/02 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
A41D13/05 156
A41D13/015
A41D13/008
A61F13/02 310J
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157415
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】520364299
【氏名又は名称】小野寺 大輔
(71)【出願人】
【識別番号】520364691
【氏名又は名称】田中 恒介
(71)【出願人】
【識別番号】520364303
【氏名又は名称】千頭 衞
(71)【出願人】
【識別番号】520364314
【氏名又は名称】西原 豊樹
(74)【代理人】
【識別番号】100166051
【弁理士】
【氏名又は名称】駒津 啓佑
(72)【発明者】
【氏名】西原 豊樹
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA06
3B011AA14
3B011AB01
3B011AC04
3B011AC07
3B011AC08
3B011AC14
3B011AC16
3B011AC17
3B011AC18
3B011AC21
3B011AC22
3B011AC24
(57)【要約】
【課題】 清潔な状態で使用でき、装着後に生じる日焼け跡の発生を防止できる保護材、保護方法、および保護材の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 あらかじめ接触体Cの接触から保護する被保護体100における接触体Cが接触する接触面210のうち、少なくとも接触面210の一部を被覆する形状で保護層110が形成され、保護層110の一方側面に設けられた粘着層120が、接触面210を被覆して保護層110を貼付する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触体との接触から、人、動物、または、これらに装着される装着物である被保護体を保護する保護材において、
あらかじめ前記被保護体における前記接触体が接触する接触面のうち、少なくとも一部を被覆する形状で形成された保護層と、
前記保護層の一方側面に設けられ、前記接触面を被覆して前記保護層を貼付する粘着層と、
を備えることを特徴とする保護材。
【請求項2】
前記保護層は、
前記接触体と前記被保護体が接触した場合と比較して、高い摩擦抵抗を有するグリップ性能、
を備えることを特徴とする請求項1記載の保護材。
【請求項3】
前記保護層は、
外部からの水分、または前記被保護体から発せられる水分に対する耐水性能、
を備えることを特徴とする請求項1記載の保護材。
【請求項4】
前記保護層は、
前記接触体による温度に対する耐熱性能、
を備えることを特徴とする請求項1記載の保護材。
【請求項5】
前記保護層は、
前記接触体との衝撃に対する耐衝撃性能、
を備えることを特徴とする請求項1記載の保護材。
【請求項6】
前記保護層は、
前記接触体が帯びた電気に対する絶縁性能、
を備えることを特徴とする請求項1記載の保護材。
【請求項7】
前記粘着層は、
前記接触面への貼付、または前記接触面からの剥離自在な粘着力、
を備えることを特徴とする請求項1記載の保護材。
【請求項8】
前記粘着力は、
前記接触面から剥離したときに、前記接触面に前記粘着層が残らない粘着力であること、
を特徴とする請求項7記載の保護材。
【請求項9】
前記保護層は、
前記接触面と外気とを通気させる通気孔、
を備えることを特徴とする請求項1記載の保護材。
【請求項10】
前記保護層は、
前記接触体と接する側に装飾性を有する装飾部、
を備えることを特徴とする請求項1記載の保護材。
【請求項11】
前記保護層は、
隅部が丸く加工された角丸部、
を備えることを特徴とする請求項1記載の保護材。
【請求項12】
前記粘着層は、
前記保護層が設けられる側と反対側面に積層され、前記粘着層を保護するための剥離シート、
を備えることを特徴とする請求項1記載の保護材。
【請求項13】
前記剥離シートは、
前記剥離シートで保護する前記粘着層の領域を複数に分割する剥離シート分割線、
を備えることを特徴とする請求項12記載の保護材。
【請求項14】
前記剥離シート分割線によって複数に分割された前記剥離シートは、
分割された前記剥離シートを剥離する順番が記された剥離順表示部、
を備えることを特徴とする請求項13記載の保護材。
【請求項15】
前記接触面は、
前記接触面の領域を複数に分割された前記保護層が貼り付けられること、
を特徴とする請求項12記載の保護材。
【請求項16】
前記複数に分割された前記保護層、前記粘着層、または前記剥離シートは、
前記接触面に貼り付ける順番が記された貼付順表示部、
を備えることを特徴とする請求項15記載の保護材。
【請求項17】
接触体との接触から、人、動物、または、これらに装着される装着物である被保護体を保護する保護方法において、
あらかじめ前記被保護体における前記接触体が接触する接触面のうち、少なくとも一部を被覆する形状で保護層が形成される工程と、
前記保護層の一方側面に設けられた粘着層を介して、前記接触面を被覆して前記保護層を貼付する工程と、
を備えることを特徴とする保護方法。
【請求項18】
接触体との接触から、人、動物、または、これらに装着される装着物である被保護体を保護する保護材の製造方法において、
あらかじめ前記被保護体における前記接触体が接触する接触面のうち、少なくとも一部を被覆する形状で形成された保護層を形成する工程と、
前記接触面を被覆して前記保護層を貼付する粘着層を、前記保護層の一方側面に設ける工程と、
を備えることを特徴とする保護材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護材、保護方法、および保護材の製造方法に関し、特に接触体との接触から、人、動物、または、これらに装着される装着物である被保護体を保護する保護材、保護方法、および保護材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、火傷、擦り傷、切り傷、汚れ、化学物質や病原体との接触などから手を保護するためにグローブが使用されている。このグローブは、用途によって様々な素材や形状が選択されている。
【0003】
たとえば、野球で使用されるグローブは、野球ボールを捕球する際の衝撃を緩和し、手に与えるダメージを緩和するために、牛革で手を覆うように形成された野球グローブを手に装着している。
【0004】
さらに、野球ボールを捕球したときに、捕球時の衝撃をさらに緩和して捕球しやすくした野球グローブが開発されている(たとえば、特許文献1参照)。具体的には、特許文献1で開示された野球グローブは、捕球面側の牛革の内側に配置する緩衝用パッドを有する野球グローブであって、緩衝用パッドの構造は、低反発弾性材料の両側にカバー部材を配置したものである。
【0005】
さらに、緩衝用パッドは、捕球面側の少なくともポケット部に配置されており、低反発弾性材料は、ウレタンまたはアクリルで形成されている。また低反発弾性材料の両側または手が当たる側に配置されたカバー部材は牛革であることを特徴とした野球グローブである。
【0006】
このほか、ゴルフで使用されるゴルフグローブでは、グリップ時の滑りを防止するために、皮革や合成皮革で手を覆うように形成されたゴルフグローブを手に装着している。さらに手首を固定する機能を備えたゴルフグローブが開発されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0007】
具体的に、特許文献2で開示されたゴルフグローブは、ゴルフショット、特にアプローチショットやパターショット時に、手首が動いてしまうことを防止するために、ゴルフプレイの、ショットの時に手首のムダな動きを抑制するために例えば折りたたみができる蝶つがいの様な板状なものに、バネ材を取付けゴルフグローブの甲の部分に装着し、バネ材の反発によってショット時の手首の動きを固定でき、また使用後は折りたたんで、板状の接点に取付けた脱装着固定具でコンパクトに密着固定できるようにしたものである。
【0008】
また、グローブは釣りにも使用される。釣りでは、餌をつけたり、糸を結んだりなど手の指を用いた細かい作業が必要なため、皮革や合成皮革で手を覆うように形成されたグローブの指が挿入される部位の全部又は指先部分がカットされた釣り用のグローブが使用される。
【0009】
また釣り用のグローブには、針を収容するための釣り針収容部を備えている場合があり、その釣り針収容部からの釣り針の取り出し及び釣り針収容部のカバーのめくり上げが容易な釣り用グローブが開発されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0010】
具体的に、特許文献3で開示された釣り用グローブは、手に装着されるグローブ本体と、グローブ本体の表面に取り付け固定される釣り針収容部とを備えている。釣り針収容部は、グローブ本体の表面から立ち上がるように斜めに延びる傾斜面を有する台座部と、台座部の傾斜面上に形成されて磁力により釣り針を吸着保持する磁性領域とを備えている。
【0011】
これにより、釣り針収容部が、グローブ本体の表面から立ち上がるように延びる立ち上がり延在面を有する台座部を備え、この台座部の立ち上がり延在面の面上に形成される磁性領域によって釣り針が磁力により吸着保持されるようになっているため、立ち上がり延在面上の釣り針に指を押し当ててそのまま立ち上がり延在面に沿って釣り針を立ち上がり延在面の端部まで手前に引き寄せるように滑らせるだけで釣り針をスムーズに釣り針収容部から取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実用新案登録第3218737号公報
【特許文献2】特開2006-158913号公報
【特許文献3】特開2020-111842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上記のような手を覆うことで手を保護するグローブは、グローブ内で雑菌が繁殖してしまうため、清潔にグローブを使用できない問題があった。
具体的には、スポーツでグローブを使用する場合、また皮革や合成皮革などの素材で手を覆うため、手から出る汗などでグローブ内が蒸れる。さらにグローブ内に挿入する体についた雑菌が増殖してしまうことで異臭が発生する問題も生じる。
【0014】
これらの問題は、たとえばグローブの使用後にグローブ全体を洗浄することで、グローブ内で繁殖する雑菌を抑制することが考えられるが、たとえば野球グローブなどの革製品は水に弱く、洗浄を繰り返すことでグローブが傷んでしまう。このため使用のたびに洗浄を行うことは難しい。
【0015】
また、グローブを装着することによって生じる問題は、日焼け跡が残ってしまう問題もある。具体的には、グローブは皮革や布などで手全体、または手の一部を覆う構造であるため、その部分だけ紫外線を通しにくい。つまり、屋外でグローブを装着したままでいると、装着したグローブ以外の部分が日焼けしてしまい、グローブを外したあとに日焼け跡が明確に残ってしまう問題がある。
【0016】
この問題は、たとえば装着したグローブ以外の露出した部分に日焼け止めクリームを塗ることで、日焼け跡が残さなくする方法が考えられる。ところが、露出した部分に日焼け止めクリームを塗ることで、日焼け止めクリームがグローブに付着してしまう恐れがある。日焼け止めクリームがグローブに付着してしまうと、グローブの変色や劣化につながる問題がある。
【0017】
また、たとえば指先まで覆われたグローブを両手に装着する場合、日焼け止めクリームを塗るための指先がグローブで覆われているため、グローブに日焼け止めクリームが付着することなく露出した部分に日焼け止めクリームを塗ることは難しい。
【0018】
また、あらかじめグローブを装着するまえの肌に日焼け止めクリームを塗り、その上にグローブを装着することで、日焼け跡を残さなくする方法が考えられる。しかし、日焼け止めクリームを塗った上にグローブを装着することで、手からグローブが滑脱する恐れがある。
【0019】
本来グローブは、グリップ時の滑りを防止するために装着するものである。ところが、グローブと手との間に日焼け止めクリームが介在することで、グローブが手から滑脱する恐れがある。
【0020】
グローブが手から滑脱してしまうと、グローブを介して握っていたバットや、ゴルフクラブ、釣り竿なども一緒に手から離れてしまうことになり非常に危険である。このため、日焼け止めクリームを塗った上にグローブを装着することは好ましくない。
【0021】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、清潔な状態で使用でき、装着後に生じる日焼け跡の発生を防止できる保護材、保護方法、および保護材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明では上記問題を解決するために、接触体との接触から、人、動物、または、これらに装着される装着物である被保護体を保護する保護材において、あらかじめ前記被保護体における前記接触体が接触する接触面のうち、少なくとも一部を被覆する形状で形成された保護層と、前記保護層の一方側面に設けられ、前記接触面を被覆して前記保護層を貼付する粘着層とを備えることを特徴とする保護材が提供される。
【0023】
これにより、あらかじめ被保護体における接触体が接触する接触面のうち、少なくとも一部を被覆する形状で保護層が形成され、保護層の一方側面に設けられた粘着層が、接触面を被覆して保護層を貼付する。
【0024】
また、本発明では、接触体との接触から、人、動物、または、これらに装着される装着物である被保護体を保護する保護方法において、あらかじめ前記被保護体における前記接触体が接触する接触面のうち、少なくとも一部を被覆する形状で保護層が形成される工程と、前記保護層の一方側面に設けられた粘着層を介して、前記接触面を被覆して前記保護層を貼付する工程とを備えることを特徴とする保護材が提供される。
【0025】
これにより、あらかじめ被保護体における接触体が接触する接触面のうち、少なくとも一部を被覆する形状で保護層が形成され、保護層の一方側面に設けられた粘着層が、接触面を被覆して保護層を貼付する。
【0026】
また、本発明では、接触体との接触から、人、動物、または、これらに装着される装着物である被保護体を保護する保護材の製造方法において、あらかじめ前記被保護体における前記接触体が接触する接触面のうち、少なくとも一部を被覆する形状で形成された保護層を形成する工程と、前記接触面を被覆して前記保護層を貼付する粘着層を、前記保護層の一方側面に設ける工程とを備えることを特徴とする保護材の製造方法が提供される。
【0027】
これにより、あらかじめ被保護体における接触体が接触する接触面のうち、少なくとも一部を被覆する形状で保護層が形成され、保護層の一方側面に設けられた粘着層が、接触面を被覆して保護層を貼付する。
【発明の効果】
【0028】
本発明の保護材、保護方法、および保護材の製造方法によれば、あらかじめ被保護体における接触体が接触する接触面のうち、少なくとも一部を被覆する形状で保護層が形成され、保護層の一方側面に設けられた粘着層が、接触面を被覆して保護層を貼付するので、被保護体の全部を被覆して保護することがない。つまり、保護される被保護体が蒸れたり、雑菌が増殖したりすることがないため、清潔に使用することができる。
【0029】
また、接触体が接触する接触面のうち、少なくとも一部に粘着層を介して保護層が貼付されるため、保護層が日焼けの原因となる紫外線があたらない場所に貼付される。このため、日焼け跡が残ることがない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】第1の実施の形態に係る保護材を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る保護材が被保護体に貼り付けられる前の状態を示す正面図および背面図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
【
図4】第2の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
【
図5】第3の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
【
図6】第4の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
【
図7】第5の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
【
図8】第6の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
【
図9】第7の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
【
図10】第8の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
【
図11】第9の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
【
図12】第10の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
【
図13】第11の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る保護材を示す図である。
【0032】
本実施の形態では、保護材100を釣り用グローブと同様の効果を備える保護材として説明するが、形状や素材、使用される場所によって、野球グローブ、ゴルフ用のグローブ、絶縁グローブなど様々な形態と同様の効果を備える保護材として使用することができる。
【0033】
図1に示すように保護材100は、たとえば釣りで使用される釣り竿である図示しない接触体Cと、接触体Cである釣り竿を握ることで接触する被保護体200である人の手と、が接触することで生じる滑り、摩擦による手の損傷などから被保護体200を保護するための釣り用グローブと同様の効果を備える保護材である。
【0034】
保護材100は、保護層110、および粘着層120で構成されている。保護層110は、たとえば皮革や合成皮革で形成されて柔軟性と、素手で釣り竿を握ることよりも高い摩擦抵抗を有するグリップ性能を備えている。また保護層110は、被保護体200と接触体Cとが接する部分である接触面210、ここでは被保護体200である人手の内側面の形に合わせた形状をしている。
【0035】
保護層110の素材は、皮革や合成皮革に限定されるものではなく、保護材100で保護する場所によって、様々な素材を選択することができる。保護層110の例としては、
コットンなどの布、撥水性、防水性などの耐水性能を有する布、シリコン、ポリウレタン、絶縁体素材、蓄光素材などが挙げられる。
【0036】
また保護層110および粘着層120を、使い捨て可能な安価な素材を選択することで、保護材100を1回使い切りにすることができる。これにより、清潔性が向上される。また常に新しい保護材100で接触体Cと接触させることができるため、グリップ性能が劣化しない状態の保護材100で接触体Cと接触させることができる。
【0037】
たとえば雨天時で保護材100を使用する際や、汗によって保護材100が濡れたとしても、濡れたらすぐに保護材100を張り替えるだけで、真新しいグリップ性能を有する保護材100で接触体Cを握ることができる。また保護層110は、雨にぬれてもグリップ性能が劣化しないように、撥水性、防水性などの耐水性能を備えることもできる。
【0038】
なお、ここでは、釣り針の取り扱いがしやすいように、保護層110は、接触面210である人の手の内側面のうち、指先部分を除いた形状で形成されるが、指先まで保護する形状で保護層110を形成することもできる。
【0039】
保護層110の一方側面には、接触面210である手の内側面へ貼り付けるための粘着性を有した粘着層120が積層されている。この粘着層120を介して保護層110は接触面210である人の手の内側面に貼り付けられる。
【0040】
粘着層120は、保護材100を接触面210から剥離した際に、粘着層120が接触面210に残らない素材を用いることが好ましい。
また、たとえば貼り付け位置を調整するなど、保護材100を接触面210に数回貼り直した場合でも、保護層110が粘着層120または接触面210から剥離しないような粘着力を有し、再び貼り付けが可能な素材を用いて剥離自在にすることが好ましい。
【0041】
また、保護材100は保護層110を介して接触面210に長時間貼り付けられるため、肌のかぶれや、アレルギーによる皮膚の炎症が生じないように、肌への刺激を低減した低刺激性、またはアレルギー物質を低減した低アレルギー性を有する素材を用いることが好ましい。
【0042】
上記のように、保護材100は粘着層120を介して、接触面210と接触体Cとが接する部分、つまり接触面210である手の内側面に貼り付けられる。このため、釣り竿である接触体Cを手で握っても、接触面210である手の内側面と接触体Cとが直接することがない。すなわち、摩擦などによる接触面210である手の内側面の損傷を防止することができる。
【0043】
また、保護層110は、柔軟性とグリップ性能を有する皮革や合成皮革で形成されているため、手の動きに合わせて保護層110および粘着層120が柔軟に変形し、保護層110が有するグリップ性能により、釣り竿である接触体Cが手から滑り落ちてしまうことを防止することができる。
【0044】
このため保護層110および粘着層120の厚さは適宜調節することができるが、手の動きに合わせて保護層110および粘着層120が柔軟に変形できるような厚みで形成することが望ましい。
【0045】
また、保護層110および粘着層120の厚さを薄く形成しすぎると、耐久性が低下するため、耐久性を保持できる厚さで形成するか、または耐久性が高い素材で保護層110を形成することが望ましい。
【0046】
さらに、保護材100は粘着層120を介して、接触面210と接触体Cとが接する部分のみ、つまり接触面210である手の内側面のみに貼り付けられるため、日焼けの原因となる紫外線があたる手の外側面を覆うものがない。このため、手の外側面に日焼け跡が残らない。
【0047】
なお、保護材100は粘着層120を介して貼り付けられる接触面210である手の内側面は、接触体Cが接触するため、紫外線を浴びることが少ない。このため、保護材100が貼り付けられる接触面210である手の内側面が日焼けすることはない。
【0048】
また、接触面210である手の内側面はメラニン色素が少ないため、本実施の形態の保護材100のように、被保護体200のうち指先のみが露出していたとしても、露出した指先は日焼けしない。つまり日焼け跡が残る心配がない。
【0049】
さらに、保護層110は粘着層120を介して、接触面210と接触体Cとが接する部分のみ、つまり接触面210である手の内側面のみに貼り付けられるため、素手に近い感覚で手を保護することができ、かつ繊細なグリップ力を得ることができる。
【0050】
また、保護材100は、皮革や合成皮革などで形成された保護層110の一方側面に粘着層120が被覆されているだけなので、ハサミやカッターなどの切断加工手段を用いることで容易に加工できる。
【0051】
このため、利用者の手の大きさや形に合わせて自在に加工調整することができる。すなわち、接触面210である各利用者の手のひらの大きさや形状に合わせて細かく区分した各種サイズを用意する必要がないので、製造コストを抑えることができる。
【0052】
なお、保護層110および粘着層120は、貼り付けられた接触面210からの剥離を防止するために、すべての隅部に形成される角部に丸みをもたせる角丸加工を施すことができる。
【0053】
この角丸加工によって形成された角丸部が各隅部に形成されることで、保護層110および粘着層120を長時間使用しても、隅部から保護材100および粘着層120から剥離することなく接触面210を保護することができる。
【0054】
また、本実施の形態の保護材100では図示しないが、接触面210である手の内側面に貼り付けられた保護材100の通気性を向上させるために、保護層110および粘着層120に小さな通気孔を複数設けることができる。
【0055】
これにより、粘着層120を介して保護層110が貼り付けられた接触面210である手の内側面から、汗や熱気が発せられたとしても、通気孔を通じて汗や熱気が外気に放出される。このため、接触面210である手の内側面の蒸れや、汗などの水分によって粘着層120が接触面210から剥離してしまうことを防止することができる。
【0056】
図2は、第1の実施の形態に係る保護材が被保護体に貼り付けられる前の状態を示す正面図および背面図である。
図2に示すように、保護層110の一方側面には、接触面210である手の内側面へ貼り付けるための粘着性を有した粘着層120が積層されており、さらに粘着層120を被覆する剥離シート130が備えられている。
【0057】
剥離シート130は、たとえば透明なフィルムによって形成されており、粘着層120の全面を覆っている。また剥離シート130は、粘着層120から手指を使って容易に剥がすことができるようになっている。
【0058】
なお剥離シート130は、粘着層120から容易に剥がすことができるように、剥離シート130を複数に分割する剥離シート分割線131を剥離シート130の中央部付近に設けることができる。
【0059】
また剥離シート分割線131は、剥離シート130を複数に分割できればよく、剥離シート130の中央部付近以外にも、あらゆる方向またはあらゆる位置に設けることもできる。
【0060】
これにより、剥離シート分割線131に合わせて保護材100を折り曲げ、剥離シート分割線131の際が粘着層120から剥離し、その剥離した部分を手指で摘むことで、容易に粘着層120から剥離シート130を剥がすことができる。
【0061】
また剥離シート分割線131は、剥離シート130を複数に分割するような剥離シート分割線131を設けるだけでなく、分割された複数の剥離シート130のうち、一方側の剥離シート130の際を他方側の剥離シート130の際に重ねるように積層することもできる。
【0062】
このように隣り合う剥離シート130に、互いの剥離シート130の際が重なり合う部分を設けることで、上側から重ねられる剥離シート130の際には、粘着層120と粘着されない部分が形成される。この粘着層120と粘着されない部分を手指で摘むことで容易に粘着層120から剥離シート130を剥がすことができる。
【0063】
また複数に分割された剥離シート130には、たとえば保護材100を接触面210に貼り付けやすいように、剥離シート130を剥離する順番を番号で示す剥離順表示部132を備えることができる。
【0064】
たとえば
図2では、まず剥離順表示部132で「1」が示された剥離シート130から先に剥離し、剥離順表示部132で「2」が示された剥離シート130を残したまま保護材100の下側半分を接触面210に貼り付ける、などの指示を利用者に表示することができる。
【0065】
なお、本実施の形態では、剥離シート130が保護層110および粘着層120と同じ形状で形成される例で説明したが、粘着層120のすべてを被覆する形状であれば、矩形、円形など他の形状の剥離シート130で粘着層120を被覆することもできる。
【0066】
剥離シート130が被覆された粘着層120の反対側面には、保護層110が設けられている。保護層110のうち接触体Cと接触する側面には、たとえばチームのロゴやメーカーのマーク、スポンサーなどの広告表示などの装飾を彩ることで装飾性を有する装飾部111を設けることができる。
【0067】
なお、装飾部111は、あらかじめチームのロゴやメーカーのマーク、スポンサーなどの広告表示などの装飾が施された状態のものだけではなく、たとえば鉛筆やボールペン、サインペンなどで自在に絵や文字となる装飾が記載できるものであってもよい。さらに記載した装飾を消去できるものであってもよい。
【0068】
本実施の形態の保護材100は、釣り用のグローブとして説明しているが、たとえば保護層110に設ける装飾部111として、特定のスポーツチームのチームロゴなどを蓄光材などで表示する。これにより装飾部111が暗闇でも強調されて表示されるので、たとえば保護材100を応援グッズのひとつとして利用することもできる。
【0069】
図3は、第1の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
図3に示すように、被保護体200である人の手と接触体Cである釣り竿とが接する部分である接触面210に、保護材100が粘着層120を介して貼り付けられている。
【0070】
これにより、釣り竿を持つ人の手である被保護体200を保護することができる。また、保護層110のグリップ性能により、釣り竿である接触体Cが手から滑り落ちてしまうことを防止することができる。さらに保護材100は、接触体Cと被保護体200とが接触する接触面210に貼り付けられるため、日焼け跡が残る心配がない。
【0071】
なお、本実施の形態の保護材100は、釣り用のグローブとして説明しているが、素材を変更することで絶縁体グローブとしても使用することができる。
具体的には、絶縁性能を有する絶縁体素材、たとえばポリ塩化ビニール、フッ素樹脂、ポリエチレン、ゴムなどで保護層110の素材を形成することで、接触体Cが電気を帯びた場合にでも安全に接触体Cに触れることができる。
【0072】
保護層110の素材に絶縁体素材を採用した保護材100は、たとえば電気工事、電気自動車のメンテナンスなどの職種で使用される絶縁体グローブとしても使用することができる。
【0073】
なお、
図3の保護材100では、指先に保護材100が貼り付けられていないので、電気を帯びていない接触体Cで細かい作業を行う場合でも、指先の感覚を残したまま作業を行うことができる。また指先で電気を帯びた接触体Cに接触する場合は、別途指先の形状に合わせて形成された保護材100を指先に貼り付けることで、安全に作業を行うこともできる。
【0074】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の保護材は、保護層および粘着層の形状が異なる以外は、第1の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0075】
図4は、第1の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
本実施の形態の保護材100は、保護材100を接触面210である手の内側面全体に貼り付けたものである。具体的には、野球で使用される野球グローブと同様の効果を備える保護材である。
【0076】
図4に示すように、保護材100は、被保護体200である人の手と接触体Cである野球のボールとが接する部分である接触面210、つまり人の手の内側面に粘着層120を介して貼り付けられている。
【0077】
これにより、野球のボールを受ける人の手である被保護体200を保護することができる。また、保護材100が有する保護層110に、受けたボールの衝撃を吸収する低反発弾性材料のような耐衝撃性能を備えることができる。
【0078】
これにより捕球時の衝撃を緩和することができる。さらに保護材100は、接触体Cと被保護体200とが接触する接触面210に貼り付けられるため、日焼け跡が残る心配がない。
【0079】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態の保護材は、保護層および粘着層の形状が異なる以外は、第1~2の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1~2の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0080】
図5は、第3の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
図5に示すように、接触体Cと被保護体200とが接触する接触面210のうち、必要に応じて接触体Cと被保護体200とが直接接触する部分を残すようにして保護層110および粘着層120を形成することができる。
【0081】
たとえば
図5の例では、被保護体200である人の手と接触体Cとが接触する接触面210のうち、母指球と呼ばれる手の内側面で第一指の付け根付近の盛り上がった部分を除いた場所に保護材100が貼り付けられている。
【0082】
つまり、本実施の形態の保護材100は、被保護体200に貼り付けられる保護材100のうち、母指球付近に貼り付けられる部分に、保護材100を切り欠いた切り欠き部Kを形成するものである。
【0083】
このように、接触した感覚を残しておきたい部分や、摩擦によって手を損傷する可能性が少ない部分など、必要に応じて保護材100の一部に切り欠き部Kを形成することもできる。
【0084】
〔第4の実施の形態〕
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態の保護材は、保護層および粘着層の形状が異なる以外は、第1~3の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1~3の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0085】
図6は、第4の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
図6に示すように、接触体Cと被保護体200とが接触する接触面210に、複数に分割された保護材100を貼り付けることもできる。
【0086】
具体的に
図6では、被保護体200である手の内側面のうち7箇所に保護材100が貼り付けられるように、保護層110および粘着層120が7個の形状で分割されて形成されている。
【0087】
さらに具体的には、保護材100は、第一指~第五指の第一および第二関節を覆うように貼り付けられる保護層110A~110Eと、指尖球と呼ばれる第一指~第四指の付け根付近を覆うように貼り付けられる保護層110Fと、小指球と呼ばれる第五指の付け根から手首付近までの盛り上がった部分を覆うように貼り付けられる保護層110Fとで構成される。
【0088】
本実施の形態の保護材100のように、保護層110を接触面210の領域のうち、必要な場所に分割して貼り付けることで、次のような効果がある。
分割された保護材100を、接触面210の領域のうち必要な場所に貼り付けることで、たとえばスポーツ選手がバットやゴルフクラブを握ったときに、その分割された保護材100が貼り付けられた場所を意識することができる。
【0089】
これによって、被保護体200を保護するだけでなく、握り方の矯正、力の入れ加減の調整など、適切な姿勢や耐性に導くガイドとしての役割を担うことができる。また、接触面210に貼り付けられた保護材100を意識することで、集中力を向上させることができる。
【0090】
また複数に分割された保護層110には、それぞれ剥離シート130が積層されており、各剥離シート130には保護材100を接触面210に貼り付ける順番を番号で示す貼り付け順を示した番号を表示する貼付順表示部を備えることができる。
【0091】
これにより、利用者は、剥離シート130に表示された番号に従って剥離シート130を剥がすことで、保護材100を接触面210に貼り付けることができるので、貼り付け場所を間違えたりすることがない。また貼付順表示部は、複数に分割された保護層110
のうち、接触体Cと接触する側面、または粘着層120に設けることもできる。
【0092】
〔第5の実施の形態〕
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。本実施の形態の保護材は、保護層および粘着層の形状が異なる以外は、第1~4の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1~4の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0093】
図7は、第5の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
本実施の形態の保護材100は、第4の実施の形態の保護材100のように、複数に分割した保護材100の一部を連結したものである。
【0094】
具体的には、野球で使用される野球グローブと同様の効果を備える保護材である。第三指~第四指の第一および第二関節を覆うように貼り付けられる保護層110C~110Dを連結してV字型の保護層110が粘着層120を介して貼り付けられている。
【0095】
たとえばゴルフにおいては、両手にゴルフ用のグローブを装着してしまうと、強張りが生じてしまうため、一般に、右打ちのプレイヤーは、ゴルフ用のグローブを左手のみに装着し、利き手の右手には何も装着しない。
【0096】
そこで、グローブを装着しない右手の一部、具体的には、ゴルフクラブと接触する第一指、第三指~第四指の第一および第二関節に分割したグリップ性能を有する保護層110を貼り付けることで、ゴルフクラブに触れる手のすべての場所にグリップ性能を付与することができる。
【0097】
これにより、両手にゴルフ用のグローブを装着した際の強張りを抑制することができる。またゴルフクラブに触れる手のすべての場所に保護材100が介在されるのでグリップ性能を向上することができる。
【0098】
このとき、分割した保護層110のうち、保護層110C~110Dを下部で連結してV字状に形成することで、保護層110を被保護体200に貼り付ける工程が1回でよくなる。これにより、貼り付ける時間の短縮や、貼り付ける際の位置ヅレなどを防止することができる。
【0099】
〔第6の実施の形態〕
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。本実施の形態の保護材は、保護層および粘着層の形状が異なる以外は、第1~5の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1~5の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0100】
図8は、第6の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
図8に示すように、接触体Cと被保護体200とが接触する接触面210である指先の先端部分に、保護材100を複数に分割して貼り付けることもできる。
【0101】
本実施の形態の保護材100は、接触面210である指先の先端部分のみに保護材100が貼り付けられているので、たとえば第1の実施の形態の保護材100のように、指先の先端部分が開放された保護材100と組み合わせて使用することができる。
【0102】
具体的には、電気を帯びていない接触体Cで細かい作業を行う場合には、第1の実施の形態の保護材100のように、指先の先端部分が開放された保護材100を使用し、指先で電気を帯びた接触体Cに接触する場合は、本実施の形態の保護材100のように、指先の形状に合わせて形成された保護材100を指先に貼り付けることで、安全に電気を帯びた接触体Cに接触することができる。
他にも、保護層110に耐熱性能を備えることで、熱せられた接触体Cを指先で把持することができる。
【0103】
〔第7の実施の形態〕
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。本実施の形態の保護材は、保護層および粘着層の形状が異なる以外は、第1~6の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1~6の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0104】
図9は、第7の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
図9に示すように、接触体Cと被保護体200とが接触する接触面210である第三指の付け根、および第二指の先端から第一指の側面の一部にかけて、第一指および第二指の指間部を覆うように、保護材100を分割または連続して貼り付けることもできる。
【0105】
第1~6の実施の形態では、あらかじめ接触体Cと被保護体200とが接触する接触面210の形状に合わせて、保護層110および粘着層120を形成し、その接触面210の形状に合わせて形成された保護層110および粘着層120を、接触面210に貼り付ける例で説明した。
【0106】
本実施の形態の接触面210のように、接触面210が立体的である場合においては、所望の幅で形成した保護層110、粘着層120、および剥離シート130が積層された保護材100をテープのような帯状に巻いて保管しておき、接触面210の形状に合わせて、テープのような帯状に巻かれた保護材100を取り出して切り取り、接触面210の形状に合わせて貼り付けることもできる。
【0107】
〔第8の実施の形態〕
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。本実施の形態の保護材は、保護材によって保護される被保護体が異なる以外は、第1~7の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1~7の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0108】
図10は、第8の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
本実施の形態の保護材100は、保護材100を接触面210である人の足の裏側面全体に貼り付けたものである。
【0109】
図10に示すように、保護材100は、被保護体200である人の足の裏と接触体C、たとえばサーフィンに使用されるサーフボードとが接する部分である接触面210に粘着層120を介して貼り付けられている。
【0110】
これにより、サーフボード上に足で立った際に、サーフボードから足の裏側が滑って滑落してしまう危険性を低減することができる。また他にも、海で海底に足が接触したとしても、足の裏側面全体に保護材100が貼り付けられているため、海底の岩や貝殻などを足で踏んで怪我をすることがない。
【0111】
この他、保護材100は、被保護体200である人の足の裏、または人が装着しているシューズと、接触体Cたとえば地面や陸上トラックとが接する部分である接触面210に粘着層120を介して貼り付けることもできる。これにより、地面や陸上トラックとのグリップ性能が増加するので、陸上競技の競技能力を高めることができる。
【0112】
また、保護材100は、被保護体200である人の足の裏と、接触体Cたとえばプールや川などの底面とが接する部分である接触面210に粘着層120を介して貼り付けることもできる。これにより、プールの底面のように滑りやすい場所でも、滑ることなく水中ウォーキングを行うことができる。また川の底面にある小石や、切り立った石の上を、滑ることなく歩くことができる。また、小石や、切り立った石などを足で分で怪我をすることがない。
【0113】
〔第9の実施の形態〕
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。本実施の形態の保護材は、保護材によって保護される被保護体が異なる以外は、第1~8の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1~8の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0114】
図11は、第9の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
図11に示すように、接触体Cと被保護体200とが接触する接触面210に保護材100を複数に分割して貼り付けることもできる。
【0115】
具体的に
図11では、被保護体200である足の裏側面のうち8箇所に保護材100が貼り付けられるように、保護層110および粘着層120が8個の形状で分割されて形成されている。
【0116】
さらに具体的に保護材100は、第一指~第五指を覆うように貼り付けられる保護層110H~110Lと、指尖球と呼ばれる第一指~第四指の付け根付近を覆うように貼り付けられる保護層110F、および母指球と呼ばれる足の裏側面で第一指の付け根付近の盛り上がった部分を覆うように貼り付けられる保護材100Mと、足の裏側面の外側部分を覆うように貼り付けられる保護層110Nと、足の裏の踵部分を覆うように貼り付けられる保護層110Oとで構成される。
【0117】
〔第10の実施の形態〕
次に、本発明の第10の実施の形態について説明する。本実施の形態の保護材は、保護材によって保護される被保護体が異なる以外は、第1~9の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1~8の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0118】
図12は、第10の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
本実施の形態の保護材100は、保護材100を接触面210である動物の足の裏側面全体に貼り付けたものである。
【0119】
具体的に本実施の形態の保護材100は、たとえば犬や猫などの動物である被保護体200が、図示しない接触体Cである地面やアスファルトの上を歩くときに生じる滑りや、怪我、火傷から被保護体200を保護するために、接触面210である動物の足の裏側面に保護材100が貼り付けられる。
【0120】
保護材100は、被保護体200である動物の足と接触体C、たとえば地面やアスファルトなどとが接する部分である接触面210に、粘着層120を介した保護層110が貼り付けられている。
【0121】
夏場では、熱を吸収しやすい黒いアスファルトの表面温度は、60度を超えることがある。このため、ペットを散歩する際、夏場のアスファルトの上を歩かせると、ペットの足の裏を火傷させてしまう恐れがある。すなわち気温が高い日中はペットの散歩をさせることができない問題があった。
【0122】
また冬のアスファルトはとても冷たく、アスファルトの表面が凍結してしまうこともある。このため、寒い冬にアスファルトの上を歩かせると、ペットの足の裏が凍傷になってしまう恐れがあった。
【0123】
さらにペットを散歩に連れて行ったあとには、足の裏を洗浄する手間があった。近年ではペットを住居人と一緒に室内で生活させる人も多い。この場合、散歩を終えて室内にペットを入れる際には、足の裏をきれいに洗浄しなくては室内が汚れてしまう問題があった。
【0124】
そこで、本実施の形態の保護材100では、保護層110に高熱または低温に対する耐熱性能を備えることで、夏場のアスファルトの高温や、冬場のアスファルトの低温から、ペットの足である被保護体200を保護することができる。これにより、季節や時間帯を気にすることなくペットを散歩に連れて行くことができる。
【0125】
また、粘着層120を介して貼り付けられた保護層110を取り外すことで、散歩時に汚れてしまった保護層110を取り外すことができる。つまり汚れていない足の裏を露出することができるので、散歩のたびに足の裏を洗う必要がなくなる。
【0126】
さらに、保護層110にグリップ性能を備えることもできる。これにより、ペットが室内のフローリングや、屋外の屋根の上などを歩く際に、滑って転倒してしまうことを防止することができる。
【0127】
また、本実施の形態の保護材100の保護層110を絶縁体素材で形成することもできる。この絶縁体素材で形成した保護層110を、たとえば、蹄鉄をはめている為に地面から伝達する電流に反応しやすいことで、致死電流が人間のそれの半分以下だと言われる馬の足裏に粘着層120を介して貼り付ける。これにより、馬の感電死を防止することができる。
【0128】
〔第11の実施の形態〕
次に、本発明の第11の実施の形態について説明する。本実施の形態の保護材は、保護材によって保護される被保護体、形状が異なる以外は、第1~10の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1~10の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0129】
図13は、第11の実施の形態に係る保護材を被保護体に貼り付けた状態を示す正面図である。
図13に示すように、接触体Cと被保護体200とが接触する接触面210に保護材100を複数に分割して貼り付けることもできる。
【0130】
具体的に
図13では、被保護体200である動物の足の裏側面のうち5箇所に保護材100が貼り付けられるように、保護層110および粘着層120が5個の形状に分割されて形成されている。
【0131】
さらに具体的に保護材100は、各指球または各跳球を覆うように貼り付けられる保護層110P~110Sと、掌球または足底球を覆うように貼り付けられる保護層110Tとで構成される。
【0132】
このように、本実施の形態の保護材100では、動物の肉球である指球または各跳球、および掌球または足底球の部分のみに保護層110が粘着層120を介して貼り付けられるので、貼り付けられる面積が接触面210の最小限に抑えられる。このため、保護材100が貼り付けられる動物の不快感を低減させることができる。
【0133】
なお、第1~11の実施の形態の保護材100は、被保護体200として人や動物を例にして説明したが、被保護体200は、人や動物が装着する装着物であってもよい。具体的には、保護材100を人や動物が装着する靴やヒール、ブーツなどである被保護体200の靴底に貼り付けることで、靴底の摩耗を防止したり、靴底が滑ってしまったりすることを防止することができる。
【符号の説明】
【0134】
100 保護材
110 保護層
111 装飾部
120 粘着層
130 剥離シート
131 剥離シート分割線
132 剥離順表示部
200 被保護体
210 接触面
K 切り欠き部