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  • 特開-施錠装置および建具 図1
  • 特開-施錠装置および建具 図2
  • 特開-施錠装置および建具 図3A
  • 特開-施錠装置および建具 図3B
  • 特開-施錠装置および建具 図4
  • 特開-施錠装置および建具 図5
  • 特開-施錠装置および建具 図6
  • 特開-施錠装置および建具 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051130
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】施錠装置および建具
(51)【国際特許分類】
   E05C 3/04 20060101AFI20220324BHJP
   E05B 65/08 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
E05C3/04 C
E05B65/08 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157436
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カバー部材の開閉が容易な施錠装置を提供すること。
【解決手段】施錠装置は、固定部51において建具に固定される台座と、台座に対して回転可能に取り付けられ、回転操作によって建具を施解錠可能な操作部と、台座の少なくとも一端側に、台座に対してスライド移動可能に取り付けられるとともに、前記スライド移動によって、台座の少なくとも固定部51を覆う閉状態と、台座が露出する開状態と、を切り替え可能に構成されるカバー部材40を有する施錠装置であって、前記閉状態においては、カバー部材40は台座の端面部に設けられた被係合部55と係合することで前記閉状態を保持し、前記開状態においては、カバー部材40は台座の側面部に設けられた溝係合部53と係合することで前記開状態を保持する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部において建具に固定される台座と、
前記台座に対して回転可能に取り付けられ、回転操作によって前記建具を施解錠可能な操作部と、
前記台座の少なくとも一端側に、前記台座に対してスライド移動可能に取り付けられるとともに、前記スライド移動によって、前記台座の少なくとも前記固定部を覆う閉状態と、前記台座が露出する開状態と、を切り替え可能に構成されるカバー部材を有する施錠装置であって、
前記閉状態においては、前記カバー部材は前記台座の端面部に設けられた被係合部と係合することで閉状態を保持し、
前記開状態においては、前記カバー部材は前記台座の側面部に設けられた被係合部と係合することで開状態を保持する、施錠装置。
【請求項2】
前記台座の側面部と、前記カバー部材の内面には、前記カバー部材が前記開状態において
互いに係合する係合部をそれぞれ有する、請求項1に記載の施錠装置。
【請求項3】
前記台座の側面部と、前記カバー部材の内面との間に空間を有する、請求項1または2に記載の施錠装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の施錠装置を備える、建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、施錠装置および建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窓や戸等の建具に固定された台座部分を介したハンドルの回転操作により、建具の施錠および解錠が可能な、施錠装置を備える建具が使用されている。クレセント錠やカムラッチハンドルなどの施錠装置は、台座部分が建具にビス等によって固定される構成が一般的である(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の施錠装置は、ビスの露出を防ぎ意匠性を向上させるため、台座本体とは別にビス部分を覆う2つのビスカバーを有する。
【0003】
また台座に対してスライド可能に取り付けられたビスカバーをスライド移動することによりビスを覆い隠すビスカバーを有する施錠装置が知られている。例えば、台座の側面に溝部が形成され、ビスカバーに前記溝部と係合する係合部が形成され、前記係合部が前記溝に沿ってスライド移動することで、ビスカバーを開閉可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-28114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の施錠装置において、閉状態からビスカバーを開ける際には、ビスカバー側面を挟んで、引っ張るようにスライドさせることでビスカバーを開けることができる。しかし、閉状態においてビスカバーを保持するための係合部が台座の側面に形成されているため、カバー側面を強くつまむと係合部が引っかかり、ビスカバーを開く妨げとなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、固定部において建具に固定される台座と、前記台座に対して回転可能に取り付けられ、回転操作によって前記建具を施解錠可能な操作部と、前記台座の少なくとも一端側に、前記台座に対してスライド移動可能に取り付けられるとともに、前記スライド移動によって、前記台座の少なくとも前記固定部を覆う閉状態と、前記台座が露出する開状態と、を切り替え可能に構成されるカバー部材を有する施錠装置であって、前記閉状態においては、カバー部材は台座の端面部に設けられた被係合部と係合することで前記閉状態を保持し、前記開状態においては、カバー部材は台座の側面部に設けられた係合部と係合することで前記開状態を保持する、施錠装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】建具に取り付けられた施錠装置を示す図である。
図2】施錠装置の正面図である。
図3A】カバー部材の外面斜視図である。
図3B】カバー部材の内面斜視図である。
図4】カバー部材取付前の台座を示す図である。
図5】カバー部材開状態の施錠装置を示す図である。
図6】閉状態におけるカバー部材と台座の様子を示す図である。
図7】開状態におけるカバー部材と台座の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態の施錠装置2は、窓や戸等の建具1を構成する2枚の障子11,12の召合わせ框に取り付けられ、建具を施解錠可能に構成される。図2に示すように施錠装置2は、回転操作により建具1を施解錠するための操作部3と、台座5全体を覆う台座カバー4と、建具1に固定される台座5と、台座5と操作部3を連結する連結部6と、操作部3とともに建具1を施解錠するためのクレセント受け7を有している。図1において、施錠装置2の操作部3、台座カバー4および台座5は一方の障子11の召合わせ框の側面に、クレセント受け7は他方の障子12の召合わせ框の正面に固定されている。図1および図2において、台座5は操作部3および台座カバー4に覆われて露出しない。
【0009】
操作部3は、操作ハンドル31と、クレセント受け7と係合して建具1を施錠するクレセント33と、操作ハンドル31およびクレセント33の回転を禁止するサブロック34およびロック機構35と、を有する。操作部3は、図1に示す状態から回転軸部61(後述)を軸に、右回りに180°回転操作可能である。操作部3は、建具1の施解錠操作や開閉操作に伴って荷重が繰り返し載荷されるため、高い強度を有することが好ましい。操作部3は例えば、ガラス繊維を含んだナイロンや、金属部品によって構成されることが好ましい。
【0010】
クレセント33は図2に示すような円弧状の形状を有する。クレセント受け7は障子12の正面側に取り付けられ、クレセント33と係合する係合部を有する。本実施形態において建具1は引き違い式の障子である。障子を閉めた状態で操作部3を図1に示す回転角度とすることで、クレセント33がクレセント受け7に係合して建具1を左右方向に移動できないように拘束し、障子が開かないよう施錠する。
【0011】
本実施形態の施錠装置2の台座カバー4は、2つのカバー部材40で構成される。カバー部材40を構成する材質は特に制限されない。カバー部材40は例えば樹脂等で構成されることができるほか、結露によって発生した水滴との接触が想定されることから、耐水性を有することが好ましい。2つのカバー部材40は図3Aおよび図3Bに示すように、上面部41と、側面部42と、端面部43と、によって略直方体の四面を構成する形状を有し、内部に台座5の約半分を収容して覆うことができる。図1および図2に示すように、2つのカバー部材40は突き合わされるようにして、略矩形状の台座5を半分ずつ覆うように構成される。
【0012】
すなわち2つのカバー部材40は、合わせて前記略直方体の五面で、一面が障子11に固定された台座5全体を覆うように構成される。これにより、図2に示すように建具1の正面視および側面視において台座5はユーザに視認されることがなく、カバー部材40のみが露出する。そのため、経年劣化によってカバー部材40が変色しても台座5との色の違いが現われることがなく、施錠装置2の意匠性が向上する。
【0013】
本実施形態においてカバー部材40が台座5全体を覆うとは、建具1の正面視および側面視において台座5が視認されない程度に覆われていればよい。建具1の正面視とは、図1においてサブロック34を有する方向から建具1を見ることを表す。建具1の側面視とは、図1において操作ハンドル31を有する方向から建具1を見ることを表す。
【0014】
本実施形態においては、2つのカバー部材40同士は台座の中心側において突き合わされており、継ぎ目部分を有する。当該継ぎ目は、建具1の正面視および側面視において操作部3に遮蔽されて露出しない。すなわち、建具1の正面視において、2つのカバー部材40同士の継ぎ目はサブロック34に遮蔽されて視認されず、建具1の側面視において、2つのカバー部材40同士の継ぎ目は操作ハンドル31やクレセント33等に遮蔽されて視認されない。これにより、施錠装置2の意匠性が向上する。
【0015】
2つのカバー部材40同士は、必ずしも直接突き合わされていなくともよい。2つのカバー部材40同士の間に隙間があり台座5が一部露出していたとしても、施錠装置2の正面視ではサブロック34で、側面視では操作ハンドル31やクレセント33等で台座5が隠されていれば、台座5の一部は視認されないためである。
【0016】
さらに施錠装置2の障子12側の面については、台座5の一部が露出していてもよい。建具1の正面視および側面視において、裏面において露出する台座5の一部は視認されないためである。
【0017】
2つのカバー部材40は、操作部3と同じ材質や色調で構成されていてもよい。外観が統一され、意匠性が向上するためである。さらに、クレセント33やサブロック34も同一の色調で構成されていてもよい。
【0018】
カバー部材40はさらに、側面部42の台座5を覆う側の面に形成される突起状の開係合部44と、端面部43の台座5を覆う側の面に形成される突起状の閉係合部45を有する。開係合部44は、図4および図5に示すように、台座5の溝部52に係合するように組み付けられる。
【0019】
カバー部材40は溝部52に沿ってスライド開閉が可能である。すなわち、カバー部材40のスライド開閉の際、開係合部44が台座5の溝係合部53と係合することで、カバー部材40が開状態で保持される。開状態とは、図5に示すような台座5が露出する状態であり、閉状態とは、図2に示すような台座5全体が覆われた状態である。前記カバー部材40の閉係合部45は、閉状態において台座5の被係合部55と係合し、閉状態を保持する。
【0020】
カバー部材40は、台座5に取り付けられて閉じた状態において、連結部6の回転軸部61が挿入される凹部46を有する。これにより、台座5を回転軸部61が位置する部分の側面まで覆うことができるため、施錠装置2の意匠性が向上する。
【0021】
台座5は、建具1にビス留め固定される金属製の裏板部材で構成される。台座5は、固定部51を介してビス留めされることで、建具1に固定される。台座5はさらに、カバー部材40を組み付けるための溝部52を有し、溝部52には溝係合部53が形成される。
【0022】
台座5はさらに、2つの固定部51の間に、台座5と操作部3を連結する連結部6を有する。連結部6は、回転軸部61と、台座5にかしめ固定され、回転軸部61を支持する支持部62と、操作ハンドル31が取り付けられるハンドル取付部63と、台座5の裏面に配置され、操作ハンドル31の回転角度を制限するストッパー64(不図示)と、を有して構成される。
【0023】
すなわち、略矩形状のハンドル取付部63が操作ハンドル31と噛み合うことで、操作ハンドル31の回転操作を回転軸部61に伝えることができる。ストッパー64についても同様に、例えば略矩形状を有する回転軸部61の台座側端が、略矩形状の孔部を有するストッパー64と噛み合い、回転軸部61の回転に対応してストッパー64が回転する。回転したストッパー64の一部が台座5と衝突することで、それ以上の回転が制限され、操作ハンドル31の回転範囲が制限される。
【0024】
ロック機構35は、サブロック34の操作によって作用し、図4に示す略矩形状のハンドル取付部63の回転を制限する。これにより、操作ハンドル31の回転操作をロックし、小さな子供等が操作ハンドル31を回転させて建具1を施解錠してしまうことを防止する。
【0025】
図6に示すように、カバー部材40が台座5を覆う閉状態となっている場合には、カバー部材40の閉係合部45が台座5の被係合部55と嵌合することで、カバー部材40が保持されている。開係合部44は、閉状態においては台座5と係合していない。
【0026】
図6に示す閉状態から、カバー部材40の両側面部42をつまんで紙面右側に引っ張ることで、カバー部材40を台座5の溝部52に対してスライド移動して、台座5が露出する開状態とする。閉係合部45は、当該引っ張る操作によって被係合部55との係合が外れるように構成される。これにより、カバー部材40は自由に開閉可能となる。
【0027】
図7に示すように、カバー部材40の開係合部44は、開状態においては台座5の溝係合部53と係合して保持される。これにより、開状態においてもカバーを完全に取り外す必要がないため、カバー部材40を手で持ち続けることなくビスを開け閉めすることができ、クレセント33とクレセント受け7との係合の調整作業を行うことができる。
【0028】
上述したように、カバー部材40の開係合部44は、閉状態においては台座5と係合していない。閉状態においてカバー部材40を保持するための閉係合部45は端面部43に形成されており、側面部42には形成されていない。したがって、カバー側面をつまんでも開係合部44は閉状態における係合部と干渉することがなく、カバー部材40の開閉操作が容易になる。
【0029】
また、カバー部材40の側面部42と、台座5の溝部52の間には、開係合部44がスライド移動するための空間が存在する。これにより、カバー部材40の側面部42を強くつまんだ際に閉係合部45が内側に曲がるため、被係合部55との係合が外れやすくなり、カバー部材40の開閉操作が容易になる。
【0030】
以上、本実施形態の施錠装置2について説明した。施錠装置2によれば、以下の効果が奏される。
【0031】
施錠装置2は、固定部51において建具1に固定される台座5と、台座5に対して回転可能に取り付けられ、回転操作によって建具1を施解錠可能な操作部3と、台座5の少なくとも一端側に、台座5に対してスライド移動可能に取り付けられるとともに、前記スライド移動によって、台座5の少なくとも固定部51を覆う閉状態と、台座5が露出する開状態と、を切り替え可能に構成されるカバー部材40を有する施錠装置2であって、前記閉状態においては、カバー部材40は台座5の端面部に設けられた被係合部55と係合することで前記閉状態を保持し、前記開状態においては、カバー部材40は台座5の側面部に設けられた溝係合部53と係合することで前記開状態を保持する。これにより、閉状態においてカバー部材40を保持するための閉係合部45は端面部43に形成されており、側面部42には形成されていない。したがって、カバー側面をつまんでも開係合部44は閉状態における係合部と干渉することがなく、カバー部材40の開閉操作が容易になる。
【0032】
前記台座の側面部と、前記カバー部材の内面には、前記カバー部材が開状態において
互いに係合する係合部をそれぞれ有する。これにより、開状態においてもカバーを完全に取り外す必要がないため、カバー部材40を手で持ち続けることなくビスを開け閉めすることができ、クレセント33とクレセント受け7との係合の調整作業を行うことができる。
【0033】
前記台座の側面部と、前記カバー部材の内面との間に空間を有する。これにより、開状態においてもカバーを完全に取り外す必要がない。カバー部材40の側面部42を強くつまんだ際に閉係合部45が内側に曲がるため、被係合部55との係合が外れやすくなり、カバー部材40の開閉操作が容易になる。
【0034】
建具1は、施錠装置2を有する。これにより、カバー部材40の開閉が容易に行え、クレセント33とクレセント受け7との係合の調整作業を容易に行える建具1を提供できる
【0035】
本実施形態の施錠装置は上記の態様に限定されない。例えば、上記実施形態のようなクレセント錠ではなく、グレモン錠やカムラッチハンドルに適用されてもよい。また本開示の施錠装置は、例えば勝手口ドアやテラスドアなど、様々な建具に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1…建具、2…施錠装置、3…操作部、31…操作ハンドル、33…クレセント、34…サブロック、35…ロック機構、4…台座カバー、40…カバー部材、41…上面部、42…側面部、43…端面部、44…開係合部、45…閉係合部、5…台座、51…固定部、52…溝部、53…溝係合部、55…被係合部、6…連結部、61…回転軸部、62…支持部、63…ハンドル取付部、64…ストッパー、7…クレセント受け
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7