(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051149
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】血管画像撮像装置および本人認証システム
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20220324BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20220324BHJP
A61B 5/1171 20160101ALI20220324BHJP
G06F 21/32 20130101ALI20220324BHJP
【FI】
G06T1/00 400H
G06T7/00 510E
G06T1/00 420A
A61B5/1171 100
G06F21/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157468
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】野々村 洋
(72)【発明者】
【氏名】長坂 晃朗
(72)【発明者】
【氏名】三浦 直人
(72)【発明者】
【氏名】松田 友輔
(72)【発明者】
【氏名】中崎 渓一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 恭一
【テーマコード(参考)】
4C038
5B043
5B047
【Fターム(参考)】
4C038VA07
4C038VB13
4C038VC01
4C038VC05
5B043AA04
5B043BA03
5B043CA10
5B043DA05
5B043EA13
5B043FA03
5B043GA05
5B047AA23
5B047BA02
5B047BB04
5B047BC01
5B047BC07
5B047BC09
5B047BC12
(57)【要約】
【課題】小型で精度の良い本人認証を行う指静脈認証装置、本人認証装置を提供する。
【解決手段】対面する位置に配置され、指の左右から光を照射する光源と、下方から指の静脈パターンを撮影するための撮像部と、光源が撮像画像に写り込まないよう光源の下部に配置した遮光板であって、切り欠けを有した遮光板と、備え、撮像部は、指とともに切り欠けで背景と指輪郭を含む画像を撮影する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対面する位置に配置され、指の左右から光を照射する光源と、
下方から指の静脈パターンを撮影するための撮像部と、
前記光源が撮像画像に写り込まないよう前記光源の下部に配置した遮光板であって、切り欠けを有した前記遮光板と、備え、
前記撮像部は、前記指とともに前記切り欠けで背景と指輪郭を含む画像を撮影する、
ことを特徴とする血管画像撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の血管画像撮像装置であって、
前記光源を保護しつつ前記光源の光を透過させる透明カバーであって、前記光源の上部まで曲面で覆われた前記透明カバー、
を備えること特徴とする血管画像撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の血管画像撮像装置であって、
少なくとも前記指の付け根に配置した指置台を有し、
前記指置台は、当該指置台の左右部分の、提示された前記指の厚みの中央の高さで、前記指の付け根方向に延長したガイドを有する、
ことを特徴とする血管画像撮像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の血管画像撮像装置であって、
前記撮像部が一定以上近接して撮影した指の画像を、前記指の長さ方向に縮めることで、位置合わせのための探索範囲を小さくする制御部、
を備えることを特徴とする血管画像撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の血管画像撮像装置であって、
前記撮像部が指を広く撮影するための曲面ミラーと、
前記指と前記曲面ミラーとの間に配置され、前記光源から照射された所定波長域の光を通すとともに装置内部へのほこりの侵入を防ぐための光学フィルタとを備え、
前記光学フィルタには、前記光学フィルタを透過して前記曲面ミラーに反射した前記光がさらに前記光学フィルタにより前記曲面ミラーに反射した輝点を抑えるための反射防止コーティングが施されている、
ことを特徴とする血管画像撮像装置。
【請求項6】
請求項1の血管画像撮像装置であって、
前記撮像部が指を広く撮影するための曲面ミラーと、
前記指と前記曲面ミラーとの間に配置され、前記光源から照射された所定波長域の光を通すとともに装置内部へのほこりの侵入を防ぐための光学フィルタとを備え、
前記撮像部が撮影した指の画像のうち、前記曲面ミラーに反射した前記光がさらに前記光学フィルタにより前記曲面ミラーに反射した輝点を除いた部分を除外した部分を認証対象領域とする制御部、
を備えることを特徴とする血管画像撮像装置。
【請求項7】
下方から指の静脈パターンを撮影するための撮像部と、
装置下部を開閉式として、前記撮像部により前記指の静脈パターンが撮影されたときに前記装置下部を開放する制御部と、
を備えることを特徴とする血管画像撮像装置。
【請求項8】
暗号化された登録血管パターン、または暗号化された照合血管パターンを表示するための表示部、
を備えることを特徴とする血管画像撮像装置。
【請求項9】
請求項1に記載の血管画像撮像装置により撮影した指静脈画像を用いて本人認証を行う制御部、
を備えることを特徴とする本人認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の生体情報、特に指に近赤外線を照射して静脈血管の画像を撮像する撮影装置、および静脈血管画像の血管パターンが個人ごとに異なることを利用して個人を識別する血管画像撮像装置および本人認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高精度な本人認証が可能な生体認証装置の一つに血管のパターンを利用したものがある。これは血管パターンが個人ごとに異なることを利用し、例えば指に光を当てることで浮かび上がる血管パターンを、予め登録しておいた指血管パターンの情報と比べることで本人認証を行う装置である。特許文献1には、指血管のパターンを用いて本人認証を行う個人認証装置について、指を当てる部分の上に覆いのない開放型で、指の左右から光を照射して個人認証を行う方式の装置の例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-093385号公報
【特許文献2】特開2017-175244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような、手をかざす部分の上に構成物の無い開放型の指血管パターンを用いて本人認証を行う個人認証装置を、小型化して組み込み型にすることで、限られたスペースに内蔵することができる。また開放型であることから指を提示する部分の装置筐体の突出を抑えられ、大きな建物だけでなく小さなビルのエントランスや一般住宅の玄関ドア、ホテルの客室ドアなどに組み込むことが可能になり、利用範囲を拡大することができる。
【0005】
しかしながら、認証装置を小型化した場合、装置全体のサイズが小さくなることで、構成要素を望ましい位置に配置できない場合がある。例えば、認証対象である指を撮影する画像に光源が輝点として写り込まないよう、光源を適切な位置に配置することが望ましいが、装置サイズの制約によりそのような位置に配置できない場合がある。このような場合は画像に輝点が写り込み、指が光っているのか輝点が光っているのかの区別がつかないことで、正確な指輪郭取得の妨げとなる場合がある。正確な指輪郭の情報は、指幅を求めて指幅が一定になるように画像を拡大縮小する正規化を行うことで、指と撮像装置の間の距離の違いによる撮像画像の指の大きさのバラつきを揃え、本人認証の精度を高めることができる。光源の輝点は、特許文献1に記載がある遮光板を配置することで光源が画像に写り込まないように隠すことができる。しかし、装置が小型であるため指が遮光板に触れやすく、指が触れた場合に、指に照射された光が内部散乱により指内を伝わり、遮光板の光源とは反対側の面まで回り込んで再び指の外に出てきた光によって遮光板自体が反射により指の輪郭付近と同程度の明るさで光ってしまい、指輪郭位置が正確に取得できない場合がある。
【0006】
光源自体の他に、光源の周辺部位が光を反射して輝点として撮影画像に写り込み、指が光っているのか輝点が光っているのかの区別がつかないことで、正確な指輪郭取得の妨げとなる場合がある。
【0007】
装置が小型であることから、指を装置に沿ってかざすように促す指先側と指付け根側にある指置台の間隔が短く、これにより指を斜めにかざし易くなり、撮像画像に指輪郭の一部が写らないことで、認証精度が低下する場合がある。
【0008】
装置を小型にするために指と撮像装置が近接した装置構成で撮影するため、必然的に広角撮影となり、認証を行うのに十分な解像度を指の幅方向で確保しようとすると、撮影画像は指の長さ方向にも広い範囲で得られる。認証精度を高めるためには、取得した指のできるだけ広い範囲を情報として利用することが望ましいが、このような画像から血管パターンを抽出した場合、指の長さ方向に細長く幅方向の狭いパターンとなり、照合時において、指をかざす位置のずれ幅を調べるための探索範囲が広くなることで処理時間が長くなる場合がある。
【0009】
指の輪郭まで広範囲に撮影するためには一定程度の長さの光路長が必要である。小型化された装置構成では、必要な長さの光路長を確保するため、ミラーを使用して光路を折り曲げることで一方向だけに筐体が大きくならないように工夫することが行われる。さらに小型化を進めると、各装置構成要素間の距離が近づき、例えば、ミラーによる反射光が、撮像部と指の間に設置した光学フィルタに反射して撮像部に届き、撮像画像の指と重なる位置に輝点が写り込み、鮮明な血管画像撮影の妨げとなる場合がある。構成要素間の距離に余裕があれば、輝点の写り込みを抑制するような配置にすることもできるが、小型化を優先すると両立が難しい。特に、指輪郭が写る部分まで撮像範囲に含めることと光路長を小型の筐体に収めることを両立するためには、曲面ミラーを利用することが考えられるが、その場合、撮像範囲に対する構成要素間の近接の度合いがさらに強くなり、上記輝点の影響が顕著になる。
【0010】
ユーザーが認証装置を利用して本人認証を行うときに、装置に接触せず認証したい場合がある。指を装置の上にかざす血管画像撮像装置の場合、接触しないで認証する場合、指を静止して装置の上で保持する必要があるが、静止させようとすると指の震えなどにより左右に動いてしまい、ブレのある画像となってしまう。ブレを抑えて画像を撮影するには、指を静止させるより、むしろ、指をゆっくりと下ろすように動かし続けるほうが容易であるが、指を下ろし続けることでいずれ装置に触れてしまう。もちろん、指が装置に触れることのないように、指を下ろし続ける先には装置の構成部品を配置しないようにすることも考えられる。しかしながら、指の静脈を鮮明に撮影するためには、撮像部がこの場合の指の進行方向に配置されていることが望ましく、また、何もないと認証に最適な位置がわからず、精度面で悪影響が出る恐れがある。
【0011】
特許文献2には、生体情報を暗号化して生体情報を秘匿したまま本人認証を行い、情報漏洩に対して安全に生体情報を利用する記述が記載されている。しかし、ユーザーによっては生体情報が暗号化して登録されていることを認知できず、生体情報を登録することに心理的な抵抗感を持つ場合がある。
【0012】
本発明は、小型の個人の特定を行う認証装置において、認証精度を高める、または接触せず本人認証を行う、または生体情報の登録に対する心理的な抵抗を低くすることが可能な血管画像撮像装置および本人認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様にかかる血管画像撮像装置は、対面する位置に配置され、指の左右から光を照射する光源と、下方から指の静脈パターンを撮影するための撮像部と、前記光源が撮像画像に写り込まないよう前記光源の下部に配置した遮光板であって、切り欠けを有した前記遮光板と、備え、前記撮像部は、前記指とともに前記切り欠けで背景と指輪郭を含む画像を撮影する、ことを特徴とする血管画像撮像装置として構成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、小型の個人の特定を行う認証装置において、認証精度を高める、または接触せず本人認証を行う、または生体情報の登録に対する心理的な抵抗を低くする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明を実施する切り欠けのある遮光板を備えた血管画像撮像装置の一例を斜め上方から見た図
【
図2】本発明を実施する切り欠けのある遮光板を備えた血管画像撮像装置の一例を上方から見た図
【
図3】本発明を実施する切り欠けのある遮光板を備えた血管画像撮像装置に、切り欠けの上の光源保護カバーに反射防止板を設置した例の図
【
図4】光源格納部の光源の周辺部位から反射が発生する場合の図
【
図5】本発明を実施する光源の周辺部位からの反射を抑えた光源格納部の図
【
図6】本発明を実施する指を装置に沿って提示するようガイドを設けた血管画像撮像装置の一例を斜め上方から見た図
【
図7】指を装置に沿って提示するようガイドを設けていない血管画像撮像装置の一例を上方から見た図
【
図8】本発明を実施する指を装置に沿って提示するようガイドを設けた血管画像撮像装置の一例を上方から見た図
【
図9】指に近接して撮影する場合と近接しない場合の指の幅方向の撮像範囲を示す図
【
図10】指の長さ方向に長い血管パターンによる照合時に位置ずれを合わせるための探索範囲を示す図
【
図11】本発明を実施する、指の長さ方向に縮小した静脈パターンにより、照合時の位置ずれ合わせのための探索範囲を小さくした図
【
図12】本発明を実施する、曲面ミラーからの反射による輝点を抑える血管画像撮像装置の指付け根方向から見た断面図
【
図13】本発明を実施する、曲面ミラーからの反射による輝点の影響を受ける部分を除外した血管パターンの例
【
図14】本発明を実施する、開閉式の下部を設けて非接触による撮影を行う血管画像撮像装置を斜め上方から見た図
【
図15】本発明を実施する、開閉式の下部を設けて非接触による撮影を行う血管画像撮像装置を指付け根側から見た断面図(装置下部が閉じた状態)
【
図16】本発明を実施する、開閉式の下部を設けて非接触による撮影を行う血管画像撮像装置を指付け根側から見た断面図(装置下部が開いた状態)
【
図17】本発明を実施する、暗号化した生体情報をユーザーに示すための表示装置を備えた血管画像撮像装置を斜め上方から見た図
【
図18】本発明を実施する、血管画像撮像装置を利用した本人認証装置のシステム構成図の例
【
図19】
図18の本人認証装置により本人認証を行うためのフローチャートの例
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0017】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0018】
以下の説明では、「テーブル」、「リスト」等の表現にて各種情報を説明することがあるが、各種情報は、これら以外のデータ構造で表現されていてもよい。データ構造に依存しないことを示すために「XXテーブル」、「XXリスト」等を「XX情報」と呼ぶことがある。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いた場合、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0019】
同一あるいは同様な機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0020】
また、以下の説明では、プログラムを実行して行う処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit))によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶資源(例えばメモリ)および/またはインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら行うため、処理の主体がプロセッサとされてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit))を含んでいてもよい。
【0021】
プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0022】
また、以下では、血管画像撮像装置を用いて本人認証装置を構成する場合を例示しているが、CPUやメモリ、光学フィルタをはじめとする本人認証装置を構成する各部を血管画像撮像装置に保持し、1つのシステムとして構成してもよい。また、以下に示す実施例において、光源の制御、血管パターンの生成、装置の下部の開閉、生体情報の暗号化や可視化をはじめとする処理や各部の制御は、上記血管画像撮像装置や本人認証装置のCPUが実行することにより実現できる。
【実施例0023】
本実施例は、光源が撮像画像に写り込まないための遮光板を備えた小型の血管画像撮像装置において、遮光板に指の輪郭位置を正確に取得するための切り欠けを設けた場合の構成例である。
【0024】
図1は斜め上方からの図である。血管画像撮像装置101は、指に近赤外線を照射する複数の光源104、105、106、107と、光源を保護するための透明な保護カバー102、103と、指先側の指置台108と、指付け根側の指置台109と、光源が撮像画像に写り込まないように隠すための遮光板110、111を備える。遮光板110、111は、正確な指輪郭位置を取得するための切り欠け112、113を備える。切り欠けは遮光板が撮像画像に写り込むことを防ぐ機能を損なわないような位置に設けることが望ましい。
図1の場合、指先側の左右と、指付け根側の左右に光源があるため、いずれの光源からも離れた位置となる、遮光板の指先側と指付け根側の中央に設けるのが良い。また、切り欠けの縁の部分が指の輪郭線と誤認される可能性を低減するため、指の長さ方向に対して直角もしくは指の輪郭線と区別できる程度に直角に近い角度に設けるのが良い。
【0025】
図2は
図1の血管画像撮像装置を上方から見た図である。遮光板110、111に切り欠け112、113を設けることで、指が遮光板に触れることが無い部分ができるため、ここから正確な指輪郭情報を得ることができる。具体的には、切り欠けの部分は必ず指ではなく背景が写るため、画像中の切り欠け部分を起点として画像中央付近まで各画素の輝度走査を行ったとき、指が画像内に写っている場合は、指の輪郭線は、切り欠け部分より画像中央寄りに必ず存在し、また、輪郭線付近で背景との輝度差が生じるため、この差を検出することで正確に輪郭を求めることができる。切り欠けがない場合には、背景であると確定できる部分がないため、特に指が遮光板と密着している場合に、指の輪郭線と遮光板の境界線とが区別しにくくなり、指内の比較的輝度差の大きな部分を輪郭線と誤認する可能性がある。さらには、この切り欠け部分の輝度から背景の外光の強さを取得し、撮像装置の露光調整を行うこともできる。
【0026】
図3は、
図1の血管画像撮像装置において、光源の保護カバー102、103の、遮光板の切り欠けの上の部分に反射防止板301、302を設けた例である。切り欠け112、113があることで、装置の光源以外からの光である外光がある環境下で血管画像撮像装置を使用する場合、外光が保護カバー102、103に反射して切り欠けから装置に進入して撮像画像に輝点として写り込む場合がある。反射防止板301、302によりこのような光の反射を防ぐことができる。なお、反射防止板を設けるのではなく、保護カバーを指先側と指付け根側に分割して、切り欠けの上の部分を不透明にすることで反射を抑える、または保護カバーの切り欠けの上の部分の表面にシボ加工などの反射を抑える表面処理を行ってもよい。
【0027】
このように、実施例1では、対面する位置に配置され、指の左右から光を照射する光源(例えば、光源104~106)と、下方から指の静脈パターンを撮影するための撮像部(例えば、後述する撮像装置902や906、あるいは撮像手段1207や1505と同様の撮像部)と、上記光源が撮像画像に写り込まないよう上記光源の下部に配置した遮光板であって、切り欠けを有した遮光板(例えば、遮光板110、111)と、備え、上記撮像部は、上記指とともに上記切り欠けで背景と指輪郭を含む画像を撮影する。したがって、例えば、遮光板が光って正確な指輪郭が取得できない場合でも、遮光板に切り欠けを設けることで、遮光板に常に指に触れることなく指輪郭と背景が写る部分ができ、それを手がかりとして正確な指輪郭を取得することができる。
本実施例は、光源の周辺部分が光を反射して輝点として撮像画像に写り込むことを防ぐため、透明な保護カバー102、103を曲面化して光を反射する部位まで延長することで光を透過させ、反射による輝点を抑止した血管画像撮像装置の構成例である。
このように、実施例2では、光源(例えば、光源107)を保護しつつ上記光源の光を透過させる透明カバーであって、上記光源の上部まで曲面で覆われた透明カバー(例えば、保護カバー501)を備える。したがって、例えば、光源の周辺部分が光を反射して輝点として撮像画像に写り込む場合であっても、光を反射する部位を透明にすることで光を透過させ、反射による輝点を抑止することができる。