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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051180
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11582 20170101AFI20220324BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157519
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野島 和弘
(72)【発明者】
【氏名】柚木 幸平
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER22
5F083GA02
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA11
5F083LA16
5F083LA21
5F083MA06
5F083MA19
5F083MA20
5F083ZA28
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
(57)【要約】
【課題】 安定な構造を有する半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】 実施形態に係る半導体記憶装置は、複数の導電層と複数の絶縁層とが第1の方向に交互に積層された構造を有する積層体10と、それぞれが積層体内を第1の方向に延伸する半導体層を含む複数のピラー構造20と、それぞれが積層体内を第1の方向及び第2の方向に延伸し、複数のピラー構造を第3の方向で複数のグループに区画する複数の区画構造30と、積層体の上端から積層体の上端と下端との間の位置まで延伸する中間構造40とを備え、区画構造は、少なくとも2つの第1の部分31a及び少なくとも1つの第2の部分31bを含む第1の区画構造31を含み、第1の部分は、積層体の上端から下端まで延伸し、第2の部分は、積層体の上端から積層体の上端と下端との間の位置まで延伸している。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電層と複数の絶縁層とが第1の方向に交互に積層された構造を有する積層体と、
それぞれが前記積層体内を前記第1の方向に延伸する半導体層を含む複数のピラー構造と、
それぞれが前記積層体内を前記第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向に延伸し、前記複数のピラー構造を前記第1及び第2の方向と交差する第3の方向で複数のグループに区画する複数の区画構造と、
前記第3の方向で隣り合った前記区画構造間に設けられ、前記積層体の上端から前記積層体の上端と下端との間の位置まで延伸する中間構造と、
を備える半導体記憶装置であって、
前記区画構造は、前記第2の方向に配列された少なくとも2つの第1の部分及び少なくとも1つの第2の部分を含む第1の区画構造を含み、
前記第1の部分は、前記積層体の上端から下端まで延伸し、
前記第2の部分は、前記第2の方向で隣り合った前記第1の部分間に位置し、前記積層体の上端から前記積層体の上端と下端との間の位置まで延伸している
ことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2の部分の下端の前記第1の方向の位置は、前記中間構造の下端の前記第1の方向の位置に対応している
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
複数の導電層と複数の絶縁層とが第1の方向に交互に積層された構造を有する積層体と、
それぞれが前記積層体内を前記第1の方向に延伸する半導体層を含む複数のピラー構造と、
それぞれが前記積層体内を前記第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向に延伸し、前記複数のピラー構造を前記第1及び第2の方向と交差する第3の方向で複数のグループに区画する複数の区画構造と、
を備える半導体記憶装置であって、
前記区画構造は、前記第2の方向に配列された少なくとも2つの第1の部分及び少なくとも1つの第2の部分を含む第1の区画構造を含み、
前記第1の部分は、前記積層体の上端から下端まで延伸する導電部分を含み、
前記第2の部分は、前記第2の方向で隣り合った前記第1の部分間に位置し、前記積層体の上端から前記積層体の上端と下端との間の位置まで延伸し、
前記第2の方向における前記少なくとも2つの第1の部分のトータルの長さは、前記第2の方向における前記少なくとも1つの第2の部分のトータルの長さよりも長い
ことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項4】
複数の導電層と複数の絶縁層とが第1の方向に交互に積層された構造を有する積層体と、
それぞれが前記積層体内を前記第1の方向に延伸する半導体層を含む複数のピラー構造と、
それぞれが前記積層体内を前記第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向に延伸し、前記複数のピラー構造を前記第1及び第2の方向と交差する第3の方向で複数のグループに区画する複数の区画構造と、
を備える半導体記憶装置であって、
前記区画構造は、前記第2の方向に配列された少なくとも2つの第1の部分及び少なくとも1つの第2の部分を含む第1の区画構造を含み、
前記第1の部分は、前記積層体の上端から下端まで延伸する導電部分を含み、
前記第2の部分は、前記第2の方向で隣り合った前記第1の部分間に位置し、前記積層体の上端から前記積層体の上端と下端との間の位置まで延伸し、
前記第1の区画構造の上方に設けられ、前記第2の方向で隣り合った第1の部分どうしを接続する配線をさらに備える
ことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項5】
前記区画構造は、第2の区画構造をさらに含み、
前記第2の区画構造の全体は、前記積層体の上端から下端まで延伸する導電部分を含む
ことを特徴とする請求項1、3又は4のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に複数のメモリセルが積層された3次元型の不揮発性メモリでは、構造の安定化が重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0194345号明細書
【特許文献2】特開2019-067825号公報
【特許文献3】特開2019-149445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
安定な構造を有する半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体記憶装置は、複数の導電層と複数の絶縁層とが第1の方向に交互に積層された構造を有する積層体と、それぞれが前記積層体内を前記第1の方向に延伸する半導体層を含む複数のピラー構造と、それぞれが前記積層体内を前記第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向に延伸し、前記複数のピラー構造を前記第1及び第2の方向と交差する第3の方向で複数のグループに区画する複数の区画構造と、前記第3の方向で隣り合った前記区画構造間に設けられ、前記積層体の上端から前記積層体の上端と下端との間の位置まで延伸する中間構造と、を備える半導体記憶装置であって、前記区画構造は、前記第2の方向に配列された少なくとも2つの第1の部分及び少なくとも1つの第2の部分を含む第1の区画構造を含み、前記第1の部分は、前記積層体の上端から下端まで延伸し、前記第2の部分は、前記第2の方向で隣り合った前記第1の部分間に位置し、前記積層体の上端から前記積層体の上端と下端との間の位置まで延伸している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】実施形態に係る半導体記憶装置の基本的な構成の平面パターンを模式的に示した図である。
図1B】実施形態に係る半導体記憶装置の基本的な構成を模式的に示した断面図である。
図1C】実施形態に係る半導体記憶装置の基本的な構成を模式的に示した断面図である。
図2】実施形態に係る半導体記憶装置の基本的な構成を模式的に示した斜視図である。
図3A】実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセル部の詳細な構成を模式的に示した断面図である。
図3B】実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセル部の詳細な構成を模式的に示した断面図である。
図4A】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した平面パターン図である。
図4B】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図5A】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した平面パターン図である。
図5B】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図6A】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した平面パターン図である。
図6B】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図7A】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した平面パターン図である。
図7B】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図8A】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した平面パターン図である。
図8B】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図9A】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した平面パターン図である。
図9B】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図10】実施形態に係る半導体記憶装置において、シャント用の配線パターンを変更したときの製造方法の一部を模式的に示した平面パターン図である。
図11】実施形態に係る半導体記憶装置において、シャント用の配線パターンを変更したときの製造方法の一部を模式的に示した平面パターン図である。
図12】実施形態に係る半導体記憶装置において、シャント用の配線に着目した構成を模式的に示した平面パターン図である。
図13A】実施形態に係る半導体記憶装置の平面パターンを模式的に示した図である。
図13B】実施形態に係る半導体記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。
図13C】実施形態に係る半導体記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。
図13D】実施形態に係る半導体記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。
図14A】実施形態に係る半導体記憶装置の第1の変形例の平面パターンを模式的に示した図である。
図14B】実施形態に係る半導体記憶装置の第1の変形例の構成を模式的に示した断面図である。
図14C】実施形態に係る半導体記憶装置の第1の変形例の構成を模式的に示した断面図である。
図14D】実施形態に係る半導体記憶装置の第1の変形例の構成を模式的に示した断面図である。
図15A】実施形態に係る半導体記憶装置の第2の変形例の平面パターンを模式的に示した図である。
図15B】実施形態に係る半導体記憶装置の第2の変形例の構成を模式的に示した断面図である。
図16A】実施形態に係る半導体記憶装置の第3の変形例の平面パターンを模式的に示した図である。
図16B】実施形態に係る半導体記憶装置の第3の変形例の構成を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0008】
まず、実施形態に係る半導体記憶装置(NAND型不揮発性半導体記憶装置)の基本的な構成について説明する。
【0009】
図1Aは、本実施形態に係る半導体記憶装置の基本的な構成の平面パターンを模式的に示した図である。図1B及び図1Cはそれぞれ、図1AのB-B線及びC-C線に沿った断面図である。図2は、本実施形態に係る半導体記憶装置の構成の一部を模式的に示した斜視図である。ただし、図2では、図面を見やすくするため、導電層11は描かれていない。なお、各図に示したX方向(第3の方向)、Y方向(第2の方向)及びZ方向(第1の方向)は、互いに直交する方向である。
【0010】
本実施形態に係る半導体記憶装置は、積層体10と、複数のピラー構造20と、複数の区画構造30と、複数の中間構造40とを備えている。
【0011】
積層体10は、複数の導電層11と複数の絶縁層12とがZ方向に交互に積層された構造を有している。なお、実際には、多数の導電層11及び絶縁層12が積層されており、導電層11及び絶縁層12の積層数は図に示した数よりも多い。導電層11はタングステン(W)等の金属材料で形成され、絶縁層12はシリコン酸化物等の絶縁材料で形成されている。導電層11及び絶縁層12はいずれも、Z方向に垂直なXY平面に平行に設けられている。導電層11は、電極層、具体的にはワード線又は選択ゲート線としての機能を有している。絶縁層12は、隣り合った導電層11間を絶縁する機能を有している。
【0012】
ピラー構造20のそれぞれは、積層体10内をZ方向に延伸し、Z方向に延伸する半導体層及び半導体層の側面を囲む電荷蓄積層を含み、ワード線と交差する部分においてそれぞれメモリセルを形成し、選択ゲート線と交差する部分においてそれぞれ選択トランジスタを形成する。
【0013】
図3A及び図3Bはそれぞれ、導電層11とピラー構造20とによって構成されるメモリセル部の詳細な構成を模式的に示した断面図である。図3AはZ方向に対して平行な方向の断面図であり、図3BはZ方向に対して垂直な方向の断面図である。
【0014】
ピラー構造20は、半導体層21、トンネル絶縁層22、電荷蓄積層23、ブロック絶縁層24及びコア絶縁層25を含んでいる。半導体層21、トンネル絶縁層22、電荷蓄積層23及びブロック絶縁層24はいずれも円筒状の形状を有し、コア絶縁層25は円柱状の形状を有している。より具体的には、半導体層21がコア絶縁層25の側面を囲み、トンネル絶縁層22が半導体層21の側面を囲み、電荷蓄積層23がトンネル絶縁層22の側面を囲み、ブロック絶縁層24が電荷蓄積層23の側面を囲んでいる。例えば、半導体層21はシリコンで形成され、トンネル絶縁層22はシリコン酸化物で形成され、電荷蓄積層23はシリコン窒化物で形成され、ブロック絶縁層24はシリコン酸化物で形成され、コア絶縁層25はシリコン酸化物で形成されている。
【0015】
ピラー構造20を囲む導電層11がゲート電極として機能し、導電層11のゲート電極として機能する部分及びピラー構造20の導電層21で囲まれた部分によってメモリセルが構成される。
【0016】
メモリセル部の上層側及び下層側にはそれぞれ、メモリセル部を選択するための上部選択トランジスタ部(ドレイン側選択トランジスタ部)及び下部選択トランジスタ部(ソース側選択トランジスタ部)が設けられている。これらの選択トランジスタ部の基本的な構成も、図3A及び図3Bに示したメモリセル部の構成と同様である。選択トランジスタ部では、トンネル絶縁層22、電荷蓄積層23及びブロック絶縁層24の全部がゲート絶縁層として機能する。
【0017】
区画構造30のそれぞれは、積層体10内をZ方向及びY方向に延伸しており、複数の区画構造30によってピラー構造20がX方向で複数のグループに区画されている。区画構造30はX方向に略等間隔で配列され、隣り合った区画構造30間に配置されているピラー構造20の列数は一定である。本実施形態では、隣り合った区画構造30間には、後述するダミーピラー構造(中間構造40に対応する位置に配置されたピラー構造)を含めて9列のピラー構造20が配置されている。
【0018】
区画構造30は、第1の区画構造31及び第2の区画構造32を含んでいる。第1の区画構造31及び第2の区画構造32は、後述する第1の区画構造31の第2の部分31bを除いて、後述するリプレース処理に用いられるスリットを所定の材料で埋めることで形成される。第1の区画構造31及び第2の区画構造32は、X方向で交互に設けられている。
【0019】
第1の区画構造31は、以下に述べるように、第1の部分31a及び第2の部分31bを含んでいる。
【0020】
なお、図1Aの例では、1つの第1の区画構造31について2つの第1の部分31a及び1つの第2の部分31bが示されているが、1つの第1の区画構造31に複数の第1の部分31a及び複数の第2の部分31bがY方向で交互に設けられていてもよい。一般的には、第1の区画構造31は、Y方向に配列された少なくとも2つの第1の部分31a及び少なくとも1つの第2の部分31bを含んでおり、第2の部分31bはY方向で隣り合った第1の部分31a間に位置している。また、Y方向において、少なくとも2つの第1の部分31aのトータルの長さは、少なくとも1つの第2の部分31bのトータルの長さよりも長い。
【0021】
第1の部分31aは、図1Cに示すように、積層体10の上端から下端までZ方向に延伸している。したがって、第1の部分31aが設けられている領域では、積層体10は上端から下端までX方向で分断されている。第1の部分31aは、導電部分31a1及び絶縁部分31a2を含んでいる。導電部分31a1は積層体10の上端から下端まで延伸しており、導電部分31a1の下端は半導体基板100の共通ソース領域に接続されている。絶縁部分31a2は導電部分31a1と積層体10との間に介在しており、絶縁部分31a2によって導電部分31a1と積層体10の導電層11とが電気的に分離されている。
【0022】
第2の部分31bは、第1の部分31aに隣接して設けられている。具体的には、第2の部分31bは、第1の部分31aの間に設けられている。第2の部分31bは、図1Bに示すように、積層体10の上端から積層体10の上端と下端との間の所定位置までZ方向に延伸しており、所定位置まで延伸する絶縁部分で形成されている。したがって、第2の部分31bが設けられている領域では、積層体10は上端から所定位置までX方向で分断されている。具体的には、第2の部分31bは、所定数の導電層11(図に示した例では3つの導電層11)をX方向で分断している。これらの所定数の導電層11は、上部選択トランジスタ部のゲート電極として用いられるものである。
【0023】
第2の区画構造32は、図1B及び図1Cに示すように、その全体が積層体10の上端から下端までZ方向に延伸した構造を有している。したがって、第2の区画構造32が設けられている領域では、積層体10は上端から下端までX方向で分断されている。第2の区画構造32は、導電部分32a1及び絶縁部分32a2を含んでいる。導電部分32a1は積層体10の上端から下端まで延伸しており、導電部分32a1の下端は半導体基板100の共通ソース領域に接続されている。絶縁部分32a2は導電部分32a1と積層体10との間に介在しており、絶縁部分32a2によって導電部分32a1と積層体10の導電層11とが電気的に分離されている。
【0024】
中間構造40は、X方向で隣り合った区画構造30間に設けられている。より具体的には、中間構造40は、X方向で隣り合った区画構造30の略中央の位置に設けられており、X方向で隣り合った第1の区画構造31と第2の区画構造32との間に設けられている。また、中間構造40は、メモリセルとして機能しないダミーピラー構造20dの列に対応する位置に設けられている。すなわち、中間構造40は、ピラー構造20の中央の列に対応する位置に設けられている。
【0025】
中間構造40は、積層体10内をZ方向及びY方向に延伸している。具体的には、中間構造40は、積層体10の上端から積層体10の上端と下端との間の所定位置まで絶縁部分がZ方向に延伸した構造を有している。したがって、中間構造40が設けられている領域では、積層体10は上端から所定位置までX方向で分断されている。具体的には、中間構造40は、所定数の導電層11(図に示した例では3つの導電層11)をX方向で分断している。これらの所定数の導電層11は、上部選択トランジスタ部のゲート電極として用いられるものである。
【0026】
中間構造40は、第1の区画構造31の第2の部分31bと共通の工程で形成される。したがって、中間構造40の材料は、第1の区画構造31の第2の部分31bの材料と同じである。また、中間構造40の上端及び下端の高さ方向(Z方向)の位置は、第1の区画構造31の第2の部分31bの高さ方向(Z方向)の位置に対応しており、中間構造40が分断する導電層11の数は、第1の区画構造31の第2の部分31bが分断する導電層11の数と同じである。
【0027】
また、中間構造40のライン幅(X方向の幅)は、第1の区画構造31の第2の部分31bのライン幅と略同じであり、第1の区画構造31の第1の部分31aのライン幅及び第2の区画構造32のライン幅よりも小さい。したがって、中間構造40の占有面積(X方向での占有面積)は、第1の区画構造31及び第2の区画構造32の占有面積(X方向での占有面積)よりも小さい。
【0028】
なお、第1の区画構造31(第1の部分31a、第2の部分31b)、第2の区画構造32及び中間構造40の上端の高さ方向(Z方向)の位置は、図1B及び図1Cの例のように揃っていてもよいし、すべてが揃っていなくてもよい。例えば、第1の区画構造31の第1の部分31aと第2の部分31bとの上端の位置は、互いに揃っていてもいなくてもよい。同様に、第1の区画構造31の第2の部分31bや中間構造40と第2の区画構造32との上端の位置は、互いに揃っていてもいなくてもよい。
【0029】
次に、上述した区画構造30及び中間構造40の機能について説明する。
【0030】
すでに述べたように、区画構造30は、基本的には、後述するリプレース処理に用いられるスリットを所定の材料で埋めることで形成されたものである。スリットは、リプレース処理において犠牲層の除去及び導電層11の形成に用いられる。
【0031】
また、すでに述べたように、第1の区画構造31と第2の区画構造32とは、X方向で交互に設けられている。X方向で連続する第2の区画構造32、第1の区画構造31及び第2の区画構造32によって1つのブロックが構成される。同一ブロック内では、積層体10に含まれる各導電層11は、第1の区画構造31の第2の部分31b及び中間構造40によってX方向で分断される導電層11を除き、電気的に共通に接続されている。すなわち、同一ブロック内ではこれらの各導電層11は、共通のワード線又は下部選択トランジスタ部のゲート電極として用いられる下部選択ゲート線として機能する。
【0032】
中間構造40は、X方向で隣り合った区画構造30の略中央の位置に設けられている。すなわち、中間構造40は、第1の区画構造31と第2の区画構造32の略中央の位置に設けられている。したがって、本実施形態では、中間構造40と第1の区画構造31との間に配置されたピラー構造20の列数と、中間構造40と第2の区画構造32との間に配置されたピラー構造20の列数とは同じ(4列)である。
【0033】
また、すでに述べたように、中間構造40は、所定数の導電層11(図に示した例では3つの導電層11)をX方向で分断している。すでに述べたように、所定数の導電層11(3つの導電層11)は、上部選択トランジスタ部のゲート電極として用いられる。したがって、互いに隣り合った中間構造40と区画構造30との間では、同一層内に位置する選択トランジスタのゲート電極は共通であり、所定数の導電層11は共通の上部選択ゲート線として機能する。
【0034】
以上のように、本実施形態では、第1の区画構造31が、積層体10の上端から積層体10の上端と下端との間の所定位置まで延伸する第2の部分31bを含んでいる。これにより、安定な構造を有する半導体記憶装置を得ることができる。特に、後述するリプレース処理の際に、安定な構造を維持することが可能である。以下、説明を加える。
【0035】
すでに述べたように、区画構造30は、リプレース処理に用いられるスリットを所定の材料で埋めることで形成される。リプレース処理は、積層体10を形成する際に行われる処理である。具体的には、積層体10は、絶縁層と犠牲層とを交互に積層した後、スリットを通したエッチングによって犠牲層を除去して空隙を形成し、空隙を導電層で埋めることで形成される。したがって、空隙が形成された段階では、積層体10を構成する絶縁層12はピラー構造20で支えられているだけであり、不安定な状態である。
【0036】
本実施形態では、第1の区画構造31が、第1の部分31a及び第2の部分31bを含んでいる。第1の部分31aは、第2の区画構造32と同様に、積層体10の上端から下端まで延伸している。そのため、第1の部分31aに対応する領域では、リプレース処理の際にはスリットが形成されており、リプレース処理の際に効果的に機能する。第2の部分31bは、積層体10の上端から積層体10の上端と下端との間の所定位置まで延伸している。そのため、リプレース処理の際に第2の部分31bによって絶縁層12を支えることが可能であり、構造の安定性を向上させることができる。したがって、本実施形態の構造によれば、リプレース処理を妨げることなく、構造の安定性をはかることが可能である。
【0037】
また、本実施形態では、中間構造40のライン幅(X方向の幅)は、第1の区画構造31の第1の部分31aのライン幅及び第2の区画構造32のライン幅よりも小さく、中間構造40の占有面積(X方向での占有面積)は、第1の区画構造31及び第2の区画構造32の占有面積(X方向での占有面積)よりも小さい。仮に、中間構造40に第1の区画構造31の第1の部分31aのようなライン幅の広い部分を設けたとすると、中間構造40の占有面積は実質的にライン幅の広い部分によって規定され、セルアレイ領域の全体的な面積が増加してしまう。本実施形態では、中間構造40全体のライン幅が狭いため、セルアレイ領域の全体的な面積を低減させることが可能である。
【0038】
また、本実施形態では、導電部分31a1を含む第1の部分31aのY方向のトータルの長さが第2の部分31bのY方向のトータルの長さよりも長い。すでに述べたように、第1の部分31aの導電部分31a1は、積層体10の上端から下端まで延伸して半導体基板100の共通ソース領域に接続されている。したがって、第1の部分31aの長さを相対的に長くすることで、Y方向の抵抗を小さくすることができ、セルアレイ領域全体で見た場合のソース線抵抗を低減することが可能である。
【0039】
次に、本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を、図4A図9A(平面パターン図)及び図4B図9B(断面図)を参照して説明する。
【0040】
まず、図4A及び図4Bに示すように、半導体基板100上に複数の絶縁層12と複数の犠牲層13とがZ方向に交互に積層された積層膜10xを形成する。例えば、絶縁層12はシリコン酸化物で形成されており、犠牲層13はシリコン窒化物で形成されている。続いて、積層膜10xに、積層膜10xの上端から中間構造40の下端の高さ位置と対応する位置までスリットを形成し、このスリットを絶縁物(例えば、シリコン酸化物)で埋めて絶縁構造部51を形成する。絶縁構造部51は、第1の区画構造31、第2の区画構造32及び中間構造40に対応する平面位置に形成される。
【0041】
次に、図5A及び図5Bに示すように、積層膜10xにメモリホールを形成し、このメモリホール内にピラー構造20を形成する。ピラー構造20は、絶縁構造部51に対応する位置にも、ダミーピラー構造20dとして形成される。
【0042】
次に、図6A及び図6Bに示すように、全面に絶縁層61を形成した後、絶縁層61を通して積層膜10xにスリット52を形成する。具体的には、スリット52は、第1の区画構造31の第1の部分31aに対応する位置及び第2の区画構造32に対応する位置に形成される。このとき、第1の区画構造31の第2の部分31bに対応する位置では、スリット52は形成されず、絶縁構造部51が残っている。さらに、スリット52を通してエッチング液を導入し、犠牲層13を選択的にエッチングする。これにより、犠牲層13が除去された領域には空隙53が形成される。上述したように、第1の区画構造31の第2の部分31bに対応する位置には、スリット52は形成されず、絶縁構造部51が残っている。そのため、空隙53が形成されても、構造の安定性を向上させることが可能である。
【0043】
次に、図7A及び図7Bに示すように、空隙53をタングステン(W)等の金属材料で埋めて導電層11を形成する。さらに、スリット52内に絶縁部分31a2及び32a2並びに導電部分31a1及び32a1を形成する。導電部分31a1及び32a1は、半導体基板100の共通ソース領域に接続され、半導体基板100の共通ソース領域に所定の電位を与える。このようにして、第1の区画構造31、第2の区画構造32及び中間構造40が得られる。
【0044】
以上のようにして、図1A図1B及び図1Cに示したような基本的な構成を有する半導体記憶装置が得られる。
【0045】
次に、図8A及び図8Bに示すように、全面にさらに絶縁層61を形成し、厚さの増大した絶縁層61の部分内に複数のプラグ62a、62b及び63cを形成する。プラグ62aは第1の区画構造31の第1の部分31aに接続され、プラグ62bは第2の区画構造32に接続される。また、プラグ62cはピラー構造20に接続される。より具体的には、プラグ62cは上部選択トランジスタのドレインに接続される。
【0046】
次に、図9A及び図9Bに示すように、絶縁層61、プラグ62a及びプラグ62b上にシャント用の配線63を形成する。すなわち、第1の区画構造31、第2の区画構造32及び中間構造40の上方にシャント用の配線63が形成される。この配線63により、複数のプラグ62a及び62bが共通に接続される。その結果、第1の区画構造31のY方向で隣り合った第1の部分31aどうしが、プラグ62aを介して接続される。また、第1の区画構造31の第1の部分31aと第2の区画構造32も、プラグ62a及び62bを介して接続される。さらに、X方向に配列された第1の区画構造31の第1の部分31aどうしもプラグ62aを介して接続される。したがって、配線63に所定の電位を与えることで、プラグ62a及び62b並びに第1の区画構造31の第1の部分31a及び第2の区画構造32を介して半導体基板100の共通ソース領域に所定の電位を与えることができる。
【0047】
以上のように、本実施形態の製造方法によれば、図6A及び図6Bの工程で空隙53を形成する際に、第1の区画構造31の第2の部分31bに対応する位置に絶縁構造部51が残っているため、空隙53が形成されたときの構造の安定性を向上させることが可能である。
【0048】
また、本実施形態では、第1の区画構造31の第1の部分31aは第2の区画構造32と共通の工程で形成され、第1の区画構造31の第2の部分31bは中間構造40と共通の工程で形成される。したがって、特別な工程を付加することなしに、上述した効果を有する半導体記憶装置を形成することが可能である。
【0049】
図10及び図11は、シャント用の配線パターンを変更したときの半導体記憶装置の製造方法を模式的に示した平面パターン図である。
【0050】
本製造方法では、上述した図7A及び図7Bの工程の後、図10の工程で、図8A及び図8Bの工程と同様に、全面に絶縁層61を形成する。さらに、厚さの増大した絶縁層61の部分内に複数のプラグ62a及び62cを形成する。プラグ62aは第1の区画構造31の第1の部分31aに接続され、プラグ62cはピラー構造20に接続される。
【0051】
次に、図11に示すように、絶縁層61及びプラグ62a上にシャント用の配線63を形成する。すなわち、第1の区画構造31の上方に第1の区画構造31に沿ってシャント用の配線63が形成される。この配線63により、第1の区画構造31のY方向で隣り合った第1の部分31aどうしが、プラグ62aを介して接続される。したがって、配線63に所定の電位を与えることで、プラグ62a及び第1の区画構造31の第1の部分31aを介して半導体基板100の共通ソース領域に所定の電位を与えることができる。
【0052】
図12は、シャント用の配線に着目した半導体記憶装置の平面的な構成を模式的に示した平面パターン図である。図12に示すように、図9Aに示したようなシャント用の配線63を設けた領域と、図11に示したようなシャント用の配線63を設けた領域と、シャント用の配線63を設けていない領域とが混在していてもよい。
【0053】
Y方向で隣り合った第1の部分31aどうしをシャント用の配線63で接続することにより、回路的に見た場合に第1の区画構造31は第2の区画構造32と等価になり、このような等価な区画構造30が狭いピッチでX方向に配列されることになる。また、すでに述べたように、第1の区画構造31の第1の部分31aの導電部分31a1及び第2の区画構造32の導電部分32a1は、積層体10の上端から下端まで延伸して半導体基板100の共通ソース領域に接続されている。したがって、上述したようなャント用の配線63を設けることにより、セルアレイ領域全体で見た場合のソース線抵抗を低減することが可能である。
【0054】
さらに、本実施形態に係る半導体記憶装置の構成を図13A図13B図13C及び図13Dに示し、以下、図13A図13B図13C及び図13Dと対比させて、本実施形態の変形例に係る半導体記憶装置について説明する。
【0055】
図13Aは、図1Aに対応し、平面パターンを模式的に示した図である。図13Bは、図13AのB-B線に沿った断面を模式的に示した断面図である。図13Cは、図13BのC-C面に対応する位置での構成を模式的に示した断面図である。図13Dは、図13BのD-D面に対応する位置での構成を模式的に示した断面図である。なお、図13A図13B図13C及び図13Dの例では、導電層11を形成するためのリプレース処理において、スリット内の一部を埋め込んだ金属材料を除去してZ方向に導電層11を分離する際、導電層11のスリット側端部を絶縁層12のスリット側端部よりも後退させた構造を示しており、以下の変形例についても同様とする。
【0056】
図14A図14B図14C及び図14Dは、本実施形態の第1の変形例に係る半導体記憶装置の構成を示した図である。図14A図14B図14C及び図14Dの相互関係は、図13A図13B図13C及び図13Dの相互関係と同じである。本変形例では、第1の区画構造31の第2の部分31bのY方向の長さが短くなっている。そのため、リプレース処理の際、第2の部分31bの真下では、第2の部分31bのY方向の両側から金属材料の後退が進行した結果金属材料が消失し、第2の部分31bの真下には導電層11が存在していない。したがって、X方向で隣接する第1の区画構造31及び第2の区画構造32の間を、それぞれワード線を共有する1つのブロックとして構成することができる。
【0057】
図15A及び図15Bは、本実施形態の第2の変形例に係る半導体記憶装置の構成を示した図である。図15A及び図15Bの相互関係は、図13A及び図13Bの相互関係と同じである。本変形例では、第1の区画構造31の第1の部分31aと第2の部分31bとが、Y方向で交互にステッチ状に配置されている。すでに述べたように、第1の部分31aのY方向のトータルの長さは、第2の部分31bのY方向のトータルの長さよりも長いことが望ましい。したがって、個々の第1の部分31aのY方向の長さも個々の第2の部分31bのY方向の長さよりも長いことが望ましい。
【0058】
図16A及び図16Bは、本実施形態の第3の変形例に係る半導体記憶装置の構成を示した図である。図16A及び図16Bの相互関係は、図13A及び図13Bの相互関係と同じである。本変形例では、第1の区画構造31の第1の部分31a全体及び第2の区画構造(不図示)全体が、絶縁材料で形成されている。
【0059】
上述した第1、第2及び第3の変形例の基本的な構成は上述した実施形態の構成と同様であり、第1、第2及び第3の変形例でも上述した実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
10…積層体 11…導電層 12…絶縁層 13…犠牲層
20…ピラー構造 21…半導体層 22…トンネル絶縁層
23…電荷蓄積層 24…ブロック絶縁層 25…コア絶縁層
30…区画構造 31…第1の区画構造
31a…第1の部分 31a1…導電部分 31a2…絶縁部分
31b…第2の部分
32…第2の区画構造 32a1…導電部分 32a2…絶縁部分
40…中間構造
51…絶縁構造部 52…スリット 53…空隙
61…絶縁層 62a、62b、62c…プラグ 63…配線
100…半導体基板
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図16A
図16B