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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051192
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/04 20060101AFI20220324BHJP
【FI】
B60S3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157532
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】釘宮 貴徳
【テーマコード(参考)】
3D026
【Fターム(参考)】
3D026AA03
3D026AA19
3D026AA29
3D026AA34
3D026AA71
(57)【要約】
【課題】ノズルの数を低減しつつ、洗浄力を向上できる洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄装置1は、ホイール11のリム13の内周面13aへ向けて洗浄液Wを噴射するノズル2Aと、ホイール11のハブ12の外周面12aへ向けて洗浄液Wを噴射するノズル2Bと、ホイール11のスポーク14の側面14a,14bへ向けて洗浄液Wを噴射するノズル2C,3Dと、を備える。これにより、ホイール11のうち、洗い残しが生じやすい各箇所に対して、ノズル2A,2B,2C,2Dが洗浄液Wを噴射することができる。ここで、ノズル2A,2B,2C,2Dは、噴射基準線JL周りに回転しながら洗浄液Wを噴射するノズル、及び洗浄液Wを帯状に噴射するノズルのいずれか一方である。これらの噴射方式に係るノズルは、高圧な状態にて洗浄液Wの噴射範囲を広げることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向の外側からホイールに洗浄液を噴射することで洗浄を行うホイールの洗浄装置であって、
前記ホイールのリムの内周面へ向けて洗浄液を噴射する第1のノズルと、
前記ホイールのハブの外周面へ向けて前記洗浄液を噴射する第2のノズルと、
前記ホイールのスポークの側面へ向けて前記洗浄液を噴射する第3のノズルと、を備え、
前記第1のノズル、前記第2のノズル、及び前記第3のノズルは、噴射基準線周りに回転しながら前記洗浄液を噴射するノズル、及び前記洗浄液を帯状に噴射するノズルのいずれか一方である、洗浄装置。
【請求項2】
前記第1のノズル、前記第2のノズル、及び前記第3のノズルは、支持部に支持され、
前記支持部は、洗浄時において、前記ホイールの中心線周りに回転すると共に、前記中心線が延びる軸方向に沿って移動する、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
第1のノズル、第2のノズル、及び第3のノズルの少なくとも何れかは、他のノズルに対して、洗浄液の噴射が互いに干渉しない、前記支持部の中心線に対する周方向における異なる位置に配置される、請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記第1のノズル及び前記第2のノズルは、洗浄時において、前記帯状の洗浄液がホイール面に対して垂直に広がるように噴射を行い、前記第3のノズルは、前記第1のノズル及び前記第2のノズルの前記帯状の洗浄液を前記噴射基準線周りに90°回転させた状態の前記帯状の洗浄液を噴射する、請求項1~3の何れか一項に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記第1のノズル及び前記第2のノズルは、洗浄時において、前記帯状の洗浄液がホイール面に対して垂直に広がる状態から、前記噴射基準線周りに一定角度回転させた状態となるように噴射を行う、請求項1~3の何れか一項に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記ホイールを洗浄するブラシ部を更に備え、
前記ブラシ部は、前記洗浄液の噴射範囲外に配置される、請求項1~5の何れか一項に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄液の供給先を切り替えることで、当該洗浄液を噴射するノズルを切り替える供給先切替機構を備える、請求項1~6の何れか一項に記載の洗浄装置。
【請求項8】
支持部の回転に伴う慣性力によって、ノズルの噴射方向を切り替える噴射方向切替機構を備える、請求項1~7の何れか一項に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールの洗浄を行う洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗用車用の洗浄機においてホイールを洗浄する洗浄装置として、特許文献1及び特許文献2に記載されたものが知られている。特許文献1に記載された洗浄装置は、回転ブラシを用いてホイールを洗浄している。また、特許文献2に記載された洗浄装置は、ノズルから洗浄液を噴射することによって洗浄している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-184770号公報
【特許文献2】特開平6-72293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すような回転ブラシを用いた洗浄装置、特許文献2に示す洗浄装置、いずれにおいても、ホイールの一部、特にホイールの軸方向に沿って広がる面に洗い残しが生じるという問題が生じる。
【0005】
このような洗い残しの問題を解決する構成として、例えば、多数のノズルを設けることによって、ホイールに対して多方向から洗浄液を噴射する構成が挙げられる。しかしながら、このような構成のようにノズルの数が多すぎる場合、一つ当たりのノズルの洗浄液の噴射の圧力が低下してしまい、十分な洗浄力を得ることができないという問題がある。あるいは、噴射の圧力を得るためにポンプの性能を増強した場合は、ポンプが大型化、複雑化してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、ノズルの数を低減しつつ、洗浄力を向上できる洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る洗浄装置は、車幅方向の外側からホイールに洗浄液を噴射することで洗浄を行うホイールの洗浄装置であって、ホイールのリムの内周面へ向けて洗浄液を噴射する第1のノズルと、ホイールのハブの外周面へ向けて洗浄液を噴射する第2のノズルと、ホイールのスポークの側面へ向けて洗浄液を噴射する第3のノズルと、を備え、第1のノズル、第2のノズル、及び第3のノズルは、噴射基準線周りに回転しながら洗浄液を噴射するノズル、及び洗浄液を帯状に噴射するノズルのいずれか一方である。
【0008】
本発明に係る洗浄装置は、ホイールのリムの内周面へ向けて洗浄液を噴射する第1のノズルと、ホイールのハブの外周面へ向けて洗浄液を噴射する第2のノズルと、ホイールのスポークの側面へ向けて洗浄液を噴射する第3のノズルと、を備える。これにより、ホイールのうち、洗い残しが生じやすい各箇所に対して、第1のノズル、第2のノズル、及び第3のノズルが洗浄液を噴射することができる。ここで、第1のノズル、第2のノズル、及び第3のノズルは、噴射基準線周りに回転しながら洗浄液を噴射するノズル、及び洗浄液を帯状に噴射するノズルのいずれか一方である。これらの噴射方式に係るノズルは、高圧な状態にて洗浄液の噴射範囲を広げることができる。従って、一つ当たりのノズルが、広い範囲を高い洗浄力で洗浄できる。そのため、少ない数のノズルであっても、ホイールの形状、及び洗いの残しの生じ易さを考慮しつつ、適切に洗浄液を噴射することができるため、高い洗浄力にて洗浄を行うことができる。以上より、ノズルの数を低減しつつ、洗浄力を向上することができる。
【0009】
また、第1のノズル、第2のノズル、及び第3のノズルは、支持部に支持され、支持部は、洗浄時において、ホイールの中心線周りに回転すると共に、中心線が延びる軸方向に沿って移動してよい。この場合、各ノズルが、支持部の移動に伴って移動することで、ホイールに対して広範囲に洗浄液を噴射することができる。
【0010】
第1のノズル、第2のノズル、及び第3のノズルの少なくとも何れかは、他のノズルに対して、洗浄液の噴射が互いに干渉しない、前記支持部の中心線に対する周方向における異なる位置に配置されてよい。ここで、幾つかのノズルの位置を同じにすれば、ノズルの取付位置の数の増加を抑制することで、洗浄液の供給構造をシンプルにできる。ただし、支持部内で重量バランスや噴射の反力バランス、ブラシを併用する場合のブラシの重量バランスなどを考慮した配置としてもよい。
【0011】
第1のノズル及び第2のノズルは、洗浄時において、帯状の洗浄液がホイール面に対して垂直に広がるように噴射を行い、第3のノズルは、第1のノズル及び第2のノズルの帯状の洗浄液を噴射基準線周りに90°回転させた状態の帯状の洗浄液を噴射してよい。この場合、第1のノズルはリムの内周面に対して、軸方向に広範囲に洗浄液を噴射でき、且つ、第2のノズルはハブの外周面に対して、軸方向に広範囲に洗浄液を噴射できる。また、第3のノズルは、ホイールのスポークの側面に対して、広範囲に洗浄液を噴射できる。
【0012】
第1のノズル及び第2のノズルは、洗浄時において、帯状の洗浄液がホイール面に対して垂直に広がる状態から、噴射基準線周りに一定角度回転させた状態となるように噴射を行ってよい。この場合、第1のノズルはリムの内周面に対して、軸方向に広範囲に洗浄液を噴射でき、且つ、第2のノズルはハブの外周面に対して、軸方向に広範囲に洗浄液を噴射できる。また、スポークとリムとの間の角部付近、及びスポークとハブとの間の角部付近に対して、効果的に洗浄液を噴射することが可能となる。
【0013】
洗浄装置は、ホイールを洗浄するブラシ部を更に備え、ブラシ部は、洗浄液の噴射範囲外に配置されてよい。この場合、第1のノズル、第2のノズル、及び第3のノズルにて効果的に洗浄液を噴射しつつ、当該噴射を阻害しない範囲にて、ブラシ部がホイールを洗浄することができる。この場合、洗い難い部分をノズルで対応し、ブラシ部で容易に洗うことができる部分は、ノズルではなくブラシ部で対応できる。これにより、ノズルの増加を抑制できる。
【0014】
洗浄装置は、洗浄液の供給先を切り替えることで、当該洗浄液を噴射するノズルを切り替える供給先切替機構を備えてよい。この場合、供給源が同時に洗浄液を供給するべきノズルの数を低減することができるため、一つ当たりのノズルの噴射の圧力を向上できる。
【0015】
洗浄装置は、支持部の回転に伴う慣性力によって、ノズルの噴射方向を切り替える噴射方向切替機構を備えてよい。この場合、一つのノズルが複数の噴射方向へ洗浄液を噴射できるため、ノズルの数を低減できる。また、供給源が同時に洗浄液を供給するべきノズルの数を低減することができるため、一つ当たりのノズルの噴射の圧力を向上できる。さらに、噴射方向切替機構は、支持部の回転に伴う慣性力を用いるため、切替専用のアクチュエータなどを省略できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ノズルの数を低減しつつ、洗浄力を向上できる洗浄装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る洗浄装置の概略構成図である。
図2】ノズル装置の一例を示す概略構成図である。
図3】ノズルに対して採用可能な噴射タイプの一例を示す図である。
図4】あるタイミングでノズルから噴射された洗浄液の集合を示している。
図5】変形例に係る洗浄装置の概略構成図である。
図6】変形例に係る洗浄装置の概略構成図である。
図7】変形例に係る洗浄装置の概略構成図である。
図8】供給先切替機構の一例を示す概略図である。
図9】供給先切替機構の一例を示す概略図である。
図10】供給先切替機構の一例を示す概略図である。
図11】変形例に係る洗浄装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る洗浄装置の概略構成図である。洗浄装置1は、乗用車10のホイール11に洗浄液を噴射することで洗浄を行う装置である。図1に示すように、洗浄装置1は、ノズル2を有するノズル装置3と、制御装置4と、を備える。また、洗浄装置1は、乗用車10のホイール11の画像情報を取得する情報取得部6(センサやカメラ)を備える。
【0020】
洗浄装置1は、ガソリンスタンドなどに設けられた車両洗浄装置の一部の装置として設けられる。洗浄装置1は、洗浄スペースに常設された装置として構成される。洗浄装置1は、洗車スペースに入ってきた乗用車10のホイール11に対して、車幅方向の外側からノズル2によって高圧の洗浄液を噴射することで、当該ホイール11を洗浄する。なお、図1に示す洗浄装置1は、一対のホイール11を左右両側から同時に洗浄する門型の構造を有しているが、四個のホイール11を同時に洗浄する構造を有してもよく、一つのノズル装置3でホイール11を一つずつ洗浄してもよい。洗浄装置1が洗浄を行う際は、情報取得部6によってホイール11の位置、大きさ、形状の情報を取得してよい。
【0021】
ノズル装置3の詳細な構成について、図2を参照して説明を行う。図2は、ノズル装置3の一例を示す概略構成図である。図2(a)は、ホイール11を乗用車10の前後方向から見たときの概略構成図である。図2(b)は、ホイール11を乗用車10の車幅方向の外側から見たときの概略構成図である。なお、以降の説明においては、「軸方向D1」「径方向D2」「周方向D3」という語を用いて説明を行う場合がある。軸方向D1とは、ホイール11の中心線CL1が延びる方向である。径方向D2とは、中心線CL1と直交する方向であって、中心線CL1と交差する直線が延びる方向である。なお、径方向D2を示す線は、中心線CL周りの全方向に定義することができるが、図2では紙面上下方向に延びる線のみを示しておく。周方向D3は、中心線CL1と直交する方向(図2(a)参照)であって、中心線CL1周りの円弧を描く方向である。なお、周方向D3を示す線は、中心線CL1周りの全周、及び前半径位置に定義することができるが、図2では一部の線のみを示しておく。周方向D3のうち、図2(b)の視点を基準として時計回りの方向を「回転方向RD1」、反時計回りの方向を「回転方向RD2」と称する場合がある。また、説明の便宜上、図2(b)の紙面右側(図2(a)では紙面表側)を乗用車10の前側であるものとし、図2(b)の紙面左側(図2(a)では紙面裏側)を乗用車10の後側であるものとする。なお、図2(a)の紙面左側が車幅方向の外側であり、図2(b)の紙面表側が車幅方向の外側である。
【0022】
図2(a)に示すように、ノズル装置3は、ノズル2A(第1のノズル)と、ノズル2B(第2のノズル)と、ノズル2C,2D(第3のノズル)と、支持部7と、を備える。なお、図2(b)においては、ノズル2A,2B,2C,2Dを明示するために、支持部7は省略されている。なお、以降の説明において、ノズル2A,2B,2C,2Dに共通する事項について説明を行う場合は、単に「ノズル2」と称する場合がある。
【0023】
ホイール11は、中央に設けられたハブ12と、ハブ12を外周側で取り囲むリム13と、ハブ12とリム13とを接続するスポーク14と、を備える。ハブ12は、円筒状の形状を有しており、外周面12aを有する。リム13は円筒状の形状を有しており、内周面13aを有する。スポーク14は、径方向D2に延びる部材であり、両側の側面14a,14bを有する。
【0024】
ノズル2は、ホイール11に対して洗浄液の高圧噴射を行うものである。ノズル2は、ホイール11の中心線CL1が延びる軸方向D1において、ホイール11の主面11aと対向するように配置されている。このとき、ノズル2は、ホイール11の主面11aに対して噴射口を向けるように配置されている。これにより、ノズル2は、ホイール11に対して高圧の洗浄液を噴射することができる。なお、ノズル2による洗浄が終わった後は、エアブローによる乾燥工程が実行されてもよい。
【0025】
ノズル2が洗浄液を噴射する圧力については、家庭用の高圧洗浄機(例えば「ケルヒャーJTK25」など)で採用されている圧力と同等の圧力を採用してよいが、洗浄に適した圧力に適宜調整されてよい。具体的に、ノズル2が洗浄液を噴射する圧力として、2~100MPa、より好ましくは5~50MPaの圧力を採用してよい。ここで、噴射する洗浄液は、常温水で良いが、気体を混ぜた気液混合液であっても良い。また、噴射する洗浄液は、加温したり、超音波を付与したり、脈動させても良い。また、ノズル2は、洗浄液に薬剤(ブレーキダスト落とし、泥油用洗剤、仕上げワックス)などを順次加えて噴射してもよい。ノズル2は、タイヤ部(ゴム部)に艶を出す薬剤を噴霧してもよい。
【0026】
ここで、ノズル2としては、高圧な状態を維持して洗浄液Wの噴射範囲を広げることができるタイプのノズルが採用される。そのようなタイプのノズルの例を、図3を参照して説明する。図3は、ノズル2に対して採用可能な噴射タイプの一例を示す図である。図3(a)は、噴射口2aを高速回転することによって、洗浄液Wを旋回させながら噴射するタイプのノズル2を示す斜視図である。図3((a)においては、洗浄液Wの噴射基準線JLを一点鎖線で示している。噴射基準線JLとは所定の方向へ洗浄液Wを噴射するときの、噴射方向の基準となる向きを定義する軸である。図3(a)のような高速回転型のノズル2を採用した場合、回転軸が噴射基準線JLとなる。このような噴射方式は、洗浄範囲を広く確保しつつも、洗浄液を噴射基準線JLに沿ってストレートにジェット噴射し、全方位に洗浄液が広がる方式に比して、洗浄液Wが対象物と衝突した箇所(以降「洗浄箇所」と称する場合がある)における圧力が高い。なお、図3(a)では、ノズル2に噴射口2aが一つのみ形成されているが、噴射基準線JLまわりに複数の噴射口2aが形成されていてもよい。
【0027】
図3(b)は、洗浄液Wを帯状に噴射するタイプのノズル2を示す斜視図である。洗浄液Wが帯状になっている状態とは、洗浄液Wが噴射基準線JLと交差する拡散方向へ広がりつつも、当該拡散方向と直交する方向には薄い厚みとなっている状態である。本実施形態では、洗浄液Wが噴射基準線JLを含む仮想平面内において、噴射基準線JLと直交する方向を拡散方向として広がりつつも、当該仮想平面と直交する方向には薄い厚みとなっている。図3(b)のノズル2は、洗浄液Wが扇形をなすようにジェット噴射する。このとき、ノズル2の噴射口2aの中心線が噴射基準線JLとなる。図3(b)のノズル2から噴射された洗浄液Wは、噴射基準線JLと直交する所定方向(帯の厚み方向)から見ると、噴射口2aから離間するに従って幅広となるが、当該所定方向と直交する方向から見ると、薄板状となっている(図4(a)参照)。このような噴射方式は、洗浄箇所を長尺にしつつも、洗浄液Wが全方位に広がる方式に比して、洗浄箇所における圧力を高く維持することができる。なお、以降の説明においては、「ノズルが傾斜する」という表現を用いることがあるが、これは、ノズル2の噴射基準線JLが傾斜していることを意味するものとする。
【0028】
なお、洗浄液Wを帯状に噴射する場合の洗浄液Wの広がり方は、図3(b)に示す形態に限定されない。例えば、噴射基準線JLを中心線とした円錐表面によって洗浄液Wを傘のような形状にして噴射するものも帯状の噴射するものに該当する。この場合は、噴射基準線JL周りの周方向が拡散方向となり、洗浄液Wの厚みは径方向に薄くなる。また、ノズル2は、帯状に噴射された洗浄液Wを複数枚組み合わせるように噴射してもよい。例えば、図3(b)に示すような扇形を二枚交差させて、十字帯状に噴射してもよい。
【0029】
図2に示す形態においては、ノズル2A,2B,2C,2Dは、洗浄液Wを帯状に噴射するタイプのノズルである(図3(b)参照)。図2においては、各ノズル2の噴射基準線JLが一点鎖線で示され、洗浄液Wに対してグレースケールが付されている。なお、以降の説明においては、ノズル装置3がホイール11を洗浄するときの姿勢を基準として、各構成要素について説明する。
【0030】
図2(a)(b)に示すように、ノズル2Aは、ホイール11のリム13の内周面13aへ向けて洗浄液Wを噴射する。従って、洗浄中の何れかのタイミングにおいて、ノズル2Aから噴射した洗浄液Wがリム13の内周面13aに衝突する。これにより、リム13の内周面13aに付着した泥などの汚れ(図2(a)において黒く塗りつぶした部分)が除去される。本形態では、ノズル2Aは、ホイール11の径方向D2において、ハブ12とリム13との間の中間位置に配置される。当該位置において、ノズル2Aは、軸方向D1から見て、噴射基準線JLが、径方向D2に沿って延びるように、配置される(図2(b)参照)。また、ノズル2Aは、周方向D3から見て、噴射基準線JLが、軸方向D1のホイール11側へ向かうに従って、径方向D2における外周側へ向かうように傾斜して配置される(図2(a)参照)。
【0031】
ノズル2Bは、ホイール11のハブ12の外周面12aへ向けて洗浄液Wを噴射する。従って、洗浄中の何れかのタイミングにおいて、ノズル2Bから噴射した洗浄液Wがハブ12の外周面12aに衝突する。これにより、ハブ12の外周面12aに付着した泥などの汚れ(図2(a)において黒く塗りつぶした部分)が除去される。本形態では、ノズル2Bは、ホイール11の径方向D2において、ハブ12とリム13との間の中間位置に配置される。当該位置において、ノズル2Bは、軸方向D1から見て、噴射基準線JLが、径方向D2に沿って延びるように、配置される(図2(b)参照)。また、ノズル2Bは、周方向D3から見て、噴射基準線JLが、軸方向D1のホイール11側へ向かうに従って、径方向D2における内周側へ向かうように傾斜して配置される(図2(a)参照)。ノズル2Bは、軸方向D1、径方向D2及び周方向D3において、ノズル2Aと略同じ位置に配置される。
【0032】
ノズル2Cは、ホイール11のスポーク14の周方向D3における回転方向RD1側の側面14aへ向けて洗浄液Wを噴射する。従って、洗浄中の何れかのタイミングにおいて、ノズル2Cから噴射した洗浄液Wがスポーク14の側面14aに衝突する。ノズル2Dは、ホイール11のスポーク14の周方向D3における回転方向RD2側の側面14bへ向けて洗浄液Wを噴射する。従って、洗浄中の何れかのタイミングにおいて、ノズル2Dから噴射した洗浄液Wがスポーク14の側面14bに衝突する。これにより、スポーク14の側面14a,14bに付着した泥などの汚れ(図2(a)において黒く塗りつぶした部分)が除去される。本形態では、ノズル2C,2Dは、ホイール11の径方向D2において、リム13寄りの位置に配置される。当該位置において、ノズル2Cは、軸方向D1から見て、噴射基準線JLが、径方向D2の内側へ向かうに従って、周方向D3における回転方向RD2側へ向かうように、径方向D2に対して傾斜するように、配置される(図2(b)参照)。ノズル2Dは、軸方向D1から見て、噴射基準線JLが、径方向D2の内側へ向かうに従って、周方向D3における回転方向RD1側へ向かうように、径方向D2に対して傾斜するように、配置される(図2(b)参照)。また、ノズル2C,2Dは、周方向D3から見て、噴射基準線JLが、軸方向D1のホイール11側へ向かうに従って、径方向D2における内周側へ向かうように傾斜して配置される(図2(a)参照)。ノズル2C,2Dは、軸方向D1、径方向D2及び周方向D3において、互いに同じ位置に配置される。また、ノズル2C,2Dは、周方向D3においてノズル2A,2Bに対して180°の位置に配置される。すなわち、ノズル2C,2Dは、ノズル2A及びノズル2Bとは、周方向D3における異なる位置に配置される。これにより、ノズル2C,2Dは、径方向D2において、中心線CL1を挟んでノズル2A,2Bの反対側に配置される。このように、ノズル2C,2Dは、他のノズルであるノズル2A,2Bに対して、周方向D3における異なる位置に配置されている。なお、ノズル2C,2Dの周方向における位置は特に限定されず、ノズル2A,2Bに対して180°をなす位置でなくともよく、他の角度をなす位置でもよい。
【0033】
図2(a)に示すように、ノズル2A,2B,2C,2Dは、支持部7に支持される。本実施形態では、支持部7は、ホイール11の主面11aと軸方向D1において対向するように配置される、円板状の部材によって構成される(図7も参照)。ノズル2A,2B,2C,2Dは、支持部7のうち、ホイール11と対向する主面7aに、前述の位置関係にて取り付けられる。支持部7の中心線CL2は、洗浄時には、ホイール11の中心線CL1と同心となるように配置される。支持部7は、洗浄時において、ホイール11の中心線C1周り(すなわち支持部7の中心線CL2周り)に回転すると共に、軸方向D1に沿って移動する。
【0034】
支持部7の回転移動MV1により、ノズル2A,2B,2C,2Dも回転移動MV1を行う。従って、ノズル2A,2B,2C,2Dから噴射された洗浄液Wは、各箇所を洗浄しながら、中心線CL1,CL2周りを回転する。本実施形態では、回転方向RD2を正転方向とする。ただし、支持部7は、回転方向RD1にも反転方向として回転してよい。支持部7の軸方向D1における往復移動MV2により、ノズル2A,2B,2C,2Dも往復移動MV2を行う。従って、ノズル2A,2B,2C,2Dから噴射された洗浄液Wは、各箇所を洗浄しながら、中心線CL1,CL2に沿って移動する。図2において、ホイール11に軸方向D1に近接した状態の支持部7及びノズル2A,2B,2C,2Dが実線で示され、ホイール11から離間した状態の支持部7及びノズル2A,2B,2C,2Dが二点鎖線で示されている。当該二点鎖線で示されるように、ホイール11から離間するに従って、洗浄液Wの広がりが大きくなり、ホイール11に対する洗浄箇所が広くなる。
【0035】
支持部7が、どのようなタイミングで回転移動MV1、及び往復移動MV2を行うかは特に限定されない。例えば、支持部7が一回転した後で、ホイール11から少し離れるように移動し、当該位置にて一回転するという動作を繰り返してよい。また、支持部7が回転すると同時に、徐々にホイール11から遠ざかるように移動してもよい。
【0036】
次に、図4(a)(b)(c)を参照して、ノズル2Aがホイール11に対して洗浄液Wをそのように噴射するかについて説明する。なお、ノズル2Bがどのように洗浄液Wを噴射するかについては、ノズル2Aと同趣旨であるため説明を省略する。ここで、以降の説明においては、噴射基準線JLは、前述の定義からも分かる通り、ノズル2Aから洗浄液Wが噴射される方向の中心線を示す。拡散方向WDは、ノズル2Aから噴射された洗浄液Wが拡散する方向であり、噴射基準線JLと直交する。また、ねじれ角θ(図4(d)参照)は、帯状噴射の場合の、帯状の洗浄液Wが広がる方向が、基準の状態(後述の図4(a)の状態)から、噴射基準線JL周りに一定角度回転させたことを示す角度である。
【0037】
例えば、図4(d)に示すように、噴射基準線JLと垂直に広がる仮想平面VCPを定義する。なお、軸方向D1は、仮想平面VCPに対して傾斜する関係にあるが、噴射基準線JLが延びる方向から仮想平面VCPを見た図4(d)においては、当該仮想平面VCP上に、軸方向D1を投影した仮想線VLを設定する。仮想線VLは、噴射基準線JLを通過するものとする。このような仮想線VLを設定した場合、当該仮想線VLと洗浄液Wの集合(すなわち拡散方向WD)とがなす角度は、上述のねじれ角θと等しくなる。
【0038】
図4(a)(b)(c)は、あるタイミングでノズル2Aから噴射された洗浄液Wの集合を示している。また、図4(a)(b)(c)は、軸方向D1における外側から見た様子を示す図である。洗浄液Wの集合は、ノズル2Aから噴き出した後は、ノズル2Aから遠ざかるに従って、拡散方向WDに広がるように長尺な形状となる。洗浄液Wの集合は、図4(a)(b)(c)に示す形状にて、ホイール面(すなわちホイール11の主面11a)に衝突する。ここでは、洗浄液Wの集合の拡散方向WDにおける一方の端部を「Wa」とし、他方の端部を「Wb」とする。拡散方向WDは、噴射基準線JL及び帯状の洗浄液Wの厚さ方向と垂直な方向である。なお、図4(b)(c)では、端部Wa及び端部Wbの軌跡が二点鎖線で示されている。ただし、図4(a)では、端部Wa及び端部Wbの軌跡は、噴射基準線JLの一点鎖線と重なるため、二点鎖線は示されていない。
【0039】
図4(a)に示す噴射態様は、ねじれ角θが0°の場合に該当する。図4(a)に示す例においては、ノズル2Aは、洗浄時において、帯状の洗浄液Wがホイール面に対して垂直に広がるように噴射を行う。このとき、ノズル2Aは、洗浄時において、軸方向D1から見た場合、帯状の洗浄液Wの拡散方向WDが噴射基準線JLと一致するように噴射する。なお、図4(a)では、前述の通り、端部Wa及び端部Wbの軌跡は、噴射基準線JLと重なる。
【0040】
図4(b)に示す噴射態様は、ねじれ角θが、0°よりも大きく90°よりも小さい所定の角度θ1の場合に該当する。図4(b)に示す例においては、ノズル2Aは、洗浄時において、図4(a)に示す基準の状態から、噴射基準線JL周りに一定角度(θ1)回転させた状態となるように噴射を行っている。このとき、ノズル2Aは、洗浄時において、軸方向D1から見た場合、帯状の洗浄液Wの拡散方向WDが噴射基準線JLに対して傾斜するように帯状に噴射する。正転方向である回転方向RD2側の端部Waは、端部Wbよりも軸方向D1におけるホイール11側に配置される。なお、図2(b)においては、図4(b)における噴射態様が採用されている。
【0041】
図4(c)に示す噴射態様は、ねじれ角θが90°の場合に該当する。図4(c)に示す例においては、ノズル2Aは、このとき、ノズル2Aは、洗浄時において、図4(a)に示す基準の状態から、噴射基準線JL周りに90°回転させた状態となるように噴射を行っている。ノズル2Aは、洗浄時において、軸方向D1から見た場合、帯状の洗浄液Wの拡散方向WDが噴射基準線JLと直交するように噴射する。
【0042】
ノズル2A,2B,2C,2Dが帯状噴射を行う場合、ノズル2A,2Bは、ホイール面に対して帯状の洗浄液Wが垂直に広がるように噴射し(図4(a))、ノズル2C,2Dは、ノズル2A,2Bの帯状の洗浄液Wを噴射基準線周りに90°回転させた状態の帯状の洗浄液Wを噴射する(図4(c))。このような噴射構造に対し、ノズル2A,2Bについては、図4(b)に示すように噴射基準線JL周りに捻って噴射してよい。この場合、ねじれ角θは、45°に設定されてよい。ただし、ねじれ角θの範囲は特に限定されず、例えば0°~±90°の間で適宜設定してよい。好ましくは、ねじれ角θは、0°~±45°の範囲で設定してよい。
【0043】
次に、本実施形態に係る洗浄装置1の作用・効果について説明する。
【0044】
本実施形態に係る洗浄装置1は、ホイール11のリム13の内周面13aへ向けて洗浄液Wを噴射するノズル2Aと、ホイール11のハブ12の外周面12aへ向けて洗浄液Wを噴射するノズル2Bと、ホイール11のスポーク14の側面14a,14bへ向けて洗浄液Wを噴射するノズル2C,3Dと、を備える。これにより、ホイール11のうち、洗い残しが生じやすい各箇所である、内周面13a、外周面12a及び側面14a,14bに対して、ノズル2A,2B,2C,2Dが洗浄液Wを噴射することができる。ここで、ノズル2A,2B,2C,2Dは、噴射基準線JL周りに回転しながら洗浄液Wを噴射するノズル、及び洗浄液Wを帯状に噴射するノズルのいずれか一方である。これらの噴射方式に係るノズルは、高圧な状態にて洗浄液Wの噴射範囲を広げることができる。従って、一つ当たりのノズル2A,2B,2C,2Dが、広い範囲を高い洗浄力で洗浄できる。そのため、少ない数のノズルであっても、ホイール11の形状、及び洗いの残しの生じ易さを考慮しつつ、適切に洗浄液Wを噴射することができるため、高い洗浄力にて洗浄を行うことができる。以上より、ノズルの数を低減しつつ、洗浄力を向上することができる。
【0045】
また、ノズル2A,2B,2C,2Dは、支持部7に支持され、支持部7は、洗浄時において、ホイール11の中心線CL1周りに回転すると共に、中心線CL1が延びる軸方向D1に沿って移動する。この場合、各ノズル2A,2B,2C,2Dが、支持部7の移動に伴って移動することで、ホイール11に対して広範囲に洗浄液Wを噴射することができる。
【0046】
ノズル2C,2Dは、ノズル2A,2Bに対して、洗浄液Wの噴射が互いに干渉しない、周方向W3における異なる位置に配置されてよい。ここで、幾つかのノズルの位置を同じにすれば、ノズルの取付位置の数の増加を抑制することで、洗浄液の供給構造をシンプルにできる。ただし、支持部7内で重量バランスや噴射の反力バランス、ブラシを併用する場合のブラシの重量バランスなどを考慮した配置としてもよい。
【0047】
ノズル2A,2Bは、洗浄時において、帯状の洗浄液Wがホイール面に対して垂直に広がるように噴射を行い、ノズル2C,2Dは、ノズル2A,2Bの帯状の洗浄液Wを噴射基準線JL周りに90°回転させた状態の帯状の洗浄液Wを噴射してよい。この場合、ノズル2Aはリム13の内周面13aに対して、軸方向D1に広範囲に洗浄液Wを噴射でき、且つ、ノズル2Bはハブ12の外周面12aに対して、軸方向D1に広範囲に洗浄液Wを噴射できる。
【0048】
ノズル2A,2Bは、洗浄時において、帯状の洗浄液Wがホイール面に対して垂直に広がる状態から、噴射基準線JL周りに一定角度回転させた状態となるように噴射を行ってよい。この場合、ノズル2Aはリム13の内周面13aに対して、軸方向D1に広範囲に洗浄液を噴射でき、且つ、ノズル2Bはハブ12の外周面12aに対して、軸方向D1に広範囲に洗浄液Wを噴射できる。また、スポーク14とリム13との間の角部付近、及びスポーク14とハブ12との間の角部付近に対して、効果的に洗浄液Wを噴射することが可能となる。
【0049】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0050】
例えば、図5に示すように、洗浄装置1は、ホイール11を洗浄するブラシ部20を更に備えてよい。ブラシ部20は、洗浄液Wの噴射範囲外に配置される。具体的には、ノズル2Cとノズル2Dとは、互いに周方向D3において、互いに異なる位置に配置されている。ノズル2Cとノズル2Dとは、周方向D3において互いに45~90°の角度をなすように配置されてよい。ブラシ部20は、周方向D3に三分割されており、周方向D3において、ノズル2A,2Bとノズル2Dとの間、ノズル2Dとノズル2Cとの間、及びノズル2Cとノズル2A,2Bとの間に配置される。また、三か所のブラシ部20は、各ノズル2A,2B,2Cからの洗浄液Wが最も広がる場合(各ノズルがホイール11から軸方向D1に最も遠ざかる場合)であっても、洗浄液Wと干渉しないように、互いに周方向D3に離間した状態で配置される。なお、ブラシ部20は、支持部7の主面7aに取り付けられているため、各ノズルと同時に移動する。
【0051】
以上より、ノズル2A,2B,2C,2Dにて効果的に洗浄液Wを噴射しつつ、当該噴射を阻害しない範囲にて、ブラシ部20がホイール11を洗浄することができる。この場合、洗い難い部分をノズル2A,2B,2C,2Dで対応し、ブラシ部20で容易に洗うことができる部分は、ノズルではなくブラシ部20で対応できる。これにより、ノズルの増加を抑制できる。
【0052】
また、ノズルの本数、及び噴射方向は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、図6に示すような噴射態様に係る洗浄装置1を採用してもよい。ノズル2Eは、図6においては一つのノズルとして記載されているが、四本のノズルの集合体で構成されており、径方向D2に対して45°傾斜した状態で、四方向に洗浄液Wを噴射する。従って、ノズル2Eは、リム13の内周面13aへ洗浄液Wを噴射し、ハブ12の外周面12aへ洗浄液Wを噴射すると共に、スポーク14の側面14a,14bへ洗浄液Wを噴射する。ノズル2Fは、図6においては一つのノズルとして記載されているが、四本のノズルの集合体で構成されており、径方向D2に平行又は直交する四方向に洗浄液Wを噴射する。従って、ノズル2Fは、リム13の内周面13aへ洗浄液Wを噴射し、ハブ12の外周面12aへ洗浄液Wを噴射すると共に、スポーク14の側面14a,14bへ洗浄液Wを噴射する。なお、図6に示す形態においても、ノズル2E,2Fとして、噴射基準線JL周りに回転しながら洗浄液Wを噴射するノズル、及び洗浄液Wを帯状に噴射するノズルのいずれか一方である。
【0053】
なお、洗浄装置1が有する複数本のノズルは、全てが噴射基準線JL周りに回転しながら洗浄液Wを噴射するノズルであってよく、全てが洗浄液Wを帯状に噴射するノズルであってもよく、両者のタイプのノズルが混在していてもよい。
【0054】
請求項における「第1のノズル」と「第3のノズル」は、図2に示す形態においては別体のノズルとして構成されていたが、図6に示す形態のように、一つのノズルが両方の機能を有していてもよい。同じく、請求項における「第2のノズル」と「第3のノズル」は、別体のノズルとして構成されていても、一つのノズルが両方の機能を有してもよい。
【0055】
また、例えば図7に示すように、洗浄装置1は、洗浄液Wの供給先を切り替えることで、当該洗浄液Wを噴射するノズルを切り替える供給先切替機構30を備えてよい。この場合、供給源が同時に洗浄液Wを供給するべきノズルの数を低減することができるため、一つ当たりのノズルの噴射の圧力を向上できる。
【0056】
具体的には、供給先切替機構30は、三方弁31と、供給ライン32と、分岐ライン33と、分岐ライン34と、を備える。供給ライン32は、洗浄液Wの供給源と接続されたラインである。分岐ライン33は、三方弁31からノズル2A,2Bへ分岐するラインである。分岐ライン34は、三方弁31からノズル2C,2Dへ分岐するラインである。図7(a)に示すように、三方弁31が、供給ライン32と分岐ライン33とを接続することで、ノズル2A,2Bが洗浄液Wを噴射し、ノズル2C,2Dの噴射が停止する。図7(b)に示すように、三方弁31が、供給ライン32と分岐ライン34とを接続することで、ノズル2C,2Dが洗浄液Wを噴射し、ノズル2A,2Bの噴射が停止する。これにより、供給源は、同時に二つのノズルのみに洗浄液Wを供給すればよいので、同時に四つのノズルに供給する場合に比して、高い圧力にて洗浄液Wを供給できる。あるいは、装置全体のノズルのうちの一部のみに洗浄液Wを供給できる点を利用し、装置内のノズルの本数を増やしてもよい。例えば、スポーク14に対するノズルが二本であったものを四本に増やしてもよい。
【0057】
次に、三方弁31を切り替える機構について説明する。三方弁31を切り替える機構は、供給ライン32と分岐ライン34とを接続するか、供給ライン32と分岐ライン34とを接続するかを、任意のタイミングで切り替えることができる機構であれば特に限定されない。三方弁31を切り替えるタイミングは特に限定されないが、支持部7の回転方向に応じて三方弁31を切り替えられる機構を採用してよく、そのような機構の一例を図8及び図9を参照して説明する。図8及び図9に示すように、供給先切替機構30は、レバー36,37を有する切替部31aと、バー38,39を有する操作棒40と、を備える。切替部31aは、三方弁31に組み込まれており、レバー36,37の回動に伴って回動することで、三方弁31における供給ライン32の接続先を切り替える。レバー36は、軸方向D1においてホイール11側へ設けられており、バー38と接触可能に設けられている。レバー37は、軸方向D1において三方弁31側に設けられており、バー39と接触可能に設けられている。操作棒40は、洗車機本体から三方弁31付近まで延びている。
【0058】
ここで、図9に示すように、上下方向(径方向D2)に延びる中心線CL3を設定する。バー38,39は、下側へ垂れ下がるように、中心線CL3の位置に配置される。ここで、バー38,39は、操作棒40で接続される箇所(ここでは上端部)を中心として回転可能であり、且つ、各々可動域ME1,ME2が設定されている。バー38の可動域ME1は、中心線CL3よりも回転方向RD2側に設定されている。すなわち、バー38は、中心線CL3より回転方向RD1側には動けない。バー39の可動域ME2は、中心線CL3よりも回転方向RD1側に設定されている。すなわち、バー39は、中心線CL3より回転方向RD2側には動けない。従って、バー38は、反転時(回転方向RD1への回転)にレバー36を倒すが、正転時(回転方向RD2への回転)は立ったレバー36の通過の障害にはならない。バー39は、正転時(回転方向RD2への回転)にレバー37を倒すことができるが、反転時(回転方向RD1への回転)は立ったレバー37の通過の障害にはならない。
【0059】
図9(a)に示すように、供給ライン32が分岐ライン33と接続された状態(図7(a)に対応する状態)では、レバー36が径方向D2の外周側へ延びており、レバー37が周方向D3における回転方向RD1側(反転側)へ延びている。図9(b)に示すように、供給ライン32が分岐ライン34と接続された状態(図7(b)に対応する状態)では、レバー37が径方向D2の外周側へ延びており、レバー36が周方向D3における回転方向RD2側(正転側)へ延びている。
【0060】
まず、供給ライン32の接続先を分岐ライン34から分岐ライン33へ切り替える場合について説明する。まず、切替部31aのレバー36,37は、図9(b)に示す状態となっている。この状態で、切替部31aを回転方向RD2へ正転させると、レバー37が接触位置に配置されたバー39と接触する。当該接触した状態から切替部31aを更に回転方向RD2へ回転させると、バー39は中心線CL3より回転方向RD2側へは動くことができないので、レバー37がバー39に相対的に押圧されることで、図9(a)に示すように、回転方向RD1側へ倒される。これにより、三方弁31が切り替えられ、供給ライン32の供給先が、分岐ライン34から分岐ライン33へ切り替えられる。このとき、バー38は、図9(a)に示すように、中心線CL3より回転方向RD2側へ動くことができるので、上記切替動作の過程において、レバー36の通過を妨げない。
【0061】
次に、供給ライン32の接続先を分岐ライン33から分岐ライン34へ切り替える場合について説明する。まず、切替部31aのレバー36,37は、図9(a)に示す状態となっている。この状態で、切替部31aを回転方向RD1へ反転させると、レバー36が接触位置に配置されたバー38と接触する。当該接触した状態から切替部31aを更に回転方向RD1へ回転させると、バー38は中心線CL3より回転方向RD1側へは動くことができないので、レバー36がバー38に相対的に押圧されることで、図9(b)に示すように、回転方向RD2側へ倒される。これにより、三方弁31が切り替えられ、供給ライン32の供給先が、分岐ライン33から分岐ライン34へ切り替えられる。このとき、バー39は、図9(b)に示すように、中心線CL3より回転方向RD1側へ動くことができるので、上記切替動作の過程において、レバー37と接触することが回避される。
【0062】
なお、上述のバー38,39は、可動域に制限を設けることで、操作棒40側に特別なアクチュエータを設けることなく、切替可能な構成となっているが、当該構成に限定されない。例えば、バー38,39をアクチュエータを用いて回転可能としてもよく、例えば、レバー36を倒すときには、バー38を接触位置に配置して固定し、バー39をレバー37と接触しない位置に退避させてよい。
【0063】
なお、操作棒40の構成は、バー38,39を用いた図8に示すようなものに限定されず、図10に示すように、軸方向D1に往復移動する操作棒40を採用してもよい。図10に示す形態では、操作棒40は、先端に接触バー41を備えている。これにより、操作棒40は、軸方向D1に移動することで、接触バー41の位置をレバー36と接触する位置と、レバー37と接触する位置との間で切り替えることができる。
【0064】
また、上述の供給先切替機構30は一例にすぎず、他の構造を採用してもよい。例えば、電気信号による電磁弁を利用した供給先切替機構が採用されてもよい。また、支持部7の円板の軸心を二重管として、洗車機本体側で切替を行ってもよい。更には、作業者が手動で供給先を切り替えてもよく、例えば、支持部7の回転方向を変える際に、手動で三方弁31を切り替えてもよい。なお、切替のタイミングも特に限定されるものではなく、回転方向を変えるタイミング以外、例えば、正転の途中や反転の途中で切替を行ってもよい。
【0065】
また、図11に示すように、洗浄装置1は、支持部7の回転に伴う慣性力によって、ノズル2の噴射方向を切り替える噴射方向切替機構50を備えてよい。この場合、一つのノズル2が複数の噴射方向へ洗浄液を噴射できるため、ノズル2の数を低減できる。また、供給源が同時に洗浄液Wを供給するべきノズル2の数を低減することができるため、一つ当たりのノズル2の噴射の圧力を向上できる。さらに、噴射方向切替機構50は、支持部7の回転に伴う慣性力を用いるため、切替専用のアクチュエータなどを省略できる。
【0066】
具体的に、噴射方向切替機構50は、支持部7に設けられたヒンジ部材51によって構成される。ヒンジ部材51は、支持部7に固定される固定片52と、回転の慣性力によって揺動する可動片53と、を有する。可動片53は、固定片52に対して軸部を介して揺動可能に接続される。ノズル2は、可動片53に設けられる。これにより、支持部7が回転方向RD2側へ正転する場合、可動片53は、慣性力によって反対側の回転方向RD1方向へ倒れる。これにより、ノズル2は、回転方向RD1側へ洗浄液Wを噴射するノズルとして機能することができる。支持部7が回転方向RD1側へ反転する場合、可動片53は、慣性力によって反対側の回転方向RD2方向へ倒れる。これにより、ノズル2は、回転方向RD2側へ洗浄液Wを噴射するノズルとして機能することができる。なお、可動片53が倒れすぎないように、角度適正化のためのストッパー54が、可動片53に対して周方向D3の両側に設けられる。ただし、噴射方向切替機構50の構造は一例にすぎず、ヒンジ部材51以外の機構によって構成されてもよい。
【0067】
上述の実施形態や図6では、ノズルの本数を低減できることについて言及されているが、もちろんノズルの本数は上記実施形態や変形例の本数に限定されるものでは無く、更に追加のノズルを設けてもよい。例えば、噴射圧が確保出来ているような場合や、噴射圧力の低下がある程度許容されるような場合であれば、切替機構の有無に関わらず、ノズルの本数を増やして、複雑化してもよい。例えば、上述の実施形態や変形例では、第3のノズルが一組だけ設けられていたが、第3のノズルを複数箇所に2連続、3連続するように設けてもよい。これにより、経大ホイールを洗浄することが可能となる。
【符号の説明】
【0068】
1…洗浄装置、2…ノズル、2A,2E,2F…ノズル(第1のノズル)、2B,2E,2F…ノズル(第2のノズル)、2C,2D,2E,2F…ノズル(第3のノズル)、7…支持部、11…ホイール、12…ハブ、13…リム、14…スポーク、20…ブラシ部、30…供給先切替機構、50…噴射方向切替機構。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
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図9
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図11