(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051231
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】フェイスシールド
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220324BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
A41D13/11 L
A41D13/11 Z
A62B18/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157595
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】593054804
【氏名又は名称】三秀工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500123290
【氏名又は名称】越前屋多崎株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(72)【発明者】
【氏名】大渕 秀一
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185BA08
2E185BA13
2E185CC36
(57)【要約】
【課題】簡素な構造でありながら、帽子Hに対する着脱が容易で、かつ、不使用時に保管や持ち運びが容易なフェイスシールドの提供。
【解決手段】シールド体1の上部に備えられるクリップ体2によって帽子Hに着脱可能に取り付けられるフェイスシールドである。シールド体1の左右にはそれぞれ、窓穴1bが形成されており、クリップ体2は、シールド体1の左右においてそれぞれ、ベース片3の他端3b側をもって、この他端3b側以外のクリップ体2のその余の箇所を窓穴1bに臨ませるようにして、シールド体1に取り付けられている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性及び弾性を備えたシールド体と、
前記シールド体の上部の左右にそれぞれ備えられるクリップ体とを有し、
前記クリップ体によって帽子に着脱可能に取り付けられるフェイスシールドであって、
前記クリップ体は、一端を挟持端としたベース片と一端を挟持端とした可動片とを備え、前記ベース片の前記挟持端と前記可動片の前記挟持端とを最も近接させた前記可動片の移動位置において両前記挟持端により前記帽子の一部を挟持するようになっており、
前記シールド体の左右にはそれぞれ、窓穴が形成されており、
前記クリップ体は、前記シールド体の左右においてそれぞれ、前記ベース片の他端側をもって、この他端側以外の前記クリップ体のその余の箇所を前記窓穴に臨ませるようにして、前記シールド体に取り付けられている、フェイスシールド。
【請求項2】
前記窓穴の上方において、前記挟持端を下方に向けるようにして、前記ベース片の前記他端側を前記シールド体に取り付けさせてなる、請求項1に記載のフェイスシールド。
【請求項3】
前記窓穴の下方において、前記挟持端を上方に向けるようにして、前記ベース片の前記他端側を前記シールド体に取り付けさせてなる、請求項1に記載のフェイスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、感染症の感染源となる飛沫などから顔を防護するなどの目的で用いられるフェイスシールドの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
感染症の感染源となる飛沫などから顔を防護するものとして、メガネ型のフレーム部材に取り付けられて用いられる保護シールド(フェイスシールド)がある(特許文献1参照)。この特許文献1のタイプのものでは、前記のようなフレーム部材が必須となる。
【0003】
フェィスシールドを帽子を利用して支持するようにすれば、前記のようなフレーム部材は不要となる。シールド部の上部にフレーム部を設け、このフレーム部に形成した曲げ部を帽子の鍔部と一緒に留め具で挟持して帽子に取り付けるようにしたフェイスシールドとして、特許文献2に示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】意匠登録第1544411号公報
【特許文献2】実用新案登録第3227254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、帽子を利用して支持可能なフェィスシールドを、簡素な構造でありながら、帽子に対する着脱が容易で、かつ、不使用時に保管や持ち運びが容易なものとして、提供できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、フェイスシールドを、可撓性及び弾性を備えたシールド体と、
前記シールド体の上部の左右にそれぞれ備えられるクリップ体とを有し、
前記クリップ体によって帽子に着脱可能に取り付けられるフェイスシールドであって、
前記クリップ体は、一端を挟持端としたベース片と一端を挟持端とした可動片とを備え、前記ベース片の前記挟持端と前記可動片の前記挟持端とを最も近接させた前記可動片の移動位置において両前記挟持端により前記帽子の一部を挟持するようになっており、
前記シールド体の左右にはそれぞれ、窓穴が形成されており、
前記クリップ体は、前記シールド体の左右においてそれぞれ、前記ベース片の他端側をもって、この他端側以外の前記クリップ体のその余の箇所を前記窓穴に臨ませるようにして、前記シールド体に取り付けられている、ものとした。
【0007】
クリップ体の可動片の挟持端とベース片の挟持端との間に帽子の一部を導入して、可動片の挟持端とベース片の挟持端とで帽子の一部を挟持することで、クリップ体を介して帽子にフェイスシールドが取り付けられる。かかる取り付けのためのクリップ体の操作は、前記窓穴を利用して容易に行える。
クリップ体は、前記ベース片の他端側以外の前記クリップ体のその余の箇所を前記窓穴に臨ませるようにして、前記シールド体に取り付けられていることから、クリップ体の大部分を窓穴内に納めることができ、フェイスシールドは、不使用時には、書類などと同じように、かさばらない状態で鞄などに入れて持ち運び可能となる。
【0008】
以上の機能を、シールド体と左右のクリップ体との三つのパーツから、適切に発揮できるようになっている。
【0009】
前記窓穴の上方において、前記挟持端を下方に向けるようにして、前記ベース片の前記他端側を前記シールド体に取り付けさせたものとすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0010】
また、前記窓穴の下方において、前記挟持端を上方に向けるようにして、前記ベース片の前記他端側を前記シールド体に取り付けさせたものとすることが、この発明の態様の一つとされる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、この種のフェィスシールドを、簡素な構造でありながら、帽子に対する着脱が容易で、かつ、不使用時に保管や持ち運びが容易なものとして、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、この発明の一実施の形態にかかるフェイスシールド(第一例)の正面図である。
【
図5】
図5は、前記第一例の右側面図であり、図示しない左側面図は右側面図と対称である。
【
図7】
図7は、前記第一例の使用状態を示した斜視図である。
【
図8】
図8は、前記第一例の要部断面図であり、(a)図はクリップが開き位置にある状態を、(b)図は閉じ位置にあるクリップによって帽子の一部を挟持した状態を、それぞれ示している。
【
図9】
図9は、前記第一例の要部分解斜視図である。
【
図10】
図10は、この発明の一実施の形態にかかるフェイスシールド(第二例)の正面図である。
【
図14】
図14は、前記第二例の右側面図であり、図示しない左側面図は右側面図と対称である。
【
図16】
図16は、前記第二例の使用状態を示した斜視図である。
【
図17】
図17は、前記第二例の要部断面図であり、(a)図はクリップが開き位置にある状態を、(b)図は閉じ位置にあるクリップによって帽子の一部を挟持した状態を、それぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1~
図18に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかるフェイスシールドは、感染症の感染源となる飛沫などから顔を防護するなどの目的で用いられるものであり、保護シールドなどとも称されるものである。かかるフェイスシールドは、シールド体1と、シールド体1の上部の左右にそれぞれ備えられるクリップ体2とを有しており、このクリップ体2によって帽子Hに着脱可能に取り付けられるようになっている。この実施の形態にかかるフェイスシールドは、下記の機能を、シールド体1と左右のクリップ体2との三つのパーツから、適切に発揮できるようになっている。
【0014】
シールド体1の上部はクリップ体2によって帽子Hに支持され、このように支持されるシールド体1における前記支持位置よりも下方に位置される箇所は帽子Hを被った人体の顔の前方に位置してこれを防護するようになっている。
【0015】
シールド体1は可撓性を有している。これにより、
図7及び
図16に示されるように、クリップ体2を帽子Hの側部Haに留め付けることで、シールド体1はその内面1a(顔側に位置される面)側を湾曲内側とするように湾曲された状態で、帽子Hに取り付け可能となっている。
【0016】
また、シールド体1は弾性を有している。これにより、帽子Hに取り付ける前、および、帽子Hから取り外したときには、シールド体1を前記のような湾曲のない平面状態に弾性復帰させることが可能となっている(
図6、
図15参照)。加えて、後述のように、クリップ体2は、これを構成するベース片3の他端3b側以外の前記クリップ体2のその余の箇所を後述の窓穴1bに臨ませるようにして、前記シールド体1に取り付けられていることから、シールド体1が前記のように平面状態にあるときは、クリップ体2の厚さ方向x’(
図9、
図18参照)をシールド体1の厚さ方向x(
図9,
図18参照)に一致させるようにして、クリップ体2の大部分を窓穴1b内に納めることができる。これにより、この実施の形態にかかるフェイスシールドは、不使用時には、書類などと同じように、かさばらない状態で鞄などに入れて持ち運び可能となっている。
【0017】
図1~
図9に示される第一例にあっては、クリップ体2は、後述の挟持端3a、4aを下方に向けるようにしてシールド体1に取り付けられている。この第一例では、
図7に示されるように、庇Hc上に位置されている帽子Hのアゴ紐Hbを上側からクリップ体2で挟み付けるようにして、フェイスシールドを帽子Hに取り付けることが可能となっている。
【0018】
図10~
図18に示される第二例にあっては、クリップ体2は、後述の挟持端3a、4aを上方に向けるようにしてシールド体1に取り付けられている。この第二例では、
図16に示されるように、クリップ体2がシールド体1の内面1aに直交する向きに突き出すようにクリップ体2の向きを変えて、帽子Hの庇Hcを側方からクリップ体2で挟み付けるようにして、フェイスシールドを帽子Hに取り付けることが可能となっている。
【0019】
前記クリップ体2の後述のレバー片5を起立させた状態で、後述の可動片4の挟持端4aと後述のベース片3の挟持端3aとの間に帽子Hの一部(前記アゴ紐Hbや前記庇Hcなど)を導入可能となっている。この後、レバー片5を伏倒させることで、可動片4の挟持端4aとベース片3の挟持端3aとで帽子Hの一部を挟持して、クリップ体2を介して帽子Hにフェイスシールドが取り付けられるようになっている。前記窓穴1bは指を挿し込み可能な大きさとなっており、この窓穴1bを利用して、前記のようにレバー片5を伏倒させる操作を容易に行えるようになっている。
【0020】
シールド体1は、合成樹脂の面状体、典型的には、合成樹脂製のシートから構成される。また、シールド体1は、典型的には、透明、または、透光性を備えたものとなっている。
【0021】
図示の例では、シールド体1は、左右方向に沿った上縁1cと、この上縁1cの左端及び右端からそれぞれ上下方向に沿って垂下する左縁1d及び右縁1eと、この左縁1d及び右縁1eの下端間に亘る上方を湾曲内側とした円弧状の下縁1fとを備えた形態となっている。
【0022】
シールド体1は、縦200mm~250mm、横300mm~350mmの大きさとすることが好ましい。このようにすることで、フェイスシールドを前記のように帽子Hに取り付けたときに、シールド体1によって、使用者の顔の前方と側方とを適切に防護することができる。
【0023】
また、図示の例では、前記窓穴1bは、フェイスシールドを前記のように帽子Hに取り付けたときに、帽子Hの側方にあって、帽子Hの庇Hc上か庇Hcと同じレベルとなる位置に、設けられている。
【0024】
図示の例では、フェィスシールドの取り付け状態において、帽子Hの庇Hcより上に、シールド体1の上縁1c側が位置されるようになっている。
【0025】
かかる窓穴1bは、縦30mm~40mm、横25mm~35mmの大きさとすることが好ましい。
【0026】
クリップ体2は、ベース片3と、可動片4とを備え、一端を挟持端3aとしたベース片3に対し、一端を挟持端4aとした可動片4を、挟持端3a、4a同士を近づける方向、及び、離す方向に移動可能に備えさせた構成となっている。そして、前記ベース片3の前記挟持端3aと前記可動片4の前記挟持端4aとを最も近接させた前記可動片4の移動位置(以下、閉じ位置という。)において両前記挟持端3a、4aにより前記帽子Hの一部を挟持するようになっている。
【0027】
図示の例では、クリップ体2は、さらに、レバー体5を備えている。
【0028】
ベース片3は長さと幅とを持った板状を呈し、挟持端3aとなる一端と他端3bとを備えている。ベース片3の一端と他端3bとの間に、レバー体5の軸受け部3cが形成されている。軸受け部3cはベース片3の一面側から、この一面に直交する向きに突き出す一対の突出部から構成されている。
【0029】
可動片4は長さと幅とを持った板状を呈し、その一面をベース片3の前記一面に向き合わせると共に、バネ性を備えている。可動片4は、このバネ性によって、前記レバー体5を後述のように伏倒させない状態においては、その挟持端4aとベース片3の挟持端3aとの間に帽子Hの一部を容易に導入可能な隙間を開ける移動位置(以下開き位置という。)に位置づけられるようになっている(
図8(a)、
図17(a)参照)。
【0030】
レバー体5は、操作部分5aと押し込み部分5bとの間に前記軸受け部3cに軸支される軸部5cを有し、この軸部5cによってベース片3に起伏動可能に組み合わされている。レバー体5は、押し込み部分5bが軸部5cよりも可動片4の挟持端4a側、つまり、前方側にあるときは、押し込み部分5bに接する可動片4の前記バネ性によって起立位置に位置づけられるようになっている。起立位置にあるレバー体5を伏倒させると、押し込み部分5bに押圧されて可動片4は閉じ位置に移動し、レバー体5の押し込み部分5bが後方側に移動すると、可動片4のバネ性によってレバー体5は起立方向と逆向きの付勢を被るようになっている。これにより、レバー体5の伏倒状態、つまり、可動片4が閉じ位置にある状態が維持されるようになっている。伏倒されたレバー体5を前記付勢に抗して起立位置に向けて回動させると、押し込み部分5bによる可動片4の押圧が解かれ、可動片4は開き位置に復帰される。
【0031】
なお、第一例において、符号6で示されるのは、可動片4の他面に付設されたプレートであり、第一例ではレバー体5の押し込み部分5bはこのプレートを介して可動片4を押圧するようになっている。
【0032】
そして、かかるクリップ体2は、前記シールド体1の左右においてそれぞれ、前記ベース片3の他端3b側をもって、この他端3b側以外の前記クリップ体2のその余の箇所を前記窓穴1bに臨ませるようにして、前記シールド体1に取り付けられている。
【0033】
第一例にあっては、前記窓穴1bの上方において、前記挟持端3a、4aを下方に向けるようにして、前記ベース片3の前記他端3b側を前記シールド体1に取り付けさせている。
【0034】
第一例では、ベース片3の他端3bに形成された穴3dと、前記窓穴1bの上端とシールド体1の上縁1cとの間となる箇所においてシールド体1に形成された穴1gとを利用して両者をカシメ部材8によりカシメ止めすることで、クリップ体2をシールド体1に取り付けている。クリップ体2のレバー体5はシールド体1の外面1h側に位置するようになっている。
図9中、符号9で示すのはこのカシメ止め部分の補強用のシートである。
【0035】
一方、第二例では、前記窓穴1bの下方において、前記挟持端3a、4aを上方に向けるようにして、前記ベース片3の前記他端3b側を前記シールド体1に取り付けさせている。
【0036】
第二例では、ベース片3の他端3bに枠部7が形成されている。シールド体1には、前記枠部7の左右方向に沿った部分を回動可能に支持する座体10が備えられている。座体10は二つ折りにされた板体により構成されており、折った部分を窓穴1bの下端側に位置させるようにして、折った部分より下方に位置される箇所に形成された穴10aと、前記窓穴1bの下端の直下となる箇所においてシールド体1に形成された穴1gとを利用して両者をカシメ部材8によりカシメ止めすることで、シールド体1に取り付けられている。クリップ体2のレバー体5はシールド体1の外面1h側に位置するようになっている。
図18中、符号11で示すのはこのカシメ止め部分の補強用のシートである。座体10の折った部分の内側にベース片3の枠部7の左右方向に沿った部分が納められ、この部分を中心にクリップ体2がシールド体1の内面1aに直交する向きに突き出すようにクリップ体2の向きを変える回動操作ができるようになっている。
【0037】
以上に説明したシールド体1の窓穴1b、および、クリップ体2の構成は、フェィスシールドの左右においてそれぞれ、同一の構成となっている。
【0038】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0039】
1 シールド体
1a 窓穴
2 クリップ体
3 ベース片
3b 他端