(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051315
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】ブースシステム
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20220324BHJP
【FI】
E04B2/74 561H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157732
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】501470337
【氏名又は名称】霜野 隆
(71)【出願人】
【識別番号】520322303
【氏名又は名称】千田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100134706
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】霜野 隆
(72)【発明者】
【氏名】千田 洋
(57)【要約】
【課題】パネル同士を直交状態に位置決めして設置しやすく、非使用時にはコンパクトになるブースシステムを提供する。
【解決手段】ブースシステム11は、組立状態と解体状態とをとり、第1パネルユニットUA及び第2パネルユニットUBと第1水平パネルPH1とを備える。第1パネルユニットUA及び第2パネルユニットUBは互いに連結された第1立位パネルと第2立位パネルとを有し、第1水平パネルPH1は第1,第2パネルユニットUA,UBに着脱自在である。第1立位パネルと第2立位パネルとは第1端面が第1パネル面に対して45°に傾斜した傾斜面とされ、連結シートがこの傾斜面に固定されている。第1立位パネルと第2立位パネルとは、第1パネル面同士を重ねた重なり状態と、連結された一端縁を回転中心にして相対的に270°回転することにより連結シートを挟んで互いに直交する直交状態との間で変位する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立位にされる立位パネルを複数連結して設置されるブースシステムにおいて、
矩形の第1パネル面の一端縁が互いに連結された第1立位パネルと第2立位パネル、及び、前記第1立位パネルと前記第2立位パネルとの前記一端縁同士を連結し、シート状に形成された連結シートとを有し、前記第1立位パネルと前記第2立位パネルとの前記一端縁を含む第1端面が前記第1パネル面に対して45°に傾斜した傾斜面とされている第1パネルユニット及び第2パネルユニットと、
前記第1パネルユニット及び前記第2パネルユニットに対して着脱自在であり、かつ、前記第1立位パネル及び前記第2立位パネルが立位にされたときに矩形のパネル面が水平にされる第1水平パネルと
を備え、
前記連結シートは、前記第1立位パネルと前記第2立位パネルとの前記傾斜面に固定されており、
前記第1立位パネルと前記第2立位パネルとは、前記第1パネル面同士を重ねた重なり状態と、前記第1立位パネルの前記一端縁を回転中心にして前記第2立位パネルが270°回転することにより前記連結シートを挟んで互いに直交する直交状態との間で変位し、前記直交状態かつ前記一端縁を鉛直方向に向けた状態で立位とされ、
前記第1パネルユニットの前記第2立位パネルは、前記第2パネルユニットの第1立位パネルと、各々の前記傾斜面と反対側の第2端面側同士で立位において連結され、
前記第1水平パネルは、前記第1パネルユニットの前記直交状態にされた前記第1立位パネルの第2パネル面と、前記第2パネルユニットの前記直交状態にされた前記第1立位パネル及び第2立位パネルの各第2パネル面とに対して起立した姿勢で取り付けられるブースシステム。
【請求項2】
前記第1立位パネルと前記第2立位パネルとの各々は、
前記第1パネル面を成す第1板材と、
前記第2パネル面を成す第2板材と、
前記第1板材と第2板材とに挟持固定され、複数の空隙を有する芯材と
を有し、
前記複数の空隙は、前記パネルの第1パネル面及び第2パネル面に沿って、規則的な配列で面状に並んで形成されている請求項1に記載のブースシステム。
【請求項3】
前記第1パネルユニットは、
前記第2立位パネルの前記第2パネル面における第2端面側の端縁に一端縁が連結された第3立位パネルをさらに有し、
前記第1パネルユニットの前記第2立位パネルは、前記第2パネルユニットの第1立位パネルと、前記第3パネルを介して、立位において連結される請求項1または2に記載のブースシステム。
【請求項4】
第1パネル面に対して45°に傾斜した傾斜面が一端面として形成されている第1立位パネル及び第2立位パネルと、連結シートとを有する第3パネルユニットと、
前記第2パネルユニット及び前記第3パネルユニットに対して着脱自在であり、かつ、前記第2パネルユニットと前記第3パネルユニットとの前記第1立位パネル及び前記第2立位パネルが立位にされたときに矩形のパネル面が水平にされる第2水平パネルと
をさらに備え、
前記第2水平パネルは、前記第2パネルユニットの前記直交状態にされた前記第1立位パネルの第2パネル面と、前記第3パネルユニットの前記直交状態にされた前記第1立位パネル及び前記第2立位パネルの各第2パネル面とに対して起立した姿勢で取り付けられる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のブースシステム。
【請求項5】
第1パネル面に対して45°に傾斜した傾斜面が一端面として形成されている第1立位パネル及び第2立位パネルと、連結シートとを有する第4パネルユニットと、
前記第3パネルユニット及び前記第4パネルユニットに対して着脱自在であり、かつ、前記第3パネルユニットと前記第4パネルユニットとの前記第1立位パネル及び前記第2立位パネルが立位にされたときに水平方向に延在するように取り付けられる第3水平パネルと
をさらに備え、
前記第3水平パネルは、前記第3パネルユニットの前記直交状態にされた前記第1立位パネルの第2パネル面と、前記第4パネルユニットの前記直交状態にされた前記第1立位パネル及び前記第2立位パネルの各第2パネル面とに対して取り付けられる請求項4に記載のブースシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブースシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害時の避難所等では、広い空間の中に仕切りを設けてブースとし、一定のプライベートな空間が形成されることが従来から多い。また、オフィスビルのロビースペースや、ホテルのフロントフロアなどでも、書類を見たりパソコンを用いた作業をするために、一定のプライバシーが確保される空間を形成するためのブースが設けられている場合もある。
【0003】
ブースは必要に応じて設置及び撤去ができる方が便利であり、これにより設置する数の増減もできる。そこで、組立て式のブースシステムが従来から提案されている。例えば、特許文献1には、災害時の避難場所となる屋内に設置されるハッポースチロール製の組立て式ブースが記載されている。この組立てブースは、周囲が床面から垂直に起立する側壁にて囲まれ、側壁は1枚又は複数枚のハッポースチロール板の側端に形成した嵌合凹部と嵌合凸部を互いに噛み合わせることで接続して構成されている。側壁を構成する1枚のハッポースチロール板には開口が設けられており、この開口には開閉することが出来るハッポースチロールから成るドアが取り付けられる。
【0004】
特許文献2には、天井パネルと、床パネルと、前後左右の四方の壁パネルによって構成される個室ボックスが記載されている。この個室ボックスは各パネルが軽量パネルで構成され、各パネル同士をボルト・ナットによる接合構造とされており、組み立て、分解自在である。壁パネルは折り曲げ構造を有し、底パネルには移動用キャスターが着脱自在に設けられている。また、内部には、テーブル部と、テーブル部に対応する一人用の椅子とが設けられている。
【0005】
また、携行され、空間を仕切る間仕切りとして、特許文献3には、屏風式建具を構成する複数枚のパネルのうち、一端又は両端に位置するパネルと、免震突っ張り機構装着支柱とが、着脱式紙丁番装置により連結されている屏風式携行間仕切りが記載されている。着脱式紙丁番装置は、一対の溝形部材と、屏風に用いられる伝統的な紙丁番の羽根と同一の構成で、強度が和紙より強く柔軟性がある素材から形成された、現代の紙丁番とを備える、パネルは隣接するパネルに対して360°回転する。溝形部材の溝部は、ウェブと、ウェブの両側に設けられた1対のフランジとを有し、ウェブは、各パネルの縦端部を嵌め合わせて着脱可能に連結する。上記の現代の紙丁番は、一対の溝形部材に交互に接着され、隣り合うパネル間で一方のパネルに対して、他方のパネルを360度回転できるように一対の溝形部材を連結する。
【0006】
特許文献4には、室内の床面上に置かれて自立する折り畳み衝立が記載されている。この折り畳み衝立は、複数の壁部と、隣り合う壁部同士の間に位置するヒンジ部とを備える。壁部は、基部と、この基部の少なくとも一部に重なるように取り付けられている吸音部とを有する。基部は高分子発泡樹脂からなり、吸音部は、発泡樹脂、織布、または不織布からなっている。また、パネル同士を折り畳み自在に連結したパネルユニットとしては、例えば特許文献5に、矩形上のパネル材の側縁同士を、帯状の布体を介して折畳み自在に連結した折れ戸が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-225060号公報
【特許文献2】特開2004-150255号公報
【特許文献3】特開2015-200167号公報
【特許文献4】特開2019-196640号公報
【特許文献5】特許第6515226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されている組立て式ブースは、組立て材としての複数のハッポースチロール材の大きさのみならず形状が様々にあり、ブースとして使用しない解体した状態においてコンパクトにはまとめられない。このため、持ち運びが容易とは言えず、また、保管場所を広く確保する必要がある。また、特許文献2に記載されている個室ボックスの折り曲げ構造は壁パネルに設けられているだけであるので、折り曲げによって変えられるのは個室ボックスの高さのみであり、ブースとして使用しない非使用時においてコンパクトさには欠ける。
【0009】
また、特許文献2に記載される個室ボックスは、組み立ててブースの隅を形成する場面では、パネル同士を端部で直交状態で突き合わせて位置決めし、その位置決めしたパネル同士をボルト・ナットにより接合する。そのため、ブースの隅を形成するためのボルト・ナットでの接合作業は、直交状態に位置決めした2枚のパネルの位置ずれを抑えながら行わなければならず、改善が望まれる。特許文献3に記載される屏風式携行間仕切りは、パネルが隣接するパネルに対して360°回転するので、パネルを直交状態に位置決めした状態で設置することが難しい。このため、隅を直角(90°)とする一般的なブースに用いることは難しい。特許文献4に記載される折り畳み衝立及び特許文献5に記載される折れ戸も同様である。
【0010】
そこで、本発明は、パネル同士を直交状態に位置決めして設置しやすく、非使用時にはコンパクトになるブースシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のブースシステムは、第1パネルユニット及び第2パネルユニットと、第1水平パネルとを備え、立位にされる立位パネルを複数連結して設置される。第1パネルユニット及び第2パネルユニットとは、矩形の第1パネル面の一端縁が互いに連結された第1立位パネルと第2立位パネル、及び、第1立位パネルと第2立位パネルとの一端縁同士を連結し、シート状に形成された連結シートとを有する。第1立位パネルと第2立位パネルとの上記一端縁を含む第1端面は、第1パネル面に対して45°に傾斜した傾斜面とされている。第1水平パネルは、第1パネルユニット及び第2パネルユニットに対して着脱自在であり、かつ、第1立位パネル及び第2立位パネルが立位にされたときに矩形のパネル面が水平にされる。連結シートは、第1立位パネルと第2立位パネルとの傾斜面に固定されている。第1立位パネルと第2立位パネルとは、第1パネル面同士を重ねた重なり状態と、第1立位パネルの一端縁を回転中心にして第2立位パネルが270°回転することにより連結シートを挟んで互いに直交する直交状態との間で変位し、直交状態かつ一端縁を鉛直方向に向けた状態で立位とされる。第1パネルユニットの第2立位パネルは、第2パネルユニットの第1立位パネルと、各々の傾斜面と反対側の第2端面側同士で立位において連結される。第1水平パネルは、第1パネルユニットの直交状態にされた第1立位パネルの第2パネル面と、第2パネルユニットの直交状態にされた第1立位パネル及び第2立位パネルの各第2パネル面とに対して起立した姿勢で取り付けられる。
【0012】
第1立位パネルと第2立位パネルとの各々は、第1パネル面を成す第1板材と、第2パネル面を成す第2板材と、第1板材と第2板材とに挟持固定され、複数の空隙を有する芯材とを有することが好ましい。複数の空隙は、パネルの第1パネル面及び第2パネル面に沿って、規則的な配列で面状に並んで形成されている。
【0013】
第1パネルユニットは、第2立位パネルの第2パネル面における第2端面側の端縁に一端縁が連結された第3立位パネルをさらに有してもよい。第1パネルユニットの第2立位パネルは、第2パネルユニットの第1立位パネルと、第3パネルを介して、立位において連結される。
【0014】
ブースシステムは、第3パネルユニットと第2水平パネルとをさらに備えてもよい。第3パネルユニットは、第1パネル面に対して45°に傾斜した傾斜面が一端面として形成されている第1立位パネル及び第2立位パネルと、連結シートとを有する。第2水平パネルは、第2パネルユニット及び第3パネルユニットに対して着脱自在であり、かつ、第2パネルユニットと第3パネルユニットとの第1立位パネル及び第2立位パネルが立位にされたときに矩形のパネル面が水平にされる。第2水平パネルは、第2パネルユニットの直交状態にされた第1立位パネルの第2パネル面と、第3パネルユニットの直交状態にされた第1立位パネル及び第2立位パネルの各第2パネル面とに対して起立した姿勢で取り付けられる。
【0015】
ブースシステムは、第4パネルユニットと第3水平パネルとをさらに備えてもよい。第4パネルユニットは、1パネル面に対して45°に傾斜した傾斜面が一端面として形成されている第1立位パネル及び第2立位パネルと、連結シートとを有する。第3水平パネルは、第3パネルユニット及び第4パネルユニットに対して着脱自在であり、かつ、第3パネルユニットと第4パネルユニットとの第1立位パネル及び第2立位パネルが立位にされたときに水平方向に延在するように取り付けられる。第3水平パネルは、第3パネルユニットの直交状態にされた第1立位パネルの第2パネル面と、第4パネルユニットの直交状態にされた第1立位パネル及び第2立位パネルの各第2パネル面とに対して取り付けられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、パネル同士を直交状態に位置決めして設置しやすく、非使用時にはコンパクトになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態であるブースシステムの説明図であり、(A)は組立状態を示し、(B)は解体状態を示している。
【
図8】第1パネルユニット及び第1水平パネルの説明図である。
【
図11】立位パネルの別の実施形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すブースシステム11は、本発明の実施形態の一例であり、一定の空間が仕切られたブースを形成する。ブースシステム11は、
図1(A)に示すように矩形の複数のパネルP,PH1~PH3により組み立てられ、四隅が直角(90°)である直方体のブースを形成する組立状態と、これらの複数のパネルP,PH1~PH3が
図1(B)に示すようにまとめられた解体状態とをとる。なお、
図1(A)においては、直交するX軸とY軸とで特定されるXY平面を水平面として、X軸とY軸との両方に直交するZ軸方向を鉛直方向として、それぞれ描いてある。
【0019】
図1(A)に示すように組立状態では、複数のパネルPを鉛直方向に立てた姿勢(立位)で設置され、空間を水平方向において仕切る。この例では、組立状態で鉛直方向に立てた姿勢(立位)にされるパネル(以下、立位パネルと称する)Pの長手方向を鉛直方向にしている。
【0020】
ブースシステム11は、第1パネルユニットUA~第4パネルユニットUDと、第1水平パネルPH1~第3水平パネルPH3とを備える。第1パネルユニットUA~第4パネルユニットUDのそれぞれは、組立状態で鉛直方向に立てた姿勢(立位)にされる複数のパネル(以下、立位パネルと称する)Pを有し、第1パネルユニットUAは、ブースの四隅のうちのひとつの隅である第1コーナCAを形成する。第2パネルユニットUB,第3パネルユニットUC,第4パネルユニットUDも第1パネルユニットUAと同様に、ブースの四隅のうちのそれぞれひとつである第2コーナCB,第3コーナCC,第4コーナCDを形成する。上方から見たときに、ブースシステム11は、反時計回りに、第1パネルユニットUA,第2パネルユニットUB,第3パネルユニットUC,第4パネルユニットUDの順で連結される。
【0021】
第4パネルユニットUDは、組立状態において隣り合う立位パネルPと立位パネルPとの間で折り曲げ自在とされ、これにより開閉自在な出入口DWを形成する。折り曲げた状態では出入口DWは開状態となり、隣り合う立位パネルPのパネル面同士を面一にするように位置させた状態では出入口DWは閉状態となる。
【0022】
第1水平パネルPH1~第3水平パネルは、第1パネルユニットUA~第4パネルユニットUDに着脱自在であり、組立状態においては、長手方向が水平方向に一致するように固定される。具体的には、第1水平パネルPH1は、第1パネルユニットUAと第2パネルユニットUBとに対して着脱自在であり、組立状態においては、矩形のパネル面を水平にされた状態で第1パネルユニットUAと第2パネルユニットUBとのそれぞれに固定される。これにより、本例の第1水平パネルPH1は、ブース内における作業台として用いることができるようにしており、書類やパーソナルコンピュータなどを載置することができる。第1水平パネルPH1の高さは、作業のしやすさ等の観点で、適宜決定することができ、本例では、ブース内に、利用者が座る椅子を配したときに、利用者が椅子に腰かけた状態で第1水平パネルPH1を作業台として用いることができる高さに設定している。
【0023】
第2水平パネルPH2は、第2パネルユニットUBと第3パネルユニットUCとに対して着脱自在であり、組立状態においては、矩形のパネル面を水平にされた状態で第2パネルユニットUBと第3パネルユニットUCとのそれぞれに固定される。この例の第2水平パネルPH2は、第1水平パネルPH1よりも高い位置に配され、例えば物を載置するための棚等として用いることができるようにしている。ただし、第2水平パネルPH2は、第1水平パネルPH1よりも低い位置に配してもよい。
【0024】
第3水平パネルPH3は、第3パネルユニットUCと第4パネルユニットUDとに対して着脱自在であり、組立状態においては、矩形のパネル面の一方がブースの内部に、他方がブースの外側に、それぞれ向くように、第3パネルユニットUCと第4パネルユニットUDとのそれぞれに固定される。この例の第3水平パネルPH3は、第1水平パネルよりも高い位置に配され、上記の椅子の背(笠木,背板,背柱など)の高さに対応した高さに位置を設定している。これにより、利用者が椅子を引いた場合、すなわち、第1水平パネルPH1から離れる方向に移動した場合に、椅子の背が第3パネルユニットUCと第4パネルユニットUDとに接触することが防止される。ただし、第3水平パネルPH3の高さは、利用者にとっての作業性等を含めた居住性の観点では、特に限定されない。また、第3水平パネルPH3には、着脱自在なフック(物掛けなど)等を設けてもよい。
【0025】
この例のブースシステム11は、第1パネルユニットUA~第4パネルユニットUDを水平方向で連結することにより直角の四隅を有するブースを形成しており、これによりブース内のプライバシをより高くしている。ただし、ブースシステムは、第3パネルユニットUC,第4パネルユニットUD,第2水平パネルPH2,第3水平パネルPH3を備えなくてもよい。例えば、第3パネルユニットUC,第4パネルユニットUD,第2水平パネルPH2,第3水平パネルPH3を備えずに形成したブースは、第1パネルユニットUAと第2パネルユニットUBと第1水平パネルPH1とにより、上から見たときに2つの隅をもつコの字状に形成される。また、第4パネルユニットUD,第3水平パネルPH3を備えずに形成したブースは、第1パネルユニットUA~第3パネルユニットUCと第1水平パネルPH1,第2水平パネルPH2とにより、上から見たときに3つの隅をもつ形状に形成される。
【0026】
また、この例の第4パネルユニットUDは、上記のように折り畳み自在な一対の立位パネルPを備えて出入口DWを開閉自在にしているが、これら一対の立位パネルを備えない第4パネルユニット(図示無し)に代えてもよい。これにより、出入口DWが開口として設けられたブースが形成される。
【0027】
この例の立位パネルPは、長手方向の長さが互いに等しくされている。これにより、利用者にとっての居住性(心理的な安定感等を含む)を高めるとともに、解体状態にしてまとめたときに、よりコンパクトにまとまるようにしてある。この例の立位パネルPの長手方向の長さは、例えば1300mmとしているが、これに限定されない。立位パネルPのうち、第1パネルユニットUAの出入口DW側に配される立位パネルPは、この例ではその他の複数の立位パネルPよりも幅広(短手方向の長さが短く)されているが、幅狭にされてもよいし、その他の立位パネルPの幅と等しくされてもよい。第1パネルユニットUAの出入口DW側に配される立位パネルPの短手方向の長さはこの例では例えば500mmとしてある。複数の立位パネルPの厚みは、互いに等しくしてある方が、組立状態においてパネル面が面一になるため好ましい。
【0028】
第1水平パネルPH1~第3水平パネルPH3は、立位パネルPと厚みが異なっていてもよい。しかし、解体状態においてコンパクトにまとめるためには、立体パネルPの厚みとの差が概ね20mm以内に抑えられることが好ましい。第1水平パネルPH1~第3水平パネルPH3の厚みは、素材や第1水平パネルPH1~第3水平パネルPH3の構造等にもよるが、立位パネルPの厚み以上とする方が、立位パネルPの厚み未満である場合よりも、強度等の観点で好ましい。
【0029】
図1(B)に示す解体状態では、第1パネルユニットUA~第4パネルユニットUDのそれぞれは折り畳まれ、互いに重ねられる。したがって、立位パネルPが厚み方向に互いに重ねられた状態となる。第1水平パネルPH1及び第3水平パネルPH3も立位パネルPに重ねた状態となっている。また、この例では、複数の立位パネルPの重なり方向に一部のパネル(この例では第2水平パネルPH2)が起立した態様で、立位パネルPの端面に対面して配される。しかし、解体状態では、すべてのパネルを厚み方向において重ねた状態にしてもよい。このように、解体状態ではブースシステム11は、コンパクトにまとめられ、これにより、持ち運びしやすく、保管場所も確保しやすい。総重量は本例では25kg程度である。
【0030】
第1水平パネルPH1は、この例では、第1パネルユニットUAの出入口DW側に配される立位パネルPよりも幅狭であり、その他の複数の立位パネルPよりも幅広となっている。そこで、第1パネルユニットUAの出入口DW側に配される立位パネルPと第1水平パネルPH1とを立位パネルの重なり方向において最も表側に位置させ、これらの間に、その他の立位パネルPと最も幅狭の第3水平パネルPH3とが挟まれるように位置させている。これにより、解体状態では、ブースシステム11はよりコンパクトにまとめられた態様となっている。解体状態のブースシステム11は、ベルト(図示無し)で巻かれたり、収容用のバッグ(図示無し)に収容されて、持ち運びや保管等に供することが好ましく、本例でもそのようにしている。また、本例では、それらのベルトやバッグに、例えば持ち手や肩にかけるための肩掛けベルト等を設けており、一人での持ち運びがより容易にできるようにしてある。
【0031】
図2において、第1パネルユニットUAは、直列に連結された第1立位パネルP1a,第2立位パネルP2a,第3立位パネルP3aを有し、この順で、立位において出入口DW(
図1参照)側から反時計回りに配される。第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとは、第1コーナCAを形成するパネル対である。この例では、第1パネルユニットUAを構成する立位パネルP(
図1参照)を3枚としているが、第1コーナCAは2枚の立位パネルP(
図1参照)で形成するので、第1パネルユニットUAを構成する立位パネルP(
図1参照)の枚数は2枚以上であればよい。なお、
図2においては、ブースシステム11(
図1参照)の第1水平パネルPH1~第3水平パネルPH3の図示は略してある。
【0032】
第2パネルユニットUBは、互いに連結された第1立位パネルP1b,第2立位パネルP2bとを有し、これらは第1パネルユニットUA側から同様の向きに順に配される。第3パネルユニットUCは、直列に連結された第3立位パネルP3c,第1立位パネルP1c,第2立位パネルP2cを有し、これらは第2パネルユニットUB側から同様の向きにこの順で配される。第4パネルユニットUDは、直列に連結された第3立位パネルP3d,第1立位パネルP1d,第2立位パネルP2d,第4立位パネルP4d,第5立位パネルP5dを有し、これらは第3パネルユニットUC側から同様の向きにこの順で配される。第1立位パネルP1bと第2立位パネルP2b、第1立位パネルP1cと第2立位パネルP2c、第1立位パネルP1dと第2立位パネルP2dの各パネル対は、第2コーナCB、第3コーナCC、第4コーナCDを形成する。この例では、第2パネルユニットUB,第3パネルユニットUC,第4パネルユニットUDを構成するそれぞれの立位パネルP(
図1参照)を、2枚,3枚,5枚としているが、第2コーナCB,第3コーナCC,第4コーナCDを形成すれば枚数は限定されず、第1パネルユニットUAと同様に2枚以上であればよい。第1パネルユニットUA~第4パネルユニットUDのそれぞれを構成する立位パネルの枚数は、形成するブースの大きさと立位パネルの短手方向の長さに応じて適宜決めるとよい。
【0033】
以降の説明においては、第1立位パネルP1a~P1dを区別しない場合には第1立位パネルP1と記載する。第2立位パネルP2a~P2dを区別しない場合、第3立位パネルP3a,P3c,P3dを区別しない場合も同様に、第2立位パネルP2,第3立位パネルP3と記載する。第1立位パネルP1~第5立位パネルP5を区別しない場合には立位パネルPと記載する。また、第1コーナCAを形成する側の第1立位パネルP1と第2立位パネルとの端面を、以下、第1端面E1(
図3参照)と称し、第1端面E1と反対側の端面を第2端面E2(
図3参照)と称する。
【0034】
第1コーナCAを形成する第2立位パネルP2aの第1立位パネルP1a側の第1端面E1と反対側の第2端面E2側は、立位において、第3立位パネルP3aを介して間接的に第1立位パネルP1bに連結されて組み立てられる。第3立位パネルP3aに加えて、第4,第5,・・・第n(nは3以上の自然数)立位パネルPnaがある場合には、これら第3立位パネル~第n立位パネルP3a~Pnaを介して、第2立位パネルP2aの第2端面E2は、第1立位パネルP1bに連結される。第1パネルユニットUAが第3立位パネルP3aを備えない場合には、第2立位パネルP2aの第2端面E2は、第1立位パネルP1bに直接連結される。また、組立状態において第2コーナCBを形成する第1立位パネルP1bの第2端面E2側に、第3,第4,・・・第n立位パネルP3b~Pnbがある場合には、これら第3,第4,・・・第n立位パネルP3b~Pnbを介して、第2立位パネルP2aと第1立位パネルP1bとは互いの第2端面E2同士が間接的に連結される。
【0035】
第2コーナCBを形成する第2立位パネルP2bの第2端面E2側は、立位において、第3立位パネルP3cを介して間接的に第1立位パネルP1cに連結されて組み立てられる。第2立位パネルP2bの第2端面E2側と第1立位パネルP1cの第2端面E2側との少なくともいずれか一方に1枚あるいは複数の立位パネルPが備えられている場合には、これらの立位パネルPを介して、第2立位パネルP2bと第1立位パネルP1cとは、互いの第2端面E2同士が互いに間接連結される。第3パネルユニットUCが第3立位パネルP3cを備えない場合には、第2立位パネルP2bは、第1立位パネルP1cに直接連結される。
【0036】
第3コーナCCを形成する第2立位パネルP2cと、第4パネルユニットUDの第1立位パネルP1dとの連結についても、第2コーナCBを形成する第2立位パネルP2bと第3パネルユニットの第1立位パネルP1cとの連結の場合と同様である。すなわち、第2立位パネルP2cの第2端面E2側は、立位において、他の立位パネルPを介して間接的に、あるいは、直接に、第1立位パネルP1dに連結されて組み立てられる。
【0037】
第1立位パネルP1a~P1dの第1端面E1は、同様に構成されており、また、第2立位パネルP2a~P2dの第1端面E1も同様に構成されている。そこで、第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとについて
図3を参照しながら説明をし、第1立位パネルP1b~P1dと第2立位パネルP2b~P2dについては図示及び説明を略す。
【0038】
第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとは、一端縁において連結されている。具体的には、第1立位パネルP1aの矩形の第1パネル面SA1の長辺に沿った一端縁でである第1端縁e1と、第2立位パネルP2aの矩形の第1パネル面SA2の長辺に沿った一端縁(第1端縁)e1とが互いに連結されている。第1立位パネルの一端縁e1を含む第1端面E1は、第1パネル面SA1に対して45°に傾斜した傾斜面とされており、第1パネル面SA1と反対側の第2パネル面SB1が、第1パネル面SA1よりも、短手方向の長さが短くなっている。第2立位パネルについても同様である。すなわち、第2立位パネルの一端縁e1を含む第1端面E1は、第1パネル面SA2に対して45°に傾斜した傾斜面とされており、第1パネル面SA2と反対側の第2パネル面SB2は第1パネル面SA2よりも短手方向の長さが短くなっている。なお、第1立位パネルP1と第2立位パネルP2との第1端面E1以外の端面と、第3,第4,・・・,第n立位パネルのすべての端面とは、第1パネル面SA及び第2パネル面SBに対して直交している。
【0039】
第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとは、
図3において実線で示す重なり状態と、二点鎖線で示す直交状態との間で相対的に変位する。重なり状態は、各々の第1パネル面SA1,SA2を互いに接触する状態に重ねた状態である。直交状態は、各々の傾斜面である第1端面E1が互いに当たって第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとが直交する状態である。なお、別の図面を用いて詳細は後述するが、第1パネルユニットUAは、連結シート21をさらに備え、この連結シート21は各第1端面E1に(
図4参照)が設けられており、直交状態においては、第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとの第1端面E1同士は、この連結シート21を互いの間に挟んだ状態で当接する。第1端縁e1同士の連結と、45°の傾斜面である第1端面E1とが形成されていることにより、第1立位パネルP1aの第1端縁e1を回転中心にして第2立位パネルP2aが270°回転した位置で回転が規制される。これにより、第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとは互いの端部で90°に位置決めされる。この位置決めされた状態で、第1端縁e1を鉛直方向に向くように第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとを起立させると、第1コーナCA(
図1,
図2参照)が形成される。なお、270°の回転は、第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとの相対的な回転を意味する。また、回転中心は、第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとのいずれかの第1端縁E1であってもよい。
【0040】
このように第1立位パネルP1と第2立位パネルP2とは、重なり状態と直交状態との間で変位するから、解体状態では第1端面E1同士が面一になった重なり状態になり、また、設置するために組み立てる場面では直交状態に容易に位置決めされるとともに、位置決め状態が保持される。
【0041】
第3立位パネルP3aは、第2立位パネルP2aの第2パネル面SB2における第2端面E2側の第2端縁e2に、長手方向に沿った一端縁が連結されている。これにより、第2立位パネルP2aと第3立位パネルP3aとは、連結された端縁を回転中心にして相対的に180°回転する。これにより、解体状態では第2立位パネルP2a側とは反対側のパネル面となる第1パネル面SA3は、組み立てる場面では第2立位パネルP2の第1パネル面SA2と面一となるように位置決めされ、組立状態においてブースの外壁の一部を構成する。一方、第3立位パネルP3aの第2パネル面SB3は、組み立てる場面では第2立位パネルP2の第2パネル面SB2と面一となるように位置決めされ、組立状態においてブースの第1コーナCAと第2コーナCB(
図1,
図2参照)との間の内壁の一部を構成する。
【0042】
図4に示すように、連結シート21はシート状に形成された連結材であり、第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとの第1端面E1に固定されている。連結シート21は本例では可撓性素材で形成されており、
図4に示すように折り曲げ自在である。これにより、第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとは、重なり状態と直交状態とで変化自在となる。連結シート21は、第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとの第1端面E1に設けられているので、直交状態においては、第1立位パネルP1aの第1端面E1と第2立位パネルP2aの第1端面E1との間に挟まれた状態になる。なお、第1立位パネルP1a等の立位パネルPは、内部に空隙が形成されているが、立位パネルPの詳細については別の図面を用いて後述する。
【0043】
第2パネルユニットUB~第4パネルユニットUDについても同様である。すなわち、第1立位パネルP1と第2立位パネルP2との第1端面E1には連結シート21が固定されている。これにより、第1立位パネルP1と第2立位パネルP2とは、重なり状態と直交状態とで変化自在となる。連結シート21は、第1立位パネルP1と第2立位パネルP2との第1端面E1に設けられているので、直交状態においては、第1立位パネルP1と第2立位パネルP2の第1端面E1間に挟まれた状態になる。
【0044】
図5において連結シート21は、第1立位パネルP1a及び第2立位パネルP2aの長手方向に延びた第1端面E1に沿って延設されている。そのため、立位とされた状態の第1立位パネルP1a及び第2立位パネルP2aにおいては、連結シート21は、鉛直方向に延びて形成されていることになる。これにより、一方向に延びた第1端面E1の長手方向(パネルが起立した状態では鉛直方向に一致)に沿って、複数の連結シートを断続的に設けた場合に比べて、より強度が高く、安定性がよりよい。
【0045】
連結シート21は例えばシート面に接着剤で形成された接着層(図示無し)が設けられており、この接着層によって第1端面E1に固定され、第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとを連結している。
【0046】
連結シート21は、第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとの間に、余剰分21sを設けてある。この余剰分21sは、第1端面E1と接着しておらず、露呈している。露呈した余剰分21sを設けてあることにより、連結シート21は第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとの間で折れ曲がりやすくなるから、第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとを重なり状態にする作業も、直交状態にする作業もより行いやすい。余剰分21sは第1端面E1の長手方向に延びており、第1端面E1の長手方向に直交する幅は、特に限定されず、本例では数mmとしている。
【0047】
連結シート21の素材としては、例えば、布、合成樹脂、紙等が挙げられる。布は、天然繊維(羊毛、綿、絹など)、合成繊維(例えばポリエステル、ポリアミドなど)などのいずれで形成されていてもよく、また、編物、織物、不織布のいずれの形態でもよい。合成樹脂としては、例えばポリエステル、ポリエチレンや塩化ビニルなどが挙げられる。紙としては例えば和紙などが挙げられる。
【0048】
図6に示すように、第2立位パネルP2aと第3立位パネルP3aとの第2端面E2(
図7参照)側も同様の連結シート21が固定されている。これにより、第2立位パネルP2aと第3立位パネルP3aとは、重なり状態と180°に展開した展開状態とで変化自在となる。連結シート21は、第2立位パネルP2aと第3立位パネルP3aとの第2端面E2に設けられているので、展開状態においては、第2立位パネルP2aの第2端面E2と第3立位パネルP3aの第2端面E2との間に挟まれた状態になる。
【0049】
第2パネルユニットUB~第4パネルユニットUB~UDについても同様である。すなわち、第1立位パネルP1cの第2端面E2と第3立位パネルP3cの一端面、第1立位パネルP1dの第2端面E2と第3立位パネルP3dの一端面、第2立位パネルP2dと第4立位パネルP4dの第1端面E1、第4立位パネルP4dと第5立位パネルP5dとの各一端面には連結シート21が固定されている。これにより、これら各立位パネル対は、重なり状態と180°に展開した展開状態とで変化自在となる。連結シート21は、展開状態においては、対を成す2枚の立位パネルPの一端面間に挟まれた状態になる。
【0050】
図7において連結シート21は、第2立位パネルP2a及び第3立位パネルP3aの長手方向に延びた第2端面E2に沿って延設されている。そのため、立位とされた状態の第2立位パネルP2a及び第3立位パネルP3aにおいては、連結シート21は、鉛直方向に延びて形成されていることになる。これにより、一方向に延びた第2端面E2の長手方向(パネルが起立した状態では鉛直方向に一致)に沿って、複数の連結シートを断続的に設けた場合に比べて、より強度が高く、安定性がよりよい。
【0051】
この例の第2立位パネルP2aと第3立位パネルP3aとは、パネル本体26と、押さえ部材27とを備え、連結シート21は、パネル本体26の端面同士を接合している。押さえ部材27は、連結シート21の剥がれを抑制するために連結シート21を押さえるためのものである。押さえ部材27は、第2立位パネルP2aと第3立位パネルP3aとを立位にした場合に、
図7に示すように鉛直方向に延びて形成されており、第2立位パネルP2aと第3立位パネルP3aとの第2端面E2を成している。押さえ部材27は、断面三角形の角柱部材である。この例では、連結シート21に対して押さえ部材27を接着剤により接着している。これにより、連結シート21はより剥がれにくくされ、展開姿勢と重なり姿勢との繰り返しや、異なる展開姿勢への変更の繰り返し等への耐久性が向上している。
【0052】
連結シート21は、シート面においてパネル本体26と面状に接着する面接着によって第2立位パネルP2aと第3立位パネルP3aとを連結している、線状に接着する線接着により接合している場合に比べて、第2立位パネルP2aと第3立位パネルP3aとの接合強度が高くなっており、展開姿勢における安定性がよい。
【0053】
第2立位パネルP2aと第3立位パネルP3aとを連結する連結シート21も、同様に、第2立位パネルP2aと第3立位パネルP3aとの間に、余剰分21sを設けてある。露呈した余剰分21sを設けてあることにより、連結シート21は第2立位パネルP2aと第3立位パネルP3aとの間で折れ曲がりやすくなるから、第2立位パネルP2aと第3立位パネルP3aとを重なり状態にする作業も、展開状態にする作業もより行いやすい。
【0054】
図8に示すように、第1水平パネルPH1は、第1パネルユニットUAの直交状態にされた第1立位パネルP1aの第2パネル面SB1と、第2パネルユニットUBの直交状態にされた第1立位パネルP1bの第2パネル面SB1及び第2立位パネルP2bの第2パネル面SB2とに対して起立した姿勢で取り付けられる。第1パネルユニットUAは、第1立位パネルP1aと第2立位パネルP2aとにより直交状態に位置決めされ、連結シート21によって位置ずれが抑えられているから、第1水平パネルPH1の第1パネルユニットUAへの取り付けがしやすい。同様に、第2パネルユニットUBは、第1立位パネルP1bと第2立位パネルP2bとが直交状態に位置決めされ、連結シート21によって位置ずれが抑えられているから、第1水平パネルPH1の第2パネルユニットUBへの取り付けがしやすい。
【0055】
第1水平パネルPH1の第1パネルユニットUA及び第2パネルユニットUBへの取付方法及び取付具は特に限定されない。本例では、例えばシンプルな外観のブースを形成するために、立位パネルP及び第1水平パネルPH1に対して埋め込み式の取り付け具を用いている。用いた取付具は、クラメックス(Clamex)(スイス、ラメロ(Lamello)社製,品番はPー14)である。この取付具は、第1取付部材31aと第2取付部材31bとを有し、所定の位置関係で互いに係合するノックダウン式固定具である。
【0056】
本例では、第1立位パネルP1aの第2パネル面SB1,第1立位パネルP1bの第2パネル面SB1,第2立位パネルP2bの第2パネル面SB2に加え、第3立位パネルP3aの第2パネル面SB3には、第1取付部材31aを嵌め込む凹部36aが予め形成されている。また、第1水平パネルPH1にも同様に、端面のうち第1パネルユニットUA及び第2パネルユニットUBに取り付けた際に凹部36aに対面する位置に、第2取付部材31bを嵌め込む凹部36bが形成されている。第1パネルユニットUAの各凹部36aにセットされた第1取付部材31aと、第1水平パネルPH1の各凹部36bにセットされた第2取付部材31bとを固定させることで、第1水平パネルPH1は第1パネルユニットUA及び第2パネルユニットUBに取り付けられる。
【0057】
この例では、第3立位パネルP3aと第1立位パネルP1bとにまたがるように1つの凹部36aが形成されている。これにより、第1取付部材31a及び第2取付部材31bの1組で、第3立位パネルP3aと第1立位パネルP1bとが固定されるようにしてあり、組み立て作業が容易であるとともに、組立状態での安定性もより向上している。なお、第1パネルユニットUAと第2パネルユニットUB、第2パネルユニットUBと第3パネルユニットUC、第3パネルユニットUCと第4パネルユニットUDの各パネルユニット同士は、各々の立位パネルPの端面同士を上記と同様の取付具で連結してもよい。例えば、連結する一方の立位パネルPの端面に凹部36a、他方の立位パネルPの端面に凹部36bを形成し、第1取付部材31aと第2取付部材31bとを同様に用いてパネルユニット同士を連結してもよい。この例では、第1水平パネルPH1~第3水平パネルPH3を用いた連結に加えて、立位パネルP同士も第1取付部材31aと第2取付部材31bとにより連結し、組立状態におけるブースシステム11(
図1参照)の強度をより高めている。そのため、
図2においては、凹部36a,36bを描いている。
【0058】
第2水平パネルPH2も同様に、第2パネルユニットUBの直交状態にされた第1立位パネルP1bの第2パネル面SB1と、第3パネルユニットUCの直交状態にされた第1立位パネルP1cの第2パネル面SB1及び第2立位パネルP2cの第2パネル面SB2とに対して、起立した姿勢で取り付けられる。
【0059】
第3水平パネルPH3は、第3水平パネルの長手方向における両端面と、パネル面とに凹部36bを形成して、これら凹部36bに第2取付部材がセットされる。これ以外は、第1水平パネルPH1及び第2水平パネルPH2の取り付けと同様にして、第3パネルユニットUCと第4パネルユニットUDとに取り付けられる。すなわち、第3水平パネルPH3は、第3パネルユニットUCの直交状態にされた第1立位パネルP1cの第2パネル面SB1と、第4パネルユニットUDの直交状態にされた第1立位パネルP1dの第2パネル面SB1及び第2立位パネルP2dの第2パネル面SB2とに対して取り付けられる。
【0060】
第3パネルユニットUC,第4パネルユニットUDも同様に、第1立位パネルP1c,P1dと第2立位パネルP2c,P2dとにより直交状態に位置決めされ、連結シート21によって位置ずれが抑えられているから、第2水平パネルPH2,第3水平パネルPH3の取り付けがしやすい。
【0061】
図9に示すように、立位パネルPは、第1パネル面SAを成す第1板材41と、第2パネル面SBを成す第2板材42と、第1板材41と第2板材42との間の芯材43とを備える。芯材43は第1板材41と第2板材42とに挟持固定されており、これにより、立位パネルPの強度が確保されている。芯材43は複数の空隙46を有し、これにより立位パネルPが軽量とされている。なお、別の図面を用いて後述するように、芯材43は、同様な形状をもつ複数の部材から形成されているが、
図9においては、符号43を付してある芯材の各断面に、互いに同じハッチングを施してある。なお、重なり状態と直交状態とで変化自在な前述の各立位パネル(例えば第1立位パネル1aと第2立位パネルP2a)についても同様に第1板材41と第2板材42と芯材43とを備える。
【0062】
前述の押さえ部材27は、断面が直角二等辺三角形であり、直角部分を立位パネルPの内部に向け、かつ、直角部分の頂点が厚み方向での中央に位置するように、設けてある。第1板材41と第2板材42との各側端面41a,42aは、この押さえ部材27と連結シート21を介して固定するように、45°の角度で切欠きを設けることで形成されている。これにより、第1板材41と押さえ部材27との接合面、及び第2板材42と押さえ部材27との接合面は、第1パネル面SA及び第2パネル面SBとのなす角θ1が45°となり、立位パネルPとしての強度がより強くなる。なお、
図9においては、図の煩雑化を避けるため、なす角θ1を第2パネル面SB側にのみ描いており、第1パネル面SA側については図示を略してある。
【0063】
本例では押さえ部材27は、矩形の立位パネルPの短辺を成す端面(以下、第3端面と称する)側にも設けてもよく、その場合の押さえ部材27は、第3端面を成す。ただし、第3端面側には連結シート21を設けていないから、第3端面側に設けている押さえ部材27は連結シート21を押さえるものではなく、立位パネルPとしての強度をより高める強化部材、あるいは、ブースの意匠性を高めるための部材として用いている。
【0064】
第1板材41と第2板材42とは、同じ素材で形成されていることが好ましい。これにより、立位パネルPの変形をより確実に抑制できるからである。本例では、第1板材41、第2板材42、芯材43を、同素材で形成しており、素材は、防水処理された紙としている。立位パネルPは紙で形成しているから極めて軽量である。このため、人力による搬入や搬出などが極めて容易である。また、防水処理によって紙に防水膜または防水相(領域)が形成されていることによって、温度や湿度などによる立位パネルPの吸水が抑制されており、立位パネルPは変形などの寸法変化がより確実に抑えられる。ただし、第1板材41と第2板材42との各素材は、本例に限定されず、例えば木など他の素材であってもよい。
【0065】
立位パネルPの厚みTPは、特に限定されないが、立位パネルPとしての通常の使用を想定した場合には、強度と軽量の確保とのバランスから、15mm以上50mm以下の範囲内がより好ましく、本例では例えば20mmとしている。第1板材41と第2板材42と同素材で形成する場合には、第1板材41の厚みT41と第2板材42の厚みT42とは等しくすることが好ましく、これにより立位パネルPの変形がより抑制される。厚みT41,T42は特に限定されず、本例では、強度と軽量の確保と変形抑制とのバランスの観点から、2mm以上5mm以下の範囲内としてある。芯材43の厚みT43は、特に限定されず、強度と軽量の確保と変形抑制とのバランスなどの観点で設定すればよい。
【0066】
図10に示すように、芯材43は複数の部材、本例では長尺の部材(以下、長尺部材と称する)43a,43b,43c,・・・で構成されている。長尺部材43a,43b,43c,・・・の各々は、山折りと谷折りを交互に等間隔で形成した、連続したZ字状(ジグザグ形状)となっている。折り目の角度は90°としている。長尺部材43aの山折りと谷折りとの折り目の概ね中間位置で,長尺部材43bの谷折りの折り目部分が位置するように、長尺部材43aと長尺部材43bとの接触面を接着する。同様に、長尺部材43bと長尺部材43cとを接着する。このように長尺部材43a,43b,43c,・・・が接合した芯材43には、複数の空隙46が、第1パネル面SAに沿って面状に並んで形成、しかも、規則的な配列で形成される。複数の空隙46が、第1パネル面SAに沿って並んで形成されているから、立位パネルPの強度がより強く確保される。また、複数の空隙46が規則的な配列となっているから、立位パネルPは、第1パネル面SA及び第2パネル面SBの全領域に渡って均一な強度になっている。
【0067】
この例では、複数の空隙46は形状が互いに同じであり、直方体状である。また、複数の空隙46の大きさは互いに等しく、短辺が概ね長辺の1/2となっている。この立位パネルPとしては、例えば、特許第6515226号公報に記載されるパネル材を用いることができ、パネル材の製造方法を適用することができる。
【0068】
ただし、芯材43は特に限定されない。例えば、
図11に示すように、波状、すなわちトタン状の長尺部材53a,53b,53c,・・・を接着し、これらが接合した芯材53であってもよい。この場合にも、複数の空隙46が、第1パネル面SA(
図4参照)に沿って面状に並んで形成、しかも、規則的な配列で形成される。
【符号の説明】
【0069】
11 ブースシステム
21 連結シート
e1,e2 第1端縁,第2端縁
E1,E2 第1端面,第2端面
P1a~P1d 第1立位パネル
P2a~P2d 第2立位パネル
P3a,P3c,P3d 第3立位パネル
P4d 第4立位パネル
PH1~PH3 第1水平パネル~第3水平パネル
SA1~SA3 第1パネル面
SB1~SB3 第2パネル面
UA~UD 第1パネルユニット~第4パネルユニット