IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ みずほ情報総研株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-集音装置 図1
  • 特開-集音装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051319
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】集音装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 7/04 20060101AFI20220324BHJP
   A61B 7/02 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
A61B7/04 B
A61B7/04 S
A61B7/02 U
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157738
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】592131906
【氏名又は名称】みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】下元 正義
(72)【発明者】
【氏名】永田 毅
(72)【発明者】
【氏名】前川 秀正
(72)【発明者】
【氏名】笠間 俊夫
(57)【要約】
【課題】人間の耳で音を確認しながら、集音することができる集音部材を提供する。
【解決手段】聴診器に取り付け可能なイヤーチップ40であって、聴診器の音の中空部42の側面に、聴診音に応じた周波数を集音可能なマイク50を設ける。このマイク50で集音した聴診音は、信号変換装置51を介して、分析装置60に送信される。分析装置60において、聴診音を分析する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
聴診器に取り付け可能な集音部材であって、
前記聴診器の音の導波路の側面に、聴診音に応じた周波数を集音可能なマイクを設けたことを特徴とする集音部材。
【請求項2】
前記マイクを、前記導波路の形状を変化させない位置に設けたことを特徴とする請求項1に記載の集音部材。
【請求項3】
前記マイクを、前記聴診器に取り付けるイヤーチップ内の空洞の側面に設けたことを特徴とする請求項2に記載の集音部材。
【請求項4】
前記聴診器の耳管部に固定する取付部を更に備え、
前記マイクを、前記取付部により、前記耳管部に密着させるように設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の集音部材。
【請求項5】
前記聴診器のチューブに固定する取付部を更に備え、
前記マイクを、前記取付部により、前記チューブに密着させるように設けたことを特徴とする請求項2~4の何れか一項に記載の集音部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集音するための集音部材に関する。
【背景技術】
【0002】
診察時等に、聴診器が利用されている。医師は、聴診器によって集音された音により、患者の呼吸音、胸膜音、心音、動静脈音等を確認する。また、従来の聴診器にマイクロホンを設け、このマイクロホンの出力を電気的に増幅して出力する電子式聴診器も検討されている。
【0003】
しかし、電子式聴診器は、マイクロホンの出力を電気的に増幅するため、従来型の聴診器と音質が異なるため、従来型の聴診器を使用している医師にとって違和感がある。そこで、従来型の聴診器と音質的に大差なく、経験を積んだ医師も装用可能な聴診器も検討されている(例えば、特許文献1参照)。この文献に記載された聴診器では、受音具で検出した音を導音管、左右一対の副導音管を経て外耳道に送り込むように構成する。副導音管の終端に設けたイヤーチップ内に配置した聴診用マイクロホン及び外界用マイクロホンと、これらのマイクロホンの出力を増幅する増幅器と、この増幅器の出力を音響変換するイヤホンを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-14914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、引用文献に記載された技術では、増幅器により、増幅された音を医師が聴くことになる。この場合、周囲の環境音等によっては、従来と同様の診察が困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する集音部材は、聴診器に取り付け可能であり、前記聴診器の音の導波路の側面に、聴診音に応じた周波数を集音可能なマイクを設けた。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、人間の耳で音を確認しながら、集音することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の聴診器の説明図。
図2】実施形態のイヤーチップの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図2に従って、集音部材を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、集音部材を取り付けた集音装置として、医師が用いる聴診器を説明する。
図1に示すように、聴診器ST1は、チェストピース10、チューブ20、耳管部30、イヤーチップ40(集音部材)を備える。
【0010】
チェストピース10を、人体等の集音対象に接触させて、音を捉える。チェストピース10で捉えた音は、チューブ20、左右一対の耳管部30に導かれる。
チューブ20は、パイプ状の可撓性部材で構成される。また、耳管部30は、パイプ状の剛性の高い部材で構成される。なお、左右の耳管部30は、互いに引き合うような力を付与する板バネで連結される。
【0011】
耳管部30の端部には、イヤーチップ40が装着される。聴診器ST1の使用時には、イヤーチップ40は、医師の外耳道に挿入される。そして、装用者は、イヤーチップ40により外耳道に導かれた音によって、被検者の呼吸音、胸膜音、心音、動静脈音等を確認する。
【0012】
図2に示すように、イヤーチップ40は、耳管部30を挿入するための開口部41が設けられている。この開口部41は、これに連通する中空部42により、他端の開口部43に接続される。使用時には、開口部43により、医師の外耳道に音を伝達する。
【0013】
中空部42の側面には、マイク50が設けられている。このマイク50により、聴診音に応じた周波数(20Hz~1000Hz)を集音する。
マイク50には、信号変換装置51が有線で接続される。この信号変換装置51は、バッテリ、信号変換部、無線発信部を備える。そして、信号変換装置51は、マイク50でピックアップした聴診音を信号変換して、Bluetooth(登録商標)等の無線通信により外部に送信する。信号変換では、例えば、サンプリングレート4000Hz以上、量子化16bit、モノラルで、20Hz~1000Hzのゲインとして、ほぼ一定値を用いる。なお、周波数は、20Hz~1000Hzに限定されるものではなく、例えば、10Hz~2000Hzの周波数範囲で集音するようにしてもよい。
【0014】
分析装置60は、信号変換装置51により送信された無線信号を受信する。
この分析装置60は、信号変換された聴診音を、周波数変換等の各種信号処理により分析し、出力する。例えば、聴診音をパターン認識することにより、各種疾患を特定して出力する。
【0015】
(作用)
マイク50は、音の導波路(音の通り道)の側面に、導波路を妨げることなく設けられているため、聴診音の障害にならず、聴診音を、そのまま外耳道に伝達することができる。
【0016】
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、イヤーチップ40の中空部42の側面には、マイク50が設けられている。このため、従来と同様に、音響特性の影響を与えることなく、聴診器による診察を行なうことができる。更に、イヤーチップ40にマイク50が組み込まれるため、別の聴診器を用いる場合にも、イヤーチップ40を交換すれば、使い回すことができる。更に、イヤーチップ40にマイク50が組み込まれているため、医師の耳元で聞こえる音を集音できるとともに、風切り音等の外部等からのノイズを抑制できる。
【0017】
(2)本実施形態では、マイク50が設けられている。このマイク50により、音(20Hz~1000Hz)を集音する。心臓聴診におけるI音(僧帽弁が閉まる音)やII音(大動脈弁が閉まる音)、III音(心室充満音)及びIV音(心房音)、ギャロップリズム、僧帽弁狭窄、消化器官、駆出性雑音、大動脈及び僧帽弁逆流、呼吸器等による聴診音を集音することができる。
【0018】
(3)本実施形態では、信号変換装置51は、マイク50でピックアップした聴診音を信号変換して、無線通信により分析装置60に送信する。これにより、聴診音を妨げることなく、本来の診察の障害にならない。
【0019】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、イヤーチップ40の中空部42の側面には、マイク50が設けられている。外部等からのノイズを抑制でき、音響特性の影響を与えることがない音の導波路の側面であれば、イヤーチップ40の中空部42の側面に限定されるものではない。例えば、チェストピース10、チューブ20、耳管部30の導波路の側面に、導波路の形状を変化させない位置にマイク50を設けてもよい。チューブ20又は耳管部30にマイク50を設ける場合には、チューブ20、耳管部30に固定する取付部と、この取付部により密着させるマイクとを設ける。
また、異なる位置に、複数のマイク50を設けてもよい。例えば、両側のイヤーチップ40にマイク50を設けてもよい。また、イヤーチップ40とチェストピース10、チューブ20、耳管部30の何れかと組み合わせてマイク50を設けてもよい。
【0020】
・上記実施形態では、集音装置として、医師が用いる聴診器に適用した。本発明の適用対象は、集音する装置であれば、聴診器に限定されるものではない。
【0021】
・上記実施形態では、信号変換装置51は、無線通信により、分析装置60に信号を送信する。信号の送信方法は無線に限定されるものではなく、有線でもよい。また、マイク50と信号変換装置51とを一体で構成してもよい。
【符号の説明】
【0022】
ST1…聴診器、10…チェストピース、20…チューブ、30…耳管部、40…イヤーチップ、50…マイク、51…信号変換装置、60…分析装置。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2021-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
聴診器に取り付け可能な集音装置であって、
前記聴診器に取り付けるイヤーチップ内の中空部の側面で、前記中空部における導波路の形状を変化させない位置に、聴診音に応じた周波数を集音可能なマイクと、
前記マイクでピックアップした聴診音を信号変換する信号変換部と、
前記信号変換された聴診音を、無線通信により外部に送信する無線発信部と、を備えることを特徴とする集音装置
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、集音するための集音装置に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決する集音装置は、聴診器に取り付け可能であり、前記聴診器の音の導波路の側面に、聴診音に応じた周波数を集音可能なマイクを設けた。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
以下、図1図2に従って、集音装置を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、集音部材を取り付けた集音装置として、医師が用いる聴診器を説明する。
図1に示すように、聴診器ST1は、チェストピース10、チューブ20、耳管部30、イヤーチップ40(集音部材)を備える。