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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051338
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/10 20060101AFI20220324BHJP
   G11C 11/56 20060101ALI20220324BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
G11C16/10 170
G11C11/56 210
G11C16/04 170
G11C16/10 160
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157763
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】松野 隼也
(72)【発明者】
【氏名】久保田 賢郎
(72)【発明者】
【氏名】堂目 正人
(72)【発明者】
【氏名】山本 健介
(72)【発明者】
【氏名】白石 圭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一彦
(72)【発明者】
【氏名】福田 良
(72)【発明者】
【氏名】小柳 勝
【テーマコード(参考)】
5B225
【Fターム(参考)】
5B225BA02
5B225BA19
5B225CA01
5B225EA05
5B225EF11
5B225EF15
5B225FA02
(57)【要約】
【課題】高速動作可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、入力信号Din<0>を受け取り、クロック信号Sig1の電圧が或るレベルの間、前記入力信号の電圧が或るレベルであることに応じて第1電圧を、前記入力信号の電圧が別のレベルであることに応じて前記第1電圧より低い第2電圧を、第1ノードN1に供給する、ように構成される第1回路1231と、前記クロック信号に基づいて、前記第1ノードの電位に基づくデータをラッチする、ように構成される第2回路1232と、前記第1回路が前記第1電圧を前記第1ノードに供給する間に前記第1電圧より低い第3電圧を前記第1ノードに供給し、前記第1回路が前記第2電圧を前記第1ノードに供給する間に前記第2電圧より高い第4電圧を前記第1ノードに供給する、ように構成される第3回路1233とを含む。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号と、第1レベルと第2レベルとの間で電圧が交互に替わるクロック信号とを受け取り、前記クロック信号の電圧が前記第1レベルの間、前記入力信号の電圧が第3レベルであることに応じて第1電圧を、前記入力信号の電圧が第4レベルであることに応じて第2電圧を、第1ノードに供給する、ように構成され、前記第1電圧は前記第2電圧より高い、第1回路と、
前記第1ノードに接続され、前記クロック信号を受け取り、前記クロック信号に基づいて、前記第1ノードの電位に基づくデータをラッチする、ように構成される第2回路と、
前記第1ノードに接続され、前記第1回路が前記第1電圧を前記第1ノードに供給する間に第3電圧を前記第1ノードに供給し、前記第1回路が前記第2電圧を前記第1ノードに供給する間に第4電圧を前記第1ノードに供給する、ように構成され、前記第3電圧は前記第1電圧より低く前記第4電圧は前記第2電圧より高い、第3回路と
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第3電圧は前記第4電圧より低い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3回路はインバータを備え、前記第3電圧および前記第4電圧は、前記第1ノードの電位に基づいて前記インバータにより供給される、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1電圧と前記第2電圧との差は、前記第4電圧と前記第3電圧の差と等しい、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3電圧は前記第2電圧と同一であり、前記第4電圧は前記第1電圧と同一である、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1回路は、前記第1電圧が印加される第2ノードと、前記第2電圧が印加される第3ノードとに接続され、
前記第3回路は、前記第3電圧が印加される第4ノードと、前記第4電圧が印加される第5ノードとに接続され、
前記第1回路が前記第1電圧を前記第1ノードに供給しつつ前記第3回路が前記第3電圧を前記第1ノードに供給する間、前記第4ノードから前記第1ノードまでの経路の抵抗は、前記第2ノードから前記第1ノードまでの経路の抵抗より大きく、
前記第1回路が前記第2電圧を前記第1ノードに供給しつつ前記第3回路が前記第4電圧を前記第1ノードに供給する間、前記第5ノードから前記第1ノードまでの経路の抵抗は、前記第3ノードから前記第1ノードまでの経路の抵抗より大きい、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第3回路は、前記クロック信号を受け取り、前記クロック信号の電圧が前記第2レベルの間、前記第3電圧および前記第4電圧を前記第1ノードに供給しない、ようにさらに構成される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体装置は、
前記クロック信号を受け取り、前記クロック信号に基づく第1信号を出力する、ように構成される第4回路をさらに備え、
前記第1信号の電圧は、前記クロック信号の電圧が前記第1レベルの間に第5レベルから第6レベルになって、前記クロック信号の電圧が前記第1レベルから前記第2レベルになるまで前記第6レベルであり、
前記第3回路は、前記第1信号を受け取り、前記第1信号の電圧が前記第5レベルの間、前記第3電圧および前記第4電圧を前記第1ノードに供給しない、ようにさらに構成される、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体装置は、
前記クロック信号を受け取り、前記クロック信号に基づく第1信号を出力する、ように構成される第4回路をさらに備え、
前記第1信号の電圧は、前記クロック信号の電圧が前記第1レベルの間に前記第1ノードの電位が第5レベルから第6レベルに変化することに応じて第7レベルから第8レベルになり、
前記第3回路は、前記第1信号を受け取り、前記第1信号の電圧が前記第8レベルの間、前記第3電圧および前記第4電圧を前記第1ノードに供給しない、ようにさらに構成される、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体装置は、
前記クロック信号を受け取り、前記クロック信号に基づく第1信号を出力する、ように構成される第4回路をさらに備え、
前記第1信号の電圧は、前記クロック信号の電圧が前記第1レベルの間に前記入力信号の電圧が前記第3レベルと前記第4レベルとの間で変化する場合、前記クロック信号の電圧が前記第1レベルの間であって前記入力信号の前記変化の前に第5レベルから第6レベルになって、前記入力信号の前記変化まで前記第6レベルであり、
前記第3回路は、前記第1信号を受け取り、前記第1信号の電圧が前記第5レベルの間、前記第3電圧および前記第4電圧を前記第1ノードに供給しない、ようにさらに構成される、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
入力信号と、第1レベルと第2レベルとの間で電圧が交互に替わるクロック信号とを受け取り、前記クロック信号の電圧が前記第1レベルの間、前記入力信号の電圧が第3レベルであることに応じて第1電圧を、前記入力信号の電圧が第4レベルであることに応じて第2電圧を、第1ノードに供給する、ように構成され、前記第1電圧は前記第2電圧より高い、第1回路と、
前記第1ノードおよび第2ノードに接続され、前記クロック信号を受け取り、前記クロック信号に基づいて、前記第1ノードの電位に基づくデータをラッチする、ように構成される第2回路と
を備え、
前記第2回路はインバータを備え、前記インバータの入力端子は前記第1ノードに接続され、前記インバータの出力端子は前記第2ノードに接続され、
前記インバータは、前記第1ノードの電位に基づき前記第1電圧または前記第2電圧を前記第2ノードに供給し、
前記第2回路は、前記第1回路が前記第1電圧を前記第1ノードに供給する間に、前記インバータにより前記第2ノードに供給された前記第2電圧を前記第1ノードに供給し、前記第1回路が前記第2電圧を前記第1ノードに供給する間に、前記インバータにより前記第2ノードに供給された前記第1電圧を前記第1ノードに供給する、ようにさらに構成される、
半導体装置。
【請求項12】
前記第1回路は、前記第1電圧が印加される第3ノードと、前記第2電圧が印加される第4ノードとに接続され、
前記第2回路は、前記第2電圧が印加される第5ノードと、前記第1電圧が印加される第6ノードとに接続され、
前記第1回路が前記第1電圧を前記第1ノードに供給しつつ前記第2回路が前記第2電圧を前記第1ノードに供給する間、前記第5ノードから前記第1ノードまでの経路の抵抗は、前記第3ノードから前記第1ノードまでの経路の抵抗より大きく、
前記第1回路が前記第2電圧を前記第1ノードに供給しつつ前記第2回路が前記第1電圧を前記第1ノードに供給する間、前記第6ノードから前記第1ノードまでの経路の抵抗は、前記第4ノードから前記第1ノードまでの経路の抵抗より大きい、
請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2回路は、前記クロック信号を受け取り、前記クロック信号の電圧が前記第2レベルの間、前記第1電圧および前記第2電圧を前記第1ノードに供給しない、ようにさらに構成される、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記半導体装置は、
前記クロック信号を受け取り、前記クロック信号に基づく第1信号を出力する、ように構成される第3回路をさらに備え、
前記第1信号の電圧は、前記クロック信号の電圧が前記第1レベルの間に第5レベルから第6レベルになって、前記クロック信号の電圧が前記第1レベルから前記第2レベルになるまで前記第6レベルであり、
前記第2回路は、前記第1信号を受け取り、前記第1信号の電圧が前記第5レベルの間、前記第1電圧および前記第2電圧を前記第1ノードに供給しない、ようにさらに構成される、
請求項11に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体装置は、
前記クロック信号を受け取り、前記クロック信号に基づく第1信号を出力する、ように構成される第3回路をさらに備え、
前記第1信号の電圧は、前記クロック信号の電圧が前記第1レベルの間に前記第1ノードの電位が第5レベルから第6レベルに変化することに応じて第7レベルから第8レベルになり、
前記第2回路は、前記第1信号を受け取り、前記第1信号の電圧が前記第8レベルの間、前記第1電圧および前記第2電圧を前記第1ノードに供給しない、ようにさらに構成される、
請求項11に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記半導体装置は、
前記クロック信号を受け取り、前記クロック信号に基づく第1信号を出力する、ように構成される第3回路をさらに備え、
前記第1信号の電圧は、前記クロック信号の電圧が前記第1レベルの間に前記入力信号の電圧が前記第3レベルと前記第4レベルとの間で変化する場合、前記クロック信号の電圧が前記第1レベルの間であって前記入力信号の前記変化の前に第5レベルから第6レベルになって、前記入力信号の前記変化まで前記第6レベルであり、
前記第2回路は、前記第1信号を受け取り、前記第1信号の電圧が前記第5レベルの間、前記第1電圧および前記第2電圧を前記第1ノードに供給しない、ようにさらに構成される、
請求項11に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置としてNAND型フラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-008859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高速動作可能な半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、入力信号と、第1レベルと第2レベルとの間で電圧が交互に替わるクロック信号とを受け取り、前記クロック信号の電圧が前記第1レベルの間、前記入力信号の電圧が第3レベルであることに応じて第1電圧を、前記入力信号の電圧が第4レベルであることに応じて第2電圧を、第1ノードに供給する、ように構成され、前記第1電圧は前記第2電圧より高い、第1回路と、前記第1ノードに接続され、前記クロック信号を受け取り、前記クロック信号に基づいて、前記第1ノードの電位に基づくデータをラッチする、ように構成される第2回路と、前記第1ノードに接続され、前記第1回路が前記第1電圧を前記第1ノードに供給する間に第3電圧を前記第1ノードに供給し、前記第1回路が前記第2電圧を前記第1ノードに供給する間に第4電圧を前記第1ノードに供給する、ように構成され、前記第3電圧は前記第1電圧より低く前記第4電圧は前記第2電圧より高い、第3回路とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムの構成の一例を示すブロック図。
図2】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成の一例を示すブロック図。
図3】第1実施形態に係る半導体記憶装置のプレーンの構成の一例を示すブロック図。
図4】第1実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイの回路構成の一例を示す図。
図5】第1実施形態に係る半導体記憶装置の一部の断面構造の一例を示す断面図。
図6】第1実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルトランジスタにより形成される閾値電圧分布の一例を示す図。
図7】第1実施形態に係る半導体記憶装置の入出力回路の構成の一例を示すブロック図。
図8】第1実施形態に係る半導体記憶装置の入出力回路のさらなる構成の一例を示すブロック図。
図9】第1実施形態に係る半導体記憶装置の入出力回路中の2つの入力回路および1つのラッチ回路の構成の一例を示す図。
図10】第1実施形態に係る半導体記憶装置のラッチ回路中の部分ラッチ回路の構成の一例を示す図。
図11】第1実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路の回路構成の一例を示す図。
図12】第1実施形態に係る半導体記憶装置により実行される或る書込み動作に係るコマンドセットと他の各種信号の時間変化とを示すタイミングチャートの一例を示す図。
図13】第1実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路が、或る信号により送られる或るビットのデータをラッチする際の、各種信号の時間変化を示すタイミングチャートの一例を示す図。
図14】第1実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路が、或る信号により送られる或るビットのデータをラッチする際の、各種信号の時間変化を示すタイミングチャートの別の例を示す図。
図15】第1実施形態の比較例に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路が、或る信号により送られる或るビットのデータをラッチする際の、各種信号の時間変化を示すタイミングチャートの一例を示す図。
図16】第2実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路の構成の一例を示す図。
図17】第2実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路の回路構成の一例を示す図。
図18】第2実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路が、或る信号により送られる或るビットのデータをラッチする際の、各種信号の時間変化を示すタイミングチャートの一例を示す図。
図19】第2実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路の電位調整回路の回路構成の別の例を示す図。
図20】第3実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路の構成の一例を示す図。
図21】第3実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路の回路構成の一例を示す図。
図22】第4実施形態に係る半導体記憶装置の入出力回路の構成の一例を示すブロック図。
図23】第4実施形態に係る半導体記憶装置の入出力回路中の信号成形回路の回路構成の一例を示す図。
図24】第4実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路の構成の一例を示す図。
図25】第4実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路の回路構成の一例を示す図。
図26】第4実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路が、或る信号により送られる或るビットのデータをラッチする際の、各種信号の時間変化を示すタイミングチャートの一例を示す図。
図27】第5実施形態に係る半導体記憶装置の信号成形回路の回路構成の一例を示す図。
図28】第5実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路が、或る信号により送られる或るビットのデータをラッチする際の、各種信号の時間変化を示すタイミングチャートの一例を示す図。
図29】第6実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路の構成の一例を示す図。
図30】第6実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路の回路構成の一例を示す図。
図31】第6実施形態に係る半導体記憶装置の信号成形回路の回路構成の一例を示す図。
図32】第6実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路が、或る信号により送られる或るビットのデータをラッチする際の、各種信号の時間変化を示すタイミングチャートの一例を示す図。
図33】第7実施形態に係る半導体記憶装置の信号成形回路の回路構成の一例を示す図。
図34】第7実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路が、或る信号により送られる或るビットのデータをラッチする際の、各種信号の時間変化を示すタイミングチャートの一例を示す図。
図35】第8実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路の構成の一例を示す図。
図36】第9実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路の構成の一例を示す図。
図37】第9実施形態に係る半導体記憶装置の部分ラッチ回路の回路構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。以下の説明において、同一の機能および構成を有する構成要素には共通する参照符号を付す。共通する参照符号を有する複数の構成要素を区別する場合には、当該共通する参照符号に添え字を付して区別する。複数の構成要素について特に区別を要さない場合には、当該複数の構成要素には、共通する参照符号のみを付し、添え字は付さない。
【0008】
各機能ブロックを、ハードウェアおよびソフトウェアのいずれかまたは両方を組み合わせたものにより実現することが可能である。また、各機能ブロックが以下に説明されるように区別されていることは必須ではない。例えば、一部の機能が例示の機能ブロックとは別の機能ブロックにより実行されてもよい。さらに、例示の機能ブロックがさらに細かい機能サブブロックに分割されていてもよい。また、以下の説明における各機能ブロックおよび各構成要素の名称は便宜的なものであり、各機能ブロックおよび各構成要素の構成および動作を限定するものではない。
【0009】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態に係る半導体記憶装置1について説明する。
【0010】
[構成例]
(1)メモリシステム
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1を含むメモリシステム3の構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
メモリシステム3は、半導体記憶装置1およびメモリコントローラ2を含み、ホスト装置4により制御される。メモリシステム3は、例えば、SSD(Solid State Drive)またはSDTMカード等である。
【0012】
半導体記憶装置1は、メモリコントローラ2により制御される。メモリコントローラ2は、ホスト装置4からホストコマンドを受け取り、当該ホストコマンドに基づいて半導体記憶装置1を制御する。
【0013】
メモリコントローラ2は、ホストインタフェース回路21、CPU(Central Processing Unit)22、RAM(Random Access Memory)23、ROM(Read Only Memory)24、およびメモリインタフェース回路25を含む。メモリコントローラ2は、例えばSoC(System-on-a-Chip)として構成される。
【0014】
ROM24はファームウェア(プログラム)を格納する。RAM23は、当該ファームウェアを保持可能であり、CPU22の作業領域として使用される。RAM23はさらに、データを一時的に保持し、バッファおよびキャッシュとして機能する。ROM24に格納されていてRAM23上にロードされたファームウェアがCPU22により実行される。これにより、メモリコントローラ2は、書込み動作および読出し動作等を含む種々の動作、ならびに、ホストインタフェース回路21およびメモリインタフェース回路25の機能の一部を実行する。
【0015】
ホストインタフェース回路21は、ホストインタフェースを介してホスト装置4に接続され、メモリコントローラ2とホスト装置4との間の通信を司る。例えば、ホストインタフェース回路21は、ホスト装置4からメモリコントローラ2に送られるホストコマンドを受け取る。メモリインタフェース回路25は、メモリインタフェースを介して半導体記憶装置1に接続され、メモリコントローラ2と半導体記憶装置1との間の通信を司る。メモリインタフェースは、例えば、チップイネーブル信号bCE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号bWE、リードイネーブル信号bRE、ライトプロテクト信号bWP、レディ/ビジー信号bR/B、入出力クロック信号DQSおよびbDQS、ならびに信号DQ<0>~DQ<7>を伝送する。以下、信号DQ<0>~DQ<7>を信号DQ<7:0>と表記する。以下の同様の表記についても同じである。メモリインタフェース回路25は、例えば、ホスト装置4からのホストコマンドに基づいて、コマンドおよびアドレス情報を含むコマンドセットを生成し、当該コマンドセットを信号DQ<7:0>を介して半導体記憶装置1に送信する。
【0016】
(2)半導体記憶装置
図2は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の構成の一例を示すブロック図である。第1実施形態に係る半導体記憶装置1は、例えば、データを不揮発に記憶することが可能なNAND型フラッシュメモリである。
【0017】
半導体記憶装置1は、コア部11、入出力回路12、ロジック制御回路13、レジスタ14、シーケンサ15、電圧生成回路16、およびドライバセット17を含む。
【0018】
コア部11は、複数のプレーンPB(図2では、プレーンPB0およびプレーンPB1が例示されている。)を含む。各プレーンPBはメモリセルアレイを含む。半導体記憶装置1では、書込みデータDATを或るプレーンのメモリセルアレイに記憶させる書込み動作、読出しデータDATを或るプレーンのメモリセルアレイから読み出す読出し動作等の、各種動作が実行される。
【0019】
入出力回路12は、メモリコントローラ2との間での信号DQ<7:0>ならびに信号DQSおよび信号bDQSの入出力を制御する。信号DQ<7:0>は、コマンドCMD、データDAT、およびアドレス情報ADDを含む。コマンドCMDは、例えば、ホスト装置4からのホストコマンドに応じた処理を半導体記憶装置1に実行させるためのコマンドを含む。データDATは、書込みデータまたは読出しデータを含む(以下、書込みデータと読出しデータとのいずれにも参照符号DATを用いて説明を行う。)。アドレス情報ADDは、例えばカラムアドレスおよびブロックアドレスを含む。ブロックアドレスは、例えばプレーンアドレスを含む。以下ではブロックアドレスがプレーンアドレスを含むものとして説明を行う。信号DQSおよび信号bDQSは、入出力回路12による信号DQ<7:0>の入力および出力を可能にするために使用される信号である。信号DQSおよび信号bDQSの各々の電圧は、例えば、信号DQ<7:0>によりデータDATが送られている間にハイ(H)レベルとロー(L)レベルとに交互になるように周期的にトグル(toggle)される。信号DQSの電圧がHレベルの間は信号bDQSの電圧はLレベルであり、信号DQSの電圧がLレベルの間は信号bDQSの電圧はHレベルである。このような関係に2つの信号がある場合、当該2つの信号の各々はもう一方の信号の相補信号であるとも称する。以下では、レベルという用語を用いる場合、他に特別な言及がない限り、このように電圧のレベルに言及しているものとして説明を行う。
【0020】
入出力回路12による信号DQ<7:0>の入出力についてより具体的に説明する。入出力回路12は、メモリコントローラ2から、書込みデータDAT、コマンドCMD、およびアドレス情報ADDを受信し、受信した書込みデータDATをコア部11に転送し、受信したアドレス情報ADDおよびコマンドCMDをレジスタ14に転送する。入出力回路12は、コア部11から読出しデータDATを受け取り、当該読出しデータDATをメモリコントローラ2に送信する。
【0021】
ロジック制御回路13は、メモリコントローラ2から、例えば、チップイネーブル信号bCE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号bWE、リードイネーブル信号bRE、およびライトプロテクト信号bWPを受信する。ロジック制御回路13は、受信される信号に基づいて、入出力回路12およびシーケンサ15を制御する。
【0022】
チップイネーブル信号bCEは、半導体記憶装置1をイネーブルにするために使用される信号である。コマンドラッチイネーブル信号CLEは、半導体記憶装置1に入力されている信号DQ<7:0>によりコマンドCMDが送られていることを入出力回路12に通知するために使用される信号である。アドレスラッチイネーブル信号ALEは、半導体記憶装置1に入力されている信号DQ<7:0>によりアドレス情報ADDが送られていることを入出力回路12に通知するために使用される信号である。ライトイネーブル信号bWEは、入出力回路12による信号DQ<7:0>の入力を可能にするために使用される信号である。ライトイネーブル信号bWEは、例えば、信号DQ<7:0>によりコマンドCMDまたはアドレス情報ADDが送られている間にトグルされる。リードイネーブル信号bREは、入出力回路12による信号DQ<7:0>の出力を可能にするために使用される信号である。ライトプロテクト信号bWPは、半導体記憶装置1におけるデータの書込みおよび消去を禁止するために使用される信号である。
【0023】
ロジック制御回路13は、シーケンサ15による制御にしたがってレディ/ビジー信号bR/Bを生成し、生成したレディ/ビジー信号bR/Bをメモリコントローラ2に送信する。レディ/ビジー信号bR/Bは、半導体記憶装置1がレディ状態とビジー状態とのいずれにあるかをメモリコントローラ2に通知するために使用される信号である。レディ状態では、半導体記憶装置1はメモリコントローラ2からのコマンドを受け付ける。ビジー状態では、半導体記憶装置1は、メモリコントローラ2からのコマンドを、例外を除いて受け付けない。
【0024】
レジスタ14は、入出力回路12から転送されるコマンドCMDおよびアドレス情報ADDを保持する。レジスタ14は、例えば、当該コマンドCMDおよびアドレス情報ADDを、シーケンサ15に転送する。
【0025】
シーケンサ15は、レジスタ14に保持されるコマンドCMDに基づいて、半導体記憶装置1全体の動作を制御する。シーケンサ15は、例えば、レジスタ14に保持されるアドレス情報ADDに基づいて制御信号CNTを生成し、生成した制御信号CNTをコア部11に出力する。制御信号CNTは、例えばブロックアドレスを含む。制御信号CNTにより、コア部11に含まれる複数のプレーンPBのうち対象のプレーンPBを制御することが可能となる。シーケンサ15は、電圧生成回路16、ドライバセット17、および当該対象のプレーンPBを制御して、当該対象のプレーンPBに対するデータの書込み動作、読出し動作、および消去動作等の各種動作を実行する。
【0026】
電圧生成回路16は、シーケンサ15による制御に基づいて、書込み動作、読出し動作、および消去動作等に使用される各種電圧を生成し、生成した電圧をドライバセット17に供給する。
【0027】
ドライバセット17は、電圧生成回路16から供給される電圧等から、例えば、書込み動作および読出し動作等で使用される各種電圧を、コア部11に転送する。
【0028】
(3)プレーン
図3は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1のプレーンPB0およびPB1の構成の一例を示すブロック図である。
【0029】
プレーンPB0は、メモリセルアレイMCA0、ロウデコーダモジュールRD0、データレジスタDR0、およびセンスアンプモジュールSA0を含む。
【0030】
プレーンPB1は、メモリセルアレイMCA1、ロウデコーダモジュールRD1、データレジスタDR1、およびセンスアンプモジュールSA1を含む。
【0031】
制御信号CNTによりプレーンPB0が対象のプレーンであると特定されたものとして、プレーンPB0の構成について説明を行う。
メモリセルアレイMCA0は、ブロックBLK0~BLK(n-1)(nは1以上の整数)を含む。ブロックBLKは、ビット線およびワード線に関連付けられた複数の不揮発性メモリセルを含み、例えばデータの消去単位となる。半導体記憶装置1では、例えば、SLC(Single-Level Cell)方式、MLC(Multi-Level Cell)方式、TLC(Three-Level Cell)方式、またはQLC(Quad-Level Cell)方式を適用可能である。SLC方式では、各メモリセルに1ビットデータが保持され、MLC方式では、各メモリセルに2ビットデータが保持され、TLC方式では、各メモリセルに3ビットデータが保持され、QLC方式では、各メモリセルに4ビットデータが保持される。なお、5ビット以上のデータが各メモリセルに保持されるようにしてもよい。
【0032】
ロウデコーダモジュールRD0は、レジスタ14に保持されるアドレス情報ADD中のブロックアドレスを受け取り、当該ブロックアドレスに基づいて、読出し動作および書込み動作等の各種動作を実行する対象のブロックBLK等を選択する。ロウデコーダモジュールRD0は、選択されたブロックBLKに、ドライバセット17から供給される各種電圧を転送可能である。
【0033】
データレジスタDR0は、入出力回路12にデータバスを介して接続される。当該データバスは、例えば、信号DQ<7:0>にそれぞれ対応付けられた8本のデータ線により構成される。データレジスタDR0は、複数のラッチ回路を含む。データレジスタDR0は、入出力回路12から書込みデータDATを受け取り、当該書込みデータDATを複数のラッチ回路に一時的に保持し、当該保持された書込みデータDATをセンスアンプモジュールSA0に転送する。データレジスタDR0は、センスアンプモジュールSA1から読出しデータDATを受け取り、当該読出しデータDATを複数のラッチ回路に一時的に保持する。データレジスタDR0は、例えば、レジスタ14に保持されるアドレス情報ADD中のカラムアドレスを受け取り、当該カラムアドレスに基づいて、当該保持された読出しデータDATを入出力回路12に転送する。
【0034】
センスアンプモジュールSA0は、データレジスタDR0から書込みデータDATを受け取り、当該書込みデータDATをメモリセルアレイMCA0に転送する。また、センスアンプモジュールSA0は、メモリセルアレイMCA0内の複数のメモリセルトランジスタそれぞれの閾値電圧をセンスして読出しデータDATを生成し、当該読出しデータDATをデータレジスタDR0に転送する。
【0035】
プレーンPB1についても、上記でプレーンPB0について説明したのと同様のことが当てはまる。例えば上記の説明において、プレーンPB0をプレーンPB1に、メモリセルアレイMCA0をメモリセルアレイMCA1に、ロウデコーダモジュールRD0をロウデコーダモジュールRD1に、データレジスタDR0をデータレジスタDR1に、センスアンプモジュールSA0をセンスアンプモジュールSA1に置き換えればよい。このように、コア部11に含まれるプレーンPBの各々が、プレーンPB0について説明したのと同様の構成を有し得る。
【0036】
(4)メモリセルアレイ
以下、プレーンPB0のメモリセルアレイMCA0の構成の詳細を説明する。以下で説明するのと同様の構成を、コア部11に含まれるプレーンPBの各々のメモリセルアレイMCAが有し得る。
【0037】
図4は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1のメモリセルアレイMCA0の回路構成の一例を示す。メモリセルアレイMCA0の回路構成の一例として、メモリセルアレイMCA0に含まれる或るブロックBLKの回路構成の一例が示されている。メモリセルアレイMCA0に含まれるブロックBLKの各々が、図4に示されるのと同様の回路構成を有し得る。
【0038】
当該ブロックBLKは、例えば4つのストリングユニットSU0~SU3を含む。各ストリングユニットSUは、複数のNANDストリングNSを含む。当該複数のNANDストリングNSはそれぞれ、m本のビット線BL0~BL(m-1)(mは1以上の整数)に1対1に対応付けられている。各NANDストリングNSは、対応付けられたビット線BLに接続され、例えばメモリセルトランジスタMT0~MT7ならびに選択トランジスタST1およびST2を含む。各メモリセルトランジスタMTは、制御ゲート(以下、ゲートとも称する。)および電荷蓄積層を含んでおり、データを不揮発に記憶する。選択トランジスタST1およびST2の各々は、各種動作時における、当該選択トランジスタST1およびST2を含むNANDストリングNSの選択に使用される。
【0039】
選択トランジスタST1のドレインは、当該選択トランジスタST1を含むNANDストリングNSに対応付けられたビット線BLに接続される。当該選択トランジスタST1のソースと、当該NANDストリングNSの選択トランジスタST2のドレインとの間に、メモリセルトランジスタMT0~MT7が直列接続される。当該選択トランジスタST2のソースは、ソース線SLに接続される。
【0040】
次の説明は、図4の例では、pが0から3の整数の各々のケースについて、また、qが0から7の整数の各々のケースについて、当てはまる。ストリングユニットSUpに含まれるNANDストリングNSそれぞれの選択トランジスタST1のゲートは、セレクトゲート線SGDpに共通して接続される。ストリングユニットSUpに含まれるNANDストリングNSそれぞれの選択トランジスタST2のゲートは、セレクトゲート線SGSpに共通して接続される。同一のブロックBLKに含まれるNANDストリングNSそれぞれのメモリセルトランジスタMTqのゲートは、ワード線WLqに共通して接続される。
【0041】
各ビット線BLは、同一のブロックBLKのストリングユニットSUそれぞれに含まれる対応付けられたNANDストリングNSの選択トランジスタST1のドレインに接続される。ソース線SLは、複数のストリングユニットSU間で共有される。
【0042】
1つのストリングユニットSU中の、1つのワード線WLに共通して接続されるメモリセルトランジスタMTの集合は、例えばセルユニットCUと称される。例えば、セルユニットCU内のメモリセルトランジスタMTそれぞれに保持される同位の1ビットのデータの集合を、例えば「1ページデータ」と呼ぶ。1つのセルユニットCUには、このような「1ページデータ」が複数保持され得る。
【0043】
以上でメモリセルアレイMCA0の回路構成について説明したが、メモリセルアレイMCA0の回路構成は上述したものに限定されない。例えば、各ブロックBLKが含むストリングユニットSUの個数を任意の個数に設計することが可能である。また、各NANDストリングNSが含むメモリセルトランジスタMTならびに選択トランジスタST1およびST2の各々の個数を任意の個数に設計することが可能である。ワード線WLならびにセレクトゲート線SGDおよびSGSの本数それぞれは、NANDストリングNS中のメモリセルトランジスタMTならびに選択トランジスタST1およびST2の個数に基づいて変更される。
【0044】
図5は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の一部の断面構造の一例を示す断面図である。図5の例では、層間絶縁体が省略されている。図5に図示される断面構造は一例に過ぎず、半導体記憶装置1の断面構造は、図示されているものに限定されない。
【0045】
以下、図5を参照してメモリセルアレイMCA0の或るブロックBLKの構造を説明する。メモリセルアレイMCA0に含まれるブロックBLKの各々が、図5に示されるのと同様の構造により実現され得る。
【0046】
半導体記憶装置1は、半導体基板31を含む。半導体基板31の面に平行な互いに交わる2方向をX方向およびY方向として定義する。当該面に交わりメモリセルアレイMCA0が形成される側に向かう方向をZ方向として定義する。X方向とY方向とが直交し、Z方向がX方向およびY方向に直交するものとして説明するが、これらの3つの方向の関係は必ずしもこれに限定されるものではない。以下では、Z方向を「上」とし、Z方向と反対方向を「下」として説明を行うが、この表記は便宜的なものに過ぎず、例えば重力の方向とは無関係である。
【0047】
半導体基板31中にP型ウェル領域Wが設けられている。P型ウェル領域Wは、半導体基板31の上面に達している。P型ウェル領域Wは、半導体基板31に例えばボロン(B)がドープされた領域である。
【0048】
P型ウェル領域Wの上方に、ストリングユニットSU0のメモリセルトランジスタMT0~MT7ならびに選択トランジスタST1およびST2が位置する領域、ストリングユニットSU1の同様の領域、ストリングユニットSU2の同様の領域、および、ストリングユニットSU3の同様の領域が、例えばY方向に沿って順に設けられている。より具体的には次の通りである。
【0049】
P型ウェル領域Wの上方に、絶縁体を介して導電体41が設けられている。導電体41は1つのセレクトゲート線SGSとして機能する。ストリングユニットSU毎に、当該ストリングユニットSUに対応付けられる導電体41が設けられている。これらの導電体41は、例えばY方向に沿って互いに間隔を有して設けられている。これらの導電体41は、例えば、X方向およびY方向に延びる或る導電体が分断されることにより生成されたものである。各導電体41は、例えばX方向に延びる。
【0050】
これらの導電体41の上方に、8層の導電体42が、隣り合う導電体間に絶縁体を介するように順次積層されている。導電体42はそれぞれ、例えば、半導体基板31に近い側から順に、ワード線WL0、ワード線WL1、ワード線WL2、・・・、ワード線WL7として機能する。各導電体42は、例えばX方向およびY方向に延びる。
【0051】
最上の導電体42の上方に、絶縁体を介して導電体43が設けられている。導電体43は1つのセレクトゲート線SGDとして機能する。ストリングユニットSU毎に、当該ストリングユニットSUに対応付けられる導電体43が設けられている。これらの導電体43は、例えばY方向に沿って互いに間隔を有して設けられている。これらの導電体43は、例えば、X方向およびY方向に延びる或る導電体が分断されることにより生成されたものである。各導電体43は、例えばX方向に延びる。
【0052】
ストリングユニットSU0に各々が対応付けられる導電体41および導電体43、ならびに8層の導電体42中に、或るメモリピラーMPが設けられている。当該メモリピラーMPは、ストリングユニットSU0の1つのNANDストリングNSに含まれるメモリセルトランジスタMT0~MT7ならびに選択トランジスタST1およびST2が位置する領域に相当する。当該メモリピラーMPは、例えばZ方向に延びている。例えば、当該メモリピラーMPの上端は当該導電体43の上面より上方に位置し、当該メモリピラーMPの下端はP型ウェル領域Wに達している。以下、このようなメモリピラーMPのことをストリングユニットSU0に対応するメモリピラーとも称する。以下の同様の表記についても同じである。
【0053】
当該メモリピラーMPは、例えば、半導体441、ならびに、絶縁膜442、443、および444を含む。半導体441はピラー状であり、半導体441の上端は当該メモリピラーMPの上端に達しており、半導体441の下端はP型ウェル領域Wに達している。半導体441の側面上に、絶縁膜442、443、および444が、絶縁膜442、絶縁膜443、絶縁膜444の順で設けられている。半導体441は、メモリセルトランジスタMTおよび選択トランジスタSTのチャネルとして機能する。絶縁膜442は、メモリセルトランジスタMTおよび選択トランジスタSTのトンネル酸化膜として機能する。絶縁膜443は、メモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層として機能する。絶縁膜444は、メモリセルトランジスタMTおよび選択トランジスタSTのブロック絶縁膜として機能する。当該メモリピラーMPのうち当該導電体41と交わる部分が、例えば選択トランジスタST2として機能する。当該メモリピラーMPのうち導電体42と交わる部分がそれぞれ、例えば、半導体基板31に近い側から順に、メモリセルトランジスタMT0、メモリセルトランジスタMT1、・・・、メモリセルトランジスタMT7として機能する。当該メモリピラーMPのうち当該導電体43と交わる部分が、例えば選択トランジスタST1として機能する。
【0054】
半導体441の上面上にピラー状のコンタクトプラグCP1が設けられている。コンタクトプラグCP1の上面は、ビット線が設けられる層中の或る導電体51に接触している。当該導電体51はビット線BLとして機能する。当該導電体51は、例えばY方向に延びる。
【0055】
他の3つのストリングユニットの各々についても、当該ストリングユニットSUに対応するメモリピラーMPが同様に設けられている。これらのメモリピラーMPの各々が、或るコンタクトプラグCP1を介して上記導電体51に接続される。
【0056】
導電体51は複数、例えばX方向に沿って互いに間隔を有して設けられている。導電体51の各々は、例えばY方向に延びる。導電体51毎に、上述したのと同様の、当該導電体51に接続される、ストリングユニットSU0、SU1、SU2、およびSU3にそれぞれ対応する4つのメモリピラーMP、の構造が設けられている。
【0057】
P型ウェル領域W中にn不純物拡散領域NRおよびp不純物拡散領域PRが設けられている。n不純物拡散領域NRおよびp不純物拡散領域PRの各々が、半導体基板31の上面に達している。n不純物拡散領域NRは、半導体基板31に例えばリン(P)がドープされた領域である。p不純物拡散領域PRは、半導体基板31に例えばボロン(B)がさらにドープされた領域である。
【0058】
不純物拡散領域NR上にピラー状のコンタクトプラグCP2が設けられている。コンタクトプラグCP2の上面は、導電体52に接触している。導電体52はソース線として機能する。p不純物拡散領域PR上にピラー状のコンタクトプラグCP3が設けられている。コンタクトプラグCP3の上面は、導電体53に接触している。導電体53を介してP型ウェル領域Wの電位を制御することが可能である。
【0059】
なお、図4および図5においては、ブロックBLKに含まれる4つのストリングユニットSUに対応して、セレクトゲート線SGSおよび導電体41の各々が4つ設けられる例を示しているが、これに限られない。ブロックBLKに含まれる4つのストリングユニットSUに対して、1つのセレクトゲート線SGSおよび導電体41のみが設けられていてもよい。すなわち、4つのストリングユニットSU0~SU3にそれぞれ含まれている選択トランジスタST2のゲートは、電気的に共通に接続されていてもよい。
【0060】
(5)メモリセルトランジスタの閾値電圧分布
図6は、図4に示したメモリセルアレイMCA0中の各メモリセルトランジスタMTが2ビットデータを保持する場合の、閾値電圧分布、データの割当て、読出し電圧、およびベリファイ電圧の一例を示す。以下の説明は、コア部11に含まれるプレーンPBの各々のメモリセルアレイMCAについて適用可能である。
【0061】
メモリセルトランジスタMTは、当該メモリセルトランジスタMTをオフ状態からオン状態に切り替えることを可能とするゲート・ソース間の最小の電位差(以下では、閾値電圧と称する。)に基づいて、上記2ビットデータを保持する。書込み動作では、メモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層に電子を注入することにより当該メモリセルトランジスタMTの閾値電圧を上昇させるプログラム動作が行われる。
【0062】
図6は、このような閾値電圧の制御の結果として形成される4つの閾値電圧分布の一例として、閾値電圧が或る値であるメモリセルトランジスタMTの数を、当該値を変数としてプロットしたグラフの一例を概略的に示す。横軸は、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧の値を示している。縦軸は、メモリセルトランジスタMTの数を示している。
【0063】
4つの閾値電圧分布はそれぞれ、例えば“Er”ステート、“A”ステート、“B”ステート、および“C”ステートに対応付けられる。これにより、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧に応じて、当該メモリセルトランジスタMTが“Er”ステート、“A”ステート、“B”ステート、および“C”ステートのいずれかにあるものとして区別される。メモリセルトランジスタMTが“Er”ステート、“A”ステート、“B”ステート、“C”ステートにある順に、当該メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が高くなる。例えば、“Er”ステートに“11”(“上位ビット/下位ビット”)データが割り当てられ、“A”ステートに“01”データが割り当てられ、“B”ステートに“00”データが割り当てられ、“C”ステートに“10”データが割り当てられる。各ステートに割り当てられたデータが、当該ステートにあるメモリセルトランジスタMTに記憶されているデータである。
【0064】
書込み動作では、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が所定の電圧を超えたか否かを確認するベリファイ動作が行われる。ベリファイ動作において使用されるベリファイ電圧が設定される。具体的には、“A”ステートに対応してベリファイ電圧AVが設定され、“B”ステートに対応してベリファイ電圧BVが設定され、“C”ステートに対応してベリファイ電圧CVが設定される。
【0065】
ベリファイ電圧AVが或るメモリセルトランジスタMTのゲート・ソース間に印加された場合について説明する。当該メモリセルトランジスタMTがオン状態になれば、当該メモリセルトランジスタが“Er”ステートにあることが分かる。一方、当該メモリセルトランジスタMTがオフ状態であれば、当該メモリセルトランジスタMTが“A”ステート、“B”ステート、および“C”ステートのいずれかにあることが分かる。これにより、例えば“01”データの書込み動作の結果、書込み対象のメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が“A”ステート、“B”ステート、および“C”ステートのいずれかの閾値電圧分布に含まれるようになったか否かを確認することが可能となる。ベリファイ電圧BVおよびCVについても同様である。
【0066】
読出し動作では、メモリセルトランジスタMTがいずれのステートにあるかが判定される。読出し動作において使用される読出し電圧が設定される。具体的には、“A”ステートに対応して読出し電圧ARが設定され、“B”ステートに対応して読出し電圧BRが設定され、“C”ステートに対応して読出し電圧CRが設定される。
【0067】
読出し電圧ARが或るメモリセルトランジスタMTのゲート・ソース間に印加された場合について説明する。当該メモリセルトランジスタMTがオン状態になれば、当該メモリセルトランジスタMTが“Er”ステートにあることが分かる。一方、当該メモリセルトランジスタMTがオフ状態であれば、当該メモリセルトランジスタMTが“A”ステート、“B”ステート、および“C”ステートのいずれかのステートにあることが分かる。これにより、メモリセルトランジスタMTが“Er”ステートにあるのか、あるいは、“A”ステート、“B”ステート、および“C”ステートのいずれかにあるのかを判定することが可能となる。読出し電圧BRおよびCRについても同様である。
【0068】
読出し動作を実行する際には、メモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層に蓄積された電子の一部が時間の経過とともに電荷蓄積層から抜け、これにより当該メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が下がっていることがある。このような閾値電圧の低下に対処するため、各読出し電圧は、当該読出し電圧と同一のステートに対応して設定されたベリファイ電圧より低く設定される。すなわち、読出し電圧ARはベリファイ電圧AVよりも小さく、読出し電圧BRはベリファイ電圧BVよりも小さく、読出し電圧CRはベリファイ電圧CVよりも小さい。
【0069】
さらに、最も高い“C”ステートにあるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧より常に大きくなるように、読出しパス電圧VREADが設定される。読出しパス電圧VREADがゲート・ソース間に印加されたメモリセルトランジスタMTは、記憶するデータに拘わらずオン状態になる。
【0070】
なお、以上で説明した1つのメモリセルトランジスタMTに記憶するデータのビット数と、閾値電圧分布に対するデータの割当てはあくまで一例に過ぎず、これに限定されない。
【0071】
(6)入出力回路
以下、入出力回路12の構成の詳細を説明する。以下、信号DQ<7:0>によりデータDATが送られている場合を例に挙げて説明する。以降の説明は、rが0から7の整数の各々のケースについて当てはまる。
【0072】
信号DQ<7:0>によりデータDATが送られている間、信号DQ<r>は、例えば、或る大きさの時間期間毎にHレベルとLレベルとのいずれかをとる。当該時間期間は、例えば1ビットのデータが送られる単位時間である。
【0073】
図7は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の入出力回路12の構成の一例を示すブロック図である。
【0074】
入出力回路12は、入力回路121<7:0>、入力回路122、およびラッチ回路123<7:0>を含む。
【0075】
入力回路121<r>は、信号DQ<r>を受け取り、信号DQ<r>に基づいて信号Din<r>を生成し、信号Din<r>をラッチ回路123<r>に出力する。信号Din<r>は、例えば、信号DQ<r>の電圧が増幅された信号に相当する。信号DQ<r>により送られるデータDATの一部が、信号Din<r>により送られることになる。
【0076】
入力回路122は、信号DQSおよび信号bDQSを受け取り、信号DQSおよび信号bDQSに基づいて信号Sig1および信号Sig2を生成し、信号Sig1およびSig2を、ラッチ回路123<7:0>の各々に出力する。信号Sig1は、例えば、信号DQSの電圧が増幅された信号に相当する。信号Sig2は、信号Sig1の相補信号である。
【0077】
ラッチ回路123<r>は、入力回路121<r>から信号Din<r>を受け取り、入力回路122から信号Sig1およびSig2を受け取る。ラッチ回路123<r>は、例えば、信号Din<r>、信号Sig1、および信号Sig2に基づいて、信号DQ<r>により送られるデータDATの一部を、第0ビットのデータ、第1ビットのデータ、第2ビットのデータ、・・・、の順にラッチする。
【0078】
図8は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の入出力回路12のさらなる構成の一例を示すブロック図である。
【0079】
入出力回路12は、シフトレジスタ回路124<7:0>およびマルチプレクサMUXをさらに含む。
【0080】
ラッチ回路123<r>は、ラッチした各ビットのデータをシフトレジスタ回路124<r>に出力する。具体的には、ラッチ回路123<r>は、信号De<r>および信号Do<r>をシフトレジスタ回路124<r>に出力する。信号De<r>により、ラッチ回路123<r>がラッチした、信号DQ<r>の第0ビットのデータ、第2ビットのデータ、第4ビットのデータ、・・・、(以下、これらのビットを信号DQ<r>の偶数ビットとも称する。)が登場順に送られる。信号Do<r>により、ラッチ回路123<r>がラッチした、信号DQ<r>の第1ビットのデータ、第3ビットのデータ、第5ビットのデータ、・・・、(以下、これらのビットを信号DQ<r>の奇数ビットとも称する。)が登場順に送られる。
【0081】
シフトレジスタ回路124<0>は、シフトレジスタSR0およびSR1を含む。他のシフトレジスタ回路124も同様である。以下では、シフトレジスタ回路124<0>を例に挙げて説明するが、他のシフトレジスタ回路124<7:1>もシフトレジスタ回路124<0>について説明するのと同様の構成を有している。
【0082】
シフトレジスタSR0は、複数のフリップフロップ回路F/Fを含む。フリップフロップ回路F/Fは、例えばD型フリップフロップ回路である。当該複数のフリップフロップ回路F/Fは、或るフリップフロップ回路F/Fの出力端子が別のフリップフロップ回路F/Fの入力端子に接続される接続関係が繰り返されるように、直列接続されている。シフトレジスタSR0を構成するフリップフロップ回路F/Fの数は、タイミング制御に応じて適宜設計され、例えば8個である。各フリップフロップ回路F/Fのクロック端子には、例えばシーケンサ15から供給される内部クロック信号iCLKが入力される。複数のフリップフロップ回路F/Fにそれぞれ供給される内部クロック信号iCLKの周期は必ずしも一致していなくてもよい。
【0083】
シフトレジスタSR0は、信号De<0>を受け取る。これにより、信号DQ<0>の偶数ビットのデータが、シフトレジスタSR0の初段のフリップフロップ回路の入力端子に順に入力される。各フリップフロップ回路F/Fは、当該フリップフロップ回路F/Fの入力端子に入力されるデータを、例えば内部クロック信号iCLKがLレベルからHレベルに立ち上がるタイミングでラッチし、当該ラッチしたデータを出力端子上で出力する。当該出力されたデータが次段のフリップフロップ回路F/Fの入力端子に入力される。シフトレジスタSR0は、信号DQ<0>の偶数ビットの各ビットのデータをこのように伝達し、シフトレジスタSR0の最終段のフリップフロップ回路F/Fの出力端子上で、信号DQ<0>の第0ビットのデータ、第2ビットのデータ、第4ビットのデータ、・・・、の順に出力する。
【0084】
シフトレジスタSR1は、シフトレジスタSR0と同様の構成を有している。シフトレジスタSR1は、信号Do<0>を受け取り、同様に、信号DQ<0>の奇数ビットの各ビットのデータを伝達し、シフトレジスタSR1の最終段のフリップフロップ回路F/Fの出力端子上で、信号DQ<0>の第1ビットのデータ、第3ビットのデータ、第5ビットのデータ、・・・、の順に出力する。
【0085】
マルチプレクサMUXは、例えば、第1入力端子、第2入力端子、・・・、および第16入力端子を有する。マルチプレクサMUXの第1入力端子は、シフトレジスタ回路124<0>のシフトレジスタSR0の最終段のフリップフロップ回路F/Fの出力端子に接続される。当該第1入力端子には、信号DQ<0>の偶数ビットのデータが、第0ビットのデータ、第2ビットのデータ、第4ビットのデータ、・・・、の順に入力される。マルチプレクサMUXの第2入力端子は、シフトレジスタ回路124<0>のシフトレジスタSR1の最終段のフリップフロップ回路F/Fの出力端子に接続される。当該第2入力端子には、信号DQ<0>の奇数ビットのデータが、第1ビットのデータ、第3ビットのデータ、第5ビットのデータ、・・・、の順に入力される。マルチプレクサMUXと他のシフトレジスタ回路<7:1>との関係についても同様である。すなわち、マルチプレクサMUXの第(2r+1)入力端子および第(2r+2)入力端子がシフトレジスタ回路124<r>に接続されており、当該第(2r+1)入力端子に、信号DQ<r>の偶数ビットのデータが、第0ビットのデータ、第2ビットのデータ、第4ビットのデータ、・・・、の順に入力され、当該第(2r+2)入力端子に、信号DQ<r>の奇数ビットのデータが、第1ビットのデータ、第3ビットのデータ、第5ビットのデータ、・・・、の順に入力される。
【0086】
マルチプレクサMUXは、例えば、プレーンPB毎に8個の出力端子を有する。マルチプレクサMUXの8個の出力端子は、8本のデータ線を介してデータレジスタDR0にそれぞれ接続され、マルチプレクサMUXの別の8個の出力端子は、別の8本のデータ線を介してデータレジスタDR1にそれぞれ接続される。
【0087】
マルチプレクサMUXには、例えばシーケンサ15から制御信号SELが供給される。制御信号SELは、プレーンPBの選択に係る信号であり、例えばブロックアドレスに基づくものであってもよい。マルチプレクサMUXは、16個の入力端子上で受け取ったデータDATを、制御信号SELに基づいて、対象のプレーンPBのデータレジスタDRに転送する。より具体的には、マルチプレクサMUXは、8本のデータ線を介して当該データレジスタDRに、信号DQ<7:0>それぞれの第0ビットのデータを転送し、続いて信号DQ<7:0>それぞれの第1ビットのデータを転送し、続いて信号DQ<7:0>それぞれの第2ビットのデータを転送し、・・・、以下、同様である。当該データレジスタDRは、データDATを受け取り、データDATを当該対象のプレーンPBのセンスアンプモジュールSAに転送する。
【0088】
(7)ラッチ回路
以下、ラッチ回路123<0>の構成をより詳細に説明する。併せて、入力回路121<0>および入力回路122の構成もより詳細に説明する。ラッチ回路123<0>を例に挙げて説明するが、ラッチ回路123<7:0>の各々に、以下で説明するような構成を適用し得る。また、他の入力回路121<7:1>の各々は、以下で説明する入力回路121<0>の構成と同様の構成を有し得る。他の実施形態についても同様である。
【0089】
図9は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の入力回路121<0>、入力回路122、およびラッチ回路123<0>のより詳細な構成の一例を示す。
【0090】
入力回路121<0>は、コンパレータCMP1およびインバータ群INVG1を含む。信号DQ<0>は、入力回路121<0>の内部で次のように処理される。
【0091】
例えば、コンパレータCMP1の非反転入力端子に信号DQ<0>が入力され、コンパレータCMP1の反転入力端子に電圧VREFが印加される。電圧VREFは、例えば、実質的に一定の或る基準電圧であり、信号DQ<0>のHレベルおよびLレベルの2つの電圧の平均の電圧であり得る。コンパレータCMP1は、信号DQ<0>の電圧を、電圧VREFを基準に増幅し、当該増幅の結果の信号を出力する。
【0092】
インバータ群INVG1は複数のインバータにより構成されている。当該複数のインバータは、或るインバータの出力端子が別のインバータの入力端子に接続される接続関係が繰り返されるように、直列接続されている。以下の他のインバータ群INVGについても同じある。図9では、インバータ群INVG1が3つのインバータにより構成される場合の例が示されている。インバータ群INVG1は、コンパレータCMP1から出力される信号を受け取り、当該信号をインバータ群INVG1の複数のインバータにより伝送した結果の信号を出力する。当該信号が、信号Din<0>として入力回路121<0>から出力される。
【0093】
入力回路122は、コンパレータCMP2、インバータ群INVG2、およびインバータ群INVG3を含む。信号DQSおよび信号bDQSは、入力回路122の内部で次のように処理される。
【0094】
コンパレータCMP2は、第1出力端子および第2出力端子を有する。例えば、コンパレータCMP2の非反転入力端子に信号DQSが入力され、コンパレータCMP2の反転入力端子に信号bDQSが入力される。コンパレータCMP2は、信号DQSの電圧を信号bDQSの電圧を基準に増幅し、当該増幅の結果の信号を第1出力端子上で出力し、当該増幅の結果の信号の相補信号を第2出力端子上で出力する。第1出力端子上で出力される信号は、信号DQSの電圧を増幅した信号に実質的に相当し、第2入力端子上で出力される信号は、信号bDQSの電圧を増幅した信号に実質的に相当する。このように信号bDQSを基準に用いて信号DQSを増幅することにより、コンパレータCMP2から出力されるこれらの信号では、信号DQSおよび信号bDQSに乗り得る電気ノイズが緩和される(同相ノイズが除去される)。
【0095】
図9では、インバータ群INVG2およびインバータ群INVG3の各々が4つのインバータにより構成される場合の例が示されている。インバータ群INVG2は、コンパレータCMP2の第1出力端子上で出力される信号を受け取り、当該信号をインバータ群INVG2の複数のインバータにより伝送した結果の信号を出力する。当該信号が、信号Sig1として入力回路122から出力される。インバータ群INVG3は、コンパレータCMP2の第2出力端子上で出力される信号を受け取り、当該信号をインバータ群INVG3の複数のインバータにより伝送した結果の信号を出力する。当該信号が、信号Sig2として入力回路122から出力される。
【0096】
図9に示される3つのインバータ群INVGについて、各インバータ群INVGを構成するインバータの数を調節することにより、3つのインバータ群INVGそれぞれにより伝送される3つの信号の遅延量を調節することが可能である。
【0097】
次に、ラッチ回路123<0>について説明する。
ラッチ回路123<0>は、部分ラッチ回路LC0および部分ラッチ回路LC1を含む。信号Din<0>、信号Sig1、および信号Sig2は、ラッチ回路123<0>の内部で次のように処理される。
【0098】
部分ラッチ回路LC0は、ラッチ入力回路LIC0および内部処理回路INC0を含む。ラッチ入力回路LIC0は、例えば、インバータINV1およびスイッチング素子SW1を含む。
【0099】
ラッチ入力回路LIC0は、信号Din<0>を受け取る。インバータINV1が、信号Din<0>を受け取り、信号Din<0>のレベルが反転されたレベルの電圧を出力する。より具体的には、インバータINV1は、信号Din<0>がHレベルである間にLレベルの電圧を出力し、信号Din<0>がLレベルである間にHレベルの電圧を出力する。ラッチ入力回路LIC0は、インバータINV1からこのように出力される電圧を、スイッチング素子SW1がオン状態の間に出力する。スイッチング素子SW1は、例えば、信号Sig1がLレベルであり信号Sig2がHレベルである間はオン状態であり、信号Sig1がHレベルであり信号Sig2がLレベルである間はオフ状態である。このように、スイッチング素子SW1は、信号DQSおよび信号bDQSのトグルに応じてオン状態とオフ状態との間で交互に切り替わる。同様に信号Sig1およびSig2に基づいてオン状態であるかオフ状態であるかが切り替わる他のスイッチング素子SWについても同じである。
【0100】
内部処理回路INC0は、ラッチ入力回路LIC0から出力される電圧の信号を受け取り、当該信号に基づいて、信号DQ<0>の偶数ビットのデータを、第0ビット、第2ビット、第4ビット、・・・、の順にラッチする。内部処理回路INC0は、ラッチした当該偶数ビットのデータを、ラッチした順に出力する。当該出力が、図8で示した信号De<0>の出力に相当する。
【0101】
部分ラッチ回路LC1は、ラッチ入力回路LIC1および内部処理回路INC1を含む。ラッチ入力回路LIC1は、例えば、インバータINV2およびスイッチング素子SW2を含む。
【0102】
ラッチ入力回路LIC1は、信号Din<0>を受け取る。インバータINV2が、信号Din<0>を受け取り、信号Din<0>のレベルが反転されたレベルの電圧を出力する。ラッチ入力回路LIC1は、インバータINV2からこのように出力される電圧を、スイッチング素子SW2がオン状態の間に出力する。スイッチング素子SW2は、信号Sig1がLレベルであり信号Sig2がHレベルである間はオフ状態であり、信号Sig1がHレベルであり信号Sig2がLレベルである間はオン状態である。したがって、スイッチング素子SW1がオン状態である間にスイッチング素子SW2はオフ状態であり、スイッチング素子SW1がオフ状態である間にスイッチング素子SW2はオン状態である。
【0103】
内部処理回路INC1は、ラッチ入力回路LIC1から出力される電圧の信号を受け取り、当該信号に基づいて、信号DQ<0>の奇数ビットのデータを、第1ビット、第3ビット、第5ビット、・・・、の順にラッチする。内部処理回路INC1は、ラッチした当該奇数ビットのデータを、ラッチした順に出力する。当該出力が、図8で示した信号Do<0>の出力に相当する。
【0104】
上記では、ラッチ入力回路LIC0およびLIC1の各々の構成の一例について説明したが、本実施形態はこれに限定されない。ラッチ入力回路LIC0およびLIC1の各々は、信号Din<0>ならびに信号Sig1および信号Sig2に基づいて上述したように電圧を出力可能な他の構成を有していてもよい。以下の図面で示される、インバータINVおよびスイッチング素子SWを含むものとして示される他の回路についても同様である。
【0105】
以下、当該ラッチ入力回路LICに含まれると説明したスイッチング素子SWがオン状態である間のように、当該ラッチ入力回路LICが電圧を出力可能な場合に、当該ラッチ入力回路LICはオン状態にあるとも称する。これ以外の場合には、当該ラッチ入力回路LICはオフ状態にあるとも称する。以下の図面で示される、スイッチング素子SWに基づいて電圧を出力可能であるか否かが制御される他の回路についても同様である。
【0106】
(8)部分ラッチ回路
以下、ラッチ回路123<0>の部分ラッチ回路LC1の構成の詳細を説明する。部分ラッチ回路LC1を例に挙げて説明するが、部分ラッチ回路LC0およびLC1の各々に、以下で説明するような構成を適用し得る。他の実施形態についても同様である。
【0107】
図10は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の部分ラッチ回路LC1のより詳細な構成の一例を示す。以下では、ラッチ入力回路LIC1をラッチ入力回路1231とも称する。
【0108】
インバータINV2の入力端子に信号Din<0>が入力され、インバータINV2の出力端子はスイッチング素子SW2の第1端子に接続される。スイッチング素子SW2の第2端子はノードN1に接続される。スイッチング素子SW2は例えば2端子間スイッチ素子であり、スイッチング素子SW2がオン状態の間に第1端子と第2端子との間での信号の伝達が可能となる。以下の他のスイッチング素子SWについても同じである。
【0109】
インバータINV2は、当該入力端子に入力される信号Din<0>のレベルが反転されたレベルの電圧を、当該出力端子に接続されるスイッチング素子SW2の第1端子に供給する。スイッチング素子SW2は、当該第1端子にこのように供給される電圧を、スイッチング素子SW2がオン状態の間に、当該第2端子に接続されるノードN1に伝達する。
【0110】
ラッチ入力回路1231によりこのようにノードN1に電圧が供給されることにより、信号Din<0>により送られている或るビットのデータが、ノードN1の電位として部分ラッチ回路LC1に取り込まれる。
【0111】
内部処理回路INC1は、正帰還回路1232および電位調整回路1233を含む。
【0112】
正帰還回路1232は、インバータ回路12321および解除機能付きインバータ回路12322を含む。インバータ回路12321のことをインバータINV3とも称する。解除機能付きインバータ回路12322は、例えば、インバータINV4およびスイッチング素子SW3を含む。
【0113】
インバータINV3の入力端子はノードN1に接続され、インバータINV3の出力端子はノードN2に接続される。インバータINV3は、例えば、当該入力端子に接続されるノードN1の電位の値が閾値Vth3以上である間はLレベルの電圧を、当該値が閾値Vth3未満である場合はHレベルの電圧を、当該出力端子に接続されるノードN2に供給する。これにより、ノードN2の電位は、HレベルまたはLレベルとなり得る。
【0114】
インバータINV4の入力端子はノードN2に接続され、インバータINV4の出力端子はスイッチング素子SW3の第1端子に接続される。スイッチング素子SW3の第2端子はノードN1に接続される。
【0115】
解除機能付きインバータ回路12322は、ノードN2の電位に基づいて次のように電圧を出力する。
インバータINV4は、例えば、当該入力端子に接続されるノードN2の電位の値が閾値Vth4以上である間はLレベルの電圧を、当該値が閾値Vth4未満である場合はHレベルの電圧を、当該出力端子に接続されるスイッチング素子SW3の第1端子に供給する。スイッチング素子SW3は、当該第1端子にこのように供給される電圧を、スイッチング素子SW3がオン状態の間に、当該第2端子に接続されるノードN1に伝達する。スイッチング素子SW3は、信号Sig1がLレベルであり信号Sig2がHレベルである間はオン状態であり、信号Sig1がHレベルであり信号Sig2がLレベルである間はオフ状態である。したがって、スイッチング素子SW2がオン状態である間にスイッチング素子SW3はオフ状態であり、スイッチング素子SW2がオフ状態である間にスイッチング素子SW3はオン状態である。
【0116】
インバータ回路12321および12322によりこのようにノードN1およびN2それぞれに電圧が供給されることにより、上記取り込まれた或るビットのデータが、ノードN1およびN2それぞれの電位として部分ラッチ回路LC1にラッチされる。信号Do<0>はノードN2の電位に基づく。
【0117】
インバータINV2、INV3、およびINV4それぞれが供給するHレベルの電圧は例えば実質的に同一の電圧であり、インバータINV2、INV3、およびINV4それぞれが供給するLレベルの電圧も例えば実質的に同一の電圧である。閾値Vth3およびVth4の各々は、例えば、当該Hレベルの電圧と当該Lレベルの電圧との平均の電圧である。以下の説明における他のインバータINVおよび他の閾値Vthについても同様である。以下の説明は、これらが成り立つ場合を前提として記載される。
【0118】
次に、電位調整回路1233について説明する。
電位調整回路1233はインバータINV5を含む。インバータINV5の入力端子および出力端子はノードN1に接続される。インバータINV5は、例えば、当該入力端子に接続されるノードN1の電位の値が閾値Vth5以上である間はLレベルの電圧を、当該値が閾値Vth5未満である場合はHレベルの電圧を、当該出力端子に接続されるノードN1に供給する。
【0119】
信号Sig1がHレベルである間における電位調整回路1233によるノードN1の電位の調整機能について説明する。この間、スイッチング素子SW2はオン状態でありスイッチング素子SW3はオフ状態である、すなわち、ラッチ入力回路1231はオン状態でありインバータ回路12322はオフ状態である。
【0120】
ラッチ入力回路1231がHレベルの電圧をノードN1に供給する場合、これによりノードN1の電位が上昇し得る。当該電位の値が閾値Vth5以上になる場合、当該電位の値が閾値Vth5以上であることに応じて、電位調整回路1233がLレベルの電圧をノードN1に供給する。ラッチ入力回路1231がHレベルの電圧を供給し、電位調整回路1233がLレベルの電圧を供給する結果、ノードN1の電位がHレベルで安定されることがある。当該Hレベルの電位は、電位調整回路1233からの電圧供給がなくラッチ入力回路1231から供給されるHレベルの電圧に基づいてノードN1の電位が安定される場合より低い。これは、ノードN1の電位がHレベルで安定しているとき、電位調整回路1233が供給するLレベルの電圧の供給源からノードN1までの経路の抵抗R5Lが、ラッチ入力回路1231が供給するHレベルの電圧の供給源からノードN1までの経路の抵抗R2Hより大きいためである。なお、本明細書において、或るレベルの電圧の“供給源”とは、当該電圧を供給する回路が接続される、当該レベルの電圧が印加されるノードのことを意味するものとする。例えば、ノードN1の電位がHレベルで安定しているとき、(抵抗R5Lの大きさ)/(抵抗R2Hの大きさ)は、5/3以上3以下の範囲にある。
【0121】
ラッチ入力回路1231がLレベルの電圧をノードN1に供給する場合、これによりノードN1の電位が下降し得る。当該電位の値が閾値Vth5未満になる場合、当該電位の値が閾値Vth5未満であることに応じて、電位調整回路1233がHレベルの電圧をノードN1に供給する。ラッチ入力回路1231がLレベルの電圧を供給し、電位調整回路1233がHレベルの電圧を供給する結果、ノードN1の電位がLレベルで安定されることがある。当該Lレベルの電位は、電位調整回路1233からの電圧供給がなくラッチ入力回路1231から供給されるLレベルの電圧に基づいてノードN1の電位が安定される場合より高い。これは、ノードN1の電位がLレベルで安定しているとき、電位調整回路1233が供給するHレベルの電圧の供給源からノードN1までの経路の抵抗R5Hが、ラッチ入力回路1231が供給するLレベルの電圧の供給源からノードN1までの経路の抵抗R2Lより大きいためである。例えば、ノードN1の電位がLレベルで安定しているとき、(抵抗R5Hの大きさ)/(抵抗R2Lの大きさ)は、5/3以上3以下の範囲にある。
【0122】
信号Sig1がLレベルである間における電位調整回路1233によるノードN1の電位の調整機能についても同様である。この間、スイッチング素子SW2はオフ状態でありスイッチング素子SW3はオン状態である、すなわち、ラッチ入力回路1231はオフ状態でありインバータ回路12322はオン状態である。上記の説明において、ラッチ入力回路1231をインバータ回路12322に置き換えればよい。
【0123】
上記では、部分ラッチ回路LC1の構成について説明したが、同様の構成を部分ラッチ回路LC0に適用する場合について説明する。この場合、上述した部分ラッチ回路LC1の構成において、例えば、各スイッチング素子がオン状態であるための条件とオフ状態であるための条件とを反対にしたものが、部分ラッチ回路LC0の構成として適用され得る。特別に言及しない限り他の実施形態についても同じである。
【0124】
図11は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の部分ラッチ回路LC1の回路構成の一例を示す。図11では、図10において部分ラッチ回路LC1の一部として説明した各インバータINVおよびスイッチング素子SWが実現する機能と同等の機能を実現する構成が、より具体化されて示されている。以下の同様の図面についても同じである。
【0125】
先ず、ラッチ入力回路1231の回路構成について説明する。図11の例では、ラッチ入力回路1231はクロック同期CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)インバータ回路により実現されている。
【0126】
ラッチ入力回路1231は、例えば、pチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタTr11およびTr12、ならびに、nチャネルMOSトランジスタTr13およびTr14を含む。
【0127】
トランジスタTr11の第1端子には例えば電圧VDDが印加される。電圧VDDは、例えば電源電圧であり、上記Hレベルの電圧である。トランジスタTr11の第2端子はトランジスタTr12の第1端子に接続され、トランジスタTr12の第2端子はノードN1に接続される。トランジスタTr13の第1端子はノードN1に接続され、トランジスタTr13の第2端子はトランジスタTr14の第1端子に接続される。トランジスタTr14の第2端子には例えば電圧VSSが印加される。電圧VSSは、例えばグラウンド電圧等の基準電圧であり、上記Lレベルの電圧である。電圧VSSは電圧VDDより低い。トランジスタTr11およびTr14の各々のゲートには、信号Din<0>が入力される。トランジスタTr12のゲートには信号Sig2が入力される。トランジスタTr13のゲートには信号Sig1が入力される。
【0128】
信号Sig1がLレベルであり信号Sig2がHレベルである間、トランジスタTr12およびTr13がオフ状態である。このため、トランジスタTr11の第1端子に印加される電圧VDDと、トランジスタTr14の第2端子に印加される電圧VSSとのいずれも、ノードN1に供給されない。
【0129】
信号Sig1がHレベルであり信号Sig2がLレベルである間、トランジスタTr12およびTr13がオン状態である。この間には、ラッチ入力回路1231は、次のように、信号Din<0>のレベルが反転されたレベルの電圧をノードN1に供給する。
【0130】
信号Din<0>がHレベルである場合はトランジスタTr11がオフ状態でありトランジスタTr14がオン状態である。このため、信号Din<0>がHレベルであることに応じて、トランジスタTr14の第2端子に印加される電圧VSSがノードN1に供給される。一方、信号Din<0>がLレベルである場合はトランジスタTr11がオン状態でありトランジスタTr14がオフ状態である。このため、信号Din<0>がLレベルであることに応じて、トランジスタTr11の第1端子に印加される電圧VDDがノードN1に供給される。
【0131】
次に、正帰還回路1232の回路構成について説明する。図11の例では、インバータ回路12321はCMOSインバータ回路により実現され、解除機能付きインバータ回路12322はクロック同期CMOSインバータ回路により実現されている。
【0132】
インバータ回路12321は、例えば、pチャネルMOSトランジスタTr211およびnチャネルMOSトランジスタTr212を含む。
【0133】
トランジスタTr211の第1端子には例えば電圧VDDが印加され、トランジスタTr211の第2端子はノードN2に接続される。トランジスタTr212の第1端子はノードN2に接続され、トランジスタTr212の第2端子には例えば電圧VSSが印加される。トランジスタTr211およびTr212の各々のゲートは、ノードN1に接続される。
【0134】
ノードN1の電位の値が閾値Vth3未満である場合は、例えば、トランジスタTr211がオン状態でありトランジスタTr212がオフ状態である。このため、ノードN1の電位の値が閾値Vth3未満であることに応じて、トランジスタTr211の第1端子に印加される電圧VDDがノードN2に供給される。一方、ノードN1の電位の値が閾値Vth3以上である場合は、例えば、トランジスタTr211がオフ状態でありトランジスタTr212がオン状態である。このため、ノードN1の電位の値が閾値Vth3以上であることに応じて、トランジスタTr212の第2端子に印加される電圧VSSがノードN2に供給される。
【0135】
解除機能付きインバータ回路12322は、例えば、pチャネルMOSトランジスタTr221およびTr222、ならびに、nチャネルMOSトランジスタTr223およびTr224を含む。
【0136】
トランジスタTr221の第1端子には例えば電圧VDDが印加され、トランジスタTr221の第2端子はトランジスタTr222の第1端子に接続され、トランジスタTr222の第2端子はノードN1に接続される。トランジスタTr223の第1端子はノードN1に接続され、トランジスタTr223の第2端子はトランジスタTr224の第1端子に接続され、トランジスタTr224の第2端子には例えば電圧VSSが印加される。トランジスタTr221およびTr224の各々のゲートは、ノードN2に接続される。トランジスタTr222のゲートには信号Sig1が入力される。トランジスタTr223のゲートには信号Sig2が入力される。
【0137】
信号Sig1がHレベルであり信号Sig2がLレベルである間、トランジスタTr222およびTr223がオフ状態である。このため、トランジスタTr221の第1端子に印加される電圧VDDと、トランジスタTr224の第2端子に印加される電圧VSSとのいずれも、ノードN1に供給されない。
【0138】
信号Sig1がLレベルであり信号Sig2がHレベルである間、トランジスタTr222およびTr223がオン状態である。この間には、解除機能付きインバータ回路12322は、次のように電圧をノードN1に供給する。
【0139】
ノードN2の電位の値が閾値Vth4以上である場合は、例えば、トランジスタTr221がオフ状態でありトランジスタTr224がオン状態である。このため、ノードN2の電位の値が閾値Vth4以上であることに応じて、トランジスタTr224の第2端子に印加される電圧VSSがノードN1に供給される。一方、ノードN2の電位の値が閾値Vth4未満である場合は、例えば、トランジスタTr221がオン状態でありトランジスタTr224がオフ状態である。このため、ノードN2の電位の値が閾値Vth4未満であることに応じて、トランジスタTr221の第1端子に印加される電圧VDDがノードN1に供給される。
【0140】
さらに、電位調整回路1233の回路構成について説明する。図11の例では、電位調整回路1233はCMOSインバータ回路により実現されている。
【0141】
電位調整回路1233は、例えば、pチャネルMOSトランジスタTr31およびnチャネルMOSトランジスタTr32を含む。
【0142】
トランジスタTr31の第1端子には例えば電圧VDDが印加され、トランジスタTr31の第2端子およびゲートはノードN1に接続される。トランジスタTr32の第1端子およびゲートはノードN1に接続され、トランジスタTr32の第2端子には例えば電圧VSSが印加される。
【0143】
ノードN1の電位の値が閾値Vth5未満である場合は、例えば、トランジスタTr31がオン状態でありトランジスタTr32がオフ状態である。このため、ノードN1の電位の値が閾値Vth5未満であることに応じて、トランジスタTr31の第1端子に印加される電圧VDDがノードN1に供給される。一方、ノードN1の電位の値が閾値Vth5以上である場合は、例えば、トランジスタTr31がオフ状態でありトランジスタTr32がオン状態である。このため、ノードN1の電位の値が閾値Vth5以上であることに応じて、トランジスタTr32の第2端子に印加される電圧VSSがノードN1に供給される。
【0144】
例えば、図11に示されるpチャネルMOSトランジスタTr11およびnチャネルMOSトランジスタTr14が、図10に示されるインバータINV2として機能する。また、図11に示されるpチャネルMOSトランジスタTr12およびnチャネルMOSトランジスタTr13が、図10に示されるスイッチング素子SW2として機能する。同様に、例えば、pチャネルMOSトランジスタTr211およびnチャネルMOSトランジスタTr212がインバータINV3として機能し、pチャネルMOSトランジスタTr221およびnチャネルMOSトランジスタTr224がインバータINV4として機能し、pチャネルMOSトランジスタTr222およびnチャネルMOSトランジスタTr223がスイッチング素子SW3として機能し、pチャネルMOSトランジスタTr31およびnチャネルMOSトランジスタTr32がインバータINV5として機能する。
【0145】
図10を参照して説明したようにラッチ入力回路1231がLレベルの電圧をノードN1に供給することによりノードN1の電位がLレベルで安定されているとき、トランジスタTr31のオン抵抗は、トランジスタTr13およびTr14それぞれのオン抵抗の和より大きい。このような関係が成り立つように各トランジスタTrが形成されている。以下の同様の説明についても同じである。図10を参照して説明したようにラッチ入力回路1231がHレベルの電圧をノードN1に供給することによりノードN1の電位がHレベルで安定されているとき、トランジスタTr32のオン抵抗は、トランジスタTr11およびTr12それぞれのオン抵抗の和より大きい。
【0146】
図10を参照して説明したようにインバータ回路12322がLレベルの電圧をノードN1に供給することによりノードN1の電位がLレベルで安定されているとき、トランジスタTr31のオン抵抗は、トランジスタTr223およびTr224それぞれのオン抵抗の和より大きい。図10を参照して説明したようにインバータ回路12322がHレベルの電圧をノードN1に供給することによりノードN1の電位がHレベルで安定されているとき、トランジスタTr32のオン抵抗は、トランジスタTr221およびTr222それぞれのオン抵抗の和より大きい。
【0147】
上記では、部分ラッチ回路LC1の回路構成について説明したが、同様の回路構成を部分ラッチ回路LC0に適用する場合について説明する。この場合、上述した部分ラッチ回路LC1の回路構成において、例えば、信号Sig1が入力されると説明した各ゲートに信号Sig2が入力されるようにし、信号Sig2が入力されると説明した各ゲートに信号Sig1が入力されるようにしたものが、部分ラッチ回路LC0の回路構成として適用され得る。特別に言及しない限り他の実施形態についても同じである。
【0148】
[動作例]
以下、メモリコントローラ2から送信される信号DQ<7:0>により送られるデータDATが第1実施形態に係る半導体記憶装置1によりラッチされる動作例について詳細に説明する。
【0149】
(1)ラッチ回路によるラッチ動作
図12は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1により実行される或る書込み動作に係るコマンドセットと他の各種信号の時間変化とを示すタイミングチャートの一例を示す。図12では、信号DQSおよびbDQSについて、信号DQSの時間変化が実線で示されており、信号bDQSの時間変化が破線で示されている。以下では、或る信号が或るレベルであることが説明される場合、その後に当該信号を他のレベルに変更する制御について明示的に説明されない限り、説明されているレベルに当該信号は維持されているものとする。他の図面についても同じである。
【0150】
メモリコントローラ2がレディ/ビジー信号bR/BをHレベルで受信している間に、すなわち、半導体記憶装置1がレディ状態である間に、メモリコントローラ2は、書込み動作を半導体記憶装置1に実行させるためのコマンドセットを生成して当該コマンドセットを信号DQ<7:0>を介して半導体記憶装置1に送信する。当該コマンドセットは、コマンド“80h”、アドレス情報ADD、書込みデータDAT、およびコマンド“10h”を含む。半導体記憶装置1は当該コマンドセットを受け取って書込み動作を開始する。より具体的には次の通りである。
【0151】
先ず、メモリコントローラ2は、コマンド“80h”を生成し、ライトイネーブル信号bWEをトグル(toggle)させつつ当該コマンド“80h”を半導体記憶装置1に送信する。コマンド“80h”は、書込み動作を半導体記憶装置1に実行させるために使用されるコマンドである。ロジック制御回路13は、ライトイネーブル信号bWEのトグルに基づいて、入出力回路12がコマンド“80h”をレジスタ14に転送することを可能とする。
【0152】
続いて、メモリコントローラ2は、アドレス情報ADDを例えば5サイクルにわたり生成し、ライトイネーブル信号bWEをトグルさせつつ当該アドレス情報ADDを半導体記憶装置1に送信する。5サイクルにわたるアドレス情報ADDは、例えば、書込み対象のブロックBLK、および当該ブロックBLKの或る領域を指定するものである。シーケンサ15は、当該アドレス情報ADDに基づいて、例えば或るメモリセルアレイMCAのうちのデータが書き込まれる領域を特定する。なお、アドレス情報ADDとしては、5サイクルにわたるものに限らず、任意のサイクル数にわたるものが適用可能である。ロジック制御回路13は、ライトイネーブル信号bWEのトグルに基づいて、入出力回路12がアドレス情報ADDをレジスタ14に転送することを可能とする。
【0153】
続いて、メモリコントローラ2は、信号DQSおよび信号bDQSをトグルさせつつ、データDATを、信号DQ<7:0>それぞれを介して第0ビット、第1ビット、第2ビット、・・・、の順に半導体記憶装置1に送信する。
【0154】
当該トグルについて説明する。信号DQSは、例えば、データDATが半導体記憶装置1に送信される前にLレベルにされる。続いて、信号DQSは、信号DQ<7:0>それぞれにより第0ビットのデータが送られている間にLレベルからHレベルに立ち上げられる。続いて、信号DQSは、信号DQ<7:0>それぞれにより第1ビットのデータが送られている間にHレベルからLレベルに立ち下げられる。このように、信号DQ<7:0>それぞれにより1つのビットのデータが送られている間に信号DQSのレベルが一度変更されるトグルが周期的に繰り返される。この周期的なトグルは、信号DQ<7:0>によりデータDATが送られている間継続される。信号bDQSは、信号DQSの相補信号となるようにトグルされる。
【0155】
ラッチ回路123<0>の部分ラッチ回路LC0は、信号DQ<0>の偶数ビットそれぞれのデータを、信号DQSが立ち上がるタイミングでラッチする。ラッチ回路123<0>の部分ラッチ回路LC1は、信号DQ<0>の奇数ビットそれぞれのデータを、信号DQSが立ち下がるタイミングでラッチする。他のラッチ回路123<7:1>についても同様である。シーケンサ15は、メモリセルアレイMCAのうちデータが書き込まれる領域に対応付けられている、データレジスタDRのラッチ回路に、このようにラッチされたデータDATの各ビットのデータが入力されるようにする。
【0156】
さらに、メモリコントローラ2は、コマンド“10h”を生成し、ライトイネーブル信号bWEをトグルさせつつ当該コマンド“10h”を半導体記憶装置1に送信する。コマンド“10h”は、半導体記憶装置1に、コマンド“80h”の受信以降に受け取ったアドレス情報ADDおよびデータDATに基づいて、或る書込み動作を実行させるために使用されるコマンドである。ロジック制御回路13は、ライトイネーブル信号bWEのトグルに基づいて、入出力回路12がコマンド“10h”をレジスタ14に転送することを可能とする。
【0157】
シーケンサ15は、コマンド“10h”を受け取ることに応じて、ロジック制御回路13に、レディ/ビジー信号bR/BをLレベルでメモリコントローラ2へ送信させる。これにより、メモリコントローラ2は、半導体記憶装置1がビジー状態であることを通知される。シーケンサ15は、コマンド“10h”を受け取ることに応じて、電圧生成回路16、ドライバセット17、および当該対象のプレーンPBを制御して、書込み動作を開始する。
【0158】
当該書込み動作が完了した後、シーケンサ15は、ロジック制御回路13に、レディ/ビジー信号bR/BをHレベルでメモリコントローラ2へ送信させる。これにより、メモリコントローラ2は、半導体記憶装置1がレディ状態であることを通知される。
【0159】
(2)部分ラッチ回路によるラッチ動作
図13は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の部分ラッチ回路LC1が、信号DQ<0>により送られる或るビットのデータをラッチする際の、各種信号の時間変化を示すタイミングチャートの一例を示す。図13では、ノードN1上で伝達される信号であってノードN1の電位を示す信号が、信号SigN1として示されている。他の図面についても同じである。
【0160】
時刻T00では、信号Sig1がLレベルであり信号Sig2がHレベルである。信号Sig1およびSig2のこれらのレベルは時刻T01まで維持される。このため、時刻T00から時刻T01まで、ラッチ入力回路1231がオフ状態である一方で、解除機能付きインバータ回路12322はオン状態である。
【0161】
時刻T00から時刻T01まで、信号Din<0>はLレベルである。例えば、信号Din<0>のLレベルは時刻T00の前から続くものであり、時刻T00の前に、ラッチ入力回路1231が信号Din<0>のLレベルが反転されたHレベルの電圧である例えば電圧VDDをノードN1に供給し、時刻T00においてノードN1の電位はHレベルで安定されている。時刻T00から時刻T01の間、インバータ回路12322がHレベルの電圧である例えば電圧VDDをノードN1に供給する。これにより、ノードN1の電位はHレベルで安定されている。
【0162】
ノードN1のHレベルの電位は、図10を参照して説明したように、電位調整回路1233により、電位調整回路1233がなくラッチ入力回路1231およびインバータ回路12322の一方から供給される例えば電圧VDDに基づいてノードN1の電位が安定される場合より、電位差ΔVHだけ電圧降下されている。
【0163】
時刻T01において、信号Sig1がLレベルからHレベルに立ち上がり、信号Sig2がHレベルからLレベルに立ち下がる。信号Sig1およびSig2のこれらのレベルは時刻T02まで維持される。このため、時刻T01から時刻T02まで、ラッチ入力回路1231がオン状態である一方で、解除機能付きインバータ回路12322はオフ状態である。
【0164】
時刻T01から時刻T01dまで、信号Din<0>はLレベルである。時刻T01dは、時刻T01より後であり時刻T02より前である。時刻T01から時刻T01dまで、ラッチ入力回路1231は、信号Din<0>のLレベルが反転されたレベルの電圧である例えば電圧VDDをノードN1に供給する。これにより、ノードN1の電位はHレベルで安定されている。
【0165】
時刻T01dにおいて、信号Din<0>がLレベルからHレベルに立ち上がる。信号Din<0>のHレベルは時刻T02dまで維持される。時刻T02dは時刻T02より後である。時刻T01dから時刻T02まで、ラッチ入力回路1231は、信号Din<0>のHレベルが反転されたレベルの電圧である例えば電圧VSSをノードN1に供給する。これにより、ノードN1の電位がHレベルから下降する。
【0166】
時刻T02において、信号Sig1がHレベルからLレベルに立ち下がり、信号Sig2がLレベルからHレベルに立ち上がる。信号Din<0>が立ち上がる時刻T01dから信号Sig1が立ち下がる時刻T02までの時間は、時間ΔTである。信号Sig1およびSig2のこれらのレベルは時刻T03まで維持される。時刻T03は例えば時刻T02dより後である。このため、時刻T02から時刻T03まで、ラッチ入力回路1231がオフ状態である一方で、解除機能付きインバータ回路12322はオン状態である。
【0167】
時刻T02において、ノードN1の電位の値は閾値Vth3未満であるが、ノードN1の電位はLレベルに到達していない。インバータ回路12321は、ノードN1の電位の値が閾値Vth3未満であることに応じて、Hレベルの電圧をノードN2に供給する。これにより、ノードN2の電位の値が閾値Vth4以上となっている。インバータ回路12322は、ノードN2の電位の値が閾値Vth4以上であることに応じて、Lレベルの電圧である例えば電圧VSSを、ノードN1に供給する。これにより、ノードN1の電位がさらに下降する。このようにノードN1の電位が下降しても、当該電位の値は閾値Vth3未満であり、ノードN2の電位の値は閾値Vth4以上である。このため、時刻T02から時刻T03まで、インバータ回路12321がHレベルの電圧をノードN2に供給し続け、インバータ回路12322が例えば電圧VSSをノードN1へ供給し続ける。このようにして、ノードN1の電位はLレベルに到達して安定する。ノードN2の電位はHレベルで安定する。
【0168】
ノードN1のLレベルの電位は、図10を参照して説明したように、電位調整回路1233により、電位調整回路1233がなくラッチ入力回路1231およびインバータ回路12322の一方から供給される例えば電圧VSSに基づいてノードN1の電位が安定される場合より、電位差ΔVLだけ電圧上昇されている。
【0169】
このようにして、信号Sig1が立ち下がる時刻T02の直前での信号Din<0>のHレベルが、ノードN1およびノードN2の各々の電位へと反映される。より具体的には、ノードN1は、信号Din<0>のHレベルをラッチ入力回路1231が反転させた結果であるLレベルで安定され、ノードN2は、当該Lレベルをインバータ回路12321が反転させた結果であるHレベルで安定される。これにより、図12を参照して説明したように信号DQSが立ち下がるタイミングで信号DQ<0>により送られている奇数ビットの或るビットのデータが、部分ラッチ回路LC1によりラッチされる。
【0170】
時刻T02dにおいて、信号Din<0>がHレベルからLレベルに立ち下がる。時刻T02dから時刻T03まで、オフ状態のラッチ入力回路1231は、ノードN1に電圧を供給しない。このように、信号Din<0>の電圧がこのタイミングで変化しても、ラッチ入力回路1231は、直ちにはノードN1の電位を変化させない。
【0171】
時刻T03において、信号Sig1がLレベルからHレベルに立ち上がり、信号Sig2がHレベルからLレベルに立ち下がる。信号Sig1およびSig2のこれらのレベルは時刻T04まで維持される。このため、時刻T03から時刻T04まで、ラッチ入力回路1231がオン状態である一方で、解除機能付きインバータ回路12322はオフ状態である。時刻T04において、信号Sig1がHレベルからLレベルに立ち下がり、信号Sig2がLレベルからHレベルに立ち上がる。
【0172】
時刻T02dから時刻T04まで、信号Din<0>はLレベルである。時刻T03から時刻T04まで、ラッチ入力回路1231は、信号Din<0>のLレベルが反転されたレベルの電圧である例えば電圧VDDをノードN1に供給する。これにより、ノードN1の電位がLレベルから上記Hレベルに上昇する。
【0173】
図14は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の部分ラッチ回路LC1が、信号DQ<0>により送られる或るビットのデータをラッチする際の、各種信号の時間変化を示すタイミングチャートの別の例を示す。
【0174】
信号Sig1、信号Sig2、および信号Din<0>、の時間変化については、図13の説明において、時刻T00を時刻T10に、時刻T01を時刻T11に、時刻T02を時刻T12に、時刻T03を時刻T13に、時刻T04を時刻T14に、時刻T01dを時刻T11dに、時刻T02dを時刻T12dに置き換え、さらに、信号Din<0>のHレベルとLレベルとを入れ替えたものが成り立つ。時刻T11dから時刻T12までの時間は、時刻T01dから時刻T02までの時間ΔTと同一である。また、ラッチ入力回路1231および解除機能付きインバータ回路12322の各々がオン状態であるかオフ状態であるかについては、図13の説明において上記のように時刻を置き換えたものが成り立つ。
【0175】
以下、ノードN1の電位について説明する。
時刻T10において、ノードN1の電位はLレベルで安定されている。時刻T10から時刻T11の間、インバータ回路12322がLレベルの電圧である例えば電圧VSSをノードN1に供給する。これにより、ノードN1の電位はLレベルで安定されている。
【0176】
ノードN1のLレベルの電位は、図13の例と同様に、電位調整回路1233により、電位調整回路1233がなくラッチ入力回路1231およびインバータ回路12322の一方から供給される例えば電圧VSSに基づいてノードN1の電位が安定される場合より、電位差ΔVLだけ電圧上昇されている。
【0177】
時刻T11から時刻T11dまで、ラッチ入力回路1231は、信号Din<0>のHレベルが反転されたレベルの電圧である例えば電圧VSSをノードN1に供給する。これにより、ノードN1の電位はLレベルで安定されている。
【0178】
時刻T11dから時刻T12まで、ラッチ入力回路1231は、信号Din<0>のLレベルが反転されたレベルの電圧である例えば電圧VDDをノードN1に供給する。これにより、ノードN1の電位がLレベルから上昇する。
【0179】
時刻T12において、ノードN1の電位の値は閾値Vth3以上であるが、ノードN1の電位はHレベルに到達していない。
【0180】
インバータ回路12321は、ノードN1の電位の値が閾値Vth3以上であることに応じて、Lレベルの電圧をノードN2に供給する。これにより、ノードN2の電位の値が閾値Vth4未満となっている。インバータ回路12322は、ノードN2の電位の値が閾値Vth4未満であることに応じて、Hレベルの電圧である例えば電圧VDDを、ノードN1に供給する。これにより、ノードN1の電位がさらに上昇する。このようにノードN1の電位が上昇しても、当該電位の値は閾値Vth3以上であり、ノードN2の電位の値は閾値Vth4未満である。このため、時刻T12から時刻T13まで、インバータ回路12321がLレベルの電圧をノードN2に供給し続け、インバータ回路12322が例えば電圧VDDをノードN1に供給し続ける。このようにして、ノードN1の電位はHレベルに到達して安定する。ノードN2の電位はLレベルで安定する。
【0181】
ノードN1のHレベルの電位は、図13の例と同様に、電位調整回路1233により、電位調整回路1233がなくラッチ入力回路1231およびインバータ回路12322の一方から供給される例えば電圧VDDに基づいてノードN1の電位が安定される場合より、電位差ΔVHだけ電圧降下されている。
【0182】
このようにして、信号Sig1が立ち下がる時刻T12の直前での信号Din<0>のLレベルが、ノードN1およびノードN2の各々の電位へと反映される。これにより、図12を参照して説明したように信号DQSが立ち下がるタイミングで信号DQ<0>により送られている奇数ビットの或るビットのデータが、部分ラッチ回路LC1によりラッチされる。
【0183】
時刻T13から時刻T14まで、ラッチ入力回路1231は、信号Din<0>のHレベルが反転されたレベルの電圧である例えば電圧VSSをノードN1に供給する。これにより、ノードN1の電位がHレベルから上記Lレベルに下降する。
【0184】
[効果]
図15は、第1実施形態の比較例に係る半導体記憶装置の或る部分ラッチ回路が、信号DQ<0>により送られる或るビットのデータをラッチする際の、各種信号の時間変化を示すタイミングチャートの一例を示す。当該タイミングチャートでは、信号Sig2の時間変化が省略されている。これは、信号Sig2が、時間変化が示される信号Sig1の相補信号に過ぎないためである。
【0185】
当該部分ラッチ回路の構成は、第1実施形態の半導体記憶装置1の部分ラッチ回路LC1の構成において電位調整回路1233を除いたものである。以下の説明では、当該部分ラッチ回路内の各構成に関連する説明を行う場合には、当該構成には、第1実施形態において用いたのと同一の符号を添えて説明する。
【0186】
図15に実線で示されるタイミングチャートは、比較例の当該部分ラッチ回路について、図13の例と同一の状況での各種信号の時間変化を示すものである。信号Sig1および信号Din<0>の時間変化については、図13の説明において、時刻T00を時刻T0に、時刻T01を時刻T1に、時刻T02を時刻T2に、時刻T03を時刻T3に、時刻T04を時刻T4に、時刻T01dを時刻T1dに、時刻T02dを時刻T2dに置き換えたものが成り立つ。時刻T1dから時刻T2までの時間は、時刻T01dから時刻T02までの時間ΔTと同一である。また、ラッチ入力回路1231および解除機能付きインバータ回路12322の各々がオン状態であるかオフ状態であるかについては、図13の説明において上記のように時刻を置き換えたものが成り立つ。
【0187】
以下、ノードN1の電位について説明する。
図15における時刻T0から時刻T1dまで、図13の例の時刻T00から時刻T01dまでと同様に、ノードN1の電位はHレベルで安定されている。当該部分ラッチ回路が電位調整回路1233を含まないため、当該Hレベルの電位は、図13の例の場合とは異なり、電圧降下されているものではない。
【0188】
図15における時刻T1dから時刻T2まで、図13の例の時刻T01dから時刻T02までと同様に、ノードN1の電位がHレベルから下降する。
【0189】
図15における時刻T2において、図13の例の時刻T02とは異なり、ノードN1の電位の値は未だに閾値Vth3以上である。このため、時刻T2から時刻T3まで、インバータ回路12321およびインバータ回路12322の各々は、図13の例の時刻T02からT03までとは反対のレベルの電圧を出力し、ゆえに、ノードN1およびノードN2の各々の電位が安定するレベルが図13の例と反対のレベルになる。
【0190】
次に、信号Sig1の時間変化は上記と同じで、上述した場合より早く信号Din<0>がLレベルからHレベルに立ち上がる場合について説明する。この場合、信号Din<0>の時間変化と、ノードN1の電位の変化が、次のようになる。図15では破線で示されている。
【0191】
図15における時刻T1eにおいて、信号Din<0>がLレベルからHレベルに立ち上がる。時刻T1eは、時刻T1より後であり時刻T1dより前である。時刻T1eから時刻T2までの時間は時間ΔTaであり、時間ΔTより長い。時刻T1eから時刻T2まで、図13の例の時刻T01dから時刻T02までと同様に、Lレベルの電圧である例えば電圧VSSがノードN1に供給される。これにより、ノードN1の電位がHレベルから下降する。
【0192】
図15における時刻T2において、図13の例の時刻T02と同様に、ノードN1の電位の値は閾値Vth3未満である。図13の例と同様に、ノードN1の電位の値が閾値Vth3未満となってから速やかに、ノードN2の電位の値が閾値Vth4以上となっている。このため、時刻T2から時刻T3まで、インバータ回路12321およびインバータ回路12322の各々は、図13の例の時刻T02から時刻T03までと同一のレベルの電圧を出力する。これにより、図13の例と同様に、ノードN1の電位はLレベルに到達して安定し、ノードN2の電位はHレベルで安定する。ただし、当該部分ラッチ回路が電位調整回路1233を含まないため、ノードN1のLレベルの電位は、図13の例の場合とは異なり、電圧上昇されているものではない。
【0193】
比較例について説明した上記の2つのケースのいずれにおいても、信号Sig1がHレベルの間に信号Din<0>が立ち上がる。それにもかかわらず、後のケース(図15において破線で示した波形)とは異なり、最初のケース(図15において実線で示した波形)では、信号Sig1が立ち下がる時刻T2の直前での信号Din<0>のHレベルが、ノードN1およびノードN2の各々の電位へと反映されていない。これは、信号Din<0>が当該Hレベルである期間に信号Din<0>により送られている或るビットのデータが当該部分ラッチ回路により正しくラッチされていないことを意味する。これは誤動作へとつながり得る。
【0194】
最初のケース(図15において実線で示した波形)のように、信号Din<0>のレベルの変化から信号Sig1の立ち下がりまでの時間ΔTが短い場合、信号Din<0>のレベルの変化に応じてラッチ入力回路1231がノードN1の電位を変化させるための時間が短い。このため、上述したように、信号Sig1の立ち下がりのタイミングにおいて信号Din<0>によりノードN1に送られているビットのデータが当該部分ラッチ回路により正しくラッチされないことが起こり得る。
【0195】
第1実施形態の半導体記憶装置1の部分ラッチ回路LC1は、図13を参照して説明したように、信号Din<0>の立ち上がりから信号Sig1の立ち下がりまでの時間が、時間ΔTのように短い時間である場合にも、当該立ち下がりのタイミングで信号Din<0>により送られている或るビットのデータを正確にラッチ可能である。これは、第1実施形態の半導体記憶装置1では、ノードN1のHレベルの電位が電位調整回路1233により電位差ΔVHだけ電圧降下されているために、ラッチ入力回路1231が、時間ΔTのような短い時間内にも、ノードN1の電位をHレベルの電位から閾値Vth3未満に下降させられるからである。
【0196】
このように信号Din<0>の立ち上がりから信号Sig1の立ち下がりまでの時間が短くなることは、例えば、半導体記憶装置1を高速動作させる場合に起こり得る。したがって、第1実施形態の半導体記憶装置1の部分ラッチ回路LC1は、半導体記憶装置1が高速動作する場合にも、信号Din<0>の奇数ビットの各ビットのデータを正確にラッチ可能である。
【0197】
以上、第1実施形態の比較例の半導体記憶装置の部分ラッチ回路と、第1実施形態の半導体記憶装置1の部分ラッチ回路LC1との比較について、図13および図15を例に挙げて説明した。第1実施形態に係る半導体記憶装置1の部分ラッチ回路LC1が、図14に示した信号Sig1、信号Sig2、および信号Din<0>に基づいて動作する場合についても同様のことが当てはまる。第1実施形態の半導体記憶装置1の部分ラッチ回路LC1は、信号Din<0>の立ち下がりから信号Sig1の立ち下がりまでの時間が短い場合にも、当該立ち下がりのタイミングで信号Din<0>により送られている或るビットのデータをラッチ可能である。これは、第1実施形態の半導体記憶装置1では、ノードN1のLレベルの電位が電位調整回路1233により電位差ΔVLだけ電圧上昇されているために、ラッチ入力回路1231が、このような短い時間内にも、ノードN1の電位をLレベルの電位から閾値Vth3以上に上昇させられるからである。
【0198】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態に係る半導体記憶装置1aについて説明する。
【0199】
[構成例]
第2実施形態に係る半導体記憶装置1aの構成について、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の構成と相違する点を中心に説明する。
【0200】
第2実施形態に係る半導体記憶装置1aは、第1実施形態に係る半導体記憶装置1において、部分ラッチ回路LC1を部分ラッチ回路LC1aに置き換えたものである。第2実施形態に係る半導体記憶装置1a中の、部分ラッチ回路LC1aを含む何らかの構成を参照する説明を行う場合には、当該構成には、第1実施形態において用いた符号にaを付して説明する。例えば、第2実施形態に係る半導体記憶装置を半導体記憶装置1aと称して説明を行っている。
【0201】
図16は、第2実施形態に係る半導体記憶装置1aの部分ラッチ回路LC1aの構成の一例を示す。
【0202】
図16に示される部分ラッチ回路LC1aの構成は、図10に示した部分ラッチ回路LC1の構成において、電位調整回路1233を電位調整回路1233aに置き換えたものである。図示は省略しているが、電位調整回路1233aも内部処理回路INC1aに含まれるものとする。以下で参照される、部分ラッチ回路の構成を示す他の図面においても、ラッチ入力回路1231以外の他の各回路は、内部処理回路に含まれるものとする。
【0203】
電位調整回路1233aは、例えば、インバータINV6およびスイッチング素子SW4を含む。
【0204】
インバータINV6の入力端子はノードN1に接続され、インバータINV6の出力端子はスイッチング素子SW4の第1端子に接続される。スイッチング素子SW4の第2端子はノードN1に接続される。
【0205】
電位調整回路1233aは、ノードN1の電位に基づいて次のように電圧を出力する。
インバータINV6は、例えば、当該入力端子に接続されるノードN1の電位の値が閾値Vth6以上である間はLレベルの電圧を、当該値が閾値Vth6未満である場合はHレベルの電圧を、当該出力端子に接続されるスイッチング素子SW4の第1端子に供給する。スイッチング素子SW4は、当該第1端子にこのように供給される電圧を、スイッチング素子SW4がオン状態の間に、当該第2端子に接続されるノードN1に伝達する。スイッチング素子SW4は、信号Sig1がLレベルであり信号Sig2がHレベルである間はオフ状態であり、信号Sig1がHレベルであり信号Sig2がLレベルである間はオン状態である。したがって、スイッチング素子SW2がオン状態である間にスイッチング素子SW4もオン状態であり、スイッチング素子SW2がオフ状態である間にスイッチング素子SW4もオフ状態である。
【0206】
信号Sig1がHレベルである間における電位調整回路1233aによるノードN1の電位の調整機能について説明する。この間、スイッチング素子SW2およびSW4はオン状態でありスイッチング素子SW3はオフ状態である、すなわち、ラッチ入力回路1231および電位調整回路1233aはオン状態でありインバータ回路12322はオフ状態である。
【0207】
ラッチ入力回路1231がHレベルの電圧をノードN1に供給する場合、これによりノードN1の電位が上昇し得る。当該電位の値が閾値Vth6以上になる場合、当該電位の値が閾値Vth6以上であることに応じて、電位調整回路1233aがLレベルの電圧をノードN1に供給する。この結果、ノードN1の電位がHレベルで安定されることがある。当該Hレベルの電位は、電位調整回路1233aからの電圧供給がなくラッチ入力回路1231から供給されるHレベルの電圧に基づいてノードN1の電位が安定される場合より低い。これは、ノードN1の電位がHレベルで安定しているとき、電位調整回路1233aが供給するLレベルの電圧の供給源からノードN1までの経路の抵抗R6Lが、ラッチ入力回路1231が供給するHレベルの電圧の供給源からノードN1までの経路の抵抗R2Hより大きいためである。例えば、ノードN1の電位がHレベルで安定しているとき、(抵抗R6Lの大きさ)/(抵抗R2Hの大きさ)は、5/3以上3以下の範囲にある。
【0208】
ラッチ入力回路1231がLレベルの電圧をノードN1に供給する場合、これによりノードN1の電位が下降し得る。当該電位の値が閾値Vth6未満になる場合、当該電位の値が閾値Vth6未満であることに応じて、電位調整回路1233aがHレベルの電圧をノードN1に供給する。この結果、ノードN1の電位がLレベルで安定されることがある。当該Lレベルの電位は、電位調整回路1233aからの電圧供給がなくラッチ入力回路1231から供給されるLレベルの電圧に基づいてノードN1の電位が安定される場合より高い。これは、ノードN1の電位がLレベルで安定しているとき、電位調整回路1233aが供給するHレベルの電圧の供給源からノードN1までの経路の抵抗R6Hが、ラッチ入力回路1231が供給するLレベルの電圧の供給源からノードN1までの経路の抵抗R2Lより大きいためである。例えば、ノードN1の電位がLレベルで安定しているとき、(抵抗R6Hの大きさ)/(抵抗R2Lの大きさ)は、5/3以上3以下の範囲にある。
【0209】
信号Sig1がLレベルである間について説明する。この間、スイッチング素子SW2およびSW4はオフ状態でありスイッチング素子SW3はオン状態である、すなわち、ラッチ入力回路1231および電位調整回路1233aはオフ状態でありインバータ回路12322はオン状態である。このため、ノードN1の電位がHレベルまたはLレベルで安定されていたとしても、電位調整回路1233aは、上述したようにノードN1の電位を電圧降下または電圧上昇させることをしていない。
【0210】
図17は、第2実施形態に係る半導体記憶装置1aの部分ラッチ回路LC1aの回路構成の一例を示す。
【0211】
図17に示されるラッチ入力回路1231および正帰還回路1232の各々の回路構成は、図11の例で示されたものと同一である。電位調整回路1233aの回路構成について説明する。図17の例では、電位調整回路1233aはクロック同期CMOSインバータ回路により実現されている
電位調整回路1233aは、例えば、pチャネルMOSトランジスタTr33およびTr34、ならびに、nチャネルMOSトランジスタTr35およびTr36を含む。
【0212】
トランジスタTr33の第1端子には例えば電圧VDDが印加され、トランジスタTr33の第2端子はトランジスタTr34の第1端子に接続され、トランジスタTr34の第2端子はノードN1に接続される。トランジスタTr35の第1端子はノードN1に接続され、トランジスタTr35の第2端子はトランジスタTr36の第1端子に接続され、トランジスタTr36の第2端子には例えば電圧VSSが印加される。トランジスタTr33およびTr36の各々のゲートは、ノードN1に接続される。トランジスタTr34のゲートには信号Sig2が入力される。トランジスタTr35のゲートには信号Sig1が入力される。
【0213】
信号Sig1がLレベルであり信号Sig2がHレベルである間、トランジスタTr34およびTr35がオフ状態である。このため、トランジスタTr33の第1端子に印加される電圧VDDと、トランジスタTr36の第2端子に印加される電圧VSSとのいずれも、ノードN1に供給されない。
【0214】
信号Sig1がHレベルであり信号Sig2がLレベルである間、トランジスタTr34およびTr35がオン状態である。この間には、電位調整回路1233aは、次のように電圧をノードN1に供給する。
【0215】
ノードN1の電位の値が閾値Vth6未満である場合はトランジスタTr33がオン状態でありトランジスタTr36がオフ状態である。このため、ノードN1の電位の値が閾値Vth6未満であることに応じて、トランジスタTr33の第1端子に印加される電圧VDDがノードN1に供給される。一方、ノードN1の電位の値が閾値Vth6以上である場合はトランジスタTr33がオフ状態でありトランジスタTr36がオン状態である。このため、ノードN1の電位の値が閾値Vth6以上であることに応じて、トランジスタTr36の第2端子に印加される電圧VSSがノードN1に供給される。
【0216】
図16を参照して説明したようにノードN1にラッチ入力回路1231がHレベルの電圧を供給し電位調整回路1233aがLレベルの電圧を供給することによりノードN1の電位がHレベルで安定されているとき、トランジスタTr35およびTr36それぞれのオン抵抗の和は、トランジスタTr11およびTr12それぞれのオン抵抗の和より大きい。この目的で、例えば、これらのトランジスタTrそれぞれの(トランジスタTrのゲート幅)/(トランジスタTrのゲート長)で定義されるサイズを次のような大小関係にする。トランジスタTr35のサイズを最も小さく、トランジスタTr11、Tr12、およびTr36それぞれのサイズを実質的に同一にする。このためには、例えば、これらのトランジスタTrそれぞれのゲート長を実質的に同一にし、これらのトランジスタTrそれぞれのゲート幅について次のような大小関係にしてもよい。トランジスタTr35のゲート幅を最も小さく、トランジスタTr11、Tr12、およびTr36それぞれのゲート幅を実質的に同一にする。
【0217】
図16を参照して説明したようにノードN1にラッチ入力回路1231がLレベルの電圧を供給し電位調整回路1233aがHレベルの電圧を供給することによりノードN1の電位がLレベルで安定されているとき、トランジスタTr33およびTr34それぞれのオン抵抗の和は、トランジスタTr13およびTr14それぞれのオン抵抗の和より大きい。この目的で、例えば、これらのトランジスタTrそれぞれの上記サイズを次のような大小関係にする。トランジスタTr34のサイズを最も小さく、トランジスタTr13、Tr14、およびTr33それぞれのサイズを実質的に同一にする。このためには、例えば、これらのトランジスタTrそれぞれのゲート長を実質的に同一にし、これらのトランジスタTrそれぞれのゲート幅について次のような大小関係にしてもよい。トランジスタTr34のゲート幅を最も小さく、トランジスタTr13、Tr14、およびTr33それぞれのゲート幅を実質的に同一にする。
【0218】
[動作例]
図18は、第2実施形態に係る半導体記憶装置1aの部分ラッチ回路LC1aが、信号DQ<0>により送られる或るビットのデータをラッチする際の、各種信号の時間変化を示すタイミングチャートの一例を示す。
【0219】
信号Sig1、信号Sig2、および信号Din<0>、の時間変化については、図13の説明において、時刻T00を時刻T20に、時刻T01を時刻T21に、時刻T02を時刻T22に、時刻T03を時刻T23に、時刻T04を時刻T24に、時刻T01dを時刻T21dに、時刻T02dを時刻T22dに置き換えたものが成り立つ。時刻T21dから時刻T22までの時間は、時刻T01dから時刻T02までの時間ΔTと同一である。また、ラッチ入力回路1231および解除機能付きインバータ回路12322の各々がオン状態であるかオフ状態であるかについては、図13の説明において上記のように時刻を置き換えたものが成り立つ。
【0220】
電位調整回路1233aは、ラッチ入力回路1231と同様に、信号Sig1がLレベルである間はオフ状態であり、信号Sig1がHレベルである間はオン状態である。このため、電位調整回路1233aは、時刻T20から時刻T21まで、および、時刻T22から時刻T23まで、オフ状態であり、時刻T21から時刻T22まで、および、時刻T23から時刻T24まで、オン状態である。
【0221】
以下、ノードN1の電位について説明する。
時刻T20から時刻T21dまで、図13の例の時刻T00から時刻T01dまでと同様に、ノードN1の電位はHレベルである。ただし、時刻T20から時刻T21まで電位調整回路1233aがオフ状態であるため、当該Hレベルの電位は、比較例の場合の図15の例と同様に、電圧降下されているものではない。電位調整回路1233aがオン状態になる時刻T21から、電位調整回路1233aによる制御が働く。その結果、ノードN1の電位は、図13の例と同様に、電位差ΔVHだけ電圧降下されたHレベルで安定され、時刻T21dまで、ノードN1の電位は当該Hレベルで安定されている。
【0222】
時刻T21dから時刻T22まで、図13の例の時刻T01dから時刻T02までと同様に、ノードN1の電位がHレベルから下降する。この間も電位調整回路1233aはオン状態である。
【0223】
時刻T22において、図13の例の時刻T02と同様に、ノードN1の電位の値は閾値Vth3未満である。図13の例と同様に、ノードN1の電位の値が閾値Vth3未満となってから速やかに、ノードN2の電位の値が閾値Vth4以上となっている。このため、時刻T22から時刻T23まで、図13の例の時刻T02から時刻T03までと同様に、Hレベルの電圧がノードN2に供給され、Lレベルの電圧がノードN1に供給される。これにより、図13の例と同様に、ノードN1の電位はLレベルに到達して安定し、ノードN2の電位はHレベルで安定する。ただし、この間は電位調整回路1233aがオフ状態であるため、ノードN1のLレベルの電位は、比較例の場合の図15の例と同様に、電圧上昇されているものではない。
【0224】
このようにして、図13の例と同様に、信号Sig1が立ち下がる時刻T22の直前での信号Din<0>のHレベルが、ノードN1およびノードN2の各々の電位へと反映される。これにより、図12を参照して説明したように信号DQSが立ち下がるタイミングで信号DQ<0>により送られている奇数ビットの或るビットのデータが、部分ラッチ回路LC1aによりラッチされる。
【0225】
時刻T23から時刻T24まで、図13の例の時刻T03から時刻T04までと同様に、Hレベルの電圧がノードN1に供給される。これにより、ノードN1の電位がLレベルからHレベルに到達して安定する。この間は電位調整回路1233aがオン状態である。このため、ノードN1のHレベルの電位は、図13の例と同様に、電位調整回路1233aにより電位差ΔVHだけ電圧降下されている。
【0226】
[効果]
第2実施形態に係る半導体記憶装置1aの部分ラッチ回路LC1aによれば、第1実施形態において説明したのと同様の効果が奏せられるのに加えて、次に説明するような効果も奏せられる。
【0227】
先ず、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の部分ラッチ回路LC1の消費電力のうち、電位調整回路1233に由来する消費電力について説明をする。交互に来る、信号Sig1がHレベルである期間と、信号Sig1がLレベルである期間とで、分けて説明する。
【0228】
信号Sig1がHレベルである期間について説明する。この期間では、ラッチ入力回路1231がオン状態でありインバータ回路12322がオフ状態である。ノードN1に、ラッチ入力回路1231がHレベルまたはLレベルの電圧を供給しながら電位調整回路1233がラッチ入力回路1231とは反対のレベルの電圧を供給することがある。この間、当該Hレベルの電圧の供給源から当該Lレベルの電圧の供給源に電流が流れる。当該電流は、電位調整回路1233による制御のために発生するものであり、これらの電流に基づく電力が、部分ラッチ回路LC1により消費される。
【0229】
信号Sig1がLレベルである期間について説明する。この期間では、ラッチ入力回路1231がオフ状態でありインバータ回路12322がオン状態である。信号Sig1がHレベルである期間についての上記説明において、ラッチ入力回路1231をインバータ回路12322に置き換えたものが成り立つ。
【0230】
第2実施形態に係る半導体記憶装置1aの部分ラッチ回路LC1aの構成は、部分ラッチ回路LC1の構成において、電位調整回路1233を電位調整回路1233aに置き換えたものである。電位調整回路1233aは、ラッチ入力回路1231と同様に、信号Sig1がLレベルである間はオフ状態であり、信号Sig1がHレベルである間はオン状態である。このため、第2実施形態に係る半導体記憶装置1aの部分ラッチ回路LC1の消費電力のうち、電位調整回路1233aに由来する消費電力は次のようになる。
【0231】
信号Sig1がHレベルである期間については、電位調整回路1233aがオン状態であるため、第1実施形態に係る半導体記憶装置1について説明したのと実質的に同程度の電力が部分ラッチ回路LC1aにより消費される。信号Sig1がLレベルである期間については、電位調整回路1233aがオフ状態であるため、上述したような電流が流れない。このため、第1実施形態に係る半導体記憶装置1について説明したような電力消費がない。したがって、第2実施形態に係る半導体記憶装置1aの部分ラッチ回路LC1aによると、消費電力の低減が可能とされる。
【0232】
[変形例]
電位調整回路1233aの回路構成は、図17に示されるものに限定されない。以下に、電位調整回路1233aの回路構成の別の例を説明する。
【0233】
図19は、第2実施形態に係る半導体記憶装置1aの部分ラッチ回路LC1aの電位調整回路1233aの回路構成の別の例を示す。
【0234】
電位調整回路1233aは、例えば、pチャネルMOSトランジスタTr301、Tr302、およびTr303、ならびに、nチャネルMOSトランジスタTr304、Tr305、およびTr306を含む。
【0235】
トランジスタTr301の第1端子には例えば電圧VDDが印加され、トランジスタTr301の第2端子はトランジスタTr302の第1端子に接続される。トランジスタTr302の第2端子はトランジスタTr303の第1端子に接続され、トランジスタTr303の第2端子はノードN1に接続される。トランジスタTr304の第1端子はノードN1に接続され、トランジスタTr304の第2端子はトランジスタTr305の第1端子に接続される。トランジスタTr305の第2端子はトランジスタTr306の第1端子に接続され、トランジスタTr306の第2端子には例えば電圧VSSが印加される。トランジスタTr301およびTr306の各々のゲートは、ノードN1に接続される。トランジスタTr302のゲートには信号Sig2が入力され、トランジスタTr305のゲートには信号Sig1が入力される。トランジスタTr303のゲートには例えば電圧VSSが印加され、トランジスタTr304のゲートには例えば電圧VDDが印加される。
【0236】
トランジスタTr303のゲートに例えば電圧VSSが印加されているため、トランジスタTr303はオン状態である。トランジスタTr304のゲートに例えば電圧VDDが印加されているため、トランジスタTr304はオン状態である。
【0237】
信号Sig1およびSig2、ならびに、ノードN1の電位に基づく、電位調整回路1233aによるノードN1への電圧の供給については、図17の説明において、トランジスタTr33をトランジスタTr301に、トランジスタTr34をトランジスタTr302に、トランジスタTr35をトランジスタTr305に、トランジスタTr36をトランジスタTr306に置き換えたものがそのまま成り立つ。
【0238】
図16を参照して説明したようにノードN1にラッチ入力回路1231がHレベルの電圧を供給し電位調整回路1233aがLレベルの電圧を供給することによりノードN1の電位がHレベルで安定されているとき、トランジスタTr304、Tr305、およびTr306それぞれのオン抵抗の和は、トランジスタTr11およびTr12それぞれのオン抵抗の和より大きい。図16を参照して説明したようにノードN1にラッチ入力回路1231がLレベルの電圧を供給し電位調整回路1233aがHレベルの電圧を供給することによりノードN1の電位がLレベルで安定されているとき、トランジスタTr301、Tr302、およびTr303それぞれのオン抵抗の和は、トランジスタTr13およびTr14それぞれのオン抵抗の和より大きい。
【0239】
図19の例の、トランジスタTr302のゲートへの信号Sig2の入力のため、ならびに、トランジスタTr303の第2端子およびトランジスタTr304の第1端子とノードN1との接続のため、それぞれコンタクトプラグが用いられる。同様に、図17の例の、トランジスタTr34のゲートへの信号Sig2の入力のため、ならびに、トランジスタTr34の第2端子およびトランジスタTr35の第1端子とノードN1との接続のため、それぞれコンタクトプラグが用いられる。図19の例の当該2つのコンタクトプラグの間隔は、図17の例の当該コンタクトプラグの間隔より広い。このため、図19の例の当該コンタクトプラグ間の容量カップリングは、図17の例の当該コンタクトプラグ間の容量カップリングより小さい。図19の例の、トランジスタTr305のゲートへの信号Sig1の入力のために用いられるコンタクトプラグと、トランジスタTr303の第2端子およびトランジスタTr304の第1端子とノードN1との接続のために用いられるコンタクトプラグと、の関係についても同様である。このため、図19の例の場合、図17の例の場合と比較して、ノードN1の電位と、電位調整回路1233aに入力される信号Sig1およびSig2の各々との間の影響が、小さくなる。したがって、図19の例の場合、図17の例の場合より、第2実施形態に係る半導体記憶装置1aの部分ラッチ回路LC1aは精度よく動作可能である。
【0240】
図19に示したのと同様の回路構成を、或るノードへの接続に用いられるコンタクトプラグと、信号Sig1またはSig2等の信号を或るトランジスタTrのゲートへ入力するために用いられるコンタクトプラグと、の間の容量カップリングを小さくする目的で、本明細書に開示される他の回路構成中に設けてもよい。
【0241】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態に係る半導体記憶装置1bについて説明する。
【0242】
[構成例]
第3実施形態に係る半導体記憶装置1bの構成について、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の構成と相違する点を中心に説明する。
【0243】
第3実施形態に係る半導体記憶装置1bは、第1実施形態に係る半導体記憶装置1において、部分ラッチ回路LC1を部分ラッチ回路LC1bに置き換えたものである。第3実施形態に係る半導体記憶装置1b中の、部分ラッチ回路LC1bを含む何らかの構成、および、部分ラッチ回路LC1bと同様の構成を有し得る何らかの構成、を参照する説明を行う場合には、当該構成には、第1実施形態において用いた符号にbを付して説明する。
【0244】
図20は、第3実施形態に係る半導体記憶装置1bの部分ラッチ回路LC1bの構成の一例を示す。
【0245】
図20に示される部分ラッチ回路LC1bの構成は、図10に示した部分ラッチ回路LC1の構成において、正帰還回路1232および電位調整回路1233を正帰還回路1232bに置き換えたものである。正帰還回路1232bは、正帰還回路1232において、インバータ回路12321をインバータ回路12321bに置き換えたものである。正帰還回路1232bのインバータ回路12322の構成は、図10を参照して説明したとおりである。
【0246】
インバータ回路12321bは、例えば、インバータINV7およびスイッチング素子SW5を含む。
【0247】
インバータINV7の入力端子はノードN1に接続され、インバータINV7の出力端子はノードN2に接続される。スイッチング素子SW5の第1端子はノードN2に接続され、スイッチング素子SW5の第2端子はノードN1に接続される。
【0248】
インバータ回路12321bは、ノードN1の電位に基づいて次のように電圧を出力する。
インバータINV7は、例えば、当該入力端子に接続されるノードN1の電位の値が閾値Vth7以上である間はLレベルの電圧を、当該値が閾値Vth7未満である場合はHレベルの電圧を、図10の例のインバータINV3と同様、当該出力端子に接続されるノードN2に供給する。スイッチング素子SW5は、当該第1端子に接続されるノードN2にこのように供給される電圧を、スイッチング素子SW5がオン状態の間に、当該第2端子に接続されるノードN1に伝達する。スイッチング素子SW5は、信号Sig1がLレベルであり信号Sig2がHレベルである間はオフ状態であり、信号Sig1がHレベルであり信号Sig2がLレベルである間はオン状態である。したがって、スイッチング素子SW2がオン状態である間にスイッチング素子SW5もオン状態であり、スイッチング素子SW2がオフ状態である間にスイッチング素子SW5もオフ状態である。
【0249】
以下、スイッチング素子SW5がオン状態である間のように、インバータ回路12321bが、インバータ回路12321bが出力する電圧をノードN1に伝達可能な場合に、インバータ回路12321bは調整オン状態にあるとも称する。これ以外の場合には、インバータ回路12321bは調整オフ状態にあるとも称する。
【0250】
信号Sig1がHレベルである間におけるインバータ回路12321bによるノードN1の電位の調整機能について説明する。この間、スイッチング素子SW2およびSW5はオン状態でありスイッチング素子SW3はオフ状態である、すなわち、ラッチ入力回路1231はオン状態でありインバータ回路12321bは調整オン状態でありインバータ回路12322はオフ状態である。
【0251】
ラッチ入力回路1231がHレベルの電圧をノードN1に供給する場合、これによりノードN1の電位が上昇し得る。当該電位の値が閾値Vth7以上になる場合、当該電位の値が閾値Vth7以上であることに応じて、インバータ回路12321bがLレベルの電圧をノードN1に供給する。この結果、ノードN1の電位がHレベルで安定されることがある。当該Hレベルの電位は、インバータ回路12321bからの電圧供給がなくラッチ入力回路1231から供給されるHレベルの電圧に基づいてノードN1の電位が安定される場合より低い。これは、ノードN1の電位がHレベルで安定しているとき、インバータ回路12321bが供給するLレベルの電圧の供給源からノードN1までの経路の抵抗R7Lが、ラッチ入力回路1231が供給するHレベルの電圧の供給源からノードN1までの経路の抵抗R2Hより大きいためである。例えば、ノードN1の電位がHレベルで安定しているとき、(抵抗R7Lの大きさ)/(抵抗R2Hの大きさ)は、5/3以上3以下の範囲にある。
【0252】
ラッチ入力回路1231がLレベルの電圧をノードN1に供給する場合、これによりノードN1の電位が下降し得る。当該電位の値が閾値Vth7未満になる場合、当該電位の値が閾値Vth7未満であることに応じて、インバータ回路12321bがHレベルの電圧をノードN1に供給する。この結果、ノードN1の電位がLレベルで安定されることがある。当該Lレベルの電位は、インバータ回路12321bからの電圧供給がなくラッチ入力回路1231から供給されるLレベルの電圧に基づいてノードN1の電位が安定される場合より高い。これは、ノードN1の電位がLレベルで安定しているとき、インバータ回路12321bが供給するHレベルの電圧の供給源からノードN1までの経路の抵抗R7Hが、ラッチ入力回路1231が供給するLレベルの電圧の供給源からノードN1までの経路の抵抗R2Lより大きいためである。例えば、ノードN1の電位がLレベルで安定しているとき、(抵抗R7Hの大きさ)/(抵抗R2Lの大きさ)は、5/3以上3以下の範囲にある。
【0253】
信号Sig1がLレベルである間について説明する。この間、スイッチング素子SW2およびSW5はオフ状態でありスイッチング素子SW3はオン状態である、すなわち、ラッチ入力回路1231はオフ状態でありインバータ回路12321bは調整オフ状態でありインバータ回路12322はオン状態である。このため、ノードN1の電位がHレベルまたはLレベルで安定されていたとしても、インバータ回路12321bは、上述したようにノードN1の電位を電圧降下または電圧上昇させることをしていない。
【0254】
図21は、第3実施形態に係る半導体記憶装置1bの部分ラッチ回路LC1bの回路構成の一例を示す。
【0255】
図21に示されるラッチ入力回路1231および解除機能付きインバータ回路12322の各々の回路構成は、図11の例で示されたものと同一である。インバータ回路12321bの回路構成について説明する。
【0256】
インバータ回路12321bは、例えば、pチャネルMOSトランジスタTr213およびTr214、ならびに、nチャネルMOSトランジスタTr215およびTr216を含む。
【0257】
トランジスタTr213の第1端子には例えば電圧VDDが印加され、トランジスタTr213の第2端子はノードN2に接続される。トランジスタTr214の第1端子はノードN2に接続され、トランジスタTr214の第2端子はノードN1に接続される。トランジスタTr215の第1端子はノードN1に接続され、トランジスタTr215の第2端子はノードN2に接続される。トランジスタTr216の第1端子はノードN2に接続され、トランジスタTr216の第2端子には例えば電圧VSSが印加される。トランジスタTr213およびTr216の各々のゲートは、ノードN1に接続される。トランジスタTr214のゲートには信号Sig2が入力される。トランジスタTr215のゲートには信号Sig1が入力される。
【0258】
信号Sig1がLレベルであり信号Sig2がHレベルである間、トランジスタTr214およびTr215がオフ状態である。このため、トランジスタTr213の第1端子に印加される電圧VDDと、トランジスタTr216の第2端子に印加される電圧VSSとのいずれも、ノードN1に供給されない。
【0259】
信号Sig1がHレベルであり信号Sig2がLレベルである間、トランジスタTr214およびTr215がオン状態である。この間には、インバータ回路12321bは、次のように電圧をノードN1に供給する。
【0260】
ノードN1の電位の値が閾値Vth7未満である場合はトランジスタTr213がオン状態でありトランジスタTr216がオフ状態である。このため、ノードN1の電位の値が閾値Vth7未満であることに応じて、トランジスタTr213の第1端子に印加される電圧VDDがノードN1に供給される。一方、ノードN1の電位の値が閾値Vth7以上である場合はトランジスタTr213がオフ状態でありトランジスタTr216がオン状態である。このため、ノードN1の電位の値が閾値Vth7以上であることに応じて、トランジスタTr216の第2端子に印加される電圧VSSがノードN1に供給される。
【0261】
図20を参照して説明したようにノードN1にラッチ入力回路1231がHレベルの電圧を供給しインバータ回路12321bがLレベルの電圧を供給することによりノードN1の電位がHレベルで安定されているとき、トランジスタTr215およびTr216それぞれのオン抵抗の和は、トランジスタTr11およびTr12それぞれのオン抵抗の和より大きい。この目的で、例えば、これらのトランジスタTrそれぞれの上記サイズを次のような大小関係にする。トランジスタTr215のサイズを最も小さく、トランジスタTr11、Tr12、およびTr216それぞれのサイズを実質的に同一にする。このためには、例えば、これらのトランジスタTrそれぞれのゲート長を実質的に同一にし、これらのトランジスタTrそれぞれのゲート幅について次のような大小関係にしてもよい。トランジスタTr215のゲート幅を最も小さく、トランジスタTr11、Tr12、およびTr216それぞれのゲート幅を実質的に同一にする。
【0262】
図20を参照して説明したようにノードN1にラッチ入力回路1231がLレベルの電圧を供給しインバータ回路12321bがHレベルの電圧を供給することによりノードN1の電位がLレベルで安定されているとき、トランジスタTr213およびTr214それぞれのオン抵抗の和は、トランジスタTr13およびTr14それぞれのオン抵抗の和より大きい。この目的で、例えば、これらのトランジスタTrそれぞれの上記サイズを次のような大小関係にする。トランジスタTr214のサイズを最も小さく、トランジスタTr13、Tr14、およびTr213それぞれのサイズを実質的に同一にする。このためには、例えば、これらのトランジスタTrそれぞれのゲート長を実質的に同一にし、これらのトランジスタTrそれぞれのゲート幅について次のような大小関係にしてもよい。トランジスタTr214のゲート幅を最も小さく、トランジスタTr13、Tr14、およびTr213それぞれのゲート幅を実質的に同一にする。
【0263】
上記で詳細に説明したインバータ回路12321bは、第2実施形態の電位調整回路1233aと同等の機能を実現可能であるが、本実施形態に係る半導体記憶装置1bの部分ラッチ回路LC1bのインバータ回路12321bの構成はこれに限定されない。インバータ回路12321bは、例えば、第1実施形態の電位調整回路1233と同等の機能を実現可能なように構成されるものであってもよい。このためには、図21に示される回路構成を例に挙げると、例えば、当該回路構成においてトランジスタTr214およびTr215を省いてトランジスタTr213およびTr216のサイズを調整してもよい。あるいは、トランジスタTr214およびTr215が常にオン状態になるようにトランジスタTr214およびTr215それぞれのゲートに電圧が印加されるようにしてもよい。
【0264】
[動作例]
第3実施形態に係る半導体記憶装置1bは、第2実施形態に係る半導体記憶装置1aについて説明した図18の例と同様の動作を実行する。より具体的には、図18の例の説明において、部分ラッチ回路LC1aを部分ラッチ回路LC1bに、インバータ回路12321および電位調整回路1233aをインバータ回路12321bに、閾値Vth3を閾値Vth7に、ならびに、電位調整回路1233aのオン状態およびオフ状態をそれぞれインバータ回路12321bの調整オン状態および調整オフ状態に置き換えたものが成り立つ。
【0265】
[効果]
第3実施形態に係る半導体記憶装置1bの部分ラッチ回路LC1bによれば、第1実施形態および第2実施形態において説明したのと同様の効果が奏せられるのに加えて、次に説明するような効果も奏せられ得る。
【0266】
部分ラッチ回路LC1bのインバータ回路12321bは、部分ラッチ回路LC1aのインバータ回路12321および電位調整回路1233aの機能を、これらの回路12321および1233aに用いられるトランジスタTrより少ない数のトランジスタTrにより実現する。このため、部分ラッチ回路LC1bによると次の効果が奏せられ得る。すなわち、第3実施形態に係る半導体記憶装置1bの部分ラッチ回路LC1bの回路面積は、第2実施形態に係る半導体記憶装置1aの部分ラッチ回路LC1aの回路面積より小さくなり得る。また、第3実施形態に係る半導体記憶装置1bの部分ラッチ回路LC1bによると、第2実施形態に係る半導体記憶装置1aの部分ラッチ回路LC1aよりもさらに、消費電力の低減が可能とされ得る。
【0267】
<第4実施形態>
以下、第4実施形態に係る半導体記憶装置1bhについて説明する。
【0268】
[構成例]
第4実施形態に係る半導体記憶装置1bhの構成について、第3実施形態に係る半導体記憶装置1bの構成と相違する点を中心に説明する。
【0269】
第4実施形態に係る半導体記憶装置1bhは、第3実施形態に係る半導体記憶装置1bにおいて、入出力回路12bを入出力回路12bhに置き換えたものである。第4実施形態に係る半導体記憶装置1bh中の、入出力回路12bhを含む何らかの構成を参照する説明を行う場合には、当該構成には、第3実施形態において用いた符号にhを付して説明する。
【0270】
図22は、第4実施形態に係る半導体記憶装置1bhの入出力回路12bhの構成の一例を示すブロック図である。図22に示される参照符号12bi、12bj、12bk、126i、126j、および126kについては、後続する実施形態において説明する。
【0271】
入出力回路12bhは、第3実施形態に係る半導体記憶装置1bの入出力回路12bが有する構成に加えて、信号成形回路126hをさらに含む。信号成形回路126hは、入力回路122内に設けられるものであってもよいし、あるいは、例えばシーケンサ15内のような、半導体記憶装置1bhの他の部分に設けられていてもよい。他の実施形態についても同様である。
【0272】
入力回路122は、例えば信号Sig1および信号Sig2を、信号成形回路126hに出力する。
【0273】
信号成形回路126hは、例えば、入力回路122から信号Sig1およびSig2を受け取り、信号Sig1およびSig2に基づいて信号Sigαhおよび信号Sigβhを生成し、信号Sigαhおよび信号Sigβhをラッチ回路123b<0>に出力する。信号成形回路126hは、信号Sigαhおよび信号Sigβhを、ラッチ回路123b<7:1>のうちの他のラッチ回路に出力してもよい。信号Sigαhは、信号Sig1が、信号Sig1がHレベルである期間の一部においてLレベルとなるように成形された信号である。信号Sigβhは、信号Sigαhの相補信号である。他の実施形態の信号SigαおよびSigβについても同様である。
【0274】
ラッチ回路123b<0>は、信号成形回路126hから信号Sigαhおよび信号Sigβhを受け取る。ラッチ回路123b<0>の部分ラッチ回路LC1bは、例えば、信号Sigαhおよび信号Sigβhにも基づいて、信号DQ<0>の奇数ビットのデータを順にラッチする。以下の、信号SigαおよびSigβがラッチ回路123b<0>に出力されると説明する他の実施形態についても同様である。
【0275】
図23は、第4実施形態に係る半導体記憶装置1bhの信号成形回路126hの回路構成の一例を示す。以下に示される信号成形回路126hの回路構成は一例に過ぎない。信号成形回路126hの回路構成としては、信号SigαhおよびSigβhを同様に生成可能な他の回路構成も適用可能である。以下の実施形態の同様の図面についても同じである。
【0276】
信号成形回路126hは、例えば、遅延回路DC1、アンドゲートAND1、遅延回路DC2、およびオアゲートOR1を含む。
【0277】
信号Sig1およびSig2は、信号成形回路126hの内部で次のように処理される。なお、以下に説明するアンド演算等の演算は、Hレベルを1かつLレベルを0とする条件の下で行われる。
【0278】
遅延回路DC1は、信号Sig1を受け取り、信号Sig1に基づいて信号SigD1を生成し、信号SigD1を出力する。信号SigD1は、信号Sig1が遅延された信号である。例えば、信号SigD1の位相は、信号Sig1の位相よりπ/2ラジアン遅れている。信号SigD1は、信号Sig1から遅れて立ち上がると信号Sig1が立ち下がるまで信号Sig1とともにHレベルであり、信号Sig1から遅れて立ち下がる。
【0279】
アンドゲートAND1は、信号Sig1を第1入力端子上で受け取り、信号SigD1を第2入力端子上で受け取る。アンドゲートAND1は、当該受け取った2つの信号に対してアンド演算を行い、当該演算の結果の信号を出力する。当該出力される信号が、図22で示した信号Sigαhに相当する。信号Sigαhは、信号Sig1から遅れて立ち上がると信号Sig1が立ち下がるまで信号Sig1とともにHレベルであり、信号Sig1と実質的に同時に立ち下がる。
【0280】
遅延回路DC2は、信号Sig2を受け取り、信号Sig2に基づいて信号SigD2を生成し、信号SigD2を出力する。信号SigD2は、信号Sig2が遅延された信号である。遅延回路DC2による遅延量は、遅延回路DC1による遅延量と実質的に同一である。信号SigD2は、信号Sig2から遅れて立ち下がると信号Sig2が立ち上がるまで信号Sig2とともにLレベルであり、信号Sig2から遅れて立ち上がる。
【0281】
オアゲートOR1は、信号Sig2を第1入力端子上で受け取り、信号SigD2を第2入力端子上で受け取る。オアゲートOR2は、当該受け取った2つの信号に対してオア演算を行い、当該演算の結果の信号を出力する。当該出力される信号が、図22で示した信号Sigβhに相当する。信号Sigβhは、信号Sig2から遅れて立ち下がると信号Sig2が立ち上がるまで信号Sig2とともにLレベルであり、信号Sig2と実質的に同時に立ち上がる。
【0282】
上記では、部分ラッチ回路LC1bが利用する信号SigαhおよびSigβhを生成する信号成形回路126hの回路構成について説明した。同様の回路構成を、部分ラッチ回路LC0bが利用し得る同様の2つの信号を生成する信号成形回路に適用する場合について説明する。この場合、当該信号成形回路の回路構成として、上述したように信号Sig1を成形するのと同様に信号Sig2を成形し、上述したように信号Sig2を成形するのと同様に信号Sig1を成形するような回路構成が用いられ得る。特別に言及しない限り、他の実施形態の、信号SigαおよびSigβを生成する信号成形回路126についても同じである。
【0283】
図24は、第4実施形態に係る半導体記憶装置1bhの部分ラッチ回路LC1bの構成の一例を示す。当該部分ラッチ回路LC1bの構成は、以下に説明する点を除いて、図20の例と同じである。
【0284】
スイッチング素子SW5は、信号SigαhがLレベルであり信号SigβhがHレベルである間はオフ状態であり、信号SigαhがHレベルであり信号SigβhがLレベルである間はオン状態である。
【0285】
上記では、部分ラッチ回路LC1bの構成について説明したが、同様の構成を部分ラッチ回路LC0bに適用する場合について説明する。この場合、上述した部分ラッチ回路LC1bの構成において、例えば、信号Sigαhを、図23を参照して説明したように信号Sig2を成形した信号に置き換え、信号Sigβhを、図23を参照して説明したように信号Sig1を成形した信号に置き換えたものが、部分ラッチ回路LC0bの構成として適用され得る。他の実施形態の、信号SigαおよびSigβを利用する部分ラッチ回路LC1bについても同じである。
【0286】
図25は、第4実施形態に係る半導体記憶装置1bhの部分ラッチ回路LC1bの回路構成の一例を示す。当該部分ラッチ回路LC1bの回路構成は、以下に説明する点を除いて、図21の例と同じである。
【0287】
トランジスタTr214のゲートには、信号Sig2の代わりに信号Sigβhが入力される。トランジスタTr215のゲートには、信号Sig1の代わりに信号Sigαhが入力される。
【0288】
信号SigαhがLレベルであり信号SigβhがHレベルである間、トランジスタTr214およびTr215がオフ状態である。このため、トランジスタTr213の第1端子に印加される電圧VDDと、トランジスタTr216の第2端子に印加される電圧VSSとのいずれも、ノードN1に供給されない。
【0289】
信号SigαhがHレベルであり信号SigβhがLレベルである間、トランジスタTr214およびTr215がオン状態である。この間には、インバータ回路12321bは、図21の例と同様に電圧をノードN1に供給する。
【0290】
上記では、部分ラッチ回路LC1bの回路構成について説明したが、同様の回路構成を部分ラッチ回路LC0bに適用する場合について説明する。この場合、上述した部分ラッチ回路LC1bの回路構成において、例えば、信号Sigαhが入力されると説明したゲートに、図23を参照して説明したように信号Sig2を成形した信号が入力されるようにし、信号Sigβhが入力されると説明したゲートに、図23を参照して説明したように信号Sig1を成形した信号が入力されるようにしたものが、部分ラッチ回路LC0bの回路構成として適用され得る。他の実施形態の、信号SigαおよびSigβを利用する部分ラッチ回路LC1bについても同じである。
【0291】
上記では、第3実施形態において説明したのと同等の構成の部分ラッチ回路LC1bが、信号成形回路126hが生成する信号SigαhおよびSigβhに基づいて動作するように構成される場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、第2実施形態において説明したのと同等の構成の部分ラッチ回路が、信号成形回路126hが生成する信号SigαhおよびSigβhに基づいて動作するように構成されてもよい。以下の、第3実施形態において説明したのと同等の構成の部分ラッチ回路LC1bが信号SigαおよびSigβに基づいて動作するように構成される他の実施形態についても同じである。
【0292】
[動作例]
図26は、第4実施形態に係る半導体記憶装置1bhの部分ラッチ回路LC1bが、信号DQ<0>により送られる或るビットのデータをラッチする際の、各種信号の時間変化を示すタイミングチャートの一例を示す。
【0293】
信号Sig1、信号Sig2、および信号Din<0>、の時間変化については、図13の説明において、時刻T00を時刻T40に、時刻T01を時刻T41に、時刻T02を時刻T42に、時刻T03を時刻T43に、時刻T04を時刻T44に、時刻T01dを時刻T41dに、時刻T02dを時刻T42dに置き換えたものが成り立つ。時刻T41dから時刻T42までの時間は、時刻T01dから時刻T02までの時間ΔTと同一である。また、ラッチ入力回路1231および解除機能付きインバータ回路12322の各々がオン状態であるかオフ状態であるかについては、図13の説明において上記のように時刻を置き換えたものが成り立つ。
【0294】
先ず、信号Sigαhおよび信号Sigβhについて説明する。
時刻T40では、信号SigαhはLレベルであり信号SigβhはHレベルである。信号SigαhおよびSigβhのこれらのレベルは時刻T41sまで維持される。時刻T41sは、時刻T41より後であり時刻T41dより前である。時刻T41sにおいて、信号SigαhがLレベルからHレベルに立ち上がり、信号SigβhがHレベルからLレベルに立ち下がる。信号SigαhおよびSigβhのこれらのレベルは時刻T42まで維持される。時刻T42において、信号SigαhはHレベルからLレベルに立ち下がり、信号SigβhはLレベルからHレベルに立ち上がる。信号SigαhおよびSigβhのこれらのレベルは時刻T43sまで維持される。時刻T43sは、時刻T43より後であり時刻T44より前である。時刻T43sにおいて、信号SigαhがLレベルからHレベルに立ち上がり、信号SigβhがHレベルからLレベルに立ち下がる。信号SigαhおよびSigβhのこれらのレベルは時刻T44まで維持される。
【0295】
インバータ回路12321bは、信号SigαhがLレベルである間は調整オフ状態であり、信号SigαhがHレベルである間は調整オン状態である。このため、インバータ回路12321bが調整オン状態である期間と調整オフ状態である期間は次のようになる。インバータ回路12321bは、ラッチ入力回路1231がオン状態である時刻T41から時刻T42までのうち時刻T41sから時刻T42まで調整オン状態である。インバータ回路12321bは、ラッチ入力回路1231がオン状態である時刻T43から時刻T44までのうち時刻T43sから時刻T44まで調整オン状態である。インバータ回路12321bは、それ以外は調整オフ状態である。
【0296】
次に、ノードN1の電位について説明する。
時刻T40から時刻T41dまで、図13の例の時刻T00から時刻T01dまでと同様に、ノードN1の電位はHレベルである。ただし、時刻T40から時刻T41sまでインバータ回路12321bが調整オフ状態であるため、当該Hレベルの電位は、比較例の場合の図15の例と同様に、電圧降下されているものではない。時刻T41sから時刻41dまでインバータ回路12321bが調整オン状態である。インバータ回路12321bが調整オン状態になる時刻T41sから、インバータ回路12321bによる制御が働く。その結果、ノードN1の電位は、例えば、図13の例と同様に、電位差ΔVHだけ電圧降下されたHレベルで安定され、時刻T41dまで、ノードN1の電位は当該Hレベルで安定されている。
【0297】
時刻T41dから時刻T42まで、図13の例の時刻T01dから時刻T02までと同様に、ノードN1の電位がHレベルから下降する。この間もインバータ回路12321bは調整オン状態である。
【0298】
時刻T42において、図13の例の時刻T02と同様に、ノードN1の電位の値は閾値Vth7未満である。図13の例と同様に、ノードN1の電位の値が閾値Vth7未満となってから速やかに、ノードN2の電位の値が閾値Vth4以上となっている。このため、時刻T42から時刻T43まで、図13の例の時刻T02から時刻T03までと同様に、インバータ回路12321bがHレベルの電圧をノードN2に供給し、Lレベルの電圧がノードN1に供給される。このため、図13の例と同様に、ノードN1の電位はLレベルに到達して安定し、ノードN2の電位はHレベルで安定する。ただし、この間はインバータ回路12321bが調整オフ状態であるため、ノードN1のLレベルの電位は、比較例の場合の図15の例と同様に、電圧上昇されているものではない。
【0299】
このようにして、図13の例と同様に、信号Sig1が立ち下がる時刻T42の直前での信号Din<0>のHレベルが、ノードN1およびノードN2の各々の電位へと反映される。これにより、図12を参照して説明したように信号DQSが立ち下がるタイミングで信号DQ<0>により送られている奇数ビットの或るビットのデータが、部分ラッチ回路LC1bによりラッチされる。
【0300】
時刻T43から時刻T44まで、図13の例の時刻T03から時刻T04までと同様に、Hレベルの電圧がノードN1に供給される。これにより、ノードN1の電位がLレベルからHレベルに到達して安定する。時刻T43から時刻T43sまでインバータ回路12321bが調整オフ状態である。このため、この間にノードN1の電位がHレベルに到達する場合、当該Hレベルの電位は、比較例の場合の図15の例と同様に、電圧降下されているものではない。時刻T43sから時刻T44までインバータ回路12321bが調整オン状態である。インバータ回路12321bが調整オン状態になる時刻T43sから、インバータ回路12321bによる制御が働く。その結果、ノードN1の電位は、図13の例と同様に、電位差ΔVHだけ電圧降下されたHレベルで安定され、時刻T44まで、ノードN1の電位は当該Hレベルで安定されている。
【0301】
[効果]
第4実施形態に係る半導体記憶装置1bhの部分ラッチ回路LC1bによれば、第1実施形態から第3実施形態において説明したのと同様の効果が奏せられるのに加えて、次に説明するような効果も奏せられる。
【0302】
第4実施形態に係る半導体記憶装置1bhの部分ラッチ回路LC1bのインバータ回路12321bは、信号SigαhがLレベルである間は調整オフ状態であり、信号SigαhがHレベルである間は調整オン状態である。信号Sigαhは、信号Sig1から遅れて立ち上がると信号Sig1が立ち下がるまで信号Sig1とともにHレベルであり、信号Sig1と実質的に同時に立ち下がる。
【0303】
したがって、第4実施形態に係る半導体記憶装置1bhの部分ラッチ回路LC1bのインバータ回路12321bは、信号Sig1が立ち上がるのに遅れて調整オン状態になり、信号Sig1が立ち下がるのと実質的に同時に調整オフ状態になる。このようにラッチ入力回路1231がオン状態になるのに遅れてインバータ回路12321bが調整オン状態になっても、第1実施形態において説明したように、部分ラッチ回路LC1bは、信号Din<0>の奇数ビットの各ビットのデータを正確にラッチ可能である。これは、例えば、信号Din<0>のレベルの変化から信号Sig1の立ち下がりまでの時間が、時間ΔTのように短い時間である場合には、図26の例のように、信号Din<0>のレベルの変化のタイミングではインバータ回路12321bが既に調整オン状態であり、ゆえに、ノードN1のHレベルの電位が電圧降下されているから、または、ノードN1のLレベルの電位が電圧上昇されているからである。
【0304】
このように、第4実施形態に係る半導体記憶装置1bhの部分ラッチ回路LC1bのインバータ回路12321bが調整オン状態である期間は、第3実施形態の場合の調整オン状態の期間が短縮されたものとなる。インバータ回路12321bが調整オン状態である間は、第2実施形態において説明したような電力が部分ラッチ回路LC1bにより消費され得る。したがって、第4実施形態に係る半導体記憶装置1bhの部分ラッチ回路LC1bによると、第3実施形態の場合よりもさらに消費電力の低減が可能とされ得る。
【0305】
<第5実施形態>
以下、第5実施形態に係る半導体記憶装置1biについて説明する。
【0306】
[構成例]
第5実施形態に係る半導体記憶装置1biの構成について、第3実施形態に係る半導体記憶装置1bの構成と相違する点を中心に説明する。
【0307】
第5実施形態に係る半導体記憶装置1biは、第3実施形態に係る半導体記憶装置1bにおいて、入出力回路12bを入出力回路12biに置き換えたものである。第5実施形態に係る半導体記憶装置1bi中の、入出力回路12biを含む何らかの構成を参照する説明を行う場合には、当該構成には、第3実施形態において用いた符号にiを付して説明する。
【0308】
既に図22に示したように、入出力回路12biは、第3実施形態に係る半導体記憶装置1bの入出力回路12bが有する構成に加えて、信号成形回路126iをさらに含む。図22を参照して、既に説明したのと相違する点のみを説明する。
【0309】
入力回路122は、例えば信号Sig1を信号成形回路126iに出力する。
【0310】
信号成形回路126iは、例えば、入力回路122から信号Sig1を受け取り、信号Sig1に基づいて信号Sigαiおよび信号Sigβiを生成し、信号Sigαiおよび信号Sigβiを、ラッチ回路123b<0>に出力する。
【0311】
第5実施形態に係る半導体記憶装置1biの部分ラッチ回路LC1bの構成については、図24および図25の説明において、信号Sigαhを信号Sigαiに、信号Sigβhを信号Sigβiに置き換えたものが成り立つ。
【0312】
図27は、第5実施形態に係る半導体記憶装置1biの信号成形回路126iの回路構成の一例を示す。
【0313】
信号成形回路126iは、例えば、遅延回路DC3、アンドゲートAND2、エクスクルーシブノアゲートXNOR1、アンドゲートAND3、およびインバータINV8を含む。
【0314】
信号成形回路126iは、ラッチ回路123b<0>から信号SigN2をさらに受け取り、信号SigN2にも基づいて信号Sigαiおよび信号Sigβiを生成する。信号SigN2は、ノードN2上で伝達される信号であってノードN2の電位を示す信号である。信号Sig1およびSigN2は、信号成形回路126iの内部で次のように処理される。
【0315】
遅延回路DC3は、信号SigN2を受け取り、信号SigN2に基づいて信号SigDN2を生成し、信号SigDN2を出力する。信号SigDN2は、信号SigN2が遅延された信号である。信号SigDN2は、例えば、信号SigN2から遅れて立ち上がると信号SigN2が立ち下がるまで信号SigN2とともにHレベルであり、信号SigN2から遅れて立ち下がる。
【0316】
アンドゲートAND2は、信号SigN2を第1入力端子上で受け取り、信号SigDN2を第2入力端子上で受け取る。アンドゲートAND2は、当該受け取った2つの信号に対してアンド演算を行い、当該演算の結果の信号SigNN2を出力する。信号SigNN2は、例えば、信号SigN2から遅れて立ち上がると信号SigN2が立ち下がるまで信号SigN2とともにHレベルであり、信号SigN2と実質的に同時に立ち下がる。
【0317】
エクスクルーシブノアゲートXNOR1は、信号SigN2を第1入力端子上で受け取り、信号SigNN2を第2入力端子上で受け取る。エクスクルーシブノアゲートXNOR1は、当該受け取った2つの信号に対して否定排他的論理和演算を行い、当該演算の結果の信号SigTDiを出力する。信号SigTDiは、例えば、信号SigN2が立ち上がってから信号SigNN2が遅れて立ち上がる前までLレベルになるが、それ以外はHレベルである。
【0318】
アンドゲートAND3は、信号Sig1を第1入力端子上で受け取り、信号SigTDiを第2入力端子上で受け取る。アンドゲートAND3は、当該受け取った2つの信号に対してアンド演算を行い、当該演算の結果の信号を出力する。当該出力される信号が、図22で示した信号Sigαiに相当する。信号Sigαiは、信号SigTDiがHレベルである間は信号Sig1のレベルと同一のレベルであるが、信号SigTDiがLレベルである間はLレベルである。
【0319】
インバータINV8は、信号Sigαiを入力端子上で受け取り、信号Sigαiの電圧のレベルを反転させた信号を出力する。当該出力される信号が、図22で示した信号Sigβiに相当する。
【0320】
[動作例]
図28は、第5実施形態に係る半導体記憶装置1biの部分ラッチ回路LC1bが、信号DQ<0>により送られる或るビットのデータをラッチする際の、各種信号の時間変化を示すタイミングチャートの一例を示す。当該タイミングチャートでは、信号Sig2および信号Sigβiの時間変化が省略されている。これは、信号Sig2および信号Sigβiがそれぞれ、時間変化が示される信号Sig1および信号Sigαiの相補信号に過ぎないためである。
【0321】
信号Sig1および信号Din<0>の時間変化については、図13の説明において、時刻T00を時刻T50に、時刻T01を時刻T51に、時刻T02を時刻T52に、時刻T03を時刻T53に、時刻T04を時刻T54に、時刻T01dを時刻T51dに、時刻T02dを時刻T52dに置き換えたものが成り立つ。時刻T51dから時刻T52までの時間ΔTbは、時刻T01dから時刻T02までの時間ΔTより長い。また、ラッチ入力回路1231および解除機能付きインバータ回路12322の各々がオン状態であるかオフ状態であるかについては、図13の説明において上記のように時刻を置き換えたものが成り立つ。なお、図28では、信号SigN2の時間変化については、ノードN2の電位がLレベルであるかHレベルであるか、あるいは、一方のレベルからもう一方のレベルへ変化されているかが表されているものに過ぎない。以下の同様の図面についても同じである。
【0322】
インバータ回路12321bは、信号SigαiがLレベルである間は調整オフ状態であり、信号SigαiがHレベルである間は調整オン状態である。
【0323】
時刻T50から時刻T51dまで、図13の例の時刻T00から時刻T01dまでと同様に、ノードN1の電位はHレベルである。この間、インバータ回路12321bは、ノードN1の電位の値が閾値Vth7以上であることに応じて、Lレベルの電圧をノードN2に供給する。これにより、ノードN2の電位はLレベルで安定されている。この間のノードN1のHレベルの電位について説明する。
【0324】
ノードN2の電位がLレベルで安定されていることから、信号SigTDiはHレベルである。このため、信号Sigαiは、信号Sig1と同様に、時刻T50から時刻T51までLレベルであり、時刻T51においてLレベルからHレベルに立ち上がり、時刻T51から時刻T51dまでHレベルである。インバータ回路12321bは、信号SigαiがLレベルである時刻T50から時刻T51まで調整オフ状態であり、信号SigαiがHレベルである時刻T51から時刻T51dまで調整オン状態である。
【0325】
時刻T50から時刻T51までインバータ回路12321bが調整オフ状態であるため、ノードN1のHレベルの電位は、比較例の場合の図15の例と同様に、電圧降下されているものではない。インバータ回路12321bが調整オン状態になる時刻T51から、インバータ回路12321bによる制御が働く。その結果、ノードN1の電位は、例えば、図13の例と同様に、電位差ΔVHだけ電圧降下されたHレベルで安定され、時刻T51dまで、ノードN1の電位は当該Hレベルで安定されている。
【0326】
時刻T51dから時刻T52まで、図13の例の時刻T01dから時刻T02までと同様に、Lレベルの電圧である例えば電圧VSSがノードN1に供給される。これにより、ノードN1の電位がHレベルから下降する。この間の、ノードN1の電位の値が閾値Vth7未満になって以降、インバータ回路12321bは、ノードN1の電位の値が閾値Vth7未満であることに応じて、Hレベルの電圧をノードN2に供給する。これにより、ノードN2の電位がLレベルから上昇する。これにより、例えば、ノードN1の電位はLレベルに到達し、ノードN2の電位はHレベルに到達する。ノードN1の電位およびノードN2の電位のこれらのレベルは、時刻T52まで維持される。この間のノードN1のLレベルの電位について説明する。
【0327】
ノードN2の電位がLレベルからHレベルに上昇することに応じて、時刻T51sにおいて、信号SigTDiはHレベルからLレベルに立ち下がる。時刻T51sは、時刻T51dより後であり時刻T52より前である。ノードN2の電位の当該上昇に遅れて信号SigNN2がLレベルからHレベルに立ち上がる。信号SigNN2の当該立ち上がりに応じて、時刻T52sにおいて、信号SigTDiはLレベルからHレベルに立ち上がる。時刻T51sから時刻T52sまでの時間は、遅延回路DC3の遅延量により決まる。時刻T52sは、例えば、時刻T52より後であり時刻T52dより前である。このため、信号Sigαiは、時刻T51dから時刻T51sまで、信号Sig1と同様のHレベルであり、時刻T51sにおいて、HレベルからLレベルに立ち下がり、時刻T51sから時刻T52までLレベルである。インバータ回路12321bは、信号SigαiがHレベルである時刻T51dから時刻T51sまで調整オン状態であり、信号SigαiがLレベルである時刻T51sから時刻T52まで調整オフ状態である。
【0328】
時刻T51dから時刻T51sまでインバータ回路12321bが調整オン状態であるため、ノードN1の電位は、例えば、時刻T51sまでに、電位差ΔVLだけ電圧上昇されたLレベルで安定する。インバータ回路12321bが調整オフ状態になる時刻T51sから、インバータ回路12321bによる制御が働かなくなる。その結果、ノードN1の電位は、電圧上昇されていた電位差ΔVLだけ電圧降下され、当該電圧降下されたLレベルで安定され、時刻T52まで、ノードN1の電位は当該Lレベルで安定されている。
【0329】
時刻T52から時刻T53まで、図13の例の時刻T02から時刻T03までと同様に、インバータ回路12321bがHレベルの電圧をノードN2に供給し、Lレベルの電圧がノードN1に供給される。これにより、ノードN1の電位はLレベルで安定されており、ノードN2の電位はHレベルで安定されている。この間、信号Sig1がLレベルであるために信号SigαiもLレベルである。したがって、インバータ回路12321bは調整オフ状態である。インバータ回路12321bが調整オフ状態であるため、ノードN1のLレベルの電位は、比較例の場合の図15の例と同様に、電圧上昇されているものではない。
【0330】
このようにして、図13の例と同様に、信号Sig1が立ち下がる時刻T52の直前での信号Din<0>のHレベルが、ノードN1およびノードN2の各々の電位へと反映される。これにより、図12を参照して説明したように信号DQSが立ち下がるタイミングで信号DQ<0>により送られている奇数ビットの或るビットのデータが、部分ラッチ回路LC1bによりラッチされる。
【0331】
時刻T53から時刻T54まで、図13の例の時刻T03から時刻T04までと同様に、Hレベルの電圧がノードN1に供給される。これにより、ノードN1の電位がLレベルからHレベルに到達して安定する。この間の、ノードN1の電位の値が閾値Vth7以上になって以降、インバータ回路12321bは、ノードN1の電位の値が閾値Vth7以上であることに応じて、Lレベルの電圧をノードN2に供給する。これにより、ノードN2の電位がHレベルからLレベルに到達して安定する。
【0332】
ノードN2の電位がHレベルからLレベルになっても、信号SigTDiはHレベルを維持する。このため、時刻T53から時刻T54まで、信号Sigαiは、信号Sig1と同様のHレベルである。したがって、インバータ回路12321bは調整オン状態である。インバータ回路12321bが調整オン状態であるため、ノードN1のHレベルの電位は、図13の例と同様に、電位差ΔVHだけ電圧降下されている。
【0333】
[効果]
第5実施形態に係る半導体記憶装置1biの部分ラッチ回路LC1bによれば、第1実施形態から第3実施形態において説明したのと同様の効果が奏せられるのに加えて、次に説明するような効果も奏せられる。
【0334】
第5実施形態に係る半導体記憶装置1biの部分ラッチ回路LC1bのインバータ回路12321bは、信号SigαiがLレベルである間は調整オフ状態であり、信号SigαiがHレベルである間は調整オン状態である。信号Sigαiは、信号SigTDiがHレベルである間は信号Sig1のレベルと同一のレベルであるが、信号SigTDiがLレベルである間はLレベルである。信号SigTDiは、例えば、信号SigN2の立ち上がりが検出された際にLレベルになるが、それ以外はHレベルである。
【0335】
例えば、図28の例のように、第5実施形態に係る半導体記憶装置1biの部分ラッチ回路LC1bが、信号Sig1がHレベルの間に、例えば、信号Din<0>のLレベルからHレベルへの立ち上がりに応じてノードN1の電位をHレベルから下降させる場合について説明する。
【0336】
信号Din<0>の当該立ち上がりのタイミングまで、ノードN2の電位が例えばLレベルで安定されている。このため、信号SigTDiはHレベルであり、ゆえに、信号Sigαiは信号Sig1のレベルと同一のレベルである。したがって、信号Sig1がHレベルになってから信号Din<0>の当該立ち上がりまでインバータ回路12321bが調整オン状態である。このため、信号Din<0>の当該立ち上がりのタイミングではノードN1のHレベルの電位が電圧降下されている。これは、信号Din<0>の当該立ち上がりから信号Sig1の立ち下がりまでの時間が、図13に示されるような時間ΔTのように短い時間である場合にも当てはまる。したがって、第5実施形態に係る半導体記憶装置1biの部分ラッチ回路LC1bも、第1実施形態において説明したように、信号Sig1の当該立ち下がりのタイミングで信号Din<0>により送られている或るビットのデータを正確にラッチ可能である。
【0337】
信号Din<0>の当該立ち上がりに応じて、ラッチ入力回路1231がLレベルの電圧をノードN1に供給する。これによりノードN1の電位の値が閾値Vth7未満になることに応じて、インバータ回路12321bがHレベルの電圧をノードN2に供給する。これによりノードN2の電位がLレベルから上昇してHレベルに到達する。ノードN2の電位の当該上昇に応じて、信号SigTDiがHレベルからLレベルに立ち下がる。信号Sig1がHレベルの間に信号SigTDiの当該立ち下がりが起こる場合、当該立ち下がりに応じて信号SigαiがLレベルとなる。これにより、信号Sig1がHレベルの間であってもインバータ回路12321bが調整オフ状態になる。信号Sig1がHレベルの間に既に信号Din<0>が立ち上がっているので、信号Sig1がHレベルからLレベルに立ち下がるまでに信号Din<0>のレベルがさらに変化することはない。
【0338】
このように、第5実施形態に係る半導体記憶装置1biの部分ラッチ回路LC1bのインバータ回路12321bが調整オン状態である期間は、第4実施形態の場合と同様に、第3実施形態の場合の調整オン状態の期間が短縮されたものとなり得る。したがって、第5実施形態に係る半導体記憶装置1biの部分ラッチ回路LC1bによっても、第3実施形態の場合よりもさらに消費電力の低減が可能とされ得る。
【0339】
<第6実施形態>
以下、第6実施形態に係る半導体記憶装置1bjについて説明する。
【0340】
[構成例]
第6実施形態に係る半導体記憶装置1bjの構成について、第3実施形態に係る半導体記憶装置1bの構成と相違する点を中心に説明する。
【0341】
第6実施形態に係る半導体記憶装置1bjは、第3実施形態に係る半導体記憶装置1bにおいて、入出力回路12bを入出力回路12bjに置き換えたものである。第6実施形態に係る半導体記憶装置1bj中の、入出力回路12bjを含む何らかの構成を参照する説明を行う場合には、当該構成には、第3実施形態において用いた符号にjを付して説明する。
【0342】
既に図22に示したように、入出力回路12bjは、第3実施形態に係る半導体記憶装置1bの入出力回路12bが有する構成に加えて、信号成形回路126jをさらに含む。図22を参照して、既に説明したのと相違する点のみを説明する。
【0343】
入力回路122は、例えば信号Sig1を信号成形回路126jに出力する。
【0344】
信号成形回路126jは、例えば、入力回路122から信号Sig1を受け取り、信号Sig1に基づいて信号Sigαjおよび信号Sigβjを生成し、信号Sigαjおよび信号Sigβjを、ラッチ回路123b<0>に出力する。
【0345】
図29は、第6実施形態に係る半導体記憶装置1bjの部分ラッチ回路LC1bの構成の一例を示す。
【0346】
当該部分ラッチ回路LC1bは、図24に示したのと同様のラッチ入力回路1231および正帰還回路1232bに加えて、フリップフロップ回路1234をさらに含む。フリップフロップ回路1234以外の構成については、図24の説明において、信号Sigαhを信号Sigαjに、信号Sigβhを信号Sigβjに置き換えたものが成り立つ。
【0347】
フリップフロップ回路1234の構成は、図10に示したラッチ入力回路1231および正帰還回路1232の構成と同等である。違う言い方をすれば、フリップフロップ回路1234の構成は、図10に示した部分ラッチ回路LC1から、電位調整回路1233を除いたものに相当する。例えば、図8に示したシフトレジスタSR1に含まれる複数のフリップフロップ回路F/Fのうち初段のフリップフロップ回路F/Fが、図29におけるフリップフロップ回路1234として機能してもよい。
【0348】
図29では、フリップフロップ回路1234のうち、ラッチ入力回路1231と同等の構成の部分がインバータINV9およびスイッチング素子SW6により示され、インバータ回路12321と同等の構成の部分がインバータINV10により示され、解除機能付きインバータ回路12322と同等の構成の部分がインバータINV11およびスイッチング素子SW7により示されている。
【0349】
フリップフロップ回路1234の構成については、ラッチ入力回路1231および正帰還回路1232の構成の説明において、インバータINV2をインバータINV9に、スイッチング素子SW2をスイッチング素子SW6に、インバータINV3をインバータINV10に、インバータINV4をインバータINV11に、スイッチング素子SW3をスイッチング素子SW7に、ノードN1をノードN3に、ノードN2をノードN4に置き換え、さらに、インバータINV9の入力端子がノードN2に接続されるとし、信号Sig1と信号Sig2とを入れ替え、閾値Vthを適宜読み替えたものが成り立つ。信号Do<0>はノードN4の電位に基づく。
【0350】
図30は、第6実施形態に係る半導体記憶装置1bjの部分ラッチ回路LC1bの回路構成の一例を示す。図30では、図25に示したのと同様の回路構成が示されるのに加えて、図29においてフリップフロップ回路1234の一部として説明した各インバータINVおよびスイッチング素子SWが実現する機能と同等の機能を実現する構成が、より具体化されて示されている。
【0351】
フリップフロップ回路1234以外の回路構成については、図25の説明において、信号Sigαhを信号Sigαjに、信号Sigβhを信号Sigβjに置き換えたものが成り立つ。
【0352】
図30に示されるフリップフロップ回路1234の回路構成は、図11を参照して説明したラッチ入力回路1231および正帰還回路1232の回路構成と同等である。
【0353】
フリップフロップ回路1234は、例えば、pチャネルMOSトランジスタTr401、Tr402、Tr411、Tr421、およびTr422、ならびに、nチャネルMOSトランジスタTr403、Tr404、Tr412、Tr423、およびTr424を含む。
【0354】
トランジスタTr401、Tr402、Tr403、およびTr404の接続関係について説明する。当該接続関係については、ラッチ入力回路1231の回路構成の説明において、トランジスタTr11をトランジスタTr401に、トランジスタTr12をトランジスタTr402に、トランジスタTr13をトランジスタTr403に、トランジスタTr14をトランジスタTr404に、ノードN1をノードN3に置き換え、さらに、信号Sig1と信号Sig2を入れ替え、トランジスタTr401およびTr404のそれぞれのゲートがノードN2に接続される、としたものが成り立つ。
【0355】
トランジスタTr411およびTr412の接続関係について説明する。当該接続関係については、インバータ回路12321の回路構成の説明において、トランジスタTr211をトランジスタTr411に、トランジスタTr212をトランジスタTr412に、ノードN1をノードN3に、ノードN2をノードN4に置き換えたものが成り立つ。
【0356】
トランジスタTr421、Tr422、Tr423、およびTr424の接続関係について説明する。当該接続関係については、インバータ回路12322の回路構成の説明において、トランジスタTr221をトランジスタTr421に、トランジスタTr222をトランジスタTr422に、トランジスタTr223をトランジスタTr423に、トランジスタTr224をトランジスタTr424に、ノードN2をノードN4に、ノードN1をノードN3に置き換え、さらに、信号Sig1と信号Sig2とを入れ替えたものが成り立つ。
【0357】
図31は、第6実施形態に係る半導体記憶装置1bjの信号成形回路126jの回路構成の一例を示す。
【0358】
信号成形回路126jは、例えば、図27を参照して説明した信号成形回路126iと同様に、エクスクルーシブノアゲートXNOR1、アンドゲートAND3、およびインバータINV8を含む。
【0359】
信号成形回路126jは、ラッチ回路123b<0>から、信号SigN2と信号SigN4とをさらに受け取り、信号SigN2およびSigN4にも基づいて信号Sigαjおよび信号Sigβjを生成する。信号SigN4は、ノードN4上で伝達される信号であってノードN4の電位を示す信号である。信号Sig1、SigN2、およびSigN4は、信号成形回路126jの内部で次のように処理される。
【0360】
エクスクルーシブノアゲートXNOR1は、信号SigN2を第1入力端子上で受け取り、信号SigN4を第2入力端子上で受け取る。エクスクルーシブノアゲートXNOR1は、当該受け取った2つの信号に対して否定排他的論理和演算を行い、当該演算の結果の信号SigTDjを出力する。信号SigTDjは、例えば、信号SigN2が立ち上がってから信号SigN4が遅れて立ち上がる前までと、信号SigN2が立ち下がってから信号SigN4が遅れて立ち下がる前までLレベルになるが、それ以外はHレベルである。
【0361】
アンドゲートAND3は、信号Sig1を第1入力端子上で受け取り、信号SigTDjを第2入力端子上で受け取る。アンドゲートAND3は、当該受け取った2つの信号に対してアンド演算を行い、当該演算の結果の信号を出力する。当該出力される信号が、図22で示した信号Sigαjに相当する。信号Sigαjは、信号SigTDjがHレベルである間は信号Sig1のレベルと同一のレベルであるが、信号SigTDjがLレベルである間はLレベルである。
【0362】
インバータINV8は、信号Sigαjを入力端子上で受け取り、信号Sigαjの電圧のレベルを反転させた信号を出力する。当該出力される信号が、図22で示した信号Sigβjに相当する。
【0363】
[動作例]
図32は、第6実施形態に係る半導体記憶装置1bjの部分ラッチ回路LC1bが、信号DQ<0>により送られる或るビットのデータをラッチする際の、各種信号の時間変化を示すタイミングチャートの一例を示す。当該タイミングチャートにおいても、図28の例と同様の理由で、信号Sig2および信号Sigβjの時間変化が省略されている。
【0364】
信号Sig1および信号Din<0>の時間変化については、図13の説明において、時刻T00を時刻T60に、時刻T01を時刻T61に、時刻T02を時刻T62に、時刻T03を時刻T63に、時刻T04を時刻T64に、時刻T01dを時刻T61dに、時刻T02dを時刻T62dに置き換えたものが成り立つ。時刻T61dから時刻T62までの時間ΔTbは、時刻T01dから時刻T02までの時間ΔTより長い。また、ラッチ入力回路1231および解除機能付きインバータ回路12322の各々がオン状態であるかオフ状態であるかについては、図13の説明において上記のように時刻を置き換えたものが成り立つ。
【0365】
時刻T64での信号Sig1のLレベルは、時刻T65まで維持され、時刻T65において、信号Sig1はLレベルからHレベルに立ち上がる。このため、時刻T64から時刻T65まで、ラッチ入力回路1231がオフ状態である一方で、解除機能付きインバータ回路12322はオン状態である。信号Din<0>は、時刻T64から時刻T65までLレベルである。
【0366】
フリップフロップ回路1234は、信号Sig1がLレベルである間は、例えば、ノードN2の電位のレベルと同一のレベルの電圧をノードN4に供給する。フリップフロップ回路1234は、信号Sig1がHレベルである間は、例えば、ノードN4の電位のレベルを維持するように、ノードN4の電位のレベルと同一のレベルの電圧をノードN4に供給する。
【0367】
インバータ回路12321bは、信号SigαjがLレベルである間は調整オフ状態であり、信号SigαjがHレベルである間は調整オン状態である。
【0368】
時刻T60から時刻T61dまで、図28の例の時刻T50から時刻T51dまでと同様に、ノードN1の電位はHレベルである。この間、図28の例の時刻T50から時刻T51dまでと同様に、ノードN2の電位はLレベルで安定されている。この間のノードN1のHレベルの電位について説明する。
【0369】
フリップフロップ回路1234は、時刻T60から時刻T61まで、ノードN2の電位のレベルと同一のLレベルの電圧をノードN4に供給する。これにより、ノードN4の電位はLレベルで安定されている。フリップフロップ回路1234は、時刻T61から時刻T61dまで、ノードN4の電位のレベルと同一のLレベルの電圧をノードN4に供給する。これにより、ノードN4の電位はLレベルで安定されている。時刻T60から時刻T61dまで、ノードN2の電位およびノードN4の電位がともにLレベルであることから、信号SigTDjは、図28の例と同様にHレベルである。
【0370】
このため、この間のノードN1のHレベルの電位については、図28の例の時刻T50から時刻T51dまでの当該電位の説明において、信号Sigαiを信号Sigαjに、時刻T50を時刻T60に、時刻T51を時刻T61に、時刻T51dを時刻T61dに置き換えたものが成り立つ。
【0371】
時刻T61dから時刻T62まで、図28の例の時刻T51dから時刻T52までと同様に、Lレベルの電圧がノードN1に供給される。この間の、ノードN1の電位の値が閾値Vth7未満になって以降、インバータ回路12321bがHレベルの電圧をノードN2に供給する。これにより、例えば、ノードN1の電位はHレベルからLレベルに到達し、ノードN2の電位はLレベルからHレベルに到達する。ノードN1の電位およびノードN2の電位のこれらのレベルは、時刻T62まで維持される。この間のノードN1のLレベルの電位について説明する。
【0372】
フリップフロップ回路1234は、時刻T61dから時刻T62まで、ノードN4の電位のレベルと同一のLレベルの電圧をノードN4に供給する。これにより、ノードN4の電位はLレベルで安定されている。このため、上述したようにノードN2の電位がLレベルからHレベルに上昇しても、時刻T62までは、ノードN4の電位はLレベルから上昇しない。したがって、ノードN2の電位の当該上昇に応じて、時刻T61sにおいて、信号SigTDjはHレベルからLレベルに立ち下がり、信号SigTDjのLレベルは時刻T62までは維持される。時刻T61sは、時刻T61dより後であり時刻T62より前である。このように、信号SigTDjは、図28の例の時刻T51dから時刻T51sまでと同様に、時刻T61dから時刻T61sまでHレベルであり、図28の例の時刻T51sから時刻T52までと同様に、T61sから時刻T62までLレベルである。
【0373】
このため、この間のノードN1の電位については、図28の例の時刻T51dから時刻T52までの当該電位の説明において、信号Sigαiを信号Sigαjに、時刻T51dを時刻T61dに、時刻T51sを時刻T61sに、時刻T52を時刻T62に置き換えたものが成り立つ。
【0374】
時刻T62から時刻T63まで、図28の例の時刻T52から時刻T53までと同様に、ノードN1の電位はLレベルで安定されており、ノードN2の電位はHレベルで安定されている。この間、図28の例と同様に、信号Sig1がLレベルであるために信号SigαjもLレベルである。したがって、ノードN1のLレベルの電位は、比較例の場合の図15の例と同様に、電圧上昇されているものではない。
【0375】
このようにして、図13の例と同様に、信号Sig1が立ち下がる時刻T62の直前での信号Din<0>のHレベルが、ノードN1およびノードN2の各々の電位へと反映される。これにより、図12を参照して説明したように信号DQSが立ち下がるタイミングで信号DQ<0>により送られている奇数ビットの或るビットのデータが、部分ラッチ回路LC1bによりラッチされる。
【0376】
なお、フリップフロップ回路1234は、時刻T62から時刻T63まで、ノードN2の電位のレベルが反転されたLレベルの電圧をノードN3に供給する。この間の、ノードN3の電位の値が閾値未満になって以降、フリップフロップ回路1234は、ノードN3の電位の値が閾値未満であることに応じて、Hレベルの電圧をノードN4に供給する。これにより、ノードN4の電位は、LレベルからHレベルに上昇してHレベルで安定する。ノードN2の電位がHレベルで安定されている間のノードN4の電位の当該上昇に応じて、時刻T62sにおいて、信号SigTDjはLレベルからHレベルに立ち上がる。時刻T62sは、時刻T62より後であり時刻T63より前である。図32では、時刻T62sは時刻T62dより後であるとして示されている。信号SigTDjのHレベルは時刻T63まで維持される。
【0377】
時刻T63から時刻T64まで、図28の例の時刻T53から時刻T54までと同様に、Hレベルの電圧がノードN1に供給される。この間の、ノードN1の電位の値が閾値Vth7以上になって以降、インバータ回路12321bがLレベルの電圧をノードN2に供給する。これにより、ノードN1の電位がLレベルからHレベルに到達し、ノードN2の電位がHレベルからLレベルに到達して安定する。ノードN1の電位およびノードN2の電位のこれらのレベルは、時刻T64まで維持される。この間のノードN1のHレベルの電位について説明する。
【0378】
フリップフロップ回路1234は、時刻T63から時刻T64まで、ノードN4の電位のレベルと同一のHレベルの電圧をノードN4に供給する。これにより、ノードN4の電位はHレベルで安定されている。このため、上述したようにノードN2の電位がHレベルからLレベルに下降しても、時刻T64までは、ノードN4の電位はHレベルから下降しない。したがって、ノードN2の電位の当該下降に応じて、時刻T63sにおいて、信号SigTDjはHレベルからLレベルに立ち下がり、信号SigTDjのLレベルは時刻T64までは維持される。時刻T63sは、時刻T63より後であり時刻T64より前である。このため、信号Sigαjは、時刻T63から時刻T63sまで、信号Sig1と同様のHレベルであり、時刻T63sにおいて、HレベルからLレベルに立ち下がり、時刻T63sから時刻T64までLレベルである。インバータ回路12321bは、信号SigαjがHレベルである時刻T63から時刻T63sまで調整オン状態であり、信号SigαjがLレベルである時刻T63sから時刻T64まで調整オフ状態である。
【0379】
時刻T63から時刻T63sまでインバータ回路12321bが調整オン状態であるため、ノードN1の電位は、例えば、時刻T63sまでに、電位差ΔVHだけ電圧降下されたHレベルで安定する。インバータ回路12321bが調整オフ状態になる時刻T63sから、インバータ回路12321bによる制御が働かなくなる。その結果、ノードN1の電位は、電圧降下されていた電位差ΔVHだけ電圧上昇され、当該電圧上昇されたHレベルで安定され、時刻T64まで、ノードN1の電位は当該Hレベルで安定されている。
【0380】
時刻T64から時刻T65まで、インバータ回路12321bがLレベルの電圧をノードN2に供給し、インバータ回路12322がHレベルの電圧をノードN1に供給する。これにより、ノードN1の電位はHレベルで安定されており、ノードN2の電位はLレベルで安定されている。この間、信号Sig1がLレベルであるために信号SigαiもLレベルである。したがって、インバータ回路12321bは調整オフ状態である。インバータ回路12321bが調整オフ状態であるため、ノードN1のHレベルの電位は、比較例の場合の図15の例と同様に、電圧降下されているものではない。
【0381】
このようにして、信号Sig1が立ち下がる時刻T64の直前での信号Din<0>のLレベルが、ノードN1およびノードN2の各々の電位へと反映される。これにより、図12を参照して説明したように信号DQSが立ち下がるタイミングで信号DQ<0>により送られている奇数ビットの或るビットのデータが、部分ラッチ回路LC1bによりラッチされる。
【0382】
なお、フリップフロップ回路1234は、時刻T64から時刻T65まで、ノードN2の電位のレベルが反転されたHレベルの電圧をノードN3に供給する。この間の、ノードN3の電位の値が閾値以上になって以降、フリップフロップ回路1234は、ノードN3の電位の値が閾値以上であることに応じて、Lレベルの電圧をノードN4に供給する。これにより、ノードN4の電位は、HレベルからLレベルに下降してLレベルで安定する。ノードN2の電位がLレベルで安定されている間のノードN4の電位の当該下降に応じて、時刻T64sにおいて、信号SigTDjはLレベルからHレベルに立ち上がる。時刻T64sは、時刻T64より後であり時刻T65より前である。信号SigTDjのHレベルは時刻T65まで維持される。
【0383】
[効果]
第6実施形態に係る半導体記憶装置1bjの部分ラッチ回路LC1bによれば、第1実施形態から第3実施形態において説明したのと同様の効果が奏せられるのに加えて、次に説明するような効果も奏せられる。
【0384】
第6実施形態に係る半導体記憶装置1bjの部分ラッチ回路LC1bのインバータ回路12321bは、信号SigαjがLレベルである間は調整オフ状態であり、信号SigαjがHレベルである間は調整オン状態である。信号Sigαjは、信号SigTDjがHレベルである間は信号Sig1のレベルと同一のレベルであるが、信号SigTDjがLレベルである間はLレベルである。信号SigTDjは、例えば、信号SigN2の立ち上がりおよび立ち下がりが検出された際にLレベルになるが、それ以外はHレベルである。
【0385】
例えば、図32の例のように、第6実施形態に係る半導体記憶装置1bjの部分ラッチ回路LC1bが、信号Sig1がHレベルの間に、例えば、信号Din<0>のLレベルからHレベルへの立ち上がりに応じてノードN1の電位をHレベルから下降させる場合について説明する。
【0386】
信号Din<0>の当該立ち上がりのタイミングまで、ノードN2の電位が例えばLレベルで安定されている。このため、第5実施形態において説明したのと同様に、信号SigTDjはHレベルであり、信号Sig1がHレベルになってから信号Din<0>の当該立ち上がりまでインバータ回路12321bが調整オン状態である。したがって、第6実施形態に係る半導体記憶装置1bjの部分ラッチ回路LC1bも、第5実施形態において説明したのと同様に、信号Sig1の当該立ち下がりのタイミングで信号Din<0>により送られている或るビットのデータを正確にラッチ可能である。
【0387】
信号Din<0>の当該立ち上がりに応じて、ノードN2の電位がLレベルから上昇してHレベルに到達する。ノードN2の電位の当該上昇に応じて、信号SigTDjがHレベルからLレベルに立ち下がる。第5実施形態において説明したのと同様に、信号Sig1がHレベルの間に信号SigTDjの当該立ち下がりが起こる場合、当該立ち下がりに応じて信号SigαjがLレベルとなり、これにより、信号Sig1がHレベルの間であってもインバータ回路12321bが調整オフ状態になる。第6実施形態に係る半導体記憶装置1bjの部分ラッチ回路LC1bによると、信号Sig1がHレベルの間に信号Din<0>がHレベルからLレベルに立ち下がる場合にも同様に、信号Sig1がHレベルの間であってもインバータ回路12321bが調整オフ状態になり得る。
【0388】
このように、第6実施形態に係る半導体記憶装置1bjの部分ラッチ回路LC1bのインバータ回路12321bが調整オン状態である期間は、第5実施形態の場合と同様に、第3実施形態の場合の調整オン状態の期間が短縮されたものとなり得る。したがって、第6実施形態に係る半導体記憶装置1bjの部分ラッチ回路LC1bによっても、第3実施形態の場合よりもさらに消費電力の低減が可能とされ得る。
【0389】
<第7実施形態>
以下、第7実施形態に係る半導体記憶装置1bkについて説明する。
【0390】
[構成例]
第7実施形態に係る半導体記憶装置1bkの構成について、第3実施形態に係る半導体記憶装置1bの構成と相違する点を中心に説明する。
【0391】
第7実施形態に係る半導体記憶装置1bkは、第3実施形態に係る半導体記憶装置1bにおいて、入出力回路12bを入出力回路12bkに置き換えたものである。第7実施形態に係る半導体記憶装置1bk中の、入出力回路12bkを含む何らかの構成を参照する説明を行う場合には、当該構成には、第3実施形態において用いた符号にkを付して説明する。
【0392】
既に図22に示したように、入出力回路12bkは、第3実施形態に係る半導体記憶装置1bの入出力回路12bが有する構成に加えて、信号成形回路126kをさらに含む。図22を参照して、既に説明したのと相違する点のみを説明する。
【0393】
入力回路122は、例えば信号Sig1を信号成形回路126kに出力する。
【0394】
信号成形回路126kは、例えば、入力回路122から信号Sig1を受け取り、信号Sig1に基づいて信号Sigαkおよび信号Sigβkを生成し、信号Sigαkおよび信号Sigβkを、ラッチ回路123b<0>に出力する。
【0395】
第7実施形態に係る半導体記憶装置1bkの部分ラッチ回路LC1bの構成については、図24および図25の説明において、信号Sigαhを信号Sigαkに、信号Sigβhを信号Sigβkに置き換えたものが成り立つ。
【0396】
図33は、第7実施形態に係る半導体記憶装置1bkの信号成形回路126kの回路構成の一例を示す。図33では、併せて、入力回路121<0>および122も示されている。
【0397】
信号成形回路126kは、例えば、アンドゲートAND4およびインバータINV12を含む。
【0398】
信号成形回路126kは、入力回路121<0>から、例えば、3つのインバータにより構成されるインバータ群INVG1の初段のインバータから出力される信号DPin<0>をさらに受け取る。信号DPin<0>は、例えば、信号Din<0>が立ち上がるより或る時間早く立ち上がり、続いて信号Din<0>とともにHレベルであり、信号Din<0>が立ち下がるより当該時間早く立ち下がる。信号DPin<0>と信号Din<0>との間のこのような関係は、インバータ群INVG1による遅延によるものである。信号成形回路126kは、信号DPin<0>にも基づいて信号Sigαkおよび信号Sigβkを生成する。信号Sig1およびDPin<0>は、信号成形回路126kの内部で次のように処理される。
【0399】
アンドゲートAND4は、信号Sig1を第1入力端子上で受け取り、信号DPin<0>を第2入力端子上で受け取る。アンドゲートAND4は、当該受け取った2つの信号に対してアンド演算を行い、当該演算の結果の信号を出力する。当該出力される信号が、図22で示した信号Sigαkに相当する。信号Sigαkは、信号Sig1がHレベルであり信号DPin<0>もHレベルである間はHレベルであるが、それ以外はLレベルである。
【0400】
インバータINV12は、信号Sigαkを入力端子上で受け取り、信号Sigαkの電圧のレベルを反転させた信号を出力する。当該出力される信号が、図22で示した信号Sigβkに相当する。
【0401】
[動作例]
図34は、第7実施形態に係る半導体記憶装置1bkの部分ラッチ回路LC1bが、信号DQ<0>により送られる或るビットのデータをラッチする際の、各種信号の時間変化を示すタイミングチャートの一例を示す。以下の説明では、図28の例で信号Sigβiの時間変化が省略されたのと同様の理由で、信号Sigβkの時間変化についての説明は省略される。
【0402】
信号Sig1、信号Sig2、および信号Din<0>、の時間変化については、図13の説明において、時刻T00を時刻T70に、時刻T01を時刻T71に、時刻T02を時刻T72に、時刻T03を時刻T73に、時刻T04を時刻T74に、時刻T01dを時刻T71dに、時刻T02dを時刻T72dに置き換えたものが成り立つ。また、ラッチ入力回路1231および解除機能付きインバータ回路12322の各々がオン状態であるかオフ状態であるかについては、図13の説明において上記のように時刻を置き換えたものが成り立つ。
【0403】
先ず、信号Sigαkについて説明する。
信号DPin<0>は、時刻T70から時刻T71sまでLレベルであり、時刻T71sにおいてLレベルからHレベルに立ち上がり、時刻T71sから時刻T72sまでHレベルである。時刻T71sは、例えば時刻T71より後であり、時刻T71dより前である。時刻T72sは、時刻T72より後であり時刻T72dより前である。信号DPin<0>は、時刻T72sにおいてHレベルからLレベルに立ち下がり、時刻T72sから時刻T74までLレベルである。このため、信号Sigαkは、時刻T70から時刻T71sまでLレベルであり、時刻T71sにおいてLレベルからHレベルに立ち上がり、時刻T71sから時刻T72までHレベルであり、時刻T72においてHレベルからLレベルに立ち下がり、時刻T72から時刻T74までLレベルである。
【0404】
インバータ回路12321bは、信号SigαkがLレベルである間は調整オフ状態であり、信号SigαkがHレベルである間は調整オン状態である。このため、インバータ回路12321bが調整オン状態である期間と調整オフ状態である期間は次のようになる。インバータ回路12321bは、ラッチ入力回路1231がオン状態である時刻T71から時刻T72までのうち時刻T71sから時刻T72まで調整オン状態である。インバータ回路12321bは、ラッチ入力回路1231がオン状態である時刻T73から時刻T74までは調整オフ状態である。インバータ回路12321bは、それ以外は調整オフ状態である。
【0405】
次に、ノードN1の電位について説明する。
時刻T70から時刻T71dまで、図13の例の時刻T00から時刻T01dまでと同様に、ノードN1の電位はHレベルである。ただし、時刻T70から時刻T71sまでインバータ回路12321bが調整オフ状態であるため、当該Hレベルの電位は、比較例の場合の図15の例と同様に、電圧降下されているものではない。時刻T71sから時刻71dまでインバータ回路12321bが調整オン状態である。インバータ回路12321bが調整オン状態になる時刻T71sから、インバータ回路12321bによる制御が働く。その結果、ノードN1の電位は、例えば、図13の例と同様に、電位差ΔVHだけ電圧降下されたHレベルで安定され、時刻T71dまで、ノードN1の電位は当該Hレベルで安定されている。
【0406】
時刻T71dから時刻T72まで、図13の例の時刻T01dから時刻T02までと同様に、Lレベルの電圧がノードN1に供給される。これにより、ノードN1の電位がHレベルから下降する。この間もインバータ回路12321bは調整オン状態である。このため、ノードN1の電位は、例えば、時刻T72までに、電位差ΔVLだけ電圧上昇されたLレベルで安定する。
【0407】
時刻T72から時刻T73まで、図13の例の時刻T02から時刻T03までと同様に、Lレベルの電圧がノードN1に供給される。この間はインバータ回路12321bは調整オフ状態である。インバータ回路12321bが調整オフ状態になる時刻T72から、インバータ回路12321bによる制御が働かなくなる。その結果、ノードN1の電位は、電圧上昇されていた電位差ΔVLだけ電圧降下され、当該電圧降下されたLレベルで安定され、時刻T73まで、ノードN1の電位は当該Lレベルで安定されている。
【0408】
時刻T73から時刻T74まで、図13の例の時刻T03から時刻T04までと同様に、Hレベルの電圧がノードN1に供給される。これにより、ノードN1の電位がLレベルからHレベルに到達して安定する。この間もインバータ回路12321bは調整オフ状態である。このため、当該Hレベルの電位は、比較例の場合の図15の例と同様に、電圧降下されているものではない。
【0409】
[効果]
第7実施形態に係る半導体記憶装置1bkの部分ラッチ回路LC1bによれば、第1実施形態から第3実施形態において説明したのと同様の効果が奏せられるのに加えて、次に説明するような効果も奏せられる。
【0410】
第7実施形態に係る半導体記憶装置1bkの部分ラッチ回路LC1bのインバータ回路12321bは、信号SigαkがLレベルである間は調整オフ状態であり、信号SigαkがHレベルである間は調整オン状態である。信号Sigαkは、信号Sig1がHレベルであり信号DPin<0>もHレベルである間はHレベルであるが、それ以外はLレベルである。信号DPin<0>は、例えば、信号Din<0>が立ち上がるより或る時間早く立ち上がり、続いて信号Din<0>とともにHレベルであり、信号Din<0>が立ち下がるより当該時間早く立ち下がる。
【0411】
例えば、図34の例のように、第7実施形態に係る半導体記憶装置1bkの部分ラッチ回路LC1bが、信号Sig1がHレベルの間に、例えば、信号Din<0>のLレベルからHレベルへの立ち上がりに応じてノードN1の電位をHレベルから下降させる場合について説明する。
【0412】
信号Din<0>は、信号DPin<0>に遅れて立ち上がる。このため、信号Sig1の立ち上がりと信号DPin<0>の立ち上がりとのうち遅い方から信号Din<0>の当該立ち上がりまでインバータ回路12321bが調整オン状態である。このため、信号Din<0>の当該立ち上がりのタイミングではノードN1のHレベルの電位が電圧降下されている。したがって、第7実施形態に係る半導体記憶装置1bkの部分ラッチ回路LC1bも、第1実施形態において説明したように、信号Sig1の立ち下がりのタイミングで信号Din<0>により送られている或るビットのデータを正確にラッチ可能である。
【0413】
信号Sig1の立ち上がりより信号DPin<0>の立ち上がりが遅い場合、信号Sig1がHレベルの間であっても信号DPin<0>が立ち上がるまでインバータ回路12321bは調整オフ状態である。一方、信号Sig1の立ち上がりより信号DPin<0>の立ち上がりが早い場合、信号Sig1がHレベルの間であっても信号DPin<0>の立ち下がりから信号Sig1の立ち下がりまでインバータ回路12321bは調整オフ状態である。
【0414】
このように、第7実施形態に係る半導体記憶装置1bkの部分ラッチ回路LC1bのインバータ回路12321bが調整オン状態である期間は、第4実施形態の場合と同様に、第3実施形態の場合の調整オン状態の期間が短縮されたものとなり得る。したがって、第7実施形態に係る半導体記憶装置1bkの部分ラッチ回路LC1bによっても、第3実施形態の場合よりもさらに消費電力の低減が可能とされ得る。
【0415】
<第8実施形態>
以下、第8実施形態に係る半導体記憶装置1cについて説明する。
【0416】
第8実施形態に係る半導体記憶装置1cの構成について、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の構成と相違する点を中心に説明する。
【0417】
第8実施形態に係る半導体記憶装置1cは、第1実施形態に係る半導体記憶装置1において、部分ラッチ回路LC1を部分ラッチ回路LC1cに置き換えたものである。第8実施形態に係る半導体記憶装置1c中の、部分ラッチ回路LC1cを含む何らかの構成を参照する説明を行う場合には、当該構成には、第1実施形態において用いた符号にcを付して説明する。
【0418】
図35は、第8実施形態に係る半導体記憶装置1cの部分ラッチ回路LC1cの構成の一例を示す。
【0419】
当該部分ラッチ回路LC1cは、図10に示したのと同様のラッチ入力回路1231および正帰還回路1232に加えて、電位調整回路1235をさらに含む。
【0420】
電位調整回路1235は、例えば、インバータINV13を含む。インバータINV13の入力端子および出力端子はノードN2に接続される。インバータINV13は、例えば、当該入力端子に接続されるノードN2の電位の値が閾値Vth13以上である間はLレベルの電圧を、当該値が閾値Vth13未満である場合はHレベルの電圧を、当該出力端子に接続されるノードN2に供給する。
【0421】
インバータ回路12321がHレベルの電圧をノードN2に供給する場合、これによりノードN2の電位が上昇し得る。当該電位の値が閾値Vth13以上になる場合、当該電位の値が閾値Vth13以上であることに応じて、電位調整回路1235がLレベルの電圧をノードN2に供給する。この結果、ノードN2の電位がHレベルで安定されることがある。当該Hレベルの電位は、電位調整回路1235からの電圧供給がなくインバータ回路12321から供給されるHレベルの電圧に基づいてノードN2の電位が安定される場合より低い。これは、ノードN2の電位がHレベルで安定しているとき、電位調整回路1235が供給するLレベルの電圧の供給源からノードN2までの経路の抵抗R13Lが、インバータ回路12321が供給するHレベルの電圧の供給源からノードN2までの経路の抵抗R3Hより大きいためである。例えば、ノードN2の電位がHレベルで安定しているとき、(抵抗R13Lの大きさ)/(抵抗R3Hの大きさ)は、5/3以上3以下の範囲にある。
【0422】
インバータ回路12321がLレベルの電圧をノードN2に供給する場合、これによりノードN2の電位が下降し得る。当該電位の値が閾値Vth13未満になる場合、当該電位の値が閾値Vth13未満であることに応じて、電位調整回路1235がHレベルの電圧をノードN2に供給する。この結果、ノードN2の電位がLレベルで安定されることがある。当該Lレベルの電位は、電位調整回路1235からの電圧供給がなくインバータ回路12321から供給されるLレベルの電圧に基づいてノードN2の電位が安定される場合より高い。これは、ノードN2の電位がLレベルで安定しているとき、電位調整回路1235が供給するHレベルの電圧の供給源からノードN2までの経路の抵抗R13Hが、インバータ回路12321が供給するLレベルの電圧の供給源からノードN2までの経路の抵抗R3Lより大きいためである。例えば、ノードN2の電位がLレベルで安定しているとき、(抵抗R13Hの大きさ)/(抵抗R3Lの大きさ)は、5/3以上3以下の範囲にある。
【0423】
第8実施形態に係る半導体記憶装置1cの部分ラッチ回路LC1cによれば、第1実施形態において説明したのと同様の効果が奏せられるのに加えて、次に説明するような効果も奏せられる。電位調整回路1235により、ノードN2のHレベルの電位が電圧降下され、ノードN2のLレベルの電位が電圧上昇される。このため、インバータ回路12321がより短い時間で、例えば、ノードN2の電位をHレベルの電位から閾値Vth4未満に下降させること、および、ノードN2の電位をLレベルの電位から閾値Vth4以上に上昇させること、が可能とされる。
【0424】
<第9実施形態>
以下、第9実施形態に係る半導体記憶装置1dについて説明する。
【0425】
第9実施形態に係る半導体記憶装置1dの構成について、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の構成と相違する点を中心に説明する。
【0426】
第9実施形態に係る半導体記憶装置1dは、第1実施形態に係る半導体記憶装置1において、部分ラッチ回路LC1を部分ラッチ回路LC1dに置き換えたものである。第9実施形態に係る半導体記憶装置1d中の、部分ラッチ回路LC1dを含む何らかの構成を参照する説明を行う場合には、当該構成には、第1実施形態において用いた符号にdを付して説明する。
【0427】
図36は、第9実施形態に係る半導体記憶装置1dの部分ラッチ回路LC1dの構成の一例を示す。
【0428】
当該部分ラッチ回路LC1dは、図20に示したのと同様のラッチ入力回路1231および正帰還回路1232bに加えて、インバータ回路1236をさらに含む。ラッチ入力回路1231および正帰還回路1232bの構成は、図20を参照して説明した通りである。
【0429】
インバータ回路1236は、例えば、インバータINV14およびスイッチング素子SW8を含む。
【0430】
インバータ回路1236の構成については、インバータ回路12321の構成の説明において、インバータINV7をインバータINV14に、スイッチング素子SW5をスイッチング素子SW8に、ノードN1をノードN2に、ノードN2をノードN5に、閾値Vth7を閾値Vth14に置き換えたものが成り立つ。信号Do<0>はノードN5の電位に基づく。
【0431】
信号Sig1がHレベルである間におけるインバータ回路1236によるノードN2の電位の調整機能について説明する。この間、スイッチング素子SW8はオン状態である、すなわち、インバータ回路1236は調整オン状態である。
【0432】
インバータ回路12321bがHレベルの電圧をノードN2に供給する場合、これによりノードN2の電位が上昇し得る。当該電位の値が閾値Vth14以上になる場合、当該電位の値が閾値Vth14以上であることに応じて、インバータ回路1236がLレベルの電圧をノードN2に供給する。この結果、ノードN2の電位がHレベルで安定されることがある。当該Hレベルの電位は、インバータ回路1236からの電圧供給がなくインバータ回路12321bから供給されるHレベルの電圧に基づいてノードN2の電位が安定される場合より低い。これは、ノードN2の電位がHレベルで安定しているとき、インバータ回路1236が供給するLレベルの電圧の供給源からノードN2までの経路の抵抗R14Lが、インバータ回路12321bが供給するHレベルの電圧の供給源からノードN2までの経路の抵抗R7Hより大きいためである。例えば、ノードN2の電位がHレベルで安定しているとき、(抵抗R14Lの大きさ)/(抵抗R7Hの大きさ)は、5/3以上3以下の範囲にある。
【0433】
インバータ回路12321bがLレベルの電圧をノードN2に供給する場合、これによりノードN2の電位が下降し得る。当該電位の値が閾値Vth14未満になる場合、当該電位の値が閾値Vth14未満であることに応じて、インバータ回路1236がHレベルの電圧をノードN2に供給する。この結果、ノードN2の電位がLレベルで安定されることがある。当該Lレベルの電位は、インバータ回路1236からの電圧供給がなくインバータ回路12321bから供給されるLレベルの電圧に基づいてノードN2の電位が安定される場合より高い。これは、ノードN2の電位がLレベルで安定しているとき、インバータ回路1236が供給するHレベルの電圧の供給源からノードN2までの経路の抵抗R14Hが、インバータ回路12321bが供給するLレベルの電圧の供給源からノードN2までの経路の抵抗R7Lより大きいためである。例えば、ノードN2の電位がLレベルで安定しているとき、(抵抗R14Hの大きさ)/(抵抗R7Lの大きさ)は、5/3以上3以下の範囲にある。
【0434】
信号Sig1がLレベルである間について説明する。この間、スイッチング素子SW8はオフ状態である、すなわち、インバータ回路1236は調整オフ状態である。このため、ノードN2の電位がHレベルまたはLレベルで安定されていたとしても、インバータ回路1236は、上述したようにノードN2の電位を電圧降下または電圧上昇させることをしていない。
【0435】
図37は、第9実施形態に係る半導体記憶装置1dの部分ラッチ回路LC1dの回路構成の一例を示す。図37では、図21に示したのと同様の回路構成が示されるのに加えて、図36においてインバータ回路1236の一部として説明したインバータINV14およびスイッチング素子SW8が実現する機能と同等の機能を実現する構成がより具体化されて示されている。インバータ回路1236以外の回路構成は、図21を参照して説明した通りである。
【0436】
インバータ回路1236は、例えば、pチャネルMOSトランジスタTr61およびTr62、ならびに、nチャネルMOSトランジスタTr63およびTr64を含む。
【0437】
インバータ回路1236の回路構成については、インバータ回路12321bの回路構成の説明において、トランジスタTr213をトランジスタTr61に、トランジスタTr214をトランジスタTr62に、トランジスタTr215をトランジスタTr63に、トランジスタTr216をトランジスタTr64に、ノードN1をノードN2に、ノードN2をノードN5に置き換えたものが成り立つ。
【0438】
第9実施形態に係る半導体記憶装置1dの部分ラッチ回路LC1dによれば、第8実施形態において説明したのと同様の効果に加えて、第3実施形態において説明したのと同様の効果が奏せられる。
【0439】
以上、第8実施形態および第9実施形態では、ノードN1およびノードN2の各々について、当該ノードNのHレベルの電位を電圧降下させLレベルの電位を電圧上昇させるように電圧を供給する回路が設けられる場合の例について説明した。ノードN1およびノードN2それぞれにこのように電圧を供給する回路として、第1実施形態から第7実施形態までに説明したような回路を任意に組み合わせて適用可能である。
【0440】
<他の実施形態>
上記では、本明細書により開示される技術を適用可能なラッチ回路の例としていくつかのD型ラッチ回路を例に挙げて説明した。しかしながら、本明細書により開示される技術は、他の様々なD型ラッチ回路にも同様に適用可能である。さらに、本明細書により開示される技術を、D型ラッチ回路以外の他のラッチ回路に適用してもよい。
【0441】
本明細書において“接続”とは、電気的な接続のことを示しており、例えば間に別の素子を介することを除外しない。
【0442】
本明細書において、同一、一致、一定、および維持等の表記は、実施形態に記載の技術を実施する際に設計の範囲での誤差がある場合も含むことを意図して用いている。実質的に同一というように、これらの表記に実質的という用語を重ねて用いている場合についても同じである。また、或る電圧を印加または供給するとの表記は、当該電圧を印加または供給するような制御を行うことと、当該電圧が実際に印加または供給されることとの両方を含むことを意図して用いている。さらに、或る電圧を印加または供給することは、例えば0Vの電圧を印加または供給することを含んでいてもよい。
【0443】
上記ではいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0444】
1…半導体記憶装置、11…コア部、PB…プレーン、MCA…メモリセルアレイ、RD…ロウデコーダモジュール、SA…センスアンプモジュール、DR…データレジスタ、12、12b…入出力回路、121,122…入力回路、123,123b…ラッチ回路、LC0,LC1,LC1a,LC1b…部分ラッチ回路、LIC,1231…ラッチ入力回路、INC…内部処理回路、1232,1232b…正帰還回路、12321,12321b,1236…インバータ回路、12322…解除機能付きインバータ回路、1233,1233a,1235…電位調整回路、1234…フリップフロップ回路、124…シフトレジスタ回路、SR…シフトレジスタ、MUX…マルチプレクサ、126…信号成形回路、13…ロジック制御回路、14…レジスタ、15…シーケンサ、16…電圧生成回路、17…ドライバセット、2…メモリコントローラ、21…ホストインタフェース回路、22…CPU、23…RAM、24…ROM、25…メモリインタフェース回路、3…メモリシステム、4…ホスト装置、BLK…ブロック、SU…ストリングユニット、NS…NANDストリング、CU…セルユニット、BL…ビット線、WL…ワード線、SGD,SGS…セレクトゲート線、SL…ソース線、MT…メモリセルトランジスタ、ST…選択トランジスタ、31…半導体基板、W…P型ウェル領域、PR…p不純物拡散領域、NR…n不純物拡散領域、41,42,43,51,52,53…導電体、MP…メモリピラー、441…半導体、442,443,444…絶縁膜、CP…コンタクトプラグ、CMP…コンパレータ、INVG…インバータ群、INV…インバータ、SW…スイッチング素子、N…ノード、Tr…トランジスタ、DC…遅延回路、AND…アンドゲート、OR…オアゲート、XNOR…エクスクルーシブノアゲート。
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