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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051356
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20220324BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20220324BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 653C
H01L29/78 652M
H01L29/78 652P
H01L29/06 301V
H01L29/06 301F
H01L29/78 658F
H01L29/78 652J
H01L29/78 652D
H01L29/78 657G
H01L29/78 657Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157789
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501105602
【氏名又は名称】アレグロ・マイクロシステムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108866
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】近藤 太郎
(57)【要約】
【課題】信頼性の向上を図る半導体装置を提供することである。
【解決手段】第1導電型のサブ層101と、第1導電型のドリフト層103と、ドリフト層103上部に設けられた第2導電型のベース領域105と、ベース領域105に接するように設けられたソース領域129と、ソース電極117と、ドリフト層103、ベース領域105、及びソース領域129に接して設けられた複数のトレンチ121と、複数のトレンチ121内部に各々設けられた複数の絶縁領域123と、複数のトレンチ121内部に各々設けられた複数のゲート電極127と、複数のトレンチ内部に各々設けられ、ソース電極117と電気的に接続され、絶縁領域123の内部に設けられた複数のフィールドプレート125と、を含み、フィールドプレートは高抵抗のポリシリコンを含む。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置において、
第1導電型のサブ層と、
第1導電型のドリフト層と、
前記ドリフト層上部に設けられた第2導電型のベース領域と、
前記ベース領域に接するように設けられたソース領域と、
ソース電極と、
前記ドリフト層、前記ベース領域、及びソース領域に接して設けられた複数のトレンチと、
前記複数のトレンチ内部に各々設けられた複数の絶縁領域と、
前記複数のトレンチ内部に各々設けられた複数のゲート電極と、
前記複数のトレンチ内部に各々設けられ、前記ソース電極と電気的に接続され、前記絶縁領域の内部に設けられた複数のフィールドプレートと、を含み、
前記フィールドプレートは高抵抗のポリシリコンを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記複数のトレンチのうち、1つのトレンチ内部に設けられたフィールドプレートと前記ソース電極との間の抵抗値は、50kΩ以上800kΩ以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数のトレンチのうち、1つのトレンチ内部に設けられたフィールドプレートと前記ソース電極との間の抵抗値は、58kΩ以上254kΩ以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ドリフト層は不純物を含み、ドリフト層は、前記不純物の濃度では、実質的にピンチオフ状態が生じないことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ゲート電極は、前記ベース領域よりもサブ層側に設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ゲート電極の最も前記サブ層との距離が短い部分は、前記ゲート電極に係るトレンチに接する前記ベース領域の部分と前記サブ層との距離よりも短いことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ゲート電極の最も前記サブ層との距離が短い部分は、前記ゲート電極に係るトレンチに接する前記ベース領域の部分と前記サブ層との距離よりも0.1μm以上0.5μm以下の範囲で短いことを特徴とする請求項1から6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数のトレンチの間の前記ベース領域内部であって、コンタクト掘り込み構造の下、かつ、シリコンコンタクト下に配設されるシャロー領域を更に含むことを特徴とする請求項1から7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記シャロー領域は、第2導電型であることを特徴とする請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
前記シャロー領域は、前記ベース領域よりも不純物濃度が高いことを特徴とする請求項8または9に記載の半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、ソフトリカバリをコントロールするMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)を含むパワー半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、逆回復動作時のハードリカバリ波形を緩和して逆回復電流と逆回復時間を低減し、高速スイッチングおよび低逆回復損失を得ることのできる超接合MOSFETが開示される。この超接合MOSFETは、第1バッファ層の下部に、並列pn層のn型ドリフト領域4aより高濃度の第2バッファ層を形成される。この第2バッファ層のキャリアライフタイムより第1バッファ層および並列pn層のキャリアライフタイムを短く調整する。これにより、ハードリカバリ波形の立ち上がりを緩やかに抑えソフトリカバリ波形とすることができる、とある(同文献段落番号0031)。
【0003】
特許文献2は、順方向電圧降下を小さくするとともに、逆回復時の波形振動を抑制し、かつソフトリカバリー特性を有する半導体装置が開示される。この半導体装置は、nカソード領域の短手方向幅をFWDアノード部の短手方向幅よりも狭くすることで、pコレクタ領域の、nドリフト層を挟んでFWDアノード部に対向する部分からnドリフト層へのホール注入が促進される。これにより、nドリフト層のnカソード領域側のキャリア濃度が高くなるため、FWDの順方向電圧降下を小さくすることができ、FWDがオンされやすくなる。したがって、FWDの逆回復時におけるソフトリカバリー化(逆回復電流Ifのピークの低減)と波形振動の抑制(電圧跳ね上がりVakのピークの低減)とを実現することができる、とある(同文献段落番号0065)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-018913
【特許文献2】特開2017-011001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、パワー半導体装置においては、スイッチング素子がオン状態からオフ状態等に遷移する際に、完全なオフ状態になるまでの一定期間、信号がふらつくことがある。この信号のふらつきから収束するまでの時間、すなわち、スイッチング素子がオン状態からオフ状態に遷移する際、一旦信号がオフ状態(電流が0)になってから信号のふらつきの後に完全にオフ状態となるまでの時間を逆回復時間(TRR)という。この逆回復時間は、半導体装置の動作の安定化や消費電力の低減を考慮すれば、一般には短い方が好ましい。また、急峻な電流の変化は半導体装置に故障等の悪影響を及ぼすことがある。そこで、スイッチング素子がオン状態からオフ状態に遷移する際、急峻な電流の変化を低減しつつ、逆回復時間を短くする技術としてソフトリカバリ技術が知られている。
【0006】
従来の半導体装置においては、ソフトリカバリ特性を向上するために、スナバ回路等、付加回路の追加が必要な場合があった。また、構造の制御が困難であり、安定したリカバリ特性を得る事が困難であった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、改善したソフトリカバリ能力を有する半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、1または複数の実施例に係る半導体装置は、半導体装置において、第1導電型のサブ層と、第1導電型のドリフト層と、前記ドリフト層上部に設けられた第2導電型のベース領域と、前記ベース領域に接するように設けられたソース領域と、ソース電極と、前記ドリフト層、前記ベース領域、及びソース領域に接して設けられた複数のトレンチと、前記複数のトレンチ内部に各々設けられた複数の絶縁領域と、前記複数のトレンチ内部に各々設けられた複数のゲート電極と、前記複数のトレンチ内部に各々設けられ、前記ソース電極と電気的に接続され、前記絶縁領域の内部に設けられた複数のフィールドプレートと、を含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、改善したソフトリカバリ技術を有する半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】1または複数の半導体装置の実施形態を示す断面図である。
図2図1に示す半導体装置の等価回路図である。
図3】1または複数の半導体装置の実施形態を示す断面図である。
図4図3に示す半導体装置の等価回路図である。
図5】ダンピングファクタを説明するための図表である。
図6】1または複数の半導体装置の実施形態を示す上面図である。
図7図7A図7B図7C図7D図7E図7F図7G,及び図7Hは、半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照しながら、実施例について詳細に説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付す場合がある。図面の記載は模式的なものであり、厚みと寸法の関係、各層の厚みの比率等は一例であり、発明の技術思想を限定するものではない。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる場合がある。以下の実施形態では、第1導電型がn型、第2導電型がp型の場合について例示的に説明するが、導電型を逆の関係に選択して、第1導電型がp型、第2導電型がn型の場合としてもよい場合がある。以下の説明で、部材の位置関係を説明する際に、「上部」、「下部」、「右側」、「左側」等は参照する図面の向きに基づいて必要に応じて使用されるが、発明の技術思想を限定するものではない。また、「上部」、「下部」、「右側」、「左側」等の説明は部材が接していなくて用いられる場合がある。また、方向について説明する際には、X軸、Y軸を図示する場合がある。ここで、主として断面図にて、「横方向」や「長さ方向」とは、図示のX方向またはX方向と反対方向を意味する場合がある。また、「高さ方向」とは、図示のY方向を意味する場合がある。また、「深さ方向」は図示のY方向と反対方向を意味する場合がある。
【0012】
図1は、実施例に係る半導体装置の断面図を示す図である。この半導体装置100は、サブ層101と、サブ層101の上部に配設されたドリフト層103と、ドリフト層103の上部に配設されたベース領域105と、シャロー領域107と、合金層109と、金属層111と、第1絶縁領域113と、メタル領域115と、ソース電極117と、トレンチ121と、第2絶縁領域123と、フィールドプレート125と、ゲート電極127と、ソース領域129と、を含む。この半導体装置100は、ドリフト層103にトレンチ121が深さ方向に配設され、このトレンチ121の内部は、第2絶縁領域123に係る部材が充填される。第2絶縁領域123の内部には、フィールドプレート125と、ゲート電極127とが配設される。なお、図1の実施例では、2つのトレンチを示すが、これに限られず、実施形態の半導体装置100は1つ、3つ、4つ、またはそれ以上のトレンチを有するようにしてもよい。
【0013】
ドリフト層103は、サブ層101の上部に配設される。サブ層101及びドリフト層103は第1導電型でもよく、サブ層101はドリフト層103よりも不純物濃度が高くてもよい。ドリフト層103は、エピタキシャル成長により形成されてもよく、不純物濃度は、ピンチオフしない程度の濃度が好ましい。ここで、ドリフト層103の不純物のドーズ量は、耐圧クラス40Vで2.0e16cm-3乃至9.0e16cm-3が好ましい。また、ドリフト層103の不純物のドーズ量は、耐圧クラス100Vで1.3e16cm-3乃至2.3e16cm-3が好ましい。半導体装置100のドリフト層103は、単一の不純物濃度でよいが、これに限られない。例えば、図1に示す如く、ドリフト層103はある不純物濃度を有するドリフト層103Aと、ドリフト層103Aと異なる不純物濃度を有するドリフト層103Bとを含んでもよい。この場合、ゲート電極127付近のドリフト層103Bの濃度や厚さを制御することで、ゲート電極127の電界強度を緩和することができる。
【0014】
ベース領域105は、ドリフト層103の上部に配設される。ベース領域105は、第2導電体でもよい。
【0015】
シャロー領域107は、ベース領域105内部に配設される。また、図示の如く、シャロー領域107は、コンタクト掘り込み構造の下、かつ、シリコンコンタクト下に配設されてもよい。シャロー領域107は、第2導電体でもよく、前記ベース領域105よりも不純物濃度が高くてもよい。ここで、シャロー領域107を設けることで、シリコンコンタクト下のpnジャンクション部でブレークダウンをさせるようにする。これにより、ベース領域105側に空乏層を伸ばさせず、リカバリ電流の立ち上がり時のみに電界強度を上昇させることができる。
【0016】
合金層109は、シャロー領域107を含むベース領域105と金属層111との間に配設される。金属層111はチタンを含めてもよい。一般に、シリコンと金属(例えばアルミ)を直接合させると金属(例えばアルミ)とシリコンとの相互拡散によるアルミスパイクが発生する場合がある。これを緩和するための合金層109を設ける。金属層111を熱処理することによりシリサイド層を形成するようにしてもよい。金属層111がチタンを含む場合には、熱処理によりチタンシリサイド層が形成される。
【0017】
第1絶縁領域113は、金属層111の内部に配設される。第1絶縁領域113は、二酸化ケイ素(SiO)を含んでもよい。また、第1絶縁領域113は、第2絶縁領域123と同じ材質を含んでもよい。
【0018】
メタル領域115は、金属層111の上部に配設される。メタル領域115はタングステンを含むようにしてもよい。ソース電極117は、メタル領域115上部に配設される。ソース電極117は、アルミニウム系合金でもよく、アルミニウム―銅系合金でもよい。
【0019】
トレンチ121は、ドリフト層103内に、半導体装置100の深さ方向、すなわち、ソース電極117側からサブ層101側に向かって配設される。ここで、トレンチ121の外壁の形状は、半導体装置100の深さ方向に平行にしてもよいし、深さ方向へ進むに従いテーパ状にしてもよい。テーパ状の場合には、半導体装置100の底面から仰角80度以上90度未満にすることが好ましく、更に好ましくは上記仰角83度から87度である。
【0020】
第2絶縁領域123は、トレンチ121の内部に配設される。第2絶縁領域123内部は、フィールドプレート125と、ゲート電極127とを含む。フィールドプレート125はソース電極117と電気的に接続される。トレンチ121内部にフィールドプレート125を設ける事で、電界集中を緩和して高耐圧化を図ることができる。
【0021】
フィールドプレート125は、多結晶半導体材料、例えば、ポリシリコンを含んでもよい。本実施形態では、フィールドプレート125は、高抵抗のポリシリコンを含む。本実施形態のフィールドプレート125は、高抵抗のポリシリコンを介してソース電極117と電気的接続される。換言すれば、本実施形態のフィールドプレート125は、高抵抗のポリシリコンを含み、ソース電極117と電気的に接続される。フィールドプレート125は高抵抗のポリシリコンを含むため、フィールドプレート125とソース電極117との間の電気的抵抗Rfpは高抵抗となる。ここで、フィールドプレート125とソース電極117との間は変異電流の影響を低減するため、より低い抵抗に設定するのが知られる。本実施形態では、フィールドプレート125とソース電極117との間の抵抗を調整して、変異電流を制御する。変異電位を制御することにより、半導体装置100のソフトリカバリを制御する。このフィールドプレート125とソース電極117との間の抵抗値としては、トレンチ1本あたり50kΩ以上800kΩ以下でもよく、58kΩ以上254kΩ以下が好ましい。また、シート抵抗は、25Ω/sq程度でもよく、好ましくは、29.7Ω/sq以上である。また、Rfsは5Ω/sq程度でもよい。これにより、半導体装置100のソフトリカバリ特性を改善することができる。
【0022】
また、ゲート電極127は、ベース領域105よりも深さ方向側、すなわち、サブ層101側に設けられることが好ましく、ゲート電極127の最もサブ層101との距離が短い部分は、当該ゲート電極127に係るトレンチ121に接するベース領域105の部分よりも0.1μm乃至0.5μm程度サブ層101に近くに設けてもよい。このようにすることで、ゲート電極127とサブ層101との距離を短くすることができる。ここで、ゲート電極127の最もサブ層101に近い部分と、当該ゲート電極127に係るトレンチ121に接するベース領域105の部分の距離が短ければ、電界強度を高くすることができる。ゲート電極127の底部、即ち、サブ層101に近い面の端部にテーパをつけるようにしてもよいし、サブ層101に近い面の端部を丸めるようにしてもよい。このようにすることで、端部近辺の電界集中を緩和して高耐圧化を図ることができる。
【0023】
ソース領域129は、ベース領域105の上部であって、トレンチ121上部側面に配設される。ソース領域129は第1導電型でもよい。ソース領域129の外壁、すなわち、合金層109側及び金属層111と、メタル領域115とが接触する壁は半導体100の底面からみて略垂直にしてもよいし、図示の如くテーパ状にしてもよい。この場合には、半導体100の底面からみて仰角80度以上90度未満にすることが好ましく、更に好ましくは上記仰角83度から87度である。このようにテーパ状にすることで、電界の集中を緩和して電界強度を下げることができる。
【0024】
図2図1に示す半導体装置100であって、簡略化のため、トレンチ121が1つの場合の等価回路図を示す。
【0025】
図3は、半導体装置100の更なる実施形態を示す断面図である。本実施形態では、複数のトレンチ121を有する半導体100であり、複数のトレンチ121内に各々複数のフィールドプレート125を有する。ここで、複数のフィールドプレート125とソース電極117との抵抗Rfpはそれぞれ異なるようにしてもよい。図3に示す半導体装置100においては、フィールドプレート125Aとソース電極117との抵抗はRfp_1であり、フィールドプレートフィールドプレート125B,125C,及び125Dとソース電極117との抵抗はRfp_2である。このように複数の抵抗Rfpを有することで、変異電流の変化により対応することができ、急峻な耐圧の変動を受けても安定した逆回復時間(TRR)の特性を得ることができる。
【0026】
図4図3に示す半導体装置であって、簡略化のため、トレンチ121A及びトレンチ121Bを含む装置の等価回路図を示す。
【0027】
図5は、抵抗Rfpとダンピングファクタの関係を示すグラフである。一般に、ダンピングファクタとは、振動を減少させる制動係数を示す。ダンピングファクタが高い程、ソフトリカバリの能力が高いといえる。ここで、実施例の半導体装置のダンピングファクタを解析したところ、抵抗Rfpはある抵抗値でダンピングファクタが最大となり、その後減少することがあることが判明した。以上から、発明者は、フィールドプレート125とソース電極117との間抵抗(Rfp)を制御することにより、高いダンピングファクタを得る事でソフトリカバリの能力向上可能という知見を得た。
【0028】
図6は、ある実施形態に係る半導体装置100の上面図である。図6を用いて、フィールドプレート125とソース電極117との間抵抗(Rfp)の制御について説明する。図示の如く、半導体装置100は複数のトレンチ121を有する。トレンチ121の両端は、正電極及び負電極であり、抵抗Rfpを調整するために、正電極と負電極とに挟まれた部分のトレンチ長さLTRを調整するようにしてもよい。また、製造プロセスでは、ポリシリコンの不純物ドーズ量に制御することで、抵抗Rfpを調整するようにしてもよい。さらに、フィールドプレート125に含まれるポリシリコンのシート抵抗を規定して、抵抗Rfpを制御するようにしてもよい。以上の通り、トレンチ長さLTR、ポリシリコンの不純物ドーズ量、またはこれらの組み合わせで最適な抵抗Rfpを設定することができる。
【0029】
また、フィールドプレート125とソース電極117との間の抵抗Rfpを高抵抗にするために、フィールドプレート125やトレンチ121以外にも例えば、コンタクト抵抗を高抵抗にすることができる。例えば、図6において、ソース電極に電気的に接続される電極131は、コンタクト開口部133を介して、フィールドプレート125に電気的に接続される。このコンタクト開口部133のサイズを変更することにより、フィールドプレート125とソース電極117との間の抵抗Rfpを高抵抗化することができる。
【0030】
図7A図7B図7C図7D図7E図7F図7G、及び図7Hは、シャロー領域107を形成するプロセスを説明するための図である。例として、図1に示した複数のトレンチ121間の断面図を示し、説明の便宜上、トレンチ121A及び121Bの間の断面図の一部を示す。まずサブ層101、ドリフト層103上部に前述の各領域を形成する(図7A)。次に、フォトレジスト151を仕掛中の半導体装置表面に塗布した後に、フォトマスクを光照射して選択的に露光し、フォトレジスト151を選択的に除去する(図7B)。本実施形態では、トレンチ121A及び121Bの間のフォトレジスト151を除去し、第1絶縁領域113を露出させる。次に、第1絶縁領域113をエッチングする(図7C)。このエッチングはソース領域129に到達するまで行うようにしてもよい。次に、ソース領域129をエッチングし、さらにベース領域105の内部に到達するまでエッチングを行う(図7D)。ここで、ソース領域129及びベース領域105をエッチングの際に、図示の如くテーパを付けるようにしてもよい。次に、ベース領域105にイオン注入を行う(図7E)。ここで、イオン注入により第2導電型の不純物をイオン注入してもよい。次に、半導体装置100の表面に塗布したフォトレジストを除去して(図7F)、ラピッドサーマルアニール(Rapid thermal anneal; RTA)等の熱処理工程により、イオン注入した不純物を拡散させてベース領域105内にシャロー領域107を形成する(図7G)。その後、合金層109、金属層111、メタル領域115,及び、ソース電極117を必要に応じて形成する(図7H)。このようにしてシャロー領域107を有する半導体装置100を製造することができる。
【0031】
その他の実施形態として上記のように、実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、特にパワー半導体装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
100 半導体装置
101 サブ層
103 ドリフト領域
105 ベース領域
107 シャロー領域
109 合金層
111 金属層
113 第1絶縁領域
115 メタル領域
117 ソース電極
121 トレンチ
123 第2絶縁領域
125 フィールドプレート
127 ゲート電極
129 ソース領域
131 電極
133 コンタクト開口部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-10-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記課題を解決するため、1または複数の実施例に係る半導体装置は、半導体装置において、第1導電型のサブ層と、第1導電型の第1のドリフト層と、前記第1のドリフト層上部に設けられ、前記第1のドリフト層とは異なる不純物濃度を有する第1導電型の第2のドリフト層と、前記ドリフト層上部に設けられた第2導電型のベース領域と、前記ベース領域に接するように設けられたソース領域と、ソース電極と、前記ドリフト層、前記ベース領域、及びソース領域に接して設けられた複数のトレンチと、前記複数のトレンチ内部に各々設けられた複数の絶縁領域と、前記複数のトレンチ内部に各々設けられた複数のゲート電極と、前記複数のトレンチ内部に各々設けられ、前記ソース電極と電気的に接続され、前記絶縁領域の内部に設けられた複数のフィールドプレートと、前記フィールドプレートは29.7Ω/sq以上のシート抵抗を有するポリシリコンを含むようにしてもよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置において、
第1導電型のサブ層と、
第1導電型の第1のドリフト層と、
前記第1のドリフト層上部に設けられ、前記第1のドリフト層とは異なる不純物濃度を有する第1導電型の第2のドリフト層と、
前記ドリフト層上部に設けられた第2導電型のベース領域と、
前記ベース領域に接するように設けられたソース領域と、
ソース電極と、
前記ドリフト層、前記ベース領域、及びソース領域に接して設けられた複数のトレンチと、
前記複数のトレンチ内部に各々設けられた複数の絶縁領域と、
前記複数のトレンチ内部に各々設けられた複数のゲート電極と、
前記複数のトレンチ内部に各々設けられ、前記ソース電極と電気的に接続され、前記絶縁領域の内部に設けられた複数のフィールドプレートと、を含み、前記フィールドプレートは29.7Ω/sq以上のシート抵抗を有するポリシリコンを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記複数のトレンチのうち、1つのトレンチ内部に設けられたフィールドプレートと前記ソース電極との間の抵抗値は、50kΩ以上800kΩ以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数のトレンチのうち、1つのトレンチ内部に設けられたフィールドプレートと前記ソース電極との間の抵抗値は、58kΩ以上254kΩ以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ドリフト層は不純物を含み、ドリフト層は、前記不純物の濃度では、実質的にピンチオフ状態が生じないことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ゲート電極は、前記ベース領域よりもサブ層側に設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ゲート電極の最も前記サブ層との距離が短い部分は、前記ゲート電極に係るトレンチに接する前記ベース領域の部分と前記サブ層との距離よりも短いことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ゲート電極の最も前記サブ層との距離が短い部分は、前記ゲート電極に係るトレンチに接する前記ベース領域の部分と前記サブ層との距離よりも0.1μm以上0.5μm以下の範囲で短いことを特徴とする請求項1から6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数のトレンチの間の前記ベース領域内部であって、コンタクト掘り込み構造の下、かつ、シリコンコンタクト下に配設されるシャロー領域を更に含むことを特徴とする請求項1から7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記シャロー領域は、第2導電型であることを特徴とする請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
前記シャロー領域は、前記ベース領域よりも不純物濃度が高いことを特徴とする請求項8または9に記載の半導体装置。