(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051377
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】切断方法、生産方法、制御装置及びガス切断装置
(51)【国際特許分類】
B23K 7/08 20060101AFI20220324BHJP
B23K 26/38 20140101ALI20220324BHJP
B23K 10/00 20060101ALI20220324BHJP
B23K 9/013 20060101ALI20220324BHJP
C22C 38/00 20060101ALN20220324BHJP
C22C 38/04 20060101ALN20220324BHJP
C22C 38/42 20060101ALN20220324BHJP
【FI】
B23K7/08 B
B23K26/38 A
B23K10/00 501A
B23K9/013 A
C22C38/00 301A
C22C38/04
C22C38/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157820
(22)【出願日】2020-09-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年8月5日に、「設計工学」の「早期公開論文」のウェブサイト(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsde/advpub/0/advpub_2020.2890/_article/-char/ja https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsde/advpub/0/advpub_2020.2890/_pdf/-char/ja)において、「炭素添加ペーストによる鋼板のガス溶断におけるスラグ固着抑制」に関する研究の要旨を公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】520364886
【氏名又は名称】小澤産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
(71)【出願人】
【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】今村 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】深谷 康太
(72)【発明者】
【氏名】溝渕 啓
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 淳
【テーマコード(参考)】
4E001
4E168
【Fターム(参考)】
4E001AA01
4E001BA04
4E001CA01
4E001DC09
4E001DD05
4E168AD07
4E168JA02
(57)【要約】
【解決手段】 金属元素又は金属元素を主成分とする合金 からなる金属材料の切断方法が提供される。上記の切断方法は、金属材料の切断領域の表面に、金属元素の溶融物の粘度を低下させる粘度低下物質が供給された状態で、金属材料の切断領域を溶融させることで、金属材料を切断する段階を有する。金属元素は、鉄であってよい。金属材料に含まれる鉄又は鉄合金の炭素含有量は、0.45質量%以下であってよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属元素又は前記金属元素を主成分とする合金からなる金属材料の切断方法であって、
前記金属材料の切断領域の表面に、前記金属元素の溶融物の粘度を低下させる粘度低下物質が供給された状態で、前記金属材料の前記切断領域を溶融させることで、前記金属材料を切断する段階を有する、
切断方法。
【請求項2】
前記金属材料を切断する段階は、
前記切断領域に配された前記金属材料の質量に対する、前記切断領域に供給された前記粘度低下物質の質量の割合が0.05質量%以上10質量%以下となるように、前記金属材料の前記表面に前記粘度低下物質を供給する段階、
を含む、
請求項1に記載の切断方法。
【請求項3】
前記金属材料を切断する段階は、
前記切断領域に配された前記金属材料の質量に対する、前記切断領域に供給された前記粘度低下物質の質量の割合が0.1質量%以上5質量%以下となるように、前記金属材料の前記表面に前記粘度低下物質を供給する段階、
を含む、
請求項1又は請求項2に記載の切断方法。
【請求項4】
前記粘度低下物質は、炭素、珪素及びアルミニウムの少なくとも1つの元素を含む、
請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の切断方法。
【請求項5】
前記金属材料を切断する段階は、
前記金属材料の前記切断領域の前記表面に前記粘度低下物質が配された被切断物を準備する段階と、
前記金属材料の前記切断領域と、前記切断領域に配された前記粘度低下物質とを加熱し、前記金属材料の前記切断領域を溶融させる段階と、
を含む、
請求項1から請求項4までの何れか一項に記載の切断方法。
【請求項6】
前記被切断物は、
前記金属材料の前記切断領域の前記表面に配され、前記粘度低下物質及びバインダを含む粘度調整材料、
を有する、
請求項5に記載の切断方法。
【請求項7】
前記粘度低下物質は、粉末状、粒状、棒状、繊維状又はフィルム状の炭素材料を含む、
請求項6に記載の切断方法。
【請求項8】
前記金属材料を切断する段階は、
(i)前記金属材料の前記切断領域を加熱し、前記加熱された前記金属材料に酸素含有ガスを供給することで、前記金属材料の前記切断領域を溶融させる段階、
(ii)電気アーク若しくはプラズマアークにより前記金属材料の前記切断領域を加熱することで、前記金属材料の前記切断領域を溶融させる段階、及び/又は、
(iii)レーザー光により前記金属材料の前記切断領域を加熱することで、前記金属材料の前記切断領域を溶融させる段階、
を含む、
請求項1から請求項7までの何れか一項に記載の切断方法。
【請求項9】
前記金属材料を切断する段階は、
前記金属材料の溶融物に含まれる前記粘度低下物質の質量が、前記金属材料の前記溶融物の質量の0.45質量%以上10%質量以下となるように、前記金属材料を溶融させる段階、
を含む、
請求項1から請求項8までの何れか一項に記載の切断方法。
【請求項10】
前記金属元素は、鉄である、
請求項1から請求項9までの何れか一項に記載の切断方法。
【請求項11】
前記金属材料に含まれる前記鉄、又は、前記鉄を主成分とする合金の炭素含有量は、0.45質量%以下である、
請求項10に記載の切断方法。
【請求項12】
金属部材の生産方法であって、
金属材料を切断して前記金属部材を生産する段階を有し、
前記金属部材を生産する段階は、請求項1から請求項11までの何れか一項に記載の切断方法により、前記金属材料を切断する段階を含む、
生産方法。
【請求項13】
ガス切断装置を制御する制御装置であって、
前記ガス切断装置は、
被切断物を支持する支持部と、
燃料ガス及び酸素含有ガスを噴出する噴出部と、
前記噴出部及び前記被切断物の表面の相対距離を調整する距離調整部と、
前記噴出部を前記被切断物の表面に沿って移動させる駆動部と、
を備え、
前記被切断物は、
鉄又は鉄を主成分とする鉄合金からなる金属材料と、
前記金属材料の切断領域の表面に配され、鉄の溶融物の粘度を低下させる粘度低下物質と、
を有し、
前記制御装置は、
前記金属材料の前記切断領域に配された前記粘度低下物質の量に基づいて、(i)前記噴出部に供給される前記燃料ガスの流量、(ii)前記噴出部に供給される前記酸素含有ガスの流量、(iii)前記噴出部及び前記被切断物の前記表面の前記相対距離、及び、(iv)前記噴出部の移動速度の少なくとも1つを含む切断条件を決定する制御部、
を備える、制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記切断領域に配された前記金属材料の質量に対する、前記切断領域に配された前記粘度低下物質の質量の割合に基づいて、前記切断条件を決定する第1決定部、
を有する、
請求項13に記載の制御装置。
【請求項15】
前記被切断物は、
第1面と、
前記第1面の反対側に配される第2面と、
を有し、
前記噴出部は、前記支持部が前記被切断物を支持した場合に、前記被切断物の前記第1面の側に位置するように配され、
前記ガス切断装置は、
前記被切断物の前記第2面の少なくとも一部を撮像する撮像部、
をさらに備え、
前記制御部は、
(i)前記撮像部が撮像した前記被切断物の前記第2面の画像を解析して、前記金属材料の溶融物の流動状態を推定し、(ii)推定された前記溶融物の前記流動状態に基づいて、前記切断条件を決定する第2決定部、
を有する、
請求項13又は請求項14に記載の制御装置。
【請求項16】
被切断物を支持する支持部と、
燃料ガス及び酸素含有ガスを噴出する噴出部と、
前記噴出部及び前記被切断物の表面の相対距離を調整する距離調整部と、
前記噴出部を前記被切断物の表面に沿って移動させる駆動部と、
請求項13から請求項15までの何れか一項に記載の制御装置と、
を備え、
前記被切断物は、
鉄又は鉄を主成分とする鉄合金からなる金属材料と、
前記金属材料の切断領域の表面に配され、鉄の溶融物の粘度を低下させる粘度低下物質と、
を有する、
ガス切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断方法、生産方法、制御装置及びガス切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被切断材をガス切断するガス切断装置が開示されている。非特許文献1には、溶融鉄合金中の炭素及び/又は珪素の含有量を変えて、溶融鉄合金の粘度を測定した測定結果が加持されている。非特許文献2には、鉄-炭素系平衡状態図が開示されている。非特許文献3には、各種純金属及び合金について、融点近傍の溶融金属の粘度が融点の1/2乗に比例することが開示されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2018-167299号公報
[非特許文献]
[非特許文献1]川合保治、辻正宜、金本通隆、"溶融Fe-C-Si合金の粘性"、鉄と鋼、1974年、第60年、第1号、p.38-44
[非特許文献2]田中良平、"最近の鉄-炭素系平衡状態図について"、鉄と鋼、1967年、第53年、第14号、p.35-54
[非特許文献3]平居正純、"溶融合金の粘度推定式"、鉄と鋼、1992年、第78年、第3号、p.399-406
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第1の態様においては、切断方法が提供される。上記の切断方法は、例えば、金属元素又は金属元素を主成分とする合金からなる金属材料を切断するために用いられる。上記の切断方法は、例えば、金属材料の切断領域の表面に、金属元素の溶融物の粘度を低下させる粘度低下物質が供給された状態で、金属材料の切断領域を溶融させることで、金属材料を切断する段階を有する。
【0004】
上記の切断方法において、金属材料を切断する段階は、切断領域に配された金属材料の質量に対する、切断領域に供給された粘度低下物質の質量の割合が0.05質量%以上10質量%以下となるように、金属材料の表面に粘度低下物質を供給する段階を含んでよい。上記の切断方法において、金属材料を切断する段階は、切断領域に配された金属材料の質量に対する、切断領域に供給された粘度低下物質の質量の割合が0.1質量%以上5質量%以下となるように、金属材料の表面に粘度低下物質を供給する段階を含んでよい。上記の切断方法において、粘度低下物質は、炭素、珪素及びアルミニウムの少なくとも1つの元素を含んでよい。
【0005】
上記の切断方法において、金属材料を切断する段階は、金属材料の切断領域の表面に粘度低下物質が配された被切断物を準備する段階を含んでよい。上記の切断方法において、金属材料を切断する段階は、金属材料の切断領域と、切断領域に配された粘度低下物質とを加熱し、金属材料の切断領域を溶融させる段階を含んでよい。上記の切断方法において、被切断物は、金属材料の切断領域の表面に配され、粘度低下物質及びバインダを含む粘度調整材料を有してよい。上記の切断方法において、粘度低下物質は、粉末状、粒状、棒状、繊維状又はフィルム状の炭素材料を含んでよい。
【0006】
上記の切断方法において、金属材料を切断する段階は、(i)金属材料の切断領域を加熱し、加熱された金属材料に酸素含有ガスを供給することで、金属材料の切断領域を溶融させる段階を含んでよい。上記の切断方法において、金属材料を切断する段階は、(ii)電気アーク若しくはプラズマアークにより金属材料の切断領域を加熱することで、金属材料の切断領域を溶融させる段階を含んでよい。上記の切断方法において、金属材料を切断する段階は、(iii)レーザー光により金属材料の切断領域を加熱することで、金属材料の切断領域を溶融させる段階を含んでよい。
【0007】
上記の切断方法において、金属材料の溶融物に含まれる粘度低下物質の質量が、金属材料の溶融物の質量の0.45質量%以上10%質量以下となるように、金属材料を溶融させる段階を含んでよい。上記の切断方法において、金属元素は、鉄であってよい。上記の切断方法において、金属材料に含まれる鉄又は鉄合金の炭素含有量は、0.45質量%以下であってよい。
【0008】
本発明の第2の態様においては、生産方法が提供される。上記の生産方法は、例えば、金属部材の生産方法である。上記の生産方法は、例えば、金属材料を切断して金属部材を生産する段階を有する。上記の生産方法において、金属部材を生産する段階は、例えば、上述された第1の態様に係る切断方法により、金属材料を切断する段階を含む。
【0009】
本発明の第3の態様においては、制御装置が提供される。上記の制御装置は、例えば、ガス切断装置を制御する。上記の制御装置において、ガス切断装置は、例えば、被切断物を支持する支持部を備える。ガス切断装置は、例えば、燃料ガス及び酸素含有ガスを噴出する噴出部を備える。ガス切断装置は、例えば、噴出部及び被切断物の表面の相対距離を調整する距離調整部を備える。ガス切断装置は、例えば、噴出部を被切断物の表面に沿って移動させる駆動部を備える。上記の制御装置において、被切断物は、例えば、鉄又は鉄を主成分とする鉄合金からなる金属材料を有する。被切断物は、例えば、金属材料の切断領域の表面に配され、鉄の溶融物の粘度を低下させる粘度低下物質を有する。上記の制御装置は、例えば、金属材料の切断領域に配された粘度低下物質の量に基づいて、(i)噴出部に供給される燃料ガスの流量、(ii)噴出部に供給される酸素含有ガスの流量、(iii)噴出部及び被切断物の表面の相対距離、及び、(iv)噴出部の移動速度の少なくとも1つを含む切断条件を決定する制御部を備える。
【0010】
上記の制御装置において、制御部は、切断領域に配された金属材料の質量に対する、切断領域に配された粘度低下物質の質量の割合に基づいて、切断条件を決定する第1決定部を有してよい。上記の制御装置において、被切断物は、第1面と、第1面の反対側に配される第2面とを有してよい。上記の制御装置において、噴出部は、支持部が被切断物を支持した場合に、被切断物の第1面の側に位置するように配されてよい。上記の制御装置において、ガス切断装置は、被切断物の第2面の少なくとも一部を撮像する撮像部を備えてよい。上記の制御装置において、制御部は、(i)撮像部が撮像した被切断物の第2面の画像を解析して、金属材料の溶融物の流動状態を推定し、(ii)推定された溶融物の流動状態に基づいて、切断条件を決定する第2決定部を有してよい。
【0011】
本発明の第4の態様においては、ガス切断装置が提供される。上記のガス切断装置は、例えば、被切断物を支持する支持部を備える。上記のガス切断装置は、例えば、燃料ガス及び酸素含有ガスを噴出する噴出部を備える。上記のガス切断装置は、例えば、噴出部及び被切断物の表面の相対距離を調整する距離調整部を備える。上記のガス切断装置は、例えば、噴出部を被切断物の表面に沿って移動させる駆動部を備える。上記のガス切断装置は、例えば、上述された第3の態様に係る制御装置を備える。上記のガス切断装置において、被切断物は、例えば、鉄又は鉄を主成分とする鉄合金からなる金属材料を有する。被切断物は、例えば、金属材料の切断領域の表面に配され、鉄の溶融物の粘度を低下させる粘度低下物質を有する。
【0012】
本発明の第5の態様においては、プログラムが提供される。上記のプログラムは、コンピュータを、上記の第3の実施形態に係る制御装置として機能させるためのプログラムであってよい。上記のプログラムを格納するコンピュータ可読媒体が提供されてもよい。コンピュータ可読媒体は、非一時的なコンピュータ可読媒体であってもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読記録媒体であってもよい。
【0013】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ガス切断システム100のシステム構成の一例を概略的に示す。
【
図2】被切断物10の断面図の一例を概略的に示す。
【
図3】被切断物10の上面図の一例を概略的に示す。
【
図4】被切断物10の断面図の他の例を概略的に示す。
【
図5】被切断物10の断面図のさらに他の例を概略的に示す。
【
図6】コントローラ180の内部構成の一例を概略的に示す。
【
図7】ガス切断システム100を用いた切断方法の一例を概略的に示す。
【
図8】コンピュータ3000のシステム構成の一例を概略的に示す。
【
図9】実施例1において、被切断物の裏面からスラグが排出される様子を示す。
【
図10】比較例1において、被切断物の裏面からスラグが排出される様子を示す。
【
図11】参考例1において、被切断物の裏面からスラグが排出される様子を示す。
【
図12】被切断物の裏面に付着したスラッジの体積を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して、重複する説明を省く場合がある。
【0016】
図1、
図2及び
図3を用いて、ガス切断システム100の一例の詳細が説明される。
図1は、ガス切断システム100のシステム構成の一例を概略的に示す。
図2は、被切断物10の断面図の一例を概略的に示す。
図3は、被切断物10の上面図の一例を概略的に示す。本実施形態においては、ガス切断システム100が、(i)ガス切断方式(ガス溶断方式と称される場合もある。)により、鉄又は鉄の合金を含む被切断物10を切断し、(ii)部材32及び部材34を生産する場合を例として、ガス切断システム100の詳細が説明される。
【0017】
[ガス切断システム100の概要]
図1に示されるとおり、本実施形態において、ガス切断システム100は、例えば、ガスバーナー110を備える。本実施形態において、ガスバーナー110は、切断火口112を有する。本実施形態において、ガス切断システム100は、例えば、台車120を備える。本実施形態において、台車120は、バーナー支持部122と、移送部124とを有する。本実施形態において、ガス切断システム100は、例えば、架台130を備える。本実施形態において、架台130は、テーブル132と、被切断物10を支持するテーブル134と、支柱136と、レール138とを有する。
【0018】
本実施形態において、ガス切断システム100は、例えば、酸素供給システム140を備える。本実施形態において、酸素供給システム140は、配管142と、酸素含有ガス源144と、圧力計146と、マスフローコントローラ147と、弁148とを有する。本実施形態において、ガス切断システム100は、例えば、燃料供給システム150を備える。本実施形態において、燃料供給システム150は、配管152と、燃料ガス源154と、圧力計156と、マスフローコントローラ157と、弁158とを有する。
【0019】
本実施形態において、ガス切断システム100は、例えば、1以上のカメラ160を備える。本実施形態において、ガス切断システム100は、例えば、1以上の入出力機器170を備える。本実施形態において、ガス切断システム100は、例えば、コントローラ180を備える。
【0020】
[被切断物10の概要]
図2及び
図3に示されるとおり、本実施形態において、被切断物10は、鋼板12と、炭素供給層14とを含む。本実施形態において、炭素供給層14は、固体炭素源22と、バインダ樹脂24とを含む。また、本実施形態において、被切断物10の一部には、切断領域200が設定される。切断領域200の一部には、予熱領域300が設定される。
【0021】
本実施形態において、鋼板12は、鉄又は鉄を主成分とする合金からなる鋼材であってよい。上記の合金は、鉄の他に、炭素、珪素、マンガン、リン、硫黄、ニッケル、クロム、モリブデン、及び、ボロンの少なくとも1つ含んでよい。なお、鋼板12には、鋼板12の原材料に含まれる不純物、及び/又は、製造工程中に混入する不純物(不可避不純物と称される場合がある。)が含まれ得る。
【0022】
鋼板12の材料としては、(i)純鉄、(ii)鉄-炭素合金、(iii)炭素以外の金属元素を含み、鉄を主成分とする合金、(iv)炭素と、炭素以外の金属元素とを含み、鉄を主成分とする合金などが例示される。鋼板12の材料が純鉄である場合、当該合金の炭素含有量は、0.02質量%未満であってもよく、0.01質量%未満であってもよい。鋼板12の材料が炭素を含む合金である場合、当該合金の炭素含有量は、0.02質量%以上2.06質量%以下であってよい。
【0023】
鋼板12の材料が鉄-炭素合金である場合、当該合金の炭素含有量の下限値は、0.05質量%以下であってよい。鋼板12の材料が鉄-炭素合金である場合、当該合金の炭素含有量の上限値は、1質量%以下であってもよく、0.5質量%以下であってもよく、0.45質量%以下であってもよく、0.3質量%以下であってもよく、0.25質量%以下であってもよく、0.25質量%未満であってもよい。鋼板12の炭素含有量が小さいほど、炭素供給層14から炭素が供給されることの効果が顕著になる。
【0024】
本実施形態において、鋼板12の形状は板状であり、鋼板12は略平行な2つの面を有する。本実施形態において、上記の2つの面のうち、被切断物10が切断される場合にガスバーナー110の切断火口112と対向する側の面は、FSと称される。一方、FSの反対側に配される面は、BSと称される。
【0025】
本実施形態において、炭素供給層14は、鋼板12の一方の面(FSと称される場合がある。)の表面に配される。炭素供給層14は、例えば、(i)固体炭素源22及びバインダ樹脂24を溶媒と混合して得られたペーストを、鋼板12のFS側の表面に塗布し、(ii)上記ペーストを乾燥させることで作製される。
【0026】
本実施形態において、炭素供給層14のy方向の長さ(炭素供給層14の幅Waと称される場合がある。)は、切断領域200のy方向の長さ(切断領域200の幅Wc、切断幅などと称される場合がある。)よりも大きい。切断領域200の幅Wcは、例えば、切断火口112から噴出される火炎の直径により決定される。
【0027】
本実施形態において、炭素供給層14のz方向の長さ(炭素供給層14の厚さHaと称される場合がある。)は、鋼板12のz方向の長さ(鋼板12の厚さHmと称される場合がある。)よりも小さい。一実施形態において、炭素供給層14の厚さHaは、鋼板12の厚さHm、鋼板12の密度、及び、炭素供給層14の炭素含有量により決定される。他の実施形態において、炭素供給層14の厚さHaは、鋼板12の厚さHm、鋼板12の密度、炭素供給層14の炭素含有量、及び、酸素含有ガスの噴出量により決定される。
【0028】
例えば、炭素供給層14の厚さHaは、鋼板12の溶融物に含まれる炭素の質量が、鋼板12の溶融物の質量の0.45質量%以上10%質量以下となるように決定される。炭素供給層14の厚さHaは、鋼板12の溶融物に含まれる炭素の質量が、鋼板12の溶融物の質量の0.5質量%以上7%質量以下となるように決定されてよい。炭素供給層14の厚さHaは、鋼板12の溶融物に含まれる炭素の質量が、鋼板12の溶融物の質量の1.0質量%以上6.5%質量以下となるように決定されてよい。炭素供給層14の厚さHaは、鋼板12の溶融物に含まれる炭素の質量が、鋼板12の溶融物の質量の1.5質量%以上6.25%質量以下となるように決定されてよい。炭素供給層14の厚さHaは、鋼板12の溶融物に含まれる炭素の質量が、鋼板12の溶融物の質量の2.0質量%以上5.75%質量以下となるように決定されてよい。
【0029】
より具体的には、炭素供給層14の厚さHaは、切断領域200に配された鋼板12の質量に対する、切断領域200に配された炭素供給層14に含まれる炭素の質量の割合が0.05質量%以上10質量%以下となるように決定される。これにより、鋼板12の溶融物に含まれる炭素の質量(つまり、切断領域200に配された鋼板12に含まれていた炭素の質量と、切断領域200に配された炭素供給層14に含まれていた炭素の質量との合計値である。)が、鋼板12の溶融物の質量の0.45質量%以上10%質量以下となり得る。
【0030】
炭素供給層14の厚さHaは、切断領域200に配された鋼板12の質量に対する、切断領域200に配された炭素供給層14に含まれる炭素の質量の割合が0.1質量%以上5質量%以下となるように決定されてもよい。炭素供給層14の厚さHaは、切断領域200に配された鋼板12の質量に対する、切断領域200に配された炭素供給層14に含まれる炭素の質量の割合が0.5質量%以上4.5質量%以下となるように決定されてもよい。
【0031】
本実施形態において、炭素供給層14のx方向の長さ(炭素供給層14の長さLaと称される場合がある。)は、鋼板12のx方向の長さ(鋼板12の長さLmと称される場合がある。)よりも小さい。これにより、切断領域200の一部に、炭素供給層14の配されていない予熱領域300が形成され得る。なお、図中、Lcは、切断領域200の長さを示す。
【0032】
本実施形態において、固体炭素源22は、例えば、粉末状、粒状(チップ状と称される場合がある)、棒状(針状、ワイヤー状、ウィスカーなどと称される場合がある)、繊維状、又は、フィルム状(フォイル状、シート状、テープ状などと称される場合がある)の炭素材料を含む。炭素材料としては、各種の炭化物質が利用され得る。炭素材料としては、木炭、竹炭、ヤシガラ炭、石炭、練炭、活性炭、石油固形残渣、ピッチ、コークス、無定形炭素(すす)、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、樹脂、天然ゴム、合成ゴムなどが例示される。繊維状の炭素材料(炭素繊維と称されるバイがある。)としては、炭化ポリマーファイバー、カーボンナノファイバー、黒鉛繊維、黒鉛ナノファイバーなどが例示される。
【0033】
本実施形態において、バインダ樹脂24は、複数の固体炭素源22を結合する。バインダ樹脂24は、鋼板12の表面に固体炭素源22を固定してよい。バインダ樹脂24は、有機高分子の硬化物であってもよく、各種の接着剤であってもよく、各種の粘着剤であってもよい。バインダ樹脂24としては、天然高分子、有機高分子などが例示される。天然高分子としては、ゼラチン、でんぷん、蔗糖、セルロース、松やに、にかわなどが例示される。有機高分子としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリビニル酢酸、ポリビニルアルコールなどが例示される。バインダ樹脂24は、熱硬化性樹脂であってもよく、紫外線硬化性樹脂であってもよい。これにより、炭素供給層14の作製期間が短縮され得る。
【0034】
本実施形態によれば、鋼板12の表面に炭素供給層14が配されている。そのため、被切断物10を切断するために、ガス切断システム100が被切断物10の切断領域200を加熱すると、鋼板12の表面に炭素供給層14から炭素が供給された状態で、切断領域200に配された鋼板12が溶融する。これにより、単に鋼板12が溶融した場合と比較して(つまり、被切断物10が炭素供給層14を有しない場合と比較して)、鋼板12の溶融物の炭素濃度が増加する。
【0035】
非特許文献1に示されるとおり、鉄又は鉄合金の溶融物の炭素含有量が共晶炭素量(約4.3質量%である。)以下の領域では、鉄又は鉄合金の溶融物の炭素含有量が増加するにつれて当該溶融物の粘度が低下することが知られている。また、非特許文献2に示されるとおり、鉄-炭素合金において、当該合金の炭素含有量が共晶炭素量(約4.3質量%である。)以下の領域では、当該合金の融点が徐々に降下する。一方、上記の溶融物の炭素含有量が共晶炭素量(約4.3質量%である。)を超える領域では、当該合金の融点が徐々に上昇する。
【0036】
非特許文献2によれば、例えば、鉄-炭素合金の炭素含有量が0.5質量%である場合の当該合金の融点と、当該合金の炭素含有量が7.0質量%である場合の当該合金の融点とが略一致する。鉄-炭素合金の炭素含有量が1.0質量%である場合の当該合金の融点と、当該合金の炭素含有量が6.5質量%である場合の当該合金の融点とが略一致する。鉄-炭素合金の炭素含有量が1.5質量%である場合の当該合金の融点と、当該合金の炭素含有量が6.25質量%である場合の当該合金の融点とが略一致する。また、鉄-炭素合金の炭素含有量が2.0質量%である場合の当該合金の融点と、当該合金の炭素含有量が5.75質量%である場合の当該合金の融点とが略一致する。
【0037】
また、非特許文献3に示されるとおり、各種純金属及び合金の融点が小さくなると、融点近傍の溶融金属の粘度も小さくなる。非特許文献3に開示されている技術常識を考慮すると、非特許文献2に接した当業者であれば、非特許文献2に示される鉄-炭素合金において、当該合金の炭素含有量が共晶炭素量(約4.3質量%である。)以下の領域では、当該合金の融点が徐々に降下するとともに、当該合金の溶融物の粘度が低下していることを理解することができる。
【0038】
発明者らは、例えば非特許文献1~3に記載されているような技術常識に基づいて、鋼板12の一部を加熱して溶融させることで鋼板12を切断する場合において、鋼板12の溶融物の炭素含有量を特定の数値範囲内(例えば、共晶炭素量を含む特定の数値範囲の範囲内である。)に調整することで、鋼板12の溶融物の炭素含有量が上記の数値範囲外である場合と比較して、鋼板12の溶融物の粘度を低下させることができるという着想を得た。
【0039】
ところで、ガス切断、アーク切断、レーザ切断などの切断方式においては、各種の原理により金属材料の一部を溶融させ、当該金属材料の溶融物を気流により吹き飛ばすことで、当該金属材料を切断する。このとき、切断条件によっては、切断された金属材料に、上記の溶融物のスラグが付着する。特に、金属材料の厚さが増加するにつれて、上記のスラグの付着量を抑制することが困難になる。
【0040】
そこで、発明者らは、金属材料を切断する場合において、当該金属材料の切断領域の表面に、当該金属材料を構成する金属の溶融物の粘度を低下させる粘度低下物質が供給された状態で、当該金属材料の切断領域を溶融させることを想到した。上記の方法によれば、金属材料の溶融時に粘度低下物質が供給されない場合と比較して、金属材料の溶融物の粘度が低下する。これにより、金属材料の溶融物が気流により吹き飛ばされやすくなる。その結果、切断された金属材料に付着するスラグの量が抑制され得る。
【0041】
従来、アーク切断により、例えば低炭素鋼(炭素含有量が0.25質量%未満の炭素鋼である。)を切断する場合、カーボン電極の炭素が低炭素鋼の溶融物中に混入することが知られていた。しかしながら、炭素の増加量は0.05%未満と微量であり、溶融物中に炭素を積極的に混入させることにより、スラグの付着を抑制したり、スラグの剥離性を向上させたりしようという思想は知られていない。
【0042】
これに対して、本実施形態によれば、炭素供給層14の厚さHaは、例えば、鋼板12の溶融物に含まれる炭素の質量が、鋼板12の溶融物の質量の0.45質量%以上10%質量以下となるように決定される。なお、鋼板12の溶融物の質量に対する、鋼板12の溶融物に含まれる炭素の質量の割合は、好ましくは0.5質量%以上7%質量以下であり、より好ましくは1.0質量%以上6.5%質量以下であり、さらに好ましくは1.5質量%以上6.25%質量以下であり、さらに好ましくは2.0質量%以上5.75%質量以下である。
【0043】
上述されたとおり、鉄又は鉄合金の溶融物の粘度は、当該溶融物の炭素含有量により変動する。鋼板12の溶融物の質量の0.45質量%以上10%質量以下である場合、鋼板12の溶融物の炭素含有量が0.2~0.3質量%程度である場合と比較して、鋼板12の溶融物の粘度が小さくなる。これにより、鋼板12の溶断時に、鋼板12の溶融物が鋼板12のBS側から排出されやすくなる。その結果、鋼板12のBS側に付着するスラグの量が低減したり、鋼板12の溶融物を吹き飛ばすための酸素含有ガスの流量を低減したりすることが可能になる。
【0044】
なお、上記の思想は、鋼板12の切断に限定されない。一般に、液相にのみ溶解し固相には溶解しない溶質が溶媒に添加されると、当該溶質及び溶媒を含む溶液の凝固点が降下し、当該溶液の凝固点は純溶媒の凝固点よりも小さくなる。上記の現象は凝固点降下と呼ばれる。凝固点降下は、各種の金属又は合金の溶融物においても観察され得る。したがって、鋼板12の切断に関連して説明された事項は、各種の金属又は合金の切断にも応用され得る。
【0045】
例えば、各種の原理により金属材料の一部を溶融させ、当該金属材料の溶融物を気流により吹き飛ばすことで、当該金属材料を切断する場合において、当該金属材料の切断領域の表面に、当該金属材料の主要成分である純金属又は合金(単に金属と称される場合がある。)の凝固点を低下させる物質が供給された状態で、当該金属材料の切断領域を溶融させることが考えられる。金属材料の主要成分としては、金属材料の50質量%を超える成分、金属材料の75質量%を超える成分、金属材料の80質量%を超える成分、金属材料の90質量%を超える成分、金属材料の95質量%を超える成分などが例示される。なお、上記の手法は、金属材料の一部を切断することで、当該金属材料を含む部材を切断する場合にも応用され得る。
【0046】
[ガス切断システム100の各部の詳細]
本実施形態において、ガス切断システム100は、ガス切断方式により、被切断物10を切断する。例えば、ガス切断システム100は、被切断物10の一部に設定された切断領域200を切断する。例えば、鋼板12の切断領域200の表面に、炭素供給層14に含まれる炭素が供給された状態で、鋼板12の切断領域を溶融させることにより、鋼板12を切断する。これにより、部材32及び部材34が生産される。
【0047】
本実施形態において、ガスバーナー110は、被切断物10を加熱するための炎を生成する。より具体的には、ガスバーナー110は、酸素供給システム140から供給された酸素含有ガスと、燃料供給システム150から供給された燃料ガスとを、切断火口112から噴出させる。ガスバーナー110は、点火装置(図示されていない。)を用いて、切断火口112から噴出した燃料ガスに着火する。
【0048】
切断火口112は、酸素供給システム140から供給された酸素含有ガスと、燃料供給システム150から供給された燃料ガスとを噴出する。酸素含有ガスとしては、(i)高純度の酸素ガス、(ii)酸素ガスと、不活性ガスとの混合物などが例示される。不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどが例示される。燃料ガスとしては、水素ガス、炭化水素ガスなどが例示される。炭化水素ガスとしては、天然ガス、LPガスなどが例示される。
【0049】
切断火口112は、複数のノズル(図示されていない。)を有してよい。例えば、切断火口112は、酸素含有ガスを噴出するための1以上のノズルと、燃料ガスを噴出するための1以上のノズルとを有する。切断火口112は、酸素ガスを噴出するための1以上のノズルと、不活性ガスを噴出するための1以上のノズルと、燃料ガスを噴出するための1以上のノズルとを有してもよい。
【0050】
一実施形態において、単一の種類のガスに対して、単一のノズルが用いられる。この場合、例えば、予熱用の酸素ガスと、切断用の酸素ガスとが、同一のノズルから噴出される。他の実施形態において、単一の種類のガスに対して、複数のノズルが用いられる。この場合、例えば、切断火口112は、予熱用の酸素ガスを噴出するための1以上のノズルと、切断用の酸素ガスを噴出するための1以上のノズルとを有する。切断火口112は、カーテン用の酸素ガスを噴出するための1以上のノズルをさらに有してもよい。
【0051】
本実施形態において、台車120は、切断火口112と、被切断物10との相対位置を調整する。具体的には、水平方向に平行で互いに直交する2つの方向をx方向及びy方向とし、鉛直方向をz方向とした場合、台車120は、(i)切断火口112の代表点と、被切断物10の代表点とのx方向の距離、(ii)切断火口112の代表点と、被切断物10の代表点とのy方向の距離、(iii)切断火口112の代表点と、被切断物10の代表点とのz方向の距離、及び、(iv)切断火口112からのガス又は火炎の噴出方向と、鉛直方向とのなす角度の少なくとも1つを調整する。台車120は、コントローラ180からの制御信号に従って、切断火口112と、被切断物10との相対位置を調整してよい。
【0052】
切断火口112の代表点は、切断火口112の先端であってよい。被切断物10の代表点としては、鋼板12の切断領域のFS側の開始位置、炭素供給層14の切断領域のFS側の開始位置などが例示される。切断火口112の代表点及び被切断物10の代表点は、被切断物10及び切断火口112が切断開始位置に設置された状態において、火口距離が最短になるように決定されてもよい。
【0053】
本実施形態において、切断火口112は、ガスバーナー110の先端に配され、被切断物10に向かって、各種のガス及び/又は火炎を噴出する。切断火口112は、架台130が被切断物10を支持した場合に、被切断物10のFS側に位置するように配される。
【0054】
本実施形態において、バーナー支持部122は、ガスバーナー110を支持する。バーナー支持部122は、例えば、ガスバーナー110の切断火口112と、被切断物10の表面との相対距離を調整する。より具体的には、バーナー支持部122は、例えば、切断火口112の代表点と、被切断物10の代表点とのz方向の距離(火口距離、火口高さなどと称される場合がある。)を調整する。また、バーナー支持部122は、例えば、切断火口112からのガス又は火炎の噴出方向と、鉛直方向とのなす角度を調整する。
【0055】
一実施形態において、バーナー支持部122は、コントローラ180からの制御信号に従って、上記の火口距離及び上記の角度の少なくとも一方を調整する。他の実施形態において、ユーザが手動でバーナー支持部122を操作することにより、上記の火口距離及び上記の角度の少なくとも一方が調整される。
【0056】
本実施形態において、移送部124は、バーナー支持部122に支持されたガスバーナー110を移送する。例えば、移送部124は、架台130に設置されたレール138に沿って移動する。本実施形態において、レール138はx方向に沿って延伸しており、被切断物10及びレール138は、水平方向に略平行に設置される。これにより、移送部124は、ガスバーナー110を、被切断物10の表面に沿って移動させることができる。
【0057】
一実施形態において、移送部124は、コントローラ180からの制御信号に従って、ガスバーナー110を移動させる。例えば、移送部124は、コントローラ180からの制御信号により示される速度で、ガスバーナー110を移動させる。他の実施形態において、ユーザが手動で移送部124を操作することにより、ガスバーナー110のx方向の位置が調整され得る。
【0058】
本実施形態において、架台130は、被切断物10を支持する。本実施形態において、架台130は、台車120を支持する。架台130は、台車120が被切断物10の上方に位置するように、台車120を支持する。
【0059】
本実施形態において、テーブル132は、被切断物10を支持する。テーブル132は、例えば、被切断物10のFSが水平方向と略平行になるように、被切断物10を支持する。本実施形態において、テーブル134は、台車120を支持する。テーブル134は、例えば、台車120の移動方向が水平方向と略平行になるように、台車120を支持する。
【0060】
本実施形態において、支柱136は、テーブル132及びテーブル134を支持する。支柱136は、例えば、テーブル134がテーブル132の上方に配されるように、テーブル132及びテーブル134を支持する。これにより、被切断物10がテーブル132の所定の位置に配された場合に、ガスバーナー110の切断火口112が被切断物10のFS側に配され得る。
【0061】
本実施形態において、レール138は、台車120の軌道として用いられる。レール138は、テーブル134の上に、レール138の延伸方向が水平方向と略平行になるように配される。これにより、台車120は、切断火口112を、被切断物10の表面に沿って移動させることができる。
【0062】
本実施形態において、酸素供給システム140は、ガスバーナー110に酸素含有ガスを供給する。本実施形態において、配管142は、酸素含有ガス源144からガスバーナー110に、酸素含有ガスを移送する。
【0063】
本実施形態において、酸素含有ガス源144は、配管142に酸素含有ガスを供給する。酸素含有ガス源144は、ガスボンベ、ガスタンクなどのガス貯留設備を有してよい。酸素含有ガス源144は、高純度の酸素ガスを貯留する酸素ガス貯留設備と、不活性ガスを貯留する不活性ガス貯留設備と、酸素ガス及び不活性ガスを混合する混合設備とを有してもよい。
【0064】
本実施形態において、圧力計146は、配管142の内部の気体の圧力を計測する。圧力計146は、計測結果を示す情報をコントローラ180に出力する。本実施形態において、マスフローコントローラ147は、酸素含有ガス源144からガスバーナー110に供給される酸素含有ガスの流量を調整する。マスフローコントローラ147は、コントローラ180からの制御信号に従って、酸素含有ガスの流量を調整してよい。
【0065】
本実施形態において、弁148は、配管142の連通状態を切り替える。具体的には、弁148は、酸素含有ガス源144からガスバーナー110に酸素含有ガスが輸送され得る状態と、酸素含有ガス源144からガスバーナー110に酸素含有ガスが輸送されない状態とを切り替える。弁148は、コントローラ180からの制御信号に従って、配管142の連通状態を切り替える。弁148は、コントローラ180からの制御信号に従って、弁148の開度を調整してよい。
【0066】
本実施形態において、燃料供給システム150は、ガスバーナー110に燃料ガスを供給する。本実施形態において、配管152は、燃料供給システム150からガスバーナー110に、燃料ガスを移送する。
【0067】
本実施形態において、燃料ガス源154は、配管152に燃料ガスを供給する。燃料ガス源154は、ガスボンベ、ガスタンクなどのガス貯留設備を有してよい。燃料ガス源154は、第1の種類の燃料ガスを貯留する第1燃料ガス貯留設備と、第2の種類の燃料ガスを貯留する第2燃料ガス貯留設備と、第1の種類の燃料ガス及び第2の種類の燃料ガスを混合する混合設備とを有してもよい。
【0068】
本実施形態において、圧力計156は、配管152の内部の気体の圧力を計測する。圧力計156は、計測結果を示す情報をコントローラ180に出力する。本実施形態において、マスフローコントローラ157は、燃料ガス源154からガスバーナー110に供給される燃料ガスの流量を調整する。マスフローコントローラ157は、コントローラ180からの制御信号に従って、燃料ガスの流量を調整してよい。
【0069】
本実施形態において、カメラ160は、被切断物10の外観を撮像する。例えば、カメラ160は、被切断物10のBSの少なくとも一部を撮像する。なお、ガス切断システム100が複数のカメラ160を備える場合、一部のカメラ160が被切断物10のBSの側を撮像し、残りのカメラ160が被切断物10のFSの側を撮像してもよい。
【0070】
これにより、被切断物10の溶融物が、被切断物10のBSの側から排出される様子が撮像され得る。また、被切断物10のBSの側に、被切断物10の溶融物のスラグが付着する様子が撮像され得る。カメラ160は、撮像された画像の画像データをコントローラ180に出力する。上記の画像は、静止画像であってもよく、動画像であってもよい。
【0071】
本実施形態において、ユーザと、ガス切断システム100のユーザインタフェースとして機能する。一実施形態において、入出力機器170は、ユーザからの入力を受け付ける。入出力機器170は、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、音声認識装置、ジェスチャ認識装置などの入力装置を有してよい。他の実施形態において、入出力機器170は、ユーザに各種の情報を出力する。入出力機器170は、ディスプレイ、プロジェクタ、スピーカなどの出力装置を有してよい。
【0072】
本実施形態において、コントローラ180は、ガス切断システム100を制御する。例えば、コントローラ180は、(i)ガスバーナー110に供給される燃料ガスの流量、(ii)ガスバーナー110に供給される酸素含有ガスの流量、(iii)ガスバーナー110及び被切断物10の表面の相対距離、及び、(iv)ガスバーナー110の移動速度の少なくとも1つを含む切断条件を決定する。
【0073】
一実施形態において、コントローラ180は、切断領域200に配された固体炭素源22の量に基づいて、上記の切断条件を決定する。他の実施形態において、コントローラ180は、ユーザが入出力機器170に入力した情報に基づいて、上記の切断条件を決定する。この場合において、ユーザは、例えば、切断領域200に配された固体炭素源22の量に基づいて切断条件を決定し、当該切断条件に関する情報を入出力機器170に入力する。
【0074】
コントローラ180は、決定された切断条件に基づいて、バーナー支持部122、移送部124、酸素供給システム140及び燃料供給システム150の少なくとも1つを制御してよい。例えば、コントローラ180は、決定された切断条件に基づいて、バーナー支持部122、移送部124、酸素供給システム140及び燃料供給システム150の少なくとも1つの設定値を調整してよい。コントローラ180の詳細は後述される。
【0075】
被切断物10は、被切断物の一例であってよい。FSは、第1面及び第2面の一方の一例であってよい。BSは、第1面及び第2面の他方の一例であってよい。鋼板12は、金属材料の一例であってよい。切断領域200に配された鋼板12は、金属材料の切断領域の一例であってよい。鋼板12に含まれる鉄は、金属元素の一例であってよい。鋼板12に含まれる炭素は、粘度低下物質の一例であってよい。炭素供給層14は、粘度低下物質又は粘度調整材料の一例であってよい。炭素供給層14に含まれる炭素は、粘度低下物質の一例であってよい。切断領域200に配された炭素供給層14に含まれる炭素の質量は、切断領域200に供給された炭素の量の一例であってよい。固体炭素源22は、粘度低下物質の一例であってよい。バインダ樹脂24は、バインダの一例であってよい。部材32は、金属部材の一例であってよい。部材34は、金属部材の一例であってよい。
【0076】
ガス切断システム100は、ガス切断装置の一例であってよい。ガスバーナー110は、噴出部の一例であってよい。切断火口112は、噴出部の一例であってよい。切断火口112に含まれる1以上のノズルのそれぞれは、噴出部の一例であってよい。バーナー支持部122は、距離調整部の一例であってよい。移送部124は、駆動部の一例であってよい。架台130は、支持部の一例であってよい。テーブル132は、支持部の一例であってよい。カメラ160は、撮像部の一例であってよい。コントローラ180は、制御装置又は制御部の一例であってよい。
【0077】
[別実施形態の一例]
本実施形態においては、炭素供給層14が鋼板12のFS側の表面に配される場合を例として、炭素の供給方法の詳細が説明された。しかしながら、炭素の供給方法は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、炭素供給層14は、鋼板12のBS側の表面に配されてよい。炭素供給層14は、鋼板12のFS側及びBS側の両方の表面に配されてもよい。さらに他の実施形態において、ガス切断システム100は、粉末状又は液状の炭素材料を噴出するためのノズル(図示されていない。)を備え、当該粉末状又は液状の炭素材料を鋼板12の切断領域の表面に吹き付けながら、鋼板12の切断領域を溶融させてよい。
【0078】
本実施形態においては、粘度低下物質として固体炭素源22が用いられる場合を例として、粘度低下物質の詳細が説明された。しかしながら、粘度低下物質は固体炭素源22に限定されない。他の実施形態において、粘度低下物質は、気体の酸素分子とは異なる物質であってよい。粘度低下物質は、0℃で液体又は固体の物質であることが好ましく、25℃で液体又は固体の物質であることが好ましい。
【0079】
粘度低下物質は、酸化物であってよい。粘度低下物質は、炭化物であってもよい。粘度低下物質は、ハロゲン化物であってもよい。ハロゲン化物は、フッ化物であってもよく、塩化物であってもよい。
【0080】
粘度低下物質は、例えば、(i)金属材料を構成する主な構成元素の酸化物、炭化物若しくはハロゲン化物、(ii)金属材料を構成する合金の副成分、及び、(iii)金属材料を構成する合金の副成分の酸化物、炭化物若しくはハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも一種を含んでよい。これにより、粘度低下物質が添加された金属材料の溶融物の粘度が、粘度低下物質が添加されていない場合と比較して小さくなる。金属材料を構成する主な構成元素としては、当該金属材料を構成する合金の主成分及び/又は副成分が例示される。
【0081】
例えば、金属元素Aを主成分とし元素Bを副成分とする合金Xに、第三成分Cが添加された場合、凝固点降下により、第三成分Cを含む合金Xの溶融物の凝固点は、第三成分Cを含まない合金Xの溶融物の凝固点よりも小さくなる。しかしながら、第三成分Cの種類及び添加量によっては、第三成分Cを含む合金Xの溶融物の粘度が、第三成分Cを含まない合金Xの溶融物の粘度よりも大きくなる場合もあり得る。例えば、Fe-C合金にSiが添加されると、凝固点降下によりFe-C合金の融点は低下するものの、Siの添加量によっては、Siの添加された溶融物の粘度が、Siの添加されていない溶融物の粘度よりも大きくなる場合がある。
【0082】
このような場合であっても、Fe-C合金の副成分である炭素を含む材料が添加されることで、溶融物の粘度が低下する。炭素を含む材料としては、上述された各種の炭素材料、石灰石(CaCO3)などが例示される。石灰石は、鉄鉱石の精錬において、鉄鉱石中に含まれる鉄の珪酸塩と反応して、鉄及び珪酸を分離するために用いられており、溶融物の粘度を低下させる効果が大きい。
【0083】
粘度低下物質は、例えば、炭素、珪素及びアルミニウムの少なくとも1つの元素を含む。上述されたとおり、粘度低下物質は、炭酸塩であってもよく、珪素酸化物であってもよく、アルミニウム酸化物であってもよい。粘度低下物質は、炭化ケイ素であってもよい。粘度低下物質は、液状の天然高分子又は有機高分子であってもよい。液状の天然高分子としては、タールなどが例示される。
【0084】
本実施形態においては、金属材料として鋼板12が用いられる場合を例として、金属材料の詳細が説明された。しかしながら、金属材料は鋼板12に限定されない。ガス切断、アーク切断(プラズマ切断と称される場合がある)又はレーザ切断により切断することのできる材料であり、且つ、適切な種類の添加物の濃度を調整することにより当該材料の溶融物の粘度が調整され得る材料であれば、被切断物の種類は特に限定されない。他の実施形態において、金属材料は、鉄鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、又は、各種の合金であってよい。上記の合金は、鉄、アルミニウム又は銅を主成分とする合金であってよい。金属材料以外の被切断物としては、セラミックス、樹脂、並びに、これらと金属材料との複合材料などが例示される。
【0085】
切断方式がガス切断である場合、被切断物は、(i)鉄鋼、(ii)鉄を主成分とする合金、又は、(iii)これらを含む部材であってよい。切断方式がアーク切断である場合、被切断物は、(i)鉄鋼、ステンレス鋼若しくはアルミニウム、(ii)鉄若しくはアルミニウムを主成分とする合金、(iii)その他の導電性材料、又は、(iv)これらを含む部材であってよい。切断方式がレーザ切断である場合、被切断物は、(i)鉄鋼、ステンレス鋼、アルミニウム若しくは銅、(ii)鉄、アルミニウム若しくは銅を主成分とする合金、(iii)セラミックス、(iv)樹脂、(v)複合材、又は、(iv)これらを含む部材であってよい。
【0086】
金属材料がステンレス鋼である場合、粘度低下物質としては、珪素、クロム、ニッケル、又は、これらの酸化物、炭化物若しくはハロゲン化物などが例示される。金属材料がアルミニウムである場合、粘度低下物質としては、珪素、珪素酸化物、アルミニウム酸化物(アルミナと称される場合がある。)、アルミニウム炭化物、アルミニウムハロゲン化物などが例示される。粘度低下物質は、アルミナ又はフッ化アルミニウムであることが好ましい。
【0087】
本実施形態においては、金属材料の溶融物における粘度低下物質の濃度を調整することで、当該溶融物の粘度を調整する場合を例として、金属材料の切断方法の一例が説明された。しかしながら、金属材料の切断方法は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、金属材料の溶融物における当該金属の酸化物の濃度を調整することで、当該溶融物の粘度を調整してもよい。例えば、金属材料が鉄又は鉄の合金である場合、スラグ中の鉄酸化物の濃度が大きくなると、当該スラグの粘度も大きくなる。したがって、本願明細書の記載に接した当業者であれば、スラグ中の鉄酸化物の濃度が特定の数値範囲内となるように当該スラグの組成を調整することで、本実施形態と同様の効果を奏することを理解することができる。
【0088】
図4及び
図5を用いて、被切断物10の他の例の詳細が説明される。
図4は、被切断物10の断面図の他の例を概略的に示す。
図5は、被切断物10の断面図のさらに他の例を概略的に示す。
【0089】
図4に示される実施形態において、被切断物10は、炭素供給層14が樹脂層42及び粘着層44を備える点で、
図2及び
図3に関連して説明された被切断物10と相違する。上記の相違点以外の特徴に関し、
図4の被切断物10は、
図2及び
図3に関連して説明された被切断物10と同様の構成を有してよい。
【0090】
本実施形態において、樹脂層42は、固体炭素源22と、バインダ樹脂24とを有する。樹脂層42は、例えば、(i)固体炭素源22及びバインダ樹脂24を溶媒と混合して得られたペーストを、任意のシートの上に塗布し、(ii)上記ペーストを乾燥させることで作製される。
【0091】
本実施形態において、粘着層44は、樹脂層42を鋼板12のFSの表面に貼り付ける。粘着層44は、任意の種類の粘着物質の層であってよく、市販の粘着テープ又は両面テープであってもよい。これにより、被切断物10の準備期間が短縮される。
【0092】
図5に示される実施形態において、被切断物10は、炭素供給層14が固体炭素層52及び粘着層44を備える点で、
図2及び
図3に関連して説明された被切断物10と相違する。なお、粘着層44の代わりに、接着層が用いられてもよい。上記の相違点以外の特徴に関し、
図5の被切断物10は、
図2及び
図3に関連して説明された被切断物10と同様の構成を有してよい。
【0093】
また、
図5に示される実施形態において、被切断物10は、炭素供給層14が、樹脂層42の代わりに固体炭素層52を備える点で、
図4に関連して説明された被切断物10と相違する。なお、粘着層44の代わりに、接着層が用いられてもよい。上記の相違点以外の特徴に関し、
図5の被切断物10は、
図4に関連して説明された被切断物10と同様の構成を有してよい。
【0094】
固体炭素層52としては、炭素繊維、炭素フィルム、炭素粉末などが例示される。例えば、まず、鋼板12のFS側の面に粘着層44が配される。例えば、粘着層44の一方の面と、鋼板12のFS側の面とが対向するように、粘着層44が鋼板12のFS側の面に貼り付けられる。次に、粘着層44の他方の面の上に、炭素繊維、炭素フィルム、炭素粉末などの固体炭素が配される。次に、上記の固体炭素が押圧され、粘着層44を介して固体炭素が鋼板12のFS側の面に貼り付けられる。
【0095】
図6は、コントローラ180の内部構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、コントローラ180は、例えば、切断条件決定部620と、切断条件調整部640とを備える。本実施形態において、切断条件決定部620は、例えば、ガス流量決定部622と、火口距離決定部624と、切断幅決定部626と、切断速度決定部628とを有する。本実施形態において、切断条件調整部640は、例えば、ガス流量調整部642と、火口距離調整部644と、切断幅調整部646と、切断速度調整部648とを有する。
【0096】
本実施形態において、切断条件決定部620は、切断条件を決定する。切断条件決定部620は、ユーザが入出力機器170に入力した情報に基づいて、切断条件を決定してよい。切断条件としては、(i)ガスバーナー110に供給される燃料ガスの流量、(ii)ガスバーナー110に供給される酸素含有ガスの流量、(iii)ガスバーナー110及び被切断物10の表面の相対距離(すなわち、火口距離である)、(iv)ガスバーナー110の移動速度、(v)切断幅Wcなどが例示される。なお、鋼板12の切断中に、固体又は液体の炭素含有物質が連続的又は断続的に供給される場合、炭素含有物質の供給量は、切断条件の一例であってよい。
【0097】
一実施形態において、(i)ガスバーナー110に供給される燃料ガスの流量、(ii)ガスバーナー110に供給される酸素含有ガスの流量、(iii)ガスバーナー110及び被切断物10の表面の相対距離(すなわち、火口距離である)、(iv)ガスバーナー110の移動速度、及び、(v)切断領域200の幅Wcの少なくとも1つに関する設定値が、入出力機器170に入力される。この場合、切断条件決定部620は、入出力機器170に入力された設定値を、上記の切断条件の少なくとも一部として用いる。上記の設定値は、切断領域200に配される鋼板12の質量に対する、切断領域200に配される炭素供給層14に含まれる炭素の質量の割合に基づいて決定されていてもよい。
【0098】
他の実施形態において、(i)切断領域200に配される炭素供給層14に含まれる炭素の質量に関する情報と、(ii)切断領域200に配される鋼板12の質量に関する情報とが、入出力機器170に入力される。この場合、切断条件決定部620は、切断領域200に配される鋼板12の質量に対する、切断領域200に配される炭素供給層14に含まれる炭素の質量の割合に基づいて、上記の切断条件の少なくとも一部を決定する。
【0099】
切断領域200に配される炭素供給層14に含まれる炭素の質量に関する情報としては、炭素供給層14の炭素含有量[kg-c/kg-炭素供給層14]、炭素供給層14の厚さHa[m]などが例示される。切断領域200に配される鋼板12の質量に関する情報としては、鋼板12の密度[kg-鋼板12/m3-鋼板12]、鋼板12の厚さHm[m]などが例示される。
【0100】
例えば、切断条件決定部620は、上記の炭素の質量の割合に基づいて、酸素含有ガスの流量を決定する。なお、酸素供給システム140が酸素ガス源及び不活性ガス源を備える場合、切断条件決定部620は、上記の炭素の質量の割合に基づいて、酸素ガス及び不活性ガスの少なくとも一方の供給量を決定してよい。
【0101】
例えば、切断条件決定部620は、上記の炭素の質量の割合から鋼板12の溶融物の粘度を推定し、当該推定された粘度に基づいて、酸素含有ガスの流量を決定する。切断条件決定部620は、鋼板12の質量に対する炭素の質量の割合を説明変数とし、鋼板12の溶融物の粘度を目的関数とする関数を用いて、鋼板12の溶融物の粘度を推定してよい。切断条件決定部620は、鋼板12の質量に対する炭素の質量の割合から鋼板12の溶融物の粘度を推定するための機械学習により生成された粘度推定モデルを用いて、鋼板12の溶融物の粘度を推定してもよい。切断条件決定部620は、鋼板12の質量に対する炭素の質量の割合から酸素含有ガスの流量を推定するための機械学習により生成された流量推定モデルを用いて、酸素含有ガスの流量を決定してもよい。
【0102】
他の実施形態において、鋼板12の厚さHm[m]を示す情報と、炭素供給層14の厚さHa[m]を示す情報とが、入出力機器170に入力される。この場合、切断条件決定部620は、鋼板12の厚さHm[m]と、炭素供給層14の厚さHa[m]との和に基づいて、火口距離を決定する。例えば、火口距離は、鋼板12の厚さHm[m]と、炭素供給層14の厚さHa[m]との和よりも大きくなるように決定される。
【0103】
他の実施形態において、切断条件決定部620は、カメラ160が出力した画像データを解析して、上記の切断条件の少なくとも一部を決定する。例えば、切断条件決定部620は、鋼板12のBS側の画像を解析して、鋼板12の溶融物の流動状態を推定する。溶融物の流動状態としては、(i)流動性が低く、鋼板12のBSにおける溶融物のスラグの付着量又は付着速度が予め定められた値よりも大きい状態、(ii)流動性が高く、鋼板12のBSにおける溶融物のスラグの付着量又は付着速度が予め定められた値よりも小さい状態、(iii)流動性が高く、鋼板12のBSからの溶融物の排出状態が良好である状態、(iv)流動性が高く、溶融物が自重で鋼板12のBSから滴り落ちる状態などが例示される。
【0104】
切断条件決定部620は、推定された溶融物の流動状態に基づいて、上記の切断条件の少なくとも一部を決定する。例えば、溶融物の流動性が低い場合、切断条件決定部620は、(i)酸素含有ガスのガス流量を増加させる、及び/又は、(ii)火口距離を減少させることを決定する。これにより、溶融物の流動性が比較的低い場合であっても、鋼板12から排出される溶融物の量が増加する。その結果、鋼板12に付着するスラグの量が減少する。溶融物の流動性が低い場合、切断条件決定部620は、燃料ガスのガス流量を増加させてもよい。これにより、溶融物の温度が上昇し、溶融物の粘度が低下する。その結果、鋼板12から排出される溶融物の量が増加したり、鋼板12に付着するスラグの量が減少したりする。
【0105】
なお、切断条件決定部620は、鋼板12のBSからの溶融物の排出状態が予め定められた状態となるように、酸素含有ガスの流量、火口距離及び炭素含有物質の供給量の少なくとも1つを増加又は減少させることを決定してもよい。また、切断条件決定部620は、鋼板12のBSにおける溶融物のスラグの付着状態が予め定められた状態となるように、酸素含有ガスの流量、火口距離及び炭素含有物質の供給量の少なくとも1つを増加又は減少させることを決定してもよい。これにより、鋼板12のBSにおける溶融物のスラグの付着が抑制され得る。
【0106】
本実施形態において、ガス流量決定部622は、上述された手法により、酸素含有ガス及び燃料ガスの少なくとも一方の流量を決定する。本実施形態において、火口距離決定部624は、上述された手法により、火口距離を決定する。
【0107】
本実施形態において、切断幅決定部626は、切断幅Wcを決定する。例えば、切断幅決定部626は、ユーザが入出力機器170に入力した切断幅Wcに関する設定値に基づいて、切断幅Wcを決定する。
【0108】
本実施形態において、切断速度決定部628は、上述された手法により、切断速度をする。例えば、切断速度決定部628は、ユーザが入出力機器170に入力した切断速度に関する設定値に基づいて、切断速度を決定する。
【0109】
本実施形態において、切断条件調整部640は、切断条件決定部620が決定した切断条件に基づいて、バーナー支持部122、移送部124、酸素供給システム140及び燃料供給システム150の少なくとも1つに関する各種の設定値を調整する。切断条件調整部640は、バーナー支持部122、移送部124、酸素供給システム140及び燃料供給システム150の少なくとも1つの動作を制御するための制御信号を出力してよい。
【0110】
本実施形態において、ガス流量調整部642は、ガス流量決定部622が決定した酸素含有ガスのガス流量を示す制御信号を生成する。ガス流量調整部642は、上記の制御信号を酸素供給システム140に出力する。これにより、酸素含有ガスのガス流量が調整される。
【0111】
ガス流量調整部642は、ガス流量決定部622が決定した燃料ガスのガス流量を示す制御信号を生成する。ガス流量調整部642は、上記の制御信号を燃料供給システム150に出力する。これにより、燃料ガスのガス流量が調整される。
【0112】
本実施形態において、火口距離調整部644は、火口距離決定部624が決定した火口距離を示す制御信号を生成する。火口距離調整部644は、上記の制御信号をバーナー支持部122に出力する。これにより、火口距離が調整される。
【0113】
本実施形態において、切断幅調整部646は、切断幅決定部626が決定した切断幅を示す制御信号を生成する。切断幅調整部646は、上記の制御信号を、例えば、ガスバーナー110に出力する。これにより、切断火口112の口径又は火炎の直径が調整され、その結果、切断幅が調整される。
【0114】
本実施形態において、切断速度調整部648は、切断速度決定部628が決定した切断速度を示す制御信号を生成する。切断速度調整部648は、上記の制御信号を移送部124に出力する。これにより、ガスバーナー110の移送速度が調整され、その結果、切断速度が調整される。
【0115】
切断条件決定部620は、制御部の一例であってよい。切断条件決定部620は、第1決定部又は第2決定部の一例であってよい。
【0116】
図7は、ガス切断システム100を用いた切断方法の一例を概略的に示す。本実施形態によれば、まず、ステップ722(ステップがSと省略して記載される場合がある。)において、被切断物10が準備される。具体的には、鋼板12の切断領域200の表面に炭素供給層14が配置される。例えば、固体炭素源22及びバインダ樹脂24を溶媒と混合して得られた炭素ペーストが、鋼板12の切断領域200の表面に塗布される。このとき、鋼板12の切断領域200の表面には、炭素ペーストが塗布されていない予熱領域300が形成される。その後、炭素ペーストを乾燥させることで、鋼板12の表面に炭素供給層14が形成される。
【0117】
次に、S724において、被切断物10がガス切断システム100に設置される。具体的には、被切断物10が、テーブル132の所定の位置に設置される。
【0118】
次に、S726において、ガス切断システム100の切断条件が決定される。一実施形態によれば、ユーザが、ガス切断システム100の切断条件を決定し、当該切断条件を示す情報を入出力機器170に入力する。他の実施形態によれば、ユーザが、ガス切断システム100の切断条件の決定に用いられる情報を入出力機器170に入力し、コントローラ180がガス切断システム100の切断条件を決定する。
【0119】
次に、S728において、ガス切断システム100の切断条件が調整される。例えば、コントローラ180がガス切断システム100の各部の設定値を示す制御信号を生成する。コントローラ180が、上記の制御信号をガス切断システム100の各部に出力することで、ガス切断システム100の切断条件が調整される。
【0120】
その後、S730において、ガス切断システム100が被切断物10をガス切断する。これにより、部材32及び部材34が生産される。
【0121】
具体的には、ガス切断システム100は、まず、燃料ガス及び予熱用の酸素含有ガスとをガスバーナー110に供給し、燃料ガスに着火する。ガス切断システム100は、ガスバーナー110から噴出される火炎により被切断物10の予熱領域300を加熱する。その後、ガス切断システム100は、ガス切断用の酸素含有ガスをガスバーナー110に供給し、被切断物10のガス切断を開始する。
【0122】
上述されたとおり、被切断物10は、鋼板12と、鋼板12のFS側の表面に配された炭素供給層14とを含む。そのため、ガス切断システム100が鋼板12の切断領域200を加熱すると、鋼板12及び炭素供給層14が加熱され、鋼板12の切断領域200が溶融する。このとき、炭素供給層14に含まれる炭素が供給された状態で、鋼板12の切断領域200が溶融する。
【0123】
上述されたとおり、炭素供給層14の炭素含有量は、鋼板12の溶融物に含まれる炭素の質量が、鋼板12の溶融物の質量の0.45質量%以上10%質量以下となるように調整される。これにより、鋼板12の表面に炭素供給層14が配されていない場合と比較して、鋼板12の溶融物の粘度が低下する。この状態で、ガス切断システム100から噴出された酸素ガスにより、鋼板12の溶融物が吹き飛ばされることで、鋼板12が切断される。
【0124】
[別実施形態の一例]
本実施形態においては、ガス切断システム100が、被切断物10をガス切断する場合を例として、ガス切断システム100の詳細が説明された。つまり、ガス切断システム100が、金属材料の切断領域を加熱し、加熱された金属材料に酸素含有ガスを供給することで、金属材料の切断領域を溶融させる場合を例として、ガス切断システム100の詳細が説明された。しかしながら、ガス切断システム100は、本実施形態に限定されない。
【0125】
他の実施形態において、ガス切断システム100は、アーク切断(プラズマ切断と称される場合がある。)により被切断物10を切断してよい。この場合、ガス切断システム100は、電気アーク若しくはプラズマアークにより金属材料の切断領域を加熱することで、金属材料の切断領域を溶融させる。さらに他の実施形態において、ガス切断システム100は、レーザ切断により被切断物10を切断してよい。この場合、ガス切断システム100は、レーザー光により金属材料の切断領域を加熱することで、金属材料の切断領域を溶融させる。
【0126】
本実施形態においては、ガス切断システム100が、単一の金属材料を含む被切断物10を切断する場合を例として、ガス切断システム100の詳細が説明された。しかしながら、ガス切断システム100は、本実施形態に限定されない。
【0127】
他の実施形態において、被切断物10は、複数の金属材料を含んでもよい。一実施形態において、被切断物10は、複数の金属板が積層された構造物を含む。複数の金属板のうち少なくとも2つの金属板が、同一の金属材料により構成されていてもよく、複数の金属板のうち少なくとも2つの金属板が、異なる種類の金属材料により構成されていてもよい。他の実施形態において、被切断物10は、複数の金属ブロックの集合体を含む。複数の金属ブロックのうち少なくとも2つの金属ブロックが、同一の金属材料により構成されていてもよく、複数の金属ブロックのうち少なくとも2つの金属ブロックが、異なる種類の金属材料により構成されていてもよい。金属材料の詳細は、上述されたとおりであってよい。
【0128】
本実施形態においては、鋼板12の溶融物の粘度を低下させる物質として、炭素が用いられる場合を例として、ガス切断システム100の詳細が説明された。しかしながら、ガス切断システム100は、本実施形態に限定されない。
【0129】
他の実施形態において、鉄又は鉄の合金を含む鋼板12の溶融物の粘度を低下させる物質として、珪素又はアルミニウムを含む物質が用いられる。例えば、珪素又はアルミニウムの酸化物が用いられる。例えば、非特許文献1には、電界鉄に2、5又は10質量%の金属珪素が添加されることで、Fe-Si合金の溶融物の粘度が低下することが開示されている。したがって、炭素供給層14に含まれる炭素の代わりに鋼板12の質量に対して2~10質量%(好ましくは5~10質量%である。)の珪素が供給された状態で、鋼板12の切断領域200を溶融させることで、鋼板12のBS側に付着するスラグの量を低減させることができる。なお、鋼板12の溶融物の粘度を低下させる物質として炭素が用いられた場合、鋼板12の溶融物の粘度を低下させる物質として珪素が用いられる場合と比較して、鋼板12の溶融物の粘度を容易に低下させることができる。
【0130】
さらに他の実施形態において、ガス切断システム100がアルミニウム又はアルミニウムの合金を含む被切断物10を切断する場合、アルミニウムの溶融物の粘度を低下させる物質としては、上述されたとおり、珪素、珪素酸化物、アルミナ、フッ化アルミニウムなどが例示される。
【0131】
図8は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されてよいコンピュータ3000の一例を示す。例えば、ガス切断システム100の一部が、コンピュータ3000により実現される。より具体的には、例えば、コントローラ180の少なくとも一部が、コンピュータ3000により実現される。
【0132】
コンピュータ3000にインストールされたプログラムは、コンピュータ3000に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該装置の1又は複数の「部」として機能させ、又は当該オペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ3000に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ3000に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU3012によって実行されてよい。
【0133】
本実施形態によるコンピュータ3000は、CPU3012、RAM3014、GPU3016、及びディスプレイデバイス3018を含み、それらはホストコントローラ3010によって相互に接続されている。コンピュータ3000はまた、通信インタフェース3022、ハードディスクドライブ3024、DVD-ROMドライブ3026、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ3020を介してホストコントローラ3010に接続されている。コンピュータはまた、ROM3030及びキーボード3042のようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ3040を介して入出力コントローラ3020に接続されている。
【0134】
CPU3012は、ROM3030及びRAM3014内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。GPU3016は、RAM3014内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU3012によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス3018上に表示されるようにする。
【0135】
通信インタフェース3022は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ3024は、コンピュータ3000内のCPU3012によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD-ROMドライブ3026は、プログラム又はデータをDVD-ROM3001から読み取り、ハードディスクドライブ3024にRAM3014を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0136】
ROM3030はその中に、アクティブ化時にコンピュータ3000によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ3000のハードウエアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ3040はまた、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ3020に接続してよい。
【0137】
プログラムが、DVD-ROM3001又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもあるハードディスクドライブ3024、RAM3014、又はROM3030にインストールされ、CPU3012によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ3000に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウエアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ3000の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0138】
例えば、通信がコンピュータ3000及び外部デバイス間で実行される場合、CPU3012は、RAM3014にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース3022に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース3022は、CPU3012の制御の下、RAM3014、ハードディスクドライブ3024、DVD-ROM3001、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0139】
また、CPU3012は、ハードディスクドライブ3024、DVD-ROMドライブ3026(DVD-ROM3001)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM3014に読み取られるようにし、RAM3014上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU3012は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0140】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU3012は、RAM3014から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM3014に対しライトバックする。また、CPU3012は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU3012は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0141】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ3000上又はコンピュータ3000近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それにより、上記のプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ3000に提供する。
【0142】
上記実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0143】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0144】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0145】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0146】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、技術的に矛盾しない範囲において、特定の実施形態について説明した事項を、他の実施形態に適用することができる。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0147】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【実施例0148】
実施例、比較例及び参考例を用いて、ガス切断システム100による被切断物10の切断方法の詳細が説明される。なお、ガス切断システム100による被切断物10の切断方法は、下記の実施例、比較例及び参考例に限定されないことに留意されたい。
【0149】
[実施例1]
ガス切断機として日酸TANAKA株式会社製のポータブル自動切断機(KT-160N II)を用いて、SS400の鋼板(切断用試料片と称される場合がある。)を切断した。実施例1においては、SS400の鋼板の一方の面に炭素層が配された切断試料片が用いられた。
【0150】
(切断用試料片の作製)
切断試験用の試料片を作製するため、まず、一般構造用圧延鋼材として市販されているSS400を所定の大きさに切断して、SS400の鋼板を作製した。SS400の鋼板の大きさは、幅80mm、長さ150mm、厚さ70mmであった。SS400に含まれる鉄以外の元素の組成は、C=0.19質量%、Si=0.25質量%、Mn=0.83質量%、P=0.11質量%、S=0.03質量%であった。なお、Cu、Ni及びCrは測定限界値以下であった。なお、鋼材表面の黒皮は除去しなかった。
【0151】
次に、活性炭粉末(株式会社アーテック製、055827)と、アセトン(和光純薬工業株式会社製、013-00356)で希釈したシアノアクリレート(東亜合成株式会社製、05501)とを2:1の質量比で混合して炭素ペーストを作製した。なお、ふるい分け試験によって決定された活性炭粉末の平均粒径は1mmであった。ふるい分け試験は、JIS Z8815-1994に準じて実施した。また、アセトン及びシアノアクリレートの質量比は、12:1であった。
【0152】
次に、切断されたSS400の鋼板の一方の面に炭素ペーストを塗布し、当該炭素ペーストを乾燥させて炭素層を作製した。なお、SS400の鋼板のガス切断が開始される位置には炭素層が形成されないように、炭素ペーストを塗布した。炭素層の大きさは、幅5mm、長さ130~140mm、厚さ5mmであった。炭素層が形成されていない領域は、予熱領域として使用された。これにより、切断用試料片が作製された。幅5mm×厚さ70mm×単位長さを有する鋼板の質量に対する、幅5mm×厚さ5mm×単位長さを有する炭素層に含まれる活性炭粉末の質量の割合は、約1質量%であった。
【0153】
(ガス切断機の設定)
燃料ガスとして、LPガス(四国太陽日酸株式会社製、P-P)を用いた。LPガスの組成は、C3H8=97.3mol%、C2H6=1.60mol%、i-C4H10=0.90mol%、C3H6=0.10mol%、n-C4H10=0.10mol%であった。酸素含有ガスとして、酸素ガス(北島酸素株式会社製、気体酸素99.5%以上)を用いた。燃料ガスはガスバーナの外側に配されたノズルから供給され、酸素ガスはガスバーナの内側に配されたノズルから供給された。そのため、火炎の中心部の温度は、火炎の外側の温度よりも高くなった。
【0154】
(予熱処理)
まず、ガス切断機に、切断用試料片の炭素層が配された側の面(FSと称される場合がある。)が上になるように、切断用試料片をセットした。切断用試料片は、切断用試料片の炭素層が配された側の面と、ガスバーナの火口とが対向するようにセットされた。次に、ガス切断機のガスバーナにLPガスを供給し、LPガスのみの火炎により切断用試料片の予熱領域を加熱した。切断用試料片の鋼板表面が輝赤色になるのを目視で確認し、予熱処理が完了したと判断した。このとき、鋼板の温度は、約1100Kと推定された。
【0155】
(切断処理)
切断用試料片の予熱処理が完了した後、ガス切断機のガスバーナに酸素ガスを供給し、切断処理を開始した。切断処理中、燃料ガスの圧力は、0.04MPaに設定された。また、酸素ガスの圧力は、0.3MPaに設定された。燃料ガス及び酸素ガスの全圧は、0.34MPaであった。酸素ジェットの直径(つまり、切断幅である。)は、5 mmであった。また、火炎の長さは、約100 mmであった。
【0156】
次に、火口距離を10 mmに設定し、切断速度を100 mm/分に設定した。その後、ガス切断機の自動送りスイッチをオンにした。これにより、切断位置が切断用試料片の長さ方向に沿って移動し、切断処理が開始された。その後、切断用試料片が長さ方向の全体にわたって切断されたことを確認し、切断処理を終了した。なお、切断されて2つに分割された切断用試料片のうちの一方は母材と称され、他方は切片と称される場合がある。
【0157】
[比較例1]
切断用試料片として、炭素層が配されていないSS400の鋼板を用いた点を除いて、実施例1と同様の手順により予熱処理及び切断処理を実施した。
【0158】
[参考例1]
切断用試料片として、炭素層が配されていないS48C(JFEスチール株式会社製、機械構造用炭素鋼鋼材S48C、JIS G4051:2016)の鋼板を用いた点を除いて、実施例1と同様の手順により予熱処理及び切断処理を実施した。S48Cに含まれる鉄以外の元素の組成は、C=0.47質量%、Si=0.20質量%、Mn=0.66質量%、P=0.08質量%、S=0.03質量%、Cu=0.04質量%、Ni=0.02質量%、Cr=0.02質量%であった。
【0159】
[参考例2]
酸素ガス圧力を0.4~0.8MPaに変更した点をのぞして、実施例1と同様の手順により予熱処理及び切断処理を実施した。
【0160】
[評価]
(ガス切断時の溶融物及びスラグの挙動)
ハイスピードカメラ(株式会社松電舎製、CH130EX、画素数:1280×1024ピクセル、200fps)を用いて、ガス切断中における、切断用試料片のFSとは反対側の面(BSと称される場合がある。)の外観を撮像した。なお、ハイスピードカメラのレンズ部には、波長が800~1000nm(近赤外光)以外の光を遮断する干渉フィルターを装着した。これにより、ガス切断時の燃焼の様子と、切断用試料片のBS側のスラグの挙動とを観察した。
【0161】
(鋼板に付着したスラグの体積)
デジタルカメラ(カシオ計算機株式会社製、EX-ZR1600)を用いて、ガス切断後の切断用試料片の外観を撮影した。また、切断用試料片の長さ方向に沿って、切断開始位置から10 mm間隔で15箇所の位置について、鋼尺を用いて、切断用試料片のBS側に付着したスラグの高さ及び幅を測定した。また、切片のBS側に付着したスラグの高さHS1[mm]及び幅WS1[mm]と、母材のBS側に付着したスラグの高さHS2[mm]及び幅WS2[mm]とを用いて長さ10 mm当たりの体積を算出し、各位置におけるスラグの付着量[mm3]とした。より具体的には、上記の体積は、(HS1+HS2)/2×(WS1+WS2)×10として算出された。
【0162】
(スラグの剥離性)
タガネ及びハンマーを用いて、人力により、切断用試料片のBS側に付着したスラグが剥離するか否かを確認した。
【0163】
(スラグ中の残留炭素)
炭素分析装置(株式会社堀場製作所製、EMIA-Pro)、及び、X線回析装置(株式会社リガク製、RINT-Ultima III)を用いて、スラグ中の残留炭素濃度を測定した。X線回析測定は、40kV/30mAの条件で実施した。(i)切断用試料片の鋼板母材に付着したスラグ、(ii)切片に付着したスラグ、及び、(iii)切断用試料片から落下したスラグのそれぞれを粉末状にすることで、測定用のサンプルを作製した。実施例1、比較例1及び参考例1のそれぞれについて、測定用のサンプルとして、上記の母材に付着したスラグの2箇所から採取した2つサンプルと、上記の切片に付着したスラグの2箇所から採取した2つサンプルと、上記の落下したスラグの2箇所から採取した2つサンプルとを用意した。また、比較のために、SS400の鋼材の一部を削り取ったサンプルと、S48Cの鋼材の一部を削り取ったサンプルとを用意した。
【0164】
[評価結果]
(ガス切断時のスラグの挙動)
図9、
図10及び
図11を用いて、ガス切断時の溶融物及びスラグの挙動が示される。
図9の画像900は、実施例1において、被切断物の裏面からスラグが排出される様子を示す。
図10の画像1000は、比較例1において、被切断物の裏面からスラグが排出される様子を示す。
図11の画像1100は、参考例1において、被切断物の裏面からスラグが排出される様子を示す。なお、参考例2においては、スラグが吹き飛ばされて、切断用試料片のBSにスラグが固着しなかった。
【0165】
図9の画像900に示されるとおり、実施例1においては、金属の溶融物(図中、Slag(Liquid)と表記されている。)が切断用試料片(図中、Workpieceと表記されている。)のBSから勢いよく排出されていた。また、金属の溶融物(スラグと称される場合がある。)の一部(図中、Slag(Solid)と表記されている。)は、切断用試料片のBSに固着していた。
【0166】
図10の画像1000に示されるとおり、比較例1においては、切断が進行するにつれて、金属の溶融物が切断用試料片のBSに停留した状態を保ち、大きな塊を形成した後、自重で滴り落ちていた。また、切断用試料片のBSには、スラグの一部が固着していた。
【0167】
図11の画像1100に示されるとおり、参考例1においては、金属の溶融物が、切断用試料片のBSから、適宜、滴り落ちていた。また、切断用試料片のBSに残留するスラグはほとんど見られなかった。
【0168】
(鋼板に付着したスラグの体積)
図12に被切断物の裏面に付着したスラッジの体積を示す。なお、実施例1において、各位置におけるスラグの高さは、5~7mmであった。また、各位置におけるスラグの幅は、12~20mmであった。比較例1において、各位置におけるスラグの高さは、7~10mmであった。また、各位置におけるスラグの幅は、13~15mmであった。
【0169】
図12に示されるとおり、実施例1におけるスラグの付着量は、比較例1におけるスラグの付着量よりも少なくなった。実施例1におけるスラグの付着量の平均値は、8.8×10
2[mm
3]であった。また、比較例1におけるスラグの付着量の平均値は、1.2×10
3[mm
3]であった。なお、参考例1におけるスラグの付着量の平均値は、2.3×10
2[mm
3]であった。
【0170】
また、実施例1において、切断用試験片のBSに付着したスラグの総体積は、1.3×104[mm3]であった。比較例1において、切断用試験片のBSに付着したスラグの総体積は、1.8×104[mm3]であった。参考例1において、切断用試験片のBSに付着したスラグの総体積は、3.5×103[mm3]であった。スラグの総発生量は、切断幅5mm×長さ150mm×厚さ70mm=52500[mm3]であるので、スラグの総発生量に対するスラグの付着率は、実施例1が25%、比較例1が34%、参考例1が6.6%であった。
【0171】
以上のとおり、実施例1におけるスラグの付着量は、比較例1におけるスラグの付着量と比較して、約30%減少した。また、低炭素鋼の切断において、炭素などを供給しながら加熱することによるスラグの付着の抑制効果が特に顕著に表れる。
【0172】
(スラグの剥離性)
実施例1では、タガネ及びハンマーによりスラグを破壊することで、切断用試料片の裏面に付着したスラグのうち、50~60%のスラグを除去することができた。比較例1では、タガネ及びハンマーによりスラグを破壊することで、切断用試料片の裏面に付着したスラグのうち、50~60%のスラグを除去することができた。
【0173】
一方、参考例1においては、タガネ及びハンマーを用いることなく、素手で圧迫することにより、切断用試料片の裏面に付着したスラグのうち、約20%のスラグを除去することができた。また、タガネ及びハンマーによりスラグを破壊することで、残りのスラグを全て除去することができた。
【0174】
(スラグ中の残留炭素)
実施例1において、6個のサンプルの炭素濃度の平均値は0.01質量%であった。比較例1において、6個のサンプルの炭素濃度の平均値は0.05質量%であった。参考例1において、6個のサンプルの炭素濃度の平均値は0.02質量%であった。SS400のサンプルの炭素濃度は0.19質量%であり、製品仕様の範囲内であった。S48Cのサンプルの炭素濃度は0.51質量%であり、製品仕様の範囲内であった。
【0175】
実施例1のX線回析スペクトルを解析した結果、主に、FeO、Fe3O4及びFe2O3の回析ピークが検出された。比較例1のX線回析スペクトルを解析した結果、主に、FeO、Fe3O4及びFe2O3の回析ピークが検出された。参考例1のX線回析スペクトルを解析した結果、主に、FeO、Fe3O4及びFe2O3の回析ピークが検出された。
10 被切断物、12 鋼板、14 炭素供給層、22 固体炭素源、24 バインダ樹脂、32 部材、34 部材、42 樹脂層、44 粘着層、52 固体炭素層、100 ガス切断システム、110 ガスバーナー、112 切断火口、120 台車、122 バーナー支持部、124 移送部、130 架台、132 テーブル、134 テーブル、136 支柱、138 レール、140 酸素供給システム、142 配管、144 酸素含有ガス源、146 圧力計、147 マスフローコントローラ、148 弁、150 燃料供給システム、152 配管、154 燃料ガス源、156 圧力計、157 マスフローコントローラ、158 弁、160 カメラ、170 入出力機器、180 コントローラ、200 切断領域、300 予熱領域、620 切断条件決定部、622 ガス流量決定部、624 火口距離決定部、626 切断幅決定部、628 切断速度決定部、640 切断条件調整部、642 ガス流量調整部、644 火口距離調整部、646 切断幅調整部、648 切断速度調整部、900 画像、1000 画像、1100 画像、3000 コンピュータ、3001 DVD-ROM、3010 ホストコントローラ、3012 CPU、3014 RAM、3016 GPU、3018 ディスプレイデバイス、3020 入出力コントローラ、3022 通信インタフェース、3024 ハードディスクドライブ、3026 DVD-ROMドライブ、3030 ROM、3040 入出力チップ、3042 キーボード