(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051422
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】磁気記憶装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/8239 20060101AFI20220324BHJP
H01L 43/08 20060101ALI20220324BHJP
H01L 43/12 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
H01L27/105 447
H01L43/08 Z
H01L43/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157901
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 英行
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA11
4M119BB01
4M119DD06
4M119DD22
4M119DD31
4M119DD37
4M119DD41
4M119DD42
4M119DD52
4M119GG01
4M119JJ14
5F092AA12
5F092AA13
5F092AB06
5F092AC12
5F092BB23
5F092BB36
5F092BB43
5F092BC12
5F092CA13
5F092DA01
(57)【要約】
【課題】 磁気抵抗効果素子等の集積度を高めることが可能な磁気記憶装置を提供する。
【解決手段】 実施形態に係る磁気記憶装置は、電極層EL1と絶縁層ISL1とが交互に積層された積層構造部分STK1と、共通電極部分CEL1と、積層構造部分の側面と共通電極部分との間に設けられた中間構造部分ITM1とを備えるメモリ構造部分MEM1を備え、中間構造部分は、共通電極部分と第1の電極層との間にそれぞれ位置する素子構成部分EMT1と、共通電極部分と第1の絶縁層との間にそれぞれ位置する非素子構成部分NEMT1とを含み、素子構成部分のそれぞれは、可変磁化部分と、固定磁化部分と、トンネルバリア層部分とを含む磁気抵抗効果素子部分MTJ1を含み、非素子構成部分のそれぞれは、隣接する素子構成部分に含まれる可変磁化部分に隣接する非磁性化部分を含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の電極層と複数の第1の絶縁層とが第1の方向に交互に積層された第1の積層構造部分と、
第1の共通電極部分と、
前記第1の積層構造部分の側面と前記第1の共通電極部分との間に設けられた第1の中間構造部分と、
を備える第1のメモリ構造部分を備えた磁気記憶装置であって、
前記第1の中間構造部分は、
前記第1の共通電極部分と前記複数の第1の電極層との間にそれぞれ位置する複数の第1の素子構成部分と、
前記第1の共通電極部分と前記複数の第1の絶縁層との間にそれぞれ位置する複数の第1の非素子構成部分と、
を含み、
前記第1の素子構成部分のそれぞれは、可変の磁化方向を有する強磁性層の第1の可変磁化部分と、固定された磁化方向を有する強磁性層の第1の固定磁化部分と、前記第1の可変磁化部分と前記第1の固定磁化部分との間に設けられた第1のトンネルバリア層部分とを含む第1の磁気抵抗効果素子部分を含み、
前記第1の非素子構成部分のそれぞれは、隣接する前記第1の素子構成部分に含まれる前記第1の可変磁化部分に隣接する第1の非磁性化部分を含んでいる
ことを特徴とする磁気記憶装置。
【請求項2】
前記非素子構成部分のそれぞれは、対応する前記第1の絶縁層に接する絶縁化部分を含んでいる
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶装置。
【請求項3】
前記第1の非磁性化部分は、前記第1の可変磁化部分に含有されている磁性元素と同じ磁性元素を含有している
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶装置。
【請求項4】
前記第1の非磁性化部分は、さらに酸素を含有している
ことを特徴とする請求項3に記載の磁気記憶装置。
【請求項5】
前記第1の素子構成部分のそれぞれは、前記第1の磁気抵抗効果素子部分に対して直列に接続された第1のスイッチング素子部分をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶装置。
【請求項6】
前記第1のスイッチング素子部分は、前記第1の磁気抵抗効果素子部分と対応する前記第1の電極層との間に位置する
ことを特徴とする請求項5に記載の磁気記憶装置。
【請求項7】
前記第1の磁気抵抗効果素子部分は、前記第1のスイッチング素子部分と対応する前記第1の電極層との間に位置する
ことを特徴とする請求項5に記載の磁気記憶装置。
【請求項8】
前記第1の非磁性化部分は、絶縁化されている
ことを特徴とする請求項7に記載の磁気記憶装置。
【請求項9】
前記第1の非素子構成部分のそれぞれは、前記隣接する第1の素子構成部分に含まれる前記第1の固定磁化部分に隣接する部分を含み、前記第1の固定磁化部分に隣接する部分は絶縁化されている
ことを特徴とする請求項7に記載の磁気記憶装置。
【請求項10】
前記第1の素子構成部分のそれぞれは、前記第1の磁気抵抗効果素子部分と前記第1のスイッチング素子部分との間に位置する導電性の第1のバッファ部分をさらに備える
ことを特徴とする請求項5に記載の磁気記憶装置。
【請求項11】
複数の第2の電極層と複数の第2の絶縁層とが前記第1の方向に交互に積層された第2の積層構造部分と、
第2の共通電極部分と、
前記第2の積層構造部分の側面と前記第2の共通電極部分との間に設けられた第2の中間構造部分と、
を備える第2のメモリ構造部分をさらに備え、
前記第2の中間構造部分は、
前記第2の共通電極部分と前記複数の第2の電極層との間にそれぞれ位置する複数の第2の素子構成部分と、
前記第2の共通電極部分と前記複数の第2の絶縁層との間にそれぞれ位置する複数の第2の非素子構成部分と、
を含み、
前記第2の素子構成部分のそれぞれは、可変の磁化方向を有する強磁性層の第2の可変磁化部分と、固定された磁化方向を有する強磁性層の第2の固定磁化部分と、前記第2の可変磁化部分と前記第2の固定磁化部分との間に設けられた第2のトンネルバリア層部分とを含む第2の磁気抵抗効果素子部分を含み、
前記第2の非素子構成部分のそれぞれは、隣接する前記第2の素子構成部分に含まれる前記第2の可変磁化部分に隣接する第2の非磁性化部分を含み、
前記第1のメモリ構造部分及び前記第2のメモリ構造部分によってメモリ構造ユニットが構成され、
前記メモリ構造ユニットに含まれる前記第1の積層構造部分と前記第2の積層構造部分とは、前記メモリ構造ユニットに含まれる前記第1の中間構造部分、前記第1の共通電極部分、前記第2の共通電極部分及び前記第2の中間構造部分を介して、前記第1の方向と交差する第2の方向で互いに対向している
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶装置。
【請求項12】
前記メモリ構造ユニットに含まれる前記第1の中間構造部分と前記第2の中間構造部分とは、第3の中間構造部分を介して連続的に設けられている
ことを特徴とする請求項11に記載の磁気記憶装置。
【請求項13】
前記メモリ構造ユニットに含まれる前記第1の共通電極部分と前記第2の共通電極部分とは、第3の共通電極部分を介して連続的に設けられている
ことを特徴とする請求項11に記載の磁気記憶装置。
【請求項14】
複数の前記メモリ構造ユニットが、前記第2の方向並びに前記第1及び第2の方向と交差する第3の方向に配列されている
ことを特徴とする請求項11に記載の磁気記憶装置。
【請求項15】
前記第2の方向で互いに隣り合った前記メモリ構造ユニットをそれぞれ第1のメモリ構造ユニット及び第2のメモリ構造ユニットと規定し、
前記第1のメモリ構造ユニットに含まれる前記第1の積層構造部分と前記第2のメモリ構造ユニットに含まれる前記第2の積層構造部分との間には、前記第1及び第2の絶縁層の絶縁材料と同じ絶縁材料で形成された中間絶縁部分が介在している
ことを特徴とする請求項14に記載の磁気記憶装置。
【請求項16】
前記第2の方向に配列された前記メモリ構造ユニットに含まれる前記第1及び第2の共通電極部分は、電気的に共通に接続されている
ことを特徴とする請求項14に記載の磁気記憶装置。
【請求項17】
前記第1の積層構造部分は前記第3の方向に延伸する第1の延伸部分を含み、前記第3の方向で互いに隣り合った前記第1のメモリ構造ユニットに含まれる前記第1の積層構造部分どうしは、前記第1の延伸部分を介して連続的に設けられ、
前記第2の積層構造部分は前記第3の方向に延伸する第2の延伸部分を含み、前記第3の方向で互いに隣り合った前記第2のメモリ構造ユニットに含まれる前記第2の積層構造部分どうしは、前記第2の延伸部分を介して連続的に設けられている
ことを特徴とする請求項14に記載の磁気記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に磁気抵抗効果素子等が集積化された磁気記憶装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気抵抗効果素子等の集積度を高めることが可能な磁気記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る磁気記憶装置は、複数の第1の電極層と複数の第1の絶縁層とが第1の方向に交互に積層された第1の積層構造部分と、第1の共通電極部分と、前記第1の積層構造部分の側面と前記第1の共通電極部分との間に設けられた第1の中間構造部分と、を備える第1のメモリ構造部分を備えた磁気記憶装置であって、前記第1の中間構造部分は、前記第1の共通電極部分と前記複数の第1の電極層との間にそれぞれ位置する複数の第1の素子構成部分と、前記第1の共通電極部分と前記複数の第1の絶縁層との間にそれぞれ位置する複数の第1の非素子構成部分と、を含み、前記第1の素子構成部分のそれぞれは、可変の磁化方向を有する強磁性層の第1の可変磁化部分と、固定された磁化方向を有する強磁性層の第1の固定磁化部分と、前記第1の可変磁化部分と前記第1の固定磁化部分との間に設けられた第1のトンネルバリア層部分とを含む第1の磁気抵抗効果素子部分を含み、前記第1の非素子構成部分のそれぞれは、隣接する前記第1の素子構成部分に含まれる前記第1の可変磁化部分に隣接する第1の非磁性化部分を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る磁気記憶装置の基本的な構成を模式的に示した断面図である。
【
図2】実施形態に係る磁気記憶装置の第1の具体的構成例を模式的に示した断面図である。
【
図3】実施形態に係る磁気記憶装置の第2の具体的構成例を模式的に示した断面図である。
【
図4】実施形態に係る磁気記憶装置の第3の具体的構成例を模式的に示した断面図である。
【
図5】実施形態に係る磁気記憶装置の第4の具体的構成例を模式的に示した断面図である。
【
図6】実施形態に係る磁気記憶装置の第1のメモリアレイ構成例を模式的に示した斜視図である。
【
図7A】実施形態に係る磁気記憶装置の第1のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図7B】実施形態に係る磁気記憶装置の第1のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図7C】実施形態に係る磁気記憶装置の第1のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図7D】実施形態に係る磁気記憶装置の第1のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図7E】実施形態に係る磁気記憶装置の第1のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図7F】実施形態に係る磁気記憶装置の第1のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図7G】実施形態に係る磁気記憶装置の第1のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図7H】実施形態に係る磁気記憶装置の第1のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図7I】実施形態に係る磁気記憶装置の第1のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図7J】実施形態に係る磁気記憶装置の第1のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図7K】実施形態に係る磁気記憶装置の第1のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図7L】実施形態に係る磁気記憶装置の第1のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図7M】実施形態に係る磁気記憶装置の第1のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図8】実施形態に係る磁気記憶装置の第1のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した斜視図である。
【
図9】実施形態に係る磁気記憶装置の第2のメモリアレイ構成例を模式的に示した斜視図である。
【
図10A】実施形態に係る磁気記憶装置の第2のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図10B】実施形態に係る磁気記憶装置の第2のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図10C】実施形態に係る磁気記憶装置の第2のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図10D】実施形態に係る磁気記憶装置の第2のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図10E】実施形態に係る磁気記憶装置の第2のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図10F】実施形態に係る磁気記憶装置の第2のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図10G】実施形態に係る磁気記憶装置の第2のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図11】実施形態に係る磁気記憶装置の第3のメモリアレイ構成例を模式的に示した斜視図である。
【
図12A】実施形態に係る磁気記憶装置の第3のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図12B】実施形態に係る磁気記憶装置の第3のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図12C】実施形態に係る磁気記憶装置の第3のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図12D】実施形態に係る磁気記憶装置の第3のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【
図12E】実施形態に係る磁気記憶装置の第3のメモリアレイ構成例の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。なお、以下の実施形態では、磁気抵抗効果素子としてMTJ(magnetic tunnel junction)素子を例に説明する。
【0008】
(基本的構成)
図1は、実施形態に係る不揮発性の磁気記憶装置の基本的な構成を模式的に示した断面図である。なお、図に示したX方向、Y方向及びZ方向は、互いに交差した方向、より具体的には互いに垂直な方向である。
【0009】
図1に示すように、半導体基板(図示せず)を含む下部構造10上にメモリ構造ユニットMEMUが設けられている。メモリ構造ユニットMEMUは、第1のメモリ構造部分MEM1及び第2のメモリ構造部分MEM2を含んでいる。
【0010】
第1のメモリ構造部分MEM1は、第1の積層構造部分STK1と、第1の共通電極部分CEL1と、第1の積層構造部分STK1の側面と第1の共通電極部分CEL1との間に設けられた第1の中間構造部分ITM1とを含んでいる。
【0011】
第1の積層構造部分STK1は、複数の第1の電極層EL1と複数の第1の絶縁層ISL1とがZ方向(第1の方向)に交互に積層された構造を有している。第1の共通電極部分CEL1及び第1の中間構造部分ITM1はいずれも、第1の積層構造部分STK1の側面に沿って形成されている。
【0012】
第1の中間構造部分ITM1は、複数の第1の素子構成部分EMT1及び複数の第1の非素子構成部分NEMT1を含んでいる。
【0013】
第1の素子構成部分EMT1は、第1の共通電極部分CEL1と、対応する第1の電極層EL1との間に位置している。第1の素子構成部分EMT1は、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1と、第1のセレクタ部分SEL1(第1のスイッチング素子部分)と、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1と第1のセレクタ部分SEL1との間に位置する導電性の第1のバッファ部分BUF1とを含んでいる。すなわち、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1と第1のセレクタ部分SEL1とは、第1のバッファ部分BUF1を介して互いに直列に接続されている。
【0014】
第1の非素子構成部分NEMT1は、第1の共通電極部分CEL1と、対応する第1の絶縁層ISL1との間に位置しており、第1の絶縁化部分INS1を含んでいる。
【0015】
第2のメモリ構造部分MEM2は、第2の積層構造部分STK2と、第2の共通電極部分CEL2と、第2の積層構造部分STK2の側面と第2の共通電極部分CEL2との間に設けられた第2の中間構造部分ITM2とを含んでいる。
【0016】
第2の積層構造部分STK2は、複数の第2の電極層EL2と複数の第2の絶縁層ISL2とがZ方向(第1の方向)に交互に積層された構造を有している。第2の共通電極部分CEL2及び第2の中間構造部分ITM2はいずれも、第2の積層構造部分STK2の側面に沿って形成されている。
【0017】
第2の中間構造部分ITM2は、複数の第2の素子構成部分EMT2及び複数の第2の非素子構成部分NEMT2を含んでいる。
【0018】
第2の素子構成部分EMT2は、第2の共通電極部分CEL2と、対応する第2の電極層EL2との間に位置している。第2の素子構成部分EMT2は、第2の磁気抵抗効果素子部分MTJ2と、第2のセレクタ部分SEL2(第2のスイッチング素子部分)と、第2の磁気抵抗効果素子部分MTJ2と第2のセレクタ部分SEL2との間に位置する導電性の第2のバッファ部分BUF2とを含んでいる。すなわち、第2の磁気抵抗効果素子部分MTJ2と第2のセレクタ部分SEL2とは、第2のバッファ部分BUF2を介して互いに直列に接続されている。
【0019】
第2の非素子構成部分NEMT2は、第2の共通電極部分CEL2と、対応する第2の絶縁層ISL2との間に位置しており、絶縁化部分INS2を含んでいる。
【0020】
第1の積層構造部分STK1と第2の積層構造部分STK2とは、第1の中間構造部分ITM1、第1の共通電極部分CEL1、第2の共通電極部分CEL2及び第2の中間構造部分ITM2を介して、Z方向と交差するX方向(第2の方向)で互いに対向している。第1のメモリ構造部分MEM1と第2のメモリ構造部分MEM2との間の凹部は、絶縁層20によって埋められている。
【0021】
第1の共通電極部分CEL1と第2の共通電極部分CEL2とは、第3の共通電極部分CEL3を介して連続的に設けられている。すなわち、第1、第2及び第3の共通電極部分CEL1、CEL2及びCEL3は、連続的な共通電極層によって形成されている。
【0022】
第1の中間構造部分ITM1と第2の中間構造部分ITM2とは、第3の中間構造部分ITM3を介して連続的に設けられている。すなわち、第1、第2及び第3の中間構造部分ITM1、2及び3は、連続的な中間構造層によって形成されている。具体的には、第3の中間構造部分ITM3は、磁気抵抗効果素子用の層MTJ0、セレクタ用の層SEL0及びバッファ用の層BUF0を含んでいる。
【0023】
上述したことからわかるように、メモリ構造ユニットMEMUは、対象面S0(Y方向及びZ方向に対して平行な面)に対して互いに対称な構造を有しており、第1のメモリ構造部分MEM1と第2のメモリ構造部分MEM2とは互いに等価な構造を有している。したがって、以降の説明では、簡略化のため、第1のメモリ構造部分MEM1についてのみ説明を行い、第2のメモリ構造部分MEM2についての説明を省略する場合があるが、第2のメモリ構造部分MEM2についても、基本的には、第1のメモリ構造部分MEM1に対する説明と同様の説明が成り立つ。
【0024】
(第1の具体的構成例)
次に、本実施形態に係る磁気記憶装置の第1の具体的構成例について、
図2に示した断面図を参照して説明する。
【0025】
まず、第1の素子構成部分EMT1について説明する。
【0026】
図2に示すように、本構成例では、第1のセレクタ部分SEL1が、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1と第1の電極層EL1との間に位置している。すなわち、第1のセレクタ部分SEL1が第1の電極層EL1側に位置し、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1が第1の共通電極部分CEL1側に位置している。
【0027】
第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1は、第1の記憶層部分(第1の可変磁化部分)SL1と、第1の参照層部分(第1の固定磁化部分)RL1と、第1のトンネルバリア層部分BL1とを含んでいる。本構成例では、第1の記憶層部分SL1が第1のセレクタ部分SEL1側(第1の電極層EL1側)に位置し、第1の参照層部分RL1が第1の共通電極部分CEL1側に位置している。
【0028】
第1の記憶層部分(第1の可変磁化部分)SL1は、可変の磁化方向を有する強磁性層であり、例えば、コバルト(Co)、鉄(Fe)及びボロン(B)を含有するCoFeB層で形成されている。可変の磁化方向とは、所定の書き込み電流に対して磁化方向が変わることを意味する。
【0029】
第1の参照層部分(第1の固定磁化部分)RL1は、固定された磁化方向を有する強磁性層であり、例えば、コバルト(Co)、鉄(Fe)及びボロン(B)を含有するCoFeB層及びCo/Pt超格子層等で形成されている。固定された磁化方向とは、所定の書き込み電流に対して磁化方向が変わらないことを意味する。
【0030】
第1のトンネルバリア層部分BL1は、第1の記憶層部分SL1と第1の参照層部分RL1との間に設けられた絶縁層である。第1のトンネルバリア層部分BL1は、例えば、マグネシウム(Mg)及び酸素(O)を含有するMgO層で形成されている。
【0031】
第1の記憶層部分SL1の磁化方向が第1の参照層部分RL1の磁化方向に対して平行である場合には、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1は低抵抗状態であり、第1の記憶層部分SL1の磁化方向が第1の参照層部分RL1の磁化方向に対して反平行である場合には、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1は高抵抗状態である。したがって、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1の抵抗状態に応じて、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1に2値データ(0又は1)を記憶することが可能である。また、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1に流れる電流の方向に応じて、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1に低抵抗状態又は高抵抗状態を設定することが可能である。
【0032】
第1のセレクタ部分SEL1は、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1に対して直列に接続された2端子型のスイッチング素子である。この2端子型のスイッチング素子は、2端子間に印加される電圧が閾値未満の場合には、“高抵抗状態”、例えば電気的に非導通状態である。また、この2端子型のスイッチング素子は、2端子間に印加される電圧が閾値以上の場合には、“低抵抗状態”、例えば電気的に導通状態となる。
【0033】
第1の電極層EL1と第1の共通電極部分CEL1との間に所定電圧以上の電圧を印加することで第1のセレクタ部分SEL1がオン状態(導通状態)となり、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1に対して書き込み或いは読み出しを行うことが可能となる。
【0034】
次に、第1の非素子構成部分NEMT1について説明する。
【0035】
第1の非素子構成部分NEMT1の第1の記憶層部分SL1に隣接する部分(第1の記憶層部分SL1の膜面に対して水平な方向で隣接する部分)は、非磁性化部分NMG1である。そのため、互いに隣接する第1の記憶層部分SL1どうしは、それらの間に介在する非磁性化部分NMG1によって磁気的に分離されている。
【0036】
また、後述するように、第1の非素子構成部分NEMT1の少なくとも一部は、第1の絶縁層ISL1が形成される側から磁気抵抗効果素子用の層MTJ0等を酸化により絶縁化することで形成される。そのため、第1の非素子構成部分NEMT1の少なくとも第1の絶縁層ISL1に接する部分は、絶縁化部分INS1である。
【0037】
本構成例では、第1の記憶層部分SL1形成用の層を酸化により絶縁化することで、非磁性化部分NMG1が形成される。そのため、本構成例では、非磁性化部分NMG1は絶縁化されている。また、第1の非素子構成部分NEMT1の第1のセレクタ部分SEL1及び第1のバッファ部分BUFに隣接する部分も絶縁化されている。
【0038】
上述したように、非磁性化部分NMG1は、第1の記憶層部分SL1形成用の層を酸化により絶縁化することで形成されるため、非磁性化部分NMG1は、第1の記憶層部分SL1に含有されている磁性元素及び酸素等を含有している。具体的には、非磁性化部分NMG1は、磁性元素としてコバルト(Co)及び鉄(Fe)を含有し、さらにボロン(B)及び酸素(O)を含有している。
【0039】
なお、非磁性化部分NMG1は絶縁化されていなくてもよいが、非磁性化部分NMG1を絶縁化することで、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1のMR比の低下を抑制することができる。同様に、第1の非素子構成部分NEMT1の第1のバッファ部分BUFに隣接する部分も絶縁化されていなくてもよいが、絶縁化することで、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1のMR比の低下を抑制することができる。
【0040】
第1の非素子構成部分NEMT1の第1の参照層部分RL1に隣接する部分は、非磁性化されていてもよいし、非磁性化されていなくてもよい。また、第1の非素子構成部分NEMT1の第1の参照層部分RL1に隣接する部分は、絶縁化されていてもよいし、絶縁化されていなくてもよい。
【0041】
(第2の具体的構成例)
次に、本実施形態に係る磁気記憶装置の第2の具体的構成例について、
図3に示した断面図を参照して説明する。なお、基本的な事項は上述した第1の具体的構成例と同様である。したがって、第1の具体的構成例で説明した事項の説明は省略する。
【0042】
まず、第1の素子構成部分EMT1について説明する。
【0043】
本構成例でも、第1の具体的構成例と同様に、第1のセレクタ部分SELが、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1と第1の電極層EL1との間に位置している。ただし、本構成例では、第1の参照層部分RL1が第1のセレクタ部分SEL1側(第1の電極層EL1側)に位置し、第1の記憶層部分SL1が第1の共通電極部分CEL1側に位置している。その他の第1の素子構成部分EMT1の基本的な構成については、上述第1の具体的構成例と同様である。
【0044】
次に、第1の非素子構成部分NEMT1について説明する。
【0045】
本構成例でも、第1の具体的構成例と同様に、第1の非素子構成部分NEMT1の第1の記憶層部分SL1に隣接する部分(第1の記憶層部分SL1の膜面に水平な方向で隣接する部分)は、非磁性化部分NMG1である。また、第1の具体的構成例と同様に、第1の非素子構成部分NEMT1の少なくとも第1の絶縁層ISL1に接する部分は、絶縁化部分INS1となっている。
【0046】
また、本構成例でも、第1の具体的構成例と同様に、第1の記憶層部分SL1形成用の層を絶縁化することで、非磁性化部分NMG1が形成される。そのため、本構成例でも、非磁性化部分NMG1は絶縁化されている。また、第1の非素子構成部分NEMT1の第1のセレクタ部分SEL1、第1のバッファ部分BUF及び第1の参照層部分RL1に隣接する部分も絶縁化されている。
【0047】
なお、第1の具体的構成例と同様に、非磁性化部分NMG1は絶縁化されていなくてもよい。同様に、第1の非素子構成部分NEMT1の第1の参照層部分RL1に隣接する部分も絶縁化されていなくてもよい。さらに、第1の非素子構成部分NEMT1の第1のバッファ部分BUFに隣接する部分も絶縁化されていなくてもよい。ただし、これらの部分を絶縁化することで、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1のMR比の低下を抑制することができる。
【0048】
第1の非素子構成部分NEMT1の第1の参照層部分RL1に隣接する部分は、非磁性化されていてもよいし、非磁性化されていなくてもよい。本構成例では、非磁性化部分NMG1が形成される際に、第1の非素子構成部分NEMT1の第1の参照層部分RL1に隣接する部分も非磁性化される。
【0049】
(第3の具体的構成例)
次に、本実施形態に係る磁気記憶装置の第3の具体的構成例について、
図4に示した断面図を参照して説明する。なお、基本的な事項は上述した第1の具体的構成例と同様である。したがって、第1の具体的構成例で説明した事項の説明は省略する。
【0050】
まず、第1の素子構成部分EMT1について説明する。
【0051】
本構成例では、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1が、第1のセレクタ部分SELと第1の電極層EL1との間に位置している。すなわち、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1が第1の電極層EL1側に位置し、第1のセレクタ部分SELが第1の共通電極部分CEL1側に位置している。また、本構成例では、第1の記憶層部分SL1が第1の電極層EL1側に位置し、第1の参照層部分RL1が第1のセレクタ部分SEL1側(第1の共通電極部分CEL1側)に位置している。
【0052】
次に、第1の非素子構成部分NEMT1について説明する。
【0053】
本構成例でも、第1の具体的構成例と同様に、第1の非素子構成部分NEMT1の第1の記憶層部分SL1に隣接する部分(第1の記憶層部分SL1の膜面に水平な方向で隣接する部分)は、非磁性化部分NMG1である。
【0054】
本構成例では、非磁性化部分NMG1は、絶縁化されている必要がある。また、第1の非素子構成部分NEMT1の第1の参照層部分RL1及び第1のバッファ部分BUFに隣接する部分も絶縁化されている必要がある。仮にこれらの部分が絶縁化されていないとすると、隣接する第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1間が電気的に導通状態となり、適正な動作が阻害されるからである。
【0055】
第1の非素子構成部分NEMT1の第1の参照層部分RL1に隣接する部分は、非磁性化されていてもよいし、非磁性化されていなくてもよい。
【0056】
(第4の具体的構成例)
次に、本実施形態に係る磁気記憶装置の第4の具体的構成例について、
図5に示した断面図を参照して説明する。なお、基本的な事項は、上述した第1及び第3の具体的構成例と同様である。したがって、第1及び第3の具体的構成例で説明した事項の説明は省略する。
【0057】
まず、第1の素子構成部分EMT1について説明する。
【0058】
本構成例でも、上述した第3の具体的構成例と同様に、第1の磁気抵抗効果素子部分MTJ1が、第1のセレクタ部分SELと第1の電極層EL1との間に位置している。ただし、本構成例では、第1の参照層部分RL1が第1の電極層EL1側に位置し、第1の記憶層部分SL1が第1のセレクタ部分SEL1側(第1の共通電極部分CEL1側)に位置している。その他の第1の素子構成部分EMT1の基本的な構成については、上述した第3の具体的構成例と同様である。
【0059】
次に、第1の非素子構成部分NEMT1について説明する。
【0060】
本構成例でも、第1、第2及び第3の具体的構成例と同様に、第1の非素子構成部分NEMT1の第1の記憶層部分SL1に隣接する部分(第1の記憶層部分SL1の膜面に水平な方向で隣接する部分)は、非磁性化部分NMG1である。
【0061】
また、本構成例でも、第3の具体的構成例と同様に、非磁性化部分NMG1は、絶縁化されている必要がある。また、第1の非素子構成部分NEMT1の第1の参照層部分RL1及び第1のバッファ部分BUFに隣接する部分も絶縁化されている必要がある。
【0062】
第1の非素子構成部分NEMT1の第1の参照層部分RL1に隣接する部分は、非磁性化されていてもよいし、非磁性化されていなくてもよい。本構成例では、非磁性化部分NMG1が形成される際に、第1の非素子構成部分NEMT1の第1の参照層部分RL1に隣接する部分も非磁性化される。
【0063】
以上のように、本実施形態では、第1のメモリ構造部分MEM1が、複数の第1の電極層EL1と複数の第1の絶縁層ISL1とが交互に積層された第1の積層構造部分STK1と、第1の共通電極部分CEL1と、第1の積層構造部分STK1の側面と第1の共通電極部分CEL1との間に設けられた第1の中間構造部分ITM1とを含み、第1の中間構造部分ITM1が、複数の第1の素子構成部分EMT1と複数の第1の非素子構成部分NEMT1とが交互に設けられた構成を有している。第2のメモリ構造部分MEM2も、第1のメモリ構造部分MEM1と同様の構成を有している。
【0064】
このような構成により、本実施形態では、磁気抵抗効果素子を含む複数のメモリセルを3次元的に配置することができ、高い集積度を有する磁気記憶装置を得ることが可能となる。
【0065】
(第1のメモリアレイ構成例)
次に、本実施形態に係る磁気記憶装置の第1のメモリアレイ構成例について説明する。すなわち、上述した実施形態で述べたようなメモリ構造ユニットMEMUがアレイ状に配置された第1のメモリアレイ構成例について説明する。
【0066】
図6は、本メモリアレイ構成例の構成を模式的に示した斜視図である。
【0067】
図6に示すように、複数のメモリ構造ユニットMEMUが、X方向(2の方向)及びY方向(第3の方向)にアレイ状に配列されている。
【0068】
説明の便宜上、X方向(第2の方向)で互いに隣り合ったメモリ構造ユニットMEMUをそれぞれ第1のメモリ構造ユニット及び第2のメモリ構造ユニットと規定する。この場合、第1のメモリ構造ユニットに含まれる第1の積層構造部分STK1と第2のメモリ構造ユニットに含まれる第2の積層構造部分STK2との間には、第1の絶縁層ISL1及び第2の絶縁層ISL2の絶縁材料と同じ絶縁材料を用いて共通の工程で形成された中間絶縁部分ISL3が介在している。すなわち、第1の絶縁層ISL1と第2の絶縁層ISL2とは、中間絶縁部分ISL3を介して連続的に形成されている。
【0069】
各メモリ構造ユニットMEMU上には、導電材料で形成された保護層30が設けられている。すなわち、導電性の保護層30が、第1の共通電極部分CEL1及び第2の共通電極部分CEL2に接続されている。
【0070】
第1の積層構造部分STK1はY方向(第3の方向)に延伸する第1の延伸部分を含んでおり、Y方向で互いに隣り合ったメモリ構造ユニットMEMUに含まれる第1の積層構造部分STK1どうしは、第1の延伸部分を介して連続的に設けられている。同様に、第2の積層構造部分STK2はY方向に延伸する第2の延伸部分を含んでおり、Y方向で互いに隣り合ったメモリ構造ユニットMEMUに含まれる第2の積層構造部分STK2どうしは、第2の延伸部分を介して連続的に設けられている。また、第1の積層構造部分STK1と第2の積層構造部分STK2との間に位置する中間絶縁部分ISL3も、Y方向に連続的に設けられている。
【0071】
第1の積層構造部分STK1及び第1の延伸部分、第2の積層構造部分STK2及び第2の延伸部分、中間絶縁部分ISL3及びその延伸部分、並びに保護層30は、上部絶縁部分ISL4によって覆われている。上部絶縁部分ISL4は、第1の絶縁層ISL1、第2の絶縁層ISL2及び中間絶縁部分ISL3の絶縁材料と同じ絶縁材料を用いて共通の工程で形成される。すなわち、第1の絶縁層ISL1、第2の絶縁層ISL2、中間絶縁部分ISL3及び上部絶縁部分ISL4は連続的に設けられている。
【0072】
X方向に配列されたメモリ構造ユニットMEMUの上方には、X方向に延伸する配線40が設けられている。また、配線40と上部絶縁部分ISL4との間には絶縁層50が設けられている。配線40は、絶縁層50及び上部絶縁部分ISL4内に設けられたコンタクト41を介して導電性の保護層30に接続されている。したがって、X方向に配列された複数のメモリ構造ユニットMEMUに含まれる共通電極層(第1の共通電極部分CEL1、第2の共通電極部分CEL2及び第3の共通電極部分CEL3)どうしは、電気的に共通に接続されている。
【0073】
配線40はワード線として機能する。また、第1の電極層EL1及び第2の電極層EL2がビット線として機能する。所望のワード線及び所望のビットを選択することで所望のメモリセルが選択され、所望のメモリセル含まれるセレクタ部分がオン状態となり、所望のメモリセル含まれる磁気抵抗効果素子部分に対して書き込み或いは読み出しを行うことが可能となる。
【0074】
次に、本メモリアレイ構成例の製造方法について、
図7A~
図7Mに模式的に示した断面図及び
図8に模式的に示した斜視図を参照して説明する。
【0075】
まず、
図7Aに示すように、半導体基板(図示せず)を含む下部構造10上に、複数の犠牲絶縁層SCR0と複数の電極層EL0とが交互に積層された積層膜STK0を形成する。犠牲絶縁層SCR0にはシリコン窒化物が用いられ、電極層EL0には金属材料が用いられる。
【0076】
次に、
図7Bに示すように、積層膜STK0及び下部構造10をパターニングして溝60を形成する。
【0077】
次に、
図7Cに示すように、パターニングされた積層膜STK0及び下部構造10の表面に、セレクタ用の層SEL0、バッファ用の層BUF0、磁気抵抗効果素子用の層MTJ0及び共通電極用の層CEL0を形成する。
【0078】
さらに、これらの層SEL0、層BUF0、層MTJ0及び層CEL0をパターニングする。その結果、
図8に示すような構造が得られる。すなわち、X方向に延伸した層SEL0、層BUF0、層MTJ0及び層CEL0のパターンが得られる。
【0079】
次に、
図7Dに示すように、全面に絶縁層20を形成する。
【0080】
次に、
図7Eに示すように、絶縁層20、層SEL0、層BUF0、MTJ0及び層CEL0をエッチングして、これらの層を平坦化する。
【0081】
次に、
図7Fに示すように、平坦化された絶縁層20、層SEL0、層BUF0、層MTJ0及び層CEL0上に、導電性の保護層30を形成する。
【0082】
次に、
図7Gに示すように、保護層30及び積層膜STK0に、犠牲絶縁層SCR0を除去するための溝70を形成する。
【0083】
次に、
図7Hに示すように、溝70を通してエッチング液を導入してウェットエッチングを行う。これにより、犠牲絶縁層SCR0が選択的に除去され、電極層EL0間に空隙80が形成される。
【0084】
次に、
図7Iに示すように、溝70及び空隙80を通して酸素を導入することにより酸化処理を行う。この酸化処理により、層SEL0、層BUF0及び層MTJ0が部分的に酸化される。
【0085】
その結果、
図7Jに示すように、空隙80に隣接した部分に絶縁化部分INS1が形成される。続いて、全面に絶縁層ISL0を形成し、溝70及び空隙80を絶縁層ISL0で埋める。さらに、絶縁層ISL0の平坦化を行う。
【0086】
次に、
図7Kに示すように、平坦化された絶縁層ISL0上に絶縁層50を形成する。
【0087】
次に、
図7Lに示すように、絶縁層50及び絶縁層ISL0にコンタクトホールを形成し、コンタクトホール内にコンタクト41を形成する。
【0088】
次に、
図7Mに示すように、絶縁層50上にコンタクト41に接続された配線40を形成する。
【0089】
上述したような製造方法により、
図6に示したようなメモリアレイ構造が得られる。
【0090】
上述した製造方法によれば、犠牲絶縁層SCR0を除去することで得られた空隙80から酸素を導入することにより、絶縁化部分INS1が形成される。また、この酸化処理により、層MTJ0の少なくとも一部分は非磁性化される。このような非磁性化及び絶縁化により、隣接するメモリセル間を磁気的及び電気的に分離させることができ、高い集積度を有する磁気記憶装置を効率的に形成することができる。
【0091】
(第2のメモリアレイ構成例)
次に、本実施形態に係る磁気記憶装置の第2のメモリアレイ構成例について説明する。すなわち、上述した実施形態で述べたようなメモリ構造ユニットMEMUがアレイ状に配置された第2のメモリアレイ構成例について説明する。なお、基本的な事項は上述した第1のメモリアレイ構成例と同様である。したがって、第1のメモリアレイ構成例で説明した事項の説明は省略する。
【0092】
図9は、本メモリアレイ構成例の構成を模式的に示した斜視図である。
【0093】
上述した第1のメモリアレイ構成例では、保護層30が導電材料で形成されていたが、本構成例では、保護層31が絶縁材料で形成されている。そのため、コンタクト41が絶縁性の保護層31及び絶縁層20を貫通して、第3の共通電極部分CEL3に接続されている。したがって、本構成例でも、X方向に配列された複数のメモリ構造ユニットMEMUに含まれる共通電極層(第1の共通電極部分CEL1、第2の共通電極部分CEL2及び第3の共通電極部分CEL3)は、配線40及びコンタクト41によって電気的に共通に接続されている。その他の基本的な構成は、上述した第1のメモリアレイ構成例の構成と同様である。
【0094】
次に、本メモリアレイ構成例の製造方法について、
図10A~
図10Gに模式的に示した断面図を参照して説明する。
【0095】
まず、第1のメモリアレイ構成例の製造方法と同様に、第1のメモリアレイ構成例の
図7Eの工程の工程までを行う。
【0096】
次に、
図10Aに示すように、絶縁層20、層SEL0、層BUF0、層MTJ0及び層CEL0上に、絶縁性の保護層31を形成する。
【0097】
次に、
図10Bに示すように、保護層31及び積層膜STK0に、犠牲絶縁層SCR0を除去するための溝70を形成する。
【0098】
次に、
図10Cに示すように、溝70を通してエッチング液を導入してウェットエッチングを行う。これにより、犠牲絶縁層SCR0が選択的に除去され、電極層EL0間に空隙80が形成される。
【0099】
次に、
図10Dに示すように、溝70及び空隙80を通して酸素を導入することにより酸化処理を行う。この酸化処理により、層SEL0、層BUF0及び層MTJ0が部分的に酸化される。
【0100】
その結果、
図10Eに示すように、空隙80に隣接した部分に絶縁化部分INS1が形成される。続いて、全面に絶縁層ISL0を形成し、溝70及び空隙80を絶縁層ISL0で埋める。さらに、絶縁層ISL0の平坦化を行う。
【0101】
次に、
図10Fに示すように、絶縁層ISL0、保護層31及び絶縁層20にコンタクトホールを形成し、コンタクトホール内にコンタクト41を形成する。
【0102】
次に、
図10Gに示すように、絶縁層ISL0上にコンタクト41に接続された配線40を形成する。
【0103】
上述したような製造方法により、
図9に示したようなメモリアレイ構造が得られる。
【0104】
以上のように、本製造方法でも、第1のメモリアレイ構成例の製造方法と同様に、隣接するメモリセル間を磁気的及び電気的に分離させることができ、高い集積度を有する磁気記憶装置を効率的に形成することができる。
【0105】
(第3のメモリアレイ構成例)
次に、本実施形態に係る磁気記憶装置の第3のメモリアレイ構成例について説明する。すなわち、上述した実施形態で述べたようなメモリ構造ユニットMEMUがアレイ状に配置された第3のメモリアレイ構成例について説明する。なお、基本的な事項は上述した第1のメモリアレイ構成例と同様である。したがって、第1のメモリアレイ構成例で説明した事項の説明は省略する。
【0106】
図11は、本メモリアレイ構成例の構成を模式的に示した斜視図である。
【0107】
本構成例では、コンタクトを設けずに、配線40が第1の共通電極部分CEL1及び第2の共通電極部分CEL2に直接的に接続されている。したがって、本構成例でも、X方向に配列された複数のメモリ構造ユニットMEMUに含まれる共通電極層(第1の共通電極部分CEL1、第2の共通電極部分CEL2及び第3の共通電極部分CEL3)は、配線40によって電気的に共通に接続されている。その他の基本的な構成は、上述した第1のメモリアレイ構成例の構成と同様である。
【0108】
次に、本メモリアレイ構成例の製造方法について、
図12A~
図12Eに模式的に示した断面図を参照して説明する。
【0109】
まず、第1のメモリアレイ構成例の製造方法と同様に、第1のメモリアレイ構成例の
図7Cの工程及び
図8の工程までを行う。
【0110】
次に、
図12Aに示すように、共通電極用の層CEL0、磁気抵抗効果素子用の層MTJ0、バッファ用の層BUF0、セレクタ用の層SEL0及び積層膜STK0に、犠牲絶縁層SCR0を除去するための溝70を形成する。
【0111】
次に、
図12Bに示すように、溝70を通してエッチング液を導入してウェットエッチングを行う。これにより、犠牲絶縁層SCR0が選択的に除去され、電極層EL0間に空隙80が形成される。
【0112】
次に、
図12Cに示すように、溝70及び空隙80を通して酸素を導入することにより酸化処理を行う。この酸化処理により、層SEL0、層BUF0及び層MTJ0が部分的に酸化される。その結果、空隙80に隣接した部分に絶縁化部分INS1が形成される。
【0113】
次に、
図12Dに示すように、全面に絶縁層ISL0を形成し、溝70及び空隙80を絶縁層ISL0で埋める。さらに、絶縁層ISL0の平坦化を行い、電極層CEL0の上面を露出させる。
【0114】
次に、
図12Eに示すように、露出した電極層EL0に直接的に接続された配線40を形成する。
【0115】
上述したような製造方法により、
図11に示したようなメモリアレイ構造が得られる。
【0116】
以上のように、本製造方法でも、第1のメモリアレイ構成例の製造方法と同様に、隣接するメモリセル間を磁気的及び電気的に分離させることができ、高い集積度を有する磁気記憶装置を効率的に形成することができる。
【0117】
なお、上述した第1、第2及び第3のメモリアレイ構成例では、セレクタ用の層SEL0上にバッファ用の層BUF0が設けられ、バッファ用の層BUF0上に磁気抵抗効果素子用の層MTJ0が設けられていたが、磁気抵抗効果素子用の層MTJ0上にバッファ用の層BUF0が設けられ、バッファ用の層BUF0上にセレクタ用の層SEL0が設けられていてもよい。
【0118】
また、本実施形態では、バッファ用の層BUF0、BUF1及びBUF2を用いたが、これらの層を設けなくてもよい。
【0119】
また、本実施形態では、絶縁化部分INS1、絶縁化部分INS2及び非磁性化部分NMG1を酸化によって形成したが、窒化によって形成してもよい。
【0120】
また、本実施形態では、絶縁化部分INS1、絶縁化部分INS2及び非磁性化部分NMG1を酸化によって形成したが、酸素以外の元素との化合物或いは合金化によって形成してもよい。
【0121】
また、本実施形態では、絶縁化部分INS1、絶縁化部分INS2及び非磁性化部分NMG1を酸化によって形成したが、空隙化によるエアギャップを含む構造でもよい。
【0122】
また、本実施形態では、第1の記憶層部分(第1の可変磁化部分)SL1をCoFeB層で形成したが、磁気抵抗効果を示す強磁性体材料であればよい。
【0123】
また、本実施形態では、第1の参照層部分(第1の固定磁化部分)RL1をCoFeB層及びCo/Pt超格子層等で形成したが、磁気抵抗効果を示す強磁性体材料或いは強磁性体材料を含む材料の組み合わせでもよい。
【0124】
また、本実施形態では、第1のトンネルバリア層部分BL1をMgO層で形成したが、磁気抵抗効果を示すトンネルバリア材料であればよい。
【0125】
また、メモリセル部分等の具体的な構成も、
図2、
図3、
図4及び
図5にそれぞれ示した第1、第2、第3及び第4の具体的構成例のいずれも用いることが可能である。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
10…下部構造 20…絶縁層 30、31…保護層
40…配線 41…コンタクト 50…絶縁層
60、70…溝 80…空隙
MEMU…メモリ構造ユニット
MEM1…第1のメモリ構造部分 MEM2…第2のメモリ構造部分
STK0…積層膜
STK1…第1の積層構造部分 STK2…第2の積層構造部分
CEL0…共通電極用の層 CEL1…第1の共通電極部分
CEL2…第2の共通電極部分 CEL3…第3の共通電極部分
ITM1…第1の中間構造部分 ITM2…第2の中間構造部分
ITM3…第3の中間構造部分
EMT1…第1の素子構成部分 EMT2…第2の素子構成部分
NEMT1…第1の非素子構成部分 NEMT2…第2の非素子構成部分
EL0…電極層 EL1…第1の電極層 EL2…第2の電極層
MTJ0…磁気抵抗効果素子用の層
MTJ1…第1の磁気抵抗効果素子部分 MTJ2…第2の磁気抵抗効果素子部分
SL1…第1の記憶層部分(第1の可変磁化部分)
RL1…第1の参照層部分(第1の固定磁化部分)
BL1…第1のトンネルバリア層部分
SEL0…セレクタ用の層
SEL1…第1のセレクタ部分(第1のスイッチング素子部分)
SEL2…第2のセレクタ部分(第2のスイッチング素子部分)
BUF0…バッファ用の層
BUF1…第1のバッファ部分 BUF2…第2のバッファ部分
ISL0…絶縁層 ISL1…第1の絶縁層 ISL2…第2の絶縁層
ISL3…中間絶縁部分 ISL4…上部絶縁部分
INS1…絶縁化部分 INS2…絶縁化部分 NMG1…非磁性化部分
SCR0…犠牲絶縁層