(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051465
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/11597 20170101AFI20220324BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20220324BHJP
H01L 27/1159 20170101ALI20220324BHJP
【FI】
H01L27/11597
H01L21/316 X
H01L27/1159
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157961
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】関 春海
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 真澄
【テーマコード(参考)】
5F058
5F083
【Fターム(参考)】
5F058BB04
5F058BC02
5F058BC03
5F058BC08
5F058BD04
5F058BD05
5F058BD10
5F058BF02
5F058BH04
5F083FR06
5F083GA09
5F083GA10
5F083GA11
5F083JA02
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA56
5F083JA60
5F083KA01
5F083LA21
5F083PR05
5F083PR07
5F083PR21
5F083PR33
(57)【要約】
【課題】安定動作する半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、第1の方向に延び、第1の方向に交差する第2の方向に第1のゲート電極層と隣り合う第2のゲート電極層と、第1のゲート電極層と第2のゲート電極層との間に設けられ、第1の方向及び第2の方向に交差する第3の方向に延びる半導体層と、半導体層を囲み、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含み、第1のゲート電極層と半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第1の領域と、第2のゲート電極層と半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間の直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする第3の領域とを含む、誘電体層と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、
前記第1の方向に延び、前記第1の方向に交差する第2の方向に前記第1のゲート電極層と隣り合う第2のゲート電極層と、
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第1の方向及び前記第2の方向に交差する第3の方向に延びる半導体層と、
前記半導体層を囲み、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含み、前記第1のゲート電極層と前記半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第1の領域と、前記第2のゲート電極層と前記半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間の直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする第3の領域とを含む、誘電体層と、
を備える半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第3の領域と接する第1の絶縁層を、
更に備える請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1の絶縁層は、酸化アルミニウムを含む請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1のゲート電極層と前記誘電体層との間、及び、前記第1のゲート電極層と前記第1の絶縁層との間に設けられ、ハフニウム(Hf)及びジルコニウム(Zr)と異なる金属元素を含む金属酸化物を含む第2の絶縁層を、更に備える請求項2又は請求項3記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1のゲート電極層は、前記金属元素を含む請求項4記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2の絶縁層は、酸化チタンを含む請求項4又は請求項5記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1のゲート電極層は、窒化チタンを含む請求項1ないし請求項6いずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1の領域の前記第2の方向の第1の厚さは、前記第3の領域の前記第1の方向の第2の厚さよりも厚い請求項1ないし請求項7いずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第1の領域及び前記第2の領域は強誘電体であり、前記第3の領域は常誘電体である請求項1ないし請求項8いずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第1の方向に延び、前記第3の方向に前記第1のゲート電極層と隣り合う第3のゲート電極層と、
前記第1の方向に延び、前記第2の方向に前記第3のゲート電極層と隣り合い、前記第3のゲート電極層との間に前記半導体層が設けられた第4のゲート電極層と、
前記第1のゲート電極層と前記第3のゲート電極層との間に設けられた第3の絶縁層と、
を更に備え、
前記誘電体層は、前記第3のゲート電極層と前記半導体層との間、及び、前記第4のゲート電極層と前記半導体層との間に設けられる請求項1ないし請求項9いずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記第3の絶縁層は、酸化アルミニウムを含む請求項10記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記誘電体層は、前記第3の絶縁層と前記半導体層との間の直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする第4の領域を、更に備える請求項10又は請求項11記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記誘電体層は、シリコン(Si)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、ストロンチウム(Sr)、ランタン(La)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、及びバリウム(Ba)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む請求項1ないし請求項12いずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に前記半導体層が挟まれる領域での前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間の第1の距離は、前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に前記第1の絶縁層が挟まれる領域での前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間の第2の距離よりも大きい請求項2ないし請求項6いずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
前記第3の方向に延び、前記半導体層に囲まれる第4の絶縁層を、更に備える請求項1ないし請求項14いずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項16】
第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、
前記第1の方向に延び、前記第1の方向に交差する第2の方向に前記第1のゲート電極層と隣り合う第2のゲート電極層と、
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第1の方向及び前記第2の方向に交差する第3の方向に延びる半導体層と、
前記第1のゲート電極層と前記半導体層との間に設けられ、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含む第1の誘電体層と、
前記第2のゲート電極層と前記半導体層との間に設けられ、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含む第2の誘電体層と、
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第1の方向に前記半導体層と隣り合う第1の絶縁層と、を備え、
前記第1の誘電体層は、前記第1のゲート電極層と前記半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第1の領域と、前記第1の領域と前記第1の絶縁層との間の直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする第2の領域とを含み、
前記第2の誘電体層は、前記第2のゲート電極層と前記半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第3の領域と、前記第3の領域と前記第1の絶縁層との間の直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする第4の領域とを含む、半導体記憶装置。
【請求項17】
前記第1の方向に延び、前記第3の方向に前記第1のゲート電極層と隣り合う第3のゲート電極層と、
前記第1の方向に延び、前記第2の方向に前記第3のゲート電極層と隣り合い、前記第3のゲート電極層との間に前記半導体層が設けられた第4のゲート電極層と、
前記第1のゲート電極層と前記第3のゲート電極層との間に設けられた第2の絶縁層と、
前記第3のゲート電極層と前記半導体層との間に設けられ、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含み、前記第1の誘電体層と離間した第3の誘電体層と、
を更に備える請求項16記載の半導体記憶装置。
【請求項18】
前記第2の領域は前記第1の絶縁層と接し、前記第4の領域は前記第1の絶縁層と接する請求項16又は請求項17記載の半導体記憶装置。
【請求項19】
第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、
前記第1の方向に延び、前記第1の方向に交差する第2の方向に前記第1のゲート電極層と隣り合う第2のゲート電極層と、
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第1の方向及び前記第2の方向に交差する第3の方向に延びる第1の半導体層と、
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第3の方向に延び、前記第1の方向に前記第1の半導体層と隣り合う第2の半導体層と、
前記第1の半導体層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第3の方向に延びる第3の半導体層と、
前記第1のゲート電極層と前記第1の半導体層との間及び前記第1のゲート電極層と前記第2の半導体層との間に設けられ、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含み、前記第1のゲート電極層と前記第1の半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第1の領域と、前記第1のゲート電極層と前記第2の半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間の直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする第3の領域とを含む、第1の誘電体層と、
前記第2のゲート電極層と前記第3の半導体層との間に設けられ、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含む、第2の誘電体層と、
前記第3の領域と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第3の領域と接する第1の絶縁層と、
を備える半導体記憶装置。
【請求項20】
前記第1の方向に延び、前記第3の方向に前記第1のゲート電極層と隣り合う第3のゲート電極層と、
前記第1の方向に延び、前記第2の方向に前記第3のゲート電極層と隣り合い、前記第3のゲート電極層との間に前記第1の半導体層、前記第2の半導体層、及び前記第3の半導体層を挟む第4のゲート電極層と、
前記第1のゲート電極層と前記第3のゲート電極層との間に設けられた第2の絶縁層と、を更に備え、
前記第1の誘電体層は、前記第3のゲート電極層と前記第1の半導体層との間に設けられた請求項19記載の半導体記憶装置。
【請求項21】
第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、
前記第1の方向に延び、前記第1の方向に交差する第2の方向に前記第1のゲート電極層と隣り合う第2のゲート電極層と、
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第1の方向及び前記第2の方向に交差する第3の方向に延びる第1の半導体層と、
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第3の方向に延び、前記第1の方向に前記第1の半導体層と隣り合う第2の半導体層と、
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間でかつ前記第1のゲート電極層よりも前記第2のゲート電極層に近い位置に設けられ、前記第3の方向に延びる第3の半導体層と、
前記第1のゲート電極層と前記第1の半導体層との間及び前記第1のゲート電極層と前記第2の半導体層との間に設けられ、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含み、前記第1のゲート電極層と前記第1の半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第1の領域と、前記第1のゲート電極層と前記第2の半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間の直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする第3の領域とを含む、第1の誘電体層と、
前記第2のゲート電極層と前記第3の半導体層との間に設けられ、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含む、第2の誘電体層と、
前記第3の領域と前記第2のゲート電極層との間に設けられた第1の絶縁層と、
を備える半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
強誘電体メモリが不揮発性メモリとして注目されている。例えば、Field Effect Transistor(FET)型のトランジスタのゲート絶縁層に強誘電体層を適用し、トランジスタの閾値電圧を変調するFerroelectric FET(FeFET)型の3端子型メモリがある。トランジスタの閾値電圧は、強誘電体層の分極状態を変化させることにより変調される。
【0003】
メモリセルを3次元的に配置した3次元NANDフラッシュメモリは、高い集積度と低いコストを実現する。3次元NANDフラッシュメモリでは、例えば、複数の絶縁層と複数のゲート電極層とが交互に積層された積層体に、積層体を貫通するメモリホールが形成されている。3次元NANDフラッシュメモリのメモリセルとして、FeFET型の3端子型メモリを適用することで、ゲート絶縁層の薄膜化が可能となる。したがって、メモリホールの穴径を縮小することでき、メモリセルの微細化が可能となる。よって、FeFET型の3端子型メモリを適用することで、メモリの集積度を更に高くすることが可能となる。
【0004】
メモリセルを微細化していくと、例えば、強誘電体層の分極状態の制御が困難になり、メモリセルの動作が不安定になるおそれがある。したがって、メモリセルを微細化した場合でも、安定動作する3次元NANDフラッシュメモリの実現が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、安定動作する半導体記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の半導体記憶装置は、第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、前記第1の方向に延び、前記第1の方向に交差する第2の方向に前記第1のゲート電極層と隣り合う第2のゲート電極層と、前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第1の方向及び前記第2の方向に交差する第3の方向に延びる半導体層と、前記半導体層を囲み、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含み、前記第1のゲート電極層と前記半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第1の領域と、前記第2のゲート電極層と前記半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間の直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする第3の領域とを含む、誘電体層と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態の半導体記憶装置のブロック図。
【
図2】第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの等価回路図。
【
図3】第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図。
【
図4】第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図。
【
図5】第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の拡大模式断面図。
【
図6】第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図7】第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図8】第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図9】第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図10】第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図11】第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図12】第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図13】第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図14】第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図15】第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図16】比較例の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の拡大模式断面図。
【
図17】第1の実施形態の半導体記憶装置の作用及び効果の説明図。
【
図18】第1の実施形態の半導体記憶装置の変形例のメモリセルアレイの一部の拡大模式断面図。
【
図19】第2の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図。
【
図20】第2の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図。
【
図21】第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図22】第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図23】第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図24】第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図25】第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図26】第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図27】第3の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図。
【
図28】第4の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図。
【
図29】第4の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図。
【
図30】第4の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の拡大模式断面図。
【
図31】第4の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図32】第4の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図33】第4の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図34】第4の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図35】第4の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図36】第4の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図37】第4の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図38】第4の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図39】第4の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図40】第4の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図41】第4の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図42】第4の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図43】第4の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図44】第5の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図。
【
図45】第5の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図。
【
図46】第5の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図47】第5の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図48】第5の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図49】第5の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図50】第5の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図51】第5の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図52】第5の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図53】第5の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図54】第5の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図55】第6の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材などには同一の符号を付し、一度説明した部材などについては適宜その説明を省略する。
【0010】
また、本明細書中、便宜上「上」、又は、「下」という用語を用いる場合がある。「上」、又は、「下」とはあくまで図面内での相対的位置関係を示す用語であり、重力に対する位置関係を規定する用語ではない。
【0011】
本明細書中の半導体記憶装置を構成する部材の化学組成の定性分析及び定量分析は、例えば、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectroscopy:SIMS)、エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:EDX)や電子エネルギー損失分光法(Electron Energy Loss Spectroscopy:EELS)などにより行うことが可能である。また、半導体記憶装置を構成する部材の厚さ、部材間の距離等の測定には、例えば、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いることが可能である。また、半導体記憶装置を構成する部材の構成物質の結晶系の同定、結晶系の存在割合の大小比較には、例えば、透過型電子顕微鏡やX線回折分析(X-ray Diffraction:XRD)や電子線回折分析(Electron Beam Diffraction:EBD)やX線光電分光分析(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)や放射光X線散乱解析(Synchrotron Radiation X-ray Absorption Fine Structure:XAFS)を用いることが可能である。
【0012】
本明細書中「強誘電体」とは、外部から電場を印加せずとも自発的な分極(自発分極)があり、外部から電場を印加すると分極が反転する物質を意味する。また、本明細書中「常誘電体」とは電場を印加すると分極が生じ、電場を除去すると分極が消滅する物質を意味する。
【0013】
本明細書中「金属」とは、金属的性質を示す物質の総称であり、例えば、金属的性質を示す金属窒化物や金属炭化物も「金属」の範囲に含めるものとする。
【0014】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体記憶装置は、第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、第1の方向に延び、第1の方向に交差する第2の方向に第1のゲート電極層と隣り合う第2のゲート電極層と、第1のゲート電極層と第2のゲート電極層との間に設けられ、第1の方向及び第2の方向に交差する第3の方向に延びる半導体層と、半導体層を囲み、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含み、第1のゲート電極層と半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第1の領域と、第2のゲート電極層と半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間の直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする第3の領域とを含む、誘電体層と、を備える。
【0015】
第1の実施形態の半導体記憶装置は、3次元強誘電体メモリ100である。第1の実施形態の3次元強誘電体メモリ100は、メモリセルMCとして、FeFET型の3端子型メモリを適用する強誘電体メモリである。
【0016】
図1は、第1の実施形態の半導体記憶装置のブロック図である。
図1は、第1の実施形態の3次元強誘電体メモリ100の回路構成を示す。
図1に示すように、3次元強誘電体メモリ100は、メモリセルアレイ101、ワード線ドライバ回路102、ローデコーダ回路103、センスアンプ回路104、カラムデコーダ回路105、及び、制御回路106を備える。
【0017】
図2は、第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの等価回路図である。
図2は、メモリセルアレイ101内の配線構造を模式的に示す。第1の実施形態のメモリセルアレイ101は、複数のメモリセルMCが立体的に配置された三次元構造を備える。
【0018】
以下、
図2に示すx方向が第1の方向の一例である。y方向が第2の方向の一例である。z方向が第3の方向の一例である。y方向はx方向と交差する。z方向は、x方向及びy方向と交差する。例えば、x方向とy方向は直交する。例えば、z方向とx方向及びy方向は直交する。
【0019】
メモリセルアレイ101は、
図2に示すように複数のメモリセルMC、ソース選択トランジスタSST、ドレイン選択トランジスタSDT、複数のワード線WLa、WLb、複数のビット線BL1~BL4、共通ソース線CSL、ソース選択ゲート線SGS、複数のドレイン選択ゲート線SGDを備える。
【0020】
複数のメモリセルMCが、z方向に直列に接続される。複数のメモリセルMCは、ソース選択トランジスタSSTとドレイン選択トランジスタSDTの間に接続される。
【0021】
メモリセルMCは、ゲート絶縁層が強誘電体であるFeFETである。ゲート絶縁層の分極状態により、メモリセルMCのトランジスタの閾値電圧が変化する。トランジスタの閾値電圧が変化することで、トランジスタのオン電流が変化する。例えば、閾値電圧が高くオン電流が低い状態をデータ“0”、閾値電圧が低くオン電流が高い状態をデータ“1”と定義すると、メモリセルMCは“0”と“1”の1ビットデータを記憶することが可能となる。
【0022】
ワード線WLa、WLbはx方向に延びる。ワード線WLa、WLbはメモリセルMCのゲート電極に接続される。ワード線WLa、WLbは、メモリセルMCのゲート電圧を制御する。
【0023】
ワード線WLaとワード線WLbは、電気的に分離される。ワード線WLaとワード線WLaは電気的に接続される。ワード線WLbとワード線WLbは電気的に接続される。
【0024】
ソース選択トランジスタSSTは、共通ソース線CSLに電気的に接続される。ソース選択トランジスタSSTは、ソース選択ゲート線SGSに印加される電圧により制御される。
【0025】
ドレイン選択トランジスタSDTは、BL1~BL4に接続される。ドレイン選択トランジスタSDTは、ドレイン選択ゲート線SGDに印加される電圧により制御される。
【0026】
複数のワード線WLa、WLbは、ワード線ドライバ回路102に電気的に接続される。複数のビット線BL1~4は、センスアンプ回路104に接続される。
【0027】
ローデコーダ回路103は、入力されたローアドレス信号に従ってワード線WLa、WLbを選択する機能を備える。ワード線ドライバ回路102は、ローデコーダ回路103によって選択されたワード線WLa、Wlbに所定の電圧を印加する機能を備える。
【0028】
カラムデコーダ回路105は、入力されたカラムアドレス信号に従ってビット線BLを選択する機能を備える。センスアンプ回路104は、カラムデコーダ回路105によって選択されたビット線BLに所定の電圧を印加する機能を備える。また、選択されたビット線BLに流れる電流又は電圧を検知して増幅する機能を備える。
【0029】
制御回路106は、ワード線ドライバ回路102、ローデコーダ回路103、センスアンプ回路104、カラムデコーダ回路105、及び、図示しないその他の回路を制御する機能を備える。
【0030】
ワード線ドライバ回路102、ローデコーダ回路103、センスアンプ回路104、カラムデコーダ回路105、などの回路は、例えば、図示しない半導体層を用いたトランジスタや配線層によって構成される。
【0031】
例えば、
図2において、破線で囲まれたメモリセルMCに記憶されたデータを読み出す場合、メモリセルMCのゲート電極に接続されるワード線WLaに読出し電圧を印加する。メモリセルMCのトランジスタがオン状態になることにより、共通ソース線CSLとビット線BL1との間に電流が流れる。共通ソース線CSLからビット線BL1との間に流れる電流に基づき、メモリセルMCに記憶されたデータを判定する。
【0032】
例えば、ビット線BL1に流れる電流をセンスアンプ回路104で増幅して、制御回路106でメモリセルMCに記憶されたデータを判定する。あるいは、ビット線BL1の電圧変化をセンスアンプ回路104で増幅して、制御回路106でメモリセルMCに記憶されたデータを判定する。
【0033】
図2では、直列に接続されるメモリセルMCが4個の場合、ビット線が4本の場合を例示しているが、直列に接続されるメモリセルMCの数やビット線の数は、4個あるいは4本に限定されない。
【0034】
図3、
図4は、第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図である。
図3は、メモリセルアレイ101のxy断面である。
図3は、
図4のBB’面を含む断面である。
図4は、メモリセルアレイ101のyz断面である。
図4は、
図3のAA’断面である。
【0035】
図3及び
図4において、破線で囲まれた領域が一つのメモリセルMCである。
図3及び
図4には、y方向に隣り合うメモリセルMC1とメモリセルMC2を例示している。
【0036】
メモリセルアレイ101は、第1のゲート電極層10a、第2のゲート電極層10b、第3のゲート電極層10c、第4のゲート電極層10d、半導体層12、誘電体層14、トレンチ絶縁層16、層間絶縁層18、コア絶縁層20を有する。
【0037】
トレンチ絶縁層16は、第1の絶縁層の一例である。層間絶縁層18は、第3の絶縁層の一例である。コア絶縁層20は、第4の絶縁層の一例である。
【0038】
第1のゲート電極層10aは、x方向に延びる。第1のゲート電極層10aは、例えば、
図2に示すワード線WLaに対応する。第1のゲート電極層10aは、メモリセルMC1のトランジスタのゲート電極として機能する。
【0039】
第1のゲート電極層10aは、バリアメタル層10axと金属層10ayを含む。
【0040】
バリアメタル層10axは、例えば、金属窒化物又は金属炭化物である。バリアメタル層10axは、例えば、窒化チタンを含む。バリアメタル層10axは、例えば、窒化チタン層である。
【0041】
金属層10ayは、例えば、金属である。金属層10ayは、例えば、タングステン(W)を含む。金属層10ayは、例えば、タングステン層である。
【0042】
第2のゲート電極層10bは、x方向に延びる。第2のゲート電極層10bは、y方向に第1のゲート電極層10aと隣り合う。第2のゲート電極層10bは、例えば、
図2に示すワード線WLbに対応する。第2のゲート電極層10bは、メモリセルMC2のトランジスタのゲート電極として機能する。
【0043】
第2のゲート電極層10bは、バリアメタル層10bxと金属層10byを含む。
【0044】
バリアメタル層10bxは、例えば、金属窒化物又は金属炭化物である。バリアメタル層10bxは、例えば、窒化チタンを含む。バリアメタル層10bxは、例えば、窒化チタン層である。
【0045】
金属層10byは、例えば、金属である。金属層10byは、例えば、タングステン(W)を含む。金属層10byは、例えば、タングステン層である。
【0046】
第3のゲート電極層10cは、x方向に延びる。第3のゲート電極層10cは、z方向に第1のゲート電極層10aと隣り合う。第3のゲート電極層10cは、例えば、
図2に示すワード線WLaに対応する。第3のゲート電極層10cは、メモリセルMCのトランジスタのゲート電極として機能する。
【0047】
第3のゲート電極層10cは、バリアメタル層10cxと金属層10cyを含む。
【0048】
バリアメタル層10cxは、例えば、金属窒化物又は金属炭化物である。バリアメタル層10cxは、例えば、窒化チタンを含む。バリアメタル層10cxは、例えば、窒化チタン層である。
【0049】
金属層10cyは、例えば、金属である。金属層10cyは、例えば、タングステン(W)を含む。金属層10cyは、例えば、タングステン層である。
【0050】
第4のゲート電極層10dは、x方向に延びる。第4のゲート電極層10dは、y方向に第3のゲート電極層10cと隣り合う。また、第4のゲート電極層10dは、z方向に第2のゲート電極層10bと隣り合う。第4のゲート電極層10dは、例えば、
図2に示すワード線WLbに対応する。第4のゲート電極層10dは、メモリセルMCのトランジスタのゲート電極として機能する。
【0051】
第4のゲート電極層10dは、バリアメタル層10dxと金属層10dyを含む。
【0052】
バリアメタル層10dxは、例えば、金属窒化物又は金属炭化物である。バリアメタル層10dxは、例えば、窒化チタンを含む。バリアメタル層10dxは、例えば、窒化チタン層である。
【0053】
金属層10dyは、例えば、金属である。金属層10dyは、例えば、タングステン(W)を含む。金属層10dyは、例えば、タングステン層である。
【0054】
半導体層12は、第1のゲート電極層10aと第2のゲート電極層10bとの間に設けられる。半導体層12は、第3のゲート電極層10cと第4のゲート電極層10dとの間に設けられる。半導体層12は、z方向に延びる。半導体層12は、例えば、円筒形状である。
【0055】
半導体層12は、メモリセルMCのトランジスタのチャネルとして機能する。
【0056】
半導体層12は、例えば、多結晶の半導体である。半導体層12は、例えば、多結晶シリコンを含む。半導体層12は、例えば、多結晶シリコン層である。半導体層12のxy平面における厚さは、例えば、5nm以上30nm以下である。
【0057】
誘電体層14は、半導体層12を囲む。誘電体層14は、第1のゲート電極層10aと半導体層12との間、第2のゲート電極層10bと半導体層12との間、第3のゲート電極層10cと半導体層12との間、及び、第4のゲート電極層10dと半導体層12との間に設けられる。
【0058】
誘電体層14は、トレンチ絶縁層16と半導体層12との間、及び、層間絶縁層18と半導体層12との間に設けられる。誘電体層14は、z方向に延びる。誘電体層14は、例えば、円筒形状である。
【0059】
誘電体層14の一部が強誘電体である。誘電体層14の一部が、メモリセルMCのトランジスタのゲート絶縁層として機能する。
【0060】
誘電体層14は、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含む。誘電体層14は、例えば、酸化ハフニウム層である。誘電体層14は、例えば、酸化ジルコニウム層である。誘電体層14のxy平面における厚さは、例えば、5nm以上40nm以下である。
【0061】
なお、誘電体層14と半導体層12との間に、例えば、誘電体層14と異なる化学組成を有する絶縁層が挟まれていても構わない。誘電体層14と異なる化学組成を有する絶縁層は、例えば、酸化シリコン層である。
【0062】
トレンチ絶縁層16は、第1のゲート電極層10aと第2のゲート電極層10bとの間に設けられる。トレンチ絶縁層16は、第3のゲート電極層10cと第4のゲート電極層10dとの間に設けられる。トレンチ絶縁層16は、x方向に半導体層12と隣り合う。トレンチ絶縁層16は、x方向に誘電体層14と隣り合う。
【0063】
トレンチ絶縁層16は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。トレンチ絶縁層16は、例えば、酸化シリコン又は酸化アルミニウムを含む。トレンチ絶縁層16は、例えば、酸化シリコン層又は酸化アルミニウム層である。
【0064】
層間絶縁層18は、第1のゲート電極層10aと第3のゲート電極層10cとの間、及び、第2のゲート電極層10bと第4のゲート電極層10dとの間に設けられる。
【0065】
層間絶縁層18は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。層間絶縁層18は、例えば、酸化シリコンを含む。層間絶縁層18は、例えば、酸化シリコン層である。層間絶縁層18のz方向の厚さは、例えば、5nm以上30nm以下である。
【0066】
コア絶縁層20は、半導体層12に囲まれる。コア絶縁層20は、z方向に延びる。コア絶縁層20は、例えば、円柱形状である。
【0067】
コア絶縁層20は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。コア絶縁層20は、例えば、酸化シリコンを含む。コア絶縁層20は、例えば、酸化シリコン又は酸化アルミニウムを含む。コア絶縁層20は、例えば、酸化シリコン層又は酸化アルミニウム層である。
【0068】
図5は、第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の拡大模式断面図である。
図5は、メモリセルアレイ101のxy断面である。
【0069】
誘電体層14は、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含む。誘電体層14の一部が強誘電体であり、誘電体層14の別の一部が常誘電体である。
【0070】
誘電体層14は、例えば、酸化ハフニウムを主成分とする。酸化ハフニウムを主成分とするとは、誘電体層14に含まれる物質の中で、酸化ハフニウムのモル比率が最も高いことを意味する。酸化ハフニウムのモル比率は、例えば、90%以上である。
【0071】
誘電体層14は、例えば、酸化ジルコニウムを主成分とする。酸化ジルコニウムを主成分とするとは、誘電体層14に含まれる物質の中で、酸化ジルコニウムのモル比率が最も高いことを意味する。
【0072】
誘電体層14に含まれる酸化ジルコニウムのモル比率は、例えば、40%以上60%以下である。誘電体層14に含まれる酸化物は、例えば、酸化ハフニウムと酸化ジルコニウムとの混晶である。
【0073】
酸化ハフニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶である場合、強誘電性を有する。酸化ハフニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶である場合、強誘電体である。
【0074】
強誘電性を有する酸化ハフニウムは、例えば、第三直方晶系(Orthorhombic III、空間群Pbc21、空間群番号29番)、又は、三方晶系(Trigonal、空間群R3m又はP3又はR3、空間群番号160番又は143番又は146番)の結晶である場合に、強誘電性を有する。
【0075】
酸化ハフニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶以外の結晶である場合、又は、非晶質である場合、強誘電性を有しない。酸化ハフニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶以外の結晶である場合、又は、非晶質である場合は、常誘電体である。直方晶系又は三方晶系以外とは、立方晶系、六方晶系、正方晶系、単斜晶系、三斜晶系である。
【0076】
酸化ジルコニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶である場合、強誘電性を有する。酸化ジルコニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶である場合、強誘電体である。
【0077】
強誘電性を有する酸化ジルコニウムは、例えば、第三直方晶系(Orthorhombic III、空間群Pbc21、空間群番号29番)、又は、三方晶系(Trigonal、空間群R3m又はP3又はR3、空間群番号160番又は143番又は146番)の結晶である場合に、強誘電性を有する。
【0078】
酸化ジルコニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶以外の結晶である場合、又は、非晶質である場合、強誘電性を有しない。酸化ジルコニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶以外の結晶である場合、又は、非晶質である場合は、常誘電体である。
【0079】
誘電体層14は、例えば、シリコン(Si)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、ストロンチウム(Sr)、ランタン(La)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、及びバリウム(Ba)からなる群から選ばれる少なくとも一つの添加元素を含む。誘電体層14に含まれる酸化物は、上記添加元素を含む。酸化物が酸化ハフニウムの場合、上記添加元素を含むことにより、酸化ハフニウムに強誘電性が発現しやすくなる。
【0080】
誘電体層14は、強誘電体領域14a、強誘電体領域14b、常誘電体領域14c、常誘電体領域14dを含む。強誘電体領域14aは、第1の領域の一例である。強誘電体領域14bは、第2の領域の一例である。常誘電体領域14cは、第3の領域の一例である。常誘電体領域14dは、第4の領域の一例である。
【0081】
強誘電体領域14aは、第1のゲート電極層10aと半導体層12との間に設けられる。強誘電体領域14bは、第2のゲート電極層10bと半導体層12との間に設けられる。
【0082】
常誘電体領域14cは、トレンチ絶縁層16と半導体層12との間に設けられる。トレンチ絶縁層16は、常誘電体領域14cと接する。常誘電体領域14cは、強誘電体領域14aと強誘電体領域14bとの間に設けられる。
【0083】
常誘電体領域14dは、トレンチ絶縁層16と半導体層12との間に設けられる。トレンチ絶縁層16は、常誘電体領域14dと接する。常誘電体領域14dは、強誘電体領域14aと強誘電体領域14bとの間に設けられる。
【0084】
強誘電体領域14a及び強誘電体領域14bは、直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする。直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とするとは、強誘電体領域14a及び強誘電体領域14bを構成する物質のなかで、直方晶系又は三方晶系の結晶が最も高い存在割合を示すことを意味する。
【0085】
強誘電体領域14a及び強誘電体領域14bは、直方晶系又は三方晶系の結晶の存在割合が、直方晶系及び三方晶系の結晶以外の結晶又は非晶質相の存在割合よりも大きい。存在割合は、例えば、モル比又は体積比である。強誘電体領域14a及び強誘電体領域14bは、結晶質である。
【0086】
強誘電体領域14a及び強誘電体領域14bは、強誘電体である。強誘電体領域14a及び強誘電体領域14bに含まれる酸化物は、強誘電体である。
【0087】
強誘電性を有する強誘電体領域14a及び強誘電体領域14bは、メモリセルMCのFeFETのゲート絶縁層として機能する。
【0088】
常誘電体領域14c及び常誘電体領域14dは直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする。直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とするとは、常誘電体領域14c及び常誘電体領域14dを構成する物質のなかで、直方晶系及び三方晶系の結晶以外の物質が最も高い存在割合を示すことを意味する。
【0089】
常誘電体領域14c及び常誘電体領域14dは、直方晶系及び三方晶系の結晶以外の結晶又は非晶質相の存在割合が、直方晶系又は三方晶系の結晶の存在割合よりも大きい。常誘電体領域14c及び常誘電体領域14dは、結晶質又は非晶質である。
【0090】
常誘電体領域14c及び常誘電体領域14dは、常誘電体である。常誘電体領域14c及び常誘電体領域14dに含まれる酸化物は、常誘電体である。
【0091】
第1のゲート電極層10aと第2のゲート電極層10bとの間に半導体層12が挟まれる領域での第1のゲート電極層10aと第2のゲート電極層10bとの間の第1の距離(
図5中のd1)は、第1のゲート電極層10aと第2のゲート電極層10bとの間にトレンチ絶縁層16が挟まれる領域での第1のゲート電極層10aと第2のゲート電極層10bとの間の第2の距離(
図5中のd2)よりも大きい。
【0092】
次に、第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法の一例について説明する。
【0093】
【0094】
【0095】
最初に、図示しない半導体基板の上に、複数の酸化シリコン層51と複数の窒化シリコン層52を交互に積層する(
図6)。
【0096】
酸化シリコン層51、窒化シリコン層52は、例えば、Chemical Vapor Deposition法(CVD法)により形成する。
【0097】
酸化シリコン層51の一部は、最終的に層間絶縁層18となる。
【0098】
次に、複数の酸化シリコン層51と複数の窒化シリコン層52にメモリトレンチ55を形成する(
図7)。メモリトレンチ55は、複数の酸化シリコン層51と複数の窒化シリコン層52を貫通する。
【0099】
メモリトレンチ55は、例えば、リソグラフィ法とReactive Ion Etching法(RIE法)により形成する。
【0100】
次に、メモリトレンチ55の中をSOG層56(Spin On Glass)で埋め込む(
図8)。SOG層56は、塗布法により形成する。
【0101】
次に、SOG層56、複数の酸化シリコン層51、及び複数の窒化シリコン層52の一部に、メモリホール57を形成する(
図9)。メモリホール57は、例えば、リソグラフィ法とRIE法により形成する。
【0102】
次に、メモリホール57の中に、酸化ハフニウム層58、多結晶シリコン層59、及び、酸化シリコン層60を形成する(
図10)。酸化ハフニウム層58は、例えば、Atomic Layer Deposition法(ALD法)により形成する。多結晶シリコン層59及び酸化シリコン層60は、例えば、CVD法により形成する。
【0103】
酸化ハフニウム層58は、最終的に誘電体層14となる。多結晶シリコン層59は、最終的に半導体層12となる。酸化シリコン層60は、最終的にコア絶縁層20となる。
【0104】
次に、複数の窒化シリコン層52を除去する(
図11)。複数の窒化シリコン層52は、例えば、図示しない開口部を用いて、ウェットエッチング法により除去する。
【0105】
次に、窒化チタン層61及びタングステン層62を形成する(
図12)。窒化チタン層61及びタングステン層62は、例えばCVD法により形成する。
【0106】
窒化チタン層61は、最終的に、バリアメタル層10ax、10bx、10cx、及び10dxとなる。タングステン層62は、最終的に、金属層10ay、金属層10by、金属層10cy、及び金属層10dyとなる。
【0107】
次に、SOG層56を除去する(
図13)。SOG層56は、例えば、ウェットエッチング法により除去する。SOG層56を除去することにより、空隙部63が形成される。SOG層56を除去する際に、酸化シリコン層60のエッチングを防ぐためのマスク材を酸化シリコン層60の上に設けても構わない。
【0108】
次に、熱処理を行い、酸化ハフニウム層58を結晶化する(
図14)。熱処理は、例えば、窒素ガス雰囲気中で、600℃以上1050℃以下の温度で行う。熱処理は、いわゆる結晶化アニールである。
【0109】
熱処理により、酸化ハフニウム層58の中で、多結晶シリコン層59と窒化チタン層61に挟まれた領域58a、及び、多結晶シリコン層59と酸化シリコン層51に挟まれた領域58bは、印加される応力により、直方晶系又は三方晶系の結晶となる。一方、多結晶シリコン層59と空隙部63に挟まれた領域58cは、印加される応力が小さいため、直方晶系又は三方晶系の結晶以外の結晶、又は、非晶質相となる。
【0110】
言い換えれば、多結晶シリコン層59と窒化チタン層61に挟まれた領域58a、及び、多結晶シリコン層59と酸化シリコン層51に挟まれた領域58bは、強誘電体となる。また、多結晶シリコン層59と空隙部63に挟まれた領域58cは、常誘電体となる。
【0111】
多結晶シリコン層59と窒化チタン層61に挟まれた領域58aは、最終的に、強誘電体領域14a及び強誘電体領域14bとなる。また、多結晶シリコン層59と空隙部63に挟まれた領域58cは、最終的に、常誘電体領域14c及び常誘電体領域14dとなる。
【0112】
次に、空隙部63を、酸化シリコン層64で埋め込む(
図15)。酸化シリコン層64は、最終的に、トレンチ絶縁層16となる。
【0113】
以上の製造方法により、第1の実施形態の3次元強誘電体メモリ100のメモリセルアレイ101が製造される。
【0114】
次に、第1の実施形態の半導体記憶装置の作用及び効果について説明する。
【0115】
メモリセルを3次元的に配置した3次元NANDフラッシュメモリは、高い集積度と低いコストを実現する。3次元NANDフラッシュメモリでは、例えば、複数の絶縁層と複数のゲート電極層とが交互に積層された積層体に、積層体を貫通するメモリホールが形成されている。3次元NANDフラッシュメモリのメモリセルとして、FeFET型の3端子型メモリを適用することで、ゲート絶縁層の薄膜化が可能となる。したがって、メモリホールの穴径を縮小することでき、メモリセルの微細化が可能となる。よって、FeFET型の3端子型メモリを適用することで、メモリの集積度を更に高くすることが可能となる。
【0116】
メモリセルを微細化していくと、例えば、ゲート絶縁層となる強誘電体層の分極状態の制御が困難になり、メモリセルの動作が不安定になるおそれがある。したがって、メモリセルを微細化した場合でも、安定動作するメモリセルを備えたメモリの実現が望まれる。
【0117】
図16は、比較例の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の拡大模式断面図である。
図16は、第1の実施形態の
図5に対応する図である。
【0118】
比較例の半導体記憶装置のメモリセルアレイは、誘電体層14の全領域が、強誘電体である点で、第1の実施形態のメモリセルアレイ101と異なる。
【0119】
比較例のメモリセルアレイの場合、誘電体層14の全領域が強誘電体である。このため、例えば、メモリセルMC1への書き込み動作の際に、誘電体層14の分極反転が、意図せず第2のゲート電極層10bの側まで進むおそれがある。この場合、例えば、メモリセルMC2への誤書き込みが生じるおそれがある。すなわち、メモリセルMC1とメモリセルMC2の間の干渉が生じるおそれがある。
【0120】
このように、比較例のメモリセルアレイでは、誘電体層14の全領域が強誘電体であることに起因して、強誘電体層の分極状態の制御が困難になり、メモリセルMCの動作が不安定になるおそれがある。
【0121】
図17は、第1の実施形態の半導体記憶装置の作用及び効果の説明図である。
図17は、第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の拡大模式断面図である。
図17は、メモリセルアレイ101のxy断面である。
【0122】
第1の実施形態の3次元強誘電体メモリ100のメモリセルアレイ101は、誘電体層14が、強誘電体領域14a及び強誘電体領域14bと、常誘電体領域14c及び常誘電体領域14dに分割されている。メモリセルMC1の強誘電体領域14aとメモリセルMC2の強誘電体領域14bは、常誘電体領域14c及び常誘電体領域14dで分断されている。
【0123】
このため、例えば、メモリセルMC1への書き込み動作の際に、誘電体層14の分極反転が、意図せず第2のゲート電極層10bの側まで進むことが抑制される。したがって、例えば、メモリセルMC2への誤書き込みが抑制される。よって、メモリセルMC1とメモリセルMC2との間の干渉が抑制される。第1の実施形態の3次元強誘電体メモリ100では、強誘電体層の分極状態の制御性が向上し、安定動作が実現される。
【0124】
図18は、第1の実施形態の半導体記憶装置の変形例のメモリセルアレイの一部の拡大模式断面図である。
図18は、第1の実施形態の
図5に対応する図である。
【0125】
変形例のメモリセルアレイは、誘電体層14の強誘電体領域14aのy方向の第1の厚さ(
図18中のt1)は、常誘電体領域14cのx方向の第2の厚さ(
図18中のt2)よりも厚い点で、第1の実施形態のメモリセルアレイ101と異なる。
【0126】
変形例のメモリセルアレイは、例えば、第1の実施形態のメモリセルアレイ101の製造方法において、SOG層56を除去した後に、更に、酸化ハフニウム層58の一部をエッチングすることで製造することが可能である。
【0127】
変形例のメモリセルアレイは、常誘電体領域14cのx方向の厚さt2が薄いことにより、更にメモリセルMCの誘電体層14の分極状態の制御性が向上する。
【0128】
以上、第1の実施形態によれば、強誘電体層の分極状態の制御性が向上し、安定動作する半導体記憶装置が実現できる。
【0129】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体記憶装置は、第1のゲート電極層と誘電体層との間、及び、第1のゲート電極層と第1の絶縁層との間に設けられ、ハフニウム(Hf)及びジルコニウム(Zr)と異なる金属元素を含む金属酸化物を含む第2の絶縁層を、更に備える点で、第1の実施形態の半導体記憶装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0130】
図19、20は、第2の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図である。
図19は、メモリセルアレイ201のxy断面である。
図19は、
図20のDD’面を含む断面である。
図20は、メモリセルアレイ201のyz断面である。
図20は、
図19のCC’断面である。
【0131】
図19及び
図20において、破線で囲まれた領域が一つのメモリセルMCである。
図19及び
図20には、y方向に隣り合うメモリセルMC1とメモリセルMC2を例示している。
【0132】
メモリセルアレイ201は、第1のゲート電極層10a、第2のゲート電極層10b、第3のゲート電極層10c、第4のゲート電極層10d、半導体層12、誘電体層14、トレンチ絶縁層16、層間絶縁層18、コア絶縁層20、中間絶縁層22を有する。
【0133】
トレンチ絶縁層16は、第1の絶縁層の一例である。層間絶縁層18は、第3の絶縁層の一例である。コア絶縁層20は、第4の絶縁層の一例である。中間絶縁層22は、第2の絶縁層の一例である。
【0134】
中間絶縁層22は、第1のゲート電極層10aと誘電体層14との間、第2のゲート電極層10bと誘電体層14との間、第3のゲート電極層10cと誘電体層14との間、第4のゲート電極層10dと誘電体層14との間に設けられる。中間絶縁層22は、例えば、第1のゲート電極層10a、第2のゲート電極層10b、第3のゲート電極層10c、及び、第4のゲート電極層10dに接する。また、中間絶縁層22は、例えば、誘電体層14に接する。
【0135】
中間絶縁層22は、第1のゲート電極層10aとトレンチ絶縁層16との間、第2のゲート電極層10bとトレンチ絶縁層16との間、第3のゲート電極層10cとトレンチ絶縁層16との間、第4のゲート電極層10dとトレンチ絶縁層16との間に設けられる。中間絶縁層22は、例えば、トレンチ絶縁層16に接する。
【0136】
中間絶縁層22は、金属酸化物を含む。中間絶縁層22に含まれる金属酸化物は、ハフニウム(Hf)及びジルコニウム(Zr)と異なる金属元素を含む。中間絶縁層22は、例えば、チタン(Ti)を含む。中間絶縁層22は、例えば、酸化チタンを含む。中間絶縁層22は、例えば、酸化チタン層である。
【0137】
中間絶縁層22のy方向の厚さは、例えば、0.5nm以上3nm以下である。
【0138】
第1のゲート電極層10a、第2のゲート電極層10b、第3のゲート電極層10c、及び、第4のゲート電極層10dは、例えば、中間絶縁層22が含む金属元素と、同じ金属元素を含む。第1のゲート電極層10a、第2のゲート電極層10b、第3のゲート電極層10c、及び、第4のゲート電極層10dは、例えば、チタン(Ti)を含む。
【0139】
第1のゲート電極層10aのバリアメタル層10ax、第2のゲート電極層10bのバリアメタル層10bx、第3のゲート電極層10cのバリアメタル層10cx、及び第4のゲート電極層10dのバリアメタル層10dxは、例えば、チタン(Ti)を含む。第1のゲート電極層10aのバリアメタル層10ax、第2のゲート電極層10bのバリアメタル層10bx、第3のゲート電極層10cのバリアメタル層10cx、及び第4のゲート電極層10dのバリアメタル層10dxは、例えば、例えば、窒化チタン層である。
【0140】
誘電体層14は、z方向に、強誘電体領域と常誘電体領域に分割されている。中間絶縁層22と半導体層12との間の誘電体層14は、強誘電体領域である、一方、層間絶縁層18と半導体層12との間の誘電体層14は、常誘電体領域である。
【0141】
次に、第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法の一例について説明する。第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法は、酸化チタン層を形成する点、及び、空隙部を形成しない点で第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法と異なる。
【0142】
【0143】
【0144】
複数の酸化シリコン層51と複数の窒化シリコン層52にメモリトレンチ55を形成するまでは、第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法と同様である。
【0145】
次に、メモリトレンチ55の中を酸化シリコン層64で埋め込む(
図21)。酸化シリコン層64は、最終的に、トレンチ絶縁層16となる。
【0146】
次に、酸化シリコン層64、複数の酸化シリコン層51、及び複数の窒化シリコン層52の一部に、メモリホール57を形成する(
図22)。メモリホール57は、例えば、リソグラフィ法とRIE法により形成する。
【0147】
次に、メモリホール57の中に、酸化ハフニウム層58、多結晶シリコン層59、及び酸化シリコン層65を形成する(
図23)。酸化ハフニウム層58は、例えば、ALD法により形成する。多結晶シリコン層59及び酸化シリコン層65は、例えば、CVD法により形成する。
【0148】
酸化ハフニウム層58は、最終的に誘電体層14となる。多結晶シリコン層59は、最終的に半導体層12となる。酸化シリコン層65は、最終的にコア絶縁層20となる。
【0149】
次に、複数の窒化シリコン層52を除去する(
図24)。複数の窒化シリコン層52は、例えば、図示しない開口部を用いて、ウェットエッチング法により除去する。
【0150】
次に、酸化チタン層66、窒化チタン層61、及びタングステン層62を形成する(
図25)。酸化チタン層66、窒化チタン層61、及びタングステン層62は、例えばCVD法により形成する。
【0151】
酸化チタン層66は、最終的に中間絶縁層22となる。窒化チタン層61は、最終的に、バリアメタル層10ax、10bx、10cx、及び10dxとなる。タングステン層62は、最終的に、金属層10ay、金属層10by、金属層10cy、及び金属層10dyとなる。
【0152】
次に、熱処理を行い、酸化ハフニウム層58を結晶化する(
図26)。熱処理は、例えば、窒素ガス雰囲気中で、600℃以上1050℃以下の温度で行う。熱処理は、いわゆる結晶化アニールである。
【0153】
熱処理により、酸化ハフニウム層58の中で、多結晶シリコン層59と酸化チタン層66に挟まれた領域58aは、酸化チタン層66に起因して結晶化が促進され、直方晶系又は三方晶系の結晶となる。一方、多結晶シリコン層59と酸化シリコン層51に挟まれた領域58b、及び、多結晶シリコン層59と酸化シリコン層64に挟まれた領域58cは、直方晶系又は三方晶系の結晶以外の結晶、又は、非晶質相となる。
【0154】
言い換えれば、多結晶シリコン層59と酸化チタン層66に挟まれた領域58aは強誘電体となる。一方、多結晶シリコン層59と酸化シリコン層51に挟まれた領域58b、及び、多結晶シリコン層59と酸化シリコン層64に挟まれた領域58cは、常誘電体となる。
【0155】
多結晶シリコン層59と酸化チタン層66に挟まれた領域58aは、最終的に、強誘電体領域14a及び強誘電体領域14bとなる。また、多結晶シリコン層59と酸化シリコン層64に挟まれた領域58cは、最終的に、常誘電体領域14c及び常誘電体領域14dとなる。
【0156】
酸化シリコン層64は、酸化アルミニウムを含むことが好ましい。酸化シリコン層64が酸化アルミニウムを含むことで、多結晶シリコン層59と酸化シリコン層64に挟まれた領域58cの直方晶系及び三方晶系の結晶の成長が抑制される。
【0157】
以上の製造方法により、第2の実施形態の3次元強誘電体メモリ200のメモリセルアレイ201が製造される。
【0158】
以上、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、強誘電体層の分極状態の制御性が向上し、安定動作する半導体記憶装置が実現できる。
【0159】
(第3の実施形態)
誘電体層は、第3の絶縁層と半導体層との間の直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする第4の領域を、更に備える点で、第1の実施形態の半導体記憶装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0160】
図27は、第3の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図である。
図27は、メモリセルアレイ301のyz断面である。
図27は、
図4に対応する断面である。
【0161】
図27において、破線で囲まれた領域が一つのメモリセルMCである。
図27には、y方向に隣り合うメモリセルMC1とメモリセルMC2を例示している。また、メモリセルMC1とz方向に隣り合うメモリセルMC3を例示している。
【0162】
メモリセルアレイ301は、第1のゲート電極層10a、第2のゲート電極層10b、第3のゲート電極層10c、第4のゲート電極層10d、半導体層12、誘電体層14、トレンチ絶縁層16、層間絶縁層18、コア絶縁層20を有する。
【0163】
トレンチ絶縁層16は、第1の絶縁層の一例である。層間絶縁層18は、第3の絶縁層の一例である。コア絶縁層20は、第4の絶縁層の一例である。
【0164】
層間絶縁層18は、第1のゲート電極層10aと第3のゲート電極層10cとの間、及び、第2のゲート電極層10bと第4のゲート電極層10dとの間に設けられる。
【0165】
層間絶縁層18は、例えば、酸化アルミニウムを含む。層間絶縁層18は、例えば、酸化アルミニウム層である。
【0166】
誘電体層14は、半導体層12を囲む。誘電体層14は、第1のゲート電極層10aと半導体層12との間、第2のゲート電極層10bと半導体層12との間、第3のゲート電極層10cと半導体層12との間、及び、第4のゲート電極層10dと半導体層12との間に設けられる。
【0167】
誘電体層14は、トレンチ絶縁層16と半導体層12との間、及び、層間絶縁層18と半導体層12との間に設けられる。誘電体層14は、z方向に延びる。誘電体層14は、例えば、円筒形状である。
【0168】
誘電体層14の一部が強誘電体である。誘電体層14の一部が、メモリセルMCのトランジスタのゲート絶縁層として機能する。
【0169】
誘電体層14は、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含む。誘電体層14は、例えば、酸化ハフニウム層である。誘電体層14は、例えば、酸化ジルコニウム層である。誘電体層14のxy平面における厚さは、例えば、5nm以上40nm以下である。
【0170】
誘電体層14は、強誘電体領域14a、強誘電体領域14b、常誘電体領域14c、常誘電体領域14d、常誘電体領域14e、強誘電体領域14fを含む。常誘電体領域14eは、第4の領域の一例である。
【0171】
強誘電体領域14aは、第1のゲート電極層10aと半導体層12との間に設けられる。強誘電体領域14bは、第2のゲート電極層10bと半導体層12との間に設けられる。
【0172】
常誘電体領域14cは、トレンチ絶縁層16と半導体層12との間に設けられる。トレンチ絶縁層16は、常誘電体領域14cと接する。常誘電体領域14cは、強誘電体領域14aと強誘電体領域14bとの間に設けられる。
【0173】
常誘電体領域14dは、トレンチ絶縁層16と半導体層12との間に設けられる。トレンチ絶縁層16は、常誘電体領域14dと接する。常誘電体領域14dは、強誘電体領域14aと強誘電体領域14bとの間に設けられる。
【0174】
常誘電体領域14eは、第1のゲート電極層10aと第2のゲート電極層10bとの間の層間絶縁層18と、半導体層12との間に設けられる。層間絶縁層18は、常誘電体領域14eと接する。常誘電体領域14eは、強誘電体領域14aとz方向に隣り合う。
【0175】
強誘電体領域14fは、第3のゲート電極層10cと半導体層12との間に設けられる。常誘電体領域14eは、強誘電体領域14aと強誘電体領域14fとの間に挟まれる。
【0176】
常誘電体領域14eは、直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする。常誘電体領域14eは、直方晶系及び三方晶系の結晶以外の結晶又は非晶質相の存在割合が、直方晶系又は三方晶系の結晶の存在割合よりも大きい。常誘電体領域14eは、結晶質又は非晶質である。
【0177】
常誘電体領域14eは、常誘電体である。常誘電体領域14eに含まれる酸化物は、常誘電体である。
【0178】
強誘電体領域14fは、直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする。強誘電体領域14fは、直方晶系又は三方晶系の結晶の存在割合が、直方晶系及び三方晶系の結晶以外の結晶又は非晶質相の存在割合よりも大きい。強誘電体領域14fは、結晶質である。
【0179】
強誘電体領域14fは、強誘電体である。強誘電体領域14fに含まれる酸化物は、強誘電体である。
【0180】
第3の実施形態のメモリセルアレイ301は、例えば、第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法の
図6に示す工程において、半導体基板の上に、酸化シリコン層51に代えて複数の酸化アルミニウム層と複数の窒化シリコン層52を交互に積層することで形成することが可能である。例えば、酸化ハフニウム層を結晶化する結晶化アニールの際に、酸化ハフニウム層が酸化アルミニウム層と接していると、酸化ハフニウム層における、直方晶系及び三方晶系の結晶の結晶成長が抑制される。
【0181】
第3の実施形態の3次元強誘電体メモリ300のメモリセルアレイ301は、誘電体層14が、強誘電体領域14a、常誘電体領域14e、及び強誘電体領域14fに分割されている。メモリセルMC1の強誘電体領域14aと、メモリセルMC1のz方向に位置するメモリセルMC3の強誘電体領域14fの間は、常誘電体領域14eで分断されている。
【0182】
このため、例えば、メモリセルMC1への書き込み動作の際に、誘電体層14の分極反転が、意図せず第3のゲート電極層10cの側まで進むことが抑制される。したがって、例えば、メモリセルMC3への誤書き込みが抑制される。よって、メモリセルMCの間の干渉が、第1の実施形態の半導体記憶装置と比較して更に抑制される。
【0183】
以上、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と比較して、強誘電体層の分極状態の制御性が更に向上し、更に安定動作する半導体記憶装置が実現できる。
【0184】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体記憶装置は、第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、第1の方向に延び、第1の方向に交差する第2の方向に第1のゲート電極層と隣り合う第2のゲート電極層と、第1のゲート電極層と第2のゲート電極層との間に設けられ、第1の方向及び第2の方向に交差する第3の方向に延びる半導体層と、第1のゲート電極層と半導体層との間に設けられ、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含む第1の誘電体層と、第2のゲート電極層と半導体層との間に設けられ、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含む第2の誘電体層と、第1のゲート電極層と第2のゲート電極層との間に設けられ、第1の方向に半導体層と隣り合う第1の絶縁層と、を備え、第1の誘電体層は、第1のゲート電極層と半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第1の領域と、第1の領域と第1の絶縁層との間の直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする第2の領域とを含み、第2の誘電体層は、第2のゲート電極層と半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第3の領域と、第3の領域と第1の絶縁層との間の直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする第4の領域とを含む。
【0185】
第4の実施形態の半導体記憶装置は、3次元強誘電体メモリ400である。第4の実施形態の3次元強誘電体メモリ400は、メモリセルMCとして、FeFET型の3端子型メモリを適用する強誘電体メモリである。
【0186】
第4の実施形態の3次元強誘電体メモリ400は、第1の実施形態の
図1で示した回路構成と、同様の回路構成を備える。また、3次元強誘電体メモリ400のメモリセルアレイ401は、第1の実施形態の
図2で示した等価回路と同様の等価回路を備える。
【0187】
図28、
図29は、第4の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図である。
図28は、メモリセルアレイ401のxy断面である。
図28は、
図29のFF’面を含む断面である。
図29は、メモリセルアレイ401のyz断面である。
図29は、
図28のEE’断面である。
【0188】
図28及び
図29において、破線で囲まれた領域が一つのメモリセルMCである。
図28及び
図29には、y方向に隣り合うメモリセルMC1とメモリセルMC2を例示している。また、
図29には、メモリセルMC1とz方向に隣り合うメモリセルMC3を例示している。
【0189】
メモリセルアレイ401は、第1のゲート電極層10a、第2のゲート電極層10b、第3のゲート電極層10c、第4のゲート電極層10d、半導体層12、トレンチ絶縁層16、層間絶縁層18、コア絶縁層20、第1の誘電体層31、第2の誘電体層32、第3の誘電体層33、第4の誘電体層34を備える。
【0190】
トレンチ絶縁層16は、第1の絶縁層の一例である。層間絶縁層18は、第2の絶縁層の一例である。
【0191】
第1のゲート電極層10aは、x方向に延びる。第1のゲート電極層10aは、例えば、
図2に示すワード線WLaに対応する。第1のゲート電極層10aは、メモリセルMC1のトランジスタのゲート電極として機能する。
【0192】
第1のゲート電極層10aは、バリアメタル層10axと金属層10ayを含む。
【0193】
バリアメタル層10axは、例えば、金属窒化物又は金属炭化物である。バリアメタル層10axは、例えば、窒化チタンを含む。バリアメタル層10axは、例えば、窒化チタン層である。
【0194】
金属層10ayは、例えば、金属である。金属層10ayは、例えば、タングステン(W)を含む。金属層10ayは、例えば、タングステン層である。
【0195】
第2のゲート電極層10bは、x方向に延びる。第2のゲート電極層10bは、y方向に第1のゲート電極層10aと隣り合う。第2のゲート電極層10bは、例えば、
図2に示すワード線WLbに対応する。第2のゲート電極層10bは、メモリセルMC2のトランジスタのゲート電極として機能する。
【0196】
第2のゲート電極層10bは、バリアメタル層10bxと金属層10byを含む。
【0197】
バリアメタル層10bxは、例えば、金属窒化物又は金属炭化物である。バリアメタル層10bxは、例えば、窒化チタンを含む。バリアメタル層10bxは、例えば、窒化チタン層である。
【0198】
金属層10byは、例えば、金属である。金属層10byは、例えば、タングステン(W)を含む。金属層10byは、例えば、タングステン層である。
【0199】
第3のゲート電極層10cは、x方向に延びる。第3のゲート電極層10cは、z方向に第1のゲート電極層10aと隣り合う。第3のゲート電極層10cは、例えば、
図2に示すワード線WLaに対応する。第3のゲート電極層10cは、メモリセルMC3のトランジスタのゲート電極として機能する。
【0200】
第3のゲート電極層10cは、バリアメタル層10cxと金属層10cyを含む。
【0201】
バリアメタル層10cxは、例えば、金属窒化物又は金属炭化物である。バリアメタル層10cxは、例えば、窒化チタンを含む。バリアメタル層10cxは、例えば、窒化チタン層である。
【0202】
金属層10cyは、例えば、金属である。金属層10cyは、例えば、タングステン(W)を含む。金属層10cyは、例えば、タングステン層である。
【0203】
第4のゲート電極層10dは、x方向に延びる。第4のゲート電極層10dは、y方向に第3のゲート電極層10cと隣り合う。また、第4のゲート電極層10dは、z方向に第2のゲート電極層10bと隣り合う。第4のゲート電極層10dは、例えば、
図2に示すワード線WLbに対応する。第4のゲート電極層10dは、メモリセルMCのトランジスタのゲート電極として機能する。
【0204】
第4のゲート電極層10dは、バリアメタル層10dxと金属層10dyを含む。
【0205】
バリアメタル層10dxは、例えば、金属窒化物又は金属炭化物である。バリアメタル層10dxは、例えば、窒化チタンを含む。バリアメタル層10dxは、例えば、窒化チタン層である。
【0206】
金属層10dyは、例えば、金属である。金属層10dyは、例えば、タングステン(W)を含む。金属層10dyは、例えば、タングステン層である。
【0207】
半導体層12は、第1のゲート電極層10aと第2のゲート電極層10bとの間に設けられる。半導体層12は、第3のゲート電極層10cと第4のゲート電極層10dとの間に設けられる。半導体層12は、z方向に延びる。半導体層12は、例えば、円筒形状である。
【0208】
半導体層12は、メモリセルMCのトランジスタのチャネルとして機能する。
【0209】
半導体層12は、例えば、多結晶の半導体である。半導体層12は、例えば、多結晶シリコンを含む。半導体層12は、例えば、多結晶シリコン層である。半導体層12のxy平面における厚さは、例えば、5nm以上30nm以下である。
【0210】
第1の誘電体層31は、第1のゲート電極層10aと半導体層12との間に設けられる。第1の誘電体層31は、z方向に隣り合う2つの層間絶縁層18の間に設けられる。
【0211】
第1の誘電体層31の一部が強誘電体である。第1の誘電体層31の一部が、メモリセルMC1のトランジスタのゲート絶縁層として機能する。
【0212】
第2の誘電体層32は、第2のゲート電極層10bと半導体層12との間に設けられる。第2の誘電体層32は、z方向に隣り合う2つの層間絶縁層18の間に設けられる。
【0213】
第2の誘電体層32の一部が強誘電体である。第2の誘電体層32の一部が、メモリセルMC2のトランジスタのゲート絶縁層として機能する。
【0214】
第3の誘電体層33は、第3のゲート電極層10cと半導体層12との間に設けられる。第3の誘電体層33は、z方向に隣り合う2つの層間絶縁層18の間に設けられる。
【0215】
第3の誘電体層33の一部が強誘電体である。第3の誘電体層33の一部が、メモリセルMC3のトランジスタのゲート絶縁層として機能する。
【0216】
第4の誘電体層34は、第4のゲート電極層10dと半導体層12との間に設けられる。第4の誘電体層34は、z方向に隣り合う2つの層間絶縁層18の間に設けられる。
【0217】
第4の誘電体層34の一部が強誘電体である。第4の誘電体層34の一部が、メモリセルMCのトランジスタのゲート絶縁層として機能する。
【0218】
第1の誘電体層31と第2の誘電体層32は離間する。第1の誘電体層31と第3の誘電体層33は離間する。
【0219】
第1の誘電体層31、第2の誘電体層32、第3の誘電体層33、及び第4の誘電体層34は、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含む。第1の誘電体層31、第2の誘電体層32、第3の誘電体層33、及び第4の誘電体層34は、例えば、酸化ハフニウム層である。第1の誘電体層31、第2の誘電体層32、第3の誘電体層33、及び第4の誘電体層34は、例えば、酸化ジルコニウム層である。第1の誘電体層31、第2の誘電体層32、第3の誘電体層33、及び第4の誘電体層34のy方向の厚さは、例えば、5nm以上40nm以下である。
【0220】
トレンチ絶縁層16は、第1のゲート電極層10aと第2のゲート電極層10bとの間に設けられる。トレンチ絶縁層16は、第3のゲート電極層10cと第4のゲート電極層10dとの間に設けられる。トレンチ絶縁層16は、x方向に半導体層12と隣り合う。
【0221】
トレンチ絶縁層16は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。トレンチ絶縁層16は、例えば、酸化シリコン又は酸化アルミニウムを含む。トレンチ絶縁層16は、例えば、酸化シリコン層又は酸化アルミニウム層である。
【0222】
層間絶縁層18は、第1のゲート電極層10aと第3のゲート電極層10cとの間、及び、第2のゲート電極層10bと第4のゲート電極層10dとの間に設けられる。
【0223】
層間絶縁層18は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。層間絶縁層18は、例えば、酸化シリコンを含む。層間絶縁層18は、例えば、酸化シリコン層である。層間絶縁層18のz方向の厚さは、例えば、5nm以上30nm以下である。
【0224】
コア絶縁層20は、半導体層12に囲まれる。コア絶縁層20は、z方向に延びる。コア絶縁層20は、例えば、円柱形状である。
【0225】
コア絶縁層20は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。コア絶縁層20は、例えば、酸化シリコンを含む。コア絶縁層20は、例えば、酸化シリコン又は酸化アルミニウムを含む。コア絶縁層20は、例えば、酸化シリコン層又は酸化アルミニウム層である。
【0226】
図30は、第4の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の拡大模式断面図である。
図30は、メモリセルアレイ401のxy断面である。
【0227】
第1の誘電体層31、第2の誘電体層32、第3の誘電体層33、及び第4の誘電体層34は、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含む。第1の誘電体層31、第2の誘電体層32、第3の誘電体層33、及び第4の誘電体層34の一部が強誘電体であり、別の一部が常誘電体である。
【0228】
第1の誘電体層31、第2の誘電体層32、第3の誘電体層33、及び第4の誘電体層34は、例えば、酸化ハフニウムを主成分とする。酸化ハフニウムを主成分とするとは、第1の誘電体層31、第2の誘電体層32、第3の誘電体層33、及び第4の誘電体層34に含まれる物質の中で、酸化ハフニウムのモル比率が最も高いことを意味する。酸化ハフニウムのモル比率は、例えば、90%以上である。
【0229】
第1の誘電体層31、第2の誘電体層32、第3の誘電体層33、及び第4の誘電体層34は、例えば、酸化ジルコニウムを主成分とする。酸化ジルコニウムを主成分とするとは、第1の誘電体層31、第2の誘電体層32、第3の誘電体層33、及び第4の誘電体層34に含まれる物質の中で、酸化ジルコニウムのモル比率が最も高いことを意味する。
【0230】
第1の誘電体層31、第2の誘電体層32、第3の誘電体層33、及び第4の誘電体層34に含まれる酸化ジルコニウムのモル比率は、例えば、40%以上60%以下である。第1の誘電体層31、第2の誘電体層32、第3の誘電体層33、及び第4の誘電体層34に含まれる酸化物は、例えば、酸化ハフニウムと酸化ジルコニウムとの混晶である。
【0231】
酸化ハフニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶である場合、強誘電性を有する。酸化ハフニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶である場合、強誘電体である。
【0232】
強誘電性を有する酸化ハフニウムは、例えば、第三直方晶系(Orthorhombic III、空間群Pbc21 、空間群番号29番)、又は、三方晶系(Trigonal、空間群R3m又はP3又はR3、空間群番号160番又は143番又は146番)の結晶である場合に、強誘電性を有する。
【0233】
酸化ハフニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶以外の結晶である場合、又は、非晶質である場合、強誘電性を有しない。酸化ハフニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶以外の結晶である場合、又は、非晶質である場合は、常誘電体である。直方晶系又は三方晶系以外とは、立方晶系、六方晶系、正方晶系、単斜晶系、三斜晶系である。
【0234】
酸化ジルコニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶である場合、強誘電性を有する。 酸化ジルコニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶である場合、強誘電体である。
【0235】
強誘電性を有する酸化ジルコニウムは、例えば、第三直方晶系(Orthorhombic III、空間群Pbc21 、空間群番号29番)、又は、三方晶系(Trigonal、空間群R3m又はP3又はR3、空間群番号160番又は143番又は146番)の結晶である場合に、強誘電性を有する。
【0236】
酸化ジルコニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶以外の結晶である場合、又は、非晶質である場合、強誘電性を有しない。酸化ジルコニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶以外の結晶である場合、又は、非晶質である場合は、常誘電体である。
【0237】
第1の誘電体層31、第2の誘電体層32、第3の誘電体層33、及び第4の誘電体層34は、例えば、シリコン(Si)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、ストロンチウム(Sr)、ランタン(La)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、及び、バリウム(Ba)からなる群から選ばれる少なくとも一つの添加元素を含む。第1の誘電体層31、第2の誘電体層32、第3の誘電体層33、及び第4の誘電体層34に含まれる酸化物は、上記添加元素を含む。酸化物が酸化ハフニウムの場合、上記添加元素を含むことにより、酸化ハフニウムに強誘電性が発現しやすくなる。
【0238】
第1の誘電体層31は、強誘電体領域31x及び常誘電体領域31yを含む。強誘電体領域31xは、第1の領域の一例である。常誘電体領域31yは、第2の領域の一例である。
【0239】
強誘電体領域31xは、第1のゲート電極層10aと半導体層12との間に設けられる。強誘電体領域31xは、常誘電体領域31yの間に設けられる。
【0240】
常誘電体領域31yは、強誘電体領域31xとトレンチ絶縁層16の間に設けられる。常誘電体領域31yは、トレンチ絶縁層16と接する。
【0241】
第2の誘電体層32は、強誘電体領域32x及び常誘電体領域32yを含む。強誘電体領域32xは、第3の領域の一例である。常誘電体領域32yは、第4の領域の一例である。
【0242】
強誘電体領域32xは、第2のゲート電極層10bと半導体層12との間に設けられる。強誘電体領域32xは、常誘電体領域32yの間に設けられる。
【0243】
常誘電体領域32yは、強誘電体領域32xとトレンチ絶縁層16の間に設けられる。常誘電体領域32yは、トレンチ絶縁層16と接する。
【0244】
強誘電体領域31x及び強誘電体領域32xは、直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする。直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とするとは、強誘電体領域31x及び強誘電体領域32xを構成する物質のなかで、直方晶系又は三方晶系の結晶が最も高い存在割合を示すことを意味する。
【0245】
強誘電体領域31x及び強誘電体領域32xは、直方晶系又は三方晶系の結晶の存在割合が、直方晶系及び三方晶系の結晶以外の結晶又は非晶質相の存在割合よりも大きい。強誘電体領域31x及び強誘電体領域32xは、結晶質である。
【0246】
強誘電体領域31x及び強誘電体領域32xは、強誘電体である。強誘電体領域31x及び強誘電体領域32xに含まれる酸化物は、強誘電体である。
【0247】
強誘電性を有する強誘電体領域31x及び強誘電体領域32xは、メモリセルMCのFeFETのゲート絶縁層として機能する。
【0248】
常誘電体領域31y及び常誘電体領域32yは直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする。直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とするとは、常誘電体領域31y及び常誘電体領域32yを構成する物質のなかで、直方晶系及び三方晶系の結晶以外の物質が最も高い存在割合を示すことを意味する。
【0249】
常誘電体領域31y及び常誘電体領域32yは、直方晶系及び三方晶系の結晶以外の結晶又は非晶質相の存在割合が、直方晶系又は三方晶系の結晶の存在割合よりも大きい。常誘電体領域31y及び常誘電体領域32yは、結晶質又は非晶質である。
【0250】
常誘電体領域31y及び常誘電体領域32yは、常誘電体である。常誘電体領域31y及び常誘電体領域32yに含まれる酸化物は、常誘電体である。
【0251】
次に、第4の実施形態の半導体記憶装置の製造方法の一例について説明する。
【0252】
【0253】
【0254】
最初に、図示しない半導体基板の上に、複数の酸化シリコン層51と複数の窒化シリコン層52を交互に積層する(
図31)。
【0255】
酸化シリコン層51、窒化シリコン層52は、例えば、CVD法により形成する。
【0256】
酸化シリコン層51の一部は、最終的に層間絶縁層18となる。
【0257】
次に、複数の酸化シリコン層51と複数の窒化シリコン層52にメモリトレンチ55を形成する(
図32)。メモリトレンチ55は、複数の酸化シリコン層51と複数の窒化シリコン層52を貫通する。
【0258】
メモリトレンチ55は、例えば、リソグラフィ法とRIE法により形成する。
【0259】
次に、メモリトレンチ55の中をSOG層56で埋め込む(
図33)。SOG層56は、塗布法により形成する。
【0260】
次に、SOG層56、複数の酸化シリコン層51、及び複数の窒化シリコン層52の一部に、メモリホール57を形成する(
図34)。メモリホール57は、例えば、リソグラフィ法とRIE法により形成する。
【0261】
次に、メモリホール57の内側から、窒化シリコン層52をエッチングし、リセス領域を形成する(
図35)。窒化シリコン層52のエッチングは、例えば、ウェットエッチングにより行う。
【0262】
次に、メモリホール57の中に、酸化ハフニウム層58を形成する(
図36)。酸化ハフニウム層58は、例えば、ALD法により形成する。
【0263】
酸化ハフニウム層58の一部は、最終的に、第1の誘電体層31、第2の誘電体層32、第3の誘電体層33、及び第4の誘電体層34になる。
【0264】
次に、メモリホール57の中の酸化ハフニウム層58を、リセス領域にだけ残るようにエッチングする(
図37)。酸化ハフニウム層58のエッチングは、例えば、RIE法により行う。
【0265】
次に、メモリホール57の中に、多結晶シリコン層59、及び、酸化シリコン層60を形成する(
図38)。多結晶シリコン層59及び酸化シリコン層60は、例えば、CVD法により形成する。
【0266】
多結晶シリコン層59は、最終的に半導体層12となる。酸化シリコン層60は、最終的にコア絶縁層20となる。
【0267】
次に、複数の窒化シリコン層52を除去する(
図39)。複数の窒化シリコン層52は、例えば、図示しない開口部を用いて、ウェットエッチング法により除去する。
【0268】
次に、窒化チタン層61及びタングステン層62を形成する(
図40)。窒化チタン層61及びタングステン層62は、例えばCVD法により形成する。
【0269】
窒化チタン層61は、最終的に、バリアメタル層10ax、10bx、10cx、及び10dxとなる。タングステン層62は、最終的に、金属層10ay、金属層10by、金属層10cy、及び金属層10dyとなる。
【0270】
次に、SOG層56を除去する(
図41)。SOG層56は、例えば、ウェットエッチング法により除去する。SOG層56を除去することにより、空隙部63が形成される。SOG層56を除去する際に、酸化シリコン層60のエッチングを防ぐためのマスク材を酸化シリコン層60の上に設けても構わない。
【0271】
次に、熱処理を行い、酸化ハフニウム層58を結晶化する(
図42)。熱処理は、例えば、窒素ガス雰囲気中で、600℃以上1050℃以下の温度で行う。熱処理は、いわゆる結晶化アニールである。
【0272】
熱処理により、酸化ハフニウム層58の中で、多結晶シリコン層59と窒化チタン層61に挟まれた領域58aは、印加される応力により、直方晶系又は三方晶系の結晶となる。一方、領域58aと空隙部63に挟まれた領域58bは、印加される応力が小さいため、直方晶系又は三方晶系の結晶以外の結晶、又は、非晶質相となる。
【0273】
言い換えれば、多結晶シリコン層59と窒化チタン層61に挟まれた領域58aは、強誘電体となる。また、領域58aと空隙部63に挟まれた領域58bは、常誘電体となる。
【0274】
多結晶シリコン層59と窒化チタン層61に挟まれた領域58aは、最終的に、強誘電体領域31x及び強誘電体領域32xとなる。また、領域58aと空隙部63に挟まれた領域58bは、最終的に、常誘電体領域31y及び常誘電体領域32yとなる。
【0275】
次に、空隙部63を、酸化シリコン層64で埋め込む(
図43)。酸化シリコン層64は、最終的に、トレンチ絶縁層16となる。
【0276】
以上の製造方法により、第4の実施形態の3次元強誘電体メモリ400のメモリセルアレイ401が製造される。
【0277】
次に、第4の実施形態の半導体記憶装置の作用及び効果について説明する。
【0278】
メモリセルを3次元的に配置した3次元NANDフラッシュメモリは、高い集積度と低いコストを実現する。3次元NANDフラッシュメモリでは、例えば、複数の絶縁層と複数のゲート電極層とが交互に積層された積層体に、積層体を貫通するメモリホールが形成されている。3次元NANDフラッシュメモリのメモリセルとして、FeFET型の3端子型メモリを適用することで、ゲート絶縁層の薄膜化が可能となる。したがって、メモリホールの穴径を縮小することでき、メモリセルの微細化が可能となる。よって、FeFET型の3端子型メモリを適用することで、メモリの集積度を更に高くすることが可能となる。
【0279】
メモリセルを微細化していくと、例えば、ゲート絶縁層となる強誘電体層の分極状態の制御が困難になり、メモリセルの動作が不安定になるおそれがある。したがって、メモリセルを微細化した場合でも、安定動作するメモリセルを備えたメモリの実現が望まれる。
【0280】
第4の実施形態の3次元強誘電体メモリ400のメモリセルアレイ401は、第1の誘電体層31は、強誘電体領域31x及び常誘電体領域31yを含む。常誘電体領域31yは、強誘電体領域31xとトレンチ絶縁層16の間に設けられる。
【0281】
強誘電体領域31xとトレンチ絶縁層16の間の部分は、第1のゲート電極層10aの角部に隣接する。第1のゲート電極層10aの角部近傍には、第1のゲート電極層10aに印加されるゲート電圧による電界集中が生じ電界強度が高くなる。このため、仮に、この部分に強誘電体領域が設けられていると、高い電界強度により分極特性の劣化が生じるおそれがある。分極特性の劣化が生じると、強誘電体層の分極状態の制御性が劣化し、メモリセルMCの特性劣化が生じるおそれがある。
【0282】
第4の実施形態のメモリセルアレイ401は、例えば、第1のゲート電極層10aの角部に隣接する部分には、常誘電体領域31yを設ける。このため、分極特性の劣化を抑制することが可能となる。したがって、強誘電体層の分極状態の制御性が向上する。よって、安定動作する半導体記憶装置が実現できる。
【0283】
以上、第4の実施形態によれば、強誘電体層の分極状態の制御性が向上し、安定動作する半導体記憶装置が実現できる。
【0284】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の半導体記憶装置は、第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、第1の方向に延び、第1の方向に交差する第2の方向に第1のゲート電極層と隣り合う第2のゲート電極層と、第1のゲート電極層と第2のゲート電極層との間に設けられ、第1の方向及び第2の方向に交差する第3の方向に延びる第1の半導体層と、第1のゲート電極層と第2のゲート電極層との間に設けられ、第3の方向に延び、第1の方向に第1の半導体層と隣り合う第2の半導体層と、第1の半導体層と第2のゲート電極層との間に設けられ、第3の方向に延びる第3の半導体層と、第1のゲート電極層と第1の半導体層との間及び第1のゲート電極層と第2の半導体層との間に設けられ、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含み、第1のゲート電極層と第1の半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第1の領域と、第1のゲート電極層と第2の半導体層との間の直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間の直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする第3の領域とを含む、第1の誘電体層と、第2のゲート電極層と第3の半導体層との間に設けられ、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含む、第2の誘電体層と、第3の領域と第2のゲート電極層との間に設けられ、第3の領域と接する第1の絶縁層と、を備える。
【0285】
第5の実施形態の半導体記憶装置は、3次元強誘電体メモリ500である。第5の実施形態の3次元強誘電体メモリ500は、メモリセルMCとして、FeFET型の3端子型メモリを適用する強誘電体メモリである。
【0286】
第5の実施形態の3次元強誘電体メモリ500は、第1の実施形態の
図1で示した回路構成と、同様の回路構成を備える。また、3次元強誘電体メモリ500のメモリセルアレイ501は、第1の実施形態の
図2で示した等価回路と同様の等価回路を備える。
【0287】
図44、
図45は、第5の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図である。
図44は、メモリセルアレイ501のxy断面である。
図44は、
図45のHH’面を含む断面である。
図45は、メモリセルアレイ501のyz断面である。
図45は、
図44のGG’断面である。
【0288】
図44及び
図45において、破線で囲まれた領域が一つのメモリセルMCである。
図44には、x方向に隣り合うメモリセルMC1とメモリセルMC2、及び、メモリセルMC1とy方向に隣り合うメモリセルMC3を例示している。また、
図45には、メモリセルMC1及びメモリセルMC3と、メモリセルMC1とz方向に隣り合うメモリセルMC4を例示している。
【0289】
メモリセルアレイ501は、第1のゲート電極層10a、第2のゲート電極層10b、第3のゲート電極層10c、第4のゲート電極層10d、第1の半導体層12a、第2の半導体層12b、第3の半導体層12c、トレンチ絶縁層16、層間絶縁層18、コア絶縁層20、第1の誘電体層41、及び第2の誘電体層42を備える。
【0290】
トレンチ絶縁層16は、第1の絶縁層の一例である。層間絶縁層18は、第2の絶縁層の一例である。
【0291】
第1のゲート電極層10aは、x方向に延びる。第1のゲート電極層10aは、例えば、
図2に示すワード線WLaに対応する。第1のゲート電極層10aは、メモリセルMC1及びメモリセルMC2のトランジスタのゲート電極として機能する。
【0292】
第1のゲート電極層10aは、バリアメタル層10axと金属層10ayを含む。
【0293】
バリアメタル層10axは、例えば、金属窒化物又は金属炭化物である。バリアメタル層10axは、例えば、窒化チタンを含む。バリアメタル層10axは、例えば、窒化チタン層である。
【0294】
金属層10ayは、例えば、金属である。金属層10ayは、例えば、タングステン(W)を含む。金属層10ayは、例えば、タングステン層である。
【0295】
第2のゲート電極層10bは、x方向に延びる。第2のゲート電極層10bは、y方向に第1のゲート電極層10aと隣り合う。第2のゲート電極層10bは、例えば、
図2に示すワード線WLbに対応する。第2のゲート電極層10bは、メモリセルMC3のトランジスタのゲート電極として機能する。
【0296】
第2のゲート電極層10bは、バリアメタル層10bxと金属層10byを含む。
【0297】
バリアメタル層10bxは、例えば、金属窒化物又は金属炭化物である。バリアメタル層10bxは、例えば、窒化チタンを含む。バリアメタル層10bxは、例えば、窒化チタン層である。
【0298】
金属層10byは、例えば、金属である。金属層10byは、例えば、タングステン(W)を含む。金属層10byは、例えば、タングステン層である。
【0299】
第3のゲート電極層10cは、x方向に延びる。第3のゲート電極層10cは、z方向に第1のゲート電極層10aと隣り合う。第3のゲート電極層10cは、例えば、
図2に示すワード線WLaに対応する。第3のゲート電極層10cは、メモリセルMC4のトランジスタのゲート電極として機能する。
【0300】
第3のゲート電極層10cは、バリアメタル層10cxと金属層10cyを含む。
【0301】
バリアメタル層10cxは、例えば、金属窒化物又は金属炭化物である。バリアメタル層10cxは、例えば、窒化チタンを含む。バリアメタル層10cxは、例えば、窒化チタン層である。
【0302】
金属層10cyは、例えば、金属である。金属層10cyは、例えば、タングステン(W)を含む。金属層10cyは、例えば、タングステン層である。
【0303】
第4のゲート電極層10dは、x方向に延びる。第4のゲート電極層10dは、y方向に第3のゲート電極層10cと隣り合う。また、第4のゲート電極層10dは、z方向に第2のゲート電極層10bと隣り合う。第4のゲート電極層10dは、例えば、
図2に示すワード線WLbに対応する。第4のゲート電極層10dは、メモリセルMCのトランジスタのゲート電極として機能する。
【0304】
第4のゲート電極層10dは、バリアメタル層10dxと金属層10dyを含む。
【0305】
バリアメタル層10dxは、例えば、金属窒化物又は金属炭化物である。バリアメタル層10dxは、例えば、窒化チタンを含む。バリアメタル層10dxは、例えば、窒化チタン層である。
【0306】
金属層10dyは、例えば、金属である。金属層10dyは、例えば、タングステン(W)を含む。金属層10dyは、例えば、タングステン層である。
【0307】
第1の半導体層12aは、第1のゲート電極層10aと第2のゲート電極層10bとの間に設けられる。第1の半導体層12aは、第3のゲート電極層10cと第4のゲート電極層10dとの間に設けられる。第1の半導体層12aは、z方向に延びる。第1の半導体層12aは、例えば、板状である。
【0308】
第1の半導体層12aは、メモリセルMC1及びメモリセルMC4のトランジスタのチャネルとして機能する。
【0309】
第1の半導体層12aは、例えば、多結晶の半導体である。第1の半導体層12aは、例えば、多結晶シリコンを含む。第1の半導体層12aは、例えば、多結晶シリコン層である。第1の半導体層12aのy方向の厚さは、例えば、5nm以上30nm以下である。
【0310】
第2の半導体層12bは、第1のゲート電極層10aと第2のゲート電極層10bとの間に設けられる。第2の半導体層12bは、第3のゲート電極層10cと第4のゲート電極層10dとの間に設けられる。第2の半導体層12bは、z方向に延びる。第2の半導体層12bは、x方向に第1の半導体層12aと隣り合う。第2の半導体層12bは、例えば、板状である。
【0311】
第2の半導体層12bは、メモリセルMC2のトランジスタのチャネルとして機能する。
【0312】
第2の半導体層12bは、例えば、多結晶の半導体である。第2の半導体層12bは、例えば、多結晶シリコンを含む。第2の半導体層12bは、例えば、多結晶シリコン層である。第2の半導体層12bのy方向の厚さは、例えば、5nm以上30nm以下である。
【0313】
第3の半導体層12cは、第1のゲート電極層10aと第2のゲート電極層10bとの間に設けられる。第3の半導体層12cは、第3のゲート電極層10cと第4のゲート電極層10dとの間に設けられる。第3の半導体層12cは、第1の半導体層12aと第2のゲート電極層10bとの間に設けられる。第3の半導体層12cは、z方向に延びる。第3の半導体層12cは、y方向に第1の半導体層12aと隣り合う。第3の半導体層12cは、例えば、板状である。
【0314】
第3の半導体層12cは、メモリセルMC3のトランジスタのチャネルとして機能する。
【0315】
第3の半導体層12cは、例えば、多結晶の半導体である。第3の半導体層12cは、例えば、多結晶シリコンを含む。第3の半導体層12cは、例えば、多結晶シリコン層である。第3の半導体層12cのy方向の厚さは、例えば、5nm以上30nm以下である。
【0316】
第1の誘電体層41は、第1のゲート電極層10aと第1の半導体層12aとの間に設けられる。第1の誘電体層41は、第1のゲート電極層10aと第2の半導体層12bとの間に設けられる。第1の誘電体層41は、第1のゲート電極層10aとトレンチ絶縁層16との間に設けられる。
【0317】
第1の誘電体層41の一部が強誘電体である。第1の誘電体層41の一部が、メモリセルMC1及びメモリセルMC2のトランジスタのゲート絶縁層として機能する。
【0318】
第2の誘電体層42は、第2のゲート電極層10bと第3の半導体層12cとの間に設けられる。第2の誘電体層42は、第2のゲート電極層10bとトレンチ絶縁層16との間に設けられる。
【0319】
第2の誘電体層42の一部が強誘電体である。第2の誘電体層42の一部が、メモリセルMC3のトランジスタのゲート絶縁層として機能する。
【0320】
第1の誘電体層41と第2の誘電体層42はy方向に離間する。
【0321】
第1の誘電体層41及び第2の誘電体層42は、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含む。第1の誘電体層41及び第2の誘電体層42は、例えば、酸化ハフニウム層である。第1の誘電体層41及び第2の誘電体層42は、例えば、酸化ジルコニウム層である。第1の誘電体層41及び第2の誘電体層42のy方向の厚さは、例えば、5nm以上40nm以下である。
【0322】
トレンチ絶縁層16は、第1のゲート電極層10aと第2のゲート電極層10bとの間に設けられる。トレンチ絶縁層16は、第3のゲート電極層10cと第4のゲート電極層10dとの間に設けられる。トレンチ絶縁層16は、第1の誘電体層41と第2の誘電体層42との間に設けられる。
【0323】
トレンチ絶縁層16は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。トレンチ絶縁層16は、例えば、酸化シリコン又は酸化アルミニウムを含む。トレンチ絶縁層16は、例えば、酸化シリコン層又は酸化アルミニウム層である。
【0324】
層間絶縁層18は、第1のゲート電極層10aと第3のゲート電極層10cとの間、及び、第2のゲート電極層10bと第4のゲート電極層10dとの間に設けられる。
【0325】
層間絶縁層18は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。層間絶縁層18は、例えば、酸化シリコンを含む。層間絶縁層18は、例えば、酸化シリコン層である。層間絶縁層18のz方向の厚さは、例えば、5nm以上30nm以下である。
【0326】
コア絶縁層20は、第1の半導体層12aと第3の半導体層12cとの間に設けられる。
【0327】
コア絶縁層20は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。コア絶縁層20は、例えば、酸化シリコンを含む。コア絶縁層20は、例えば、酸化シリコン又は酸化アルミニウムを含む。コア絶縁層20は、例えば、酸化シリコン層又は酸化アルミニウム層である。
【0328】
第1の誘電体層41及び第2の誘電体層42は、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物を含む。第1の誘電体層41及び第2の誘電体層42の一部が強誘電体であり、別の一部が常誘電体である。
【0329】
第1の誘電体層41及び第2の誘電体層42は、例えば、酸化ハフニウムを主成分とする。酸化ハフニウムを主成分とするとは、第1の誘電体層41及び第2の誘電体層42に含まれる物質の中で、酸化ハフニウムのモル比率が最も高いことを意味する。酸化ハフニウムのモル比率は、例えば、90%以上である。
【0330】
第1の誘電体層41及び第2の誘電体層42は、例えば、酸化ジルコニウムを主成分とする。酸化ジルコニウムを主成分とするとは、第1の誘電体層41及び第2の誘電体層42に含まれる物質の中で、酸化ジルコニウムのモル比率が最も高いことを意味する。
【0331】
第1の誘電体層41及び第2の誘電体層42に含まれる酸化ジルコニウムのモル比率は、例えば、40%以上60%以下である。第1の誘電体層41及び第2の誘電体層42に含まれる酸化物は、例えば、酸化ハフニウムと酸化ジルコニウムとの混晶である。
【0332】
酸化ハフニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶である場合、強誘電性を有する。酸化ハフニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶である場合、強誘電体である。
【0333】
強誘電性を有する酸化ハフニウムは、例えば、第三直方晶系(Orthorhombic III、空間群Pbc21、空間群番号29番)、又は、三方晶系(Trigonal、空間群R3m又はP3又はR3、空間群番号160番又は143番又は146番)の結晶である場合に、強誘電性を有する。
【0334】
酸化ハフニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶以外の結晶である場合、又は、非晶質である場合、強誘電性を有しない。酸化ハフニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶以外の結晶である場合、又は、非晶質である場合は、常誘電体である。直方晶系又は三方晶系以外とは、立方晶系、六方晶系、正方晶系、単斜晶系、三斜晶系である。
【0335】
酸化ジルコニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶である場合、強誘電性を有する。 酸化ジルコニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶である場合、強誘電体である。
【0336】
強誘電性を有する酸化ジルコニウムは、例えば、第三直方晶系(Orthorhombic III、空間群Pbc21、空間群番号29番)、又は、三方晶系(Trigonal、空間群R3m又はP3又はR3、空間群番号160番又は143番又は146番)の結晶である場合に、強誘電性を有する。
【0337】
酸化ジルコニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶以外の結晶である場合、又は、非晶質である場合、強誘電性を有しない。酸化ジルコニウムは、直方晶系又は三方晶系の結晶以外の結晶である場合、又は、非晶質である場合は、常誘電体である。
【0338】
第1の誘電体層41及び第2の誘電体層42は、例えば、シリコン(Si)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、ストロンチウム(Sr)、ランタン(La)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、及び、バリウム(Ba)からなる群から選ばれる少なくとも一つの添加元素を含む。第1の誘電体層41及び第2の誘電体層42に含まれる酸化物は、上記添加元素を含む。酸化物が酸化ハフニウムの場合、上記添加元素を含むことにより、酸化ハフニウムに強誘電性が発現しやすくなる。
【0339】
第1の誘電体層41は、強誘電体領域41a、強誘電体領域41b、強誘電体領域41c、常誘電体領域41dを含む。
【0340】
強誘電体領域41aは、第1の領域の一例である。強誘電体領域41bは、第2の領域の一例である。常誘電体領域41dは、第3の領域の一例である。
【0341】
強誘電体領域41aは、第1のゲート電極層10aと第1の半導体層12aとの間に設けられる。強誘電体領域41bは、第1のゲート電極層10aと第2の半導体層12bとの間に設けられる。強誘電体領域41cは、第3のゲート電極層10cと第1の半導体層12aとの間に設けられる。
【0342】
常誘電体領域41dは、強誘電体領域41aと強誘電体領域41bとの間に設けられる。常誘電体領域41dは、第1のゲート電極層10aとトレンチ絶縁層16の間に設けられる。トレンチ絶縁層16は、常誘電体領域41dと第2のゲート電極層10bの間に設けられる。トレンチ絶縁層16は、常誘電体領域41dと接する。
【0343】
第2の誘電体層42は、強誘電体領域42aを含む。強誘電体領域42aは、第4の領域の一例である。
【0344】
強誘電体領域42aは、第2のゲート電極層10bと第3の半導体層12cとの間に設けられる。
【0345】
強誘電体領域41a、強誘電体領域41b、強誘電体領域41c、及び強誘電体領域42aは、直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とする。直方晶系又は三方晶系の結晶を主たる構成物質とするとは、強誘電体領域41a、強誘電体領域41b、強誘電体領域41c、及び強誘電体領域42aを構成する物質のなかで、直方晶系又は三方晶系の結晶が最も高い存在割合を示すことを意味する。
【0346】
強誘電体領域41a、強誘電体領域41b、強誘電体領域41c、及び強誘電体領域42aは、直方晶系又は三方晶系の結晶の存在割合が、直方晶系及び三方晶系の結晶以外の結晶又は非晶質相の存在割合よりも大きい。強誘電体領域41a、強誘電体領域41b、強誘電体領域41c、及び強誘電体領域42aは、結晶質である。
【0347】
強誘電体領域41a、強誘電体領域41b、強誘電体領域41c、及び強誘電体領域42aは、強誘電体である。強誘電体領域41a、強誘電体領域41b、強誘電体領域41c、及び強誘電体領域42aに含まれる酸化物は、強誘電体である。
【0348】
強誘電性を有する強誘電体領域41a、強誘電体領域41b、強誘電体領域41c、及び強誘電体領域42aは、メモリセルMCのFeFETのゲート絶縁層として機能する。
【0349】
常誘電体領域41dは、直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする。直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とするとは、常誘電体領域41dを構成する物質のなかで、直方晶系及び三方晶系の結晶以外の物質が最も高い存在割合を示すことを意味する。
【0350】
常誘電体領域41dは、直方晶系及び三方晶系の結晶以外の結晶又は非晶質相の存在割合が、直方晶系又は三方晶系の結晶の存在割合よりも大きい。常誘電体領域41dは、結晶質又は非晶質である。
【0351】
常誘電体領域41dは、常誘電体である。常誘電体領域41dに含まれる酸化物は、常誘電体である。
【0352】
次に、第5の実施形態の半導体記憶装置の製造方法の一例について説明する。
【0353】
【0354】
【0355】
最初に、図示しない半導体基板の上に、複数の酸化シリコン層51と複数の窒化シリコン層52を交互に積層する(
図46)。
【0356】
酸化シリコン層51、窒化シリコン層52は、例えば、CVD法により形成する。
【0357】
酸化シリコン層51の一部は、最終的に層間絶縁層18となる。
【0358】
次に、複数の酸化シリコン層51と複数の窒化シリコン層52にメモリトレンチ55を形成する(
図47)。メモリトレンチ55は、複数の酸化シリコン層51と複数の窒化シリコン層52を貫通する。
【0359】
メモリトレンチ55は、例えば、リソグラフィ法とRIE法により形成する。
【0360】
次に、メモリトレンチ55の中に、酸化ハフニウム層58、多結晶シリコン層59、及び酸化シリコン層60を形成する(
図48)。酸化ハフニウム層58は、例えば、ALD法により形成する。多結晶シリコン層59及び酸化シリコン層60は、例えば、CVD法により形成する。
【0361】
酸化ハフニウム層58の一部は、最終的に、第1の誘電体層41及び第2の誘電体層42になる。多結晶シリコン層59の一部は、最終的に、第1の半導体層12a、第2の半導体層12b、第3の半導体層12cとなる。酸化シリコン層60の一部は、最終的にコア絶縁層20となる。
【0362】
次に、複数の窒化シリコン層52を除去する(
図49)。複数の窒化シリコン層52は、例えば、図示しない開口部を用いて、ウェットエッチング法により除去する。
【0363】
次に、窒化チタン層61及びタングステン層62を形成する(
図50)。窒化チタン層61及びタングステン層62は、例えばCVD法により形成する。
【0364】
窒化チタン層61は、最終的に、バリアメタル層10ax、10bx、10cx、及び10dxとなる。タングステン層62は、最終的に、金属層10ay、金属層10by、金属層10cy、及び金属層10dyとなる。
【0365】
次に、酸化シリコン層60の一部を除去し開口部69を形成する(
図51)。開口部69の形成は、例えば、図示しないパターニングされたハードマスク層をマスクに、RIE法により行う。
【0366】
次に、開口部69に露出した多結晶シリコン層59の一部を除去する(
図52)。多結晶シリコン層59の除去は、例えば、ウェットエッチングにより行う。
【0367】
次に、熱処理を行い、酸化ハフニウム層58を結晶化する(
図53)。熱処理は、例えば、窒素ガス雰囲気中で、600℃以上1050℃以下の温度で行う。熱処理は、いわゆる結晶化アニールである。
【0368】
熱処理により、酸化ハフニウム層58の中で、多結晶シリコン層59と窒化チタン層61に挟まれた領域58aは、印加される応力により、直方晶系又は三方晶系の結晶となる。一方、窒化チタン層61と開口部69に挟まれた領域58bは、印加される応力が小さいため、直方晶系又は三方晶系の結晶以外の結晶、又は、非晶質相となる。
【0369】
言い換えれば、多結晶シリコン層59と窒化チタン層61に挟まれた領域58aは、強誘電体となる。また、窒化チタン層61と開口部69に挟まれた領域58bは、常誘電体となる。
【0370】
多結晶シリコン層59と窒化チタン層61に挟まれた領域58aは、最終的に、強誘電体領域41a、強誘電体領域41b、強誘電体領域41c、及び強誘電体領域42aとなる。また、窒化チタン層61と開口部69に挟まれた領域58bは、最終的に、常誘電体領域41dとなる。
【0371】
次に、開口部69を、酸化シリコン層64で埋め込む(
図54)。酸化シリコン層64は、最終的に、トレンチ絶縁層16となる。
【0372】
以上の製造方法により、第5の実施形態の3次元強誘電体メモリ500のメモリセルアレイ501が製造される。
【0373】
なお、熱処理の前に、開口部69の中に、酸化アルミニウム層を形成し、その後、熱処理を行っても構わない。この方法によっても、窒化チタン層61と酸化アルミニウム層に挟まれた領域が、常誘電体となる。
【0374】
次に、第5の実施形態の半導体記憶装置の作用及び効果について説明する。
【0375】
メモリセルを3次元的に配置した3次元NANDフラッシュメモリは、高い集積度と低いコストを実現する。3次元NANDフラッシュメモリでは、例えば、複数の絶縁層と複数のゲート電極層とが交互に積層された積層体に、積層体を貫通するメモリホールが形成されている。3次元NANDフラッシュメモリのメモリセルとして、FeFET型の3端子型メモリを適用することで、ゲート絶縁層の薄膜化が可能となる。したがって、メモリホールの穴径を縮小することでき、メモリセルの微細化が可能となる。よって、FeFET型の3端子型メモリを適用することで、メモリの集積度を更に高くすることが可能となる。
【0376】
メモリセルを微細化していくと、例えば、ゲート絶縁層となる強誘電体層の分極状態の制御が困難になり、メモリセルの動作が不安定になるおそれがある。したがって、メモリセルを微細化した場合でも、安定動作するメモリセルを備えたメモリの実現が望まれる。
【0377】
第5の実施形態の3次元強誘電体メモリ500のメモリセルアレイ501は、第1の誘電体層41は、例えば、強誘電体領域41a、強誘電体領域41b、及び常誘電体領域41dに分割されている。メモリセルMC1のゲート絶縁層となる強誘電体領域41aと、メモリセルMC2のゲート絶縁層となる強誘電体領域41bの間が、常誘電体領域41dで分断されている。
【0378】
したがって、例えば、メモリセルMC1への書き込み動作の際に、第1の誘電体層41の分極反転が、意図せずメモリセルMC2の側まで進むことが抑制される。すなわち、第1の誘電体層41の分極状態の制御性が向上する。したがって、例えば、メモリセルMC2への誤書き込みが抑制される。よって、メモリセルMC1とメモリセルMC2の間の干渉が抑制される。
【0379】
以上、第5の実施形態によれば、強誘電体層の分極状態の制御性が向上し、安定動作する半導体記憶装置が実現できる。
【0380】
(第6の実施形態)
第1の誘電体層は、第1の領域に第3の方向に隣り合い、直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする第5の領域を、更に備える点で、第5の実施形態の半導体記憶装置と異なる。以下、第5の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0381】
図55は、第6の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図である。
図55は、メモリセルアレイ601のyz断面である。
図55は、
図45に対応する断面である。
【0382】
図55において、破線で囲まれた領域が一つのメモリセルMCである。
図55には、y方向に隣り合うメモリセルMC1及びメモリセルMC3と、メモリセルMC1とz方向に隣り合うメモリセルMC4を例示している。
【0383】
メモリセルアレイ501は、第1のゲート電極層10a、第2のゲート電極層10b、第3のゲート電極層10c、第4のゲート電極層10d、第1の半導体層12a、第2の半導体層12b、第3の半導体層12c、トレンチ絶縁層16、層間絶縁層18、コア絶縁層20、第1の誘電体層41、及び第2の誘電体層42を備える。
【0384】
トレンチ絶縁層16は、第1の絶縁層の一例である。層間絶縁層18は、第2の絶縁層の一例である。
【0385】
層間絶縁層18は、第1のゲート電極層10aと第3のゲート電極層10cとの間、及び、第2のゲート電極層10bと第4のゲート電極層10dとの間に設けられる。
【0386】
層間絶縁層18は、酸化アルミニウムを含む。層間絶縁層18は、例えば、酸化アルミニウム層である。
【0387】
第1の誘電体層41は、常誘電体領域41eを含む。常誘電体領域41eは、強誘電体領域41aと強誘電体領域41cとの間に設けられる。常誘電体領域41eは、層間絶縁層18と第1の半導体層12aとの間に設けられる。
【0388】
常誘電体領域41eは、第5の領域の一例である。
【0389】
常誘電体領域41eは、直方晶系及び三方晶系の結晶以外を主たる構成物質とする。常誘電体領域41eは、直方晶系及び三方晶系の結晶以外の結晶又は非晶質相の存在割合が、直方晶系又は三方晶系の結晶の存在割合よりも大きい。常誘電体領域41eは、結晶質又は非晶質である。
【0390】
常誘電体領域41dは、常誘電体である。常誘電体領域41dに含まれる酸化物は、常誘電体である。
【0391】
第6の実施形態のメモリセルアレイ601は、例えば、第5の実施形態の半導体記憶装置の製造方法の
図46に示す工程において、半導体基板の上に、酸化シリコン層51に代えて複数の酸化アルミニウム層を複数の窒化シリコン層52と交互に積層することで形成することが可能である。酸化ハフニウム層を結晶化する結晶化アニールの際に、酸化ハフニウム層が酸化アルミニウム層と接していると、酸化ハフニウム層における、直方晶系及び三方晶系の結晶の結晶成長が抑制される。
【0392】
第6の実施形態の3次元強誘電体メモリ600のメモリセルアレイ601は、第1の誘電体層41が、z方向に強誘電体領域41a、常誘電体領域41e、及び強誘電体領域41cに分割されている。メモリセルMC1の強誘電体領域41aと、メモリセルMC1のz方向に隣り合うメモリセルMC4の強誘電体領域41cの間は、常誘電体領域41eで分断されている。
【0393】
このため、例えば、メモリセルMC1への書き込み動作の際に、第1の誘電体層41の分極反転が、意図せずメモリセルMC4の側まで進むことが抑制される。すなわち、第1の誘電体層41の分極状態の制御性が向上する。したがって、例えば、メモリセルMC4への誤書き込みが抑制される。よって、メモリセルMCの間の干渉が、第5の実施形態の半導体記憶装置と比較して更に抑制される。
【0394】
以上、第6の実施形態によれば、第5の実施形態と比較して、強誘電体層の分極状態の制御性が更に向上し、更に安定動作する半導体記憶装置が実現できる。
【0395】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成物質を他の実施形態の構成物質と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0396】
10a 第1のゲート電極層
10b 第2のゲート電極層
10c 第3のゲート電極層
10d 第4のゲート電極層
12 半導体層
12a 第1の半導体層
12b 第2の半導体層
12c 第3の半導体層
14 誘電体層
14a 強誘電体領域(第1の領域)
14b 強誘電体領域(第2の領域)
14c 常誘電体領域(第3の領域)
14d 常誘電体領域(第4の領域)
14e 常誘電体領域(第4の領域)
16 トレンチ絶縁層(第1の絶縁層)
18 層間絶縁層(第3の絶縁層、第2の絶縁層)
20 コア絶縁層(第4の絶縁層)
22 中間絶縁層(第2の絶縁層)
31 第1の誘電体層
31x 強誘電体領域(第1の領域)
31y 常誘電体領域(第2の領域)
32 第2の誘電体層
32x 強誘電体領域(第3の領域)
32y 常誘電体領域(第4の領域)
33 第3の誘電体層
41 第1の誘電体層
41a 強誘電体領域(第1の領域)
41b 強誘電体領域(第2の領域)
41d 常誘電体領域(第3の領域)
41e 常誘電体領域(第5の領域)
42 第2の誘電体層
42a 強誘電体領域(第4の領域)
100 3次元強誘電体メモリ(半導体記憶装置)
200 3次元強誘電体メモリ(半導体記憶装置)
300 3次元強誘電体メモリ(半導体記憶装置)
400 3次元強誘電体メモリ(半導体記憶装置)
500 3次元強誘電体メモリ(半導体記憶装置)
600 3次元強誘電体メモリ(半導体記憶装置)
d1 第1の距離
d2 第2の距離
t1 第1の厚さ
t2 第2の厚さ