(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051491
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】スマートバッテリデバイス及びその操作方法
(51)【国際特許分類】
H02H 7/18 20060101AFI20220324BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220324BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220324BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
H02H7/18
H02J7/00 B
H02J7/00 S
H02J7/00 V
H01M10/48 P
H01M10/44 P
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031817
(22)【出願日】2021-03-01
(31)【優先権主張番号】109132210
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】508018934
【氏名又は名称】廣達電腦股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Quanta Computer Inc.
【住所又は居所原語表記】No.188,Wenhua 2nd Rd.,Guishan Dist.,Taoyuan City 333,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】顏 維廷
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G053AA06
5G053BA01
5G053CA01
5G503AA01
5G503BB01
5G503CA04
5G503DA04
5G503EA01
5G503FA17
5G503GD03
5H030AS06
5H030AS11
5H030BB04
5H030BB21
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF52
(57)【要約】 (修正有)
【課題】漏電を検出し、システム漏電によるバッテリデバイスの電力消費を抑制しながら、充電モードを調整するためのスマート急速/通常充電切り換えを行うスマートバッテリデバイス及びその操作方法を提供する。
【解決手段】電子デバイスに適用され、電力を電子デバイスに供給するスマートバッテリデバイス200は、バッテリパック240と、スマートバッテリデバイスの充放電を検出する検出レジスタ260と、バッテリパック、検出レジスタ及び電子デバイスに接続されたメイン管理チップ210であって、スマートバッテリデバイスの充放電を管理するメイン管理チップと、を備える。電子デバイスの電源がオンでない場合、メイン管理チップは、検出レジスタを介して電子デバイスの漏電を検出したことに応じて、スマートバッテリデバイスを一時的な障害状態にしてスマートバッテリデバイスの放電を停止する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスに適用され、電力を前記電子デバイスに供給するスマートバッテリデバイスであって、
バッテリパックと、
前記スマートバッテリデバイスの充放電を検出する検出レジスタと、
前記バッテリパック、前記検出レジスタ及び前記電子デバイスに接続されたメイン管理チップであって、前記スマートバッテリデバイスの充放電を管理するメイン管理チップと、を備え、
前記電子デバイスの電源がオンでない場合、前記メイン管理チップは、前記検出レジスタを介して前記電子デバイスの漏電を検出したことに応じて、前記スマートバッテリデバイスを一時的な障害状態にして前記スマートバッテリデバイスの放電を停止することを特徴とするスマートバッテリデバイス。
【請求項2】
前記メイン管理チップが第一命令を受信した場合、前記第一命令により、前記メイン管理チップは、前記スマートバッテリデバイスが正常に放電するように前記一時的な障害状態を解除することを特徴とする請求項1に記載のスマートバッテリデバイス。
【請求項3】
外部電源を提供するアダプターが前記スマートバッテリデバイスに接続されている場合に、前記メイン管理チップは、前記アダプターの連続挿入時間を記録し、
前記連続挿入時間が第一時間より長い場合、前記メイン管理チップは、前記スマートバッテリデバイスを通常充電モードに設定することを特徴とする請求項1に記載のスマートバッテリデバイス。
【請求項4】
前記第一時間は168時間であることを特徴とする請求項3に記載のスマートバッテリデバイス。
【請求項5】
前記連続挿入時間が前記第一時間よりも短いが、前記第1時間より短い第二時間よりも長い場合に、前記メイン管理チップは、連続挿入回数を記録し、
前記連続挿入回数が所定回数以上である場合に、前記メイン管理チップは、前記スマートバッテリデバイスを前記通常充電モードに設定することを特徴とする請求項3に記載のスマートバッテリデバイス。
【請求項6】
前記第二時間は3時間であり、前記所定回数は10回であることを特徴とする請求項5に記載のスマートバッテリデバイス。
【請求項7】
ショートカットキーをさらに備え、前記ショートカットキーが用いられると、前記ショートカットキーが第二命令を前記メイン管理チップに出力し、前記第二命令により、前記メイン管理チップは、前記スマートバッテリデバイスを急速充電モードに設定することを特徴とする請求項3に記載のスマートバッテリデバイス。
【請求項8】
モニターをさらに備え、前記モニターは、前記スマートバッテリデバイスが急速充電モード又は通常充電モードであるかを表示するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のスマートバッテリデバイス。
【請求項9】
スマートバッテリデバイスの操作方法であって、前記操作方法は、前記スマートバッテリデバイスを有する電子デバイスに適用され、前記スマートバッテリデバイスは、バッテリパックと、検出レジスタと、メイン管理チップと、を備え、
前記操作方法は、
前記検出レジスタを介して前記電子デバイスが漏電しているか否かを判別する工程と、
前記電子デバイスが漏電している場合に、前記メイン管理チップによって前記スマートバッテリデバイスを一時的な障害状態にする工程であって、前記一時的な障害により、前記スマートバッテリデバイスの充放電を停止する工程と、
を有することを特徴とする操作方法。
【請求項10】
ホットキーを介して第一命令を前記メイン管理チップに送信する工程をさらに有し、前記第一命令により、前記メイン管理チップは、前記スマートバッテリデバイスが正常に放電するように前記一時的な障害状態を解除することを特徴とする請求項9に記載の操作方法。
【請求項11】
スマートバッテリデバイスの操作方法であって、前記操作方法は、前記スマートバッテリデバイスを有する電子デバイスに適用され、前記スマートバッテリデバイスは、バッテリパックと、検出レジスタと、メイン管理チップと、アダプターと、を備え、前記アダプターは、外部電源を前記電子デバイスに供給し、前記スマートバッテリデバイスを充電するように構成されており、
前記操作方法は、
前記アダプターが前記電子デバイスに接続されている場合に、前記メイン管理チップによって前記アダプターの連続挿入時間を記録する工程と、
前記連続挿入時間が第一時間より長い場合に、前記メイン管理チップによって前記スマートバッテリデバイスを通常充電モードに設定する工程と、
を有することを特徴とする操作方法。
【請求項12】
前記メイン管理チップによって連続挿入回数を記録する工程と、
前記連続挿入時間が前記第一時間よりも短く、第二時間よりも長く、且つ、前記連続挿入回数が所定回数以上である場合に、前記メイン管理チップによって前記スマートバッテリデバイスを前記通常充電モードに設定する工程をさらに有し、
前記第二時間は、前記第一時間よりも短いことを特徴とする請求項11に記載の操作方法。
【請求項13】
ショートカットキーを介して第二命令を前記メイン管理チップに送信する工程をさらに有し、前記第二命令により、前記メイン管理チップは、前記スマートバッテリデバイスを急速充電モードに設定することを特徴とする請求項11に記載の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリデバイス及びその操作方法に関し、特に、スマート急速/通常充電切り換え(smart fast/normal charge switching)及び漏電防止(leakage prevention)機能を有するバッテリデバイス及びその操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の携帯型電子デバイス(例えば、スマートフォン、タブレット及びラップトップ等)において、バッテリデバイスは不可欠な装置である。多くのバッテリデバイスは、急速充電機能を有することが知られており、30分~一時間で80%以上の電力を充電することができる。しかし、一部のユーザは、急速充電機能を必要としない。例えば、一部のユーザは、電子デバイスを使用する場合に、アダプターを電子デバイスに接続し続ける。また、一部のユーザは、睡眠時間中に電子デバイスを充電することを習慣にしている。これらの場合、急速充電機能は不要であり、急速充電機能は、バッテリ寿命を短縮し、バッテリ容量を浪費する等の問題を生じる可能性がある。
【0003】
また、現在の電子デバイスは、大きい容量を有するバッテリを継続的に追求し、待機時間及び使用時間を増加させている。しかし、電子デバイスは、設計不良、経年劣化、構成部品の故障等により、漏電が発生する場合がある。電子デバイスのシステム側に漏電がある場合でも、バッテリの電気量(例えば、バッテリの電圧レベル)が依然として徐々に消耗され、これにより、電子デバイスの使用時間を減少させ、バッテリデバイスの増加した容量が無駄になる。
【0004】
よって、漏電を検出し、システム漏電によるバッテリデバイスの電力消費を抑制しながら、充電モードを調整するためのスマート急速/通常充電切り換えを提供するバッテリデバイス及び操作方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、スマートバッテリデバイス及びその操作方法を提供して、上述した問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、電子デバイスに適用され、電力を電子デバイスに供給するスマートバッテリデバイスを提供する。スマートバッテリデバイスは、バッテリパックと、検出レジスタと、メイン管理チップと、を有する。検出レジスタは、スマートバッテリデバイスの充放電を検出する。メイン管理チップは、バッテリパック、検出レジスタ及び電子デバイスに接続されている。メイン管理チップは、スマートバッテリデバイスの充放電を管理するように構成されている。電子デバイスの電源がオンでない場合、メイン管理チップが、検出レジスタを介して電子デバイス内の漏電を検出すると、メイン管理チップは、スマートバッテリデバイスを一時的な障害状態に移行して、スマートバッテリデバイスの放電を停止する。
【0007】
本発明の実施形態は、スマートバッテリデバイスの操作方法を提供する。操作方法は、スマートバッテリデバイスを有する電子デバイスに適用される。スマートバッテリデバイスは、バッテリパックと、検出レジスタと、メイン管理チップと、を有する。操作方法は、検出レジスタを介して電子デバイスが漏電を発生しているかどうかを検出する工程と、電子デバイスが漏電している場合、メイン管理チップによって、スマートバッテリデバイスを一時的な障害状態に移行して、一時的な障害が、スマートバッテリデバイスの充放電を停止する工程と、を有する。
【0008】
本発明の実施形態は、スマートバッテリデバイスの操作方法を提供する。操作方法は、スマートバッテリデバイスを有する電子デバイスに適用される。スマートバッテリデバイスは、バッテリパックと、検出レジスタと、メイン管理チップと、アダプターと、を有する。アダプターは、外部電源を電子デバイスに供給するとともに、スマートバッテリデバイスを充電するように構成されている。操作方法は、アダプターが電子デバイスに接続されている場合、メイン管理チップによって、連続挿入時間を記録する工程と、連続挿入時間が第一時間より長い場合、メイン管理チップによって、スマートバッテリデバイスを通常の充電モードに設定する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子デバイスの実際の操作時間が増加し、バッテリデバイスの寿命が増加し、電子デバイスコンポーネントの劣化が遅延する。
【0010】
本発明は、以下の詳細な記述と添付図面によってより良く理解することが出来る。強調したいことは、業界の標準的な慣行に従って、各種特徴が縮尺通りに描かれておらず、説明目的として用いられていることであるいる。実際、説明を明確にするために、各種特徴の寸法を任意に拡大又は縮小することができる。さらに強調することは、添付図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示し、よって、発明の範囲を限定するものとみなされないことである。よって、本発明は、他の実施形態にも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態による、電子デバイスのブロック図である。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態による、バッテリデバイスのブロック図である。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態による、漏れを防止する方法のフローチャートである。
【
図4】本発明のいくつかの実施形態による、スマート急速/通常充電切り換え方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の開示は、本発明の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施形態又は例を提供する。本発明を簡略化するために、構成要素及び配置の具体例を以下に記載する。勿論、これらは単なる例であり、本発明を限定することを意図しない。さらに、本発明は、様々な実施例において符号及び/又は文字を繰り返すことができる。この繰り返しは、簡潔及び明瞭にするためであり、それ自体は、説明する種々の実施形態及び/又は構成間の関係を規定するものではない。さらに、空間的に相対的な用語(例えば、“下方”“下”“低い”“上方”“上”等)は、図に示すように1つの要素又は特徴と他の要素又は特徴との関係を容易に示すために、本明細書で使用される。空間的に相対的な用語は、図に示された方向に加えて、使用中又は操作中のデバイスの異なる方向も包含することが意図される。デバイスは、異なる方向に転向(90度又は他の方向に回転)されてもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な用語は、適切に解釈される。
【0013】
さらに、特に断りのない限り、単数形は複数形を含み、逆もまた同様である。数字や数字の範囲が“約”“おおよそ”等で記載される場合、その用語は、その数字を含む合理的な範囲内の数字(例えば、数字の+/-10%以内、又は、当業者によって理解される他の数値)を含むことを意味する。さらに、本発明は、いくつかの動作が異なる順序で及び/又は他の動作や事象と同時に発生する可能性があるため、図示した動作や事象の順序によって限定されない。さらに、図示した全ての動作や事象が、本発明による方法を実行するために要求されるわけではない。
【0014】
本発明は、バッテリデバイスと、バッテリデバイスを補完するスマート急速/通常充電切り換え方法と、を提供する。ユーザの使用習慣にしたがって、スマート急速/通常充電切り換え方法は、バッテリデバイスを、急速充電モードから通常モード(スロー充電モード)に切り換えて、バッテリデバイスの耐用年数を増加させる。さらに、本発明は、漏電防止方法を提供し、この漏電防止方法は、同じバッテリデバイスに適用される。漏電防止方法は、電子デバイスの漏電を検出するとともに、漏電によるバッテリデバイスの電気量の消耗を防止し、これにより、重大時に十分な電気量を維持する。
【0015】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による、電子デバイス100のブロック図である。電子デバイス100は、アダプター110と、電源選択器120と、バッテリーチャージャー130と、電源管理ユニット140と、処理装置150と、バッテリデバイス160と、電源ボタン170と、を有する。いくつかの実施形態において、電子デバイス100は、スマートフォン、タブレット又はラップトップであってもよいが、本発明はこれらに限定されない。
【0016】
電源アダプター110が電子デバイス100に挿入されると、一般的なソケットやモバイルバッテリー等からの外部電源が電源選択器120に供給される。電源選択器120は、外部電源を、バッテリーチャージャー130及び電源管理ユニット140に供給する。バッテリーチャージャー130は、電源選択器120からの電力を用いて、バッテリデバイス160を充電する。電源管理ユニット140は、処理装置150に供給される電力を管理する。例えば、電子デバイス100が(例えば、電源アダプター110を介して)外部電源に接続されている場合、電源管理ユニット140は、外部電源からの電力を処理装置150に供給する。電源アダプター110が電子デバイス100に挿入されておらず、電子デバイス100が外部電源に接続されていない場合、電源管理ユニット140は、バッテリデバイス160からの電力を処理装置150に供給する。
【0017】
電源ボタン170は、電源選択器120に接続され、電子デバイス100の起動及び/又は他の命令を提供する。いくつかの実施形態において、電子デバイス100は、処理装置150に接続されたモニター180を有し、モニター180は、タッチ機能を有してもよい。いくつかの実施形態において、電子デバイス100は、ショートカットキー(図示省略)をさらに有し、ショートカットキーは、ユーザが命令を電子デバイス100に送信可能にするために用いられる。ショートカットキーは、単一の物理的ボタン、ボタンの組み合わせ、タッチスクリーンのジェスチャー、アプリケーションプログラムのオプション等であってもよいが、本発明はこれらに限定されない。
【0018】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、バッテリデバイス200のブロック図である。バッテリデバイス200は、
図1のバッテリデバイス160であってもよい。バッテリデバイス200は、メイン管理チップ210と、サブ管理チップ220と、保護装置230と、バッテリパック240と、充電スイッチ251と、放電スイッチ252と、検出レジスタ260と、を有する。メイン管理チップ210は、バッテリデバイス200全体の各種状態(例えば、充/放電電流、電気量、温度、バッテリ内部抵抗等)を検出することができる。メイン管理チップ210は、バッテリパック240の充/放電を制御する。例えば、メイン管理チップ210は、充電スイッチ251及び放電スイッチ252を介して、バッテリパック240の充放電を制御し、充電スイッチ251及び放電スイッチ252は、バッテリパック240とバッテリデバイス200の正極P+との間に結合される。メイン管理チップ210は、集積回路(IC)装置(例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、メモリ、他の適当なIC、又は、これらの組み合わせ)であってもよい。いくつかの実施形態において、メイン管理チップ210は、ガスゲージICであってもよい。
【0019】
検出レジスタ260は、メイン管理チップ210、バッテリパック240及びバッテリデバイス200の負極P-に結合されている。メイン管理チップ210は、検出レジスタ260を介して、バッテリデバイス200の充/放電電流を検出する。例えば、バッテリデバイス200が電子デバイス(例えば、電子デバイス100)に結合されている場合、メイン管理チップ210は、検出レジスタ260を介して、バッテリデバイス200から電子デバイスへの放電電流を検出する。本発明の実施形態では、検出レジスタ260を使用して、バッテリデバイス200に結合された電子デバイス(例えば、電子デバイス100)の漏電を検出する。例えば、電子デバイスの電源がオンでない場合、検出レジスタ260が電子デバイスへの放電電流を検出すると、漏電が発生していることを意味する。
【0020】
保護装置230(例えば、ヒューズ)は、バッテリパック240と充電スイッチ251(又は、放電スイッチ252)との間に結合され、サブ管理チップ220は、メイン管理チップ210、保護装置230及びバッテリパック240に結合されている。サブ管理チップ220及び保護装置230は、バッテリデバイス200の二次的な保護として機能する。例えば、メイン管理チップ210の故障や、充電スイッチ251及び/又は放電スイッチ252の故障を検出したために、バッテリパック240の充/放電を制御できない場合、サブ管理チップ220は、保護装置230を切断状態に切り換えて、バッテリパック240の充放電を停止する。サブ管理チップ220は、集積回路装置(例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、メモリ、他の適当なIC、又は、これらの組み合わせ)であってもよい。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態において、バッテリデバイス200は、複数のピン(例えば、クロックピンSMBus_Clock、データピンSMBus_Data、識別ピンBattery_ID及び識別ピンSystem_ID等)をさらに有する。バッテリデバイス200は、クロックピンSMBus_Clock及びデータピンSMBus_Dataを介して、接続された電子デバイス(例えば、電子デバイス100)と通信する。識別ピンBattery_IDは、電子デバイス(例えば、電子デバイス100)がバッテリデバイス200を識別できるようにし、識別ピンSystem_IDは、バッテリデバイス200が電子デバイスを識別できるようにする。例えば、バッテリデバイス200が電子デバイス100に接続されている場合、バッテリデバイス200は、識別ピンBattery_ID及び識別ピンSystem_IDを介して、電子デバイス100に挿入されているか否かを判別することができる。
【0022】
バッテリ状態データは、バッテリデバイス200のメイン管理チップ210に記憶されている。バッテリ状態データに基づいて、メイン管理チップ210は、本発明により提供される急速/正常充電切り換え方法及び漏電防止方法を実行する。バッテリ状態データのアドレスは、以下の表1及び表2に示され、表1は、ビット0~7を表し、表2は、ビット8~15を表す。
【表1】
【表2】
【0023】
ビット3が“1”である場合、バッテリデバイス200が充電中であることを意味し(アダプター110は、電子デバイス100に接続(挿入)されている)、ビット3が“0”である場合、バッテリデバイス200が放電中であることを意味する(アダプター110は、電子デバイス100に接続されていない)。ビット7が“1”である場合、バッテリデバイス200が電子デバイス100に進入(挿入)されていることを意味し、ビット7が“0”である場合、バッテリデバイス200が電子デバイス100から離れている(電子デバイス100から取り外されている)ことを意味する。ビット9及びビット15が共に“1”である場合、バッテリデバイス200が急速充電モードであることを意味する。
【0024】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、漏電防止方法300のフローチャートである。方法300は、電源がオンされていない(ブートされていない)電子デバイスに適用される。操作310において、方法300は、バッテリデバイス200が電子デバイス100に接続されているか否かを検出する。例えば、バッテリデバイス200が、識別ピンBattery_ID及び識別ピンSystem_IDを介して電子デバイス100に挿入されているか否かを検出する。バッテリデバイス200が検出されていない場合、方法300は操作315に進む。操作315において、メイン管理チップ210は、ビット7を“0”に設定する。バッテリデバイス200が電子デバイス100に接続されていることを検出した場合、方法300は操作320に進む。操作320において、メイン管理チップ210は、ビット7を“1”に設定する。
【0025】
操作330において、方法300は、電子デバイス100において漏電が発生しているか否かを検出する。例えば、メイン管理チップ210は、検出レジスタ260を用いることによって、電源がオンされていない電子デバイス100において漏電が発生しているか否かを検出する。漏電が検出された場合、方法300は操作340に進む。漏電が検出されない場合、方法300は操作330に留まり、電子デバイスの漏電の検出を継続する。
【0026】
操作340において、メイン管理チップ210は、バッテリデバイス200を一時的な障害状態にし、一時的な障害状態は、バッテリデバイス200が電力を電子デバイス100に供給するのを禁止する。その結果、電子デバイス100の漏電によって、バッテリデバイス200に蓄えられた電気量が消費されるのを防止することができる。いくつかの実施形態において、メイン管理チップ210は、バッテリ状態データを“BA80(16進数で示される)”に設定することによって、バッテリデバイス200を一時的な障害状態に移行する。表2に示すように、“A”は、ビット11からビット8が“1010”であることを示しており、バッテリ状態が一時的な障害であることを意味する。さらに、表1に示すように、“80”は、ビット7が“1”であり、ビット3が“0”であることを示しており、それぞれ、バッテリ状態が“バッテリ挿入”及び“バッテリ放電”(すなわち、アダプターが電子デバイスに接続されていない)であることを意味する。
【0027】
ユーザは、電子デバイス100の電源をオンにしたい場合、ホットキーを用いて、バッテリデバイス200及び電子デバイス100が正常に動作するように命令を送信することができる。いくつかの実施形態において、ホットキーは、電子デバイス100の電源ボタン(例えば、電源ボタン170)である。他の実施形態において、ホットキーは、電源ボタンに追加的に配置され、電源ボタンと異なるショートカットキー(図示省略)である。操作350において、ユーザは、ホットキーを介して、第一命令をメイン管理チップ210に送信し、方法300は操作360に進む。
【0028】
操作360において、メイン管理チップ210は、第一命令に従ってバッテリデバイス200のバッテリ状態を変化させる。いくつかの実施形態において、メイン管理チップ210は、バッテリ状態を“0188(16進数で示される)”に設定した後、直ちにバッテリ状態を“4180(16進数で示される)”に設定する。表1及び表2に示すように、“0188”は、バッテリデバイス200の状態が通常モード(正常な充電モード)、バッテリ挿入(バッテリデバイスが電子デバイスに挿入されている)及びバッテリ充電(アダプターが挿入されている)であることを意味する。なお、このとき、アダプターは、実際には、電子デバイス100に挿入されていないことに留意されたい。“0188”は単なる遷移状態であり、現在の状態が正常であり、漏電が発生していないとメイン管理チップ210に思わせるために用いられる。“0188”の後、メイン管理チップ210は、直ちにバッテリ状態を“4180”に設定する。
【0029】
表1及び表2に示すように、“4180”は、バッテリデバイス200の状態が通常モード、バッテリ挿入及びバッテリ放電(アダプターが挿入されていない)であることを意味する。このとき、ビット11~ビット8は“0001”であり、一時的な障害状態が解除され、方法300は操作370に進む。操作370において、一時的な障害状態が解除されているので、バッテリデバイス200及び電子デバイス100は共に正常に操作し、バッテリデバイス200は、電力を電子デバイス100に正常に供給する。
【0030】
上述したように、操作350において、ホットキーが第一命令を送信するのと同時に、電子デバイス100がオンになる。オンになった後に電子デバイス100により消費される電気量は、漏電によって消費される電力よりもはるかに多いので、電子デバイス100がオンになった後には、漏電を無視することができる。その結果、バッテリデバイス200は、漏電に制限されることなく、正常に放電することができる。
【0031】
方法300により提供される漏電防止方法は、オンではない電子デバイス内のバッテリが漏電事象により連続して放電するのを防止するとともに、蓄えられた電気量が消費されるのを防止することができる。その結果、電子デバイスの実際の操作時間を長くすることができ、バッテリデバイスの寿命を長くすることができ、電子デバイスコンポーネントの劣化を遅らせることができる。表1、表2及び各種実施形態におけるコードは単なる例であり、当業者であれば、これらを容易に変更することができ、これらの変更は、本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0032】
図4は、本発明のいくつかの実施形態による、スマート急速/通常充電切り換え方法400のフローチャートである。操作410において、方法400は、バッテリデバイス200が電子デバイス100に接続されているか否かを検出する。例えば、識別ピンBattery_ID及び識別ピンSystem_IDを介して、バッテリデバイス200が電子デバイス100に挿入されているか否かを検出する。バッテリデバイス200が電子デバイス100に挿入されていないことを検出すると、方法400は操作415に進む。操作415において、メイン管理チップ210は、ビット7を“0”に設定する。バッテリデバイス200が電子デバイス100に接続されていることを検出すると、方法400は操作420に進む。操作420において、メイン管理チップ210は、ビット7を“1”に設定する。
【0033】
操作420の後、方法400は操作430に進む。操作430において、方法400は、アダプターが電子デバイスに挿入されているか否かを検出する。例えば、アダプター110が電子デバイス100に挿入されているか否かを検出する。アダプター110が検出されない場合、方法400は操作435に進む。操作435において、メイン管理チップ210は、ビット3を“0”に設定する。アダプター110が電子デバイス100に接続されていることを検出すると、方法400は操作440に進む。操作440において、メイン管理チップ210は、ビット3を“1”に設定する。
【0034】
アダプター110が挿入されたことを検出した後(操作440)、方法400は操作450に進む。操作450において、方法400は、計時を実行して、アダプター110が電子デバイス100に連続的に挿入されている連続挿入時間が第一時間より長いか否かを記録する。例えば、メイン管理チップ210は、タイマー(図示省略)による計時を実行する。いくつかの実施形態において、第一時間は168時間である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ユーザ及び/又は製造者は、個別の要件に従って、第一時間を任意の適切な時間に設定する。
【0035】
アダプター110が電子デバイス100に連続して挿入されている、記録された連続挿入時間は、バッテリデバイス200を充電可能な時間を表す。よって、連続挿入時間が長いほど、バッテリデバイス200を充電するのに十分な時間が得られ、急速充電機能に対する要求が少なくなることを意味する。よって、本発明は、第一時間を設定することによって判断する。連続挿入時間が第一時間より長い場合、ユーザが、長時間、アダプターを電子デバイスに接続することを意味し、これにより、急速充電機能が不要になる。
【0036】
アダプター110が電子デバイス100に連続して挿入される連続挿入時間が第一時間より長い場合、方法400は、バッテリデバイス200を急速充電モードから通常充電モードに切り換える。いくつかの実施形態において、メイン管理チップ210は、ビット15及びビット9を“0”に設定し、ビット8を“1”に設定して、バッテリデバイス200を急速充電モードから通常充電モードに切り換える。通常充電モードは、
図4において操作490で示されている。
【0037】
いくつかの実施形態において、アダプター110が電子デバイス100に連続して挿入される連続挿入時間が第一時間より短い場合、方法400は操作460に進む。操作460において、方法400は、アダプター110が電子デバイス100に連続して挿入される連続挿入時間が第二時間より長いか否かを判別する。アダプター110が電子デバイス100に連続して挿入される連続挿入時間が第二時間より長い場合、方法400は操作470に進む。
【0038】
操作470において、方法400は、計数を実行して、アダプター110が電子デバイス100に連続して挿入された連続挿入回数をカウントして記録し、連続挿入回数が所定回数を超えるか否かを記録する。なお、連続挿入回数の各回は、アダプター110が電子デバイス100に対して一回挿抜されたことを意味し、連続挿入回数の各々の連続挿入時間は、第一時間より短いが、第二時間より長い。例えば、アダプターが電子デバイスに対して四回挿抜されたと仮定すると、各回の挿入は第一挿入、第二挿入、第三挿入及び第四挿入と呼ばれ、第一挿入が第一期間継続し、第二挿入が第二期間継続し、第三挿入が第三期間継続し、第四挿入が第四期間継続する。第一期間、第二期間、第三期間及び第四期間が、第一時間より短いが第二時間より長い場合、連続挿入回数は四回である。第一期間、第二期間、第三期間が第一時間より短く、第二時間より長いが、第四期間が第二時間より短い場合、連続挿入回数は三回である。第一期間、第二期間及び第四期間が第一時間より短く、第二時間より長いが、第三期間が第二時間より短い場合、連続挿入回数は二回であり、連続挿入回数のカウント及び記録は、第四挿入から再開される。例えば、メイン管理チップ210は、カウンタ(図示省略)を用いてカウントを実行する。いくつかの実施形態において、第二時間は3時間であり、所定回数は10回である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ユーザ及び/又は製造者は、必要に応じて、第二時間及び連続挿入回数を適切な時間及び回数に設定して、要件を満たすことができる。
【0039】
アダプターの連続挿入時間はそれほど長くないが、アダプターの各回の挿入の連続挿入時間がバッテリデバイスの十分な充電時間を維持することができる場合、急速充電機能の需要が低いことを意味する。よって、本発明は、第二時間及び特定回数を設定することにより判断する。連続挿入時間が第二時間より長く、連続挿入回数が所定回数より多い場合、ユーザが、アダプターを用いるときに、バッテリデバイスに十分な充電時間を提供することを意味し、よって、急速充電機能が不要になる。
【0040】
アダプター110が電子デバイス100に連続して挿入される連続挿入時間が第一時間より短いが、第二時間より長く、連続挿入回数が所定回数より多い場合、方法400は、バッテリデバイス200を急速充電モードから通常充電モードに切り換える(操作490)。いくつかの実施形態において、メイン管理チップ210は、ビット15及びビット9を“0”に設定するとともに、ビット8を“1”に設定して、バッテリデバイス200を急速充電モードから通常充電モードに切り換える。
【0041】
アダプター110が電子デバイス100に連続して挿入される連続挿入時間が第二時間より短い場合、又は、連続挿入回数が所定回数より少ない場合、バッテリデバイスは急速充電モードを維持する。
図4において、急速充電モードが操作495として示されている。
【0042】
いくつかの実施形態において、バッテリデバイス200が通常充電モードに切り換えられた後、急速充電モードに切り換えることもできる。操作480において、ユーザは、ショートカットキーを介して第二命令をメイン管理チップ210に送信し、バッテリデバイス200を急速充電モードに切り換える。ショートカットキーは、単一の物理的ボタン、ボタンの組み合わせ、タッチスクリーンのジェスチャー、アプリケーションプログラムのオプション等であってもよいが、本発明はこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、メイン管理チップ210は、ビット15及びビット9を“1”に設定し、ビット8を“0”に設定して、バッテリデバイス200を通常充電モードから急速充電モードに切り換える(操作495)。
【0043】
いくつかの実施形態において、電子デバイス100は、アプリケーションプログラムをさらに記憶し、アプリケーションプログラムは、バッテリデバイス200が、現在、通常充電モード又は急速充電モードであることを、モニター180を介して表示することができる。
【0044】
方法400により提供されるスマート急速/通常充電切り換え方法は、ユーザの習慣に応じて急速充電モードと通常充電モードとを切り換えることができる。その結果、不要な急速充電機能がバッテリデバイスの寿命を短くするのを防止することができる。表1、表2及び各種実施形態におけるのコードは単なる例であり、当業者であれば、これらを容易に変更することができ、これらの変更は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0045】
いくつかの実施形態において、方法300及び方法400は、同じ装置(例えば、電子デバイス100及びバッテリデバイス200)によって同時に実行される。例えば、方法400の操作430~操作495は、方法300の操作370の後に実行されてもよい。或いは、方法300の操作330~操作370は、方法400の操作420と操作430との間に実行されてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、電子デバイス(例えば、電子デバイス100)は、Windows(登録商標)オペレーティングシステムを実行するコンピュータデバイスである。これらの実施形態において、バッテリデバイス(例えば、バッテリデバイス200)は、バッテリ状態データ(例えば、表1及び表2)に従って内部操作を実行する。例えば、バッテリデバイス200は、バッテリデバイス200が電子デバイス100に挿入されているか否かを検出し、アダプター110が電子デバイス100に挿入されているか否かを検出し、バッテリデバイス200を一時的な障害状態にして漏電を防止し、及び/又は、計時とカウントの結果に従ってバッテリデバイス200を通常充電状態に切り換えることができる。
【0047】
これらの実施形態において、電子デバイス100は、組込コントローラを有し、組込コントローラは、メイン管理チップ210内に配置される。組込コントローラは、ホットキー及び/又はショートカットキーからの命令(例えば、第一命令及び第2命令)を16進数コードに変換することができる。
【0048】
組込コントローラは、バッテリデバイス200並びに/又はホットキー(及び、ショートカットキー)からの情報を、基本入出力システム(BIOS)のACPI(Advanced Configuration and Power)に送信し、ACPIを介してバッテリデバイス200の充放電を制御する。
【0049】
ACPIは、バッテリデバイス200に関する情報を、オペレーティングシステムのWMI(Windows(登録商標) Management Instrumentation)を介してオペレーティングシステムのアプリケーションプログラムに送信することができる。アプリケーションプログラムは、バッテリデバイス200の各種情報(例えば、バッテリ状態データ、電気量、急速充電又は通常充電モード、温度等)を、モニター(例えば、モニター180)を介して表示することができる。いくつかの実施形態において、ユーザは、アプリケーションプログラムを介して急速/通常充電モードを切り換えることができる。
【0050】
本発明は、スマート急速/通常充電切り換え方法及び漏電防止方法を実行することができ、又は、これらの両方を同時に実行することができるバッテリデバイスを提供する。スマート急速/通常充電切り換え方法は、ユーザの習慣に応じて、急速充電モードと通常充電モードとの間で充電モードを切り換えることができる。よって、不要な急速充電機能によるバッテリデバイスの劣化を回避することができ、バッテリデバイスの寿命を延ばすことができる。漏電防止方法は、電源オンではない電子デバイスの漏れを検出することができ、漏電に起因する連続放電によって、バッテリデバイスに蓄えられた電気量が低下するのを防止することができる。その結果、電子デバイスの実際の動作時間が長くなり、バッテリデバイスの寿命が長くなり、電子デバイスコンポーネントの劣化を遅らせることができる。
【0051】
本発明では好ましい実施例を上記のように開示したが、これらは決して本発明を限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の思想を逸脱しない範囲内で各種の変形を加えることができる。
【符号の説明】
【0052】
100…電子デバイス
110…アダプター
120…電源選択器
130…バッテリーチャージャー
140…電源管理ユニット
150…処理装置
160…バッテリデバイス
170…電源ボタン
180…モニター
200…バッテリデバイス
210…メイン管理チップ
220…サブ管理チップ
230…保護装置
240…バッテリパック
251…充電スイッチ
252…放電スイッチ
260…検出レジスタ
P+…正極
P-…負極
SMBus_Clock…クロックピン
SMBus_Data…データピン
Battery_ID…識別ピン
System_ID…識別ピン
300,400…方法
310~370,410~495…操作