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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051501
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】殺菌水の製造装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/50 20060101AFI20220324BHJP
   B01F 23/40 20220101ALI20220324BHJP
   B01F 25/00 20220101ALI20220324BHJP
   B01F 25/20 20220101ALI20220324BHJP
   B01F 25/10 20220101ALI20220324BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20220324BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20220324BHJP
【FI】
C02F1/50 550C
B01F3/08 Z
B01F5/00 A
B01F5/02 Z
B01F5/00 G
B01F5/00 D
B01F15/02 A
C02F1/50 531P
C02F1/50 540B
C02F1/50 550L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078419
(22)【出願日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】202010987997X
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521200370
【氏名又は名称】近藤 勝彦
(71)【出願人】
【識別番号】521193625
【氏名又は名称】田中 孔明
(71)【出願人】
【識別番号】521193636
【氏名又は名称】浙江日潔環保科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 俊明
(72)【発明者】
【氏名】近藤 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 孔明
(72)【発明者】
【氏名】徐 旭
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4G035AB37
4G035AC01
4G035AC16
4G035AC44
4G035AE13
4G037AA02
4G037EA01
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、有毒ガスの発生を悉く生じないようにした殺菌水の製造装置を提供すること。
【解決手段】原水供給管の先端部付近に第1分岐管を連結し、この第1分岐管より先端に伸びた前記原水供給管の延長部に第1の水流反転室を形成し、この第1の水流反転室に第1の薬液ノズルを設け、前記第1の水流反転室内で原水と薬液を混合した水溶液を前記第1分岐管から吐出し、前記第1分岐管の先端部付近に第2分岐管を連結し、この第2分岐管より先端に伸びた前記第1分岐管の延長部に第2の水流反転室を形成し、この第2の水流反転室に第2の薬液ノズルを設け、前記第1の水流反転室内で原水と第1の薬液を混合した水溶液と、この水溶液と第2の薬液を混合した薬液を前記第2分岐管から吐出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水供給管の先端部付近に分岐管を連結し、この分岐管より先端に伸びた前記原水供給管の延長部に水流反転室を形成し、この水流反転室に薬液ノズルを設け、前記水流反転室内で原水と薬液を混合した水溶液を前記分岐管から吐出するようにしたことを特徴とする殺菌水の製造装置。
【請求項2】
原水供給管の先端部付近に第1分岐管を連結し、この第1分岐管より先端に伸びた前記原水供給管の延長部に第1の水流反転室を形成し、この第1の水流反転室に第1の薬液ノズルを設け、前記第1の水流反転室内で原水と薬液を混合した水溶液を前記第1分岐管から吐出し、前記第1分岐管の先端部付近に第2分岐管を連結し、この第2分岐管より先端に伸びた前記第1分岐管の延長部に第2の水流反転室を形成し、この第2の水流反転室に第2の薬液ノズルを設け、前記第1の水流反転室内で原水と第1の薬液を混合した水溶液と、この水溶液と第2の薬液を混合した薬液を前記第2分岐管から吐出するようにしたことを特徴とする殺菌水の製造装置。
【請求項3】
前記第2分岐管に、小径筒と中径筒と大径筒の3重管からなる第1混合室を連結し、前記第2の水流反転室から吐出した水溶液を混合して吐出管から吐出するようにしたことを特徴とする請求項2記載の殺菌水の製造装置。
【請求項4】
前記小径筒の外周に傾斜溝を有する渦流発生部材を設け、前記中径筒の外周に分岐溝を有する分岐流発生部材を設け、前記大径筒の内周壁に分岐溝を有する分岐流発生部材を設けて水溶液を混合するようにしたことを特徴とする請求項3記載の殺菌水の製造装置。
【請求項5】
前記大径筒の水溶液吐出端に、撹拌室を形成し、この撹拌室の入り口側に、通水孔を有する邪魔板を設けてなることを特徴とする請求項3又は4記載の殺菌水の製造装置。
【請求項6】
前記第1混合室の水溶液吐出端に連通管の一端部を連結し、この連通管の他端部に第2混合室を連結したことを特徴とする請求項3、4又は5記載の殺菌水の製造装置。
【請求項7】
前記第2混合室は、小径筒と中径筒と大径筒の3重管からなり、前記小径筒の外周に傾斜溝を有する渦流発生部材を設け、前記中径筒の外周に分岐溝を有する分岐流発生部材を設け、前記大径筒の内周壁に分岐溝を有する分岐流発生部材を設けて水溶液を混合するようにしたことを特徴とする請求項6記載の殺菌水の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水や井戸水などの原水に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と塩酸、硫酸、酢酸などの酸性水溶液を混合して所定のpH値と残留塩素濃度の殺菌水を得るための殺菌水の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原水に次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)と塩酸(HCl)を混合して次亜塩素酸(HClO)の殺菌水を作ることが知られている。
この殺菌水の製造過程で、空気と反応して有害な塩素ガスを発生する。
【0003】
この塩素ガスの発生を防止するため、特許文献1記載の発明では、水を供給する管路を垂直に配置し、この管路の上部で次亜塩素酸ナトリウムと塩酸を添加し、この添加部の下方に撹拌部を設け、この添加部にガス抜き用分岐管を設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3719589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の装置では、給水口から一旦上方に管路を立ち上げ、上方で水供給管路を二股に分岐し、一方の水が流れている管路中に次亜塩素酸ナトリウムを添加し、また、他方の水が流れている管路中に塩酸を添加し、下方の撹拌部でこれらの水溶液を撹拌するものである。
このように、管路の上方部で薬液を添加するため、この添加部分に空気が入り易く、ガス抜き用分岐管を設けなければならない。空気が入り易いということは、発生した有毒ガスをガス抜き用分岐管から大気に放出することになり、極めて危険である。
また、この装置は、薬液添加部が上部になり、撹拌部が下部になるように設置しなければならず、取り扱いが面倒である、などの問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決したもので、簡単な構成で、有毒ガスの発生を悉く生じないようにした殺菌水の製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載の殺菌水の製造装置は、原水供給管10の先端部付近に分岐管13を連結し、この分岐管13より先端に伸びた前記原水供給管10の延長部に水流反転室14を形成し、この水流反転室14に薬液ノズル20を設け、前記水流反転室14内で原水と薬液を混合した水溶液を前記分岐管13から吐出するようにしたことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2記載の殺菌水の製造装置は、原水供給管10の先端部付近に第1分岐管13を連結し、この第1分岐管13より先端に伸びた前記原水供給管10の延長部に第1の水流反転室14を形成し、この第1の水流反転室14に第1の薬液ノズル20を設け、前記第1の水流反転室14内で原水と薬液を混合した水溶液を前記第1分岐管13から吐出し、前記第1分岐管13の先端部付近に第2分岐管15を連結し、この第2分岐管15より先端に伸びた前記第1分岐管13の延長部に第2の水流反転室16を形成し、この第2の水流反転室16に第2の薬液ノズル25を設け、前記第1の水流反転室14内で原水と第1の薬液を混合した水溶液と、この水溶液と第2の薬液を混合した薬液を前記第2分岐管15から吐出するようにしたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3記載の殺菌水の製造装置は、前記第2分岐管15に、小径筒27と中径筒28と大径筒29の3重管からなる第1混合室32を連結し、前記第2の水流反転室16から吐出した水溶液を混合して吐出管42から吐出するようにしたことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4記載の殺菌水の製造装置は、前記小径筒27の外周に傾斜溝34を有する渦流発生部材33を設け、前記中径筒28の外周に分岐溝38を有する分岐流発生部材37を設け、前記大径筒29の内周壁に分岐溝48を有する分岐流発生部材47を設けて水溶液を混合するようにしたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5記載の殺菌水の製造装置は、前記大径筒29の水溶液吐出端に、撹拌室50を形成し、この撹拌室50の入り口側に、通水孔40を有する邪魔板39を設けてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項6記載の殺菌水の製造装置は、前記第1混合室32の水溶液吐出端に連通管41の一端部を連結し、この連通管41の他端部に第2混合室57を連結したことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項7記載の殺菌水の製造装置は、前記第2混合室57は、小径筒27と中径筒28と大径筒29の3重管からなり、前記小径筒27の外周に傾斜溝34を有する渦流発生部材33を設け、前記中径筒28の外周に分岐溝38を有する分岐流発生部材37を設け、前記大径筒29の内周壁に分岐溝48を有する分岐流発生部材47を設けて水溶液を混合するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明は、
原水供給管の先端部付近に分岐管を連結し、この分岐管より先端に伸びた前記原水供給管の延長部に水流反転室を形成し、この水流反転室に薬液ノズルを設け、前記水流反転室内で原水と薬液を混合した水溶液を前記分岐管から吐出するようにしたので、水流が回転して原水と薬液の混合時に発生したガスは、細分化されて水に溶けて、殺菌水の製造時等に有害ガスの発生を防止できる。
【0015】
請求項1記載の発明は、
原水供給管の先端部付近に第1分岐管を連結し、この第1分岐管より先端に伸びた前記原水供給管の延長部に第1の水流反転室を形成し、この第1の水流反転室に第1の薬液ノズルを設け、前記第1の水流反転室内で原水と薬液を混合した水溶液を前記第1分岐管から吐出し、前記第1分岐管の先端部付近に第2分岐管を連結し、この第2分岐管より先端に伸びた前記第1分岐管の延長部に第2の水流反転室を形成し、この第2の水流反転室に第2の薬液ノズルを設け、前記第1の水流反転室内で原水と第1の薬液を混合した水溶液と、この水溶液と第2の薬液を混合した薬液を前記第2分岐管から吐出するようにしたので、装置がコンパクトになり、かつ、設置の際に上下左右どの向きでもよく、取り扱いが容易である。
【0016】
請求項3記載の発明は、
前記第2分岐管に、小径筒と中径筒と大径筒の3重管からなる第1混合室を連結し、前記第2の水流反転室から吐出した水溶液を混合して吐出管から吐出するようにしたので、3重の筒で構成でき、小型化とより精度の高い混合ができる。
【0017】
請求項4記載の発明は、
前記小径筒の外周に傾斜溝を有する渦流発生部材を設け、前記中径筒の外周に分岐溝を有する分岐流発生部材を設け、前記大径筒の内周壁に分岐溝を有する分岐流発生部材を設けて水溶液を混合するようにしたので、原水の水圧で薬液と原水の混合ができる。
【0018】
請求項5記載の発明は、
前記大径筒の水溶液吐出端に、撹拌室を形成し、この撹拌室の入り口側に、通水孔を有する邪魔板を設けたので、通水孔からの水溶液同士が衝突して濃度の薄い均一な薬液の水溶液を作ることができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、
前記第1混合室の水溶液吐出端に連通管の一端部を連結し、この連通管の他端部に第2混合室を連結したので、さらに均一な水溶液とすることができる。
【0020】
請求項7記載の発明は、
前記第2混合室は、小径筒と中径筒と大径筒の3重管からなり、前記小径筒の外周に傾斜溝を有する渦流発生部材を設け、前記中径筒の外周に分岐溝を有する分岐流発生部材を設け、前記大径筒の内周壁に分岐溝を有する分岐流発生部材を設けて水溶液を混合するようにしたので、第1混合室と第2混合室をほぼ同様に構成とすることができ、安価で、小型で、精度に優れた装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による殺菌水の製造装置の実施例1を示す断面図である。
図2】本発明による殺菌水の製造装置に使用した撹拌部材の異なる例を示すもので、(a)は、渦流発生部材の斜視図、(b)は、分岐流発生部材の斜視図、(c)は、噴射流発生部材の正面図である。
図3】本発明による殺菌水の製造装置の配管及びコントロール部の実施例1を示す説明図である。
図4】本発明による殺菌水の製造装置のコントロール部の詳細なブロック図である。
図5】本発明による殺菌水の製造装置の実施例1を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の主たる要旨は、原水供給管10の先端部付近に分岐管13を連結し、この分岐管13より先端に伸びた前記原水供給管10の延長部に水流反転室14を形成し、この水流反転室14に薬液ノズル20を設け、前記水流反転室14内で原水と薬液を混合した水溶液を前記分岐管13から吐出するようにしたことを特徴とする。
【0023】
原水供給管10の先端部付近に第1分岐管13を連結し、この第1分岐管13より先端に伸びた前記原水供給管10の延長部に第1の水流反転室14を形成し、この第1の水流反転室14に第1の薬液ノズル20を設け、前記第1の水流反転室14内で原水と薬液を混合した水溶液を前記第1分岐管13から吐出し、前記第1分岐管13の先端部付近に第2分岐管15を連結し、この第2分岐管15より先端に伸びた前記第1分岐管13の延長部に第2の水流反転室16を形成し、この第2の水流反転室16に第2の薬液ノズル25を設け、前記第1の水流反転室14内で原水と第1の薬液を混合した水溶液と、この水溶液と第2の薬液を混合した薬液を前記第2分岐管15から吐出する。
【0024】
前記第2分岐管15に、小径筒27と中径筒28と大径筒29の3重管からなる第1混合室32を連結し、前記第2の水流反転室16から吐出した水溶液を混合して吐出管42から吐出する。
【0025】
前記小径筒27の外周に傾斜溝34を有する渦流発生部材33を設け、前記中径筒28の外周に分岐溝38を有する分岐流発生部材37を設け、前記大径筒29の内周壁に分岐溝48を有する分岐流発生部材47を設けて水溶液を混合する。
【0026】
前記大径筒29の水溶液吐出端に、撹拌室50を形成し、この撹拌室50の入り口側に、通水孔40を有する邪魔板39を設ける。
【0027】
前記第1混合室32の水溶液吐出端に連通管41の一端部を連結し、この連通管41の他端部に第2混合室57を連結する。
【0028】
前記第2混合室57は、小径筒27と中径筒28と大径筒29の3重管からなり、前記小径筒27の外周に傾斜溝34を有する渦流発生部材33を設け、前記中径筒28の外周に分岐溝38を有する分岐流発生部材37を設け、前記大径筒29の内周壁に分岐溝48を有する分岐流発生部材47を設けて水溶液を混合する。
【実施例0029】
以下、本発明の実施例1を図面に基づき説明する。
図1において、10は、水道水、井戸水などの原水を取り込む原水供給管10である。この原水供給管10には、開閉弁11と流量センサー12が設けられ、この原水供給管10には、途中に第1分岐管13が連結され、この第1分岐管13よりさらに先端部は、供給された水流を反転し撹拌して前記第1分岐管13へ流れ込むように、密閉した第1の水流反転室14が形成されている。この第1の水流反転室14には、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)などの第1薬剤を供給する第1の薬液ノズル20が設けられ、この第1の水流反転室14内で原水と第1薬剤を空気の流入を遮断して効果的に混合し水溶液が作られるようになっている。前記第1の薬液ノズル20は、第1の薬液タンク17と第1のポンプ18と第1の圧力センサー19に結合された第1の薬液配管21に連結されている。
【0030】
前記第1分岐管13には、途中に第2分岐管15が連結され、この第2分岐管15よりさらに先端部は、供給された水流を反転し撹拌して前記第2分岐管15へ流れ込むように、密閉した第2の水流反転室16が形成されている。この第2の水流反転室16には、塩酸(HCl)などの第2薬剤を供給する第2の薬液ノズル25が設けられ、この第2の水流反転室16内で第1薬剤の水溶液と第2薬剤を空気の流入を遮断して有毒ガスの発生を防ぎつつ効果的に混合して水溶液が作られるようになっている。前記第2の薬液ノズル25は、第2の薬液タンク22と第2のポンプ23と第2の圧力センサー24に結合された第2の薬液配管26に連結されている。
【0031】
前記第2分岐管15には、小径筒27が連結され、この小径筒27の先端の開口端35は、この小径筒27よりやや大きな径の中径筒28の閉端部に隙間をもって遊嵌している。前記中径筒28の先端の開口端46は、この中径筒28よりやや大きな径の大径筒29の閉端部の前蓋体30に隙間をもって遊嵌している。
前記小径筒27の外周部には、前記中径筒28の内周壁面に位置して図2(a)に示すような1又は複数個の渦流発生部材33が取り付けられており、この渦流発生部材33には、流れる液体に渦流を与えて撹拌する傾斜溝34が設けられている。また、この小径筒27の開口端35の近くに複数個の通水孔36が設けられている。
【0032】
前記中径筒28の外周部には、前記大径筒29の内周壁面に位置して図2(b)に示すような1又は複数個の分岐流発生部材37が取り付けられており、この分岐流発生部材37には、流れる液体を左右に分岐して撹拌する分岐溝38が設けられている。また、この中径筒28の開口端46の近くに複数個の通水孔49が設けられている。
【0033】
前記大径筒29の内周部には、前記中径筒28の外周壁面に位置して図2(b)に示すような1又は複数個の分岐流発生部材47が取り付けられており、この分岐流発生部材47には、流れる液体を左右に分岐して撹拌する分岐溝48が設けられている。前記中径筒28の分岐流発生部材37と前記大径筒29の分岐流発生部材47は、交互に位置して設けられることが撹拌効果を向上できる。前記大径筒29の他端部には、図2(c)に示すような複数個の通水孔40を有する邪魔板39が設けられ、この邪魔板39と前記後蓋体31との間が撹拌室50を構成している。
【0034】
前記第1混合室32の撹拌室50には、連通管41の一端部が連結され、この連通管41の他端部は、第2混合室57の撹拌室50に連結されている。
前記第2混合室57は、前記第1混合室32と同様に構成されているので、同一部分は同一符号とする。ただし、液体の流れる方向は、前記第1混合室32とは逆に、前記撹拌室50から邪魔板39の通水孔40を通り、大径筒29と中径筒28と小径筒27へ送られ、吐出管42から殺菌水となって吐出される。
【0035】
図3において、殺菌水の製造装置のコントローラ部43の入力側には、前記流量センサー12と前記第1の薬液タンク17の第1のレベルセンサー44と前記第2の薬液タンク22の第2レベルセンサー58と前記第1のポンプ18の第1の圧力センサー19と前記第2のポンプ23の第2の圧力センサー24が接続され、出力側には、原水供給管10の開閉弁11と第1のポンプ18と第2のポンプ23が接続されている。
【0036】
図4において、前記コントローラ部43は、操作パネル51と異常検出部52とシリアル通信部53と電磁弁制御部54と薬液注入量演算部55とポンプ制御部56とからなる。
【0037】
以上のような構成による殺菌水の製造装置の作用を図5に基づき説明する。
(工程1)殺菌水の製造を開始する。
(工程2)第1のレベルセンサー44と第2レベルセンサー58で第1薬液又は第2薬液が液切れかを判断する。
(工程3)第1のレベルセンサー44と第2レベルセンサー58からの液切れ信号がなく、異常検出部52で異常が検出されなければ、次の工程に移行して、第1のポンプ18の第1の圧力センサー19又は第2のポンプ23の第2の圧力センサー24で吐出異常かが判断される。
(工程4)第1の圧力センサー19と第2の圧力センサー24からの吐出異常信号がなく、異常検出部52で異常が検出されなければ、操作パネル51からの出液仕様、流量センサー12からの水流量により薬液注入量演算部55で第1薬液と第2薬液の注入量を算出する。
【0038】
(工程5)第4工程の操作パネル51からの出液仕様、流量センサー12からの水流量に応じて第1のポンプ18と第2のポンプ23を作動する。第1のポンプ18と第2のポンプ23が作動すると、第1工程に戻り、第2工程の液切れ、第3工程のポンプの吐出異常がない限り、第4工程,第5工程と移行し、殺菌水の製造を続ける。
(工程6)第2工程において、第1のレベルセンサー44又は第2レベルセンサー58からの液切れ信号が入力すると、第6工程に移行する。又は第3工程において、第1の圧力センサー19又は第2の圧力センサー24からの吐出異常信号が入力すると、第6工程に移行する。この第6工程では、第1のポンプ18と第2のポンプ23の駆動を停止し、又は電磁弁制御部54からの出力信号で開閉弁11を閉じる。
(工程7)第1のポンプ18と第2のポンプ23の駆動を停止し、又は電磁弁制御部54からの出力信号で開閉弁11を閉じると、操作パネル51のモニターに異常メッセージを送信して表示する。
(工程8)異常メッセージを表示すると、殺菌水の製造を停止し、異常状態を解除して再度運転を開始する。
【0039】
図1における原水と第1薬剤、第2薬剤の撹拌を詳細に説明する。
原水供給管10の開閉弁11を開き、原水を供給すると、流量センサー12で流量が測定され、その流量信号が薬液注入量演算部55に送られる。原水は、第1分岐管13を通過し、第1の水流反転室14に送られる。この第1の水流反転室14では、原水供給管10から送られる原水と、第1の水流反転室14で反転する原水とが衝突し、ここに第1の薬液ノズル20から噴射される第1薬剤とが混合される。このとき、原水は、第1の水流反転室14で反転するので、この第1の水流反転室14内に空気が混入するのを防止する。もし空気が入ることがあっても、気泡がなくなり、原水と第1薬剤とが混合されて空気の入らない水溶液となる。
【0040】
第1の水流反転室14内の水溶液は、原水供給管10からの原水で第1分岐管13に送られる。この第1分岐管13に送られた水溶液は、第2分岐管15を通過し、第2の水流反転室16に送られる。この第2の水流反転室16では、第1分岐管13から送られる第1薬剤の水溶液と、第2の水流反転室16で反転する水溶液とが衝突し、ここに第2の薬液ノズル25から噴射される第2薬剤とが混合される。このとき、第2分岐管15からの水溶液は、第2の水流反転室16で反転するので、この第2の水流反転室16内に空気が混入するのを防止し、第1薬剤の水溶液と第2薬剤とが混合されて空気の入らない水溶液となる。
【0041】
第2の水流反転室16で第1薬剤の水溶液と第2薬剤の水溶液が空気の入らない状態で混合され、第2分岐管15から第1混合室32に送られる。この第1混合室32の小径筒27を通過し、先端部近くの通水孔36から一部が中径筒28内に吐出するとともに、先端の開口端35から吐出反転して中径筒28内を小径筒27と逆方向に送られる。この中径筒28内では、小径筒27の外周に図2(a)に示す渦流発生部材33が設けられているので、この渦流発生部材33の傾斜溝34で直線的な流れが渦巻のように旋回する流れとなり、第1薬剤の水溶液と第2薬剤の水溶液が混合される。水流の直線的な流れが渦巻のように旋回する流れとなることで、水流の水圧の損失を少なくしている。中径筒28内の水溶液は、先端部近くの通水孔49から一部が大径筒29内に吐出するとともに、開口端46から吐出され、大径筒29内を中径筒28と逆の方向に流れる。
【0042】
大径筒29内では、図2(b)に示すように、大径筒29の内壁面の分岐流発生部材47と中径筒28の外周面の分岐流発生部材37により、水溶液が分岐溝48と分岐溝38で左右に分岐されるように水流が乱され、第1薬剤の水溶液と第2薬剤の水溶液が混合される。大径筒29を通過した水流は、先端の邪魔板39の通水孔40から噴出して撹拌室50でさらに撹拌され、連通管41に送られる。前記大径筒29の内壁面の分岐流発生部材47と中径筒28の外周面の分岐流発生部材37が各1個だけでも水流を分割できるが、さらに、2個、3個と適当な間隔で設置すれば、より効果的に水流を細分化できる。
【0043】
連通管41に吐出した水溶液は、前記第1混合室32と同様に構成された第2混合室57に送られる。この第2混合室57では、前記第1混合室32とは逆向きに、撹拌室50から邪魔板39の通水孔40を経て大径筒29内に送られ、分岐流発生部材37と分岐流発生部材47で混合撹拌され、開口端46から中径筒28内に送られ、渦流発生部材33の傾斜溝34で螺旋の渦流のように撹拌され、小径筒27の通水孔36と開口端35から小径筒27内に送られ、吐出管42から完全に撹拌された殺菌水となって吐出される。
【符号の説明】
【0044】
10…原水供給管、11…開閉弁、12…流量センサー、13…第1分岐管、14…第1の水流反転室、15…第2分岐管、16…第2の水流反転室、17…第1の薬液タンク、18…第1のポンプ、19…第1の圧力センサー、20…第1の薬液ノズル、21…第1の薬液配管、22…第2の薬液タンク、23…第2のポンプ、24…第2の圧力センサー、25…第2の薬液ノズル、26…第2の薬液配管、27…小径筒、28…中径筒、29…大径筒、30…前蓋体、31…後蓋体、32…第1混合室、33…渦流発生部材、34…傾斜溝、35…開口端、36…通水孔、37…分岐流発生部材、38…分岐溝、39…邪魔板、40…通水孔、41…連通管、42…吐出管、43…コントローラ部、44…第1のレベルセンサー、46…開口端、47…分岐流発生部材、48…分岐溝、49…通水孔、50…撹拌室、51…操作パネル、52…異常検出部、53…シリアル通信部、54…電磁弁制御部、55…薬液注入量演算部、56…ポンプ制御部、57…第2混合室、58…第2レベルセンサー。
図1
図2
図3
図4
図5