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特開2022-51542被処理基板のフレームを均一に照射する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051542
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】被処理基板のフレームを均一に照射する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/268 20060101AFI20220324BHJP
【FI】
H01L21/268 T
H01L21/268 J
H01L21/268 G
H01L21/268 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021149864
(22)【出願日】2021-09-15
(31)【優先権主張番号】20306057.9
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515075197
【氏名又は名称】レイザー システムズ アンド ソリューションズ オブ ヨーロッパ
【氏名又は名称原語表記】LASER SYSTEMS AND SOLUTIONS OF EUROPE
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】マツァムート,フルヴィオ
(72)【発明者】
【氏名】ペロー,シルヴァイン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥリ,ナビル
(72)【発明者】
【氏名】テボー,ギョーム ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ユエ,カリム ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス トルヒージョ,ギョーム アブラハム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被処理基板のフレームを均一に照射する方法およびシステムを提供する。
【解決手段】被処理基板1の複数のフレームを均一に照射するシステム21であって、被処理基板の2つの連続したフレームは、中間ゾーンによって分離されている。方法は、検出ユニット80を用いて、被処理基板の初期位置を特定するステップと、検出された初期位置を、被処理基板の第1のフレームに関連する第1の予め設定された位置と比較するステップと、光源ユニット30から放射され、第1の予め設定された位置に基づいて走査ユニット40によって走査された照射ビーム105によって、被処理基板の第1のフレームを照射するステップと、を備える。照射ビームは、第1のフレーム全体に均一に及ぶように適合されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板(1)のフレーム(2)を均一に照射する方法であって、
前記被処理基板(1)が複数のフレーム(2)を含み、2つの連続するフレーム(2)が中間ゾーン(7)によって分離されており、
当該方法が、
-検出ユニット(80)を用いて、前記被処理基板(1)の初期位置を特定するステップと、
-検出された初期位置を、前記被処理基板(1)の第1のフレームに関連する第1の予め設定された位置と比較するステップと、
-光源ユニット(30)により放出されて、前記第1の予め設定された位置に基づいて走査ユニット(40)により走査された照射ビーム(105)によって、前記被処理基板(1)の第1のフレームを照射するステップとを備え、前記照射ビーム(105)が、前記第1のフレーム全体に均一に及ぶように適合されていることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記被処理基板(1)を、前記検出された初期位置から、前記被処理基板(1)の第1のフレームに関連付けられた前記第1の予め設定された位置まで移動させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記照射ビーム(105)が前記被処理基板(1)の第1のフレームに導かれるように、前記第1の予め設定された位置に基づいて前記走査ユニット(40)を移動させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法において、
前記照射ビーム(105)が前記中間ゾーン(7)で減衰されるように、光学システム(33)が構成されていることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法において、
前記第1のフレームに届く照射ビーム(105)と比較して、前記照射ビーム(105)が前記中間ゾーン(7)において80%を超えて減衰されるように、前記走査ユニット(40)が構成されていることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法において、
前記被処理基板(1)が、少なくとも1の基準マークを含み、前記初期位置を特定するステップが、前記被処理基板(1)の前記少なくとも1の基準マークを検出するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法において、
前記被処理基板(1)が、周縁領域(9)のエッジおよびノッチ(8)を含み、前記初期位置を特定するステップが、前記被処理基板(1)の周縁領域(9)の前記エッジおよび前記ノッチ(8)を検出するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法において、
-前記被処理基板(1)を、前記第1の予め設定された位置から、前記被処理基板(1)の第2のフレームに関連する第2の予め設定された位置に移動させるステップであって、前記第2のフレームが前記第1のフレームに直接隣接している、ステップと、
-前記第2の予め設定された位置に基づいて、前記光源ユニット(30)により放出された照射ビーム(105)によって、前記被処理基板(1)の第2のフレームを照射するステップであって、前記照射ビーム(105)が、前記第2のフレーム全体に均一に及ぶように適合されている、ステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法において、
-前記被処理基板(1)の第2のフレームに関連する第2の予め設定された位置に基づいて、前記走査ユニット(40)を移動させるステップであって、前記第2のフレームが前記第1のフレームに直接隣接している、ステップと、
-前記第2の予め設定された位置に基づいて、前記光源ユニット(30)により放出された照射ビーム(105)によって、前記被処理基板(1)の第2のフレームを照射するステップであって、前記照射ビーム(105)が、前記第2のフレーム全体に均一に及ぶように適合されている、ステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法において、
検出するステップが、前記検出された初期位置を少なくとも1のエッジ位置と比較するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記初期位置が前記少なくとも1のエッジ位置に対応する場合に、前記被処理基板(1)の照射を遮断するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
被処理基板(1)のフレーム(2)を均一に照射するシステム(21;22;23;24)であって、
前記被処理基板(1)が複数のフレーム(2)を含み、2つの連続したフレーム(2)が中間ゾーン(7)によって分離されており、
当該システム(21;22;23;24)が、
-前記被処理基板(1)を支持するように設計された支持体(50)と、
-前記被処理基板(1)の初期位置を特定するように構成された検出ユニット(80)と、
-検出された初期位置を、前記被処理基板(1)の第1のフレームに関連する第1の予め設定された位置と比較するように構成された制御ユニット(90)と、
-照射ビーム(105)を放出することにより前記被処理基板(1)の第1のフレームを照射するように構成された走査ユニット(40)とを備え、前記照射ビーム(105)が、前記第1のフレーム全体に均一に及ぶように適合されていることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステム(21;22)において、
前記被処理基板(1)を、前記検出された初期位置から、前記被処理基板の第1のフレームに関連する第1の予め設定された位置に移動させるように構成された位置決めユニット(60)をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項12に記載のシステム(23;24)において、
前記照射ビーム(105)が前記被処理基板(1)の第1のフレームに導かれるように、前記第1の予め設定された位置に基づいて前記走査ユニット(40)を移動させるように適合されたオーバーヘッド移動ユニット(45)をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項12乃至14の何れか一項に記載のシステム(21;22;23;24)において、
前記照射ビーム(105)が前記中間ゾーン(7)で減衰されるように構成された光学システム(33)をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステム(21;22;23;24)において、
前記照射ビーム(105)が、前記第1のフレームに届く照射ビームと比較して、前記中間ゾーン(7)において80%を超えて減衰されるように、前記光学システム(33)が構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項12乃至16の何れか一項に記載のシステム(21;22;23;24)において、
前記照射ビーム(105)の照射波長が、1064ナノメートル未満であり、好ましくは355ナノメートル以下であることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項12乃至17の何れか一項に記載のシステム(21;22;23;24)において、
レーザ光源を含む光源ユニット(30)をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項12乃至18の何れか一項に記載のシステム(21;22;23;24)において、
前記被処理基板(1)および前記支持体(50)を収容する真空チャンバ(70)をさらに備えることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板の照射に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、被処理基板のフレームを均一に照射する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体デバイスを製造するために、半導体基板は、「熱処理」と呼ばれるプロセス中にパルス光ビームに曝される。
【0004】
半導体基板は、一般に、複数のフレームを含む材料のウェハによって形成される。各フレームは、1または複数の集積回路を含む。
【0005】
熱処理中、複数のフレームへの照射は、各フレームを均一に照射するために、いくつかの特定の規則に従う必要がある。オーバーラップ(フレームの2回以上の照射に対応)を回避するために、照射を管理する必要がある。
【0006】
さらに、ウェハには照射してはならない部分がある。実際に、ウェハのエッジは壊れ易く、照射が損傷を引き起こす可能性がある。
【0007】
第1の既知の解決策は、ウェハ全体に同時に及ぶ十分な照射を使用するものである。そのような方法では、あるフレームから別のフレームへの照射の移行を管理する必要がない。このため、システムの配置によって均一化が行われる。
【0008】
そのようなシステムでは、エッジへの照射を防ぐために保護リングが使用される。
【0009】
しかしながら、そのようなシステムは、ウェハ全体に同時に及ぶ十分なエネルギー密度を提供することができない。さらに、保護リングへの照射によって、ウェハを劣化させる可能性がある粒子を生成する場合がある。
【0010】
第2の既知の解決策は、ウェハ全体には及ばない小さな照射の使用に基づくものである。この小さな照射は、ウェハ全体が遮られることなく均一に曝されるように、照射の下でウェハを移動させるように適合された走査ステージと組み合わされる。代替的には、光学走査システムを使用して、照射を移動させることにより、遮られることなくウェハが均一に照射される(この場合は、ウェハは移動されない)。別の選択肢としては、走査ステージおよび光学走査システムを有するシステムが、(より小さい照射で)ウェハを均一に照射するように適合される。
【0011】
しかしながら、走査ステージは一般に重いため、当該走査ステージの使用は、遅い走査プロセスにしか適合しない。さらに、そのようなシステムで正確な走査プロセスを実現することは非常に困難である。最後に、走査ステージと光学走査システムの動きの同期は、制御が非常に複雑である。
【発明の概要】
【0012】
そこで、本発明の目的の一つは、被処理基板のフレームを均一に照射する方法を提供することであり、被処理基板が複数のフレームを含み、2つの連続するフレームが中間ゾーンによって分離されており、当該方法が、
-検出ユニットを用いて、被処理基板の初期位置を特定するステップと、
-検出された初期位置を、被処理基板の第1のフレームに関連する第1の予め設定された位置と比較するステップと、
-光源ユニットにより放出され、第1の予め設定された位置に基づいて走査ユニットにより走査された照射ビームによって、被処理基板の第1のフレームを照射するステップとを備え、照射ビームが、第1のフレーム全体に均一に及ぶように適合されている。
【0013】
本発明によれば、照射が被処理基板のフレームに向けられる。フレームの位置が特定されているため、本発明はフレームへの正確な照射を可能とする。さらに、フレーム全体が均一に照射される。よって、被処理基板の最適なアニール処理が可能になる。
【0014】
このため、本発明は、均一に照射される必要のある被処理基板の部分(すなわち、フレーム)を正確に照射することを可能にし、そのような照射によって損傷を受ける可能性のある部分(すなわち、エッジおよび中間ゾーン)の照射を避けることができる。
【0015】
本発明に係る方法の他の有利で非限定的な特徴は以下の通りである。
-本方法は、被処理基板を、検出された初期位置から、被処理基板の第1のフレームに関連付けられた第1の予め設定された位置に移動させるステップをさらに含む。
-本方法は、照射ビームが被処理基板の第1のフレームに導かれるように、第1の予め設定された位置に基づいて走査ユニットを移動させるステップをさらに含む。
-照射ビームが中間ゾーンで減衰されるように、光学システムが構成されている。
-照射ビームが中間ゾーンにおいて、第1のフレームに届く照射ビームに比べて80%を超えて減衰されるように、走査ユニットが構成されている。
-被処理基板は、少なくとも1の基準マークを含み、初期位置を特定するステップが、被処理基板上の少なくとも1の基準マークを検出するステップを含む。
-被処理基板は、周縁領域のエッジおよびノッチを含み、初期位置を特定するステップが、被処理基板上の周縁領域のエッジとノッチを検出するステップを含む。
-本方法はさらに、
-被処理基板を、第1の予め設定された位置から、被処理基板の第2のフレームに関連する第2の予め設定された位置に移動させるステップであって、第2のフレームが第1のフレームに直接隣接している、ステップと、
-第2の予め設定された位置に基づいて、光源ユニットから放出された照射ビームによって、被処理基板の第2のフレームを照射するステップであって、照射ビームが第2のフレーム全体に均一に及ぶように適合されている、ステップとを含む。
-本方法はさらに、
-被処理基板の第2のフレームに関連する第2の予め設定された位置に基づいて、走査ユニットを移動させるステップであって、第2のフレームが第1のフレームに直接隣接する、ステップと、
-第2の予め設定された位置に基づいて、光源ユニットから放出された照射ビームによって、被処理基板の第2のフレームを照射するステップであって、照射ビームが第2のフレーム全体に均一に及ぶように適合されている、ステップとを含む。
-検出するステップは、検出された初期位置を少なくとも1のエッジ位置と比較するステップを含む。
-本方法は、初期位置が少なくとも1のエッジ位置に対応する場合、被処理基板の照射を遮断するステップも含む。
【0016】
また、本発明は、被処理基板のフレームを均一に照射するシステムにも関連し、被処理基板が複数のフレームを含み、連続する2つのフレームが中間ゾーンによって分離されており、当該システムが、
-被処理基板を支持するように設計された支持体と、
-被処理基板の初期位置を特定するように構成された検出ユニットと、
-検出された初期位置を、被処理基板の第1のフレームに関連する第1の予め設定された位置と比較するように構成された制御ユニットと、
-照射ビームを放射して被処理基板の第1のフレームを照射するように構成された走査ユニットであって、照射ビームが第1のフレーム全体に均一に及ぶように適合されている、走査ユニットとを備える。
【0017】
本発明に係るシステムの他の有利で非限定的な特徴は以下の通りである。
-本システムは、被処理基板を、検出された初期位置から、被処理基板の第1のフレームに関連する第1の予め設定された位置まで移動させるように構成された位置決めユニットも備える。
-本システムは、照射ビームが被処理基板の第1のフレームに導かれるように、第1の予め設定された位置に基づいて走査ユニットを移動させるように適合されたオーバーヘッド移動ユニットも備える。
-本システムは、照射ビームを中間ゾーンで減衰するように構成された光学システムも備える。
-光学システムは、照射ビームを中間ゾーンで、第1のフレームに届く照射ビームと比べて80%を超えて減衰するように構成されている。
-照射ビームの波長は、1064ナノメートル未満であり、好ましくは355ナノメートル以下である。
-本システムは、レーザ光源を含む光源ユニットを備える。
-本システムは、被処理基板および支持体を収容する真空チャンバをさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
次に、本発明に係るシステムおよび方法を、添付の図面を参照しながら説明する。
図1図1は、被処理基板の一例を示す概略図である。
図2図2は、図1の被処理基板によって支持されるフレームの概略図である。
図3図3は、本発明に係る被処理基板のフレームを均一に照射するシステムの第1の実施形態を示している。
図4図4は、本発明に係る被処理基板のフレームを均一に照射するシステムの第2の実施形態を示している。
図5図5は、本発明に係る被処理基板のフレームを均一に照射するシステムの第3の実施形態を示している。
図6図6は、本発明に係る被処理基板のフレームを均一に照射するシステムの第4の実施形態を示している。
図7図7は、本発明に係る被処理基板のフレームを均一に照射する方法に対応する例示的なフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において、表面を「均一に照射する」という表現は、照射条件によって、対象となる表面全体が同じ光エネルギー密度および露光時間で照射されることを意味する。
【0020】
図1は、被処理基板1の一例を示している。被処理基板1は、典型的には、半導体デバイス産業で一般的に使用されているような、シリコンウエハまたは化合物ウエハである。
【0021】
図1および図2に示すように、被処理基板1は、その処理面5にフレーム2のアレイを支持する。各フレームは、複数の領域を含む。フレームの各領域は、特定の光学特性および熱特性を示す。すなわち、各フレームは、例えば、トランジスタ、抵抗器および対応する金属配線などの電子デバイスの配列によって形成されるアクティブデバイスを含む。
【0022】
2つの連続するフレームは、中間ゾーン7によって分離されている(図1および図2)。この中間ゾーン7は、半導体デバイスの製造中に一般に損傷を受けるため、通常は、アクティブデバイスが存在しない。好ましくは、中間ゾーン7の幅は25マイクロメートル(μm)未満である。
【0023】
また、図1に示すように、被処理基板1は、その周縁エッジに位置する周縁領域9も含む。周縁領域9は、アクティブデバイス全体を支持するには小さ過ぎる。
【0024】
図3図6は、被処理基板1のフレーム2(特に、被処理基板1の処理面5)を均一に照射するためのシステム20;21;22;23の様々な実施形態を示している。
【0025】
以下では、図3図6に示す様々な実施形態の共通の要素を、可能であれば同じ符号で示し、共通の方法で説明する。
【0026】
図3図6に示すように、システム20;21;22;23は、光源ユニット30を備える。この光源ユニット30は、パルス状の光ビーム100を被処理基板1の処理面5に向けて放出するように構成された光源31を備える。
【0027】
光源31は、例えば紫外線(UV)光源である。光源31は、レーザ光源を含む。ここでは、様々なタイプのレーザ光源を用いることができる。例えば、エキシマレーザ光源を使用することができる。放出されるパルス光ビーム100の波長は、ここでは1064ナノメートル(nm)未満であり、さらに532ナノメートル未満である。好ましくは、放出されるパルス光ビーム100の波長は、355ナノメートル以下である。
【0028】
図3図6に示すように、光源ユニット30は、光源31に結合された光学システム33も備える。この光学システム33は、放出されたパルス光ビーム100を変調、制御または監視するのに適している。一例として、光学システム33は、そのフルエンスを変調するのに適している。フルエンスは、被処理基板1の処理面5の単位面積当たりの、光源31によって送達されるエネルギーに相当する。光学システム33は、光源31と被処理基板1との間のビーム経路上に配置されている。フルエンスは、好ましくは、光学システム33によって急速に変調される。光学システム33は、例えば、光源ユニット30の透過を変調するのに適した光変調器であってもよい。すなわち、光学システム33は、放出されるパルス光ビーム100を速い応答時間で変調するのに適している。一例として、応答時間は、500ナノ秒よりも速く、好ましくは50ナノ秒よりも速い。変調された光ビーム101は、光源ユニット30から出力される。
【0029】
その後、変調された光ビーム101は、走査ユニット40に導かれる(図3図6)。走査ユニット40は、被処理基板1の処理面5を照射するように構成されている。
【0030】
図3図6に示すように、走査ユニット40は、2つのミラー41、42を備える。各ミラーは、関連する回転機構43、44によって回転させることができる。このため、変調されたビーム101は、走査ユニット40の2つのミラー41、42で反射され、反射されたビーム102を出力する。回転機構43、44は、2つのミラー41、42から出力される反射ビーム102を被処理基板1に合わせたり、処理面5に狙いを定めて照射したりするのに適している。
【0031】
走査ユニットは、例えば、標準的なガルボ走査システムである。変形例として、走査ユニットは、ポリゴン走査システムであってもよい。別の変形例として、走査ユニットは、ポリゴンとミラーの組合せであってもよい。
【0032】
走査ユニット40は、光学システム47も備える。光学システム47は、2つのミラー41、42と被処理基板1の間に配置されている。光源ユニット30を補完する形で、光学システム47は、反射ビーム102を被処理基板1の処理面5に集束させるように構成されている。光学システム47は、ここでは例えばテレセントリックレンズである。
【0033】
照射ビーム105は、走査ユニット40から出力される。局所的な照射を得るために、照射ビーム105は、ここでは1064ナノメートル(nm)未満の照射波長、さらには532ナノメートル未満の照射波長を有する。好ましくは、この照射波長は、355ナノメートル以下である。
【0034】
有利には、走査ユニット40は、本発明の目的を実行するために、適合した形状およびサイズの照射ビーム105を放出するように構成されている。より詳細には、走査ユニット40は、被処理基板1の処理面5の1フレームを均一に照射するために、照射ビーム105を走査するように構成されている。
【0035】
また、走査ユニット40との組合せにより、光学システム33は、照射ビーム105の伝送エネルギーを被処理基板1の中間ゾーン7において減衰するように構成されている。照射ビームは、例えば、被処理基板1のフレーム2に届く照射ビームと比較して、中間ゾーン7において0%から80%を超えて減衰される。また、光学システム33は、隣接するフレームにおいて、照射ビーム105を例えば80%からほぼ100%まで減衰するようにも構成されている。
【0036】
光学システム33における減衰は、様々な物理的手段(および付随する物理現象)により光ビームの透過率を変更することによって行われる。物理的手段の様々な例としては、材料の光学特性を変更する音波、電圧を印加して材料の光学特性を変更する電気吸収変調および電気光学システム、または材料に磁場を印加して光の伝播を変更する磁気光学変調を挙げることができる。
【0037】
実際には、光学システム33における減衰は、例えば、音響光学変調器、電気吸収変調器、電気光学変調器、磁気光学変調器、またはマイクロおよびナノ電気機械デバイス(MEMSおよびNEMS)によって行われる。
【0038】
ガウスまたはハットプロファイルを考慮すると、照射ビーム105の寸法は、例えば、一方向で20マイクロメートル(μm)よりも大きく、他方向で20マイクロメートルよりも大きい。
【0039】
処理面5は、ここでは、照射ビーム105に付随するマイクロスポットによって照射される。換言すれば、走査システム40は、被処理基板1、例えば、33ミリメートル(mm)よりも大きい直径を有する被処理基板1の円形表面を照射ビーム105で走査するように構成されている。
【0040】
ここで、照射ビーム105によって照射される最大の表面は、フレーム2の表面に対応する。フレームの表面は、26×33mm以下である。
【0041】
最後に、走査ユニット40は、特定のパラメータで照射ビーム105を放出するように構成され、例えば、所与の場所では、照射時間が30マイクロ秒(μs)よりも短く、さらには1マイクロ秒よりも短い。好ましくは、照射ビーム105は、1ナノ秒よりも短い。
【0042】
図3図6に示すように、システム21;22;23;24は、被処理基板1を支持するように設計された支持体50を備える。
【0043】
図4および図6に示すように、システム22;24は、被処理基板1および支持体50を収容する真空チャンバ70を備える。真空チャンバ70は、被処理基板1の照射環境を制御するのに適している。
【0044】
システム21;22;23;24は、検出ユニット80も備えている。検出ユニット80は、支持体50上の被処理基板1の位置を特定するのに適している。検出ユニット80は、ここでは、パターンカメラと、被処理基板1の処理面5上の基準マークを識別して位置特定するのに適した関連するパターン認識アルゴリズムとを備える。基準マークは、例えば、被処理基板1の処理面5上に形成された特定の局所パターンまたはノッチ8(図1)である。
【0045】
パターンカメラは、例えば、可視光(400~800ナノメートルの波長)または赤外線(800ナノメートルを超える波長)に基づくものである。可視光に基づくパターンカメラは、好ましくは被処理基板1の処理面5上の基準マークに使用される。赤外線に基づくパターンカメラは、例えば、埋設面や処理面5の反対側の面に設けられた基準マークに使用される。
【0046】
そして、検出ユニット80からのデータは、照射されるフレームの位置と照射ビーム105(または対応する露光位置)とを一致させるために使用される。本発明では、動作を実行するために2つの選択肢が考えられる。
【0047】
図3および図4は、フレーム2と露光位置を一致させるために、支持体(よって、被処理基板1の照射予定フレーム)が移動される、第1の選択肢を示している。
【0048】
この場合、システム21;22は、被処理基板1を支持する支持体50を移動させるのに適した位置決めユニット60をさらに備えている。これらの図面に示すように、位置決めユニット60は、支持体50(よって、被処理基板1)をx方向およびy方向にそれぞれ移動させるように適合された、2つの軸x、yに沿った2つの移動ステージ61、62を備える。位置決めユニット60は、支持体をy方向に300ミリメートルを超える距離、x方向に200ミリメートルを超える距離から移動させることができる。
【0049】
実際には、位置決めユニット60は、被処理基板1をフレーム2から別のフレームへと段階的に移動させるように適合され、ここでは、両方向に20~36ミリメートルの移動距離に対応している。
【0050】
位置決めユニット60に付随する精度は、5マイクロメートル未満、好ましくは1マイクロメートル未満である。
【0051】
図5および図6によれば、第2の選択肢は、被処理基板1を移動させる代わりに、照射ビーム105(よって、処理面5上の対応するマイクロスポットの位置)を移動させることである。
【0052】
システム23;24は、ここでは、被処理基板1の処理面5上の照射ビーム105のマイクロスポットの位置を移動させるために、走査ユニット40を移動させるのに適したオーバーヘッド移動ユニット45を備える。
【0053】
オーバーヘッド移動ユニット45は、走査ユニット40をx方向およびy方向にそれぞれ移動させるように適合された2つの可動部分47、48を備える。走査ユニット40をx方向および/またはy方向に移動させることにより、オーバーヘッド移動ユニット45は、照射ビーム105のマイクロスポットをx方向およびy方向に移動させて、被処理基板1の処理面5の対象となるフレーム(すなわち、照射するフレーム)に重ね合わせることができる。
【0054】
オーバーヘッド移動ユニット45に付随する精度は、5マイクロメートル未満、好ましくは1マイクロメートル未満である。
【0055】
この構成(オーバーヘッド移動ユニット45を含む構成)では、光学システム33が、走査ユニット40のすべての移動ステップで変調ビーム101を調整することができる。
【0056】
代替的には、システムは、位置決めユニットとオーバーヘッド移動ユニットの両方を含み、よって支持体と走査ユニットをそれぞれ移動させることができる(図示省略)。この方法は、直径が1メートルを超えるフラットディスプレイパネルのような非常に大きい被処理基板に特に有利である。
【0057】
別の選択肢として、検出ユニットは、回転誤差を判定するように適合させることができる。この場合、この誤差を補正するために、支持体を回転させることができる。回転動作は、例えば2度の範囲内である。
【0058】
また、システム21;22;23;24は、システム21;22;23;24の様々な部分の相互作用を制御する制御ユニット90も備える。具体的には、制御ユニット90は、システム21;22;23;24の様々な部分を同期させる。
【0059】
この制御ユニット90は、マイクロプロセッサおよびメモリを含む。メモリは、命令を格納しており、それらの命令は、マイクロプロセッサによって実行されるときに、以下に説明するように、被処理基板1のフレーム2を均一に照射する方法をシステム21;22;23;24が実行することを可能にする。
【0060】
図7は、本発明に係る被処理基板のフレームを均一に照射する方法に対応する例示的なフローチャートである。
【0061】
図7に示すように、この方法は、支持体50上に被処理基板1を位置決めするステップS2を含む。被処理基板1を位置決めするこのステップS2の間、被処理基板1の正確な位置は知られていない。
【0062】
被処理基板1の処理面5の各フレームを均一に照射するためには、被処理基板1の位置を特定する必要がある。
【0063】
このため、本方法は、被処理基板1の初期位置を特定するステップS4を含む。実際には、ステップS4において、検出ユニット80は、被処理基板1の処理面5上の1つの基準マークを検出するように適合されている。この基準マークの検出に基づいて、制御ユニット90は、被処理基板1の初期位置を割り出すことができる。
【0064】
代替的には、処理面が基準マークを含まない場合、被処理基板1の周縁領域9のエッジの位置、特にノッチ8の位置を使用して、被処理基板1の位置を特定することができる。
【0065】
実際には、検出ユニット80は、基準マークの理論上の(予想される)位置と検出された位置とを比較することにより、位置決めユニットを評価する。その後、この位置決め誤差は、制御ユニット90によって、被処理基板1の初期位置を特定するために使用される。
【0066】
その後、ステップS6では、制御ユニット90が、検出された初期位置をエッジ位置と比較する。エッジ位置は、周縁領域9で特定される。
【0067】
検出された初期位置がエッジ位置に対応しない場合、被処理基板1の処理面5の照射につながるステップS8が実行される。ここで、本発明に係る方法を実行する前に、制御ユニット90は、被処理基板1の処理面5のすべてのフレームを照射するために、命令を記憶していると仮定することができる。それらの指示は、例えば、照射するフレームの順序を含む。ここでは、先に指名された「照射予定フレーム」が、例えば、現在の照射すべきフレームであると考えられる。
【0068】
このため、ステップS8では、制御ユニット90が、検出された初期位置と、照射予定フレームに対応する第1の予め設定された位置とを比較する。
【0069】
検出された初期位置が第1の予め設定された位置と一致した場合、照射ビーム105のマイクロスポットが、対象となるフレーム(記憶された命令において最初に照射されるべきフレーム)に向けられていることを意味する。
【0070】
その後、本方法は、照射ビーム105により、対象となるフレームを照射するステップS10を含む。照射ビーム105は、対象となるフレーム全体を均一に照射するように、走査ユニット40によって制御される。
【0071】
実際には、対象となるフレームが伝送されたエネルギーを受け取る一方で、中間ゾーン7では、照射ビーム105が減衰される(伝送されるエネルギーが、フレームに伝送されるものよりも低いことを意味する)。
【0072】
一例として、中間ゾーン7では、照射ビーム105が、対象となるフレームに届く照射ビーム105と比較して、80%を超えて減衰される。好ましくは、照射ビーム105は、中間ゾーン7において完全に減衰される。
【0073】
結果として、照射ビーム105は、対象となる照射フレームの周囲のフレームにおいても減衰される(80%を超える減衰、好ましくは完全に減衰される)。
【0074】
有利なことに、本発明によれば、照射ステップが、対象となるフレーム上で正確かつ局所的に行われ、よって、このフレームの均一な照射が可能となる。
【0075】
その後、本方法は、ステップS12に進み、制御ユニット90が、すべてのフレームが照射されたか否かを判定する。そうである場合、被処理基板1はアニールされる。制御ユニット90は、被処理基板1の準備を完了して最終製品を得るために、被処理基板1を支持体50から取り外す命令を送る(ステップS14)。
【0076】
図7に示すように、いくつかのフレームが照射されていない場合、本方法は(記憶された命令の照射の順序に従って)、照射ビーム105のマイクロスポットを、第1の予め設定された位置から、照射する次のフレームに関連する第2の予め設定された位置に移動させるステップS16を含む。
【0077】
照射ビームを第2の予め設定された位置に関連付けられたフレームに向けるために、照射ビーム105のマイクロスポットを移動させる2つの選択肢が考えられる。
【0078】
第1の解決策は、位置決めユニット60により、被処理基板を支持する支持体50を移動させることである。そのため、制御ユニット90は、照射ビームのマイクロスポットを第2の予め設定された位置に合わせるために、位置決めユニット60を制御する。
【0079】
第2の解決策は、オーバーヘッド移動ユニット45により、走査ユニット40を移動させることにより、被処理基板1の処理面5上の照射ビームのマイクロスポット105の位置を直接移動させることである。この場合、制御ユニット90は、オーバーヘッド移動ユニット45を制御して、照射ビームのマイクロスポットを第2の予め設定された位置に合わせるように走査ユニット40を移動させる。
【0080】
ステップS16を実行して、照射ビーム105のマイクロスポットを被処理基板1の処理面5上の第2の予め設定された位置と一致させることができた場合、本方法は、前述したステップS10、S12、S14、S16に戻る。
【0081】
ステップS8において、検出された初期位置が第1の予め設定された位置と異なる場合、照射ビームが、記憶された命令に従って照射すべきフレームに向けられていないことを意味する。このため、本方法は、照射ビーム105を第1の予め設定された位置に関連するフレームに向けるために、照射ビーム105のマイクロスポットを移動させるステップS20に続く。
【0082】
前述したように、ここでは、照射ビーム105のマイクロスポットを第1の予め設定された位置に合わせるために、2つの選択肢を使用することができる。
【0083】
ステップS20が実行されると、本方法は、図7に示すように、対象となるフレームを照射するステップS10および以下のステップに続く。
【0084】
ステップS6において、検出された初期位置がエッジ位置に対応する場合、制御ユニット90は、被処理基板1の処理面5への照射を減衰または遮断するために、光学システム33を制御する(ステップS30)。すなわち、周縁エッジ9は、照射ビーム105によって直接照射されない。
【0085】
図7に示すように、本方法は、すべてのフレームが照射されたか否かを判定するステップS32に続く(ステップS32)。
【0086】
そうである場合、被処理基板1はアニールされる。制御ユニット90は、被処理基板1の準備を完了して最終製品を得るために、被処理基板1を支持体50から取り外す指示を送る(前述したステップS14)。
【0087】
いくつかのフレームが照射されていない場合、本方法はステップS16に続く。
【0088】
最後に、本方法は、被処理基板の処理面5の各フレームが均一に照射されたときに終了する。制御ユニット90は、記憶された照射の命令に従って、本方法を被処理基板1の処理面5全体に、フレーム毎に実施するように構成されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】