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特開2022-51555デイジー・チェーンにおける電力制御のための双方向スイッチ
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  • 特開-デイジー・チェーンにおける電力制御のための双方向スイッチ 図1
  • 特開-デイジー・チェーンにおける電力制御のための双方向スイッチ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051555
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】デイジー・チェーンにおける電力制御のための双方向スイッチ
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/10 20060101AFI20220324BHJP
   H03K 17/60 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
G05F1/10 301A
H03K17/60 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021151980
(22)【出願日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】20306049.6
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】594083128
【氏名又は名称】シュネーデル、エレクトリック、インダストリーズ、エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】SCHNEIDER ELECTRIC INDUSTRIES SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100096921
【弁理士】
【氏名又は名称】吉元 弘
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、モリーナ、メンドーサ
(72)【発明者】
【氏名】フェリペ、カスティーリョ、ブエナベントゥラ
【テーマコード(参考)】
5H410
5J055
【Fターム(参考)】
5H410BB05
5H410CC02
5H410DD02
5H410EA10
5H410EA34
5H410EB01
5H410EB37
5H410FF03
5H410FF24
5H410FF25
5J055AX40
5J055BX05
5J055CX24
5J055DX04
5J055DX05
5J055DX73
5J055EY01
5J055EY12
5J055EY17
5J055GX01
(57)【要約】
【課題】デイジー・チェーンにおける電力制御のための双方向スイッチを提供すること。
【解決手段】本発明は、第1端子と第2端子との間に逆並列に接続された第1バイポーラ・トランジスタ(Q1)および第2バイポーラ・トランジスタ(Q2)と、第1バイポーラ・トランジスタ(Q1)および第2バイポーラ・トランジスタのベースに、かつ制御端子に接続された抵抗器(R1)と、アノードが第1端子に接続された第1ダイオード(D1)と、アノードが第2端子に接続された第2ダイオード(D2)とを備え、第1ダイオードおよび第2ダイオードが、それぞれのカソードを介して供給端子に接続される、双方向バイポーラ・トランジスタ・スイッチ装置に関する。双方向バイポーラ・トランジスタ・スイッチ装置は、低い降下電圧でデイジー・チェーン内の電力供給を制御することが可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子と第2端子との間に逆並列に接続された第1バイポーラ・トランジスタ(Q1)および第2バイポーラ・トランジスタ(Q2)と、
前記第1バイポーラ・トランジスタ(Q1)および前記第2バイポーラ・トランジスタのベースに、かつ制御端子に接続された抵抗器(R1)と、
アノードが前記第1端子に接続された第1ダイオード(D1)と、
アノードが前記第2端子に接続された第2ダイオード(D2)とを備え、
前記第1ダイオードおよび前記第2ダイオードが、それぞれのカソードを介して供給端子に接続される、
双方向バイポーラ・トランジスタ・スイッチ装置。
【請求項2】
入力電圧が、前記第1端子および前記第2端子の一方に提供され、出力電圧が、前記第1端子および前記第2端子の他方に提供される、請求項1に記載の双方向バイポーラ・トランジスタ・スイッチ装置。
【請求項3】
前記制御端子からゼロ電流が流されるとき、前記第1バイポーラ・トランジスタ(Q1)および前記第2バイポーラ・トランジスタ(Q2)がオフ状態である、請求項1または2に記載の双方向バイポーラ・トランジスタ・スイッチ装置。
【請求項4】
前記制御端子から正電流が流されるとき、前記第1バイポーラ・トランジスタ(Q1)および前記第2バイポーラ・トランジスタ(Q2)の一方が飽和状態であり、前記第1バイポーラ・トランジスタ(Q1)および前記第2バイポーラ・トランジスタ(Q2)の他方が逆状態である、請求項1から3のいずれか一項に記載の双方向バイポーラ・トランジスタ・スイッチ装置。
【請求項5】
前記第1バイポーラ・トランジスタ(Q1)および前記第2バイポーラ・トランジスタ(Q2)がPNP型である、請求項1から4のいずれか一項に記載の双方向バイポーラ・トランジスタ・スイッチ装置。
【請求項6】
前記第1ダイオード(D1)および前記第2ダイオード(D2)が低降下電圧ダイオードである、請求項1から5のいずれか一項に記載の双方向バイポーラ・トランジスタ・スイッチ装置。
【請求項7】
前記抵抗器(R1)が、前記第1バイポーラ・トランジスタ(Q1)および前記第2バイポーラ・トランジスタ(Q2)を通ることを許容すべき最大電流の関数として調整される、請求項1から6のいずれか一項に記載の双方向バイポーラ・トランジスタ・スイッチ装置。
【請求項8】
前記第1端子および前記第2端子が、デイジー・チェーンにおいて電子デバイスに繋がれる、請求項1から7のいずれか一項に記載の双方向バイポーラ・トランジスタ・スイッチ装置。
【請求項9】
前記制御端子および前記供給端子が、前記制御端子から流れる電流を設定することが可能な制御デバイスに繋がれる、請求項1から8のいずれか一項に記載の双方向バイポーラ・トランジスタ・スイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デイジー・チェーンにおける電力制御の用途のための双方向トランジスタ・スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
電気電子工学において、デイジー・チェーンは、複数のデバイスが順にまたは環状に相互配線される配線方式である。デイジー・チェーン内のデバイスの接続は、デバイス間の電力入力/出力依存性についてのいくつかの制約を有する。そのような配置において、入力および出力を定義付ける必要なく、双方向スイッチを用いてデイジー・チェーンにおける次のデバイスの電力供給を制御することは有用である場合がある。
【0003】
いくつかの既存の方法は、双方向スイッチを実装するが、それらはスイッチング・デバイス両端での著しい電圧降下を呈し、デイジー・チェーンにおける次のデバイスの電力供給の制御に用いられる制御デバイスの電力供給に対処しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、スイッチング・デバイス両端での非常に低い電圧降下を保ち、制御デバイスの電力供給を提供しつつ、入力および出力を定義付けることなく、デイジー・チェーンにおける次のデバイスの電力供給を制御することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本概要は、本発明の主題に関する概念を紹介するために提供されるものである。本概要は、特許請求の主題の必須の特徴を特定するよう意図されたものではなく、特許請求の主題の範囲を決定または限定することに用いることが意図されたものでもない。
【0006】
1つの実装において、
第1端子と第2端子との間に逆並列に接続された第1バイポーラ・トランジスタおよび第2バイポーラ・トランジスタと、
第1バイポーラ・トランジスタおよび第2バイポーラ・トランジスタのベースに、かつ制御端子に接続された抵抗器と、
アノードが第1端子に接続された第1ダイオードと、
アノードが第2端子に接続された第2ダイオードとを備え、
第1ダイオードおよび第2ダイオードが、それぞれのカソードを介して供給端子に接続される、
双方向バイポーラ・トランジスタ・スイッチ装置が提供される。
【0007】
有利なこととして、2つのダイオードに沿ったバイポーラPNPトランジスタの配置を用いることにより、制御デバイスへの電力供給を提供しつつ、非常に低い電圧降下を示す双方向固体スイッチが得られる。よって、双方向スイッチを駆動するために単一の制御信号のみが用いられてよい。
【0008】
一実施形態において、入力電圧が、第1端子および第2端子の一方に提供され、出力電圧が、第1端子および第2端子の他方に提供される。
【0009】
一実施形態において、制御端子からゼロ電流が流されるとき、前記第1バイポーラ・トランジスタおよび前記第2バイポーラ・トランジスタはオフ状態である。
【0010】
一実施形態において、制御端子から正電流が流されるとき、第1バイポーラ・トランジスタおよび第2バイポーラ・トランジスタの一方は飽和状態であり、第1バイポーラ・トランジスタおよび第2バイポーラ・トランジスタの他方は逆状態である。
【0011】
一実施形態において、前記第1バイポーラ・トランジスタおよび前記第2バイポーラ・トランジスタは、PNP型である。
【0012】
一実施形態において、第1ダイオードおよび第2ダイオードは、低降下電圧ダイオードである。
【0013】
一実施形態において、抵抗器は、前記第1バイポーラ・トランジスタおよび前記第2バイポーラ・トランジスタを通ることを許容すべき最大電流の関数として調整される。
【0014】
一実施形態において、第1端子および第2端子は、デイジー・チェーンにおいて電子デバイスに繋がれる。
【0015】
一実施形態において、制御端子および供給端子は、制御端子から流れる電流を設定することが可能な制御デバイスに繋がれる。
【0016】
詳細な説明が、添付の図面に関連して説明される。図面において、参照番号の左端の桁は、その参照番号が最初に現れる図を特定する。同様の特徴および構成要素を参照するのに、図面の全体にわたって同じ番号が用いられる。ここで、本主題の実施形態に係るシステムおよび/または方法のいくつかの実施形態が、単に例として、以下の添付の図面に関連して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の1つの実施形態に係るデイジー・チェーンにおける電子デバイスの機能ブロック図を示す。
【0018】
図2】本発明の1つの実施形態に係るスイッチ装置の概略回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
全ての図面上において、同じ参照番号は、同じ要素または同じ種類の要素を表す。
【0020】
本明細書におけるあらゆるブロック図は、本主題の原理を具現化する例示的なシステムの概念図を表すことが、当業者には理解されるべきである。同様に、あらゆるフロー・チャート、フロー図、状態遷移図、疑似コード等は、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かを問わず、コンピュータ可読媒体において実質的に表され、よってコンピュータまたはプロセッサによって実行されてよい、様々なプロセスを表すことが理解されよう。
【0021】
図面および以下の説明は、本発明の具体的な例示的実施形態を示す。よって、当業者であれば、本明細書において明示的に説明されまたは示されていなくとも、本発明の原理を具現化し、本発明の範囲内に含まれる様々な配置を案出することが可能であろうことが理解されよう。さらに、本明細書において説明されるあらゆる例は、本発明の原理の理解を助けるよう意図されており、そのような具体的に記載された例および条件への限定を有しないものとして解釈されるべきである。結果として、本発明は、以下で説明される具体的な実施形態または例には限定されず、請求項およびその均等物によって限定される。
【0022】
図1を参照すると、電子デバイスEDは、スイッチ装置SAと、グラウンドに接続された制御デバイスCDとを備える。電子デバイスEDは、入力電圧Vinが入来する元である前の電子デバイスに、かつ次の電子デバイスに、後者に出力電圧Voutを供給することにより、デイジー・チェーンにおいて接続されている。
【0023】
制御デバイスCDは、スイッチ装置に向けられた制御信号Controlを通して出力電圧Voutを、前記制御信号Controlをイネーブルまたはディセーブルすることにより、制御する。よって、デイジー・チェーンにおける次の電子デバイスに供給する出力電圧Voutは、制御信号Controlをそれぞれイネーブルまたはディセーブルすることにより、制御デバイスによってターンオンまたはターンオフされてよい。制御デバイスCDは、マイクロプロセッサと、出力電圧の制御を行うための、そこに記憶されたプログラム命令を備えるメモリとを含んでよい。
【0024】
スイッチ装置SAは、その構成が図2において詳細に説明される、制御デバイスCDへの供給を行うための電力調停回路を有する双方向スイッチを備える。
【0025】
制御デバイスCDには、入力電圧Vinがどこから入来するかとは無関係に、スイッチ装置によって提供される供給信号Supplyが供給される。よって、制御デバイスには、スイッチ装置の状態およびスイッチ装置を通る電流の方向とは無関係に供給が行われる。
【0026】
電子デバイスは、出力電圧Voutを介してデイジー・チェーンにおける次の電子デバイスの電力供給を導くのに、1つの信号Controlのみを必要とする。
【0027】
図2を参照すると、スイッチ装置SAの内部の回路がより詳細に図示されている。
【0028】
スイッチ装置SAは、低い飽和電圧を有する2つのPNPバイポーラ・トランジスタQ1およびQ2と、低い降下電圧を有する2つのダイオードD1およびD2と、抵抗器R1とを備える。
【0029】
従来と同様に、PNPバイポーラ・トランジスタQ1またはQ2は、電流の流れの正常な方向がエミッタからコレクタである、負(N)および正(P)の導電型の粒子の運動により伝導が生じる半導体材料の領域から構成される。
【0030】
従来と同様に、ダイオードD1またはD2は、電流がアノードからカソードへのみダイオードを通して流れることができるダイオードである。
【0031】
2つのPNPバイポーラ・トランジスタQ1およびQ2は、第1端子と第2端子との間に逆並列に接続され、入力電圧が、第1端子および第2端子の一方に提供され、出力電圧が、第1端子および第2端子の他方に提供される。
【0032】
2つのPNPバイポーラ・トランジスタQ1およびQ2のベースは、抵抗器R1を挟んで制御端子に接続されている。制御端子は、制御信号Controlが提供される元である制御デバイスに繋がれる。
【0033】
第1ダイオードD1は、アノードが第1端子に接続され、第2ダイオードD2は、アノードが第2端子に接続される。
【0034】
第1ダイオードD1および第2ダイオードD2は、それぞれのカソードを介して供給端子に接続される。供給端子は、供給信号Supplyが提供される先である制御デバイスに繋がれる。
【0035】
1つの実施形態において、制御端子は、スイッチ装置の状態を制御するために、論理的に「0」または「1」に設定されることができる。
【0036】
制御端子が「1」(論理ハイ)に設定される場合、PNPバイポーラ・トランジスタQ1およびQ2のベースに流れる信号Controlからの電流はゼロである。よって、PNPバイポーラ・トランジスタQ1およびQ2の両方が、開スイッチとして動作してオフ状態となり、電流がトランジスタを通して流通することができず、デイジー・チェーンにおける次のデバイスをターンオフすることが可能となる。信号Controlの状態とは無関係に、制御デバイスのための電力供給は、どちら側に電力供給が取り付けられているか、すなわち、第1端子および第2端子のどちらに電力供給が提供されるかに依存して、ダイオードD1およびD2を通して提供される。これらのダイオードの目的は、出力電圧端子に向かっての電流漏出を回避しつつ、信号Controlの状態とは無関係に制御デバイスへの供給を行うことである。
【0037】
制御端子が「0」(論理ロー)に設定される場合、PNPバイポーラ・トランジスタQ1およびQ2のベースに流れる信号Controlからの電流は、正であり、抵抗器R1の調整に従って最大として設定されることができる。よって、ブロックのどちら側に電力供給が設定されるかに依存して、PNPバイポーラ・トランジスタQ1またはQ2のいずれかが飽和させられる。電流は、PNPバイポーラ・トランジスタQ1においては左から右へ、PNPバイポーラ・トランジスタQ2においては右から左へのみ流れることができる。信号PNPバイポーラ・トランジスタが「0」に設定される場合、一方のトランジスタは閉スイッチとして動作して飽和状態となり、他方のトランジスタは逆状態となる。
【0038】
バイポーラ・トランジスタを用いて動作することの利点は、オフ状態において逆方向に分極させられる場合に電流の流れがないことであり、これはMOSFET型のトランジスタを用いて動作する場合には当てはまらない。この本質的な利点のほか、バイポーラ・トランジスタは、デイジー・チェーンの末端における非常に低い飽和電圧を示すことができる。
【0039】
本発明が具体的な実施形態に関連して上記で説明されているが、本明細書に記載された具体的な形態に限定されることは意図されていない。むしろ、本発明は添付の請求項によってのみ限定され、これら添付の請求項の範囲内において、上記の具体的なもの以外の実施形態も同様に可能である。
【0040】
さらに、例示的実施形態が構成要素および/または機能の何らかの例示的な組み合わせにおいて上記で説明されているが、本開示の範囲から逸脱しない限りにおいて、代替的な実施形態が、部材および/または機能の異なる組み合わせによって提供されてよいことが理解されるべきである。加えて、説明されている特定の特徴が、個々にまたは一実施形態の一部としてのいずれかで、他の個々に説明されている特徴または他の実施形態の一部と組み合わされてよいことが、特に想定される。
【符号の説明】
【0041】
Q1 PNPバイポーラ・トランジスタ
Q2 PNPバイポーラ・トランジスタ
D1 ダイオード、第1ダイオード
D2 ダイオード、第2ダイオード
R1 抵抗器
図1
図2
【外国語明細書】