(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051603
(43)【公開日】2022-04-01
(54)【発明の名称】折り畳み椅子、およびよもぎ蒸し等セット
(51)【国際特許分類】
A47C 4/04 20060101AFI20220325BHJP
【FI】
A47C4/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158001
(22)【出願日】2020-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】520366293
【氏名又は名称】戸賀澤 美奈
(74)【代理人】
【識別番号】100119264
【弁理士】
【氏名又は名称】富沢 知成
(72)【発明者】
【氏名】戸賀澤 美奈
(57)【要約】 (修正有)
【課題】よもぎ蒸し等用の椅子として、取り扱い性に優れ、より軽量の椅子を提供する。
【解決手段】本発明折り畳み椅子10は、使用者が着座する座部1、ともに座部1を下方から支持する前脚部2、左右の側脚部3、4、ならびに後脚部5からなり、座部1は、前脚部2の上縁部に上方に回動可能に取り付けられた前半座部材1Fと、後脚部5の上縁部に上方に回動可能に取り付けられた後半座部材1Bとが相互に枢設されてなり、各側脚部3、4は、前脚部2の外縁部に内方に回動可能に取り付けられた前半側脚部材3F、4Fと、後脚部5の外縁部に内方に回動可能に取り付けられた後半側脚部材3B、4Bとが相互に枢設されてなり、座部1には上部通気口6が設けられ、そして前脚部2、左右の側脚部3、4、もしくは後脚5部の少なくともいずれかには側部通気手段7等が設けられている構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座する座部、
ともに該座部を下方から支持する前脚部、左右の側脚部、ならびに後脚部からなり、
該座部は、該前脚部の上縁部に上方に回動可能に取り付けられた前半座部材と、該後脚部の上縁部に上方に回動可能に取り付けられた後半座部材とが相互に枢設されてなり、
各側脚部は、該前脚部の外縁部に内方に回動可能に取り付けられた前半側脚部材と、該後脚部の外縁部に内方に回動可能に取り付けられた後半側脚部材とが相互に枢設されてなり、
該座部には上部通気口、および該前脚部、左右の側脚部もしくは該後脚部の少なくともいずれかには側部通気手段が設けられ、
該前半座部材―後半座部材間の相互回動、および各前半側脚部材―後半側脚部材間の相互回動によって全体の折り畳みが可能である
ことを特徴とする、折り畳み椅子。
【請求項2】
前記上部通気口は前記前半座部材および後半座部材の双方に設けられており、前記折り畳み動作の際には両の上部通気口を取っ手として使用可能であることを特徴とする、請求項1に記載の折り畳み椅子。
【請求項3】
よもぎ蒸し、スチームサウナ、または座薫(以下「よもぎ蒸し等」という)用途であることを特徴とする、請求項1、2のいずれかに記載の折り畳み椅子。
【請求項4】
前記側部通気手段は前記前脚部、後脚部および左右の側脚部に設けられ、その少なくともいずれか一つはよもぎ蒸し等のための容器および加熱手段を本椅子内部に出し入れ可能に形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の折り畳み椅子。
【請求項5】
木材製であることを特徴とする、請求項3、4のいずれかに記載の折り畳み椅子。
【請求項6】
請求項1、2、3、4、5のいずれかに記載の折り畳み椅子、よもぎ蒸し剤や座薫剤を加熱するための加熱容器、および該加熱容器を加熱する加熱手段とからなることを特徴とする、よもぎ蒸し等セット。
【請求項7】
よもぎ蒸し等用のマント、または前記座部に載置して用いるクッションの少なくともいずれかを備えることを特徴とする、請求項6に記載のよもぎ蒸し等セット。
【請求項8】
よもぎ蒸し剤または座薫剤の少なくともいずれかを備えることを特徴とする、請求項6、7のいずれかに記載のよもぎ蒸し等セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は折り畳み椅子、およびよもぎ蒸し等セットに係り、特によもぎ蒸し等用の椅子として、運搬や保管などの取り扱い性に優れた折り畳み椅子、およびよもぎ蒸し等セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乾燥したよもぎや薬草等を煮詰めて発生させた蒸気によって体を温め、種々の症状緩和、体調管理、免疫力向上、さらには美容促進を図る方法として、よもぎ蒸しやスチームサウナ、また座薫が伝統的に知られている。このうち、韓国の民間療法であるよもぎ蒸しは、煎じたよもぎを含む薬草の入った器で湯を沸かし、その蒸気を、下半身を中心として体全体に浴びることにより、薬草の成分を皮膚の毛穴や粘膜から吸収させ、全身に行き渡らせるものである。体の中心を温めることで血流が良くなり、抹消血管の拡張により血液が手足の末端にまで行き届き、冷え性が改善され、だるさや身体の不調が改善する。
【0003】
また、大量発汗することで体に溜まった毒素や老廃物が汗と一緒に排出されるため、デトックス、浄血、新陳代謝促進の各作用を期待できる。さらに、女性の下腹部を通して体内に薬草の成分を取り込むことにより、生理や婦人系のトラブル緩和への効果も期待できる他、ダイエットや美肌効果など、幅広い効果が期待できる。なお、座薫は、座薫用椅子の下から専用の炭で漢方薬(よもぎも含む)を燻し、その煙を浴びる民間療法であり、蒸しではなく燻しを行う点が、よもぎ蒸しとは異なる。
【0004】
よもぎ蒸し等
の方法や用具等について特許出願等もなされており、たとえば後掲特許文献1には、脚となる左右の側板、中央に蒸気用の開口が設けられた座部、および背もたれからなる木製のよもぎ蒸し用椅子が開示されている。座部の下には蒸気発生手段たる鍋および電気コンロが用意される。この椅子を用いてよもぎ蒸しを行う方法を説明する。まず鍋の中に水、および乾燥よもぎ等を入れ、電気コンロにより加熱し、蒸気を発生させる。一方、使用者は脱衣し、専用マントで全身を覆って椅子に座り、蒸気による座浴を行う。蒸気は座部の蒸気用の開口を通して上昇し、ちょうど開口の位置にある陰部や肛門近辺に当たるとともに、両側板間を通して使用者の前後からも上昇し、全身的なよもぎ蒸しの効果が得られる。
【0005】
また特許文献2には、 使用中の火傷を防止できるスチームサウナ用椅子として、周側壁、および所定部位に上穴の設けられた天壁を有する陶器製の椅子本体と、その内部に収容された蒸気発生手段とを備えた構成が開示されている。周側壁には周方向に複数の側穴が設けられ、蒸気発生手段は水と乾燥植物の容器、容器の加熱手段とからなる。加熱手段により容器を加熱することで発生する蒸気が上穴を通して椅子本体の上方に流れるとともに、複数の側穴を通して椅子本体の側方に流れる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-249054号公報「 蒸気穴を持つ椅子」
【特許文献2】特開2009-55968号公報「スチームサウナ用椅子」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記各文献開示技術も含めて従来のよもぎ蒸しや同方式のスチームサウナでは、用いる椅子に問題がある。それは、木製であれ陶器製であれ、設置や保管、さらには運搬においても、相当の面積の場所、空間を要するということである。しかも、木製であれ陶器製であれ相当の重量も有するから、使用場所における位置の変更や、使用前後の運搬にも相応の労力が掛かる。出願人はリラクゼーション業を営んでおり、その営業品目の一つがよもぎ蒸しである。よもぎ蒸しに使用する椅子には従来、市販のものを利用しているのだが、重量が7.5kgもあり、設置や保管に不便である。
【0008】
出願人はまた、よもぎ蒸しを行うための用具一式、すなわちよもぎ蒸し用椅子やマント等の道具一式を顧客に貸与すると同時に、独自に製造・調合したよもぎ蒸し用の薬草を販売する事業を計画しているが、この場合のレンタル用具一式中、特に椅子については問題がある。すなわち、従来のよもぎ蒸し用椅子は所定の大きさと重量を有していて持ち運びに多大の労力を要し、営業者・顧客双方にとって身体的負担が大きいこと、および、宅配便などで発送する際には大きさと重量によって経費が嵩む可能性が高いということである。リラクゼーション業の店舗営業、レンタル営業いずれにおいても、設置・保管・運搬時に要する面積・空間を小さくでき、また運搬・保管を容易に行うことのできる、取り扱い性に優れた椅子が求められる。そのような椅子は、よもぎ蒸しのみならず、その他のスチームサウナや、座薫にも便利である。
【0009】
そこで本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の問題点をなくし、よもぎ蒸し・スチームサウナ・座薫に用いる椅子として、設置・保管・運搬時に要する面積・空間を小さくでき、設置や収納・保管を簡便に行うことができ、運搬も容易に行うことができる、取り扱い性に優れた椅子を提供することである。また本発明の課題は、かかるよもぎ蒸し等用の椅子として、より軽量の椅子を提供することである。さらに本発明の課題は、かかる椅子を初めとするよもぎ蒸し等の実施に便利な用具のセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者は上記課題について検討した結果、よもぎ蒸し等に用いるための椅子を折り畳み式に構成することにより、運搬容易、設置簡便、コンパクトに保管・収納可能となることを見出し、これに基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0011】
〔1〕 使用者が着座する座部、ともに該座部を下方から支持する前脚部、左右の側脚部、ならびに後脚部からなり、該座部は、該前脚部の上縁部に上方に回動可能に取り付けられた前半座部材と、該後脚部の上縁部に上方に回動可能に取り付けられた後半座部材とが相互に枢設されてなり、各側脚部は、該前脚部の外縁部に内方に回動可能に取り付けられた前半側脚部材と、該後脚部の外縁部に内方に回動可能に取り付けられた後半側脚部材とが相互に枢設されてなり、該座部には上部通気口、および該前脚部、左右の側脚部もしくは該後脚部の少なくともいずれかには側部通気手段が設けられ、該前半座部材―後半座部材間の相互回動、および各前半側脚部材―後半側脚部材間の相互回動によって全体の折り畳みが可能であることを特徴とする、折り畳み椅子。
〔2〕 前記上部通気口は前記前半座部材および後半座部材の双方に設けられており、前記折り畳み動作の際には両の上部通気口を取っ手として使用可能であることを特徴とする、〔1〕に記載の折り畳み椅子。
〔3〕 よもぎ蒸し、スチームサウナ、または座薫(以下「よもぎ蒸し等」という)用途であることを特徴とする、〔1〕、〔2〕のいずれかに記載の折り畳み椅子。
【0012】
〔4〕 前記側部通気手段は前記前脚部、後脚部および左右の側脚部に設けられ、その少なくともいずれか一つはよもぎ蒸し等のための容器および加熱手段を本椅子内部に出し入れ可能に形成されていることを特徴とする、〔3〕に記載の折り畳み椅子。
〔5〕 木材製であることを特徴とする、〔3〕、〔4〕のいずれかに記載の折り畳み椅子。
〔6〕 〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕のいずれかに記載の折り畳み椅子、よもぎ蒸し剤や座薫剤を加熱するための加熱容器、および該加熱容器を加熱する加熱手段とからなることを特徴とする、よもぎ蒸し等セット。
〔7〕 よもぎ蒸し等用のマント、または前記座部に載置して用いるクッションの少なくともいずれかを備えることを特徴とする、〔6〕に記載のよもぎ蒸し等セット。
〔8〕 よもぎ蒸し剤または座薫剤の少なくともいずれかを備えることを特徴とする、〔6〕、〔7〕のいずれかに記載のよもぎ蒸し等セット。
【発明の効果】
【0013】
本発明の折り畳み椅子、およびよもぎ蒸し等セットは上述のように構成されるため、これらによれば、よもぎ蒸し・スチームサウナ・座薫に用いる椅子として、設置・保管・運搬時に要する面積・空間を小さくでき、設置や収納・保管を簡便に行うことができ、運搬も容易に行うことができ、取り扱い性に優れた椅子を提供することができる。これにより、レンタルによる用具の提供という形態を初めとして、よもぎ蒸し等をより手軽に行うことができる。また、宅配などの運搬費用も低く抑えることができ、このこともよもぎ蒸し等用具のレンタルに便利である。
【0014】
さらに、木などより軽量の素材を材料とする本発明折り畳み椅子によれば、よもぎ蒸し等用の椅子として、より軽量の椅子を提供することができる。椅子が軽いことによって誰にでも容易に運搬や設置が可能であり、また上述の通り折り畳み機能により保管の際にも広い場所を必要としないことから、よもぎ蒸しを一層手軽に行うことができる。また、宅配などの運搬費用も低く抑えることができる。
【0015】
また、本発明よもぎ蒸し等セットによれば、上述の便利な折り畳み椅子に加えて加熱容器および加熱手段等を備えたセットであることにより、かかるセットでの顧客へのレンタルを行うことができ、顧客はリラクゼーション業の店舗に赴く必要がなく、自宅にて自分の都合に合わせてよもぎ蒸し等を行うことができ、便利である。したがって本発明折り畳み椅子およびよもぎ蒸し等セットは、よもぎ蒸し等の普及拡大に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明折り畳み椅子の基本的な構成例を示す正面右斜め上方からの斜視図であり、使用者が着座可能に展開し切った状態を示す。
【
図2】
図1の正反対方向すなわち背面左斜め下方からの斜視図である。
【
図3】本基本的な構成例折り畳み椅子を折り畳み始めた状態を示す右側面左方からの斜視図である。
【
図3-2】
図3の状態の右側面左上方からの斜視図である。
【
図4】本基本的な構成例折り畳み椅子の折り畳みが完了した状態を示す正面右斜め方向からの斜視図である。
【
図5】本発明折り畳み椅子の作用を示す説明図である(展開状態)。
【
図6】本発明折り畳み椅子の作用を示す説明図である(中間状態)。
【
図7】本発明折り畳み椅子の作用を示す説明図である(折り畳み状態)。
【
図8】本発明のよもぎ蒸し等セットの構成を概念的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面により本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明折り畳み椅子の基本的な構成例を示す正面右斜め上方からの斜視図であり、使用者が着座可能に展開し切った状態を示す。また、
図2は
図1の正反対方向すなわち背面左斜め下方からの斜視図である。さらに、
図3は本基本的な構成例折り畳み椅子を折り畳み始めた状態を示す右側面左方からの斜視図、
図3-2は
図3の状態の右側面左上方からの斜視図、
図4は本基本的な構成例折り畳み椅子の折り畳みが完了した状態を示す正面右斜め方向からの斜視図である。なお、各図における正面すなわち前脚部―背面すなわち後脚部、および、左側面すなわち左の側脚部―右側面すなわち右の側脚部の各関係は相対的なものである。つまり、説明の便宜のために、
図1において符号「2」で示す要素を前脚部として、他の全要素を規定しているものである。
【0018】
各図に示すように本発明折り畳み椅子10は、使用者が着座する座部1、ともに座部1を下方から支持する前脚部2、左右の側脚部3、4、ならびに後脚部5からなり、座部1は、前脚部2の上縁部に上方に回動可能に取り付けられた前半座部材1Fと、後脚部5の上縁部に上方に回動可能に取り付けられた後半座部材1Bとが相互に枢設されてなり、各側脚部3、4は、前脚部2の外縁部に内方に回動可能に取り付けられた前半側脚部材3F、4Fと、後脚部5の外縁部に内方に回動可能に取り付けられた後半側脚部材3B、4Bとが相互に枢設されてなり、座部1には上部通気口6が設けられ、そして前脚部2、左右の側脚部3、4、もしくは後脚部5の少なくともいずれかには側部通気手段7等が設けられ、前半座部材1F―後半座部材1B間の相互回動、前半側脚部材3F―後半側脚部材3B間の相互回動、および前半側脚部材4F―後半側脚部材4B間の相互回動によって全体の折り畳みが可能であることを、主たる構成とする。
【0019】
なお各枢設箇所は、枢設手段Cによって枢設可能に形成されている。各図では、各枢設箇所における枢設手段を全て共通の符号「C」により示すが、各枢設手段Cの具体的仕様の一部または全部について相違があってもよい。具体的な枢設手段Cとしては、適宜仕様の蝶番を好適に用いることができるが、それには限定されない。前半座部材1F―後半座部材1B、左側の前半側脚部材3F―後半側脚部材3B、および右側の前半側脚部材4F―後半側脚部材4Bがそれぞれ相互回動可能なように前半座部材1F―後半座部材1B等を連結可能なものである限り、適宜の枢設手段を用いることができる。
【0020】
かかる構成により、本発明折り畳み椅子10は次のように作用する。すなわち、
図1、2に示すように使用者が着座可能なよう展開し切っている状態で、使用者は、前半座部材1Fと後半座部材1Bが展開し一平面をなしている形態の座部1上に着座することができる。座部1への着座を終了し本折り畳み椅子10を折り畳むには、
図3、3-2に示すように、前半座部材1F―後半座部材1B間の相互回動を行う。これにより、左側の前半側脚部材3F―後半側脚部材3B間、および右側の前半側脚部材4F―後半側脚部材4B間それぞれにおける相互回動が連動し、最終的には
図4に示すように本折り畳み椅子10全体の折り畳みがなされる。
【0021】
すなわち、前半座部材1Fの前脚部2に対する上方への回動、後半座部材1Bの後脚部5に対する上方への回動、および、相互に枢設されている前半座部材1F―後半座部材1B間におけるせり上がっての畳み込み、これらが連動してなされる。同時に、左側においては、前半側脚部材3Fの前脚部2に対する内方への回動、後半側脚部材3Bの後脚部5に体する内方への回動、および相互に枢設されている前半側脚部材3F―後半側脚部材3B間における椅子10内側へ入り込んでの畳み込み、これらが連動してなされる。さらに同時に、右側においては、前半側脚部材4Fの前脚部2に対する内方への回動、後半側脚部材4Bの後脚部5に体する内方への回動、および相互に枢設されている前半側脚部材4F―後半側脚部材4B間における椅子10内側へ入り込んでの畳み込み、これらも連動してなされる。
【0022】
つまり、座部1における前半座部材1F―後半座部材1B間の畳み込み、左側における前半側脚部材3F―後半側脚部材3B間の畳み込み、または右側における前半側脚部材4F―後半側脚部材4B間の畳み込み、このいずれか一つの畳み込みがなされると、他の二つでも連動して畳み込みがなされ、かかる作用によって本折り畳み椅子10は、前脚部2―後脚部5間が閉じて行き、最終的には
図4に示す畳まれた形態となる。
【0023】
かかる本折り畳み椅子10全体の折り畳み作用は、座部1、左の側脚部3、右の側脚部4におけるいずれの相互回動作用によっても実現することができるが、座部1における相互回動作用を用いることが最も好ましい。側脚部3、4の畳み込み作用は椅子10の内側への動きである一方 座部1における畳み込み作用は椅子10の外側、上方への動きであって、より容易だからである。
【0024】
すなわち本発明折り畳み椅子10は、各図に示すように座部1を構成する前半座部材1Fおよび後半座部材1Bそれぞれに合わせて2箇所に上部通気口6、6が設けられた構成とすることができ、これら上部通気口6、6に手を掛けて前後半両座部材1F、1Bを把持することによって容易に相互回動作用をなし、容易に座部1の畳み込み作用を行うことができるからである。かかる構成では、上部通気口6、6は、折り畳み動作の際に取っ手として使用することができるのである。
【0025】
図4に示す折り畳み状態の本折り畳み椅子10を展開して使用可能な状態にするには、畳まれている前半座部材1Fおよび後半座部材1Bを広げて一平面をなすよう展開すること、それに合わせて、内側に畳み込まれていた左の側脚部3の前半側脚部材3Fおよび後半側脚部材3Bを外方へと引き出して一平面をなすよう展開すること、および右の側脚部4の前半側脚部材4Fおよび後半側脚部材4Bを外方へと引き出して一平面をなすよう展開すること、以上の各展開を行えばよい。これらの展開は、ほぼ同時に行うことができる。
【0026】
展開の順序は、座部1の展開にまず着手し、ついで各側脚部3、4の展開を行うことにより円滑に行うことができる。すなわち、
図3、3-2に示すように座部1の展開が途中まで行われている状態になれば、係る座部1の展開に伴う前脚部2―後脚部4間の離隔により、前半側脚部材3F―後半側脚部材3B間の展開、および前半側脚部材4F―後半側脚部材4B間の展開が連動して行われつつある状態となっており、各側脚部3、4を外方へと引き出すことによる展開の完了が容易となる。
【0027】
側脚部3、4に側部通気手段3L等が設けられている構成では、当該側部通気手段3L等を側脚部4R、8R等を展開するための取っ手として用いることができる。すなわち、座部1の展開を進行して
図3、3-2に示す状態まで椅子10全体の展開が進んでいる時、側部通気手段4R、8R等に手を掛けて前半側脚部材4F等を把持することによって容易に相互回動作用をなし、容易に側脚部3、4の引き出し、展開作用を行うことができる。
【0028】
このように本発明折り畳み椅子10は、折り畳んだ状態では前脚部2、後脚部5、前半側脚部材3F(4F)および後半側脚部材3B(4B)の各厚さを合わせた厚さ程度にまで厚さを縮めることができ、サイズをコンパクト化できる。したがって、不使用時における設置・保管・運搬時に要する面積・空間を小さくでき、設置や収納・保管を簡便に行うことができ、運搬も容易に行うことができ、取り扱い性がよい。
【0029】
なお、側部通気手段は、前脚部2、左の側脚部3、右の側脚部4、または後脚部5の少なくともいずれかに設けられていれば本発明の範囲内である。しかしながら、本折り畳み椅子10をよもぎ蒸し等用として用いる場合は、側部通気手段はできるだけ多く設けられていることが望ましい。図示する構成例椅子10では、前脚部2に側部通気手段7、後脚部5に側部通気手段9、左右の側脚部3、4に側部通気手段8L、8Rが設けられている。これらは、各脚部の下部における隙間として形成されている。隙間の形状やサイズは適宜に設計可能である。また図示する構成例椅子10では、側部通気手段3L、4Rは、上部通気口6と同様の穴構造として設けられている。
【0030】
図5、6、7は本発明折り畳み椅子の作用を示す説明図であり、それぞれ展開状態、中間状態(展開状態と折り畳み状態の中間の状態)、折り畳み状態について、左右側脚部の形態変化を示す平面図(各図中(a))、および座部の形態変化を示す側面図(各図中(b))にて示す。なお、各図中の(a)では座部の表示を省略し、(b)では側部通気手段や下部の表示を省略している。また各図においては、前半側脚部材―後半側脚部材間の枢設手段、および前半座部材―後半座部材間の枢設手段以外の枢設手段の表示も省略している。また、以下の各
図5~7の詳細説明では、展開状態から折り畳み状態への変化を記述するが、これとは逆に折り畳み状態から展開状態へと変化する作用もあることは言うまでもない。
【0031】
図5に示すように展開状態では、前半側脚部材53F―後半側脚部材53B、前半側脚部材54F―後半側脚部材54Bはいずれもいっぱいに展開して一平面をなして各側脚部を形成しており(図中(a))、一方、前半座部材51F―後半座部材51Bもいっぱいに展開して一平面をなして座部51を形成している(図中(b))。
【0032】
また、
図6に示すように中間状態では、前半側脚部材53F―後半側脚部材53B、前半側脚部材54F―後半側脚部材54Bは枢設手段5Cの作用によって内側に畳み込まれつつあり(図中(a)、(b))、一方、前半座部材51F―後半座部材51Bも枢設手段5Cの作用によって上方にせり上げられつつあり(図中(b)、これによって前脚部52―後脚部55間は狭まりつつある状態である。
【0033】
また、
図7に示すように折り畳み状態では、前半側脚部材53F―後半側脚部材53B、前半側脚部材54F―後半側脚部材54Bはいずれも内側にいっぱいに折り畳まれた状態となっており(図中(a))、一方前半座部材51F―後半座部材51Bもいっぱいに折り畳まれている(図中(b))。これによって前脚部52―後脚部55間は最も接近しており、本折り畳み椅子が完全に折り畳まれた状態となっている。
【0034】
本発明折り畳み椅子の構成材料は限定されないが、特にこれを木材製、あるいはプラスチックなど木材と同等以上に軽量な素材製とすることができる。これにより、移動・運搬を負荷少なく容易に行うことができ、取り扱い性がよい。椅子が軽いことにより、容易に運搬や設置が可能である。本折り畳み椅子は、よもぎ蒸し、スチームサウナまたは座薫(よもぎ蒸し等)用途として最適であるが、軽量であることは、レンタルによる用具の提供という形態を初めとしてよもぎ蒸し等をより手軽に行うために適している。なお、よもぎ蒸し等用途に本折り畳み椅子を用いる場合、椅子の内部で発生させる蒸気等に対する耐熱性を十分に備えた材料を構成材料として用いる。
【0035】
本折り畳み椅子10をよもぎ蒸し等に用いる方法を述べる。展開状態とした本椅子10の内部(各脚部により形成される内側空間)に所定の加熱手段および加熱容器などよもぎ蒸し等を行うのに必要な物を設置し、使用者は本椅子10の座部1上に所定の準備をして着座し、よもぎ蒸し等を行う。ここで、所定の準備とはたとえば、よもぎ蒸し等による蒸気等を身体に受けるために必要な脱衣状態となり、蒸気等の充満状態を形成するためのマントを着用することである。
【0036】
座部1に設けられている上部通気口6、6は、よもぎ蒸し等用として本椅子10を用いる場合に必須の要素である。上部通気口6、6を通して、内部で発生した蒸気等が着座した使用者の身体に直接作用し、よもぎ蒸し等の効果を得られるからである。上部通気口6、6は上述の通り、本椅子10の折り畳み―展開の際や、移動の際の取っ手としても用いることができる。上部通気口6、6の形状は、図示する半円形など、よもぎ蒸しに適した形状とすればよい。
【0037】
また、側部通気手段7等からも蒸気等は上方に立ち上り、マント内の蒸気等充満状態形成に寄与するため、側部通気手段7等は適宜の数を、適宜のサイズで設けることが望ましい。これによって、よもぎ蒸し等の効果を一層高めることができる。なお、上述した以外のよもぎ蒸し等の具体的方法は、従来公知の方法を適宜採用すればよい。
【0038】
図1~4の各図に構成例として示した本折り畳み椅子10の側部通気手段は、前脚部2に設けられた下部隙間の形態である側部通気手段7、後脚部5に設けられた下部隙間の形態である側部通気手段9、左右の側脚部3、4にそれぞれ設けられた下部隙間の形態である側部通気手段8L、8R、および左右の側脚部3、4にそれぞれ設けられた穴形状である側部通気手段3L、4Rである。これらの側部通気手段のうち少なくともいずれか一つはよもぎ蒸し等のための容器および加熱手段を本椅子10内部に出し入れ可能に形成されている構造とすることができる。本構成例では、前脚部2の側部通気手段7および後脚部5の側部通気手段9が、かかる用途として使用できる。
【0039】
なお、
図1~4の各図は本発明折り畳み椅子の基本的な構成例であり、本発明折り畳み椅子を構成する各要素の形状やサイズ、配置等の仕様は、各図に示すものに限定されない。
【0040】
図8は、本発明のよもぎ蒸し等セットの構成を概念的に示す説明図である。図示するように本よもぎ蒸し等セット830は、以上説明したいずれかの構成の折り畳み椅子810、よもぎ蒸し剤や座薫剤を加熱するための加熱容器821、および該加熱容器821を加熱する加熱手段822とからなることを、基本構成とする。加熱容器821および加熱手段822は一体構成となっている物、着脱可能なセット構成となっている物でもよい。
【0041】
かかる基本構成の本よもぎ蒸し等セット830によれば、後は、よもぎ蒸し剤や座薫剤などのよもぎ蒸し等に用いる材料、マントなどよもぎ蒸しを実施するための準備を行うだけで、よもぎ蒸し等を実施することができる。本よもぎ蒸し等セット830は、これをレンタルする品目として、使用を希望する顧客へのレンタルサービスに供することもできる。よもぎ蒸し等用の椅子は従来、その重量など取り扱い性の点でレンタルには適さず、レンタルサービスに供されたことがない。しかし、本発明の折り畳み椅子810を用いたよもぎ蒸し等セット830であれば、それが可能である。もっとも、本よもぎ蒸し等セット830の用途はレンタルサービスには限定されない。
【0042】
よもぎ蒸し等セット830には、この基本構成に加えて、下記のいずれか、または双方を加えるセットとすることができる。
・よもぎ蒸し等用のマント823、または座部に載置して用いるクッション824の少なくともいずれかを備えるよもぎ蒸し等セット用オプション825。
・よもぎ蒸し剤または座薫剤826x等の少なくともいずれかを備えるよもぎ蒸し等セットオプション827。
【0043】
よもぎ蒸し等セット用オプション825は、よもぎ蒸し等セット830に付加されたレンタル品目としても、販売用としても使用できる。一方、よもぎ蒸し等セットオプション827は販売用が適している。図では、よもぎ蒸し剤または座薫剤として、826x、826y、826zをセットにした例を示しているが、本発明はこれに限定されず、1種類でも、複数種類のセットでももちろんよい。
【実施例0044】
以下は、本発明折り畳み椅子を用いたレンタル用よもぎ蒸しセット、およびその使用方法の説明である。なお、本発明がこれに限定されるものではない。
1 レンタルよもぎ蒸しセットの構成
(1)よもぎ蒸し用椅子
(2)電気鍋
(3)着座用のクッション
(4)クッションカバー
(5)マント
(6)よもぎ蒸し用のよもぎのパック、その他の薬草のパック(ブレンドされた物を含む)・・・消耗品につき販売用
【0045】
2 レンタルよもぎ蒸しセットを用いたよもぎ蒸しの行うための、使用者(顧客)側の準備
(1)床に汗や蒸気が落ちないようにするための防水シート、バスマット、タオルなど
(2)首元から蒸気を逃がさないようにするため、首元に巻くタオル
(3)脱水症状防止のための水分補給用飲用水など
【0046】
3 よもぎ蒸しの方法
(1)フローリングなどの平らな床に椅子と電気鍋を置く。鍋の下には、バスマットやタオルを敷く。
(2)鍋に水を8割程度入れる。強く加熱し、水を沸騰させてお湯にする。
(3)沸騰したお湯によもぎ等を入れて、適当な加熱温度に設定し、鍋の蓋を閉める。
(4)適宜時間(2~5分)煮出したら鍋の蓋を開け、脱衣してマントに着替える。マントを挟まないように椅子に座り、首元にタオルを巻く。
(5)20~30分を目安によもぎ蒸しをする。なお、こまめな水分補給に注意し、無理せず体調に合わせて行う。
【0047】
4 効果を高める方法
(1)女性の場合は、陰部に蒸気が当たるように少し深めに腰掛ける。
(2)男性の場合は、肛門に蒸気が当たるように腰掛け、定期的に肛門の筋肉を引き締める運動をすると効果的である。
(3)あぐらや体育座りなどの楽な姿勢で着座し、よもぎ蒸しを行う。
【0048】
5 終了後
(1)よもぎ蒸しが終わった後は、タオルで体を拭き、またはシャワーを使う。
(2)水分を十分に補給する。
【0049】
6 レンタル品の手入れ
(1)マントは、乾燥機を使わずに乾かす。
(2)お湯が冷めたらよもぎおよび水を捨て、鍋を軽く水洗いする。
(3)椅子は、折り畳んで収納すれば場所をとらず、便利である。
本発明の折り畳み椅子、およびよもぎ蒸し等セットによれば、よもぎ蒸し等に用いる椅子として、設置・保管・運搬時に要する面積・空間を小さくでき、設置や収納・保管を簡便に行うことができ、運搬も容易に行うことができ、取り扱い性に優れた椅子を提供することができる。これにより、レンタルによる用具の提供という形態を初めとして、よもぎ蒸し等をより手軽に行うことができる。したがって本発明は、リラクゼーション業、健康増進や美容に関わる業務分野、および関連する全分野において、産業上利用性が高い発明である。