IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 丹治 雅行の特許一覧

<>
  • 特開-複数画像表示装置 図1
  • 特開-複数画像表示装置 図2
  • 特開-複数画像表示装置 図3
  • 特開-複数画像表示装置 図4
  • 特開-複数画像表示装置 図5
  • 特開-複数画像表示装置 図6
  • 特開-複数画像表示装置 図7
  • 特開-複数画像表示装置 図8
  • 特開-複数画像表示装置 図9
  • 特開-複数画像表示装置 図10
  • 特開-複数画像表示装置 図11
  • 特開-複数画像表示装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051612
(43)【公開日】2022-04-01
(54)【発明の名称】複数画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/60 20060101AFI20220325BHJP
   G06F 3/14 20060101ALI20220325BHJP
   G09B 5/02 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
G06T11/60 300
G06F3/14 310A
G09B5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158012
(22)【出願日】2020-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】720007143
【氏名又は名称】丹治 雅行
(72)【発明者】
【氏名】丹治 雅行
【テーマコード(参考)】
2C028
5B050
5B069
【Fターム(参考)】
2C028AA08
2C028BB04
2C028BC05
2C028BD01
5B050AA10
5B050BA06
5B050BA17
5B050CA07
5B050EA09
5B050FA02
5B050FA05
5B050FA09
5B050FA13
5B050FA14
5B050FA17
5B069BA03
5B069BC02
5B069DD15
(57)【要約】
【課題】情報における時間の要素や、複数事象の生起位置と推移について、視覚的に把握を容易にすること。
【解決手段】主情報とともに、不透明度を乗じた時間の要素を含む付随情報を重ね合わせて表示する。また、複数の事象を位置情報と説明を含む時間ごとの画像として表し、利用者が指定する時間の画像とともに、前後の時間の画像に不透明度を乗じ、重ね合わせて表示する。更に、事象の位置と説明を含む時間ごとの鳥瞰画像を鳥瞰地図の上に垂直方向に間隔を置いて重ね合わせ、事象がいずれの鳥瞰画像に属するかの情報とともに表示する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な背景に不透明に図像を記載した複数の画像と、前記の図像の位置に関わる制御情報と、前記複数の画像に対する不透明度の組みとを記憶する手段と、
前記の不透明度の組みの内の一つを指定する手段と、
画像を表示する手段を備え、
前記の図像の位置に関わる制御情報に従って画像内の図像の位置の変更を行い、
前記の不透明度の組みの内の一つを指定する手段を用いて得られる不透明度の組みを画像に乗じ、
全ての画像を重ね合わせて表示する複数画像表示装置。
【請求項2】
透明な背景に不透明に図像を記載した複数の画像を記憶する手段と、
前記複数の画像の内の一つを指定する手段と、
画像を表示する手段を備え、
前記の複数の画像の内の一つを指定する手段を用いて一つの画像を指定することにより定まる不透明度の組みを指定する画像とは他の画像に乗じ、
前記の指定する手段により指定する一つの画像とともに重ね合わせて表示する複数画像表示装置。
【請求項3】
鳥瞰による地図画像と、地図画像と同じ視点からの鳥瞰画像であって、事象が生起した位置の区別表示及び説明の図像と共に、他の鳥瞰画像に記載する事象の位置表示の図像を透明な背景に不透明に記載した鳥瞰画像の複数とを記憶する手段と、
画像を表示する手段を備え、
前記の鳥瞰による地図画像の上に前記鳥瞰画像の複数を垂直方向に間隔をあけて重ね合わせて表示する複数画像表示装置。
【請求項4】
透明な背景に不透明に図像を記載した複数の画像と、前記の図像の位置に関わる制御情報と、前記複数の画像に対する不透明度の組みとを記憶する手段と、
前記の不透明度の組みの内の一つを指定する手段と、
画像を表示する手段を備える情報処理装置において、
前記の図像の位置に関わる制御情報に従って画像内の図像の位置の変更を行い、
前記の不透明度の組みの内の一つを指定する手段を用いて得られる不透明度の組みを画像に乗じ、
全ての画像を重ね合わせて表示する複数画像の表示方法。
【請求項5】
透明な背景に不透明に図像を記載した複数の画像を記憶する手段と、
前記複数の画像の内の一つを指定する手段と、
画像を表示する手段を備える情報処理装置において、
前記の複数の画像の内の一つを指定する手段を用いて一つの画像を指定することにより定まる不透明度の組みを指定する画像とは他の画像に乗じ、
前記の指定する手段により指定する一つの画像とともに重ね合わせて表示する複数画像の表示方法。
【請求項6】
鳥瞰による地図画像と、地図画像と同じ視点からの鳥瞰画像であって、事象が生起した位置の区別表示及び説明の図像と共に、他の鳥瞰画像に記載する事象の位置表示の図像を透明な背景に不透明に記載した鳥瞰画像の複数とを記憶する手段と、
画像を表示する手段を備える情報処理装置において、
前記の鳥瞰による地図画像の上に前記鳥瞰画像の複数を垂直方向に間隔をあけて重ね合わせて表示する複数画像の表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の種類の情報を有する記述、例えば生没年とともに関係する情報を付加した系図や、複数の位置及び時間の情報を有する歴史的事象の説明などについて、全体を視覚的に把握するのに適した複数画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車で一般に用いられるカーナビゲーションシステムや、スマートフォンで使用される地図ソフトでは、自身の位置に加えて付近の駐車場、ガソリンスタンド、コンビニ等の位置を表示し、複数の関連情報を把握する為の機能がある。また、教育に関わる端末装置のコンピュータを利用したシステムにおいて、事象における地理的側面とともに、その事象に関わる歴史的側面を把握するのに適した方法が開発されている。例えば、下記の特許文献1では、地理的トピックが端末装置のコンピュータに表示されているときに歴史的トピックへの表示変更を促す内容が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-181997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基本的な情報とそれに関連する情報について、全てを一画面に表示すると、情報が多いことに起因して必要な情報の把握が困難な場合がある。これを避けるために、例えば、カーナビゲーションシステムや、スマートフォン上の地図ソフトでは通常は地図の上に自身の位置を表示し、関心に応じて付近の駐車場、ガソリンスタンド、コンビニ等の位置を追加表示することができる。利用者にとって基本として必要な情報が常時表示されるのに対し、関連する情報については選択的に加えて表示することにより把握を容易としている。一方、関連する情報を表示する場合には、その下の地図情報は隠れて見ることができない。
【0005】
特許文献1の学習支援プログラム、学習支援サーバ装置及び学習支援方法では、地理的トピックと歴史的トピックを同時に表示するのではなく一方のトピックを表示し、他方のトピックへの移行を促す小さな印を設けることにより表示画面上の情報が過多となることを回避している。また従来の紙面や、一般に用いられる二次元画像表示装置では、事象に関する複数の情報、例えば位置と時間を表す場合には、画面に地図を表示して、その上に事象の生起した位置、更にその近傍に時間、例えば年月を表示する。この場合には、位置と時間に関しては視覚上容易に把握することができる。しかしながら、事象が時間とともに推移する場合、推移を把握するためには、前記の時間情報を記憶したり、推移を表すために追記された矢印などの補助情報を追う必要があった。
【0006】
本発明の一つの目的は、基本的な情報を表示しつつ、その情報を完全に隠すことなく更に関連情報を表示することにより、多岐に亘る情報全体の把握を容易にできる複数画像表示装置を提供することである。また、本発明のもう一つの目的は、時間とともに推移する事象について、生起した位置とともにその推移を視覚上容易に把握できる複数画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の複数画像表示装置は、利用者が指示入力する為の操作手段と地図データおよび事象に係る位置と時間の情報を記憶するメモリ及び表示器とを有する電子装置であって、例えばタブレット端末やノート型コンピュータ、外付けの表示器を有するデスクトップ型のコンピュータなどが該当する。
【0008】
本発明の複数画像表示装置の動作の一つの態様では、主たる図像を含む一つの画像に対して、付随又は関連する図像を含む画像に不透明度を乗じたものを重ね合わせて表示する。不透明度は利用者が予め設定することができる。また、主たる図像に対して関連図像を近傍に表示することも可能とし、この場合、図像の重複が生じないように、必要な場合には主たる図像の表示位置を移動する。ここで図像とは情報を担う個々の要素を、画像とは図像の集合であって電子装置の表示器に表示される情報全体を意味する。
【0009】
本発明の複数画像表示装置の動作の他の態様では、一つの情報の軸、例えば位置及び説明に関する図像を含む画像を、他の情報の軸、例えば時間ごとの複数の画像として保持し、それぞれの画像に不透明度を乗じて重ね合わせて表示する。不透明度は利用者が予め設定することができる。
【0010】
本発明の複数画像表示装置の動作の更に他の態様では、一つの情報の軸、例えば位置表示及び説明に関する図像を含む鳥瞰画像を、他の情報の軸、例えば時間ごとに複数用意して垂直方向に間隔をあけて重ね合わせ、複数の鳥瞰画像を一纏まりにして表示する。各鳥瞰画像は他の鳥瞰画像における位置表示図像を含むとともに、自鳥瞰画像における位置表示図像が他の鳥瞰画像の位置表示図像と区別できるようにしておく。
【発明の効果】
【0011】
主たる図像に加えて付随情報を表示する場合に、主たる図像が隠蔽されることがないため、全体の把握が容易となる。また、関連する図像を加えて情報全体の範囲を広げる場合に、表示画像上で図像が重複することを回避できる。
【0012】
また、複数年に亘って生起した事象において、指定する一つの年の事象を表す図像を含む画像に加え、他の年の事象を表す図像を含む画像に不透明度を乗じたものを重ね合わせて表示することにより、指定する一つの年の事象と他の年の事象とを統一的に把握することができる。
【0013】
更に、鳥瞰による地図の上に時間ごとの複数の鳥瞰画像を垂直方向に間隔をあけながら重ね合わせて表示することにより、利用者が指定の操作をすることなく、生起した事象の位置と内容の推移を、視覚的に容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】複数画像表示装置のシステム構成の例を示す。
図2】不透明度の組み合わせの内の一つを指定する場合の例を示す。
図3】複数の画像の内の一つを指定する場合の例を示す。
図4】複数の画像を、それぞれに不透明度を乗じた後重ね合わせて表示する方法の例を示す。
図5】図像の内容及び制御情報を示す表と、不透明度の組合せを示す表の例を示す。
図6】系図の例を示す。
図7】系図に対して生没年を数字と帯で付記した例を示す。
図8】系図に対して生没年を帯で、天皇在位年を数字と帯で付記した例を示す。
図9】系図に対して生没年を帯で付記し、更に関係者及びその付随情報を付記した例を示す。
図10】一つの年の画像と、不透明度を乗じた他の年の画像を重ね合わせて表示した例を示す。
図11】他の一つの年の画像と、不透明度を乗じた他の年の画像を重ね合わせて表示した例を示す。
図12】複数の鳥観画像を、垂直方向に間隔をあけながら重ね合わせて表示する例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は以下の説明ではなく、請求の範囲で示され、その範囲内での変形、組合せが可能である。
【0016】
図1は、本発明の実施例における複数画像表示装置の構成図である。同図に示す複数画像表示装置10は、パーソナルコンピュータやタブレット端末などであり、所定のプログラムが動作することにより、表示機能を実現する。複数画像表示装置10は、CPU(プロセッサ)101、記憶装置としての不揮発性メモリ102及びRAM103、外部インタフェース104、表示器インタフェース105を備え、これらがシステムバス100を介して互いに接続される。外部インタフェース104には入力装置106が接続され、表示器インタフェース105には表示器107が接続される。
【0017】
CPU101は、複数画像表示装置10内の構成要素間の連絡とともに全体の動作を制御する。不揮発性メモリ102には、オペレーティングシステム、表示制御プログラム、図像に関わるデータなどが記録される。不揮発性メモリ102に記録されたオペレーティングシステム、表示制御プログラムが、CPU101によってRAM103に読み出され、CPU101によって実行される。表示制御プログラムは、入力装置による利用者の操作に従って表示画像を生成し、RAM103に格納する。
【0018】
入力装置106は外部インタフェース104を介してシステムバス100接続され、表示に関わり利用者が行う各種の操作を受け付けるものである。入力装置106としては、マウス、トラックボール、キーボード、タッチパッド、タッチパネルなどを採用することができる。
【0019】
表示器インタフェース105はRAM103に格納された表示画像を表示器107が表示できる信号に変換して表示器107に送出する。表示器として代表的なものは液晶ディスプレイである。
【0020】
次に図2を参照して不透明度の組みの内の一つを指定する場合の例について説明する。図2(b)の205は不透明度の組合せの表の例であり、不透明度100の場合には元の濃さのまま表示されることを示し、0の場合には完全に透明になって画像が表示されないことを示す。例えば番号1では、画像1のみを表示し、他の画像は表示しない。番号2の場合は画像1に加えて画像2に不透明度60を乗じたもの、すなわちやや透明なものを表示し、画像3は表示しない。番号3では、画像1をそのまま、画像2は不透明度60、画像3は不透明度40として重ね合わせて表示する。205の表は、表示する画像の近傍に常に表示しても良いし、マウスにおけるクリック操作によって表示させたり、非表示にさせたりすることにしても良い。図2(a)の200は205の不透明度の組合せの表の番号を指定する手段の例であり、表示方法番号欄に数字を入力して指定する。
【0021】
図3は複数の画像の内の一つを指定する場合の例である。本例は複数の年月にわたって生起した複数の事象を保持する複数の画像の内の一つを指定するもので、図3(a)の指定手段300は画像の周縁部などに表示される。指定年欄に数字を入力して指定するのに加えて、マウスなどによるクリック操作で変更が可能である。上向き矢印302をクリックすると、指定年301が新しい年に変わり、また、下向き矢印303をクリックすると、指定年301が旧い年に変わる。図3(b)の305は不透明度の表の例であり、指定年は元の濃さで表示され、指定年の前後の1年は不透明度60で、指定年の前後の2年は不透明度40で表示する設定としてある。不透明度の数字が小さくなると薄く表示されるため、時間の差が大きいほど薄く表示されることとなる。指定年の前後の不透明度については、利用者が予め設定することができる。
【0022】
図4の400は重ね合わせ画像生成の例である。画像に不透明度を乗じたものを足し合わせて重ね合わせ画像を生成する。本例では、画像1に対応する不透明度1が100、他の画像に対応する不透明度2及び不透明度3を0、すなわち完全に透明とした場合を例として示す。重ね合わせ画像では、画像1内の図像のみが表示されている。
【実施例0023】
図5(a)、(b)は、系図とそれに付随及び関連する情報において、画像の表示内容と重ね合わせ表示に関わる位置と不透明度の指定の例を示す。図5(a)は、画像番号ごとに図像の内容及び図像の位置に関わる制御情報を纏めた表である。画像1は系図、画像2は年代目盛、画像3は該当する人の生没年を西暦で表した図像を含み、画像4は生年から没年までを色の帯で表した生没年表示帯を図像として記載する。また、画像5は天皇の在位の始めと終わりを西暦で表した図像を含み、画像6は天皇の在位の始めから終わりまでを色の帯で表した在位表示帯を図像として記載する。画像3から画像6が系図に付随する情報である。更に画像7は系図中の人物に関りのある人物の名前、生没年を西暦で表したもの、生没年表示帯、職務名称とその期間を西暦で表したもの、及び職務の期間の始めから終わりまでを色の帯で表した職務年表示帯を図像として記載する。図5(a)における制御情報は図像の位置に関わる情報で、数値が記載されている画像7の図像を表示する際に用いる。図5(b)は、図2の205に相当する表の例であり、画像を重ね合わせる場合の不透明度の組合せを表す。番号1の場合には、画像1の不透明度が100であってそのまま表示し、画像2から7までの不透明度が0、すなわち表示しないことを表す。番号1から4までの場合の例について以下に述べる。
【0024】
図6の600は、平安時代の貴族である藤原氏に関わる系図の抜粋である。図5(b)の番号1の不透明度組合せに従い、系図のみを表示している。ここでは、藤原道長を起点にして女性の子供と孫を記し、更に天皇との婚姻関係を記している。藤原道長が601、女性の子供彰子、妍子、威子がそれぞれ602、604、607であり、女性の孫禎子内親王が608である。一条天皇605、三条天皇603、後一条天皇606、後朱雀天皇610が前記の女性それぞれを中宮や皇后とした天皇である。本図は系図の一般的な表現方法であって、人物間の血縁、婚姻関係を知ることができ、藤原道長の外戚としての地位が明らかである。
【0025】
図7の700は、図5(b)の番号2の不透明度組合せに従い、系図601-611(図中の符号は省略)に加えて、年代目盛750と生没年西暦701-711を不透明度100で、生没年表示帯721-731を不透明度60で重ね合わせてある。但し、図7においては、不透明度60であることを点線で表示してある。系図601-611では各人の生没年が分からなかったが、生没年西暦701-711により明確になる。更に生没年表示帯721-731によれば、年代目盛750と併せて生没年を直感的に把握することができる。図7では不透明度60を点線で表したため正しく表現できていないが、系図601-611は生没年表示帯721-731を透過して読むことができる。
【0026】
図8の800は、図5(b)の番号3の不透明度組合せに従い、系図601-611に加えて、年代目盛750を不透明度100、生没年表示帯721-731を不透明度60として重ね合わせてある(以上図中の符号は省略)。また、在位西暦803、805、806、809、810、811を不透明度100、在位表示帯823、825、826、829、830、831を不透明度40の状態で重ね合わせてある。図8では在位表示帯と生没年表示帯とを区別するために、不透明度40の在位表示帯を斜線の帯で表示してある。この方法の表示によって、各天皇の在位の順序、在位の開始年齢と終了年齢を視覚的に把握することができる。本例の範囲では天皇位の移譲が全て崩御に伴うことも容易に知ることができる。
【0027】
図9の900は、図5(b)の番号4の不透明度組合せに従い、系図601-611に加えて生没年表示帯721-731を不透明度60(以上図中の符号は省略)で表示し、更に画像7における関連人物の名前901-902、生没年西暦911-912、生没年表示帯921-922、職務名称・期間西暦931-932、職務年表示帯941-942を不透明度100で重ね合わせてある。但し、画像7では、予め生没年表示帯921-922は不透明度60に、職務年表示帯941-942は不透明度40としてあるものとする。本図では、紫式部と和泉式部が共に彰子の女房として働き、その期間も一時重複していたことが分かる。更に彰子との年齢の関係も視覚的に把握が可能である。
【0028】
図9の900においては、系図601-611に紫式部と和泉式部の表示が加わるため、図6から図8の場合よりも表示の情報量が多い。そのため図6から図8の場合の大きさの画面では全体を表示することができない。画像7における図像の縦方向の幅が2名分であるため、画像7の制御情報に2名分に対応する移動量2を設定し、主たる図像の移動を指示する。本例では、主たる図像の移動開始の始点を1として道長の直下としてある。移動量を2とすることによって、複数画像表示装置は縦方向の移動量2に相当する分の情報を別のページに990として表示する。
【実施例0029】
図10図11は複数年に亘って生起する事象において、図3の300の手段で一つの年を指定した場合の例である。ここでは、例として治承・寿永の乱(源平合戦)を挙げ、図10は1184年を指定した場合の例を示す。1184年2月の一ノ谷の合戦を記載する画像は、指定された年の画像のため、事象の名称と生起場所表示の濃さを元のままとする。1185年2月の屋島の合戦、1185年4月の壇ノ浦の戦を記載する1185年の画像については、それぞれ事象の名称と生起場所表示に対して不透明度60を乗じた画像とする。ここで不透明度60を乗じることを点線で表す。図10では正しく表すことができていないが、「屋島の合戦」「壇ノ浦の戦」の文字にも不透明度60が乗ぜられているものとする。1000は、地図を含む一ノ谷の合戦、屋島の合戦、壇ノ浦の戦の画像を重ね合わせて表示している。
【0030】
図11は、1185年を指定した場合の例である。1185年2月の屋島の合戦、1185年4月の壇ノ浦の戦を記載する画像は指定した年の画像であるため、事象の名称と生起場所表示の濃さを元のままとする。1184年2月の一ノ谷の合戦を記載する画像については、1年前の事象であるので、事象の名称と生起場所表示に対して不透明度60を乗じた画像とする。1100は、地図を含む一ノ谷の合戦、屋島の合戦、壇ノ浦の戦の画像を重ね合わせて表示している。
【0031】
図10図11に示す方法により指定年を変えながら重ね合わされた画像を見ることによって、治承・寿永の乱に関わる事象の名称と生起の推移を容易に把握することができる。また、ここでは戦いの推移を地図の上に表示する例を挙げたが、文化、宗教、生活、外交などに関わる事象や、個々の人物に関わる事象まで表示の分野に制限はなく、地図の要否も任意である。
【実施例0032】
図12の1200は、鳥瞰による地図画像の上に、地図画像と同じ視点からの鳥瞰画像の複数を垂直方向に間隔をあけて重ね合わせて表示する例である。一つの鳥瞰画像には、事象が生起した位置の区別表示及び説明の図像と、他の鳥瞰画像の位置表示の図像を不透明に記載し、他の部分を透明としてある。図12は、治承・寿永の乱(源平合戦)の出来事の一部を表示している。1250は鳥瞰による日本地図の一部であり、1201~1206は異なる年の事象の位置及び説明を記述するための鳥瞰画像であって、本例では1201は西暦1180年に生起した事象、1202は西暦1181年に生起した事象といったように、西暦年に対応している。
【0033】
1211~1217は事象の説明として生起の西暦年月と名称を表す。1211は、治承・寿永の乱の発端となる1180年5月の以仁王・源頼政の挙兵、1212は1180年10月の源頼朝と平維盛による富士川の戦いの説明の図像であり、1213~1217も同様に事象生起の西暦年月と名称を表す説明の図像である。また、黒点とやや大きな黒丸の図像からなる1221から1227は、それぞれの事象の鳥瞰画像上の位置を表す。図12の例では、全鳥瞰画像の同一箇所に一つの事象の生起位置を表す黒点を記載し、その内事象が生起した西暦年に対応する鳥瞰画像には区別表示としてやや大きな黒丸を記載してある。やや大きな黒丸は1211~1217の事象の説明、すなわち図12では吹き出しで記す生起の西暦年月と名称とに対応づけられている。このことにより、6個の位置を表す黒点の最下点によって生起事象の地図上の位置を知ることができ、やや大きな黒丸によって生起の西暦年を直感的に把握するとともにそれに対応づけられた説明で事象が生起した西暦年月と名称を知ることができる。すなわち図12の形式によれば、利用者が操作をすることなく、生起した事象の位置と内容の推移を視覚的に容易に把握することが可能である。なお、図12では、補助線として6個の位置を表す点を結ぶ線が加えてある。
【0034】
図12の例では、事象が1201~1206の鳥瞰画像のどの図に記載されているかを示すために黒点と、それと区別するためのやや大きな黒丸を用いた。しかしながら、これに限られたものではなく、例えば、黒点の代わりにやや大きな灰色の点をおき、明度の差を用いて区別を表現してもよいし、灰色や黒色の代わりに異なる色相を用いたり、同一の色相で異なる彩度のものを用いて区別を表現してもよい。
【符号の説明】
【0035】
10 複数画像表示装置
200 番号の指定手段
205 不透明度の組合せの表
300 一つの画像の指定手段
305 不透明度の表
400 重ね合わせ画像生成の例
600、700、800、900、990 系図に関わる情報表示の例
1000、1100 複数年の事象の表示の例
1200 鳥瞰画像を用いた複数年の事象の表示の例
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12