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  • 特開-急速冷却器 図1
  • 特開-急速冷却器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051679
(43)【公開日】2022-04-01
(54)【発明の名称】急速冷却器
(51)【国際特許分類】
   F25D 3/00 20060101AFI20220325BHJP
   F25D 3/06 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
F25D3/00 B
F25D3/06
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126587
(22)【出願日】2021-08-02
(62)【分割の表示】P 2020192068の分割
【原出願日】2020-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2020170796
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520105164
【氏名又は名称】山崎 明美
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貴志
【テーマコード(参考)】
3L044
【Fターム(参考)】
3L044AA04
3L044BA05
3L044CA11
3L044DC01
3L044KA04
(57)【要約】
【課題】食品や生活用品を急速に冷却するのに好適な急速冷却器を提供する。
【解決手段】冷却対象物またはアタッチメント5を挿入する挿入孔2があり、挿入孔2以外の表面積は挿入孔2の表面積の1.5倍以上とした、金属製の伝熱板1と、伝熱板1の挿入孔2以外の表面を内包した蓄冷材充填用空間を提供するケース4と、この空間に充填した蓄冷材3と、で構成する本体、および、挿入孔2に挿入して使用する、金属製のアタッチメント5、からなる急速冷却器。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却対象物またはアタッチメント(5)を挿入する挿入孔(2)があり、挿入孔(2)以外の表面積は挿入孔(2)の表面積の1.5倍以上とした、金属製の伝熱板(1)と、伝熱板(1)の挿入孔(2)以外の表面を内包した蓄冷材充填用空間を提供するケース(4)と、この空間に充填した蓄冷材(3)と、で構成する本体、および、挿入孔(2)に挿入して使用する、金属製のアタッチメント(5)、からなる急速冷却器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品や生活用品を急速に冷却するのに好適な急速冷却器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品や生活用品を急速に冷却する方法としては、あらかじめ冷却しておいた蓄冷材を冷却対象物に接触させる方法や、冷凍庫や冷凍室に冷却対象物をそのまま入れる方法が一般的である。
【0003】
特許文献1および特許文献2では、容器の側壁や底面に蓄冷材を組み込んだ冷却機器が提案されており、この容器に冷却対象物を入れることで、冷却対象物と蓄冷材を接触させて冷却を行うものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-343954号公報
【特許文献2】実全昭58-129479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2では、容器の側壁や底面に蓄冷材を組み込んだ冷却機器が提案されているが、これらの機器では冷却対象物と蓄冷材を隔てる部材における蓄冷材側の表面形状が平面的である。蓄冷材の熱伝導率は金属と比較して小さく、熱伝導の距離が増加すると急速な冷却に十分な熱量を伝導できなくなるため、蓄冷材の冷熱はこの部材に近い範囲のものしか効率よく利用できない。蓄冷材の冷熱を広範囲から効率よく利用するためには、前記の平面的形状を凹凸のある形状、すなわち表面積を大きくすることが効果的である。
【0006】
冷凍庫や冷凍室に冷却対象物をそのまま入れる冷却方法では、冷却作用のほとんどが気体からの熱伝達によるものであるため、固体や液体から熱伝達を行う方法と比較して、急速な冷却を行いにくい。
【0007】
本発明は、蓄冷材の冷熱を広範囲から効率よく利用し、かつ、冷却対象物の側面と底面から、場合によっては上面からも、固体からの熱伝達による冷却作用を与えることで、食品や生活用品を急速に冷却する、急速冷却器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
冷却対象物またはアタッチメント5を挿入する挿入孔2があり、挿入孔2以外の表面積は挿入孔2の表面積の1.5倍以上とした、金属製の伝熱板1と、伝熱板1の挿入孔2以外の表面を内包した蓄冷材充填用空間を提供するケース4と、この空間に充填した蓄冷材3と、で構成する本体、および、挿入孔2に挿入して使用する、金属製のアタッチメント5、からなる急速冷却器とする。
【発明の効果】
【0009】
本器の使用には、本器全体が十分に冷却されている必要がある。本器の使用方法は、冷却対象物を挿入孔2に挿入する。
【0010】
伝熱板1の材質である金属の熱伝導率は一般的に大きいため、冷却対象物の熱は効率よく伝熱板1へ移動する。しかしながら、金属は水に比べて比熱容量が小さいため、伝熱板1単独で冷却対象物を十分に冷却するためには伝熱板1を相当の重量とする必要がある。
【0011】
このため、一般的に金属よりも比熱容量が大きい材質である蓄冷材3を、伝熱板1の外周囲に接触させることにより、伝熱板1の比熱容量を補う。伝熱板1は、蓄冷材3に接触する部分の表面積を大きくしているため、冷却対象物から取り込んだ熱を効率よく蓄冷材3へ移動させることができる。
【0012】
蓄冷材3を真水とした場合には、氷の融解温度未満すなわち氷点下の温度で冷却対象物を冷却できる熱量は氷の顕熱分のみであるが、蓄冷材3を塩水とすることで融解温度を氷点下にすることができるため、蓄冷材3を塩水とした場合には、氷点下の温度で冷却対象物を冷却できる熱量に氷の潜熱分が加わる。
【0013】
本器の冷却能力は、伝熱板1の材質・形状・重量、蓄冷材3の材質・重量、などにより変化させることができる。
【0014】
本器では、冷却対象物をそのまま本器に挿入する使用方法のほか、挿入孔2に挿入できるように製作した、各種用途に特化した各種アタッチメント5を利用する使用方法を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の請求項1に係る急速冷却器の分解斜視図。
図2】各種アタッチメントの斜視図。(a)は缶飲料用アタッチメント。(b)は製氷皿アタッチメント。(c)は落とし蓋アタッチメント。(d)は汁物容器アタッチメント。(e)はアイスキャンディ製造用アタッチメント。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に本発明の請求項1に係る急速冷却器の実施例を示す。図1において急速冷却器は、冷却対象物またはアタッチメント5を挿入する挿入孔2があり、挿入孔2以外の表面積は挿入孔2の表面積の1.5倍以上とした、金属製の伝熱板1と、伝熱板1の挿入孔2以外の表面を内包した蓄冷材充填用空間を提供するケース4と、この空間に充填した蓄冷材3、で構成する。
【0017】
請求項1に係る本器は、図2(a)~(e)に示すアタッチメント5を挿入孔2に挿入することで様々な用途に特化した利用ができる。これらのアタッチメント5の主材質は、伝熱板1と同様に金属である。図2(a)は缶飲料用アタッチメントで、缶飲料を挿入する缶挿入孔があり、急速に缶飲料を冷却するために使用する。図2(b)は製氷皿アタッチメントであり、急速に氷を製造するために使用する。図2(c)は落とし蓋アタッチメントであり、冷却対象物の上面からも冷却するために使用する。特に、食品保存袋などに入れた液体状の冷却対象物の場合には、冷却対象物の上面に密着させることができるため効果的である。図2(d)は汁物容器アタッチメントであり、カレーや汁物の粗熱取りや急速冷却に使用し、落とし蓋アタッチメントと併用することで、湯気による冷凍庫や冷凍室内への悪影響を低減できる。図2(e)はアイスキャンディ製造用アタッチメントであり、アイスキャンディを製造するために使用する。これらのアタッチメント以外にも、弁当の粗熱を取りやすくするため、そのまま弁当箱として使用できるアタッチメントや、本器をワインクーラーとして使用するためのアタッチメントや、冷却効果を高めることを目的に缶飲料など円柱状の冷却対象物を自動回転させるためのアタッチメントなども考えられ、本器はアイデア次第で様々な用途に利用できる。
【0018】
伝熱板1の材質は、熱伝導率が大きく、比較的安価な材質であるアルミや銅を想定するが、耐食性を重視したステンレスや、コスト度外視で大きい熱伝導率を求めた銀、などの他の材質を排除するものではない。
【0019】
蓄冷材3の主材質は、蓄冷材として広く利用されており、氷の潜熱を利用できる材質である水を想定するが、グリコール類などの他の材質を排除するものではない。
【0020】
本器の使用には、本器全体が十分に冷却されている必要があるため、使用するときにだけ冷凍庫や冷凍室に入れるという使用方法は現実的ではない。このため、本器は冷凍庫や冷凍室内に常時設置することを前提としていることから、本器を冷凍庫や冷凍室に組み込むことは利便性向上に有効である。また、冷凍庫や冷凍室に組み込まれた本器を着脱できるようにすることで、不要時に取り外すことや、冷凍庫や冷凍室外で一時的に使用することができる。
【0021】
本器に冷却対象物を入れたままにすると冷却対象物が凍結する可能性が高いことから、本器にタイマー表示や警告音発生装置を組み込むことも利便性向上に有効である。
【0022】
蓄冷材3の凝固膨張によるケース4破損の予防としては、ケース4を柔軟材料とすることや、ケース4の内側に非吸水性の発泡弾性材料を貼り付ける方法などが考えられ、後者では発泡弾性材料の断熱材としての効果も得られる。
【0023】
蓄冷材3の成分によっては、蓄冷材3に高吸水性ポリマーを配合してゲル状にすることにより、蓄冷材3の漏れ出しを予防することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 伝熱板
2 挿入孔
3 蓄冷材
4 ケース
5 アタッチメント
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-01-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却対象物またはアタッチメント(5)を挿入する挿入孔(2)があり、挿入孔(2)以外の表面積は挿入孔(2)の表面積の1.5倍以上とした、金属製の伝熱板(1)と、伝熱板(1)の挿入孔(2)以外の表面を内包した蓄冷材充填用空間を提供するケース(4)と、この空間に充填した蓄冷材(3)と、で構成する本体、および、挿入孔(2)に挿入して使用する、金属製のアタッチメント(5)、からなり、アタッチメント(5)は各種冷却対象物の形状ごとに用意され、アタッチメント(5)の形状は、挿入口(2)の内側表面および各種冷却対象物の外側表面に略密着する形状である急速冷却器。