(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051689
(43)【公開日】2022-04-01
(54)【発明の名称】ウエハの洗浄方法及び不純物が低減されたウエハ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20220325BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20220325BHJP
C30B 29/62 20060101ALI20220325BHJP
C30B 33/00 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 644C
H01L21/304 643A
H01L21/304 643D
H01L21/304 642A
H01L21/304 647Z
H01L21/66 N
H01L21/304 622P
C30B29/62 K
C30B33/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021144360
(22)【出願日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】10-2020-0122141
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521492724
【氏名又は名称】セニック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SENIC Inc.
【住所又は居所原語表記】17-15,4sandan 7-ro,Jiksan-eup,Seobuk-gu,Cheonan-si,Chungcheongnam-do, 31040, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジョンフィ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、イルファン
(72)【発明者】
【氏名】ク、カプレル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョンギュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジョンウ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ウンス
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ビョンキュ
(72)【発明者】
【氏名】ゴ、サンキ
【テーマコード(参考)】
4G077
4M106
5F057
5F157
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077AB01
4G077BE08
4G077FJ01
4G077HA12
4M106AA01
4M106CB01
4M106DH25
4M106DH34
5F057AA21
5F057BA12
5F057BB09
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5F057CA18
5F057DA03
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5F057GB06
5F057GB37
5F157AA70
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5F157AB02
5F157AB33
5F157AB90
5F157BA02
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5F157BA31
5F157BB03
5F157BB04
5F157BB09
5F157BB11
5F157BB73
5F157BB74
5F157BB79
5F157BE12
5F157BE23
5F157BE33
5F157BE44
5F157CB03
5F157CB32
5F157CE05
5F157CE07
5F157CE33
5F157CE36
(57)【要約】 (修正有)
【課題】炭化珪素単結晶ウエハの不純物の濃度を低減させ、素子の作製時に不良率を減少させる洗浄方法及び不純物の濃度が低減されたウエハを提供する。
【解決手段】方法は、洗浄対象のウエハ10を、回転速度が200rpm以下になるようにブラシ50で洗浄する過程を含むスクラビングステップと、ブラシ洗浄されたウエハを洗浄液で洗浄し、洗浄されたベアウエハを設ける洗浄ステップと、を含む。洗浄ステップは、1次洗浄ステップ及び2次洗浄ステップを順に含む。スクラビングステップは、285秒以上行われる。1次洗浄ステップは、アンモニア及び過酸化水素を含む第1洗浄液でブラシ洗浄されたウエハを洗浄して、1次洗浄されたウエハを設けるステップである。2次洗浄ステップは、塩酸及び過酸化水素を含む第2洗浄液で1次洗浄されたウエハを洗浄するステップである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄対象のウエハを、回転速度が200rpm以下になるようにブラシ処理する過程を含むことで、ブラシ洗浄されたウエハを設けるスクラビングステップと、
前記ブラシ洗浄されたウエハを洗浄液で洗浄し、洗浄されたベアウエハを設ける洗浄ステップとを含み、
前記洗浄ステップは、1次洗浄ステップ及び2次洗浄ステップを順に含み、
前記スクラビングステップは285秒以上行われ、
前記1次洗浄ステップは、アンモニア及び過酸化水素を含む第1洗浄液で前記ブラシ洗浄されたウエハを洗浄して、1次洗浄されたウエハを設けるステップであり、
前記2次洗浄ステップは、塩酸及び過酸化水素を含む第2洗浄液で前記1次洗浄されたウエハを洗浄するステップである、洗浄されたベアウエハの製造方法。
【請求項2】
前記洗浄対象のウエハは、4H構造の炭化珪素を含み、
前記洗浄されたベアウエハの一面は、珪素原子層が表面に現れるSi面を含む、請求項1に記載の洗浄されたベアウエハの製造方法。
【請求項3】
前記スクラビングステップは、前記洗浄対象のウエハ及び前記ブラシが回転しながら行われ、
前記洗浄対象のウエハの回転速度は1rpm~50rpmであり、
前記ブラシの回転速度は10rpm以上である、請求項1に記載の洗浄されたベアウエハの製造方法。
【請求項4】
前記スクラビングステップは、
前記洗浄対象のウエハを、水を含む第1スクラビング洗浄液と共に、回転速度が200rpm以下になるようにブラシ処理して、第1スクラビング処理されたウエハを設ける第1スクラビングステップと、
前記第1スクラビング処理されたウエハを、アンモニア水を含む第2スクラビング洗浄液と共に、200rpm以下の回転速度でブラシ処理して、第2スクラビング処理されたウエハを設ける第2スクラビングステップと、
前記第2スクラビング処理されたウエハを、水を含む第3スクラビング洗浄液と共に、200rpm以下の回転速度でブラシ処理して、ブラシ洗浄されたウエハを設ける第3スクラビングステップとを含み、
前記第1スクラビングステップ及び第3スクラビングステップはそれぞれ100秒以上、第2スクラビングステップは85秒以上行われる、請求項1に記載の洗浄されたベアウエハの製造方法。
【請求項5】
前記1次洗浄ステップは、
前記ブラシ洗浄されたウエハに10KHz~300KHzの超音波を加えて第1a洗浄処理されたウエハを設ける第1a洗浄過程と、
前記第1a洗浄処理されたウエハに0.1MHz~20MHzの超音波を加える第1b洗浄過程とを含み、
前記第1a洗浄過程及び第1b洗浄過程は、それぞれ220秒以上行われる、請求項1に記載の洗浄されたベアウエハの製造方法。
【請求項6】
前記洗浄ステップは、前記1次洗浄ステップ及び2次洗浄ステップの後、それぞれ不活性気体バブルを加える不活性洗浄過程をさらに含む、請求項5に記載の洗浄されたベアウエハの製造方法。
【請求項7】
4H構造の炭化珪素を含み、
一面は、カルシウム含量10ppb以下、鉄含量1ppb以下、ニッケル含量0.1ppb以下及び銅含量1ppb以下で含まれる、ベアウエハ。
【請求項8】
前記一面は、珪素原子層が現れるSi面を含み、
T-XRF分析結果により得られた前記一面でのカルシウム含量が8atoms/cm2以下、鉄含量が0.1atoms/cm2以下、ニッケル含量が0.2atoms/cm2以下、及び銅含量が0.1atoms/cm2以下である、請求項7に記載のベアウエハ。
【請求項9】
前記一面は、珪素原子層が現れるSi面を含み、
T-XRF分析結果により得られた前記一面でのマンガン含量が18atoms/cm2以下であり、亜鉛含量が1.6atoms/cm2以下である、請求項8に記載のベアウエハ。
【請求項10】
請求項7に記載のベアウエハと、
前記ベアウエハの一面上に配置されたエピタキシャル層と、
前記エピタキシャル層を挟んで前記ベアウエハと反対側に配置されたバリア領域と、
前記エピタキシャル層と接するソース電極、及び前記バリア領域上に配置されたゲート電極と、
前記ベアウエハの他面上に配置されたドレイン電極とを含む、半導体素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
具現例は、ウエハの洗浄方法及びこれによって不純物が低減されたウエハに関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素は、耐熱性及び機械的強度に優れ、物理的及び化学的に安定しているので、半導体材料として注目されている。近年、高電力素子などの基板として炭化珪素単結晶基板の需要が高まっている。
【0003】
このような炭化珪素を含む基板(ウエハ)は、製造工程中に化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下、'CMP'という)段階が行われる。CMPは、ウエハと研磨パッドを摩擦させてウエハの表面を研磨し、このとき、ウエハと研磨パッドとの間にスラリーが供給される。スラリーは、通常、シリカ又はアルミナを含むコロイド研磨剤と、酸化剤などの化合物を含む。スラリー内の研磨剤は、CMP工程中にウエハの研磨が行われる間に互いに凝集する傾向があり、このような研磨剤の凝集の結果として、CMP工程が完了した後、ウエハ上に数μm以上の粒子サイズを有する不純物が多量存在することがある。また、CMP工程は、ウエハの加工段階で流入し得る金属不純物を効果的に除去するのに不十分な点がある。このような不純物粒子によって、後続工程を行う際にウエハの表面上にスクラッチ、欠陥などを発生させることがあり、素子特性に良くない影響を与えることがある。
【0004】
したがって、CMP工程を行った後、ウエハの表面上に残っている凝集した粒子、金属粒子のような不純物をさらに効果的に除去し、素子特性を向上させるための改善された洗浄工程を考慮する必要がある。
【0005】
前述した背景技術は、発明者が具現例の導出のために保有していた、または導出過程で習得した技術情報であって、必ずしも本発明の出願前に一般公衆に公開された公知技術であるとは限らない。
【0006】
関連先行技術として、韓国登録特許公報第10-1151652(2012.06.08.公告)の"ウエハ洗浄装置"、韓国登録特許公報第10-1953741(2019.03.04.公告)の"ウエハ洗浄装置及びそれを用いたウエハ洗浄方法"などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
具現例の目的は、ウエハの不純物の濃度を低減させ、素子の作製時に不良率を減少させることができる改善された洗浄方法を提供することにある。
【0008】
具現例の他の目的は、不純物の濃度が低減されたウエハを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、具現例に係るウエハの製造方法は、
洗浄対象のウエハを、回転速度が200rpm以下になるようにブラシ処理する過程を含むことで、ブラシ洗浄されたウエハを設けるスクラビングステップと;
前記ブラシ洗浄されたウエハを洗浄液で洗浄し、洗浄されたベアウエハを設ける洗浄ステップと;を含み、
前記洗浄ステップは、1次洗浄ステップ及び2次洗浄ステップを順に含み、
前記スクラビングステップは285秒以上行われ、
前記1次洗浄ステップは、アンモニア及び過酸化水素を含む第1洗浄液で前記ブラシ洗浄されたウエハを洗浄して、1次洗浄されたウエハを設けるステップであり、
前記2次洗浄ステップは、塩酸及び過酸化水素を含む第2洗浄液で前記1次洗浄されたウエハを洗浄するステップであってもよい。
【0010】
一具現例において、前記洗浄対象のウエハは、4H構造の炭化珪素を含み、
前記洗浄されたベアウエハの一面は、珪素原子層が表面に現れるSi面を含むことができる。
【0011】
一具現例において、前記スクラビングステップは、前記洗浄対象のウエハ及び前記ブラシが回転しながら行われ、
前記洗浄対象のウエハの回転速度は1rpm~50rpmであり、
前記ブラシの回転速度は10rpm以上であってもよい。
【0012】
一具現例において、前記スクラビングステップは、
前記洗浄対象のウエハを、水を含む第1スクラビング洗浄液と共に、回転速度が200rpm以下になるようにブラシ処理して、第1スクラビング処理されたウエハを設ける第1スクラビングステップと;
前記第1スクラビング処理されたウエハを、アンモニア水を含む第2スクラビング洗浄液と共に、200rpm以下の回転速度でブラシ処理して、第2スクラビング処理されたウエハを設ける第2スクラビングステップと;
前記第2スクラビング処理されたウエハを、水を含む第3スクラビング洗浄液と共に、200rpm以下の回転速度でブラシ処理して、ブラシ洗浄されたウエハを設ける第3スクラビングステップと;を含み、
前記第1スクラビングステップ及び第3スクラビングステップはそれぞれ100秒以上、第2スクラビングステップは85秒以上行われてもよい。
【0013】
一具現例において、前記1次洗浄ステップは、
前記ブラシ洗浄されたウエハに10KHz~300KHzの超音波を加えて第1a洗浄処理されたウエハを設ける第1a洗浄過程と;
前記第1a洗浄処理されたウエハに0.1MHz~20MHzの超音波を加える第1b洗浄過程と;を含み、
前記第1a洗浄過程及び第1b洗浄過程は、それぞれ220秒以上行われてもよい。
【0014】
一具現例において、前記洗浄ステップは、前記1次洗浄ステップ及び2次洗浄ステップの後、それぞれ不活性気体バブルを加える不活性洗浄過程をさらに含むことができる。
【0015】
上記の目的を達成するために、具現例に係るベアウエハは、
4H構造の炭化珪素を含み、
一面は、カルシウム含量10ppb以下、鉄含量1ppb以下、ニッケル含量0.1ppb以下及び銅含量1ppb以下で含まれてもよい。
【0016】
具現例において、前記一面は、珪素原子層が現れるSi面を含み、
T-XRF分析結果により得られた前記一面でのカルシウム含量が8atoms/cm2以下、鉄含量が0.1atoms/cm2以下、ニッケル含量が0.2atoms/cm2以下、及び銅含量が0.1atoms/cm2以下であってもよい。
【0017】
具現例において、前記一面は、珪素原子層が現れるSi面を含み、
T-XRF分析結果により得られた前記一面でのマンガン含量が18atoms/cm2以下であり、亜鉛含量が1.6atoms/cm2以下であってもよい。
【0018】
上記の目的を達成するために、具現例に係る半導体素子は、
前記によるベアウエハと;
前記ベアウエハの一面上に配置されたエピタキシャル層と;
前記エピタキシャル層を挟んで前記ベアウエハと反対側に配置されたバリア領域と;
前記エピタキシャル層と接するソース電極;及び前記バリア領域上に配置されたゲート電極と;
前記ベアウエハの他面上に配置されたドレイン電極と;を含むことができる。
【発明の効果】
【0019】
具現例によるウエハの洗浄方法は、金属不純物が特定数値以下に低減されたウエハを提供することができる。
【0020】
具現例によるウエハは、金属不純物が低減されるなど、品質に優れるので、半導体素子の製造時に不良率を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】具現例に係るベアウエハの一例を示した概念図である。
【
図2】具現例に係るインゴット製造装置の一例を示した概念図である。
【
図3】具現例に係る洗浄方法のスクラビングステップにおけるブラシの一例を示した概念図である。
【
図4】(a)、(b)、(c)は、実施例1のウエハを適用した10A級(a)、20A級(b)、25A級(c)のショットキーダイオードの順方向電圧による分布を示したグラフである。
【
図5】(a)、(b)、(c)は、比較例1のウエハを適用した10A級(a)、20A級(b)、25A級(c)のショットキーダイオードの順方向電圧による分布を示したグラフである。
【
図6】具現例に係る半導体素子の一例を示した概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、一つ以上の具現例について添付の図面を参照して詳細に説明する。しかし、具現例は、様々な異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。明細書全体にわたって類似の部分に対しては同一の図面符号を付した。
【0023】
本明細書において、ある構成が他の構成を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、それ以外の他の構成を除くものではなく、他の構成をさらに含むこともできることを意味する。
【0024】
本明細書において、ある構成が他の構成と「連結」されているとするとき、これは、「直接的に連結」されている場合のみならず、「それらの間に他の構成を介在して連結」されている場合も含む。
【0025】
本明細書において、A上にBが位置するという意味は、A上に直接当接してBが位置するか、またはそれらの間に別の層が位置しながらA上にBが位置することを意味し、Aの表面に当接してBが位置することに限定されて解釈されない。
【0026】
本明細書において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群から選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、前記構成要素からなる群から選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0027】
本明細書において、「A及び/又はB」の記載は、「A、B、又は、A及びB」を意味する。
【0028】
本明細書において、「第1」、「第2」又は「A」、「B」のような用語は、特に説明がない限り、同一の用語を互いに区別するために使用される。
【0029】
本明細書において、単数の表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数又は複数を含む意味で解釈される。
【0030】
発明者らは、CMP工程を行った後、ウエハの表面上に残っている凝集した粒子、金属粒子のような不純物をさらに効果的に除去し、素子特性を向上させるための改善された洗浄工程を有するウエハの洗浄方法を発明し、具現例を提示する。
【0031】
ウエハの洗浄方法
上記の目的を達成するために、具現例に係るウエハの洗浄方法は、
洗浄対象のウエハを、回転速度が200rpm以下になるようにブラシ処理する過程を含むことで、ブラシ洗浄されたウエハを設けるスクラビングステップと、
前記ブラシ洗浄されたウエハを洗浄液で洗浄し、洗浄されたベアウエハを設ける洗浄ステップとを含み、
前記洗浄ステップは、1次洗浄ステップ及び2次洗浄ステップを順に含み、
前記1次洗浄ステップは、アンモニア及び過酸化水素を含む第1洗浄液で前記ブラシ洗浄されたウエハを洗浄して、1次洗浄されたウエハを設けるステップであり、
前記2次洗浄ステップは、塩酸及び過酸化水素を含む第2洗浄液で前記1次洗浄されたウエハを洗浄するステップであってもよい。
【0032】
前記スクラビングステップは、エピタキシャル層を形成する前の、化学的機械的研磨(chemical mechanical polishing)処理されたウエハを対象とすることができ、ウエハの一面上にブラシ50を適用して洗浄することで、化学的機械的研磨で発生する粒子、かつ、その前のウエハを切断、平坦化する過程で発生する不純物を除去する。
【0033】
前記化学的機械的研磨は、通常の方法で行うことができ、回転する定盤上に設けられた研磨パッドにスラリーを加えながら、ウエハを所定の圧力で接触させて行われてもよい。前記定盤及びウエハの回転速度は20rpm~400rpmであってもよく、前記研磨パッドはポリウレタン系研磨パッドであってもよい。前記スラリーは、シリカ及び過マンガン酸カリウムを含むことができ、前記接触圧力は2psi~10psiであってもよい。前記スクラビングステップのブラシ50及び洗浄対象のウエハは、所定の速度で回転しながら接触することができる。前記ブラシの回転速度は、10rpm~200rpmであってもよく、または30rpm~90rpmであってもよい。前記ウエハの回転速度は、1rpm~50rpmであってもよく、または5rpm~25rpmであってもよい。このようなブラシ及びウエハは、時計方向または反時計方向に回転することができ、前記回転速度を有することによって、研磨後に残った不純物を、スクラッチの発生を最小化しながら効果的に除去することができる。
【0034】
前記スクラビングステップのブラシ50は、前記洗浄対象のウエハの一面と平行な軸を有する棒と、前記棒を取り囲み、表面に凹凸を有するブラシ素材とを含むことができ、前記棒とブラシ素材が一体に回転しながらウエハに接触することができる。
【0035】
前記スクラビングステップのブラシ50のブラシ素材は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン及びナイロンからなる群から選択された1つ以上を含むことができる。
【0036】
前記スクラビングステップのブラシ50は、複数個備えられてもよく、洗浄対象のウエハの一面だけでなく、他面も同じ方式でスクラビングが行われてもよい。
【0037】
前記スクラビングステップは、洗浄対象のウエハの中心を通る直径線を基準として、前記ブラシが左右に往復移動しながらウエハの表面のスクラビングが行われ得、ブラシの回転方向と移動方向が同じ方向になるようにすることができる。例えば、ブラシが直径線を基準として左側に移動するときは反時計方向に回転するようにし、右側に移動するときは時計方向に回転するようにすることができる。
【0038】
前記スクラビングステップは、285秒~680秒間行われてもよく、または330秒~480秒間行われてもよい。このような時間範囲で処理することで、過度のスクラッチを発生させず、効果的に不純物を処理することができる。
【0039】
前記スクラビングステップは、前記洗浄対象のウエハを、水を含む第1スクラビング洗浄液と共に、回転速度が200rpm以下になるようにブラシ処理して、第1スクラビング処理されたウエハを設ける第1スクラビングステップと、
前記第1スクラビング処理されたウエハを、アンモニア水を含む第2スクラビング洗浄液と共に、200rpm以下の回転速度でブラシ処理して、第2スクラビング処理されたウエハを設ける第2スクラビングステップと、
前記第2スクラビング処理されたウエハを、水を含む第3スクラビング洗浄液と共に、200rpm以下の回転速度でブラシ処理して、ブラシ洗浄されたウエハを設ける第3スクラビングステップとを含むことができる。
【0040】
前記第1スクラビングステップは、蒸留水、純水、超純水、及び脱イオン水から選択された1つ以上を含む第1スクラビング洗浄液を、シャワー方式を通じて洗浄対象のウエハに加えながら、回転するブラシを介して残りの不純物を処理する。
【0041】
前記第1スクラビングステップは、例示的にナイロン系ブラシを用いることができる。
【0042】
前記第1スクラビングステップのブラシの回転速度は、10rpm~200rpmであってもよく、または30rpm~90rpmであってもよい。
【0043】
前記第1スクラビングステップはまた、洗浄対象のウエハが回転しながら行われ得、洗浄対象のウエハの回転速度は、1rpm~50rpmであってもよく、または5rpm~25rpmであってもよい。
【0044】
前記第1スクラビングステップの第1スクラビング洗浄液の供給時の流量は、0.5L/min~5L/minであってもよく、または0.5mL/min~3L/minであってもよい。
【0045】
前記第1スクラビングステップは、100秒~240秒間行われてもよく、または120秒~180秒間行われてもよい。
【0046】
前記第1スクラビングステップのrpm、第1スクラビング洗浄液の流量及び処理時間の範囲を満たすようにして、研磨工程時に発生する不純物を先制的に処理し、後続過程が容易に行われ得るようにする。
【0047】
前記第2スクラビングステップは、前記第1スクラビングステップの後、アンモニア:水が所定の体積比で混合された第2スクラビング洗浄液を、第1スクラビング処理されたウエハに加えながら、回転するブラシを介して残りの不純物を処理することができる。
【0048】
前記第2スクラビングステップの第2スクラビング洗浄液は、アンモニア:水の体積比が1:5~1:50の体積比で混合されたものであってもよく、または1:10~1:30の体積比で混合されたものであってもよい。
【0049】
前記第2スクラビングステップは、例示的にポリビニルアルコールブラシを用いることができる。
【0050】
前記第2スクラビングステップのブラシの回転速度は、10rpm~200rpmであってもよく、または30rpm~90rpmであってもよい。
【0051】
前記第2スクラビングステップはまた、第1スクラビング処理されたウエハが回転しながら行われ得、第1スクラビング処理されたウエハの回転速度は、1rpm~50rpmであってもよく、または5rpm~25rpmであってもよい。
【0052】
前記第2スクラビングステップの第2スクラビング洗浄液の供給時の流量は、0.5L/min~5L/minであってもよく、または0.5mL/min~3L/minであってもよい。
【0053】
前記第2スクラビングステップは、85秒~200秒間行われてもよく、または90秒~120秒間行われてもよい。
【0054】
前記第2スクラビングステップのrpm、第2スクラビング洗浄液の流量及び処理時間の範囲を満たすようにして、第1スクラビングステップの後に残存し得る不純物を効果的に処理し、後続過程が容易に行われ得るようにする。
【0055】
前記第3スクラビングステップは、前記第2スクラビングステップの後、蒸留水、純水、超純水、及び脱イオン水から選択された1つ以上を含む第3スクラビング洗浄液を、第2スクラビング処理されたウエハに加えながら、回転するブラシを介して残りの不純物を処理することができる。
【0056】
前記第3スクラビングステップは、例示的にポリビニルアルコールブラシを用いることができる。
【0057】
前記第3スクラビングステップのブラシの回転速度は、10rpm~200rpmであってもよく、または30rpm~90rpmであってもよい。
【0058】
前記第3スクラビングステップはまた、第2スクラビング処理されたウエハが回転しながら行われ得、第2スクラビング処理されたウエハの回転速度は、1rpm~50rpmであってもよく、または5rpm~25rpmであってもよい。
【0059】
前記第3スクラビングステップの第3スクラビング洗浄液の供給時の流量は、0.5L/min~5L/minであってもよく、または0.5mL/min~3L/minであってもよい。
【0060】
前記第3スクラビングステップは、100秒~240秒間行われてもよく、または60秒~180秒間行われてもよい。
【0061】
前記スクラビングステップが行われたウエハは、後続の洗浄ステップを通じて金属の含量数値を低減させることができ、良好な素子性能及び向上した素子の製造収率を示すことができる。
【0062】
前記スクラビングステップのウエハ10は、
原料物質300及び前記原料物質と離隔した種結晶を含む反応容器200を準備し、前記原料物質を前記種結晶上に昇華させてインゴットを製造するインゴット製造ステップと、
前記製造されたインゴットを所定のオフ角度及び間隔で複数回切断してウエハを製造し、製造されたウエハを化学的-機械的研磨処理するウエハ製造ステップとを含む方法を通じて製造されてもよい。
【0063】
前記原料物質300は、炭素源と珪素源を有する粉末形態が適用され得、前記粉末が互いにネッキング処理された原料、または表面を炭化処理した炭化珪素粉末などが適用されてもよい。
【0064】
前記反応容器200は、インゴットの成長、昇華反応に適した容器であれば、制限なしに適用可能であり、具体的に黒鉛坩堝を適用できる。前記反応容器は、内部空間及び開口部を含む本体210と、前記開口部と対応して前記内部空間を密閉する蓋220とを含むことができる。前記坩堝蓋は、前記坩堝蓋と一体又は別途に種結晶ホルダをさらに含むことができ、前記種結晶ホルダを介して、種結晶と原料物質とが離隔しかつ対向するように、種結晶を固定することができる。
【0065】
前記反応容器200は、断熱材400によって取り囲まれて固定され得、前記反応容器を取り囲んだ断熱材が石英管のような反応チャンバ500内に位置するようにすることができ、前記断熱材及び反応チャンバの外部に備えられた加熱手段600により、前記反応容器の内部空間の温度を制御することができる。
【0066】
前記断熱材400は、炭素系フェルトを含むことができ、具体的に黒鉛フェルトを含むことができ、レーヨン系黒鉛フェルトまたはピッチ系黒鉛フェルトを含むことができる。
【0067】
前記断熱材400は、その密度が0.14g/cc以上であってもよく、0.15g/cc以上であってもよく、0.168g/cc以上であってもよく、または0.17g/cc以上であってもよい。前記断熱材は、その密度が0.28g/cc以下であってもよく、0.24g/cc以下であってもよく、0.20g/cc以下であってもよく、または0.18g/cc以下であってもよい。前記密度の範囲を有する断熱材を介して、製造されるインゴットの反り及び歪みの発生を抑制することができ、インゴットから製造されるウエハが後続の処理ステップを通じて良好な特性を示すことができるようにする。
【0068】
前記反応チャンバ500は、反応チャンバの内部と連結され、反応チャンバの内部の真空度を調節する真空排気装置700と、反応チャンバの内部と連結され、反応チャンバの内部に気体を流入させる配管810と、気体の流入を制御するマスフローコントローラ800とを含むことができる。これらを通じて、不活性気体の流量を調節できるようにする。
【0069】
前記インゴット成長ステップは、前記加熱手段によって前記反応容器200及び反応容器の内部空間を加熱して行うことができ、前記加熱と同時又は別途に内部空間を減圧して真空度を調節し、不活性気体を注入しながら結晶の成長を誘導することができる。
【0070】
前記インゴット成長ステップは、2000℃~2600℃の温度及び1torr~200torrの圧力条件で行われ得、前記温度及び圧力の範囲で、より効率的にインゴットを製造することができる。
【0071】
前記インゴット成長ステップは、前記反応容器200の外部に所定流量の不活性気体を加えることができる。前記不活性気体は、前記反応容器200の内部空間でその流れが形成され得、前記原料物質300から前記種結晶の方向にその流れが形成され得る。これによって、前記反応容器及び内部空間の安定した温度勾配を形成できるようにする。前記不活性気体は、具体的にアルゴン、ヘリウム、またはこれらの混合気体であってもよい。
【0072】
前記ウエハ製造ステップの切断は、前記インゴットの(0001)面又は成長が始まった面と所定のオフ角度をなすように切断することができる。前記オフ角度は0°~10°であってもよい。前記切断は、ウエハの厚さが150μm~900μmになるように行われてもよい。
【0073】
前記ウエハ製造ステップの切断を経て設けられたウエハの厚さを平坦化し、表面を研磨する加工ステップを含むことができる。厚さの平坦化は、ホイール研削(wheel grinding)がウエハの両面に順次適用されて行われ得、前記切断ステップで加えられた損傷を除去することができる。
【0074】
前記厚さの平坦化の後、損傷層の除去のためのエッチングがさらに行われてもよい。
【0075】
前記洗浄ステップは、前記スクラビングステップを経た、ブラシ洗浄されたウエハに、まず、アンモニア、過酸化水素及び溶媒を含む第1洗浄液で1次洗浄するステップを含む。
【0076】
前記第1洗浄液は、アンモニアの単位体積当たり(アンモニア1体積当たり)、過酸化水素を0.8~4の体積比率で含むことができる。前記第1洗浄液は、前記アンモニアの単位体積当たり、溶媒を3~60の体積比率で含むことができる。前記第1洗浄液は、アンモニアの単位体積当たり、酸化水素を0.8~2の体積比率で、そして、溶媒を4~40の体積比率で含むことができる。
【0077】
前記溶媒は、水、脱イオン水、蒸留水、純水、超純水などを用いることができる。
【0078】
前記1次洗浄ステップは、前記ブラシ洗浄されたウエハが0.1rpm~10rpmの回転速度を持って行われてもよい。
【0079】
前記1次洗浄ステップは、60℃~90℃の温度で440秒~1200秒間行われてもよい。
【0080】
前記1次洗浄ステップは、例示的に、前記ブラシ洗浄されたウエハに10KHz~300KHzの超音波を加えて第1a洗浄処理されたウエハを設ける第1a洗浄過程と、
前記第1a洗浄処理されたウエハに0.1MHz~20MHzの超音波を加える第1b洗浄過程とを含むことができる。
【0081】
前記第1a洗浄過程は、第1洗浄液、温度、ウエハの回転速度の条件を有することができる。
【0082】
前記第1a洗浄過程の超音波処理時の周波数は、10KHz~300KHzであってもよく、または60KHz~180KHzであってもよい。
【0083】
前記第1a洗浄過程は、220秒~600秒間行われてもよく、または300秒~500秒間行われてもよい。
【0084】
前記第1a洗浄過程は、このような周波数及び処理時間の条件を通じて、微細な不純物をさらに効果的に処理することができる。
【0085】
前記第1b洗浄過程は、上述したように、1次洗浄ステップの第1洗浄液、温度、ウエハの回転速度の条件を有することができる。
【0086】
前記第1b洗浄過程の超音波処理時の周波数は、0.1MHz~20MHzであってもよく、または0.5MHz~3MHzであってもよい。
【0087】
前記第1b洗浄過程は、220秒~600秒間行われてもよく、または300秒~500秒間行われてもよい。
【0088】
前記第1b洗浄過程は、このような周波数及び処理時間の条件を通じて、微細な不純物をさらに効果的に処理することができる。
【0089】
前記1次洗浄ステップを通じて、ウエハ上に残存する有機汚染物と金属不純物(Au、Ag、Cu、Ni、Cd、Zn、Co、Crなど)を除去することができる。
【0090】
前記洗浄ステップは、前記1次洗浄されたウエハをフッ酸(HF)溶液で洗浄するフッ酸洗浄ステップをさらに含むことができる。前記フッ酸洗浄ステップは、前記2次洗浄ステップの前に行うことができる。前記フッ酸の濃度は0.5wt%~2wt%であってもよい。
【0091】
前記フッ酸洗浄ステップは、10℃~30℃の温度で1分~3分間行われてもよい。
【0092】
前記洗浄ステップは、前記1次洗浄ステップの後、塩酸、過酸化水素及び溶媒を含む第2洗浄液で洗浄する2次洗浄ステップを含むことができる。
【0093】
前記第2洗浄液は、塩酸の単位体積当たり(塩酸1体積当たり)、過酸化水素を0.8~8の体積比率で含むことができる。前記第2洗浄液は、前記塩酸の単位体積当たり、溶媒を3~100の体積比率で含むことができる。前記第2洗浄液は、塩酸の単位体積当たり、過酸化水素を0.8~6の体積比率で、そして、溶媒を4~80の体積比率で含むことができる。前記溶媒は、水、脱イオン水、蒸留水、純水、超純水などを用いることができる。
【0094】
前記2次洗浄ステップは、15℃~35℃の温度で220秒~600秒間行われてもよい。
【0095】
前記2次洗浄ステップは、前記ウエハが0.1rpm~10rpmの回転速度を持って行われてもよい。前記2次洗浄ステップを通じて、前記1次洗浄ステップでまだ除去できなかった不純物などと、アルカリイオン、水酸化物などを除去することができる。
【0096】
前記洗浄ステップは、前記1次洗浄ステップ及び2次洗浄ステップの後、それぞれ不活性気体バブルを加える不活性洗浄過程をさらに含むことができる。例示的に、前記不活性洗浄過程は、それぞれ、前記第1a洗浄過程の後、前記第1b洗浄過程の後及び前記2次洗浄ステップの後にさらに含まれてもよい。
【0097】
前記不活性洗浄過程は、前記1次洗浄ステップ又は/及び2次洗浄ステップの後、ウエハを脱イオン水でシャワー及び排水処理し、高温の脱イオン水と窒素バブルを加えた後、再び脱イオン水でオーバーフロー(Overflow)処理することができる。その次に、再び脱イオン水でシャワー及び排水処理し、脱イオン水と窒素バブルを介してシャワー処理した後、再び脱イオン水でオーバーフロー処理することができる。
【0098】
前記不活性洗浄過程は、2分~30分間行われてもよく、または3分~10分間行われてもよい。
【0099】
前記不活性洗浄過程を通じて、以前ステップの洗浄液などの不純物を完全に除去し、エピタキシャル層が良好に形成され得るようにする。
【0100】
前記洗浄ステップは、前記2次洗浄ステップで処理されたウエハの表面をオゾン水を用いて洗浄するオゾン洗浄ステップをさらに含むことができる。前記オゾン洗浄ステップを通じて、オゾンの強い酸化力によって金属不純物を容易に除去することができ、ウエハに再付着する現象を防止することができる。
【0101】
前記オゾン洗浄ステップのオゾン水の濃度は、重量を基準として1ppm~30ppmであってもよい。
【0102】
前記ウエハの洗浄方法は、4H構造の炭化珪素を含むウエハのSi面を対象として行うことができ、このとき、さらに効果的に金属不純物を除去することができる。
【0103】
前記スクラビングステップ及び洗浄ステップを経たウエハは、後述したような不純物濃度を有することができ、これを適用して素子の製造収率を向上させることができ、良好な素子特性を示すことができる。
【0104】
ベアウエハ10
上記の目的を達成するために、具現例に係るベアウエハ10は、
4H構造の炭化珪素を含み、
総重量を基準として、一面のカルシウム含量が10ppb以下、鉄含量が1ppb以下、ニッケル含量が0.1ppb以下及び銅含量が1ppb以下で含まれてもよい。また、総重量を基準として、カルシウム含量が0.01ppb以上、鉄含量が0.01ppb以上、ニッケル含量が0.01ppb以上及び銅含量が0.01ppb以上で含まれてもよい。
【0105】
前記金属の含量は、前記ベアウエハ10の珪素原子層が現れる一面であるSi面においてICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析)で測定した結果値である。
【0106】
前記ベアウエハ10は、総重量を基準として、アルミニウム含量が1ppb以下、カリウム含量が1ppb以下、バナジウム含量が0.01ppb以下、クロム含量が0.1ppb以下、マンガン含量が0.1ppb以下、コバルト含量が0.01ppb以下、亜鉛含量が10ppb以下であってもよい。また、アルミニウム含量が0.01ppb以上、カリウム含量が0.01ppb以上、バナジウム含量が0.001ppb以上、クロム含量が0.01ppb以上、マンガン含量が0.01ppb以上、コバルト含量が0.001ppb以上、亜鉛含量が0.01ppb以上であってもよく、前記ICP-MSで得られた結果である。
【0107】
前記ICP-MSは、下記の実験例で行ったように行われ得る。
【0108】
前記ベアウエハ10は、珪素原子層が現れる一面であるSi面においてT-XRF分析結果により得られたカルシウム含量が8atoms/cm2以下、鉄含量が0.1atoms/cm2以下、ニッケル含量が0.2atoms/cm2以下、銅含量が0.1atoms/cm2以下であってもよい。また、カルシウム含量が0.1atoms/cm2以上、鉄含量が0.01atoms/cm2以上、ニッケル含量が0.01atoms/cm2以上、銅含量が0.01atoms/cm2以上であってもよい。
【0109】
前記ベアウエハ10は、前記T-XRF分析結果により得られたマンガン含量が18atoms/cm2以下であり、亜鉛含量が1.6atoms/cm2以下であってもよい。また、マンガン含量が0.1atoms/cm2以上であってもよく、亜鉛含量が0.1atoms/cm2以上であってもよい。
【0110】
前記T-XRFは、下記の実験例で行ったように行われ得る。
【0111】
前記不純物の数値を満たすベアウエハは、素子の製造時の収率を向上させることができ、良好な素子特性を示すことができる。
【0112】
前記ベアウエハ10は、一面11及びその反対面である他面12を含むことができる。
【0113】
前記ベアウエハ10は、一面11において、マイクロパイプの平均密度が3/cm2以下又は1/cm2以下であってもよく、0.1/cm2以上であってもよい。
【0114】
図1を参照すると、前記ベアウエハ10の一面11は、主に珪素原子が表面に現れる、いわゆるSi面であり、前記一面の反対面である他面12は、主に炭素原子が表面に現れる、いわゆるC面である。ウエハの切断加工時に、炭化珪素単結晶において炭素原子の層と珪素原子の層との境界面、またはこれと平行な方向に切断されやすく、これによって、炭素原子が主に露出する面と珪素原子が主に露出する面が切断面上に現れるようになる。
【0115】
前記一面11の中心は、前記ベアウエハ10の断面の形状が円形又は楕円形である場合、円又は楕円の中心に該当し得る。また、前記ウエハの断面の形状が円形又は楕円形である場合、前記半径は、最も小さい半径を基準とすることができる。
【0116】
前記ベアウエハ10の縁部の一側は、垂直、水平を判断する基準であるフラットゾーン(図示せず)又はノッチ(図示せず)を含むことができる。
【0117】
前記ベアウエハ10は、インゴットから切断される際に、インゴット又は種結晶のC面((000-1)面)からオフ角が0°~10°として適用されたものであってもよい。
【0118】
前記ベアウエハ10は、そのロッキング角度が基準角度に対し-1.5°~1.5°であってもよく、-1.0°~1.0°であってもよく、-0.5°~0.5°であってもよく、または-0.3°~0.3°であってもよい。このような特徴を有するウエハは、優れた結晶質特性を有することができる。前記ロッキング角度は、高分解能X線回折分析システム(HR-XRD system)を適用して、前記ウエハの[11-20]方向をX線経路に合わせ、X-ray source opticとX-ray detector optic角度を2θ(35°~36°)に設定した後、ウエハのオフ角に合わせてオメガ(ω)(又はシータ(θ)、X-ray detector optic)角度を調節してロッキングカーブ(Rocking curve)を測定し、基準角度であるピーク角度と2つの半値全幅(FWHM;full width at half maximum)値の差値をそれぞれロッキング角度として設定して結晶性を評価する。
【0119】
本明細書において、オフ角がX°ということは、通常許容する誤差範囲内でX°と評価されるオフ角を有するということを意味し、例示的に、(X°-0.05°)~(X°+0.05°)の範囲のオフ角を含む。また、ロッキング角度が「基準角度に対し-1°~1°」ということは、半値全幅値が、基準角度であるピーク角度を基準として(ピーク角度-1°)~(ピーク角度+1°)の範囲内にあるということを意味する。さらに、前記ロッキング角度は、ウエハの中央部分と縁部から中央方向に5mm以内の部分を除いた表面を実質的に均等に3等分し、各部分で3回以上測定した結果を平均して、前記のロッキング角度として取り扱う。具体的には、炭化珪素インゴットの(0001)面に対して0°~10°の範囲から選択された角度であるオフ角を適用したウエハのうち、オフ角が0°である場合、オメガ角度は17.8111°であり、オフ角が4°である場合、オメガ角度は13.811°、そして、オフ角が8°である場合、オメガ角度は9.8111°である。
【0120】
前記ベアウエハ10の厚さは、150μm~900μmであってもよく、または200μm~600μmであってもよく、半導体素子に適用できる適切な厚さであれば、これに制限するものではない。
【0121】
前記ベアウエハ10は、欠陥や多形の混入が最小化された、実質的に単結晶である4H構造の炭化珪素からなることができる。
【0122】
前記ベアウエハ10の直径は、4インチ以上であってもよく、5インチ以上であってもよく、または6インチ以上であってもよい。前記ウエハの直径は、12インチ以下であってもよく、10インチ以下であってもよく、または8インチ以下であってもよい。
【0123】
半導体素子1
上記の目的を達成するために、具現例に係る半導体素子1は、
前記によるウエハ10と、
前記ウエハの一面上に配置されたエピタキシャル層20と、
前記エピタキシャル層を挟んで前記ウエハと反対側に配置されたバリア領域30と、
前記エピタキシャル層と接するソース電極41、及び前記バリア領域上に配置されたゲート電極42と、
前記ウエハの他面上に配置されたドレイン電極43とを含むことができる。
【0124】
【0125】
前記ウエハ10は、n+型の炭化珪素を含むことができる。
【0126】
ここで、上付き文字の+、-符号は、キャリアの濃度を相対的に示すもので、例えば、n+は、強くドープされて高いドーパント濃度を有するn型半導体を意味し、p-は、非常に弱くドープされて相対的に低いドーパント濃度を有するp型半導体を意味する。
【0127】
前記ウエハ10上のエピタキシャル層20は、前記炭化珪素ウエハと格子定数の差が小さい又はほとんどない炭化珪素単結晶層からなることができる。
【0128】
前記エピタキシャル層20は、化学気相蒸着(CVD)工程などで形成されてもよい。
【0129】
前記エピタキシャル層20は、前記n+型の炭化珪素を含むウエハ10上に配置されたn-型エピタキシャル層21、及び前記n-型エピタキシャル層上に配置されたp+型エピタキシャル層22を含むことができる。
【0130】
前記p+型エピタキシャル層は、上部に選択的なイオン注入を加え、n+型領域23が形成され得る。
【0131】
前記半導体素子1の中央には、n-型エピタキシャル層21まで凹んだトレンチ構造のバリア領域と、前記トレンチ構造のバリア領域上にゲート電極42が配置され得る。
【0132】
以下、具体的な実施例を通じて本発明をより具体的に説明する。以下の実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【0133】
<製造例-ウエハの製造>
図2にインゴット製造装置の一例を示したように、反応容器200の内部空間の下部に原料物質300である炭化珪素粉末を装入し、その上部に炭化珪素種結晶を配置した。このとき、炭化珪素種結晶は、直径6インチの4H-SiC結晶からなるものを適用し、C面((000-1)面)が内部空間の下部の炭化珪素原料に向かうように通常の方法により固定した。
【0134】
反応容器200を密閉し、その外部を断熱材400で取り囲んだ後、外部に加熱手段600である加熱コイルが備えられた石英管500内に反応容器を配置した。前記反応容器の内部空間を減圧して真空雰囲気に調節し、アルゴンガスを注入して前記内部空間が760torrに到達するようにした後、再び内部空間を減圧させた。同時に、内部空間の温度を5℃/minの昇温速度で2300℃まで昇温させ、前記石英管と連通する配管810及び真空排気装置700を介して、石英管の内部のアルゴンガスの流量を調節した。2300℃の温度及び20torrの圧力条件下で100時間、炭化珪素原料と対向する炭化珪素種結晶面に炭化珪素インゴットを成長させた。
【0135】
成長後、前記内部空間の温度を5℃/minの速度で25℃まで冷却させ、同時に、内部空間の圧力が760torrになるようにした。前記石英管と連通する配管810及び真空排気装置700を介して、石英管の内部のアルゴンガスの流量を調節した。
【0136】
前記冷却された炭化珪素インゴットの(0001)面と4°のオフ角を有するように切断し、360μmの厚さ、及び150mmの直径を有するウエハを設けた。
【0137】
以降、化学的機械的研磨(CMP)を行った。前記ウエハサンプルをCMP研磨装備の研磨ヘッドに固定し、ポリウレタン系研磨パッドを付着した定盤上に、前記ウエハの一面であるSi面が研磨パッドに向かうようにした。その次に、シリカと過マンガン酸カリウムスラリーを200mL/minの流量で投入しつつ定盤を200rpm及び研磨ヘッドを197rpmで回転させながら、6psiの圧力でウエハの一面を1.5μm研磨し、前記のような方法でウエハの他面であるC面も0.5μm研磨し、洗浄した後に乾燥させた。
【0138】
<実施例1-ウエハの洗浄>
前記製造例で製造されたウエハに、
図3に示したように配置されたナイロンブラシを備え、ウエハの回転速度を10rpm、ブラシの回転速度を60rpmとするものの、脱イオン水を2L/minで加えながら、第1スクラビングステップを120秒間行った。
【0139】
前記第1スクラビングステップが行われたウエハに、
図3に示したように配置されたポリビニルアルコールブラシを備え、ウエハの回転速度を10rpm、ブラシの回転速度を60rpmとするものの、アンモニア:脱イオン水が1:20の体積比で混合されたアンモニア水を2L/minで加えながら、第2スクラビングステップを90秒間行った。
【0140】
前記第2スクラビングステップが行われたウエハに、
図3に示したように配置されたポリビニルアルコールブラシを備え、ウエハの回転速度を10rpm、ブラシの回転速度を60rpmとするものの、脱イオン水を2L/minで加えながら、第3スクラビングステップを120秒間行った。
【0141】
前記スクラビングステップの後、アンモニア:過酸化水素:脱イオン水が1:2:20の体積比で混合された第1洗浄液を、120KHzの超音波条件でウエハに加え、かつ70℃の温度、ウエハの回転速度1rpmの条件で、300秒間、第1a洗浄過程を行った。
【0142】
前記第1a洗浄過程の後、ウエハを脱イオン水でシャワー及び排水処理し、高温の脱イオン水と窒素バブルを加えた後、再び脱イオン水でオーバーフロー(Overflow)処理した。その次に、再び脱イオン水でシャワー及び排水処理し、脱イオン水と窒素バブルを介してシャワー処理した後、再び脱イオン水でオーバーフロー処理して、第1不活性洗浄過程を行った。
【0143】
前記第1不活性洗浄過程の後、前記第1洗浄液を1MHzの超音波条件でウエハに加え、かつ70℃の温度、ウエハの回転速度1rpmの条件で、300秒間、第1b洗浄過程を行った。
【0144】
前記第1b洗浄過程の後、第2不活性洗浄過程を前記第1不活性洗浄過程と同様の方法で行った。
【0145】
前記第2不活性洗浄過程の後、塩酸:過酸化水素:脱イオン水が1:3:60の体積比で混合された第2洗浄液をウエハに加え、かつ、70℃の温度、ウエハの回転速度1rpmの条件で、300秒間、2次洗浄ステップを行った。
【0146】
前記2次洗浄ステップの後、第3不活性洗浄過程を前記第1不活性洗浄過程と同様の方法で行った。
【0147】
<比較例1-ウエハの洗浄>
前記実施例1において、第1スクラビングステップ、第2スクラビングステップ及び第3スクラビングステップの処理時間をそれぞれ60秒、第1a洗浄過程及び第1b洗浄過程の処理時間をそれぞれ150秒、2次洗浄ステップの処理時間を150秒に変更した以外は、前記実施例1と同様に行った。
【0148】
<比較例2-ウエハの洗浄>
前記実施例1において、第1スクラビングステップ、第2スクラビングステップ及び第3スクラビングステップの処理時間をそれぞれ90秒、75秒、90秒、第1a洗浄過程及び第1b洗浄過程の処理時間をそれぞれ200秒、2次洗浄ステップの処理時間を200秒に変更した以外は、前記実施例1と同様に行った。
【0149】
<実験例-金属不純物の濃度の測定>
前記実施例及び比較例のウエハのICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析、Agilent社の7900)結果及びT-XRF(X線蛍光分析、rigaku社)結果を表1及び表2に示した。
【0150】
【0151】
【0152】
ウエハの洗浄において適切な処理条件及び処理時間を加えた実施例は、ICP-MS結果で検出限界以下の不純物濃度を示し、処理時間が不十分な比較例の場合、カルシウム、マンガン、ニッケル、亜鉛などの金属不純物の濃度が良好でないことを確認した。
【0153】
<実験例-ショットキーバリアダイオードの不良率の確認>
前記実施例及び比較例で製造されたウエハを介して、カソード層/SiC基板(ウエハ)/SiC N型ドリフト層/アノード層、そして、ドリフト層上にアノード層と接するパッシベーション層を含む複数のショットキーバリアダイオードを設けた。このとき、前記ショットキーバリアダイオードの断面積が、下記の順方向電流条件に応じて、10Aの場合に3.16×2.10mm2、20Aの場合に3.16×4.10mm2、25Aの場合に4.76×3.28mm2になるようにした。
【0154】
このショットキーバリアダイオードの順方向電流条件(10A、20A、25A)で順方向電圧の要求事項(1.8V以下)を満たさない素子を不良と判断し、このような分布を測定してウエハの不良率を把握し、表3、
図4及び
図5などに示した。
【0155】
【0156】
図4は、実施例1のベアウエハを適用した10A級(a)、20A級(b)、25A級(c)のショットキーダイオードの順方向電圧による分布を示したグラフであり、
図5は、比較例1のウエハを適用した10A級(a)、20A級(b)、25A級(c)のショットキーダイオードの順方向電圧による分布を示したグラフである。
【0157】
図4及び
図5において、横軸は、製造されたショットキーバリアダイオードの順方向電圧(V)を示し、縦軸は標本の数を示す。赤い点線は、順方向電圧の規格上限を示し、実施例の場合、比較例と比較して不良率が著しく少ないことが分かる。
【0158】
すなわち、ウエハの洗浄において適切な処理時間を加えた実施例は、要求事項を満たさない不良率が、比較例と比較して良好であることを確認することができ、これは、実施例の洗浄過程で残存する金属不純物を基準数値以下に除去したことによる効果と判断される。
【0159】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0160】
10 ウエハ
11 一面
12 他面
50 ブラシ
100 炭化珪素インゴット
200 反応容器
210 本体
220 蓋
300 原料
400 断熱材
500 反応チャンバ、石英管
600 加熱手段
700 真空排気装置
800 マスフローコントローラ
810 配管
【外国語明細書】