(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051712
(43)【公開日】2022-04-01
(54)【発明の名称】子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/303 20060101AFI20220325BHJP
【FI】
A61B1/303
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152585
(22)【出願日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0121249
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521288297
【氏名又は名称】プキョン ナショナル ユニバーシティ インダストリー-ユニバーシティ コーポレーション ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】Pukyong National University Industry-University Cooperation Foundation
【住所又は居所原語表記】45, Yongso-ro, Nam-gu, Busan 48513, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】521411781
【氏名又は名称】コシン ユニバーシティ インダストリー-アカデミー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】KOSIN UNIVERSITY INDUSTRY-ACADEMY COOPERATION
【住所又は居所原語表記】194, Wachi-ro, Yeongdo-gu, Busan 49104, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】アン,イェ チャン
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ダ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,イ クン
(72)【発明者】
【氏名】オク,チョル ホ
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ハン グ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン ウォン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA16
4C161CC06
4C161FF42
4C161GG26
4C161HH02
4C161HH04
4C161HH08
(57)【要約】
【課題】本発明は子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置を提供する。
【解決手段】このために、女性の膣内に挿入されるのであり、子宮に接触される一端に透視孔が形成され、前記透視孔に連通される撮影経路が備えられる挿入部と、前記撮影経路を通じて子宮頸部を撮影できるように前記挿入部に設置される撮影部と、前記挿入部の撮影経路上に設置され、前記透視孔を通じて子宮頸部に照明を照射する照明部と、を具備する。本発明による子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置は、モバイル膣拡大鏡を利用して子宮頸癌検診を、病院だけではなく、環境の制約なしに簡単で容易に使用が可能で、女性らが子宮頸癌を早期に診断することができるという効果がある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性の膣内に挿入されるのであり、子宮に接触される一端に透視孔が形成され、前記透視孔に連通される撮影経路が備えられる挿入部と、前記撮影経路を通じて子宮頸部を撮影できるように前記挿入部に設置される撮影部と、前記挿入部の撮影経路上に設置され、前記透視孔を通じて子宮頸部に照明光を照射する照明部とを具備する子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置。
【請求項2】
前記挿入部は前記撮影部に結露・曇りが発生されることを防止するため、前記撮影経路上の空気が外部と循環されるか、または、子宮頸部を検査する際に検査溶液を注入するために前記撮影経路に連通されるように、注入口が形成されることを特徴とする請求項1に記載の子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置。
【請求項3】
前記照明部は、前記挿入部に設置されて前記撮影経路上に照明光を照射する光源と、前記光源で発生された照明光を前記透視孔への方向に誘導するライトガイド部とを具備することを特徴とする請求項1に記載の子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置。
【請求項4】
前記撮影経路上に設置され、子宮頸部組織の表面で反射されて前記透視孔に流入される反射光は遮断するとともに、前記子宮頸部組織の表面を透過して前記子宮頸部組織の内部で前記透視孔へと反射される照明光だけを通過させる光学部を具備することを特徴とする請求項1に記載の子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置。
【請求項5】
前記撮影部は、撮影用カメラが備えられたスマートフォンを据え付け」るものであり、前記撮影用カメラが前記透視孔を通じて前記子宮頸部を撮影できるように前記撮影用カメラが前記透視孔に対向されるように、前記スマートフォンを支持することを特徴とする請求項1に記載の子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置。
【請求項6】
前記挿入部の他端部に設置され、前記スマートフォンが引き入れられうる引入空間が形成されるとともに、前記透視孔に対向される位置に、前記撮影用カメラの撮影レンズがセッティングされうるセッティング口が形成されたことを特徴とする請求項5に記載の子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置。
【請求項7】
前記撮影部は、内視鏡カメラまたはハイパースペクトルカメラのうちのいずれか一つであることを特徴とする請求項4に記載の子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置。
【請求項8】
第1前記透視孔は、前記撮影経路の長さ方向中心線を基準にして所定角度で傾くように形成されたことを特徴とする子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置。
【請求項9】
前記挿入部が膣内に挿入される際に、膣内空間を確張する拡張ユニットをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置。
【請求項10】
前記拡張ユニットは、
前記挿入部の一端部が挿入されうるように中空が形成されるとともに、前記中空の中心を基準として相互に遠くなる方向に相互回動可能に設置された第1拡張部材及び第2拡張部材と、
作業者が把持して前記拡張部材を回動させることができるように前記拡張ユニットに形成された複数の取っ手部材とを具備することを特徴とする請求項9に記載の子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置。
【請求項11】
前記挿入部には、前記膣に対する挿入方向に沿って所定長さに延長されたガイド溝が形成され、前記拡張ユニットは、前記ガイド溝に引き入れられうるように、前記第1拡張部材及び第2拡張部材のうちのいずれか一つに形成されたガイド突起を具備することを特徴とする請求項10に記載の子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置。
【請求項12】
前記挿入部は、前記光源から出力されて内壁面によって散乱された散乱光が、子宮頸部組織に入射されることができるように、前記透視孔に接するほど内径が減少するように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置。
【請求項13】
前記光学部は、前記撮影経路上に設置され、前記光源で出力される光の平行偏光(P-Polarization)を形成する線形偏光板(Linear polarizer:LP)と、前記撮影経路上に、光の出力方向を基準として前記線形偏光板の後方に設置され、前記線形偏光板を通過した光を円形偏光(Circular polarization)に形成する四分の一波長板1/4λ retarder:QWP)とから形成されたことを特徴とする請求項4に記載の子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置。
【請求項14】
前記挿入部は、
前記注入口と連通され、前記挿入部の内周面に沿って円周方向に形成される連通部と、
前記連通部から前記撮影経路に沿って透視孔側へと延長され、前記透視孔の端部に、前記注入口を通じて流入された外気が噴出されるか、または、検査溶液が前記透視孔の側へと噴出されうるように噴出口が形成された少なくとも一つの噴出管とを、さらに具備することを特徴とする請求項2に記載の子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子宮頸癌の早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置に関するものであり、より詳細には、モバイル膣拡大鏡を利用して視覚的に子宮頸癌検診を、病院だけではなく環境の制約なしに簡単に遂行することができる子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
子宮頸癌は世界的に女性に二番目で有り勝ちな癌であって、全体の女性の癌の23%が子宮癌であり、そのうちでも90~95%を子宮頸癌が占めている。
【0003】
このような子宮頸癌は、早期発見(前癌段階)した際に治療と予後が良い方であるが、癌に進行した際5年内へと生存率が低下するので、なによりも早期に見つけることができるように、女性らは1年の間隔で子宮頸癌の検診を受ける必要性がある。
【0004】
現在、子宮頸癌検査には、細胞診検査、膣拡大鏡検査、組織生体検査などの診断法と、局所破壊及び手術療法、化学及び放射線療法などの治療法だけでなく、最近には女性疾病検査を自らできる自己診断キットなどが発売開始されている。
【0005】
代表的に、検診に使用する膣拡大鏡検査は、特別に考案された拡大レンズを通じて子宮頸部を観察して、一連の診断基準にしたがって、子宮頸部のさまざまな異常の兆候を直接目で確認しながら、疑われる部位に対する組織生体の検査や治療を施行することができる検査方法として先進国では接近性(approachability)が高いが、子宮頸癌の略80%が発生するアジア、南米、アフリカなどの発展途上国の場合、道具的な問題で子宮頸癌の早期診断が難しい環境に置かれているという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第2015-0002755号(2015.07.13)
【特許文献2】韓国公開特許第2008-0002974号(2008.07.30)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような問題点を改善するために創案されたものであり、子宮頸癌の早期診断のために撮影用カメラを取付けたスマートフォンといった比較的具備しやすい機器を使用して、子宮頸癌を早期診断することができる子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明による、子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置は、女性の膣内に挿入され、子宮に接触される一端に透視孔が形成され、前記透視孔に連通される撮影経路が備えられる挿入部と、前記撮影経路を通じて子宮頸部を撮影できるように前記挿入部に設置される撮影部と、前記挿入部の撮影経路上に設置され、前記透視孔を通じて子宮頸部に照明光を照射する照明部を具備する。
【0009】
前記挿入部は、前記撮影部に結露・曇りが発生することを防止するため、前記撮影経路上の空気が外部と循環されるか、または、子宮頸部を検査する際に検査溶液を注入するために前記撮影経路に連通されるように、注入口が形成されることが望ましい。
【0010】
前記照明部は、前記挿入部に設置されて前記撮影経路上に照明光を照射する光源と、前記光源から発生された照明光を前記透視孔への方向に誘導するライトガイド部とを具備することが望ましい。
【0011】
前記撮影経路上に設置され、子宮頸部組織の表面で反射されて前記透視孔へと流入される反射光は遮断するとともに、前記子宮頸部組織の表面を透過して前記子宮頸部組織の内部で前記透視孔へと反射する照明光だけ通過させる光学部を具備することが望ましい。
【0012】
前記撮影部は、撮影用カメラが備えられたスマートフォンを据え付けるものであって、前記撮影用カメラが前記透視孔を通じて前記子宮頸部を撮影できるように、前記撮影用カメラが前記透視孔に対向されるように前記スマートフォンを支持することができる。
【0013】
前記挿入部の他端部に設置され、前記スマートフォンが引き入れられうる引入空間が形成されるとともに、前記透視孔に対向される位置に、前記撮影用カメラの撮影レンズがセッティングされうるセッティング口が形成されることが望ましい。
【0014】
前記撮影部は、内視鏡カメラまたはハイパースペクトルカメラ(Hyperspectral camera)のうちのいずれか一つであることを特徴とする。
【0015】
前記透視孔は、前記撮影経路の長さ方向中心線を基準にして所定角度で傾くように形成されることが望ましい。
【0016】
前記挿入部が膣内に挿入される際に、膣内空間を確張する拡張ユニットをさらに具備することもできる。
【0017】
前記拡張ユニットは、前記挿入部の一端部が挿入されうるように中空が形成されるとともに、前記中空の中心を基準として相互に遠くなる方向に相互回動可能に設置された第1拡張部材及び第2拡張部材と、作業者が把持して前記拡張部材を回動させることができるように前記拡張ユニットに形成された複数の取っ手部材とを具備する。
【0018】
前記挿入部には、前記膣に対する挿入方向に沿って所定長さに延長されたガイド溝が形成され、前記拡張ユニットは、前記ガイド溝に引き入れられうるように前記第1拡張部材及び第2拡張部材のうちのいずれか一つに形成されたガイド突起を具備することもできる。
【0019】
前記挿入部は、前記光源から出力されて内壁面によって散乱された散乱光が、子宮頸部組織に入射されることができるように、前記透視孔に接するほど内径が減少するように形成されることが望ましい。
【0020】
前記光学部は、前記撮影経路上に設置され、前記光源から出力される光の平行偏光(P-Polarization)を形成する線形偏光板(Linear polarizer:LP)と、前記撮影経路上に光の出力方向を基準として前記線形偏光板の後方に設置され、前記線形偏光板を通過した光を円形偏光(Circular polarization)に形成する四分の一波長板(1/4λ retarder:QWP)とから形成されることを特徴とする。
【0021】
前記挿入部は、前記注入口と連通され、前記挿入部の内周面に沿って円周方向に形成される連通部と、前記連通部から前記撮影経路に沿って透視孔側へと延長され、前記透視孔の端部に、前記注入口を通じて流入された外気が噴出されるか、または、薬品が前記透視孔の側へと噴出されうるように、少なくとも一つの噴出管とをさらに具備することもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明による子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置は、モバイル膣拡大鏡を利用して子宮頸癌検診を、病院だけではなく環境の制約なしに簡単で容易に使用が可能で、女性らが子宮頸癌を早期に診断することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置の第1実施例を示した斜視図である。
【
図2】
図1の子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置の内部構造を示した断面図である。
【
図3】子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置の第2実施例を示した斜視図である。
【
図4】
図3の子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置の内部構造を示した断面図である。
【
図5】子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置の第3実施例を示した斜視図である。
【
図6】
図5の子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置の内部構造を示した断面図である。
【
図7】拡張ユニットを含む子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置の概念図である。
【
図8】
図7の拡張ユニットの動作を示す動作図である。
【
図9】子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置の第2実施例の光学部の原理を示した概念図である。
【
図10】子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置の注入口についての、さらに他の実施例を示した斜視図である。
【
図11】
図10の子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置における透視孔の断面を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例による子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置10に対して詳しく説明する。本発明は多様な変更を加えることができるし、さまざまな形態を有することができるが、特定実施例らを図面に例示して本文に詳細に説明しようとする。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想または技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むことで理解されなければならない。各図面を説明しながら類似な参照符号を類似な構成要素に対して使用した。添付された図面に対して、構造物らの寸法は本発明の明確性を期するために実際より拡大して示したものである。
【0025】
第1、第2などの用語は多様な構成要素らを説明することに使用されることができるが、前記構成要素らは前記用語によって限定されてはいけない。前記用語らは一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけで使用される。例えば、本発明の権利範囲を脱しないのに第1構成要素は第2構成要素で命名されることができるし、類似に第2構成要素も第1構成要素で命名されることができる。
【0026】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なるように志さない限り、複数の表現を含む。本出願で、“含む“または“有する”などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはその以上の他の特徴らや数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないものとして理解されなければならない。
【0027】
異なるように定義されない限り、技術的であるか、または科学的な用語を含んでここで使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者によって一般に理解されることと等しい意味がある。一般に使用される前もって定義されているもののような用語らは、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味があるということで解釈されなければならないし、本出願で明白に定義しない限り、理想的であるか、または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0028】
図1乃至
図2には本発明による子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置10の第1実施例が示されている。
【0029】
図面を参照すれば、前記子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置10は、挿入部100、撮影部200及び照明部300を具備する。
【0030】
前記挿入部100は、女性の膣内に挿入されるのであり、子宮に接触される一端に透視孔110が形成され、内部に、前記透視孔110に連通される撮影経路130が備えられる。
【0031】
前記撮影経路130は、前後方向に延長されているし、前記挿入部100の後方部は、前記撮影部200と連通されうるように開放されている。
【0032】
ここで、前記挿入部100は、前記撮影部200から透視孔110の側へと行くほど内径が減少するテーパー形態に形成され、検査者が前記挿入部100を膣内に挿入することが容易であるようにする。また、前記テーパーをなす挿入部100の形態は、前記撮影経路130の内径が減少するようにすることで、前記照明部300から照射する照明光が直接に照明されず、散乱光による間接照明になることから前記子宮頸部組織の表面で反射されることを減少させることができる。
【0033】
前記透視孔110は、前記撮影経路130の長さ方向中心線を基準にして所定角度で傾くように形成される。検査者は、前記傾いた透視孔110を子宮頸部に接触させて子宮頸部を検査することが望ましい。
【0034】
前記所定角度で傾いた透視孔110は、個人ごとの解剖学的な差で、それぞれの人ごとに異なるように形成された子宮頸部の検査を行う際、前記透視孔110の傾いた部分でもって、前記撮影経路130の確保を邪魔する子宮頸部組織900を押し出して撮影経路130を確保する。
【0035】
また、挿入部100には、前記撮影経路130に連通されるように、外周面に、注入口120が形成されている。
【0036】
前記注入口120を通じて、前記撮影経路130上の空気が外部と循環されて前記撮影部200に結露・曇りが発生することが防止される。仮に、前記撮影部200に結露・曇りが発生するようになれば、外部から前記注入口120に流入した空気が前記所定角度で傾いた透視孔110を通じて排出されるようにして空気が循環できるようにする。
【0037】
前記注入口120の位置と大きさは限定しない。
【0038】
前記撮影部200は、撮影用カメラ710が備えられたスマートフォン700を据え付けるものであり、前記撮影部200には、前記挿入部100の後端部に設置され、前記撮影用カメラ710を具備するスマートフォン700を据え付ける。前記撮影部200には、後面に、前記スマートフォン700が引き入られうる引入空間210が形成される。前記引入空間210は、前記スマートフォン700が押し込まれて嵌め込まれうるように前記スマートフォン700の断面積に対応されるように形成される。
【0039】
前記引入空間210には、前記撮影部200の後面に対して前記透視孔110に対向される位置に、前記スマートフォン700に具備された撮影用カメラ710の撮影レンズがセッティングされうるセッティング口211が形成される。
【0040】
前記セッティング口211は、前記透視孔110に対向される位置に形成されるのであり、前記スマートフォン700の撮影用カメラ710レンズが引き入れられうるように、前記撮影用カメラ710のレンズに対応される面積で形成される。
【0041】
ここで、前記撮影部200は、前記撮影用カメラ710が前記透視孔110を通じて前記子宮頸部を撮影できるように、前記撮影用カメラ710が前記透視孔110に対向されるようにして前記スマートフォン700を支持する。
【0042】
図面に示されなかったが、前記撮影部200は、第1調節部材、第2調節部材及びスプリング部材を具備する。
【0043】
前記引入空間210に前記スマートフォン700が引き入れられる際、前記第1調節部材に前記スマートフォン700が据え付けられ、前記第2調節部材は前記スプリング部材によって長さと広さの調節が可能であって、前記第1調節部材に据え付けられた前記スマートフォン700を固定する。
【0044】
前記照明部300は光源310とライトガイド320を具備する。
【0045】
前記光源310は、前記挿入部100の下部に設置されて、前記撮影経路130上に照明光を照射する。
【0046】
前記ライトガイド320は、前記光源310で発生された照明光を、前記透視孔110への方向に誘導するために前記挿入部100の内部に設置される。
【0047】
前記ライトガイド320には、前記光源310部に対向される前記挿入部100の内壁面に設置され、前記光源310部から発生される光を、前記透視孔110の側へと反射することができる反射鏡が適用される。
【0048】
一方、ライトガイド320には、図面に示されなかったが、一端は前記光源310部に設置されて他端は前記挿入部100内部に設置されるとともに、前記透視孔110に対向されるように設置され、前記光源310で発生された光を導波して前記透視孔110の側へと伝達する光ファイバが適用されることもありうる。
【0049】
ここで、光ファイバは複数個が具備され、一端が一つの束に結束されて前記光源310に連結される。前記光ファイバの他端は、分散されて、前記挿入部100の内側に引き入れられて相互に離隔されるように配置され、前記透視孔110に対向されるように配置されることが望ましい。
【0050】
前記光源310で発光された光が前記光ファイバの一端に入力される際、レンズといった第2光カップラが使用されることもありうる。前記光ファイバの一端に入力された光は、前記光ファイバに沿って他端に伝達されて、前記透視孔110の側で発光できるようにする。
【0051】
前記挿入部100は、蛍光燈といった外部照明光の流入を防止できるように、前記透視孔110が、子宮頸部の表面に完全に密着させることができるようにする。すなわち、前記照明部300の意図された照明だけが子宮頸部に照射されて、子宮頸部撮影に照射される照明の条件が一定であるようにする。
【0052】
このように、いつも同じ撮影条件が一定であるように維持されたままに獲得された映像は、この後で、人工知能を使用して疾病病気を分析する際に歪曲が減るようにするという効果がある。
【0053】
第1実施例の場合、前記挿入部100、撮影部200及び照明部300を3Dプリンティングで製作されることで、より容易に製作及び使用することができる。
【0054】
図3乃至
図4には、第2実施例による子宮頸癌の早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置10が示されている。
【0055】
先に示された図面でのように同一の機能を行う要素は、同一の参照符号で表記する。
【0056】
図面を参照すれば、前記撮影部200は、前記透視孔110に対向される前記挿入部100の後端部に設置され、前記透視孔110に対向される内視鏡カメラが適用され、前記子宮頸癌の早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置10は、前記撮影経路130上に設置される光学部400をさらに具備する。
【0057】
図9には、第2実施例による前記光学部400の偏光システムの原理が示されている。
【0058】
前記光学部400は、子宮頸部組織900の表面910で反射されて、前記透視孔110に流入される反射光は遮断するとともに、前記子宮頸部組織900の表面910を透過して前記子宮頸部組織900の内部920で前記透視孔110へと反射される照明だけを通過させることができる。
【0059】
前記光学部400は、線形偏光板(linear polarizer)410、及び、四分の一波長板(1/4λ retarder)420で構成されている。
【0060】
前記線形偏光板410は、前記撮影経路130上に先ず設置され、前記光源310から出力される光の平行偏光430を形成する。
【0061】
前記四分の一波長板420は、前記撮影経路上に、光の出力方向を基準にして、前記線形偏光板410の後方に設置され、前記線形偏光板410を通過した光を、左円形偏光431へと形成する。
【0062】
前記光源310から出た、偏光されない光が線形偏光板410を通過すれば、平行偏光430が起きるのであり、前記平行偏光430が起きた光が、四分の一波長板420を通り過ぎる際に左円形偏光431が起きる。
【0063】
子宮頸部組織900の表面910で正反射されて帰って来る光には、右円形偏光433が起きるのであり、前記右円形偏光433された光が四分の一波長板420を通過するようになれば、垂直偏光432が起きるようになることから、線形偏光子410を通過することができず、前記撮影部200に光が到逹することができない。
【0064】
一方、同一な具合に、線形偏光子410と四分の一波長板420を通過した光が、子宮頸部組織900の内部920で反射される場合、反射された光に子宮頸部組織900の内部920の情報を含んで、先ず四分の一波長板420を通過し、線形偏光子410を通過して、平行偏光430された光として前記撮影部200に到逹するようになる。
【0065】
結果的に、子宮頸部組織900の表面910で反射された光は前記撮影部200に入って行くことができず、残りの、子宮頸部組織900の内部920で反射された光だけが通過することで、データ分析及び診断に邪魔になる表面反射を除去することができる。
【0066】
一方、
図5乃至
図6には、第3実施例による子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置10が示されている。
【0067】
先に示された図面と同一の機能を行う要素は、同一の参照符号で表記する。
【0068】
図面を参照すれば、前記撮影部200は前記透視孔110に対向される前記挿入部100の後端部に設置され、前記透視孔110に対向されるハイパースペクトルカメラ(Hyperspectral camera)800、及び、前記ハイパースペクトルカメラ800と前記挿入部100との間に設置される光カップラ500を具備することを特徴とする。
【0069】
前記光カップラ500は、レンズが含まれた連結部品であって、ハイパースペクトルカメラ800の焦点を調節することで、子宮頸部のイメージがハイパースペクトルカメラ800イメージセンサーに、焦点が正確に結ばれるようにする。
【0070】
前記ハイパースペクトルカメラ800は、同じ視野を有した数枚または複数枚の写真を、それぞれ異なる波長の光について獲得する。子宮頸部を検査する際、子宮頸部に酢酸を塗布すれば、異常がある部位は色が白く変わる。これは酢酸塗布によって、ある特別な波長の光が不十分に反射され、ある特別な波長の光は、より多く反射されるという現象が発生したためである。
【0071】
青色に見える物体は、青色以外の光は吸収し、青色の光は反射するために、我々の目やカメラが青色として認識する。仮に、ある操作によって、この色が赤色に変わったと言えば、波長ごとに反射及び吸収される程度が変わったということを意味する。既存のカメラは、RGBの三種類のピクセルのみを有していて、多様な波長の光に対する子宮頸部の反応を正確に分析し出すことができない。
【0072】
しかし例えば、16種の波長に対して映像を取ることができるハイパースペクトルカメラ800があったならば、色の変化をより精緻に分析することができて、より多い情報を得ることができる。一方、前記ハイパースペクトルカメラ800におけるそれぞれの波長ごとのイメージを利用すれば、子宮頸部にある多様な光吸収体の濃度も、間接的に測定することができる。すなわち、特別な波長の光をよく吸収する光吸収体が多ければ、その波長の光が反射されてカメラに帰って来る量が減るであろうためである(Beer-Lambert Law)。人体に主に分布する光吸収体らの吸収スペクトルは、よく知られているために、複数個の波長の光の反応を見れば、ある吸収体が、どの程度の濃度であるかの測定が可能である。
【0073】
よって、前記ハイパースペクトルカメラ800を使えば、一般カメラに比べて、より多い疾病情報を獲得することができる。
【0074】
前記光カップラ500は、人ごとに異なるように形成された子宮頸部の深さに応じて焦点を調節することができる。また、前記光カップラ500の一端510は、前記挿入部100と連結及び固定することができるのであり、前記光カップラ500の他端520は、前記挿入部100の連結部分510と対向されて、前記ハイパースペクトルカメラ800と連結されることもできることから、クィックカップラを使用してカメラを容易に着脱することもできる。
【0075】
図7には、本発明のもう一つの実施例による子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置10が示されている。
【0076】
先に示された図面と同一の機能を行う要素は同一参照符号で表記する。
【0077】
図面を参照すれば、前記挿入部100に、拡張ユニット600をさらに具備する子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置10は、前記挿入部100に設置された拡張ユニット600をさらに具備する。
【0078】
前記拡張ユニット600は、前記挿入部100を膣内に挿入する際に膣内の空間を確張することを特徴として、前記挿入部100の一端部が挿入されうるように、中空が形成され、第1拡張部材610と第2拡張部材620を具備する。
【0079】
前記第1拡張部材610は、前後方向に所定長さで延長された第1ボディー611と、後半部に、後方へと延長された第1ブラケット612と、前記第1ブラケット612から下方に所定長さで延長された第1取っ手部613とを具備する。
【0080】
前記第2拡張部材620は、前後方向に所定長さで延長された第2ボディー621と、前記第1ブラケット612に回動可能になるようにする後端部の第2ブラケット622と、前記第2ブラケット622から下方に所定長さで延長された第2取っ手部623とを具備する。
【0081】
前記第1取っ手部613と前記第2取っ手部623を作業者が把持することで、前記第1拡張部材610と前記第2拡張部材620とを回動することができる。
【0082】
前記第1ボディー611の上端には、ガイド突起614が形成されるとともに、前記挿入部100には、前記膣に対する挿入方向、すなわち前後方向に沿って所定長さで延長されたガイド溝615が形成されることから、前記ガイド突起614が前記ガイド溝615に引き入れられる。
【0083】
本実施例では、前記ガイド突起614が第1ボディー611の上面に、上方へと突き出されて形成されたが、これに限定しないで、前記第2ボディー621の下面に形成されることもありうる。
【0084】
よって、前記第1拡張部材610及び第2拡張部材620は、前記中空の中心を基準として相互に遠くなる方向に、相互回動可能に相互に支持される。
【0085】
図8を参照して、前記拡張ユニット600の作動を詳しく説明すれば次のようである。
【0086】
前記ガイド突起614が、前記ガイド溝615に沿って前記透視孔110への方向に移動すれば、前記挿入部100よりも前記拡張ユニット600が、先に膣内に挿入されるのであり、前記挿入部100が膣内に挿入された際、前記ガイド突起614が前記ガイド溝615の移動方向に沿って前記撮影部200への方向に移動して、子宮頸部を撮影することが望ましい。
【0087】
図10乃至
図11には、本発明の、さらに他の実施例による子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置10の前記注入口120が示されている。
【0088】
先に示された図面と同一の機能を行う要素は、同一の参照符号で表記する。
【0089】
図10を参照すれば、前記挿入部100は、連通部125と噴出管123をさらに具備する。
【0090】
前記連通部125は、メイン管121と補助管122を具備する。
【0091】
前記メイン管121は、前記注入口120と連通されるように、所定長さに延長されるように形成されている。
【0092】
前記補助管122は、前記メイン管121から延長されるが、前記挿入部100の内周面に沿って円周方向に形成されている。
【0093】
前記噴出管123は、前記補助管122から前記撮影経路130に沿って、前記透視孔110の側へと延長され、前記透視孔110の端部に前記注入口120を通じて流入された外気が噴出されるか、または、検査溶液が前記透視孔110の側へと噴出されうるように、噴出口124が少なくとも一つ形成される。
【0094】
よって、前記注入口120に、酢酸といった検査溶液を注入して、子宮頸部にまんべんなく塗布することができる。
【0095】
図11を参照すれば、前記噴出管123が複数個具備された前記透視孔110の断面図が示されている。
【0096】
本実施例では前記噴出管123を4個として例示を挙げたが、個数と位置は限定しない。
【0097】
以上で説明した本発明の子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置10は、モバイル膣拡大鏡を利用して、子宮頸癌検診を、病院だけではなく環境の制約なしに簡単に遂行することができ、より簡単に女性らが子宮頸癌を早期に診断することができるという効果がある。
【0098】
提示されたこれら実施例に対する説明は、任意の本発明の技術分野にて通常の知識を有した者が、本発明を利用するか、または実施できるように提供される。このようなこれら実施例に対する多様な変形は、本発明の技術分野における通常の知識を有した者にとり明白であり、ここに定義された一般的な諸原理は、本発明の範囲を脱することなしに他の各実施例に適用されうる。そのようにして、本発明は、ここに提示されたこれらの実施例に限定されるものではなく、ここに提示された、複数の原理または複数の新規な特徴と一貫したものなっている最広意の範囲で解釈されなければならないであろう。
【符号の説明】
【0099】
10 子宮頸癌早期診断のためのモバイル膣拡大鏡装置
100 挿入部
110 透視孔
120 注入口
121 メイン管
122 補助管
123 噴出管
124 噴出口
130 撮影経路
125 連通部
200 撮影部
210 引入空間
211 セッティング口
300 照明部
310 光源
320 ライトガイド
400 光学部
410 線形偏光板
420 四分の一波長板
430 平行偏光(P-Polarization)
431 左円形偏光(Circular polarization)
432 垂直偏光(S-Polarization)
433 右円形偏光(Circular polarization)
500 光カップラ
510 光カップラの一端
520 光カップラの他端
600 拡張ユニット
610 第1拡張部材
611 第1ボディー
612 第1ブラケット
613 第1取っ手部
614 ガイド突起
615 ガイド溝
620 第2拡張部材
621 第2ボディー
622 第2ブラケット
623 第2取っ手部
700 スマートフォン
710 撮影用カメラ
800 ハイパースペクトルカメラ
900 子宮頸部組織
910 子宮頸部組織の表面
920 子宮頸部組織の内部