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▶ スティロン ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051759
(43)【公開日】2022-04-01
(54)【発明の名称】タイヤ用の官能化ポリマーブレンド
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20220325BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20220325BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20220325BHJP
   C08F 12/08 20060101ALI20220325BHJP
   C08F 236/04 20060101ALI20220325BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
C08L9/00
C08L91/00
C08K3/013
C08F12/08
C08F236/04
B60C1/00 A
B60C1/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022004237
(22)【出願日】2022-01-14
(62)【分割の表示】P 2017544009の分割
【原出願日】2016-02-18
(31)【優先権主張番号】15155546.3
(32)【優先日】2015-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】510288530
【氏名又は名称】トリンゼオ ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(72)【発明者】
【氏名】エーフェマリー ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ハイデンライヒ
(72)【発明者】
【氏名】スベン ティーレ
(57)【要約】
【課題】タイヤ用の官能化ポリマーブレンドの提供。
【解決手段】本発明は、(a)高分子量の第1のエラストマー性ポリマー60~96重量パーセントと、(b)低分子量の第2のポリマー4~35重量パーセントと、任意に応じて、(c)伸展油0~13重量パーセントとからなるポリマーブレンドであって、成分(a)、(b)及び(c)の上記の量が、そのポリマーブレンドの総重量ベースであるポリマーブレンドに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1のエラストマー性ポリマー60~96重量パーセントと、
(b)第2のポリマー4~35重量パーセントと、任意に応じて、
(c)1つ以上の伸展油0~13重量パーセントと、
からなるポリマーブレンドであって、
前記第1のエラストマー性ポリマーが、
(I)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、任意に応じて1つ以上のα-オレフィンモノマーとをアニオン重合することと、任意に応じて、
(II)下に定義されているような式(1)~(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(I)で得たポリマー鎖末端を変性させることと、
によって得られ、
前記第2のポリマーが、
(i)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、(i-1)少なくとも1つの共役ジエンモノマー、(i-2)少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、1つ以上のα-オレフィンモノマーまたは(i-3)少なくとも1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合することと、
(ii)下に定義されているような式(1)、式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(i)で得たポリマー鎖末端を変性させ、ただし、対応する式中、x、x1’、r、t及びvがそれぞれ、1及び2から選択されていることと、
によって得られ、
前記第1のエラストマー性ポリマー(a)の数平均分子量(M)が、400,000~2,000,000g/molであり、重量平均分子量(M)が、500,000~3,000,000g/molであり、
前記第2のポリマー(b)の数平均分子量(M)が、500~80,000g/molであり、重量平均分子量(M)が、500~100,000g/molであり、
前記成分(a)、(b)及び(c)の前記量が、前記ポリマーブレンドの総重量ベースであり、
(R***O)(R**Si-A-S-SiR** 式(1)
式中、R**がそれぞれ独立して、C-C16アルキルまたはアルキルアリールから選択されており、R***が独立して、C-Cアルキルから選択されており、Aが、C-C18アリール、C-C50アルキルアリール、C-C50アルキル及びC-C50ジアルキルエーテルから選択されており、任意に応じて、R**、R***またはAが独立して、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-C12アリール、C-C16アルキルアリール、ジ(C-Cヒドロカルビル)アミノ、ビス(トリ(C-C12アルキル)シリル)アミノ、トリス(C-Cヒドロカルビル)シリル及びC-C12チオアルキルから選択した1つ以上の基で置換されていてよく、xが、1、2及び3から選択した整数であり、yが、0、1及び2から選択した整数であり、ただし、x+y=3であり、
((RO)x2’(Ry2’Si-R-S)s2’(Rt2’(Xu2’
式(2)
式中、Mが、ケイ素またはスズであり、x2’が、1、2及び3から選択した整数であり、y2’が、0、1及び2から選択した整数であり、x2’+y2’=3であり、s2’が、2、3及び4から選択した整数であり、t2’が、0、1及び2から選択した整数であり、u2’が、0、1及び2から選択した整数であり、s2’+t2’+u2’=4であり、Rが独立して、水素及び(C-C)アルキルから選択されており、Rが独立して、(C-C16)アルキル、(C-C16)アルキルアリール及び(C-C16)アリールアルキルから選択されており、Rが、少なくとも2価であり、独立して、(C-C16)アルキル、(C-C16)アルキルアリールアルキル、(C-C16)アリールアルキル及び(C-C16)アルキルアリールから選択されており、それぞれの基は、3級アミン基、シリル基、(C-C18)アラルキル基及び(C-C18)アリール基という基のうちの1つ以上で置換されていてもよく、Rが独立して、(C-C16)アルキル及び(C-C16)アルキルアリールから選択されており、Xが独立して、塩化物、臭化物及び-OR5*から選択されており、このR5*が、(C-C16)アルキル及び(C-C16)アリールアルキルから選択されており、
(RO)x1’(RIIy1’Si-RIV-S-E 式(3)
式中、R及びRIIが独立して、C-CアルキルまたはC-Cアルコキシから選択されており、ただし、R及びRIIのうちの少なくとも1つが、C-Cアルコキシであり、x1’が、1、2及び3から選択した整数であり、y1’が、0、1及び2から選択した整数であり、RIVが、C-Cアルキルから選択されており、Eが、Rまたは式(3a)の基であり、
【化1】
式中、Rが、C-Cアルキル、C-C12アリール、C-C16アルキルアリールまたはC-C16アリールアルキルであり、
【化2】
式中、R1dがそれぞれ独立して、(C-C16)アルキルから選択されており、R2dがそれぞれ独立して、(C-C16)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アラルキルから選択されており、R3dが独立して、2価の(C-C16)アルキル、2価の(C-C18)アリール、2価の(C-C18)アラルキル及び-R4d-O-R5d-から選択されており、このR4d及びR5dが独立して、2価の(C-C)アルキルから選択されており、Zが独立して、(C-C16)アルキル、(C-C18)アリール、(C-C18)アラルキル、(C=S)-S-R6dから選択されており、このR6dが、(C-C16)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アラルキル及び-M1d(R7dc4(R8dd4から選択されており、このM1dが、ケイ素またはスズであり、R7dがそれぞれ独立して、(C-C16)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アラルキルから選択されており、R8dがそれぞれ独立して、-S-R3d-Si(OR1dr4(R2ds4から選択されており、このR1d、R2d及びR3dが、上で定義したとおりであり、rが、1、2及び3から独立して選択した整数であり、sが、0、1及び2から独立して選択した整数であり、r+s=3であり、cが、2及び3から独立して選択した整数であり、dが、0及び1から独立して選択した整数であり、c+d=3であり、
【化3】
式中、R9e、R10e、R11e及びR12eが独立して、水素、(C-C16)アルキル、(C-C16)アリール及び(C-C16)アラルキルから選択されており、好ましくはN-メチル-ピロリドンであり、
【化4】
【化5】
式中、R13a、R14a、R18a及びR19aがそれぞれ独立して、(C-C16)アルキルから選択されており、R15a及びR20aが独立して、2価の(C-C16)アルキル、2価の(C-C18)アリール、2価の(C-C18)アラルキル及び-R24a-O-R25a-から選択されており、このR24a及びR25aが独立して、2価の(C-C)アルキルから選択されており、R16a及びR17aが独立して、(C-C16)アルキル及び-SiR26a27a28aから選択されており、このR26a、R27a及びR28aが独立して、(C-C16)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アルキルアリールから選択されており、R21a及びR22aがそれぞれ独立して、(C-C16)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アルキルアリールから選択されており、R23aがそれぞれ独立して、水素及び(C-C)アルキルから選択されており、t及びvが、1、2及び3から独立して選択した整数であり、u及びwが、0、1及び2から独立して選択した整数であり、t+u=3であり、v+w=3であり、
【化6】
式中、R29及びR30がそれぞれ独立して、(C-C16)アルキル、(C-C18)アリール、(C-C18)アルキルアリール及びビニルから選択されており、x10が、1~6から選択した整数である前記ポリマーブレンド。
【請求項2】
式(1)、式(2)または式(11)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、成分(a)の前記変性(II)を行う、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項3】
式(1)または式(11)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、成分(b)の前記変性(ii)を行い、ただし、x及びrがそれぞれ、1及び2から選択されている、請求項1または2に記載のポリマーブレンド。
【請求項4】
前記重合開始剤が、n-BuLi、sec-BuLi、tert-BuLi、下に定義されているような下記の式(6)~式(10)によって表される化合物、またはこれらのルイス塩基付加物及び/またはこれらの混合物からなる群から選択されており、
【化7】
式中、R3aが独立して、-N(R28)R29、C-C18アルキル、C-C18アリール及び(C-C18)アラルキルから選択されており、R4aが独立して、-N(R30a)R31a、(C-C18)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アラルキルから選択されており、R及びRがそれぞれ独立して、水素、C-C18アルキル、C-C18アリール及びC-C18アラルキルから選択されており、Mが、リチウムであり、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24及びR25がそれぞれ独立して、水素、C-C18アルキル、C-C18アリール及びC-C18アラルキルから選択されており、R26、R27、R28、R29、R30a及びR31aがそれぞれ独立して、C-C18アルキル、C-C18アリール及びC-C18アラルキルから選択されており、qが、1、2、3、4及び5の整数から選択されており、rが、1、2及び3の整数から選択されており、a1’が、0または1の整数から選択されており、好ましくはa1’が、1であり、
【化8】
式中、R°がそれぞれ独立して、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-C10アルキルアリール及びC-C10アリールから選択されており、好ましくは独立して、C-Cアルキル、Cアルキルアリール及びCアリールから選択されており、R’が、任意に応じて置換されたメチレン基であり、R1bがそれぞれ独立して、C-C10アルキル、C-C10アルキルアリール及びC-C10アリールから選択されており、好ましくは独立して、C-Cアルキル及びC-C10アリールから選択されており、R2bがそれぞれ独立して、C-C10アルキル、C-C10アルキルアリール及びC-C10アリールから選択されており、好ましくは独立して、C-Cアルキル及びC-Cアルキルアリールから選択されており、前記R2b基が、互いに連結して、Si結合窒素原子とともに環を形成していてよく、R3b及びR4bがそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル及びビニルから選択されており、R5bがそれぞれ独立して、C-Cアルキル、C12アルキルアリール及びC-C12アリールから選択されており、好ましくは独立して、C-Cアルキル、Cアルキルアリール及びCアリールから選択されており、より好ましくは、独立して、C-Cアルキルから選択されており、R6bが、C-Cアルキル、フェニル及びベンジルから選択されており、Mが、リチウムであり、a≧1であり、b1≧0であり、a+b1≦10であり、m=0または1であり、n=0~12であり、x=0、1または2であり、y=1、2または3であり、z=0、1または2であり、x+y+z=3であるか、またはそのアミノシリル基のケイ素原子が、基R1’または単結合を介して、ベンゼン環に2回結合しているときには、x+y+z=2であり、ただし、m=1であるときには、n=1~12であり、m=0であるときには、n=0であり、x=1または2であり、前記アミノシリル基(複数可)が、前記2つのベンゼン環のいずれかに結合していてよく、複数のアミノシリル基が、互いに異なっていてよく、前記R5b基(複数可)が、前記2つのベンゼン環のいずれかに結合していてよく、
【化9】
式中、M1cがそれぞれ、リチウムであり、R1cがそれぞれ独立して、C-C100アルキル及びC-C100アルケニルから選択されており、任意に応じて、1つ以上のC-C12アリール基で置換されており、任意に応じて、共役ジエンモノマー及び芳香族ビニル化合物、特にブタジエン、イソプレン及びスチレンから選択した最大25個のモノマー単位によって、炭素原子Cに結合しており、R12cがそれぞれ独立して、水素、(C-C10)アルキル、(C-C12)アリール及び(C-C18)アルキルアリールから選択されており、Y1cがそれぞれ独立して、窒素原子、硫黄原子及びケイ素原子から選択されており、R3c、R4c及びR5cがそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、ジ(C-C)アルキルアミン(Y1cがケイ素原子であるときのみ)、(C-C18)アリール、(C-C18)アルキルアリール及びy1cがケイ素原子ではないときには、-SiR14c15c16cから選択されており、このR14c、R15c及びR16cがそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アルキルアリールから選択されており、n及びoがそれぞれ、0及び1から選択した整数であり、Y1c=Nであるときには、n+o=1であり、Y1c=Sであるときには、n=o=0であり、Y1c=Siであるときには、n+o=2であり、mが、0、1、2及び3から選択した整数であり、Kが、窒素及び>C-Hから選択されており、Eがそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、(C-C18)アリール、(C-C18)アルキルアリール及び-Y3c(R9c)(R10ct3(R11cu3から選択されており、このY3cが、窒素原子、硫黄原子及びケイ素原子から選択されており、R9c、R10c及びR11cがそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、ジ(C-C)アルキルアミン(Y3cがケイ素原子であるときのみ)、(C-C18)アリール、(C-C18)アルキルアリール及びY3cがケイ素原子でないときには、-SiR20c21c22cから選択されており、このR20c、R21c及びR22cがそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アルキルアリールから選択されており、t及びuはそれぞれ、0及び1から選択した整数であり、Y3c=Νであるときには、t+u=1であり、Y3c=Sであるときには、t=u=0であり、Y3c=Siであるときには、t+u=2であり、sが、0、1及び2から選択した整数であり、Fがそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、(C-C18)アリール、(C-C18)アルキルアリール及びY2c(R6c)(R7cq3(R8cr3から選択されており、このY2cが、窒素原子、硫黄原子及びケイ素原子から選択されており、R6c、R7c及びR8cがそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、ジ(C-C)アルキルアミン(Y2cがケイ素原子であるときのみ)、(C-C18)アリール、(C-C18)アルキルアリール及びY2cがケイ素原子ではないときには、-SiR17c18c19cから選択されており、このR17c、R18c及びR19cがそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アルキルアリールから選択されており、q及びrはそれぞれ、0及び1から選択した整数であり、Y2c=Nであるときには、q+r=1であり、Y2c=Sであるときには、q=q=r=0であり、Y2c=Siであるときには、q+r=2であり、pが、0、1、2及び3から選択した整数であり、
【化10】
式中、R31がそれぞれ独立して、水素、(C-C10)アルキル、(C-C12)アリール及び(C-C18)アラルキルから選択されており、R32、R33及びR34がそれぞれ独立して、水素、(C-C18)アルキル及び(C-C18)アルコキシから選択されており、R41がそれぞれ独立して、(C-C100)アルキル及び(C-C100)アルケニルから選択されており、R41がそれぞれ、任意に応じて、1~3個の(C-C12)アリール基で置換されており、任意に応じて、共役ジエン、特に1,3-ブタジエン及びイソプレンと、芳香族ビニル化合物、特にスチレン及びジビニルベンゼンから選択した最大25個のモノマー単位で構成されたオリゴマー鎖を介して、式(10の骨格に結合しており、Mが、リチウムであり、k、l及びqが、0、1、2及び3から独立して選択した整数である、先行請求項のいずれかに記載のポリマーブレンド。
【請求項5】
(5.a)前記共役ジエンモノマーが、1,3-ブタジエン、2-アルキル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、2-メチル-2,4-ペンタジエン、シクロペンタジエン、2,4-ヘキサジエン及び/または1,3-シクロオクタジエンから選択されており、好ましくは1,3-ブタジエン及び/または2-メチル-1,3-ブタジエンであり、及び/または
(5.b)前記α-オレフィンモノマーが、スチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、α-メチルスチレン、スチルベン、2,4-ジイソプロピルスチレン、4-tert-ブチルスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4-ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノエチルスチレン、N,N-ビス-(トリアルキルシリル)アミノスチレン、tert-ブトキシスチレン、ビニルピリジン、ジビニルベンゼン、下記の式(4)もしくは式(5)のビニルシラン化合物、及び/またはこれらの混合物から選択されており、好ましくはスチレン、α-メチルスチレン及び/またはジビニルベンゼンであり、
【化11】
式中、Rが独立して、C-C18ヒドロカルビルから選択されており、R”が、C-Cヒドロカルビルから選択されており、R、R及びRが独立して、水素、メチル、エチル及びビニルから選択されており、x4及びy4が独立して、1及び2から選択した整数であり、z4が、0及び1から選択した整数であり、x4+y4+z4=3であり、R’が独立して、C-C12アルキル、C-C12アルケニル、C-C18アリール、C-C18アルキルアリール及びトリ(C-Cアルキル、C-C12アリールまたはC-C18(アルキルアリール)シリルから選択されており、2つのR’基が、結合して、環を形成していてもよく、前記環が、Si結合窒素原子に加えて、酸素原子、窒素原子、>N(C-Cアルキル)基及び硫黄原子のうちの1つ以上を含んでもよく、1つのR’が、-Si(CR=CR)(OSiRy4(R”)z4であってよく、このR、R、R、R、R”、y4及びz4が独立して、上で定義したとおりであり、y4+z4=2であり、
(A)-Bn1 式(5)
式中、Aが、少なくとも2つのアミノ基を持つ有機基であり、Bがそれぞれ独立して、-Si(R51)(R52)(R53)という基から選択されており、このR51、R52及びR53がそれぞれ独立して、ビニル、ブタジエニル、メチル、エチル、プロピル、ブチル及びフェニルから選択されており、ただし、R51、R52及びR53のうちの少なくとも1つが、ビニル及びブタジエニルから選択されており、基Bがそれぞれ、基Aのアミノ基の置換基であり、基Aのアミノ基の少なくとも2つがそれぞれ、少なくとも1つの基Bで置換されており、nが、少なくとも2の整数であり、好ましくは、2~6から選択した整数であり、基Aのすべてのアミノ基が、3級アミノ基であり、または、
(5.c)工程(I)で得た前記第1のエラストマー性ポリマー(a)が、スチレン-ブタジエン-ポリマーであり、及び/または
(5.d)工程(i)で得た前記第2のポリマー(b)が、エラストマー性ポリマーであり、好ましくはブタジエン-ポリマーまたはスチレン-ブタジエン-ポリマーである、
先行請求項のいずれかに記載のポリマーブレンド。
【請求項6】
(6.a)式(1)において、R***がそれぞれ独立して、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチルもしくはtert-ブチルから選択されており、R**がそれぞれ独立して、C-Cアルキル、C-C12アリールもしくC-C10アラルキルから選択されており、Aが、-(CH-であり、このNが、1、2、3、4、5もしく6から選択した整数であり、及び/または
(6.b)式(2)において、Mが、ケイ素原子であり、Rが、2価であり、(C-C16)アルキルであり、Xが、-OR5*であり、このR5*が、(C-C)アルキルから選択されており、R、R及びRが独立して、(C-C)アルキルから選択されており、s2’及びt2’がそれぞれ2であり、u2’が0であり、x2’が2であり、y2’が1であり、ならびに/または
(6.c)式(3)において、R及びRIIがそれぞれ独立して、C-Cアルコキシであり、RIVが、C-Cアルキルから選択されており、Eが、式(3a)の基である、
先行請求項のいずれかに記載のポリマーブレンド。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のポリマーブレンドを含むポリマー組成物。
【請求項8】
1つ以上のフィラーと、任意に応じて1つ以上の加硫剤とをさらに含む、請求項7に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
さらに、1つ以上の伸展油を、前記ポリマー組成物中の前記高分子ポリマー成分の総重量に対して最大13重量パーセント含む、請求項7または8に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
架橋エラストマー性ポリマーの調製方法であって、
(1)請求項1~6のいずれかに記載のポリマーブレンドまたは請求項7に記載のポリマー組成物を用意する工程と、
(2)1つ以上のフィラーと、任意に応じて1つ以上のシランカップリング剤を加え、前記混合物を混ぜ合わせることと、
(3)工程(2)の混合物に、1つ以上の加硫剤と、任意に応じて1つ以上の加硫促進剤とを加え、前記混合物を架橋することと、
を含む前記方法。
【請求項11】
請求項10に従って得られる架橋エラストマー性ポリマー。
【請求項12】
請求項7~9のいずれかに記載のポリマー組成物または請求項11に記載の架橋エラストマー性ポリマーを含む物品。
【請求項13】
タイヤ、タイヤトレッド、タイヤサイドウォール、コンベヤーベルト、シールまたはホースである、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
タイヤ、タイヤトレッドまたはタイヤサイドウォールの製造に、(I.1)請求項1~5のいずれかに記載のポリマーブレンド、(I.2)請求項6~9のいずれかに記載のポリマー組成物または(I.3)請求項11に記載の架橋エラストマー性ポリマーを使用すること。
【請求項15】
(II.1)請求項1~6のいずれかに記載のポリマーブレンドまたは(II.2)請求項7~9のいずれかに記載のポリマー組成物を含むポリマーキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)高分子量の第1のエラストマー性ポリマー60~96重量パーセントと、(b)低分子量の第2のポリマー4~35重量パーセントと、任意に応じて(c)1つ以上の伸展油0~13重量パーセントとからなるポリマーブレンドに関する。より具体的には、この第1のエラストマー性ポリマー、すなわち成分(a)は、請求項1と下記に定められているように、(I)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、任意に応じて1つ以上のα-オレフィンモノマーとをアニオン重合することと、任意に応じて(II)少なくとも1つの変性化合物を加えて反応させることによって、(I)で得たポリマー鎖末端を変性させることとによって得られる。同様に、第2のポリマー、すなわち成分(b)は、請求項1と下記に定められているように、(i)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、(i-1)少なくとも1つの共役ジエンモノマー、(i-2)少なくとも1つの共役ジエンモノマーと1つ以上のα-オレフィンモノマーまたは(i-3)少なくとも1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合することと、(ii)少なくとも1つの変性化合物を加えて反応させることによって、(i)で得たポリマー鎖末端を変性させることとによって得られる。
【0002】
本発明は、前記ポリマーブレンドを含むポリマー組成物にも関する。別の実施形態では、本発明は、架橋エラストマー性ポリマーの調製方法であって、(1)前記ポリマーブレンドまたは前記ポリマー組成物を用意することと、(2)1つ以上のフィラーと、任意に応じて少なくとも1つ以上のシランカップリング剤とを加え、前記混合物を反応させることと、(3)工程(2)の混合物に、1つ以上の加硫剤と、任意に応じて1つ以上の加硫促進剤と、を加え、前記混合物を架橋することとを含む前記方法に関する。さらに、本発明は、前記方法によって得られる架橋エラストマー性ポリマーと、前記ポリマー組成物または前記架橋エラストマー性ポリマーのいずれかを含む物品とに関する。加えて、タイヤ、タイヤトレッドまたはタイヤサイドウォールの製造に、前記ポリマーブレンド、前記ポリマー組成物または前記架橋エラストマー性ポリマーを用いることと、前記ポリマーブレンドまたは前記ポリマー組成物を含むポリマーキットについて説明する。
【背景技術】
【0003】
近年、自動車産業向けのタイヤの製造用に、タイヤの性能を向上させることができるポリマー組成物を提供することに対する需要が増大している。特に、環境面、すなわち、タイヤの転がり抵抗を低減させることによる燃料消費量及び/または二酸化炭素排出量の削減と、安全面、すなわち、タイヤのグリップ性能及び耐摩耗性を向上させることによる操縦安定性の向上が、さらに重要になった。
【0004】
タイヤを製造するための典型的なゴム配合物は、高分子量の芳香族ビニル-共役ジエンコポリマー(スチレンブタジエンゴム(SBR)など)を含み、このコポリマーを、シリカフィラー及び加硫剤のようないくつかの添加剤と配合した後、加硫(架橋)すると、用いる高分子量のSBR成分により、転がり抵抗が低下したタイヤ製品が得られる。転がり抵抗が改善した(低下した)タイヤをもたらすことは有益であるが、分子量の高い芳香族ビニル-共役ジエンコポリマーを使用することと、この使用のために、高い粘度を伴うことにより、さらなる加工工程、すなわち、対応するポリマー配合物を混ぜ合わせる際と加硫(架橋)する際の加工性の利点が低下する。
【0005】
したがって、高分子量の芳香族ビニル-共役ジエンコポリマーは典型的には、そのコポリマーの粘度を低下させて、後で、ゴム配合物を混ぜ合わせる工程及び/または架橋(加硫)する工程におけるコポリマーの良好な混合、混入及び分布を確保するために、低分子量の伸展油で伸展する。典型的な伸展油(または軟化剤)は、例えば、DAE(留出物芳香族系抽出物)、TDAE(処理留出物芳香族系抽出物)、MES(軽度抽出溶媒和物)、RAE(残留物芳香族系抽出物)及びナフテン系油のような鉱油及び処理鉱油である。しかしながら、標準的な低分子量伸展油で芳香族ビニル-共役ジエンコポリマーを伸展することに伴う欠点が存在する。
【0006】
一般的な伸展油の分子量は、比較的低く、例えば、TDAEでは約450g/mol(ポリスチレン換算の値に変換したもの)であり、上述のように、後で行われる混ぜ合わせ工程と加硫工程における高分子量芳香族ビニル-共役ジエンコポリマーの加工性を向上させる際には、対応する最終タイヤ製品における「揮発性有機化合物」(本明細書ではVOCと略称する)の量の大幅な増加が伴う。このVOC排出量は、高温でタイヤを使用する際に特に問題になる。
【0007】
別の欠点は、これらの伸展油のガラス温度と相溶性が大体一定であり、変えられない点である。すなわち、芳香族ビニル-共役ジエンコポリマーを配合するときに、伸展油の相溶性と、後で保管中に加硫物表面に伸展油がブルームすることは、考慮すべき関連要因である。加えて、加硫物(すなわち、加硫後の架橋ゴム配合物)の性能及び用途分野(典型的にはガラス転移温度に左右される)は、芳香族ビニル-共役ジエンコポリマーの具体的な組成の変更によってのみ調節できる。しかしながら、芳香族ビニル-共役ジエンコポリマーのガラス転移温度が上昇すると、グリップ性能が向上し、転がり抵抗が高くなることによって、燃料消費量と二酸化炭素排出量が増大する。一方、芳香族ビニル-共役ジエンコポリマーのガラス転移温度が低下すると、得られるタイヤの転がり抵抗が改善され、燃料消費量が低下するが、残念ながら、ウェットグリップ性能の低下にもつながる。
【0008】
一般的な低分子量伸展油を用いることの別の欠点は、これらの伸展油の大半が、黄色から濃茶色の範囲で激しく着色される点である。このため、特に、次の製造サイクルに非油展ポリマーグレードを予定している場合には、ポリマーグレードを変更する前に、製造プラントの強力な洗浄を行う必要がある。しかしながら、このような洗浄手順には、時間とコストがかかる。
【0009】
さらに、低分子量の一般的な伸展油で、高分子量芳香族ビニル-共役ジエンコポリマーを伸展すると、機械的特性、具体的には、モジュラス、硬度対ハンドリング性能(60℃におけるE’)の利点が低下し、摩耗減量が増加し、高温における反発弾性が低下する(これらは、転がり抵抗の低下に相当する)。
【0010】
したがって、先行技術で適用されているような一般的な伸展油の好適な代替物として、またはこの一般的な伸展油に加えて、代替的な伸展剤成分を供給することによって、許容可能な加工性を有するかまたは加工性が向上していると同時に、VOC排出量が低減されるとともに、低発熱性、高温における高反発性及び60℃における小さいtanδによって表される低ヒステリシスロス、ならびに特に300%伸長時におけるモジュラスの向上及び得られるタイヤ製品における高い耐摩耗性によって表される高い補強性など、架橋ポリマー配合物の動的特性と、補強性とのバランスが向上することによって特徴付けられる架橋(加硫)ポリマー配合物を提供可能にすることに対する要求がある。これらのニーズは、下記の本発明によって満たされている。
【発明の概要】
【0011】
したがって、第1の態様では、本発明は、(a)第1のエラストマー性ポリマー60~96重量パーセントと、(b)第2のポリマー4~35重量パーセントと、任意に応じて(c)1つ以上の伸展油0~13重量パーセントとからなるポリマーブレンドであって、その第1のエラストマー性ポリマーが、(I)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、任意に応じて1つ以上のα-オレフィンモノマーとをアニオン重合し、任意に応じて、(II)請求項1と下記に定められているような少なくとも1つの変性化合物を加えて反応させることによって、(I)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、第2のポリマーが、(i)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、(i-1)少なくとも1つの共役ジエンモノマー、(i-2)少なくとも1つの共役ジエンモノマーと1つ以上のα-オレフィンモノマー、または(i-3)少なくとも1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合し、(ii)請求項1に定められているような式(1)、式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(i)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、ただし、対応する式中、x、x1′、r、t及びvがそれぞれ、1及び2から選択されており、第1のエラストマー性ポリマー(a)の数平均分子量(M)が400,000~2,000,000g/molであり、重量平均分子量(M)が500,000~3,000,000g/molであり、第2のポリマー(b)の数平均分子量(M)が500~80,000g/molであり、重量平均分子量(M)が500~100,000g/molであり、成分(a)、(b)及び(c)の上記の量が、ポリマーブレンドの総重量ベースであるポリマーブレンドに関する。
【0012】
重合開始剤は、n-BuLi、sec-BuLi、tert-BuLi、請求項4に定められているような式(6)~式(10)によって表される化合物、またはこれらのルイス塩基付加物及び/またはこれらの混合物からなる群から選択してよい。
【0013】
成分(b)、すなわち第2のポリマーは、エラストマー性ポリマー、好ましくはスチレン-ブタジエン-ポリマーまたはブタジエン-ポリマーであってよい。
【0014】
少なくとも1つの共役ジエンモノマーは、1,3-ブタジエン、2-アルキル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、2-メチル-2,4-ペンタジエン、シクロペンタジエン、2,4-ヘキサジエン及び/または1,3-シクロオクタジエンから選択してよい。好ましい共役ジエンモノマーは、ブタジエン及び/またはイソプレンである。
【0015】
少なくとも1つのα-オレフィンモノマーは、スチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、α-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、α-メチルスチレン、スチルベン、2,4-ジイソプロピルスチレン、4-tert-ブチルスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4-ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノエチルスチレン、tert-ブトキシスチレン、ビニルピリジン、ジビニルベンゼン、請求項5に定められているような式(4)もしくは式(5)のビニルシラン化合物、及び/またはこれらの混合物から選択してよい。好ましいα-オレフィンモノマーは、スチレン、ジビニルベンゼン、ならびに式(4)及び(5)のビニルシラン化合物である。
【0016】
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様のポリマーブレンドを含むポリマー組成物を提供する。
【0017】
本発明のポリマー組成物は、1つ以上のフィラーと、任意に応じて1つ以上の加硫剤(または架橋剤)も含んでよい。加えて、本発明のポリマー組成物は、1つ以上の伸展油を、そのポリマー組成物の総重量に対して最大10重量パーセント含んでもよい。
【0018】
第3の態様では、本発明は、架橋エラストマー性ポリマーの調製方法であって、(1)本発明の第1の態様のポリマーブレンドまたは本発明の第2の態様のポリマー組成物を用意する工程と、(2)1つ以上のフィラーと、任意に応じて1つ以上のシランカップリング剤とを加えて、前記混合物を混ぜ合わせる工程と、(3)1つ以上の加硫剤と、任意に応じて1つ以上の加硫促進剤を工程(2)の混合物に加えて、前記混合物を架橋する工程とを含む前記方法を提供する。
【0019】
第4の態様では、本発明は、本発明の第3の態様に従って得られる架橋エラストマー性ポリマーを提供する。
【0020】
第5の態様では、本発明は、本発明の第2の態様によるポリマー組成物または本発明の第4の態様による架橋エラストマー性ポリマーを含む物品を提供する。
【0021】
本発明による前記物品は、タイヤ、タイヤトレッド、タイヤサイドウォール、コンベヤーベルト、シールまたはホースであってよい。
【0022】
第6の態様では、本発明は、タイヤトレッドまたはタイヤサイドウォールの製造に、(I.1)本発明の第1の態様によるポリマーブレンド、(I.2)本発明の第2の態様によるポリマー組成物または(I.3)本発明の第4の態様による架橋エラストマー性ポリマーを用いることに関する。
【0023】
第7の態様では、本発明は、(II.1)本発明の第1の態様によるポリマーブレンドまたは(II.2)本発明の第2の態様によるポリマー組成物を含むポリマーキットに関する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ポリマーブレンド
本発明の第1の態様によるポリマーブレンドは、下記の成分のみからなる。
【0025】
成分(a)-高分子量の第1のエラストマー性ポリマー
第1の実施形態では、請求項1に定められているようなポリマーブレンドの成分(a)は、(I)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、任意に応じて1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合することによって得られる高分子量の第1のエラストマー性ポリマーである。
【0026】
代替的な実施形態では、請求項1に定められているようなポリマーブレンドの成分(a)は、(I)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、任意に応じて1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合して、(II)下に定められているような式(1)、式(2)及び/または式(3)のいずれかによって表される変性化合物を加えて反応させることによって、(I)で得たポリマー鎖を変性させる(または官能化する)ことによって得られる高分子量の第1のエラストマー性ポリマーである。
【0027】
このアニオン重合反応と変性反応における具体的なモノマー(複数可)と条件は、該当する場合、以下でさらに詳細に説明されている。
【0028】
下記の具体的な開示に加えて、重合技法に関する一般に適用可能な手引きは、重合開始剤化合物、極性調整剤化合物及び促進剤(開始剤の反応性を向上/変化させるためのもの、芳香族ビニルモノマーをランダム状に配置するためのもの、ならびに/または、ポリマーに導入する1,2-ポリブタジエン、1,2-ポリイソプレンもしくは3,4-ポリイソプレン単位をランダム状に配置し、及び/またはそれらの単位の濃度を変化させるためのもの)と、各化合物の量と、好適なモノマー(複数可)と、好適なプロセス条件を含め、WO2009/148932に記載されており、この特許は、参照により、全体が本明細書に援用される。
【0029】
共役ジエンモノマー
代表的な共役ジエンモノマーとしては、1,3-ブタジエン、2-アルキル-1,3-ブタジエン、イソプレン(2-メチル-1,3-ブタジエン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、2-メチル-2,4-ペンタジエン、シクロペンタジエン、2,4-ヘキサジエン、1,3-シクロオクタジエン及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限らない。好ましい共役ジエンモノマーとしては、1,3-ブタジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限らない。
【0030】
α-オレフィンモノマー
成分(a)の重合の際には、少なくとも1つの共役ジエンモノマーに加えて、1つ以上のα-オレフィンモノマーを任意に応じて提供してよい。α-オレフィンモノマーの好適な例としては、スチレン及びその誘導体(2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、α-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、α-メチルスチレンのようなC1-4アルキル置換スチレン、スチルベン、2,4-ジイソプロピルスチレン、4-tert-ブチルスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4-ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノエチルスチレン、N,N-ビス-(トリアルキルシリル)アミノスチレン、tert-ブトキシスチレンが挙げられるが、これらに限らない)、ビニルピリジン、ジビニルベンゼン(1,2-ジビニルベンゼン、1,3-ジビニルベンゼン及び1,4-ジビニルベンゼンを含む)、下に定められているような式(4)のビニルシラン化合物もしくは式(5)のマルチビニルアミノシラン化合物、ならびに/またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限らず、
【化1】
式中、Rは独立して、C-C18ヒドロカルビルから選択されており、R”は、C-Cヒドロカルビルから選択されており、R、R及びRは独立して、水素、メチル、エチル及びビニルから選択されており、x及びyは独立して、1及び2から選択した整数であり、zは、0及び1から選択した整数であり、x+y+z=3であり、R’は独立して、C-C12アルキル、C-C12アルケニル、C-C18アリール、C-C18アルキルアリール及びトリ(C-Cアルキル)、C-C12アリールまたはC-C18(アルキルアリール)シリルから選択されており、2つのR’基が結合して環を形成していてよく、この環は、Si結合窒素原子に加えて、酸素原子、窒素原子、>N(C-Cアルキル)基及び硫黄原子のうちの1つ以上を含んでよく、1つのR’は、-Si(CR=CR)(OSi(R)3)y4(R”)z4であってよく、このR、R、R、R、R”、y及びzは独立して、上で定義したとおりであり、y+z=2である。
【0031】
式(4)のビニルシラン化合物の好ましい実施形態では、変数と置換基は、下記の値を取る。
【0032】
a)(Rは、(メチル,メチル,t-ブチル)、(フェニル,フェニル,フェニル)、(t-ブチル,フェニル,フェニル)または(ヘキシル,ヘキシル,ヘキシル)であり、R’は独立して、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル及びベンジル(メチル基を介して結合している)から選択されているか、または-NR’R’が、モルホリン基、ピロリジン基、ピペリジン基もしくはオキサゾリジン基を形成しており、R”は、メチルであり、R、R及びRはそれぞれ、水素であり、x=y=z=1である。
【0033】
b)(Rは、(メチル,メチル,t-ブチル)または(ヘキシル,ヘキシル,ヘキシル)であり、R’は独立して、メチル及びエチルから選択されているか、または-NR’R’が、モルホリン基、ピロリジン基、ピペリジン基もしくはオキサゾリジン基を形成しており、R”は、メチルであり、R、R及びRはそれぞれ、水素であり、x=2、y=1及びz=0である。
【0034】
c)(Rは、(メチル,メチル,t-ブチル)または(ヘキシル,ヘキシル,ヘキシル)であり、R’は独立して、メチル及びエチルから選択されているか、または-NR’R’が、モルホリン基、ピロリジン基、ピペリジン基もしくはオキサゾリジン基を形成しており、R”は、メチルであり、R及びRはそれぞれ、水素であり、Rは、ビニルであり、x=y=z=1である。
【0035】
式(4)のビニルシラン化合物の好ましい実施形態は、(tert-ブチルジメチルシロキシ)メチル-4-モルホリノ(ビニル)シラン、(tert-ブチルジメチルシロキシ)(ジメチルアミノ)メチル(ビニル)シラン、(tert-ブチルジメチルシロキシ)(ジエチルアミノ)メチル(ビニル)シラン及び/または(tert-ブチルジメチルシロキシ)(ジブチルアミノ)-メチル(ビニル)シランである。
【0036】
別の好ましい実施形態では、式(4)のビニルシラン化合物は、下に定義されているような式(4a)によって表される。
【化2】
式中、Rは独立して、C-Cアルキル、C-C12アリール及びC-C18アルキルアリールから選択されており、残りの基と変数は、式(4)に関して定義されているとおりである。
【0037】
式(4a)のビニルシラン化合物の好ましい実施形態は、(tert-ブチルジメチルシロキシ)[(トリメチルシリル)-プロピルアミノ]メチル(ビニル)シラン(tert-ブチルジメチルシロキシ)-[(トリメチルシリル)メチルアミノ]メチル(ビニル)シラン、(tert-ブチルジメチルシロキシ)[(トリメチルシリル)エチルアミノ]メチル(ビニル)シラン、(tert-ブチルジメチルシロキシ)[(トリメチルシリル)-ブチルアミノ]メチル(ビニル)シラン、(tert-ブチルジメチルシロキシ)-[(ジメチルフェニルシリル)プロピルアミノ]メチル(ビニル)シラン、(tert-ブチルジメチルシロキシ)[(ジメチルフェニルシリル)エチルアミノ]メチル(ビニル)シラン及び(tert-ブチルジメチルシロキシ)[(ジメチル-フェニルシリル)メチルアミノ]メチル(ビニル)シランである。
【0038】
上記のようなビニルシラン化合物は、台湾(R.O.C.)特許出願番号第103128797号にさらに詳細に開示されており、この特許出願は、参照により、その全体が援用される。
【0039】
式(5)のマルチビニルアミノシラン化合物は、下記のように定義される。
(A)-Bn 式(5)
式中、Aは、少なくとも2つのアミノ基を持つ有機基であり、Bはそれぞれ独立して、-Si(R51)(R52)(R53)という基から選択されており、このR51、R52及びR53はそれぞれ独立して、ビニル、ブタジエニル、メチル、エチル、プロピル、ブチル及びフェニルから選択されており、ただし、R51、R52及びR53のうちの少なくとも1つは、ビニル及びブタジエニルから選択されており、基Bはそれぞれ、基Aのアミノ基の置換基であり、基Aの少なくとも2つのアミノ基はそれぞれ、少なくとも1つの基Bで置換されており、nは、少なくとも2の整数であり、好ましくは2~6から選択した整数であり、基Aのすべてのアミノ基は、3級アミノ基である。
【0040】
式(5)のマルチビニルアミノシランは、少なくとも1つのエチレン性不飽和シリル基Bで置換された少なくとも2つのアミノ基を有する。「基Bは、アミノ基の置換基である」または「基Bで置換されたアミノ基」という表現は、本明細書では、基Bがアミノ基の窒素原子に結合していること、すなわち>N-Si(R51)(R52)(R53)を説明する目的で使用する。基Aのアミノ基は、0個、1個または2個の基Bで置換されていてよい。基Aのすべてのアミノ基は、3級アミノ基、すなわち、水素原子を持たないアミノ基である。有機基Aは好ましくは、重合水素を持たない基である。「重合水素」という表現は、本発明の関連では、不活性でない水素原子、すなわち、ブタジエンまたはイソプレンのような共役ジエンのアニオン重合において反応することになる水素原子を指す目的で使用する。有機基Aは好ましくは、求電子基を持たない基でもある。「求電子基」という表現は、本発明の関連では、ブタジエンまたはイソプレンのような共役ジエンのアニオン重合において、モデル開始剤としてのn-ブチルリチウムと、及び/またはリビング鎖と反応することになる基を指す目的で使用する。求電子基としては、アルキン、(カルボ)カチオン、ハロゲン原子、Si-O、Si-S、Si-ハロゲン基、金属-C-基、ニトリル、(チオ)-カルボキシレート、(チオ)カルボン酸エステル、(チオ)無水物、(チオ)ケトン、(チオ)アルデヒド、(チオ)シアネート、(チオ)-イソシアネート、アルコール、チオール、(チオ)サルフェート、スルホネート、スルファメート、スルホン、スルホキシド、イミン、チオケタール、チオアセタール、オキシム、カルバゾン、カルボジイミド、尿素、ウレタン、ジアゾニウム塩、カルバメート、アミド、ニトロン、ニトロ基、ニトロソアミン、キサントゲネート、ホスファン、フォスフェート、ホスフィン、ホスホネート、ボロン酸、ボロン酸エステルなどが挙げられる。
【0041】
より好ましくは、有機基Aは、重合水素も求電子基も持たない基である。
【0042】
好ましい実施形態では、式(5)のマルチビニルアミノシランは、下記の化合物から選択されている。
【化3】
式中、Rはそれぞれ独立して、B及びC-Cアルキルまたはベンジルから選択されており、基Bに関しては、式(5)と同じ制限及び条件が適用される。
【化4】
式中、Rは、C-Cアルキル基であり、基Bに関しては、式(5)と同じ制限及び条件が適用される。
【化5】
【化6】
式中、基Bに関しては、式(5)と同じ制限及び条件が適用される。
【化7】
式中、Rはそれぞれ独立して、B、C-Cアルキル及びフェニルから選択されており、基Bに関しては、式(5)と同じ制限及び条件が適用される。
【0043】
最も好ましくは、スチレン、α-メチルスチレン及び/またはジビニルベンゼン(1,2-ジビニルベンゼン、1,3-ジビニルベンゼン及び1,4-ジビニルベンゼンを含む)を、請求項1に定められているような少なくとも1つのα-オレフィンモノマーとして用いる。
【0044】
温度
典型的には、上記のような、モノマー、すなわち少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、任意に応じて1つ以上のα-オレフィンモノマーの重合は、0℃を超える温度で行う。好ましい実施形態では、この重合の温度は、20℃~110℃の範囲、より好ましくは30℃~95℃の範囲である。
【0045】
溶媒
本発明の重合反応には、有機溶媒を好適に用いることができる。一実施形態では、重合溶媒は、非極性芳香族溶媒及び非芳香族溶媒(ブタン、ブテン、ペンタン、シクロヘキサン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン及びオクタンが挙げられるが、これらに限らない)から選択されている。好ましい実施形態では、この溶媒は、ブタン、ブテン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、トルエンまたはこれらの混合物から選択されいる。
【0046】
モノマーの固形分
好ましくは、重合させるモノマーの固形分は、モノマーと溶媒の総重量に対して5~35重量パーセント、より好ましくは10~30重量パーセント、最も好ましくは15~25重量パーセントである。「モノマーの全固形分」(本明細書ではTSCと略称する)、「モノマーの固形分」という用語または類似の用語は、本明細書で使用する場合、溶媒とモノマー(例えば1,3-ブタジエン及びスチレン)の総重量に対する、モノマーの総質量(または重量)の割合を指す。
【0047】
重合開始剤
重合開始剤は好適には、アルキルリチウム化合物(エチルリチウム、プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、フェニルリチウム、ヘキシルリチウムなど)、1,4-ジリチオ-n-ブタン、下記の式(6)~式(10)によって表される化合物またはこれらのルイス塩基付加物である。これらの重合開始剤の混合物を用いてもよい。
【化8】
式中、R3aは独立して、-N(R28)R29、C-C18アルキル、C-C18アリール及び(C-C18)アラルキルから選択されており、R4aは独立して、-N(R30a)R31a、(C-C18)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アラルキルから選択されており、R及びRはそれぞれ独立して、水素、C-C18アルキル、C-C18アリール及びC-C18アラルキルから選択されており、Mは、リチウムであり、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24及びR25はそれぞれ独立して、水素、C-C18アルキル、C-C18アリール及びC-C18アラルキルから選択されており、R26、R27、R28、R29、R30a及びR31aはそれぞれ独立して、C-C18アルキル、C-C18アリール及びC-C18アラルキルから選択されており、qは、1、2、3、4及び5の整数から選択されており、rは、1、2及び3の整数から選択されており、a1’は、0または1の整数から選択されている。
【0048】
好ましい実施形態では、R3a、R4a、R22、R23、R24、R25、R26及びR27はそれぞれ独立して、(C-C18)アルキルから選択されており、R、R、R18、R19、R20及びR21はそれぞれ独立して、水素及び(C-C18)アルキルから選択されており、R12、R13、R14、R15、R16及びR17はそれぞれ独立して、水素及び(C-C)アルキルから選択されており、残りの基と変数は、上記の式(6)及び式(7)で定義されているとおりである。
【0049】
式(6)及び(7)の有用なアミノシラン重合開始剤としては、以下、
【化9】
またはこれらのルイス塩基付加物及び/もしくはこれらの混合物が挙げられる。上記のようなアミノシラン重合開始剤は、WO2014/040640にさらに詳細に開示されており、この特許は、参照により、その全体が援用される。
【0050】
あるいは、式(8)によって表される化合物を重合開始剤として用いてよい。
【化10】
式中、R°はそれぞれ独立して、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-C10アルキルアリール及びC-C10アリールから選択されており、好ましくは、独立して、C-Cアルキル、Cアルキルアリール及びCアリールから選択されており、R1’は、任意に応じて置換されたメチレン基であり、R1bはそれぞれ独立して、C-C10アルキル、C-C10アルキルアリール及びC-C10アリールから選択されており、好ましくは、独立して、C-Cアルキル及びC-C10アリールから選択されており、R2bはそれぞれ独立して、C-C10アルキル、C-C10アルキルアリール及びC-C10アリールから選択されており、好ましくは、独立して、C-Cアルキル及びC-Cアルキルアリールから選択されており、R2b基は、互いに連結して、Si結合窒素原子とともに環を形成していてもよく、R3b及びR4bはそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル及びビニルから選択されており、R5bはそれぞれ独立して、C-Cアルキル、C-C12アルキルアリール及びC-C12アリールから選択されており、好ましくは、独立して、C-Cアルキル、C-アルキルアリール及びC-アリールから選択されており、より好ましくは、独立して、C-Cアルキルから選択されており、R6bは、C-Cアルキル、フェニル及びベンジルから選択されており、Mは、リチウムであり、a≧1であり、b1≧0であり、a+b1≦10であり、m=0または1であり、n=0~12であり、x=0、1または2であり、y=1、2または3であり、z=0、1または2であり、x+y+z=3であるか、またはアミノシリル基のケイ素原子が、基R1’または単結合を介して、ベンゼン環に2回結合しているときには、x+y+z=2であり、ただし、m=1であるときには、n=1~12であり、m=0であるときには、n=0及びx=1または2であり、アミノシリル基(複数可)は、2つのベンゼン環のいずれかに結合していてよく、複数のアミノシリル基は、互いに異なっていてよく、R5b基(複数可)は、2つのベンゼン環のいずれかに結合していてよい。
【0051】
好ましい実施形態では、R°はそれぞれ独立して、C-Cアルキル及びCアリールから選択されており、R1bはそれぞれ独立して、C-Cアルキル及びCアリールから選択されており、R2bはそれぞれ独立して、C-Cアルキル及びC-C10アルキルアリールから選択されており、R3b及びR4bはそれぞれ、水素であり、R5bはそれぞれ独立して、C-Cアルキルから選択されており、R6bは、メチル、エチル、tert-ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、フェニル及びベンジルから選択されており、a=1または2であり、b=0または1であり、m=0であり、R1’は、メチレンであり、n=1、2または3であり、x=0または1であり、y=1または2であり、z=0または1であり、残りの基と変数は、上記の式(8)で定義したとおりである。
【0052】
上記のような式(8)の重合開始剤の調製は、PCT/EP2014/065027にさらに詳細に開示されており、この特許は、参照により、その全体が援用される。
【0053】
あるいは、式(9)の化合物を重合開始剤として用いてもよい。
【化11】
式中、M1cはそれぞれ、リチウムであり、R1cはそれぞれ独立して、C-C100アルキル及びC-C100アルケニルから選択されており、任意に応じて、1つ以上のC-C12アリール基で置換されており、任意に応じて、共役ジエンモノマー及び芳香族ビニル化合物、特にブタジエン、イソプレン及びスチレンから選択した最大25個のモノマー単位によって、炭素原子Cに結合されており、R12cはそれぞれ独立して、水素、(C-C10)アルキル、(C-C12)アリール及び(C-C18)アルキルアリールから選択されており、Y1cはそれぞれ独立して、窒素原子、硫黄原子及びケイ素原子から選択されており、R3c、R4c及びR5cはそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、ジ(C-C)アルキルアミン(Y1cがケイ素原子であるときのみ)、(C-C18)アリール、(C-C18)アルキルアリール、及びY1cがケイ素原子ではないときには-SiR14c15c16cから選択されており、このR14C、R15c及びR16cはそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アルキルアリールから選択されており、n及びoはそれぞれ、0及び1から選択した整数であり、Y1c=Nであるときには、n+o=1であり、Y1c=Sであるときには、n=o=0であり、Y1c=Siであるときには、n+o=2であり、mは、0、1、2及び3から選択した整数であり、Kは、窒素及び>C-Hから選択されており、Eはそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、(C-C18)アリール、(C-C18)アルキルアリール及び-Y3c(R9c)(R10ct3(R11cu3から選択されており、このY3cは、窒素原子、硫黄原子及びケイ素原子から選択されており、R9c、R10c及びR11cはそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、ジ(C-C)アルキルアミン(Y3cがケイ素原子であるときのみ)、(C-C18)アリール、(C-C18)アルキルアリール、及びY3cがケイ素原子ではないときには-SiR20c21c22cから選択されており、このR20c、R21c及びR22cはそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アルキルアリールから選択されており、t及びuはそれぞれ、0及び1から選択した整数であり、Y3c=Nであるときには、t+u=1であり、Y3c=Sであるときには、t=u=0であり、Y3c=Siであるときには、t+u=2であり、sは、0、1及び2から選択した整数であり、Fはそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、(C-C18)アリール、(C-C18)アルキルアリール及び-Y2C(R6c)(R7cq3(R8cr3から選択されており、このY2cは、窒素原子、硫黄原子及びケイ素原子から選択されており、R6c、R7c及びR8cはそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、ジ(C-C)アルキルアミン(Y2cがケイ素原子であるときのみ)、(C-C18)アリール、(C-C18)アルキルアリール、及びY2cがケイ素原子ではないときには、-SiR17c18c19cから選択されており、このR17c、R18c及びR19cはそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アルキルアリールから選択されており、q及びrはそれぞれ、0及び1から選択した整数であり、Y2c=Nであるときには、q+r=1であり、Y2c=Sであるときには、q=q=r=0であり、Y2c=Siであるときには、q+r=2であり、pは、0、1、2及び3から選択した整数である。
【0054】
好ましい実施形態では、R1cはそれぞれ、(C-C10)アルキルから選択した同じものであり、R12cはそれぞれ独立して、水素及び(C-C10)アルキルから選択されており、好ましくは水素であり、R3c、R4c及びR5cはそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、及びY1cがケイ素原子ではないときには、-SiR14c15c16cから選択されており、このR14c、R15c及びR16cはそれぞれ独立して、(C-C18)アルキルから選択されており、Eはそれぞれ独立して、(C-C18)アルキルから選択されており、Fはそれぞれ独立して、-Y2c(R6c)(R7cq3(R8cr3から選択されており、このR6c、R7c及びR8cはそれぞれ独立して、(C-C18)アルキル、及びY2cがケイ素原子ではないときには、-SiR17c18c19cから選択されており、このR17c、R18c及びR19cはそれぞれ独立して、(C-C18)アルキルから選択されており、pは、1、2及び3から選択した整数であり、残りの基と変数は、式(9)に関して上で定義したとおりである。
【0055】
式(9)の重合開始剤とそれらの調製物は、PCT/EP2013/065399に開示されており、この特許は、参照により、その全体が援用される。
【0056】
あるいは、式(10)の重合開始剤を用いてもよい。
【化12】
式中、R31はそれぞれ独立して、水素、(C-C10)アルキル、(C-C12)アリール及び(C-C18)アラルキルから選択されており、R32、R33及びR34はそれぞれ独立して、水素、(C-C18)アルキル及び(C-C18)アルコキシから選択されており、R41はそれぞれ独立して、(C-C100)アルキル及び(C-C100)アルケニルから選択されており、R41はそれぞれ任意に応じて、1~3個の(C-C12)アリール基で置換されており、任意に応じて、共役ジエン、特に1,3-ブタジエン及びイソプレンと、芳香族ビニル化合物、特にスチレン及びジビニルベンゼンから選択した最大25個のモノマー単位で構成されたオリゴマー鎖を介して、式(10)の骨格に結合しており、Mはリチウムであり、k、l及びqは、独立して0、1、2及び3から選択した整数である。
【0057】
好ましい実施形態では、R41は、(C-C10)アルキルから選択されており、R31はそれぞれ独立して、水素及び(C-C10)アルキルから選択されており、好ましくは水素であり、R32及びR34は、同一であり、水素及び(C-C18)アルキルから選択されており、R33はそれぞれ独立して、水素及び(C-C18)アルキルから選択されている。
【0058】
上記のような式(10)の重合開始剤は、欧州特許出願公開第15 151 112.8号にさらに詳細に開示されており、この特許出願は、参照により、その全体が援用される。
【0059】
最も好ましくは、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、または式(6)もしくは式(7)の化合物、特には
【化13】
を用いる。上記の開始剤は、単独で用いても、2つ以上の異なるタイプのものの混合物として組み合わせて用いてもよい。
【0060】
変性
一実施形態では、成分(a)も、下に定義されているような式(1)~(3)または式(11)~(15)の少なくとも1つの化合物によって官能化されている。
(R***O)(R**Si-A-S-SiR** 式(1)
式中、R**はそれぞれ独立して、C-C16アルキルまたはアルキルアリールから選択されており、R***は独立して、C-Cアルキルから選択されており、Aは、C-C18アリール、C-C50アルキルアリール、C-C50アルキル及びC-C50ジアルキルエーテルから選択されており、任意に応じて、R**、R***またはAは独立して、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-C12アリール、C-C16アルキルアリール、ジ(C-Cヒドロカルビル)アミノ、ビス(トリ(C-C12アルキル)シリル)アミノ、トリス(C-Cヒドロカルビル)シリル及びC-C12チオアルキルから選択した1つ以上の基で置換されていてよく、xは、1、2及び3から選択した整数であり、yは、0、1及び2から選択した整数であり、ただし、x+y=3である。
【0061】
より好ましくは、R***はそれぞれ独立して、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチルまたはtert-ブチルから選択されており、R**はそれぞれ独立して、C-Cアルキル、C-C12アリールまたはC-C10アルキルアリールから選択されており、Aは、-(CH)N-であり、このNは、1、2、3、4、5または6から選択した整数である。
【0062】
変性剤(複数可)として、式(1)によって表される化合物の好ましい例としては、(MeO)Si-(CH-S-SiMe、(EtO)Si-(CH-S-SiMe、(PrO)Si-(CH-S-SiMe、(BuO)Si-(CH-S-SiMe、(MeO)Si-(CH-S-SiMe、(EtO)Si-(CH-S-SiMe、(PrO)Si-(CH-S-SiMe、(BuO)Si-(CH-S-SiMe、(MeO)Si-CH-S-SiMe、(EtO)Si-CH-S-SiMe、(PrO)Si-CH-S-SiMe、(BuO)Si-CH-S-SiMe、(MeO)Si-CH-CMe-CH-S-SiMe、(EtO)Si-CH-CMe-CH-S-SiMe、(PrO)Si-CH-CMe-CH-S-SiMe、(BuO)Si-CH-CMe-CH-S-SiMe、(MeO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-SiMe、(EtO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-SiMe、(PrO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-SiMe、(BuO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-SiMe、(MeO)Si-(CH-S-SiEt、(EtO)Si-(CH-S-SiEt、(PrO)Si-(CH-S-SiEt、(BuO)Si-(CH-S-SiEt、(MeO)Si-(CH-S-SiEt、(EtO)Si-(CH-S-SiEt、(PrO)Si-(CH-S-SiEt、(BuO)Si-(CH-S-SiEt、(MeO)Si-CH-S-SiEt、(EtO)Si-CH-S-SiEt、(PrO)Si-CH-S-SiEt、(BuO)Si-CH-S-SiEt、(MeO)Si-CH-CMe-CH-S-SiEt、(EtO)Si-CH-CMe-CH-S-SiEt、(PrO)Si-CH-CMe-CH-S-SiEt、(BuO)Si-CH-CMe-CH-S-SiEt、(MeO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-SiEt、(EtO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-SiEt、(PrO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-SiEt、(BuO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-SiEt、(MeO)Si-(CH-S-SiMetBu、(EtO)Si-(CH-S-SiMetBu、(PrO)Si-(CH-S-SiMetBu、(BuO)Si-(CH-S-SiMetBu、(MeO)Si-(CH-S-SiMetBu、(EtO)Si-(CH-S-SiMetBu、(PrO)Si-(CH-S-SiMetBu、(BuO)Si-(CH-S-SiMetBu、(MeO)Si-CH-S-SiMetBu、(EtO)Si-CH-S-SiMetBu、(PrO)Si-CH-S-SiMetBu、(BuO)Si-CH-S-SiMetBu、(MeO)Si-CH-CMe-CH-S-SiMetBu、(EtO)Si-CH-CMe-CH-S-SiMetBu、(PrO)Si-CH-CMe-CH-S-SiMetBu、(BuO)Si-CH-CMe-CH-S-SiMetBu、(MeO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-SiMetBu、(EtO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-SiMetBu、(PrO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-SiMetBu、(BuO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-SiMetBu、(MeO)MeSi-(CH-S-SiMe、(EtO)MeSi-(CH-S-SiMe、(PrO)MeSi-(CH-S-SiMe、(BuO)MeSi-(CH-S-SiMe、(MeO)MeSi-(CH-S-SiMe、(EtO)MeSi-(CH-S-SiMe、(PrO)MeSi-(CH-S-SiMe、(BuO)MeSi-(CH-S-SiMe、(MeO)MeSi-CH-S-SiMe、(EtO)MeSi-CH-S-SiMe、(PrO)MeSi-CH-S-SiMe、(BuO)MeSi-CH-S-SiMe、(MeO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiMe、(EtO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiMe、(PrO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiMe、(BuO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiMe、(MeO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiMe、(EtO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiMe、(PrO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiMe、(BuO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiMe、(MeO)MeSi-(CH-S-SiEt、(EtO)MeSi-(CH-S-SiEt、(PrO)MeSi-(CH-S-SiEt、(BuO)MeSi-(CH-S-SiEt、(MeO)MeSi-(CH-S-SiEt、(EtO)MeSi-(CH-S-SiEt、(PrO)MeSi-(CH-S-SiEt、(BuO)MeSi-(CH-S-SiEt、(MeO)MeSi-CH-S-SiEt、(EtO)MeSi-CH-S-SiEt、(PrO)MeSi-CH-S-SiEt(BuO)MeSi-CH-S-SiEt、(MeO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiEt、(EtO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiEt、(PrO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiEt、(BuO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiEt、(MeO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiEt、(EtO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiEt、(PrO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiEt、(BuO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiEt、(MeO)MeSi-(CH-S-SiMetBu、(EtO)MeSi-(CH-S-SiMetBu、(PrO)MeSi-(CH
-S-SiMetBu、(BuO)MeSi-(CH-S-SiMetBu、(MeO)MeSi-(CH-S-SiMetBu、(EtO)MeSi-(CH-S-SiMetBu、(PrO)MeSi-(CH-S-SiMetBu、(BuO)MeSi-(CH-S-SiMetBu、(MeO)MeSi-CH-S-SiMetBu、(EtO)MeSi-CH-S-SiMetBu、(PrO)MeSi-CH-S-SiMetBu、(BuO)MeSi-CH-S-SiMetBu、(MeO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiMetBu、(EtO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiMetBu、(PrO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiMetBu、(BuO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiMetBu、(MeO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiMetBu、(EtO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiMetBu、(PrO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiMetBu、(BuO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiMetBu、(MeO)MeSi-(CH-S-SiMe、(EtO)MeSi-(CH-S-SiMe、(PrO)MeSi-(CH-S-SiMe、(BuO)MeSi-(CH-S-SiMe、(MeO)MeSi-(CH-S-SiMe、(EtO)MeSi-(CH-S-SiMe、(PrO)MeSi-(CH-S-SiMe、(BuO)MeSi-(CH-S-SiMe、(MeO)MeSi-CH-S-SiMe、(EtO)MeSi-CH-S-SiMe、(PrO)MeSi-CH-S-SiMe、(BuO)MeSi-CH-S-SiMe、(MeO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiMe、(EtO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiMe、(PrO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiMe、(BuO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiMe、(MeO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiMe、(EtO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiMe、(PrO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiMe、(BuO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiMe、(MeO)MeSi-(CH-S-SiEt、(EtO)MeSi-(CH-S-SiEt、(PrO)MeSi-(CH-S-SiEt、(BuO)MeSi-(CH-S-SiEt、(MeO)MeSi-(CH-S-SiEt、(EtO)MeSi-(CH-S-SiEt、(PrO)MeSi-(CH-S-SiEt、(BuO)MeSi-(CH-S-SiEt、(MeO)MeSi-CH-S-SiEt、(EtO)MeSi-CH-S-SiEt、(PrO)MeSi-CH-S-SiEt、(BuO)MeSi-CH-S-SiEt、(MeO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiEt、(EtO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiEt、(PrO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiEt、(BuO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiEt、(MeO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiEt、(EtO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiEt、(PrO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiEt、(BuO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiEt、(MeO)MeSi-(CH-S-SiMetBu、(EtO)MeSi-(CH-S-SiMetBu、(PrO)MeSi-(CH-S-SiMetBu、(BuO)MeSi-(CH-S-SiMetBu、(MeO)MeSi-(CH-S-SiMetBu、(EtO)MeSi-(CH-S-SiMetBu、(PrO)MeSi-(CH-S-SiMetBu、(BuO)MeSi-(CH-S-SiMetBu、(MeO)MeSi-CH-S-SiMetBu、(EtO)MeSi-CH-S-SiMetBu、(PrO)MeSi-CH-S-SiMetBu、(BuO)MeSi-CH-S-SiMetBu、(MeO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiMetBu、(EtO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiMetBu、(PrO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiMetBu、(BuO)MeSi-CH-CMe-CH-S-SiMetBu、(MeO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiMetBu、(EtO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiMetBu、(PrO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiMetBu、(BuO)MeSi-CH-C(H)Me-CH-S-SiMetBuが挙げられるが、これらに限らない。
【0063】
最も好ましくは、式(1)のスルファニルシラン化合物は、(MeO)Si-(CH-S-SiMetBu、(MeO)(CH)Si-(CH-S-SiMetBu、(MeO)(Me)Si-(CH-S-SiMetBu及びこれらの混合物から選択されている。
【0064】
あるいは、式(2)の化合物を用いてよい。
((RO)x2’(Ry2’Si-R-S)s2’(Rt2’(Xu2’
式(2)
式中、Mは、ケイ素またはスズであり、x2’は、1、2及び3から選択した整数であり、y2’は、0、1及び2から選択した整数であり、x2’+y2’=3であり、s2’は、2、3及び4から選択した整数であり、t2’は、0、1及び2から選択した整数であり、u2’は、0、1及び2から選択した整数であり、s2’+t2’+u2’=4であり、Rは独立して、水素及び(C-C)アルキルから選択されており、Rは独立して、(C-C16)アルキル、(C-C16)アルキルアリール及び(C-C16)アリールアルキルから選択されており、Rは、2価であり、独立して、(C-C16)アルキル、(C-C16)アルキルアリールアルキル、(C-C16)アリールアルキル及び(C-C16)アルキルアリールから選択されており、各基は、3級アミン基、シリル基、(C-C18)アラルキル基及び(C-C18)アリール基という基のうちの1つ以上で置換されていてもよく、Rは独立して、(C-C16)アルキル及び(C-C16)アルキルアリールから選択されており、Xは独立して、塩化物、臭化物及び-OR5*から選択されており、このR5*は、(C-C16)アルキル及び(C-C16)アリールアルキルから選択されている。
【0065】
好ましい実施形態では、Mは、ケイ素原子であり、Rは、2価であり、(C-C16)アルキルであり、Xは、-OR5*であり、このR5*は、(C-C)アルキルから選択されており、R、R及びRは独立して、(C-C)アルキルから選択されており、s2’及びt2’はそれぞれ、2であり、u2’は、0であり、x2’は、2であり、y2’は、1であり、残りの基と変数は、式(2)に関して定義されているとおりである。
【0066】
本発明のシランスルフィド変性剤の具体的な好ましい種としては、下記の化合物と、それらの対応するルイス塩基付加物が挙げられる。
【0067】
(MeO)Si-(CH-S-Si(Me)-S-(CH-Si(OMe)、(MeO)Si-(CH-S-Si(Et)-S-(CH-Si(OMe)、(MeO)Si-(CH-S-Si(Bu)-S-(CH-Si(OMe)、(EtO)Si-(CH-S-Si(Me)-S-(CH-Si(OEt)、(EtO)Si-(CH-S-Si(Et)-S-(CH-Si(OEt)、(EtO)Si-(CH-S-Si(Bu)-S-(CH-Si(OEt)、(PrO)Si-(CH-S-Si(Me)-S-(CH-Si(OPr)、(PrO)Si-(CH-S-Si(Et)-S-(CH-Si(OPr)、(PrO)Si-(CH-S-Si(Bu)-S-(CH-Si(OPr)、(MeO)Si-(CH-S-Si(Me)-S-(CH-Si(OMe)、(MeO)Si-(CH-S-Si(Et)-S-(CH-Si(OMe)、(MeO)Si-(CH-S-Si(Bu)-S-(CH-Si(OMe)、(EtO)Si-(CH-S-Si(Me)-S-(CH-Si(OEt)、(EtO)Si-(CH-S-Si(Et)-S-(CH-Si(OEt)、(EtO)Si-(CH-S-Si(Bu)-S-(CH-Si(OEt)、(PrO)Si-(CH-S-Si(Me)-S-(CH-Si(OPr)、(PrO)Si-(CH-S-Si(Et)-S-(CH-Si(OPr)、(PrO)Si-(CH-S-Si(Bu)-S-(CH-Si(OPr)、(MeO)Si-CH-S-Si(Me)-S-CH-Si(OMe)、(MeO)Si-CH-S-Si(Et)-S-CH-Si(OMe)、(MeO)Si-CH-S-Si(Bu)-S-CH-Si(OMe)、(EtO)Si-CH-S-Si(Me)-S-CH-Si(OEt)、(EtO)Si-CH-S-Si(Et)-S-CH-Si(OEt)、(EtO)Si-CH-S-Si(Bu)-S-CH-Si(OEt)、(PrO)Si-CH-S-Si(Me)-S-CH-Si(OPr)、(PrO)Si-CH-S-Si(Et)-S-CH-Si(OPr)、(PrO)Si-CH-S-Si(Bu)-S-CH-Si(OPr)、(MeO)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Me)-S-CH-CMe-CH-Si(OMe)、(MeO)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Et)-S-CH-CMe-CH-Si(OMe)、(MeO)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Bu)-S-CH-CMe-CH-Si(OMe)、(EtO)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Me)-S-CH-CMe-CH-Si(OEt)、(EtO)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Et)-S-CH-CMe-CH-Si(OEt)、(EtO)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Bu)-S-CH-CMe-CH-Si(OEt)、(PrO)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Me)-S-CH-CMe-CH-Si(OPr)、(PrO)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Et)-S-CH-CMe-CH-Si(OPr)、(PrO)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Bu)-S-CH-CMe-CH-Si(OPr)、(MeO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Me)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OMe)、(MeO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Et)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OMe)、(MeO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Bu)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OMe)、(EtO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Me)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OEt)、(EtO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Et)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OEt)、(EtO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Bu)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OEt)、(PrO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Me)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OPr)、(PrO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Et)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OPr)、(PrO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Bu)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OPr)、(MeO)(Me)Si-(CH-S-Si(Me)-S-(CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-(CH-S-Si(Et)-S-(CHSi(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-(CH-S-Si(Bu)-S-(CH-Si(OMe)(Me)、(EtO)Me)Si-(CH-S-Si(Me)-S-(CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-(CH-S-Si(Et)-S-(CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-(CH-S-Si(Bu)-S-(CH-Si(OEt)(Me)、(PrO)(Me)Si-(CH-S-Si(Me)-S-(CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-(CH-S-Si(Et)-S-(CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-(CH-S-Si(Bu)-S-(CH-Si(OPr)(Me)、(MeO)(Me)Si-(CH-S-Si(Me)-S-(CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-(CH-S-Si(Et)-S-(CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-(CH-S-Si(Bu)-S-(CH-Si(OMe)(Me)、(EtO)(Me)Si-(CH-S-Si(Me)-S-(CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-(CH-S-Si(
Et)-S-(CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-(CH-S-Si(Bu)-S-(CH-Si(OEt)(Me)、(PrO)(Me)Si-(CH-S-Si(Me)-S-(CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-(CH-S-Si(Et)-S-(CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-(CH-S-Si(Bu)-S-(CH-Si(OPr)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-S-Si(Me)-S-CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-S-Si(Et)-S-CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-S-Si(Bu)-S-CH-Si(OMe)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-S-Si(Me)-S-CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-S-Si(Et)-S-CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-S-Si(Bu)-S-CH-Si(OEt)(Me)、(PrO)(Me)Si-CH-S-Si(Me)-S-CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-CH-S-Si(Et)-S-CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-CH-S-Si(Bu)-S-CH-Si(OPr)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Me)-S-CH-CMe-CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Et)-S-CH-CMe-CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Bu)-S-CH-CMe-CH-Si(OMe)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Me)-S-CH-CMe-CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Et)-S-CH-CMe-CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Bu)-S-CH-CMe-CH-Si(OEt)(Me)、(PrO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Me)-S-CH-CMe-CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Et)-S-CH-CMe-CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Si(Bu)-S-CH-CMe-CH-Si(OPr)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Me)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Et)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Bu)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OMe)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Me)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Et)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Bu)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OEt)(Me)、(PrO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Me)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Et)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Si(Bu)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OPr)(Me)、(MeO)Si-(CH-S-Sn(Me)-S-(CH-Si(OMe)、(MeO)Si-(CH-S-Sn(Et)-S-(CH-Si(OMe)、(MeO)Si-(CH-S-Sn(Bu)-S-(CH-Si(OMe)、(EtO)Si-(CH-S-Sn(Me)-S-(CH-Si(OEt)、(EtO)Si-(CH-S-Sn(Et)-S-(CH-Si(OEt)、(EtO)Si-(CH-S-Sn(Bu)-S-(CH-Si(OEt)、(PrO)Si-(CH-S-Sn(Me)-S-(CH-Si(OPr)、(PrO)Si-(CH-S-Sn(Et)-S-(CH-Si(OPr)、(PrO)Si-(CH-S-Sn(Bu)-S-(CH-Si(OPr)、(MeO)Si-(CH-S-Sn(Me)-S-(CH-Si(OMe)、(MeO)Si-(CH-S-Sn(Et)-S-(CH-Si(OMe)、(MeO)Si-(CH-S-Sn(Bu)-S-(CH-Si(OMe)、(EtO)Si-(CH-S-Sn(Me)-S-(CH-Si(OEt)、(EtO)Si-(CH-S-Sn(Et)-S-(CH-Si(OEt)、(EtO)Si-(CH-S-Sn(Bu)-S-(CH-Si(OEt)、(PrO)Si-(CH-S-Sn(Me)-S-(CH-Si(OPr)、(PrO)Si-(CH-S-Sn(Et)-S-(CH-Si(OPr)、(PrO)Si-(CH-S-Sn(Bu)-S-(CH-Si(OPr)、(MeO)Si-CH-S-Sn(Me)-S-CH-Si(OMe)、(MeO)Si-CH-S-Sn(Et)-S-CH-Si(OMe)、(MeO)Si-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-Si(OMe)、(EtO)Si-CH-S-Sn(Me)-S-CH-Si(OEt)、(EtO)Si-CH-S-Sn(Et)-S-CH-Si(OEt)、(EtO)Si-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-Si(OEt)、(PrO)Si-CH-S-Sn(Me)-S-CH-Si(OPr)、(PrO)Si-CH-S-Sn(Et)-S-CH-Si(OPr)、(PrO)Si-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-Si(OPr)
(MeO)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Me)-S-CH-CMe-CH-Si(OMe)、(MeO)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Et)-S-CH-CMe-CH-Si(OMe)、(MeO)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-CMe-CH-Si(OMe)、(EtO)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Me)-S-CH-CMe-CH-Si(OEt)、(EtO)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Et)-S-CH-CMe-CH-Si(OEt)、(EtO)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-CMe-CH-Si(OEt)、(PrO)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Me)-S-CH-CMe-CH-Si(OPr)、(PrO)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Et)-S-CH-CMe-CH-Si(OPr)、(PrO)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-CMe-CH-Si(OPr)、(MeO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Me)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OMe)、(MeO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Et)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OMe)、(MeO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OMe)、(EtO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Me)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OEt)、(EtO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Et)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OEt)、(EtO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OEt)、(PrO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Me)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OPr)、(PrO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Et)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OPr)、(PrO)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OPr)、(MeO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Me)-S-(CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Et)-S-(CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Bu)-S-(CH-Si(OMe)(Me)、(EtO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Me)-S-(CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Et)-S-(CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Bu)-S-(CH-Si(OEt)(Me)、(PrO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Me)-S-(CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Et)-S-(CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Bu)-S-(CH-Si(OPr)(Me)、(MeO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Me)-S-(CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Et)-S-(CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Bu)-S-(CH-Si(OMe)(Me)、(EtO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Me)-S-(CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Et)-S-(CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Bu)-S-(CH-Si(OEt)(Me)、(PrO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Me)-S-(CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Et)-S-(CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-(CH-S-Sn(Bu)-S-(CH-Si(OPr)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-S-Sn(Me)-S-CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-S-Sn(Et)-S-CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-Si(OMe)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-S-Sn(Me)-S-CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-S-Sn(Et)-S-CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-Si(OEt)(Me)、(PrO)(Me)Si-CH-S-Sn(Me)-S-CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-CH-S-Sn(Et)-S-CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-Si(OPr)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Me)-S-CH-CMe-CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Et)-S-CH-CMe-CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-CMe-CH-Si(OMe)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Me)-S-CH-CMe-CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Et)-S-CH-CMe-CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-CMe-CH-Si(OEt)(Me)、(PrO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Me)-S-CH-CMe-CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Et)-S-CH-CMe-CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-CH-CMe-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-CMe-C
-Si(OPr)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Me)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Et)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OMe)(Me)、(MeO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OMe)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Me)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Et)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OEt)(Me)、(EtO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OEt)(Me)、(PrO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Me)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OPr)(Me)、(PrO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Et)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OPr)(Me)及び/または(PrO)(Me)Si-CH-C(H)Me-CH-S-Sn(Bu)-S-CH-C(H)Me-CH-Si(OPr)(Me)
【0068】
上記のような式(2)の変性化合物は、WO2014/040639にさらに詳細に開示されており、この特許は、参照により、その全体が援用される。
【0069】
別の実施形態では、変性工程(II)には、式(3)の化合物を用いてもよい。
(RO)x1’(RIIy1’Si-RIV-S-E 式(3)
式中、R及びRIIは独立して、C-CアルキルまたはC-Cアルコキシから選択されており、ただし、R及びRIIのうちの少なくとも1つは、C-Cアルコキシであり、x1’は、1、2及び3から選択した整数であり、y1’は、0、1及び2から選択した整数であり、RIVは、C-Cアルキルから選択されており、Eは、Rであるか、式(3a)の基であり、
【化14】
式中、Rは、C-Cアルキル、C-C12アリール、C-C16アルキルアリールまたはC-C16アリールアルキルである。
【0070】
好ましくは、式(3)においては、R及びRIIはそれぞれ独立して、C-Cアルコキシであり、RIVは、C-Cアルキルから選択されており、Eは、式(3a)の基である。
【0071】
上記の式(3)の化合物は、EP 2596 963 B1にさらに詳細に開示されており、この特許は、参照により、その全体が援用される。
【0072】
代替的な実施形態では、下に定義されているような式(11)~(15)のうちの1つ以上の化合物を変性工程(II)に用いてよい。
【化15】
式中、R1dはそれぞれ独立して、(C-C16)アルキルから選択されており、R2dはそれぞれ独立して、(C-C16)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アルキルアリールから選択されており、R3dは独立して、2価の(C-C16)アルキル、2価の(C-C18)アリール、2価の(C-C18)アルキルアリール及び-R4d-O-R5d-から選択されており、このR4d及びR5dは独立して、2価の(C-C)アルキルから選択されており、Zは独立して、(C-C16)アルキル、(C-C18)アリール、(C-C18)アルキルアリール、(C=S)-S-R6d(このR6dは、(C-C16)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アルキルアリールから選択されている)、ならびに-M1d(R7dc4(R8dd4(このM1dは、ケイ素またはスズであり、R7dはそれぞれ独立して、(C-C16)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アルキルアリールから選択されており、R8dはそれぞれ独立して、-S-R3d-Si(OR1dr4(R2ds4から選択されており、このR1d、R2d及びR3dは、上で定義したとおりであり、rは、1、2及び3から独立して選択した整数であり、sは、0、1及び2から独立して選択した整数であり、r+s=3であり、cは、2及び3から独立して選択した整数であり、dは、0及び1から独立して選択した整数であり、c+d=3である)から選択されており、
【化16】
式中、R9e、R10e、R11e及びR12eは独立して、水素、(C-C16)アルキル、(C-C16)アリール及び(C-C16)アラルキルから選択されており、好ましくはN-メチル-ピロリドンであり、
【化17】
【化18】
式中、R13a、R14a、R18a及びR19aはそれぞれ独立して、(C-C16)アルキルから選択されており、R15a及びR20aは独立して、2価の(C-C16)アルキル、2価の(C-C18)アリール、2価の(C-C18)アラルキル及び-R24a-O-R25a-から選択されており、このR24a及びR25aは独立して、2価の(C-C)アルキルから選択されており、R16a及びR17aは独立して、(C-C16)アルキル及び-SiR26a27a28aから選択されており、このR26a、R27a及びR28aは独立して、(C-C16)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アルキルアリールから選択されており、R21a及びR22aはそれぞれ独立して、(C-C16)アルキル、(C-C18)アリール及び(C-C18)アルキルアリールから選択されており、R23aはそれぞれ独立して、水素及び(C-C)アルキルから選択されており、t及びuは、1、2及び3から独立して選択した整数であり、v及びwは、0、1及び2から独立して選択した整数であり、t+u=3であり、v+w=3であり、
【化19】
式中、R29及びR30はそれぞれ独立して、(C-C16)アルキル、(C-C18)アリール、(C-C18)アルキルアリール及びビニルから選択されており、X10は、1~6から選択した整数である。
【0073】
変性条件
成分(a)を生成するための変性工程(II)では、上で定めたような式(1)~式(3)または式(11)~式(15)のうちの1つ以上の変性化合物は、モル比が0.05以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上となるような量で、リビングポリマーに加えてよい。
【0074】
式(1)~式(3)または式(11)~式(15)のいずれかによって表される変性化合物は好ましくは、重合させるモノマー(複数可)がほぼ完全または完全に転化するように、好ましくは、モノマーの供給量に対して85重量パーセント超のアニオン重合転化率になるように加える。「モノマー供給量」、「モノマー仕込み量」という語句または類似の用語は、本明細書で使用する場合、本発明の重合方法におけるモノマー供給量を指す。好ましい実施形態では、この転化率は、モノマー供給量に対して、少なくとも92.0重量パーセント、好ましくは94.0重量パーセント超である。「モノマー転化率」という用語は、本明細書で使用する場合、例えば、所定の重合反応器の排出口で割り出したモノマー転化率(例えば、スチレンと1,3-ブタジエンの総転化率)を指す。
【0075】
変性化合物との反応前には、かなりの量のリビングポリマー鎖末端が停止されていないのが好ましい。すなわち、リビングポリマー鎖末端が存在するとともに、ポリマー鎖末端変性反応において、式(1)~式(3)及び式(11)~(15)のいずれかによって表される変性化合物と反応できることが好ましい。少量の共役ジエンモノマー(1,3-ブタジエンなど)を加えることによって、変性化合物の仕込み前に、ポリマー鎖末端をジエニル鎖末端に変えるのが有益であることもある。変性反応の過程において、1つ以上のポリマー鎖が前記変性化合物と反応することができる。
【0076】
したがって、上記のような式(1)~式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される化合物を用いた変性反応によって、変性または官能化エラストマー性ポリマーが得られる。一実施形態では、これらのエラストマー性ポリマーの変性度(生成された巨大分子の総数に対する変性鎖末端のmol%)は、20%以上、好ましくは50%以上、最も好ましくは80%以上である。
【0077】
式(1)~式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される変性化合物は、希釈せずに、ポリマー溶液に直接加えてよい。しかしながら、不活性溶媒、例えば上記のような溶媒を用いて、式(1)~式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される化合物を溶液中で加えるのが有益なこともある。
【0078】
概して、「変性」または「官能化」という用語を同義的に用いてよいことを理解すべきである。
【0079】
ランダマイザー化合物
ポリマーの共役ジエン部分のミクロ構造(すなわち、ビニル結合の含有量)を調節するため、及び/またはポリマー鎖におけるいずれかのα-オレフィンモノマーの分布を調節するために、当該技術分野で従来から知られているようなランダマイザー化合物(極性調整剤化合物としても知られている)を任意に応じて、モノマー混合物または重合反応に加えてよい。2つ以上のランダマイザー化合物を組み合わせたものを用いてもよい。
【0080】
本発明において有用なランダマイザー化合物としては概して、ルイス塩基化合物が挙げられる。本発明での使用に好適なルイス塩基は、例えば、エーテル化合物(ジエチルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、2-(2-エトキシエトキシ)-2-メチルプロパン、(C-Cアルキル)テトラヒドロフリルエーテル(メチルテトラヒドロフリルエーテル、エチルテトラヒドロフリルエーテル、プロピルテトラヒドロフリルエーテル、ブチルテトラヒドロフリルエーテル、ヘキシルテトラヒドロフリルエーテル及びオクチルテトラヒドロフリルエーテルを含む)、テトラヒドロフラン、2,2-(ビステトラヒドロフルフリル)プロパン、ビステトラヒドロフルフリルホルマール、テトラヒドロフルフリルアルコールのメチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのブチルエーテル、α-メトキシテトラヒドロフラン、ジメトキシベンゼン、ならびにジメトキシエタンなど)と、3級アミン(トリエチルアミン、ピリジン、N,N,N’,N’-テトラメチル-エチレンジアミン、ジピペリジノエタン、N,N-ジエチルエタノールアミンのメチルエーテル、N,N-ジエチルエタノールアミンのエチルエーテル、N,N-ジエチルエタノールアミン及びジメチルN,N-テトラヒドロフルフリルアミンなど)である。好ましいランダマイザー化合物の例は、WO2009/148932で確認され、この特許は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0081】
さらに、α-オレフィン(ビニル)モノマーをポリマー鎖に、定めたとおりに導入するようにするランダマイザーとしては、カリウム化合物も用いることができる。好適なカリウム化合物は、カリウムアルコレート、カリウムスルホネート、カリウムカルボキシレートの群から選択できる。例としては、カリウムt-ブチレート、カリウムt-アミレート、カリウムノニルフェノレート、カリウム-3,7-ジメチル-3-オクチレート、カリウムドデシルベンゼンスルホネート、カリウムナフタレンスルホネート、カリウムステアレート、カリウムデカノエート及び/またはカリウムナフトエートが挙げられる。
【0082】
ランダマイザー化合物は典型的には、ランダマイザー化合物と開始剤化合物とのモル比が0.012:1~10:1、好ましくは0.1:1~8:1、より好ましくは0.25:1~約6:1となるように加えることになる。
【0083】
安定剤
重合プロセスの終了後、任意に応じて、1つ以上の安定剤(「老化防止剤」)をポリマーに加えて、分子状酸素による第1のエラストマー性ポリマーの劣化を防ぐことができる。2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、6,6’-メチレンビス(2-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、イソ-オクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソトリデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’-エチリデンビス-(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート及び2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレートのような立体障害性フェノールベースの老化防止剤、ならびに4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール及びペンタエリトリチルテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)のようなチオエステルベースの老化防止剤を典型的には使用する。好適な安定剤のさらなる例は、F.Rothemeyer,F.Sommer,Kautschuk Technologie,2nd ed.,(Hanser Verlag,2006)340-344ページ及びこの文献で引用されている文献に見ることができる。
【0084】
第1のエラストマー性ポリマーの構造
一実施形態では、第1のエラストマー性ポリマー(a)は、すなわち、(I)共役ジエン、好ましくは1,3-ブタジエンまたはイソプレンをアニオン重合することによって得られるホモポリマーである。
【0085】
別の実施形態では、第1のエラストマー性ポリマー(a)は、(I)少なくとも1つの共役ジエン、好ましくは1,3-ブタジエンまたはイソプレンを少なくとも1つのα-オレフィンモノマーと、好ましくは、スチレン及び/またはジビニルベンゼンとアニオン重合することによって得られるランダムまたはブロックコポリマーまたはターポリマーである。
【0086】
すなわち、本発明のポリマーブレンド中の第1のエラストマー性ポリマー(a)は、好ましくはブタジエン-ポリマー、ブタジエン-ジビニルベンゼンコポリマー、スチレン-ブタジエン-コポリマー(本明細書ではSBRと略称する)またはスチレン-ジビニルベンゼン-ブタジエン-ターポリマーである。
【0087】
代替的な一実施形態では、第1のエラストマー性ポリマー(a)は、したがって、(I)共役ジエン、好ましくは1,3-ブタジエンまたはイソプレンをアニオン重合し、(II)上で定めたような式(1)~(3)及び式(11)~(15)のいずれかによって表される1つ以上の化合物を加えて反応させることによって、(I)で得たホモポリマー鎖を変性させることによって得られるホモポリマーである。
【0088】
別の代替的な実施形態では、第1のエラストマー性ポリマー(a)は、(I)少なくとも1つの共役ジエン、好ましくは1,3-ブタジエンまたはイソプレンを少なくとも1つのα-オレフィンモノマー、好ましくはスチレン及び/またはジビニルベンゼンとアニオン重合し、(II)上で定めたような式(1)~(3)及び式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つ以上の化合物を加えて反応させることによって、(i)で得たランダムまたはブロックコポリマーまたはターポリマー鎖を変性させることによって得られるランダムまたはブロックコポリマーまたはターポリマーである。
【0089】
最も好ましくは、第1のエラストマー性ポリマー(a)は、上記のように、スチレン-ブタジエン-コポリマー(本明細書ではSBRと略称する)、ブタジエン-(ホモ)ポリマー(本明細書ではBRと略称する)または変性SBRもしくはBRである。
【0090】
スチレン-ブタジエン-コポリマーまたは変性SBRのような第1のエラストマー性ポリマー(a)の数平均分子量(本明細書ではMと略称する)は、サイズ排除クロマトグラフィー(本明細書ではSECと略称する)によって測定して、ポリスチレン換算の値に変換した場合、400,000~2,000,000g/molの範囲、より好ましくは450,000~1,500,000g/molの範囲、最も好ましくは500,000~800,000g/molの範囲である。
【0091】
さらに、スチレン-ブタジエン-コポリマーまたは変性SBRのような第1のエラストマー性ポリマー(a)の重量平均分子量(本明細書ではMと略称する)は、サイズ排除クロマトグラフィー(本明細書ではSECと略称する)で測定して、ポリスチレン換算の値に変換した場合、400,000~3,000,000g/molの範囲、より好ましくは600,000~1,500,000g/molの範囲、最も好ましくは800,000~1,100,000g/molの範囲である。
【0092】
とMの値が、示した範囲を下回ると、請求項で定められているようなポリマーブレンドを配合及び加硫後、ムーニー粘度の値の有益性が低下し、コールドフローが大きくなり、転がり抵抗が高くなる。これに対して、MとMの値が、示した範囲を上回ると、請求項1に定められているとともに、上記されているようなエラストマー性ポリマー(a)自体と、ポリマーブレンドの両方の加工性が低下する。
【0093】
換言すると、スチレン-ブタジエン-コポリマーまたは変性BRもしくはSBRのような第1のエラストマー性ポリマー(a)は、上で定めたように、高分子量成分である。
【0094】
上で定めたように、第1のエラストマー性ポリマー(a)におけるスチレンなどのα-オレフィンの、1,3-ブタジエンまたはイソプレンなどのジエンに対する重量比は、好ましくは50重量パーセント未満、より好ましくは48重量パーセント未満、最も好ましくは45重量パーセント未満の範囲である。
【0095】
一実施形態では、上で定めたような第1のエラストマー性ポリマー(a)のα-オレフィン(スチレンなど)含有量は、0~30重量パーセントの範囲である。別の実施形態では、上で定めたようなエラストマー性ポリマー(a)のα-オレフィン(スチレンなど)含有量は、30~45重量パーセントの範囲である。「α-オレフィン含有量」または「スチレン含有量」という用語は、本明細書で使用する場合、第1のエラストマー性ポリマーの総重量に対する、第1のエラストマー性ポリマー(a)中のα-オレフィンまたはスチレンの質量(または重量)の割合を指す。
【0096】
一実施形態では、第1のエラストマー性ポリマー(a)のビニル含有量は好ましくは、5~80重量パーセントである。「ビニル含有量」という用語は、本明細書で使用する場合、エラストマー性ポリマー(a)のポリマー鎖に、それぞれ1,2位及び1,2位または3,4位で導入されている少なくとも1つのジエン(例えば1,3-ブタジエン及び/またはイソプレンなど)の質量(または重量)の割合を指し、エラストマー性ポリマー中のジエン、例えばブタジエン及び/またはイソプレンの部分(重合ジエンの総量)をベースとするものである。より好ましい実施形態では、ビニル含有量は、8~65重量パーセントの範囲である。
【0097】
請求項1に定められているようなポリマーブレンド中の成分(a)の量は、そのポリマーブレンドの総重量に対して、60~96重量パーセント、より好ましくは70~90重量パーセントの範囲である。
【0098】
さらに、本発明によるポリマーブレンド中の第1のエラストマー性ポリマー(a)のガラス転移温度(本明細書ではTと略称する)は、DSCによって測定した場合(下記の試験方法を参照されたい)、-95℃~5℃であることが好ましい。
【0099】
成分(b)-低分子量の第2のポリマー
第1の実施形態では、請求項1に定められているようなポリマーブレンドの成分(b)は、(i-1)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマー、好ましくは1,3-ブタジエンまたはイソプレンをアニオン重合し、(ii)請求項1に定められているような式(1)、式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(i-1)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られる低分子量の第2のポリマーであり、ただし、対応する式中、x、x1’、r、t及びvはそれぞれ、1及び2から選択されている。
【0100】
したがって、本発明によるポリマーブレンド中の第2のポリマー(b)は好ましくは、変性ブタジエン-コポリマー(本明細書ではBRと略称する)である。
【0101】
第2の実施形態では、請求項1に定められているようなポリマーブレンドの成分(b)は、(i-2)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマー、好ましくは1,3-ブタジエンまたはイソプレンと、1つ以上のα-オレフィンモノマー、好ましくはスチレン、α-メチルスチレンまたはジビニルベンゼンをアニオン重合し、(ii)請求項1に定められているような式(1)、式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(i-2)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られる低分子量の第2のポリマーであり、ただし、対応する式中、x、x1’、r、t及びvはそれぞれ、1及び2から選択されている。
【0102】
あるいは、本発明によるポリマーブレンド中の第2のポリマー(b)は、したがって、好ましくは変性スチレン-ブタジエン-ポリマー(SBR)である。
【0103】
第3の実施形態では、請求項1に定められているようなポリマーブレンドの成分(b)は、(i-3)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つ以上のα-オレフィンモノマー、好ましくはスチレン、α-メチルスチレンまたはジビニルベンゼンをアニオン重合し、(ii)上記及び請求項1で定められているような式(1)、式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(i-3)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られる低分子量の第2のポリマーであり、ただし、対応する式中、x、x1’、r、t及びvはそれぞれ、1及び2から選択されている。
【0104】
すなわち、本発明によるポリマーブレンド中の第2のポリマー(b)は、上記の代わりに、好ましくは変性ポリスチレン-ポリマーである。
【0105】
成分(b)を調製する際のアニオン重合反応(i)の具体的な条件(複数可)(好適な共役ジエンモノマー(複数可)、α-オレフィンモノマー(複数可)、重合開始剤(複数可)、溶媒(複数可)、温度(複数可)を含む)と、変性反応(ii)の具体的な条件(複数可)(好適な変性剤を含む)に関しては、成分(a)を調製する際の上記の重合反応(I)と任意の変性反応(II)が参考となる。すなわち、成分(b)の調製に適用するモノマー(複数可)及び条件(複数可)は典型的には、第1のエラストマー性ポリマー、すなわち成分(a)について上で開示したものと同じであるが、ただし、上記のような成分(b)に関する第1、第2及び第3の実施形態の要件を満たすことを条件とする。
【0106】
上記の第1~第3の実施形態では、アニオン重合反応の際の重合開始剤は好ましくは、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、または式(6)もしくは式(7)の化合物、具体的には
【化20】
から選択し、
これらは、単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。
【0107】
さらに、好ましい実施形態では、第2のポリマー(b)は、例えばスチレン-ブタジエンポリマーまたはブタジエンポリマーのようなエラストマー性ポリマーである。
【0108】
請求項1に定められているようなポリマーブレンドの成分(b)は、低分子量の第2のポリマーである。請求項1に定められているようなポリマーブレンド中の成分(b)の量は、そのポリマーブレンドの総重量に対して、4~35重量パーセント、より好ましくは10~30重量パーセント、最も好ましくは13~25重量パーセントの範囲である。
【0109】
第2のポリマー(b)の数平均分子量(本明細書ではMと略称する)は、サイズ排除クロマトグラフィー(本明細書ではSECと略称する)で測定して、ポリスチレン換算の値に変換した場合、500~80,000g/molの範囲、より好ましくは1,000~50,000g/molの範囲、最も好ましくは2,000~25,000g/molの範囲である。
【0110】
さらに、第2のポリマー(b)の重量平均分子量(本明細書ではMと略称する)は、サイズ排除クロマトグラフィー(本明細書ではSECと略称する)で測定して、ポリスチレン換算の値に変換した場合、500~100,000g/molの範囲、より好ましくは1,000~50,000g/molの範囲である。
【0111】
換言すると、第2のポリマー(b)は、上で定めたように、低分子量のものである。
【0112】
一実施形態では、第2のポリマー(b)のビニル含有量は、ブタジエンまたはイソプレンホモポリマー(b)の場合、好ましくは5~80重量パーセントであり、スチレンまたはジビニルベンゼン含有量は、1重量パーセント未満である。
【0113】
一実施形態では、第2のポリマー(b)のビニル含有量は、ブタジエン-スチレン-コポリマー(b)の場合、好ましくは5~75重量パーセントであり、第2のポリマー(b)のスチレン含有量は、好ましくは1~70重量パーセント、より好ましくは5~60重量パーセント、最も好ましくは10~50重量パーセントである。
【0114】
一実施形態では、第2のポリマー(b)のスチレン含有量は、スチレンホモポリマーの場合、好ましくは90重量パーセント超、より好ましくは95重量パーセント超、最も好ましくは98重量パーセント超である。
【0115】
さらに、本発明によるポリマーブレンド中の第2のポリマー(b)のガラス転移温度(本明細書ではTと略称する)は、DSCによって測定した場合(下記の試験方法を参照されたい)、-95℃~30℃であることが好ましい。
【0116】
成分(c)-任意に応じて存在する(従来の)低分子量の伸展油
請求項1に定められているようなポリマーブレンドの成分(c)は、任意に応じて存在し、軟化剤(複数可)としても知られている1つ以上の伸展油に相当する。
【0117】
ポリマーブレンド中の成分(c)が存在する場合、その量は、ポリマーブレンドの総重量に対して、0~13重量パーセントの範囲であってよい。これよりも多い量の成分(c)を使用すると、本明細書に定められているようなポリマーブレンドを含む架橋加硫物のパラメーター属性、特に、ポリマーブレンド/ポリマー組成物の耐摩耗性とグリップが低下する。
【0118】
伸展油の代表的な例と分類については、国際特許出願第PCT/US09/045553号及び米国特許出願公開第2005/0159513号が参考となり、これらの特許はそれぞれ、参照により、その全体が本明細書に援用される。代表的な伸展油としては、MES(軽度抽出溶媒和物)、TDAE(処理留出物芳香族系抽出物)、RAE(残留物芳香族系抽出物)が挙げられるが、これらに限らず、T-RAE及びS-RAE、T-DAE及びNAP(軽質及び重質ナフテン系油)を含むDAEが挙げられるが、これらに限らず、Nytex4700、Nytex8450、Nytex5450、Nytex832、Tufflo2000及びTufflo1200が挙げられるが、これらに限らない。加えて、天然油(植物油が挙げられるが、これに限らない)を伸展油として用いることもできる。代表的な油としては、上記の油の官能化変形形態、特には、エポキシ化またはヒドロキシル化油も挙げられる。上記の伸展油は、異なる濃度の多環芳香族化合物、パラフィン系物質、ナフテン系物質及び芳香族物質を含み、ガラス転移温度が異なる。上記のタイプの油は、特徴が明らかにされている(Kautschuk Gummi Kunststoffe,vol.52,ページ799-805)。好ましい実施形態では、MES、RAE及び/またはTDAEを(従来の)伸展油として使用する。
【0119】
ポリマーブレンドの調製
本発明によるポリマーブレンドは、同じプロセスで、成分(a)及び成分(b)、すなわち、上記のような第1のエラストマー性ポリマー(a)と第2のポリマー(b)の両方をインサイチュ重合するか、または、対応する成分、すなわち、上記のような第1のエラストマー性ポリマー(a)と第2のポリマー(b)の重合反応(該当する場合、変性反応を含む)の後に得られるそれぞれのポリマー溶液を混合するかのいずれかによって、溶液で調製する。任意の伸展油(複数可)(c)を仮に用いる場合には、続いて、第1のエラストマー性ポリマー(a)と第2のポリマー(b)の両方を含む得られたポリマー溶液に、その伸展油(複数可)(c)を混ぜ入れる。各成分の量は、請求項1に定められているとおりである。
【0120】
続いて、ゴムの製造のために工業規模で通常知られているとともに、用いられているように、例えば、高温、好ましくは約100℃でのスチームストリッピングによって、ポリマーブレンドをポリマーブレンド溶液から回収してから、通常の脱水工程と、高温での乾燥を行う。
【0121】
本発明による具体的なポリマーブレンド
下記の代替的な実施形態は、本発明による具体的なポリマーブレンドを表している。
【0122】
第1の実施形態では、本発明によるポリマーブレンドは、(a)第1のエラストマー性ポリマー60~96重量パーセントと、(b)第2のポリマー4~35重量パーセントとからなり、その第1のエラストマー性ポリマーは、(I)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーをアニオン重合することによって得られ、第2のポリマーは、(i)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、(i-1)少なくとも1つの共役ジエンモノマーをアニオン重合し、(ii)請求項1に定められているような式(1)、式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(i-1)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、ただし、対応する式中、x、x1’、r、t及びvはそれぞれ、1及び2から選択されており、第1のエラストマー性ポリマー(a)の数平均分子量(M)は、400,000~2,000,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500,000~3,000,000g/molであり、第2のポリマー(b)の数平均分子量(M)は、500~80,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500~100,000g/molであり、成分(a)及び(b)の上記の量は、ポリマーブレンドの総重量ベースである。
【0123】
第2の実施形態では、本発明によるポリマーブレンドは、(a)第1のエラストマー性ポリマー60~96重量パーセントと、(b)第2のポリマー4~35重量パーセントとからなり、その第1のエラストマー性ポリマーは、(I)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合することによって得られ、第2のポリマーは、(i)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、(i-1)少なくとも1つの共役ジエンモノマーをアニオン重合し、(ii)請求項1に定められているような式(1)、式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(i-1)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、ただし、対応する式中、x、x1’、r、t及びvはそれぞれ、1及び2から選択されており、第1のエラストマー性ポリマー(a)の数平均分子量(M)は、400,000~2,000,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500,000~3,000,000g/molであり、第2のポリマー(b)の数平均分子量(M)は、500~80,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500~100,000g/molであり、成分(a)及び(b)の上記の量は、ポリマーブレンドの総重量ベースである。
【0124】
第3の実施形態では、本発明によるポリマーブレンドは、(a)第1のエラストマー性ポリマー60~96重量パーセントと、(b)第2のポリマー4~35重量パーセントとからなり、その第1のエラストマー性ポリマーは、(I)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーをアニオン重合して、(II)請求項1に定められているような式(1)~(3)または式(11)~(15)のいずれか1つによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(I)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、第2のポリマーは、(i)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、(i-1)少なくとも1つの共役ジエンモノマーをアニオン重合して、(ii)請求項1に定められているような式(1)、式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(i-1)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、ただし、対応する式中、x、x1’、r、t及びvはそれぞれ、1及び2から選択されており、第1のエラストマー性ポリマー(a)の数平均分子量(M)は、400,000~2,000,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500,000~3,000,000g/molであり、第2のポリマー(b)の数平均分子量(M)は、500~80,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500~100,000g/molであり、成分(a)及び(b)の上記の量は、ポリマーブレンドの総重量ベースである。
【0125】
第4の実施形態では、本発明によるポリマーブレンドは、(a)第1のエラストマー性ポリマー60~96重量パーセントと、(b)第2のポリマー4~35重量パーセントとからなり、その第1のエラストマー性ポリマーは、(I)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合して、(II)請求項1に定められているような式(1)~(3)または式(11)~(15)のいずれか1つによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(I)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、第2のポリマーは、(i)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、(i-1)少なくとも1つの共役ジエンモノマーをアニオン重合して、(ii)請求項1に定められているような式(1)、式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(i-1)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、ただし、対応する式中、x、x1’、r、t及びvはそれぞれ、1及び2から選択されており、第1のエラストマー性ポリマー(a)の数平均分子量(M)は、400,000~2,000,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500,000~3,000,000g/molであり、第2のポリマー(b)の数平均分子量(M)は、500~80,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500~100,000g/molであり、成分(a)及び(b)の上記の量は、ポリマーブレンドの総重量ベースである。
【0126】
第5の実施形態では、本発明によるポリマーブレンドは、(a)第1のエラストマー性ポリマー60~96重量パーセントと、(b)第2のポリマー4~35重量パーセントとからなり、その第1のエラストマー性ポリマーは、(I)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーをアニオン重合することによって得られ、第2のポリマーは、(i)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、(i-2)少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合して、(ii)請求項1に定められているような式(1)、式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(i-2)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、ただし、対応する式中、x、x1’、r、t及びvはそれぞれ、1及び2から選択されており、第1のエラストマー性ポリマー(a)の数平均分子量(M)は、400,000~2,000,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500,000~3,000,000g/molであり、第2のポリマー(b)の数平均分子量(M)は、500~80,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500~100,000g/molであり、成分(a)及び(b)の上記の量は、ポリマーブレンドの総重量ベースである。
【0127】
第6の実施形態では、本発明によるポリマーブレンドは、(a)第1のエラストマー性ポリマー60~96重量パーセントと、(b)第2のポリマー4~35重量パーセントとからなり、その第1のエラストマー性ポリマーは、(I)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合することによって得られ、第2のポリマーは、(i)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、(i-2)少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合して、(ii)請求項1に定められているような式(1)、式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(i-2)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、ただし、対応する式中、x、x1’、r、t及びvはそれぞれ、1及び2から選択されており、第1のエラストマー性ポリマー(a)の数平均分子量(M)は、400,000~2,000,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500,000~3,000,000g/molであり、第2のポリマー(b)の数平均分子量(M)は、500~80,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500~100,000g/molであり、成分(a)及び(b)の上記の量は、ポリマーブレンドの総重量ベースである。
【0128】
第7の実施形態では、本発明によるポリマーブレンドは、(a)第1のエラストマー性ポリマー60~96重量パーセントと、(b)第2のポリマー4~35重量パーセントとからなり、その第1のエラストマー性ポリマーは、(I)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーをアニオン重合して、(II)請求項1に定められているような式(1)~(3)または式(11)~(15)のいずれか1つによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(I)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、第2のポリマーは、(i)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、(i-2)少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合して、(ii)請求項1に定められているような式(1)、式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(i-2)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、ただし、対応する式中、x、x1’、r、t及びvはそれぞれ、1及び2から選択されており、第1のエラストマー性ポリマー(a)の数平均分子量(M)は、500,000~2,000,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、400,000~3,000,000g/molであり、第2のポリマー(b)の数平均分子量(M)は、500~80,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500~100,000g/molであり、成分(a)及び(b)の上記の量は、ポリマーブレンドの総重量ベースである。
【0129】
第8の実施形態では、本発明によるポリマーブレンドは、(a)第1のエラストマー性ポリマー60~96重量パーセントと、(b)第2のポリマー4~35重量パーセントとからなり、その第1のエラストマー性ポリマーは、(I)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合して、(II)請求項1に定められているような式(1)~(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(I)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、第2のポリマーは、(i)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、(i-2)少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、1つ以上のα-オレフィンモノマーとをアニオン重合して、(ii)請求項1に定められているような式(1)、式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(i-2)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、ただし、対応する式中、x、x1’、r、t及びvはそれぞれ、1及び2から選択されており、第1のエラストマー性ポリマー(a)の数平均分子量(M)は、400,000~2,000,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500,000~3,000,000g/molであり、第2のポリマー(b)の数平均分子量(M)は、500~80,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500~100,000g/molであり、成分(a)及び(b)の上記の量は、ポリマーブレンドの総重量ベースである。
【0130】
第9の実施形態では、本発明によるポリマーブレンドは、(a)第1のエラストマー性ポリマー60~96重量パーセントと、(b)第2のポリマー4~35重量パーセントとからなり、その第1のエラストマー性ポリマーは、(I)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーをアニオン重合することによって得られ、第2のポリマーは、(i)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、(i-3)少なくとも1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合して、(ii)請求項1に定められているような式(1)、式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(i-3)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、ただし、対応する式中、x、x1’、r、t及びvはそれぞれ、1及び2から選択されており、第1のエラストマー性ポリマー(a)の数平均分子量(M)は、400,000~2,000,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500,000~3,000,000g/molであり、第2のポリマー(b)の数平均分子量(M)は、500~80,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500~100,000g/molであり、成分(a)及び(b)の上記の量は、ポリマーブレンドの総重量ベースである。
【0131】
第10の実施形態では、本発明によるポリマーブレンドは、(a)第1のエラストマー性ポリマー60~96重量パーセントと、(b)第2のポリマー4~35重量パーセントとからなり、その第1のエラストマー性ポリマーは、(I)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合することによって得られ、第2のポリマーは、(i)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、(i-3)少なくとも1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合して、(ii)請求項1に定められているような式(1)、式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(i-3)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、ただし、対応する式中、x、x1’、r、t及びvはそれぞれ、1及び2から選択されており、第1のエラストマー性ポリマー(a)の数平均分子量(M)は、400,000~2,000,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500,000~3,000,000g/molであり、第2のポリマー(b)の数平均分子量(M)は、500~80,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500~100,000g/molであり、成分(a)及び(b)の上記の量は、ポリマーブレンドの総重量ベースである。
【0132】
第11の実施形態では、本発明によるポリマーブレンドは、(a)第1のエラストマー性ポリマー60~96重量パーセントと、(b)第2のポリマー4~35重量パーセントとからなり、その第1のエラストマー性ポリマーは、(I)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーをアニオン重合して、(II)請求項1に定められているような式(1)~式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(I)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、第2のポリマーは、(i)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、(i-3)少なくとも1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合して、(ii)請求項1に定められているような式(1)、式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(i-3)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、ただし、対応する式中、x、x1’、r、t及びvはそれぞれ、1及び2から選択されており、第1のエラストマー性ポリマー(a)の数平均分子量(M)は、400,000~2,000,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500,000~3,000,000g/molであり、第2のポリマー(b)の数平均分子量(M)は、500~80,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500~100,000g/molであり、成分(a)及び(b)の上記の量は、ポリマーブレンドの総重量ベースである。
【0133】
第12の実施形態では、本発明によるポリマーブレンドは、(a)第1のエラストマー性ポリマー60~96重量パーセントと、(b)第2のポリマー4~35重量パーセントとからなり、その第1のエラストマー性ポリマーは、(I)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合して、(II)請求項1に定められているような式(1)~式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(I)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、第2のポリマーは、(i)重合開始剤の存在下、有機溶媒中で、(i-3)少なくとも1つ以上のα-オレフィンモノマーをアニオン重合して、(ii)請求項1に定められているような式(1)、式(3)または式(11)~(15)のいずれかによって表される少なくとも1つの化合物を加えて反応させることによって、(i-3)で得たポリマー鎖末端を変性させることによって得られ、ただし、対応する式中、x、x1’、r、t及びvはそれぞれ、1及び2から選択されており、第1のエラストマー性ポリマー(a)の数平均分子量(M)は、400,000~2,000,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500,000~3,000,000g/molであり、第2のポリマー(b)の数平均分子量(M)は、500~80,000g/molであり、重量平均分子量(M)は、500~100,000g/molであり、成分(a)及び(b)の上記の量は、ポリマーブレンドの総重量ベースである。
【0134】
さらに、本発明による上記の第12の実施形態ポリマーブレンドは、上記に加えて、1つ以上の伸展油を0~13重量パーセント含んでよい。
【0135】
ポリマー組成物
本発明はさらに、上記のように、本発明の第1の態様のポリマーブレンドを含むポリマー組成物を提供する。
【0136】
一実施形態では、本発明のポリマー組成物は、補強剤として機能する1つ以上のフィラーも含んでよい。好適なフィラーの例としては、カーボンブラック(導電性カーボンブラックを含む)、カーボンナノチューブ(CNT)(離散CNT、中空炭素繊維(HCF)、ならびにヒドロキシル基、カルボキシル基及びカルボニル基のような官能基を1つ以上持つ変性CNTを含む)、グラファイト、グラフェン(離散グラフェンプレートレットを含む)、シリカ、カーボン-シリカデュアルフェイズフィラー、クレー(層状シリケートを含む)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リグニン、非晶質フィラー(ガラス粒子ベースのフィラー、デンプンベースのフィラーなど)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限らない。好適なフィラーのさらなる例は、WO2009/148932に記載されており、この特許は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0137】
好適なカーボンブラックの例としては、ファーネス法によって従来から製造されているもので、例えば、窒素吸着比表面積が50~200m/gであり、DBP吸油量が80~200mL/100グラムであるもの(FEFクラス、HAFクラス、ISAFクラスまたはSAFクラスのカーボンブラック及び導電性カーボンブラックなど)が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、高凝集タイプのカーボンブラックを使用する。カーボンブラックは、典型的には、全ポリマー100重量部に対して2~100重量部、5~100重量部、10~100重量部または10~95重量部の量で使用する。
【0138】
好適なシリカフィラーの例としては、湿式法シリカ、乾式法シリカ及び合成シリケートタイプのシリカが挙げられるが、これらに限らない。粒子径が小さく、表面積が広いシリカは、補強効果が大きい。粒子径が小さい高凝集タイプのシリカ(すなわち、表面積が大きく、吸油性が高いシリカ)は、ポリマー組成物への分散性に優れており、その結果、卓越した加工性が得られる。シリカの平均粒子径は、一次粒子径に関しては、5~60nm、より好ましくは10~35nmであってよい。シリカ粒子の比表面積(BET法で測定した場合)は、35~300m/gであってよい。シリカは典型的には、全ポリマー100重量部に対して10~150重量部、30~130重量部または50~130重量部の量で使用する。
【0139】
シリカフィラーは、他のフィラー(カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボン-シリカデュアルフェイズフィラー、グラフェン、グラファイト、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限らない)と組み合わせて用いることができる。
【0140】
カーボンブラックとシリカは、一緒に加えてもよく、その場合には、カーボンブラックとシリカの総量は、全ポリマー100重量部に対して30~150重量部または50~150重量部である。
【0141】
カーボン-シリカデュアルフェイズフィラーは、カーボンブラックの表面にシリカを被覆することによって作られるいわゆるシリカ被覆カーボンブラックであり、CRX2000、CRX2002またはCRX2006(Cabot Co.の製品)という商品名で市販されている。カーボン-シリカデュアルフェイズフィラーは、シリカに関して上記した量と同じ量で加える。
【0142】
別の実施形態では、本発明によるポリマーブレンドを含むポリマー組成物は、任意に応じて、1つ以上の加硫剤(または架橋剤)を含んでもよい。「加硫剤」及び「架橋剤」(またはそれぞれ「加硫」及び「架橋」)という用語は、本明細書においては同義的に用いる。
【0143】
硫黄、硫黄供与体として機能する含硫黄化合物、硫黄-促進剤系及びパーオキサイドは、最も一般的な加硫剤である。硫黄供与体として機能する含硫黄化合物の例としては、ジチオジモルホリン(DTDM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)及びジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)が挙げられるが、これらに限らない。硫黄促進剤の例としては、アミン誘導体、グアニジン誘導体、アルデヒドアミン縮合物、チアゾール、チウラムスルフィド、ジチオカルバメート及びチオフォスフェートが挙げられるが、これらに限らない。加硫剤として用いるパーオキサイドの例としては、ジ-tert-ブチル-パーオキサイド、ジ-(tert-ブチル-パーオキシ-トリメチル-シクロヘキサン)、ジ-(tert-ブチル-パーオキシ-イソプロピル-)ベンゼン、ジクロロ-ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert-ブチル-クミル-パーオキサイド、ジメチル-ジ(tert-ブチル-パーオキシ)ヘキサン及びジメチル-ジ(tert-ブチル-パーオキシ)ヘキシン、ならびにブチル-ジ(tert-ブチル-パーオキシ)バレレート(Rubber Handbook,SGF,The Swedish Institution of Rubber Technology 2000)が挙げられるが、これらに限らない。加硫剤に関するさらなる例と追加の情報は、Kirk-Othmer,Encyclopedia of Chemical technology 3rd,Ed.,(Wiley Interscience,N.Y.1982),volume 20,pp.365-468(特には「Vulcanizing Agents and Auxiliary Materials」pp.390-402)に見ることができる。
【0144】
加えて、本発明によるポリマーブレンドを含むポリマー組成物は、1つ以上の伸展油も、ポリマー組成物の総重量に対して最大10重量パーセント含んでよい。伸展油(複数可)については、すでに上で説明した。
【0145】
必要に応じて、スルフェンアミド系、グアニジン系またはチウラム系の加硫促進剤を加硫剤とともに用いてもよい。亜鉛華、加硫助剤、老化防止剤、加工助剤などのようなその他の添加剤を任意に応じて加えてもよい。加硫剤は典型的には、ポリマー組成物に、全エラストマー性ポリマー100重量部に対して0.5~10重量部、いくつかの好ましい実施形態では、1~6重量部の量で加える。加硫促進剤と、全ポリマーに対する促進剤添加量の例は、国際特許公開第WO2009/148932号に示されている。硫黄-促進剤系は、酸化亜鉛を含んでも含まなくてもよい。好ましくは、酸化亜鉛は、硫黄-促進剤系の成分として採用する。
【0146】
いくつかの実施形態では、本発明によるポリマーブレンドと、シリカ、層状シリケート(マガディアイトなど)またはカーボン-シリカデュアルフェイズフィラーとを含むポリマー組成物に、シランカップリング剤(ポリマーとフィラーを相溶化するために用いる)を加えてもよい。シランカップリング剤の典型的な添加量は、シリカ及び/またはカーボン-シリカデュアルフェイズフィラーの総量100重量部に対して約1~約20重量部、いくつかの実施形態では、約5~約15重量部である。
【0147】
シランカップリング剤は、Fritz Rothemeyer,Franz Sommer:Kautschuk Technologie,(Carl Hanser Verlag 2006)に従って、下記のように分類できる。
【0148】
(A)2官能性シラン(Si230 (EtO)Si(CHCl、Si225 (EtO)SiCH=CH、A189 (EtO)Si(CHSH、Si69 [(EtO)Si(CH、si264 (EtO)Si-(CHSCN及びSi363 (EtO)Si((CH-CHO)(CH12CH(CHSH)(Evonic Industries AG)が挙げられるが、これらに限らない)
(B)1官能性シラン(Si203 (EtO)-Si-C及びSi208 (EtO)-Si-C17が挙げられるが、これらに限らない)
【0149】
シランカップリング剤のさらなる例は、国際特許出願第PCT/US2009/045553に示されており、ビス-(3-ヒドロキシ-ジメチルシリル-プロピル)テトラスルフィド、ビス-(3-ヒドロキシ-ジメチルシリル-プロピル)-ジスルフィド、ビス-(2-ヒドロキシ-ジメチルシリル-エチル)テトラスルフィド、ビス-(2-ヒドロキシ-ジメチルシリル-エチル)ジスルフィド、3-ヒドロキシ-ジメチルシリル-プロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド及び3-ヒドロキシ-ジメチルシリル-プロピルベンゾチアゾール-テトラスルフィドが挙げられるが、これらに限らない。
【0150】
架橋エラストマー性ポリマーの調製方法
したがって、さらに別の態様では、本発明は、架橋エラストマー性ポリマーの調製方法であって、(1)本発明の第1の態様によるポリマーブレンドまたは本発明の第2の態様によるポリマー組成物を用意する工程と、(2)1つ以上のフィラーと、任意に応じて少なくとも1つ以上のシランカップリング剤を加えて、前記混合物を混ぜ合わせる工程と、(3)加硫剤と、任意に応じて少なくとも1つ以上の加硫促進剤を、工程(2)の混合物に加えて、前記混合物を架橋する工程とを含む前記方法に関する。
【0151】
工程(1)~(3)は、本発明によるポリマーブレンドまたはポリマーブレンドを含むポリマー組成物を混ぜ合わせることと、ポリマーブレンドを含むポリマー組成物を加硫することに関し、これらの工程は、従来の混合/加硫装置を用いて行ってよい。架橋エラストマー性ポリマーの調製方法で用いる従来のフィラー(複数可)、シランカップリング剤(複数可)、加硫剤(複数可)及び加硫促進剤(複数可)については、すでに上で説明した。
【0152】
架橋エラストマー性ポリマー、物品及びポリマーキット
本発明はさらに、上記の方法に従って得られる架橋エラストマー性ポリマーに対するものである。
【0153】
さらに、本発明は、本発明によるポリマーブレンドを含むポリマー組成物または上記の方法に従って得られる前記架橋エラストマー性ポリマーを含む物品に関する。好ましい実施形態では、本発明による物品は、タイヤ、タイヤトレッド、タイヤサイドウォール、コンベヤーベルト、シールまたはホースである。さらに、本発明は、(II.1)本発明によるポリマーブレンドまたは(II.2)本発明によるポリマー組成物を含むポリマーキットに関する。
【0154】
定義
上で定義したようなアルキル基は、そのままの形態であるか、またはアルキルアリールもしくはアルコキシのように、他の基と関連するかを問わず、直鎖アルキル基(メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(Pr)、n-ブチル(Bu)、n-ペンチル、n-ヘキシルなど)、分岐アルキル基(イソプロピル、tert-ブチルなど)、及び環状アルキル基(シクロヘキシルなど)のいずれをも含む。
【0155】
本明細書に定められているようなアルコキシ基は、メトキシ(MeO)、エトキシ(EtO)、プロポキシ(PrO)、ブトキシ(BuO)、イソプロポキシ、イソブトキシ、ペントキシなどを含む。
【0156】
本明細書に定められているようなアリール基は、フェニル及びビフェニル化合物を含む。アリール基は好ましくは、芳香族環を1つのみ含み、最も好ましくはC芳香族環、すなわちベンゼンを含む。
【0157】
本明細書に定められているようなアルキルアリール基は、1つ以上のアルキル基に1つ以上のアリール基が結合した組み合わせ、例えば、アルキル-アリール、アリール-アルキル、アルキル-アリール-アルキル及びアリール-アルキル-アリールの形態を指す。アルキルアリール基は好ましくは、芳香族環を1つのみ含み、最も好ましくはC芳香族環を含む。
【0158】
本明細書に定められているようなホモポリマーまたはコポリマーは、微量の第2または第3のモノマー(例えば、ジビニルベンゼンなど)を、ポリマーの総重量に対して最大1重量パーセントの範囲など)含んでもよい。
【実施例0159】
下記の実施例は、本発明をさらに例示する目的て示されており、本発明を限定するものとして解釈すべきではない。室温または周囲温度は、約20℃の温度を指す。いずれの重合も、湿気と酸素を遮断して、窒素雰囲気で行った。
【0160】
試験方法
サイズ排除クロマトグラフィー
ポリマーの分子量と分子量分布はそれぞれ、標準ポリスチレン換算のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて測定した。各ポリマーサンプル(9~11mg)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解して、溶液を形成した。0.45μmのフィルターを用いて、この溶液をろ過した。100μlのサンプルをGPCカラム(3PLgel 10μm MIXED-Bカラムを備えたHewlett Packardのシステム1100)に入れた。分子量を解析するための検出因子として、屈折率の検出を用いた。分子量は、Polymer Laboratories製の標準ポリスチレンEasiCal PS1(Easy A及びB)によって較正したポリスチレン換算として算出した。数平均分子量(M)の数字と重量平均分子量(M)の数字は、標準ポリスチレン換算で得たものである。分子量分布は、分散度D=M/Mとして表されている。
【0161】
モノマー転化率を測定するための解析
モノマー転化率は、重合の終了時に、ポリマー溶液の固体濃度(TSC)を測定することによって割り出した。最大固形分は、最終的なポリマーにおいて、仕込んだブタジエン(mBd)及びスチレン(mSt)が100wt%転化した場合として、TSCmax=(mBd+mSt)/(mBd+mSt+m極性剤+mNBL+mシクロヘキサン)×100%によって得る。予測されるモノマー転化率に応じて、約1g~約10gの範囲のポリマー溶液サンプルを直接、反応器から、エタノール(50mL)の入った200mLの三角フラスコに取り出した。サンプリング前(「A」)及びサンプリング後(「B」)に、充填された三角フラスコの重量を測定した。秤量したろ紙(マイクログラスファイバー紙、φ90mm、MUNKTELL、重量「C」)でろ過することによって、沈殿したポリマーをエタノールから除去し、水分計HR73(Mettler-Toledo)を用いて、140秒以内の質量減少が1mg未満になるまで、140℃で乾燥した。最終的に、90秒以内の質量減少が1mg未満になったらスイッチオフすることを用いて、第2の乾燥期間を行い、ろ紙上に、最終的な質量「D」の乾燥サンプルを得た。サンプル中のポリマー含有量をTSC=(D-C)/(B-A)×100%として算出した。最終的なモノマー転化率は、TSC/TSCmax×100%として算出した。
【0162】
ガラス(転移)温度Tの測定
ガラス転移温度は、DSC Q2000という装置(TA instruments)を用いて、ISO11357-2(1999)に記載されているようにして、下記の条件で割り出した。
重量:約10~12mg
サンプル容器:標準的なアルミナパン
温度範囲:(-140...80)℃
加熱速度:20K/分
冷却速度:自由放冷
パージガス:20ml Ar/分
冷却剤:液体窒素
評価方法:変曲法
【0163】
各サンプルは、少なくとも1回測定した。測定には、2回の加熱作業を含めた。2回目の加熱作業を用いて、ガラス転移温度を割り出した。
【0164】
H-NMR
H-NMRを用いて、ISO21561-2005に従って、NMR分光計IBRUKER Avance(400MHz)と5mmデュアルプローブを使用して、ビニル及び全スチレン含有量を測定した。CDCl/TMSを0.05%:99.95%の重量比で、溶媒として使用した。
【0165】
VOC排出量の測定
RTG220を用いて、揮発性有機化合物(VOC)の排出量を比較した。受け取ったサンプルのそれぞれの標本を不活性ガスパージ下、10K/分で、室温から最大800℃まで加熱した。現れた質量変化と熱効果を記録した。
【0166】
ブリードアウトの測定
ゴムブレンドのムーニー粘度を割り出した後、ムーニーチャンバーから取り出した標本について、ブリードアウトを調べた。22gのゴムブレンドをムーニーチャンバーに入れた。チャンバーを閉じて、ASTM D1646に従って、測定を行った。測定が終わった後に、標本をチャンバーから取り出し、冷却し、紙とホイルの間に入れた。続いて、標本に2kgの重みを加え、数カ月、室温で保管した。紙の接触面を毎月、目で見て制御した。
【0167】
レオロジー特性の測定
硬化特性、特に、硬化するまでの時間(t95)を特徴付けるために、ローターレス剪断レオメーター(MDR2000E)を用いて、ASTM D5289-95による未加硫レオロジー特性の測定を行った。「t95」の時間は、加硫反応の95%転化を達成するために必要な各時間である。
【0168】
加硫物化合物の特性
DIN摩耗量、引張強度及びtanδの測定用に、試験片をt95によって160℃で加硫した。
【0169】
引張強度及びモジュラス
引張強度とモジュラスは、ASTM D412に従って、Zwick Z010で測定した。
【0170】
摩耗量
DIN摩耗量は、DIN53516(1987-06-01)に従って測定した。値が大きいほど、耐摩耗性が低い。
【0171】
ショアA硬度及び反発弾性
ショアA硬度(ASTM D2240)と反発弾性(ISO4662)は、0℃、RT及び60℃で測定した。
【0172】
損失係数tanδ
損失係数tanδ(「tan d」としても知られている)は、Gabo Qualimeter Testanlagen GmbH(ドイツ)製の動的スペクトロメーターEplexor150N/500Nを用いて、2Hzの周波数で、1%の引張動歪を加えて、0℃及び60℃で測定した。
【0173】
ポリマーの調製
高分子量ポリマーA
下記の手順に従って、4つのバッチを得た。空気を含まない窒素パージした40Lのステンレス鋼製反応器に、乾燥シクロヘキサン(mシクロヘキサン=20642g)を加え、1,3-ブタジエン(mBd=677g)、スチレン(mst=941g)及びTMEDA(極性剤、4.72mmol)を反応器に入れた(TMEDA/活性n-ブチルリチウムのmol/mol=1.12)。この混合物を攪拌しながら55℃まで加熱した。この系における不純物を、n-ブチルリチウムの段階的添加によって滴定した。終点を判別して、ポンプによって、2分以内に、540kg/molの目的の分子量に相当する量(n-ブチルリチウム NBL、4.19mmol)のn-ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を加えることによって、重合を開始させた。そして、重合が開始された。反応器内の温度は、30分以内に85℃まで上昇し、その後は、この温度に一定に保った。60分の間にブタジエン(677g)を反応混合物に仕込み、この仕込みは、n-ブチルリチウムを仕込んでから15分後に開始した。30分後に、カップリング剤として、テトラメトキシシランを仕込んだ。20分後に、メタノールを仕込むことによって、残りのリビングポリマー鎖を停止した。IRGANOX1520の商品名で販売されている4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(Ciba、0.2phr)を老化防止剤として導入した。4つのバッチを混合し、得られたポリマーをGPCによって解析したところ、M=659617、M=1004402、D=1.52であった。ミクロ構造とスチレンブロック含有量を1H-NMRによって測定した。スチレン=39.6%、ビニル(1,2-ポリブタジエン、ブタジエン割合で算出)=24.2%、スチレンブロック部分=全スチレンの5%未満という結果が得られた。Tは、-31℃であることが分かった。
【0174】
高分子量ポリマーK
空気を含まない窒素パージした40Lのステンレス鋼製反応器に、乾燥シクロヘキサン(19628g)を加えた。この反応器に、1,3-ブタジエン(2269g)、スチレン(617g)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(32.44mmol)及びジビニルベンゼン(DVB)(1.644mmol)を入れた。この混合物を攪拌しながら40℃まで加熱した。この系における不純物を、n-ブチルリチウムの段階的添加によって滴定した。終点を判別して、ポンプによって、2分以内に、350kg/molの目的の分子量に相当する量(8.34mmol)のn-ブチルリチウム(0.119mol/kgシクロヘキサン溶液)を加えることによって、重合を開始させた。そして、重合が開始された。反応器内の温度は、60分以内に60℃まで上昇し、その後は、この温度に一定に保った。115分後に、カップリング剤として、3-tert-ブチルジメチルシリルチオプロピルトリメトキシシラン(2.19mmol)を仕込んだ。30分後にブタジエン(46.7g)を加え、その後、3-tertブチルジメチルシリルチオプロピルジメトキシメチルシラン(5.89mmol)を仕込むことによって、残りのリビングポリマー鎖を変性した。最終的に、30分後にメタノールを仕込み(41g)、IRGANOX1520の商品名で販売されている4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(Ciba、0.2phr)を老化防止剤として導入した。得られたポリマーをGPCによって解析したところ、M=581830、M=892501、D=1.53であった。ミクロ構造とスチレンブロック含有量を1H-NMRによって測定した。スチレン=21.3%、ビニル(1,2-ポリブタジエン、ブタジエン割合で算出)=64.3%、スチレンブロック部分=1%未満という結果が得られた。Tは、-20.3℃であることが分かった。
【0175】
低分子量ポリマーB
シクロヘキサン5112g、2,2-ジテトラヒドロフリルエーテル(DTHFP、極性剤)1.6g及びn-ブチルリチウム55.3g(3.154mmol/g)を10lの反応器に仕込み、40℃まで加熱した。30分の間に、4kg/molの目的の分子量に相当するブタジエン697gを反応器に仕込んだ。この重合混合物の温度は、重合熱により、45分以内に75℃まで上昇した。リビングポリマー鎖をメタノールによって停止し、IRGANOX1520の商品名で販売されている4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール0.25phrを加えることによって安定化した。ポリマー鎖の官能化は行わなかった。分子量をポリスチレン換算で割り出したところ、M7540g/molであった。この組成物は、ビニル含有量が30%、1.4-含有量が70%であることが分かった。Tは、-80.9℃であることが分かった。
【0176】
低分子量ポリマーC
ポリマー鎖末端を官能化するために、メタノールの代わりに、変性化合物(C)の(MeO)(Me)Si-(CH-S-SiMeC(Me)を仕込んだ以外は、ポリマーBに関して上記したようにして、ポリマーを作製した。60分反応後、残りのリビングポリマー鎖をメタノールによって停止し、Irganox1520を0.25phr加えることによって、ポリマーを安定化した。
【0177】
低分子量ポリマーD
ポリマー鎖末端を官能化するために、変性化合物(C)の代わりに、変性化合物(B)の(MeO)(Me)Si-(CH-S-SiMeC(Me)を仕込んだ以外は、ポリマーCに関して上記したようにして、ポリマーを作製した。
【0178】
低分子量ポリマーE
シクロヘキサン5192g、TMEDA24.72g及びn-ブチルリチウム44.3g(3.154mmol/g)を5lの反応器に仕込み、40℃まで加熱した。30分の間、5kg/molの目的の分子量に相当するブタジエン504g及びスチレン176gを平行に、反応器に仕込んだ。この重合混合物の温度は、重合熱により、30分で60℃まで上昇した。30分後、メタノールを停止剤として用いて、リビングポリマーを停止した。ポリマー鎖の官能化は行わなかった。ポリマーEの分子量をポリスチレン換算で割り出したところ、M8383g/molであった。この組成物は、スチレンが26.6%、ビニル含有量が65%であることが分かった。Tは、-17.8℃であることが分かった。
【0179】
低分子量ポリマーF
ポリマー鎖末端を官能化するために、メタノールの代わりに、変性化合物(B)の(MeO)(Me)Si-(CH-S-SiMeC(Me)を仕込んだ以外は、ポリマーEに関して上記したようにして、ポリマーを作製した。この塊を60分間攪拌し、変性反応を完結させた。残りのリビングポリマー鎖をメタノールによって停止し、Irganox1520を0.25phr加えることによって安定化した。
【0180】
低分子量ポリマーG
重合開始剤として、n-ブチルリチウムの代わりに、変性化合物(D)のLi-(CH)(Me)Si-N-(C2*(CHN-CHCH-N(CHを用いることと、第2の鎖末端を官能化するために、変性化合物(B)の代わりに、変性化合物(C)の(MeO)(Me)Si-(CH-S-SiMeC(Me)を仕込んだことを除いて、ポリマーFに関して上記したようにして、ポリマーを作製した。
【0181】
低分子量ポリマーH
ポリマー鎖末端を官能化するために、変性化合物(C)の代わりに、変性化合物(E)のn-メチルピロリドンを仕込んだことを除いて、ポリマーCに関して上記したようにして、ポリマーを作製した。
【0182】
低分子量ポリマーI
シクロヘキサン4525g、2,2-ジテトラヒドロフリルエーテル(DTHFP、極性剤)57.84g及びn-ブチルリチウム97.77g(3.154mmol/g)を10lの反応器に仕込み、25℃まで加熱した。60分の間に、2kg/molの目的の分子量に相当するスチレン618gを反応器に仕込んだ。重合混合物の温度は、重合熱により、40℃まで、30分以内に上昇した。60分後に、ポリマー溶液2724gを取り出し、メタノールによって停止し、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを0.25phr加えることによって、得られたポリマー(I1)を安定化した。変性化合物(B)の(MeO)(Me)Si-(CH-S-SiMeC(Me)を53.24g仕込むことによって、残りのリビングポリマー鎖を官能化した。60分反応後、残りのリビングポリマー鎖をメタノールによって停止し、Irganox1520を0.25phr加えることによって、ポリマー(I2)安定化した。分子量をポリスチレン換算で割り出したところ、M2263g/molであった。Tは、11.5℃であることが分かった。
【0183】
ポリマーブレンドの調製
上記のポリマー溶液を用いて、本発明によるポリマーブレンドを調製した。
【0184】
SSBR1(比較例)
ポリマーAのポリマー溶液をTDAE油と混合して、ポリマーA77重量パーセントと、TDAE23重量パーセントとからなるポリマーを得た。続いて、このポリマーを溶液から、スチームストリッピングによって、100℃で回収し、小さいクラムに粉砕し、空気循環オーブンで、70℃で30分乾燥した。最終的に、残存揮発分の含有量が0.75%未満になるまで、そのポリマークラムを周囲条件下、空中で乾燥した。
【0185】
SSBR2(比較例)
ポリマーBのポリマー溶液をポリマーAのポリマー溶液と混合して、ポリマーA77重量パーセントとポリマーB23重量パーセントという比からなるポリマーを得た。続いて、このポリマーを溶液から、スチームストリッピングによって、100℃で回収し、小さいクラムに粉砕し、空気循環オーブンで、70℃で30分乾燥した。最終的に、残存揮発分の含有量が0.75%未満になるまで、そのポリマークラムを周囲条件下、空中で乾燥した。
【0186】
SSBR3
ポリマーCのポリマー溶液をポリマーAのポリマー溶液と混合して、ポリマーA77重量パーセントとポリマーC23重量パーセントという比からなるポリマーを得た。続いて、このポリマーを溶液から、スチームストリッピングによって、100℃で回収し、小さいクラムに粉砕し、空気循環オーブンで、70℃で30分乾燥した。最終的に、残存揮発分の含有量が0.75%未満になるまで、そのポリマークラムを周囲条件下、空中で乾燥した。
【0187】
SSBR4
ポリマーDのポリマー溶液をポリマーAのポリマー溶液と混合して、ポリマーA77重量パーセントとポリマーD23重量パーセントという比からなるポリマーを得た。続いて、このポリマーを溶液から、スチームストリッピングによって、100℃で回収し、小さいクラムに粉砕し、空気循環オーブンで、70℃で30分乾燥した。最終的に、残存揮発分の含有量が0.75%未満になるまで、そのポリマークラムを周囲条件下、空中で乾燥した。
【0188】
SSBR5(比較例)
ポリマーAのポリマー溶液をポリマーEのポリマー溶液と混合して、ポリマーA77重量パーセントとポリマーE23重量パーセントという比からなるポリマーを得た。続いて、このポリマーを溶液から、スチームストリッピングによって、100℃で回収し、小さいクラムに粉砕し、空気循環オーブンで、70℃で30分乾燥した。最終的に、残存揮発分の含有量が0.75%未満になるまで、そのポリマークラムを周囲条件下、空中で乾燥した。
【0189】
SSBR6
ポリマーFのポリマー溶液をポリマーAのポリマー溶液と混合して、ポリマーA77重量パーセントとポリマーF23重量パーセントという比からなるポリマーを得た。続いて、このポリマーを溶液から、スチームストリッピングによって、100℃で回収し、小さいクラムに粉砕し、空気循環オーブンで、70℃で30分乾燥した。最終的に、残存揮発分の含有量が0.75%未満になるまで、そのポリマークラムを周囲条件下、空中で乾燥した。
【0190】
SSB7
ポリマーGのポリマー溶液をポリマーAのポリマー溶液と混合して、ポリマーA77重量パーセントとポリマーG23重量パーセントという比からなるポリマーを得た。続いて、このポリマーを溶液から、スチームストリッピングによって、100℃で回収し、小さいクラムに粉砕し、空気循環オーブンで、70℃で30分乾燥した。最終的に、残存揮発分の含有量が0.75%未満になるまで、そのポリマークラムを周囲条件下、空中で乾燥した。
【0191】
SSBR8(比較例)
ポリマーKのポリマー溶液をTDAE油と混合して、ポリマーK77重量パーセントとTDAE23重量パーセントとからなるポリマーを得た。続いて、このポリマーを溶液から、スチームストリッピングによって、100℃で回収し、小さいクラムに粉砕し、空気循環オーブンで、70℃で30分乾燥した。最終的に、残存揮発分の含有量が0.75%未満になるまで、そのポリマークラムを周囲条件下、空中で乾燥した。
【0192】
SSBR9
ポリマーKのポリマー溶液をポリマーGのポリマー溶液と混合して、ポリマーK77重量パーセントとポリマーG23重量パーセントという比からなるポリマーを得た。続いて、このポリマーを溶液から、スチームストリッピングによって、100℃で回収し、小さいクラムに粉砕し、空気循環オーブンで、70℃で30分乾燥した。最終的に、残存揮発分の含有量が0.75%未満になるまで、そのポリマークラムを周囲条件下、空中で乾燥した。
【0193】
2段階式の混合/架橋による、ポリマー組成物及び対応する加硫物の調製
上記の溶液のスチレンブタジエンポリマー(SSBR)材料を用いて、本発明によるポリマー組成物を調製した。このポリマー組成物は、表1に示されている配合に従って、標準的な2段階式の混合レシピで、シリカをフィラーとして用いて、チャンバー総容積が370cmであるバンバリーローターのタイプを含むインターナルラボミキサーで、混練りによって混合した。
【0194】
用いた試薬は、表1に定められている。
【0195】
72%の充填度で、50℃の初期温度を用いて、第1の混合工程を行った。ポリマー組成物、フィラー及び工程1用の配合に記載されているその他のすべての成分を加えた後、インターナルミキサーのローター回転数を制御して、最大で4分間、145℃~160℃の温度範囲に達するようにして、シラン化反応が発生できるようにする。第1の工程の合計混合時間は、7分である。この化合物を取り出した後、その混合物を冷却し、緩和のために保管してから、第2の混合工程で硬化系を加える。
【0196】
【表1】
【0197】
第2の混合工程は、同じ装置で、初期温度50℃で69%の充填率を用いることによって行った。第1の混合工程から得た化合物と、加硫剤としての硫黄と、促進剤のDPG及びTBBSを加えて、合計3分の時間、混合した。
【0198】
得られた加硫物の加硫物性能について調べた。
【0199】
結果
ポリマーブレンドのVOCの排出:
VOCの排出を調べた結果が、下記の表2に示されている。本発明によるポリマーブレンドでは、VOC排出の有意な改善が示され、すなわち、質量減少開始温度が高くなり、300℃までの質量減少が低下する。
【0200】
【表2】
【0201】
ブリードアウト:
すべての新規SSBRサンプルにおいて、ポリマー油と高分子量SSBRの相溶性にかかわらず、ブリードアウトは観察されなかった。
【0202】
架橋ポリマー組成物(加硫物)の性能:
次に、本発明による架橋ポリマー組成物(加硫物)の重要な性能属性を解析した。対応する試験の結果は、表3に示されている。
【0203】
下記の表3に示されているように、低分子量成分(b)を含まないTDAE油展スチレン-ブタジエン-コポリマー(比較例1、すなわちSSBR1、比較例4、すなわちSSBR8)または非官能化低分子量ポリマーで伸展されているに過ぎないスチレン-ブタジエン-コポリマー(比較例2、すなわちSSBR2または比較例3、すなわちSSBR5)を含むポリマー組成物と比較すると、本発明によるポリマーブレンド(実施例1、すなわちSSBR3、実施例2、すなわちSSBR4、実施例3、すなわちSSBR6、実施例4、すなわちSSBR7、実施例5、すなわちSSBR9)を含むポリマー組成物が、モジュラス(M300及びM300-M100)の有意な上昇とともに、60℃におけるtan dの有意な改善(すなわち、値の低下)と、同様(すなわち、DINの方法の測定誤差内)の摩耗減量における、60℃での反発弾性の有意な改善(すなわち、値の向上)(タイヤの転がり抵抗のラボレベルの予測因子である)と、同程度の発熱性(HBU)によって特徴付けられることが分かった。
【0204】
色:
加えて、本発明によるポリマーブレンド及び/またはポリマー組成物は、半透明から白までの色によって特徴付けられ、すなわち、本発明によるポリマーブレンド及び/またはポリマー組成物の製造後に、強力な洗浄は不要である。
【0205】
【表3】
【外国語明細書】