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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051903
(43)【公開日】2022-04-01
(54)【発明の名称】床材およびその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/00 20060101AFI20220325BHJP
【FI】
E04F15/00 601B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018740
(22)【出願日】2022-02-09
(62)【分割の表示】P 2018085229の分割
【原出願日】2018-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】梅田 直輝
(57)【要約】
【課題】本発明の解決しようとする課題は、下地上に敷設して使用する床材であって、敷設時には接着性が無いため、位置決めや貼り直しが容易に可能であり、敷設が完了した段階で、電磁誘導加熱装置を用いて固着処理を行う事により、始めて接着性が発揮されて施工が完了する易施工性の床材およびその施工方法を提案するものである。
【解決手段】表面化粧層2と基材層4を有する床材であって、裏面に部分的に設けられた接着剤層9を有し、該接着剤層9を覆うように、電磁誘導加熱によって発熱する熱溶融性樹脂組成物層10が設けられていることを特徴とする床材である
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面化粧層と基材層を有する床材であって、裏面に部分的に設けられた接着剤層を有し、該接着剤層を覆うように、電磁誘導加熱によって発熱する熱溶融性樹脂組成物層が設けられていることを特徴とする床材。
【請求項2】
前記接着剤が、主剤と硬化剤が混合することによって硬化する2液硬化型接着剤であり、接着剤層は、主剤層と硬化剤層が交互に配置されていて、前記熱溶融性樹脂組成物層によって隔離されていることを特徴とする請求項1に記載の床材。
【請求項3】
前記接着剤が、主剤と硬化剤が混合することによって硬化する2液硬化型接着剤であり、接着剤層は、主剤層と硬化剤層が上下に配置されていて、前記熱溶融性樹脂組成物層によって隔離されていることを特徴とする請求項1に記載の床材。
【請求項4】
床材の裏面と前記接着剤層との間に、不織布層を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の床材。
【請求項5】
基材層の下に、発泡樹脂からなる緩衝層を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の床材。
【請求項6】
床材の前後および左右に嵌合突起と嵌合溝を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の床材。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の床材を下地面に敷設し、整合せしめた後、床材の表面側から電磁誘導加熱を行って熱溶融性樹脂組成物層を溶融せしめることを特徴とする床材の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材および床材の施工方法に関し、特に床材の貼り間違いや施工ミス等の修正が容易に可能な床材およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
床材としては、さまざまな材質や形状の床材が用いられている。一般的な戸建住宅においては、多くの場合あまり頻繁に床材を貼り換えることはないが、賃貸住宅や店舗においては、比較的頻繁に貼り換えや部分補修が行われる。
【0003】
このような用途に用いられる床材としては、しっかりした恒久的に使用可能な下地の上に、比較的厚さの薄い床材を施工して、貼り換え時には、表面の薄い床材のみを交換する方が合理的である。また、部分的に損傷した場合にも、全面を貼り換えるのではなく、損傷した部分を含むなるべく小面積の部分のみの交換で済ませられることが望ましい。
【0004】
そこで近年、比較的小面積の床材を繋ぎ合わせて、任意の大面積に施工することのできる床材が注目されている。これらの床材の例としては、例えば厚さが3~4mm程度で、幅が15cm程度、長さが90cm程度の大きさであり、前後左右に繋ぎ合わせるための雄実と雌実が加工してあるもの等がある。
【0005】
これらの床材の材質としては、木質繊維に熱硬化性樹脂を含浸して固めた木質繊維板や、木粉と熱可塑性樹脂を混練した樹脂組成物を金型から連続的に押出して成形した木質樹脂基材等が用いられる。特に後者の場合、連続的に生産できることから、生産性が良く、また表面に化粧層を貼り合わせることも同様に連続的にできるため、外観的にも優れた製品が得られる利点がある。
【0006】
このような床材を施工する方法としては、下地に接着剤を塗布してから、床材を敷き並べる方法や、予め床材の裏面に両面粘着テープが貼りつけられているものでは、離型紙を剥がした後に床材を所定の場所に圧着する方法が採られている。
【0007】
しかしながら、実際に施工してみると、職人の熟練度によっては、本来空けるべき隙間を空けなかったり、嵌合が不完全の状態で貼ってしまったり、同じ絵柄が並んでしまったり、接着剤の塗布むらに起因する仕上がりの不揃いといった問題が生じる場合が少なからずあった。
【0008】
これらの問題の原因の一つは、床材を貼った時点で床材が固着してしまい、後で手直しがし辛いからである。特に両面粘着テープの場合には、一旦貼り付けた床材を貼り直すことは困難である。特許文献1に記載された装飾用板材の接着固定方法は、この問題を解消するためになされたものであり、板材の裏面もしくは下地材のいずれか一方に両面粘着テープを部分的に貼付し、且つ両面テープよりも厚い厚みを有する発泡体シートを両面粘着テープが貼付されていないところに部分的に配置し、位置調整した後に、装飾用板材を下地材に対して加圧圧着する方法である。
【0009】
この特許文献1に記載された装飾用板材の接着固定方法は、単純な形状の装飾版には適用できるが、床材のように、前後左右に嵌合させながら貼り合わせていくものには、残念ながら適用が困難である。しかし考え方としては同様であり、前後左右に嵌合するような床材の施工方法としても、粘着性のない状態で床材を敷設して、位置合わせや柄合わせが確認できた後に、最終的に接着固定することができれば理想的であると言える。
特許文献2に記載された床材敷設方法は、従来コンビニエンスストアの床面にセラミックタイルを敷設する際に、モルタルの下地材を打設したのち、下地材の表面にモルタルによりセラミックタイルを貼り付けていたが、下地材の平面度が低いために、敷設された各セラミックタイルの表面を所定平面に一致させるのが困難であった問題を解決するためになされたものである。
【0010】
この特許文献2に記載された床材敷設方法は、まず床面上にセルフレベリング性スラリー組成物を流し込み、乾燥させて下地材を設けた後、この下地表面上に樹脂発泡体またはゴム発泡体からなる下地材側緩衝材を設け、一方床材本体には、床材の裏面に金属製の接着用ディスクを複数枚接着し、この接着用ディスクにはホットメルト接着剤が塗布されており、床材本体(セラミックタイル)を下地上に並べた後、これと同形状の位置決め板を載置し、位置決め板に床材本体の接着用ディスクの位置に合わせて開けられた孔に高周波電磁誘導加熱機の誘導加熱コイル部を挿入して接着用ディスクに高周波を照射してホットメルト接着剤を溶融し、床材本体を下地材に固定するというものである。
【0011】
この特許文献2に記載された方法は、床材本体の裏面に複数の金属製の接着用ディスクを接着するものであるが、セラミックタイルのように、本体が十分な剛性を持ったものには適用することができるが、本発明に係る床材のように、前後左右を嵌合させるためにある程度の柔軟性を必要とするような床材には適用することが出来なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000-226557号公報
【特許文献2】特許第5124837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の解決しようとする課題は、下地上に敷設して使用する床材であって、敷設時には接着性が無いため、位置決めや貼り直しが容易に可能であり、敷設が完了した段階で、電磁誘導加熱装置を用いて固着処理を行う事により、始めて接着性が発揮されて施工が完了する易施工性の床材およびその施工方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(削除)
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、表面化粧層と基材層を有する床材であって、裏面に部分的に設けられた接着剤層を有し、該接着剤層を覆うように、電磁誘導加熱によって発熱する熱溶融性樹脂組成物層が設けられていることを特徴とする床材である。
請求項2に記載の発明は、前記接着剤が、主剤と硬化剤が混合することによって硬化する2液硬化型接着剤であり、接着剤層は、主剤層と硬化剤層が交互に配置されていて、前記熱溶融性樹脂組成物層によって隔離されていることを特徴とする請求項1に記載の床材である。
請求項3に記載の発明は、前記接着剤が、主剤と硬化剤が混合することによって硬化する2液硬化型接着剤であり、接着剤層は、主剤層と硬化剤層が上下に配置されていて、前記熱溶融性樹脂組成物層によって隔離されていることを特徴とする請求項1に記載の床材である。
請求項4に記載の発明は、床材の裏面と前記接着剤層との間に、不織布層を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の床材である。
【0015】
(削除)
請求項5に記載の発明は、基材層の下に、発泡樹脂からなる緩衝層を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の床材である。
【0016】
請求項6に記載の発明は、床材の前後および左右に嵌合突起と嵌合溝を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の床材である。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6のいずれか1項に記載の床材を下地面に敷設し、整合せしめた後、床材の表面側から電磁誘導加熱を行って熱溶融性樹脂組成物層を溶融せしめることを特徴とする床材の施工方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る床材は、裏面に電磁誘導加熱によって発熱、溶融する熱溶融性樹脂組成物層が設けられており、下地に敷設する段階では、裏面が粘着性や接着性を有しない。このため、位置決めや、貼り直しが容易に可能である。敷設後に整合が完了した段階で、表面側から電磁誘導加熱装置によって熱溶融性樹脂組成物層を溶融せしめて、床材を所定の場所に固着することができる。このため、現場で接着剤を塗布する手間が省け、極めて施工性が良好である。
【0019】
また、接着剤を使用していない場合には、下地との強固な接着性は得られない反面、部分的に補修するような場合に、表面側から電磁誘導加熱装置によって加熱することにより、必要な部分のみを容易に剥離することができる。
【0020】
請求項1に記載の発明のように、床材の裏面に部分的に設けられた接着剤層を有し、該接着剤層を覆うように、電磁誘導加熱によって発熱する熱溶融性樹脂組成物層が設けられている場合には、床材を敷設後に、整合が完了した段階で、表面側から電磁誘導加熱装置によって熱溶融性樹脂組成物層を溶融せしめて、接着剤を活性化することができ、恒久的かつ強固な接着施工を行うことができる。
【0021】
請求項2または3に記載の発明のように、接着剤を、主剤と硬化剤が混合することによって硬化する2液硬化型接着剤とすることにより、さらに強固な接着性を得ることができる。
【0022】
請求項4に記載の発明のように、床材の裏面と前記接着剤層との間に、不織布層を設けた場合には、電磁誘導加熱によって溶融した熱溶融性樹脂組成物層が不織布層に吸収されて、接着剤層が最下面に露出しやすくなるという効果を発揮する。
【0023】
(削除)
請求項5に記載の発明のように、基材層の下に、発泡樹脂からなる緩衝層を設けた場合には、下地の不陸を吸収する能力が向上し、施工後の仕上がりが良好となる。
【0024】
請求項6に記載の発明のように、床材の前後および左右に嵌合突起と嵌合溝を備えた床材の場合には、一枚の単位面積は小さくても、大面積に亘って整合した施工が可能となる。
【0025】
本発明に係る床材の施工方法は、床材を下地面に敷設し、整合した後に表面側から電磁誘導加熱装置を押し当てて高周波または低周波を付与し、これによって熱溶融性樹脂組成物層を溶融せしめる施工方法であるため、貼り間違いや、嵌合不十分や、曲がりなどの施工不良が生じ難く、施工性が良好である。
【0026】
また、接着剤を用いない場合には、施工後に部分補修をする際、必要な部分だけを剥離
することが容易に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明に係る床材の一実施態様を示した平面模式図である。
図2図2は、図1に示した床材の横断面を模式的に示した断面説明図である。
図3図3は、本発明に係る床材の他の実施態様を模式的に示した断面説明図であり、裏面に接着剤層を部分的に配置した例である。
図4図4は、図3に示した床材の接着剤層の配置を示した平面説明図である。
図5図5は、本発明に係る床材の他の実施態様を模式的に示した断面説明図であり、接着剤層の主剤層と硬化剤層を交互に配置した例である。
図6図6は、図5に示した床材の接着剤層の配置を示した平面説明図である。
図7図7は、本発明に係る床材の他の実施態様を模式的に示した断面説明図であり、接着剤層の主剤層と硬化剤層を上下に配置した例である。
図8図8は、本発明に係る床材の他の実施態様を模式的に示した断面説明図であり、床材の裏面と接着剤層との間に、不織布層を配置した例である。
図9図9は、本発明に係る床材の他の実施態様を模式的に示した断面説明図であり、床材の裏面に金属層を配置した例である。
図10図10は、本発明に係る床材の施工方法を模式的に示した断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下図面を参照しながら、本発明に係る床材およびその施工方法について説明する。図1は、本発明に係る床材の一実施態様を示した平面模式図であり、図2は、図1に示した床材の横断面を模式的に示した断面説明図である。
【0029】
本発明に係る床材1は、図2に模式的に示したように表面化粧層2と基材層4を少なくとも有する床材であって、裏面に電磁誘導加熱によって発熱、溶融する熱溶融性樹脂組成物層10が設けられていることを特徴とする。図2では、基材層4の表面に表面化粧層2を接着するための接着層3が用いられている。接着層3としては、基材層4の材質と表面化粧層2の材質に応じて、公知の各種接着剤が用いられる。
【0030】
床材1の形状や大きさについては特に限定されるものではないが、図1に示した例では、幅が10cm~20cm程度で長さが30cm~90cm程度の細長い形状を持ち、前後左右に嵌合突起12と、これに嵌合する嵌合溝13を備えたものである。
【0031】
このような形状、構造を有する床材は、互いに嵌合しながら大面積に施工することができ、部分的に損傷した場合には、その部分だけを除去して貼り直すことができるので、合理的である。
【0032】
本発明に係る床材1は、裏面に電磁誘導加熱によって発熱、溶融する熱溶融性樹脂組成物層10が設けられているが、この熱溶融性樹脂組成物は、常温では固体であり、粘着性や接着性を有しない。このため、図10に示したように、床下地15に敷設して位置合わせや、柄合わせが完了して整合性がとれた段階で、表面側から電磁誘導加熱装置20を押し当てて、電磁誘導加熱を行うことにより、熱溶融性樹脂組成物層10を溶融させ、そのまま冷却することにより、床材を床下地15に固着せしめることができる。
【0033】
このように、本発明に係る床材は、従来の床材のように、下地に接着剤を塗布したり、あるいは床材の裏面に予め貼付されていた両面粘着テープの離型紙を剥がしたりする手間が不要である。また、従来の床材では、敷設後の位置直しや貼り直しが困難であったものが、容易に可能となり、施工性が大幅に向上した。
【0034】
本発明に係る床材に用いる熱溶融性樹脂組成物としては、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等公知の熱可塑性樹脂に、誘導電流によって発熱するような材料すなわち鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属片または金属粉、黒鉛等を分散させたものを用いることができる。
【0035】
熱可塑性樹脂としては、上記ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂を初めとする各種ポリオレフィン系樹脂の他、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等に加え、各種ホットメルトタイプの接着剤を用いることができる。
【0036】
図3は、本発明に係る床材の他の実施態様を模式的に示した断面説明図であり、裏面に接着剤層9を部分的に配置した例である。また図4は、図3に示した床材の接着剤層9の配置を示した平面説明図である。接着剤層9は、全面に設けず、このように部分的に設けて周囲を熱溶融性樹脂組成物層10で覆うことにより、接着剤の粘着性等が発現しないようにすることが出来る。
【0037】
図3、4に示した例では、接着剤層9を縦ストライプ状に配置している。特に図示しないが、接着剤層9は、横ストライプ状あるいは斜めストライプ状、格子状、斜め格子状等任意のパターン状に配置することができる。
【0038】
図3に示したような構成の床材は、図1、2に示した床材と同様に、表面から電磁誘導加熱装置によって加熱することにより、熱溶融性樹脂組成物層10が溶融し、接着剤層9が最外面に出現して活性化する結果、下地に対して強固に接着する。
【0039】
またこの例では、床材1の基材層4の下に、接着剤層5を介して緩衝層6が設けられている。緩衝層6は、下地に凹凸や段差等の不陸が存在した場合でもこれを吸収して良好な仕上り面が得られる効果がある。緩衝層6としては、各種発泡樹脂を用いることができる。具体的には、発泡ポリエチレン樹脂、発泡ポリプロピレン樹脂、発泡ポリスチレン樹脂、発泡ポリウレタン樹脂等の各種発泡樹脂材料を用いることができる。
【0040】
図5は、本発明に係る床材の他の実施態様を模式的に示した断面説明図であり、接着剤層の主剤層9aと硬化剤層9bを交互に配置した例である。図6は、図5に示した床材の接着剤層の配置を示した平面説明図である。この例では、接着剤層は、主剤と硬化剤が混合することによって硬化する2液硬化型接着剤であり、接着剤層は、主剤層9aと硬化剤層9bが同一平面上に交互に配置されていて、熱溶融性樹脂組成物層10によって隔離されている。このため、保存状態で主剤と硬化剤が混合して接着剤が硬化することはない。
【0041】
床材1を下地面に敷設後、表面側から電磁誘導加熱装置によって加熱することにより、熱溶融性樹脂組成物層10が溶融して、主剤と硬化剤とが混じり合い、床材は、下地面に強固に接着される。
【0042】
図7は、本発明に係る床材の他の実施態様を模式的に示した断面説明図であり、接着剤層の主剤層9aと硬化剤層9bを上下に配置した例である。接着剤の主剤と硬化剤をこのように上下に配置することにより、熱溶融性樹脂組成物層10が溶融した際の接着剤の混合は、より円滑に行われる。
【0043】
図8は、本発明に係る床材の他の実施態様を模式的に示した断面説明図であり、床材1の裏面と接着剤層9との間に、不織布層7を配置した例である。このように、不織布層7を設けることにより、熱溶融性樹脂組成物層10が加熱されて溶融した時に、この不織布層7に吸収されることにより、接着剤層9がより露出しやすくなる効果がある。
【0044】
図9は、本発明に係る床材の他の実施態様を模式的に示した断面説明図であり、床材1の裏面に金属層8を配置した例である。金属層8を設けることにより、表面側から電磁誘導加熱装置によって加熱した際に、この金属層8が誘導電流によって発熱するため、熱溶融性樹脂組成物層10としては、自己発熱しない熱可塑性樹脂組成物を用いることができる。
【0045】
このような熱可塑性樹脂組成物の例としては、既に述べた熱溶融性樹脂組成物10で、誘導電流によって発熱するような材料すなわち鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属片または金属粉、黒鉛等を含まないものを用いることができる。
【0046】
金属層8としては、アルミニウム板、薄鋼板、亜鉛めっき鋼板等の金属板や、鉄箔、アルミニウム箔等の金属箔を用いることができる。
【0047】
図10は、本発明に係る床材1の施工方法を模式的に示した断面説明図である。床下地15面に床材1を敷設し、必要な嵌合、ジョイント等を行う。柄の偏り等が無いことを確認する。また床材によっては、壁面との間に所定の空間を設ける必要があるので、この寸法等も確認し、すべての問題が無いことが確認できた後に、床材の表面に電磁誘導加熱装置20を載置し、加熱を行う。
【0048】
電磁誘導加熱装置20としては、市販の可搬型電磁誘導加熱装置を用いることができる。20kHz~50kHz程度の高周波を用いるものと、50Hz~60Hzの低周波を用いるものがあるが、深部浸透性の点では、低周波を用いるタイプが優っている。出力は、1kW~50kW程度から適宜選択することができる。
【符号の説明】
【0049】
1・・・床材
2・・・表面化粧層
3・・・接着層
4・・・基材層
5・・・接着剤層
6・・・緩衝層
7・・・不織布層
8・・・金属層
9・・・接着剤層
9a・・・主剤層
9b・・・硬化剤層
10・・・熱溶融性樹脂組成物層
12・・・嵌合突起
13・・・嵌合溝
15・・・床下地
20・・・電磁誘導加熱装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10