(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051938
(43)【公開日】2022-04-01
(54)【発明の名称】押縁用接続部材および建具
(51)【国際特許分類】
E06B 3/58 20060101AFI20220325BHJP
E06B 3/964 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
E06B3/58 B
E06B3/964 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019625
(22)【出願日】2022-02-10
(62)【分割の表示】P 2018143425の分割
【原出願日】2018-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】姫野 賢
(72)【発明者】
【氏名】荒川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 康臣
(72)【発明者】
【氏名】鎌野 裕介
(57)【要約】
【課題】押縁が収縮して押縁間に隙間が生じた場合に、隙間を目立たなくすることができ、押縁接合部の意匠性を向上できる押縁用接続部材および建具を提供すること。
【解決手段】押縁用接続部材50は、長手方向の端部を45度の角度で切断した小口43Aに開口する中空部435を備える縦押縁40Dおよび横押縁40Cの接続部に設けられる。押縁用接続部材50は、縦押縁40Dおよび横押縁40Cの小口間に介在される傾斜面板部51と、縦押縁40Dおよび横押縁40Cの一方の押縁40Cの中空部435に挿入されて固定される固定片部52と、縦押縁40Dおよび横押縁40Cの他方の押縁40Dの中空部に挿入される挿入部53とを備える。挿入部53は、押縁40C、40Dが収縮した際に、傾斜面板部51と他方の押縁40Dの小口との間に生じる隙間を隠す壁部として機能する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の端部を45度の角度で切断した小口に開口する中空部を備える縦押縁および横押縁の接続部に設けられる押縁用接続部材であって、
前記縦押縁および前記横押縁の小口間に介在される傾斜面板部と、
前記縦押縁および前記横押縁の一方の押縁の中空部に挿入されて固定される固定片部と、
前記縦押縁および前記横押縁の他方の押縁の中空部に挿入される挿入部と、を備え、
前記挿入部は、前記各押縁が収縮した際に、前記傾斜面板部と前記他方の押縁の小口との間に生じる隙間を隠す壁部として機能する
ことを特徴とする押縁用接続部材。
【請求項2】
建具枠と、
前記建具枠内に配置される面材と、
前記建具枠に取り付けられて前記面材を押さえる縦押縁および横押縁と、
押縁用接続部材と、を備え、
前記建具枠は、上枠、下枠および左右の縦枠で構成され、前記各枠の小口は45度の角度で切断されて突き合わせされて接合され、
前記縦押縁および前記横押縁は、長手方向に連続する中空部を備え、かつ、長手方向の端部の小口は長手方向に対して45度の角度で切断され、
前記押縁用接続部材は、
前記縦押縁および前記横押縁の小口間に介在される傾斜面板部と、
前記縦押縁および前記横押縁の一方の押縁の中空部に挿入して固定される固定片部と、
前記縦押縁および前記横押縁の他方の押縁の中空部に挿入される挿入部と、を備え、
前記挿入部は、前記各押縁が収縮した際に、前記傾斜面板部と前記他方の押縁の小口との間に生じる隙間を隠す壁部として機能する
ことを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項2に記載の建具において、
前記縦押縁および前記横押縁は長手方向の長さ寸法が異なり、
前記押縁用接続部材は、前記縦押縁および前記横押縁のうち、長手方向の長さ寸法が短い押縁に取り付けられる
ことを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具枠に取り付けられる押縁の接合部に設けられる押縁用接続部材、および、この押縁用接続部材を用いた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
窓枠や障子枠などの建具枠と、建具枠に取り付けた押縁とで、ガラス等の面材を挟持する建具において、合成樹脂製の押縁が外気温の変化によって伸縮した際に、押縁の突き合わせ部に生じた隙間が外部に露出することを防止する構造が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1の建具は、例えば、窓正面側から見た形状がL形のブロック状のコーナー部品を設け、縦押縁および横押縁の長手方向両端部をコーナー部品内に挿入して隠すことで、縦押縁や横押縁が収縮して隙間が生じても、その隙間が室外側に露出することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構造では、建具枠の枠材を、45度に切断された小口同士を突き合わせて溶着した「留め」と呼ばれる納まりで構成した場合に、押縁の接合部にはL形のコーナー部品が露出するため、建具枠の接合部分と異なる外観となり、サッシ全体の意匠性向上の制約となっていた。
本発明の目的は、押縁が収縮して押縁間に隙間が生じた場合に、その隙間を目立たなくすることができて、押縁接合部の意匠性を向上できる押縁用接続部材および建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の押縁用接続部材は、長手方向の端部を45度の角度で切断した小口に開口する中空部を備える縦押縁および横押縁の接続部に設けられる押縁用接続部材であって、前記縦押縁および前記横押縁の小口間に介在される傾斜面板部と、前記縦押縁および前記横押縁の一方の押縁の中空部に挿入されて固定される固定片部と、前記縦押縁および前記横押縁の他方の押縁の中空部に挿入される挿入部と、を備え、前記挿入部は、前記各押縁が収縮した際に、前記傾斜面板部と前記他方の押縁の小口との間に生じる隙間を隠す壁部として機能することを特徴とする。
【0006】
本発明の建具は、建具枠と、前記建具枠内に配置される面材と、前記建具枠に取り付けられて前記面材を押さえる縦押縁および横押縁と、押縁用接続部材と、を備え、前記建具枠は、上枠、下枠および左右の縦枠で構成され、前記各枠の小口は45度の角度で切断されて突き合わせされて接合され、前記縦押縁および前記横押縁は、長手方向に連続する中空部を備え、かつ、長手方向の端部の小口は長手方向に対して45度の角度で切断され、前記押縁用接続部材は、前記縦押縁および前記横押縁の小口間に介在される傾斜面板部と、前記縦押縁および前記横押縁の一方の押縁の中空部に挿入して固定される固定片部と、前記縦押縁および前記横押縁の他方の押縁の中空部に挿入される挿入部と、を備え、前記挿入部は、前記各押縁が収縮した際に、前記傾斜面板部と前記他方の押縁の小口との間に生じる隙間を隠す壁部として機能することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の押縁用接続部材および建具によれば、押縁が収縮して押縁間に隙間が生じた場合に、その隙間を目立たなくすることができて、押縁接合部の意匠性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る建具を示す外観姿図。
【
図5】第1実施形態の押縁用接続部材を示す斜視図。
【
図6】(A)は第1実施形態の縦押縁および横押縁の接合部を室外側から見た図であり、(B)は縦押縁および横押縁の収縮時の状態を示す図。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る建具を示す外観姿図。
【
図8】第2実施形態の押縁用接続部材を示す斜視図。
【
図9】第2実施形態の押縁用接続部材を示す斜視図。
【
図10】(A)は第2実施形態の縦押縁および横押縁の接合部を室外側から見た図であり、(B)は縦押縁および横押縁の収縮時の状態を示す図。
【
図11】第3実施形態の押縁用接続部材を示す斜視図。
【
図12】第3実施形態の押縁用接続部材を示す斜視図。
【
図13】(A)は第3実施形態の縦押縁および横押縁の接合部を室外側から見た図であり、(B)は縦押縁および横押縁の収縮時の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~3に示すように、第1実施形態に係る建具である嵌め殺し窓1は、窓枠(フレーム)2と、建具枠である窓枠2内に組み込まれる面材3と、押縁40と、押縁用接続部材60とを備えている。本実施形態の面材3は、3枚のガラスを備えたトリプルガラスであるが、2枚のガラスを備える複層ガラスでもよいし、単板ガラスでもよい。
窓枠2は、上枠21、下枠22および左右の縦枠23を四周枠組みすることで構成される。上枠21、下枠22、縦枠23は、
図2,3に示すように、同一断面形状の合成樹脂製の押出形材25で構成されている。なお、本実施形態では、上枠21、下枠22が短辺、縦枠23が長辺の窓枠2とされている。
押出形材25は、面材3の室内面に対向した室内見付片部251(見付片部)と、室内見付片部251に連続した見込片部252とを有している。室内見付片部251には、面材3の室内面に当接するガスケット26が装着されている。見込片部252の室外側端部には、面材3の室外面を押える押縁40が係合する係合溝253が形成されている。
上枠21、下枠22、縦枠23の長手方向の端部(小口)は、前記長手方向に対して45度の角度で切断され、各小口同士を突き合わせて溶着することで四周枠組みされている。
【0010】
押縁40は、上枠21、下枠22に取り付けられる場合は横押縁40Aとなり、左右の縦枠23に取り付けられる場合は縦押縁40Bとなるが、構造は同じであるため、
図4を参照して説明する。
押縁40は、
図4、5に示すように、PVC(ポリ塩化ビニル)等の合成樹脂製押出形材で構成される押縁本体41と、押縁本体41に取り付けられて面材3の室外面に当接するゴム製のガスケット45とを備えている。
押縁本体41は、前記係合溝253に係合される係合片部42と、面材3の室外側に配置される見付面部43と、前記ガスケット45が装着される装着部44とを備える。
見付面部43は、室外側に露出する表面部431と、表面部431に対して面材側に間隔を隔てて位置する裏面部432と、表面部431および裏面部432の係合片部42側の端部を連結する基端部433と、表面部431および裏面部432の先端側を連結する先端部434とを備えている。表面部431および裏面部432は、基端部433から先端部434に向かうにしたがって、室内側つまり面材3側に近づくように湾曲されている。
見付面部43には、表面部431、裏面部432、基端部433、先端部434で囲まれる中空部435が形成されている。中空部435は、押縁40の長手方向全長に渡って連続して形成されており、押縁40つまり見付面部43の長手方向の両端部である小口で開口している。すなわち、見付面部43の長手方向の両端部は、その長手方向に対して90度に切断され、縦押縁40Bの上下端部間に横押縁40Aが配置された縦勝ちの納まりとされている。
装着部44は、先端部434の室内側に設けられた一対の保持片部441を備え、この保持片部441によってガスケット45を保持している。係合片部42は、基端部433から延出され、係合溝253に係合される。
表面部431および先端部434の表面には、フィルム411が積層されている。同様のフィルムは、上枠21、下枠22、縦枠23の室外露出面にも積層されており、着色されたフィルム411を用いることで嵌め殺し窓1の外観の色や模様を自由に設定できる。
横押縁40Aおよび縦押縁40Bの見付面部43は、基端部433よりも先端部434が面材3側に位置するため、横押縁40Aの小口43Bの一部は縦押縁40Bで隠されずに露出する。この露出した小口43Bに開口する中空部435に押縁用接続部材60が取り付けられる。
【0011】
押縁用接続部材60は、前記横押縁40Aの小口43Bに当接される当接部61と、横押縁40Aの中空部435に圧入固定される固定片部62と、縦押縁40Bの見付面部43を覆う被覆部63とを備える。押縁用接続部材60は、押縁40の外観色(フィルム411の色)と同色の部品である。
当接部61は、横押縁40Aの小口43Bに当接され、横押縁40Aが縦押縁40Bの側面に突き合わされた場合に露出する部分を被覆している。本実施形態では、当接部61の平面形状は略三角形状とされ、当接部61の室外辺611は、表面部431の室外縁に沿って形成され、窓枠2に接する底辺612は、基端部433に沿って形成され、室内辺613は縦押縁40Bの表面部431と先端部434との交差部分に沿って配置可能な形状で形成されている。
固定片部62は、横押縁40Aの小口43Bに開口する中空部435内に挿入されて圧入により固定可能な形状とされている。
【0012】
被覆部63は、表面部631と、窓枠2の内周面に沿って設けられる底面部632と、縦押縁40Bの表面部431に沿って設けられる裏面部633とを備え、略三角錐形状とされている。
被覆部63の表面部631は、横押縁40Aの見付面部43にほぼ連続するように設けられ、当接部61に連続する辺(当接部61の室外辺611と同じ)と、底面部632に連続する辺634と、これらの各辺611,634の端部を結ぶ斜辺635とを備える。辺611、634は同じ寸法とされ、かつ、各辺611,634は直交しているので、嵌め殺し窓1を室外側から見た際に、表面部631は直角二等辺三角形となるように形成されている。
このため、斜辺635は、横押縁40Aの長手方向(左右方向)に対する傾斜角度が45度とされている。したがって、斜辺635は、縦押縁40Bの長手方向(上下方向)に対する傾斜角度も45度である。
【0013】
次に、嵌め殺し窓1の組立手順について説明する。まず、上枠21、下枠22、縦枠23の各小口を突き合わせて溶着などで固定して四周枠組みして窓枠2を組み立てる。また、ガスケット26を室内見付片部251に取り付けておく。
次に、面材3を窓枠2内に配置し、横押縁40A、縦押縁40Bを上枠21、下枠22、縦枠23に取り付ける。横押縁40Aおよび縦押縁40Bは、見付面部43が基端部433から先端部434に向かうにしたがって室内側に傾くように湾曲(傾斜)しているため、横押縁40Aの小口43Bを縦押縁40Bの側面(先端部434)に突き合わせた際に、横押縁40Aと縦押縁40Bとの間に段差が生じ、横押縁40Aの小口43Bの一部が露出する。この小口43Bに開口する中空部435に、押縁用接続部材60の固定片部62を挿入して圧入固定する。
これにより、
図6(A)に示すように、横押縁40Aおよび縦押縁40Bの突き合わせ部は、押縁用接続部材60の被覆部63によって隠され、被覆部63の斜辺635が、上枠21、下枠22と、縦枠23との突き合わせ面(45度の接合線)の延長線上に位置する。すなわち、斜辺635は、縦押縁40Bの見付面部43の外周側の隅角部と、横押縁40Aの見付面部43の内周側の隅角部とを結ぶ線上に位置する。
なお、横押縁40Aに押縁用接続部材60を予め固定しておき、縦押縁40Bを縦枠23に取り付けた後に、押縁用接続部材60が固定された横押縁40Aを上枠21、下枠22に取り付けてもよい。
【0014】
嵌め殺し窓1が設けられた環境で温度変化が生じたり、高温に曝されて押出時の残留応力の緩和が生じた場合でも、窓枠2は躯体に固定されているので、ほとんど伸縮しない。一方、各押縁40A,40Bは、窓枠2に係合されているだけであり、各枠21~23に対してその長手方向の移動が規制されていないため、熱伸縮する。
ここで、各押縁40A,40Bが収縮した場合、
図6(B)に示すように、押縁用接続部材60は、横押縁40Aに圧入固定されているので、横押縁40Aの縮み量だけ縦押縁40Bから離れる方向(左右方向)に移動する。また、縦押縁40Bの小口43Bも縦押縁40Bの縮み量だけ上枠21、下枠22から離れる方向(上下方向)に移動する。
このため、各押縁40A、40Bの間や、縦押縁40Bと上枠21、下枠22との間に隙間が生じるが、この隙間部分には被覆部63が配置され、被覆部63が壁部として機能するので、隙間の大半を隠すことができる。なお、押縁40A、40Bが元の寸法に戻れば、
図6(A)の状態に戻すことができる。
【0015】
[第1実施形態の効果]
(1)嵌め殺し窓1は、上枠21、下枠22と、左右の縦枠23との接合部分を45度の小口を突き合わせた留めの納まりとし、縦押縁40Bおよび横押縁40Aの接合部分に押縁用接続部材60の斜辺635を配置したので、窓枠2と、横押縁40Aおよび縦押縁40Bの角部の納まりの外観を共通にでき、意匠性を向上できる。
(2)押縁用接続部材60は、横押縁40Aに固定され、縦押縁40Bには固定されていないので、各押縁40A,40Bの収縮を押縁用接続部材60が規制することがなく、押縁40A,40Bの収縮時に押縁40A、40Bが破損したり窓枠2から外れることを防止できる。
(3)押縁用接続部材60の被覆部63は、各押縁40A、40Bが収縮した際に発生する隙間を隠す壁部として機能するため、押縁40A,40Bが収縮した際の隙間を目立たなくでき、この点でも意匠性を向上できる。
(4)窓枠2において、短辺側である上枠21および下枠22に取り付けられる横押縁40Aに押縁用接続部材60を固定したので、横押縁40A、縦押縁40Bの収縮時に押縁用接続部材60が移動する移動量を小さくできる。このため、窓枠2の上枠21、下枠22と縦枠23との接合ラインに対し、押縁用接続部材60の斜辺635の位置ずれを小さくでき、意匠低下を抑制できる。
(5)横押縁40Aが収縮した場合、その小口43Bが露出すると、フィルム411と異なる素材の基材色が露出して意匠性が低下するが、本実施形態では、横押縁40Aの小口43Bを押縁用接続部材60で隠しているので、横押縁40Aの小口43Bが露出することを防止でき、意匠性の低下を防止できる。
(6)横押縁40A、縦押縁40Bの外観色と、押縁用接続部材60の色とを同一にしたので、横押縁40A、縦押縁40Bの接合部分に押縁用接続部材60が配置されていても統一感のある押縁構造とすることができ、意匠性を向上できる。
(7)押縁用接続部材60は、横押縁40Aに固定できるので、押縁用接続部材60を窓枠2に取り付ける必要が無く、横押縁40A、縦押縁40Bの取付作業性の低下を防止できる。
【0016】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係る嵌め殺し窓1Bについて
図7-10を参照して説明する。
第2実施形態に係る嵌め殺し窓1Bは、前記嵌め殺し窓1と同じ窓枠2と、窓枠2の上枠21、下枠22に取り付けられる横押縁40Cと、左右の縦枠23に取り付けられる縦押縁40Dと、押縁用接続部材50とを備える。
横押縁40Cおよび縦押縁40Dは、前記第1実施形態の押縁40と同じ断面形状の押出形材である。ただし、横押縁40Cおよび縦押縁40Dの長手方向の各端部は、長手方向に対して45度に切断され、
図7に示すように、嵌め殺し窓1Bを室外側から見た場合に、見付面部43が台形形状となるように構成されている。このような構成は、
図8にも示すように、横押縁40Cおよび縦押縁40Dの小口43A同士を突き合わせて接合する「留め」の納まりと同じである。
【0017】
押縁用接続部材50は、
図8,9にも示すように、横押縁40Cおよび縦押縁40D間に配置される傾斜面板部51と、横押縁40Cの中空部435に圧入固定される固定片部52と、縦押縁40Dの中空部435に挿入される挿入部53とを備える。押縁用接続部材50は、押縁40の外観色(フィルム411の色)と同色の部品である。
傾斜面板部51は、押縁40の見付面部43の小口43Aの外周形状とほぼ同じ形状とされ、見付面部43の小口43Aを被覆している。
固定片部52は、傾斜面板部51の横押縁40C側の面から突設して設けられ、横押縁40Cの中空部435に圧入されて固定されている。固定片部52は、傾斜面板部51から突設された挿入板部521と、傾斜面板部51および挿入板部521から連続して形成された2つの補強片部525(
図9参照)とを備えている。
【0018】
挿入板部521は、圧入固定部522と、案内部523とを備える。圧入固定部522は、傾斜面板部51に連続して形成され、中空部435の内面に圧接されて固定される部分である。具体的には、圧入固定部522は、表面部431に接触可能なように湾曲して形成され、湾曲方向(略上下方向)の寸法は中空部435の湾曲方向の寸法とほぼ同じとされ、圧入固定部522の上端、下端が、先端部434、基端部433に接触可能な寸法とされている。
案内部523は、表面部431の湾曲方向(略上下方向)に沿った幅寸法が小さくなるように上下両端が傾斜されている。また、案内部523は、肉厚(見込方向の寸法)が先端に向かうにしたがって小さくなり、表面部431から徐々に離れるように構成されている。
補強片部525も、圧入固定部526と、案内部527とを備える。圧入固定部526は、傾斜面板部51に連続して形成され、圧入固定部522が表面部431に接触する際に、裏面部432に接触するように形成されている。
案内部527は、肉厚(湾曲方向の寸法)が先端に向かうにしたがって小さくなり、かつ、裏面部432に対向する面が裏面部432から徐々に離れるように傾斜されている。
このような構成により、挿入板部521および補強片部525の案内部523、527は、中空部435内に容易に挿入でき、圧入固定部522、526をスムーズに中空部435内に案内できる。そして、圧入固定部522が表面部431、基端部433、先端部434に圧接し、補強片部525が裏面部432に圧接するため、押縁用接続部材50は、横押縁40Cの中空部435に圧入によって固定できる。
【0019】
挿入部53は、縦押縁40Dの中空部435に挿入可能に構成されている。ただし、挿入部53は中空部435に圧入されるものではなく、傾斜面板部51からの突出寸法は固定片部52に比べて短くされ、上下方向の寸法も固定片部52に比べて短くされている。
すなわち、挿入部53は、
図10(A)に示すように、縦押縁40Dの小口43Aに対して、左右方向から中空部435に挿入できる寸法で形成されている。
【0020】
次に、嵌め殺し窓1Bの組立手順について説明する。まず、上枠21、下枠22、縦枠23の各小口を突き合わせて溶着などで固定して四周枠組みして窓枠2を組み立てる。そして、ガスケット26を室内見付片部251に取り付ける。また、横押縁40Cの左右の小口43Aに開口する中空部435に、押縁用接続部材50の固定片部52を挿入して圧入固定する。
次に、面材3を窓枠2内に配置し、横押縁40Cを上枠21および下枠22に取り付け、縦押縁40Dを縦枠23に取り付ける。この際、縦押縁40Dの上下方向の中間部を室外側に湾曲させることなどで、縦押縁40Dの上下の小口43Aに開口する中空部435に、押縁用接続部材50の挿入部53を挿入しながら、縦押縁40Dを縦枠23に取り付ける。
これにより、
図10(A)に示すように、横押縁40Cおよび縦押縁40Dの突き合わせ部(角隅部)には、押縁用接続部材50が各押縁40C,40Dの中空部435に跨がって配置される。また、押縁用接続部材50の傾斜面板部51は、各押縁40C,40Dの小口43A間に挟まれて配置される。このため、傾斜面板部51は、上枠21、下枠22と縦枠23との小口の突き合わせ面の延長線上に配置される。
【0021】
嵌め殺し窓1Bが設けられた環境で温度変化が生じたり、高温に曝されて押出時の残留応力の緩和が生じた場合でも、窓枠2は躯体に固定されているので、ほとんど伸縮しない。一方、各押縁40C,40Dは、窓枠2に係合されているだけであり、各枠21~23に対してその長手方向の移動が規制されていないため、熱伸縮する。
ここで、各押縁40C,40Dが収縮した場合、
図10(B)に示すように、押縁用接続部材50は、横押縁40Cに圧入固定されているので、横押縁40Cの縮み量だけ縦押縁40Dから離れる方向(左右方向)に移動する。この際、押縁用接続部材50の挿入部53は、縦押縁40Dの中空部435に挿入されているだけで固定されていないので、押縁用接続部材50が縦押縁40Dから離れる方向に移動することを許容する。このため、縦押縁40Dの小口43Aも縦押縁40Dの縮み量だけ横押縁40Cから離れる方向(上下方向)に移動する。
したがって、各押縁40C、40Dの小口43A間に隙間が生じるが、この隙間部分には挿入部53が配置され、挿入部53が壁部として機能するので、隙間の大半を隠すことができる。
なお、環境温度が元に戻ることなどで各押縁40C、40Dが元の寸法に戻った場合は、挿入部53は縦押縁40Dの中空部435に挿入され、
図10(A)の状態に戻る。
【0022】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
すなわち、嵌め殺し窓1Bは、上枠21、下枠22と、左右の縦枠23との接合部分を45度の小口を突き合わせた留めの納まりとし、縦押縁40Dおよび横押縁40Cの接合部分も同様に、45度の角度で切断した小口43A間に傾斜面板部51を介在させた納まりとしたので、窓枠2と、横押縁40Cおよび縦押縁40Dの角部の納まりを共通にでき、意匠性を向上できる。
押縁用接続部材50は、横押縁40Cに固定され、縦押縁40Dには固定されていないので、各押縁40C,40Dの収縮を押縁用接続部材50が規制することがなく、押縁40C,40Dの収縮時に押縁40C、40Dが破損したり窓枠2から外れることを防止できる。
押縁用接続部材50の挿入部53は、各押縁40C、40Dが収縮した際に発生する隙間を隠す壁部として機能するため、押縁40C,40Dが収縮した際の隙間を目立たなくでき、この点でも意匠性を向上できる。
窓枠2において、短辺側である上枠21および下枠22に取り付けられる横押縁40Cに押縁用接続部材50を固定したので、横押縁40C、縦押縁40Dの収縮時に押縁用接続部材50が移動する移動量を小さくできる。このため、窓枠2の上枠21、下枠22と縦枠23との接合ラインに対し、押縁用接続部材50の傾斜面板部51の位置ずれを小さくでき、意匠低下を抑制できる。
押縁用接続部材50の固定片部52および挿入部53を、各押縁40C,40Dの中空部435に挿入したので、各押縁40C、40Dの見込み方向の位置を揃えることができる。このため、各押縁40C、40Dの見付面部43間の段差が生じず、この点でも意匠性を向上できる。
横押縁40Cが収縮した場合、その小口43Aが露出すると、フィルム411と異なる素材の基材色が露出して意匠性が低下するが、本実施形態では、横押縁40Cの小口43Aを押縁用接続部材50で隠しているので、横押縁40Cの小口43Aが露出することを防止でき、意匠性の低下を防止できる。
横押縁40C、縦押縁40Dの外観色と、押縁用接続部材50の色とを同一にしたので、横押縁40C、縦押縁40D間に押縁用接続部材50の傾斜面板部51が介在されていても統一感のある押縁構造とすることができ、意匠性を向上できる。
押縁用接続部材50は、横押縁40Cに固定できるので、押縁用接続部材50を窓枠2に取り付ける必要が無い。このため、横押縁40C、縦押縁40Dの取付作業性が低下することも防止できる。
【0023】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態に係る嵌め殺し窓1Cについて
図11、12、13を参照して説明する。嵌め殺し窓1Cは、前記第1実施形態の嵌め殺し窓1と同じ窓枠2(図示略)と、窓枠2の上枠21、下枠22に取り付けられる横押縁40Eと、左右の縦枠23に取り付けられる縦押縁40Fと、押縁用接続部材70とを備える。
縦押縁40Fは、第1実施形態の縦押縁40Bと同一部材である。横押縁40Eは、第1実施形態の横押縁40Aと同じ断面形状の押出形材であるが、押縁用接続部材70を取り付けるための構造が横押縁40Aと相違する。すなわち、横押縁40Eの長手方向両端部の係合片部42において、押縁用接続部材70と干渉する部分は切り欠かれている。また、横押縁40Eの両端部には、裏面部432と基端部433とに開口され、後述する押縁用接続部材70の係止部72が係止される係止溝46が形成されている。
押縁用接続部材70は、前記横押縁40Eの小口43Bに当接される当接部71と、横押縁40Eの係止溝46に係止される係止部72と、縦押縁40Fの見付面部43を覆う被覆部73と、上枠21、下枠22に当接するベース部74を備える。押縁用接続部材70は、押縁40E,40Fの外観色と同色の部品である。
【0024】
ベース部74は、略矩形板状に形成され、上枠21、下枠22に対向する面(裏面)には、上枠21、下枠22の係合溝253に挿入可能な係合片部741が突設されている。ベース部74の表面には、横押縁40Eの基端部433が載置される段差部742が形成されている。
係止部72は、ベース部74に連続して設けられ、前記横押縁40Eの係止溝46に係止可能な形状で構成されている。押縁用接続部材70は、係止部72が係止溝46に係止されることで、横押縁40Eに対して左右方向に移動できないように係止される。
なお、第3実施形態では、係止溝46は、横押縁40Eの基端部433および裏面部432に連続して開口されている。なお、係止溝46を基端部433のみに開口するように形成してもよい。
当接部71は、横押縁40Eの小口43Bに当接され、横押縁40Eが縦押縁40Fの側面に突き合わされた場合に露出する部分を被覆している。本実施形態では、当接部71の平面形状は略三角形状とされ、当接部71の室外辺711は、表面部431の室外縁に沿って配置されている。
被覆部73は、押縁用接続部材60の被覆部63と同様の構成であり、表面部731と、縦押縁40Fの表面部431に沿って設けられる裏面部733とを備え、略三角錐形状とされている。
被覆部73の表面部731は、横押縁40Eの見付面部43にほぼ連続するように設けられ、当接部71に連続する辺(当接部71の室外辺711と同じ)と、ベース部74に連続する辺734と、これらの各辺711,734の端部を結ぶ斜辺735とを備える。この表面部731は、表面部631と同様に、直角二等辺三角形となるように形成され、斜辺735は、横押縁40Eの長手方向(左右方向)に対する傾斜角度が45度とされている。
【0025】
次に、嵌め殺し窓1Cの組立手順について説明する。まず、嵌め殺し窓1と同様に、上枠21、下枠22、縦枠23を四周枠組みして窓枠2を組み立て、ガスケット26を室内見付片部251に取り付けておく。
次に、面材3を窓枠2内に配置し、押縁用接続部材70、縦押縁40F、横押縁40Eを上枠21、下枠22、縦枠23に取り付ける。まず、押縁用接続部材70の係合片部741を、上枠21、下枠22の係合溝253に挿入して取り付け、さらに、縦押縁40Bを縦枠23に取り付ける。縦押縁40Bの小口が押縁用接続部材70のベース部74に当接し、押縁用接続部材70は上枠21、下枠22から脱落しないように仮固定される。
次に、横押縁40Eを上枠21、下枠22に取り付け、押縁用接続部材70の係止部72を係止溝46に係止する。これにより、横押縁40Eの基端部433が押縁用接続部材70の段差部742を押さえ、横押縁40Eおよび押縁用接続部材70が上枠21、下枠22に取り付けられる。
これにより、
図13(A)に示すように、横押縁40Eおよび縦押縁40Fの突き合わせ部は、押縁用接続部材70の被覆部73によって隠され、被覆部73の斜辺735が、上枠21、下枠22と、縦枠23との突き合わせ面(45度の接合線)の延長線上に位置する。
【0026】
嵌め殺し窓1Cが設けられた環境で温度変化が生じたり、高温に曝されて押出時の残留応力の緩和が生じた場合でも、窓枠2は躯体に固定されているので、ほとんど伸縮しない。一方、各押縁40E,40Fは、窓枠2に係合されているだけであり、各枠21~23に対してその長手方向の移動が規制されていないため、熱伸縮する。
ここで、各押縁40E,40Fが収縮した場合、
図13(B)に示すように、押縁用接続部材70は、係止部72が横押縁40Eの係止溝46に係止されて一体化されているので、横押縁40Eが収縮すると、横押縁40Eと共に移動して縦押縁40Fから離れる。また、縦押縁40Fの小口も縦押縁40Fの縮み量だけ上枠21、下枠22から離れる方向(上下方向)に移動する。
このため、各押縁40E、40Fの間や、縦押縁40Fと上枠21、下枠22との間に隙間が生じるが、この隙間部分には被覆部73が配置され、被覆部73が壁部として機能するので、隙間の大半を隠すことができる。なお、押縁40E、40Fが元の寸法に戻れば、
図13(A)の状態に戻すことができる。
【0027】
[第3実施形態の効果]
第3実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
すなわち、嵌め殺し窓1Cは、上枠21、下枠22と、左右の縦枠23との接合部分を45度の小口を突き合わせた留めの納まりとし、縦押縁40Fおよび横押縁40Eの接合部分に押縁用接続部材70の斜辺735を配置したので、窓枠2と、横押縁40Eおよび縦押縁40Fの角部の納まりの外観を共通にでき、意匠性を向上できる。
押縁用接続部材70は、横押縁40Eに形成された係止溝46に係止部72を係止して取り付けているので、横押縁40Eの小口43Bの加工誤差や熱伸び等によって小口43Bの大きさにばらつきが生じても、押縁用接続部材70の取付けには影響しないので、押縁用接続部材70を容易に取付けることができる。
押縁用接続部材70は、横押縁40Eに係合され、縦押縁40Fには固定されていないので、各押縁40E,40Fの収縮を押縁用接続部材70が規制することがなく、押縁40E,40Fの収縮時に押縁40E、40Fが破損したり窓枠2から外れることを防止できる。
押縁用接続部材70の被覆部73は、各押縁40E、40Fが収縮した際に発生する隙間を隠す壁部として機能するため、押縁40E,40Fが収縮した際の隙間を目立たなくでき、この点でも意匠性を向上できる。
窓枠2において、短辺側である上枠21および下枠22に取り付けられる横押縁40Eに押縁用接続部材70を係止したので、横押縁40E、縦押縁40Fの収縮時に押縁用接続部材70が移動する移動量を小さくできる。このため、窓枠2の上枠21、下枠22と縦枠23との接合ラインに対し、押縁用接続部材70の斜辺735の位置ずれを小さくでき、意匠低下を抑制できる。
横押縁40Eの小口43Bを押縁用接続部材70で隠しているので、横押縁40Eの小口43Bが露出することを防止でき、意匠性の低下を防止できる。押縁用接続部材70は、横押縁40Eに係止できるので、押縁用接続部材70を窓枠2に取り付ける必要が無く、横押縁40E、縦押縁40Fの取付作業性の低下を防止できる。
【0028】
[変形例]
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
押縁用接続部材50、60、70は、上枠21、下枠22に取り付けられるものに限定されず、縦枠23に取り付けてもよい。特に、建具が横長であり、上枠21、下枠22が長辺、縦枠23が短辺の場合は、短辺である縦枠23に押縁用接続部材50、60、70を取り付けることが好ましい。
ただし、押縁用接続部材50、60、70は、横押縁40C、40A、40Eの小口43A、43Bが露出することを防止することができるため、上枠21、下枠22が長辺、縦枠23が短辺の場合でも、横押縁40C、40A、40Eに押縁用接続部材50、60、70を固定してもよい。
押縁用接続部材50、60、70を押縁40A~40Fに固定する構造としては、固定片部52、62を圧入固定したり、係止部72を係止溝46に係止するものに限定されず、接着剤や溶着などで固定してもよい。ただし、固定片部52、62や係止部72によって取り付けることができれば、組立作業を簡単にでき、かつ、押縁用接続部材50、60、70が破損した場合に容易に交換できる利点がある。
前記各実施形態では、押縁40A~40Fは、面材3の室外側に配置される外押縁とされているが、内押縁として用いる場合にも押縁用接続部材50、60、70を利用することができる。
【0029】
窓枠2および押縁40は合成樹脂製であればよく、その具体的な材質は、各部品に求められる機能などに応じて選択すればよい。
押縁40A~40Fは、ガスケット45が押縁本体41と別体とされていたが、二色成形などによって押縁本体41およびガスケット45を一体に形成してもよい。
前記各実施形態では、嵌め殺し窓1,1Bを建具として説明したが、押縁40A~40Fを用いる建具であれば、開き系、スライド系の窓やドア、戸であってもよい。
【0030】
(まとめ)
押縁用接続部材は、縦押縁および横押縁の一方の押縁の小口を他方の押縁の側面に突き合わせた接続部に設けられる押縁用接続部材であって、前記一方の押縁の小口に当接される当接部と、前記一方の押縁の中空部に挿入されて固定される固定片部と、前記他方の押縁の見付面を覆う被覆部と、を備え、前記被覆部は、前記一方の押縁の長手方向に対する傾斜角度が45度である斜辺を備え、前記各押縁が収縮した際に、前記各押縁間に生じる隙間を隠す壁部として機能することを特徴とする。
この押縁用接続部材によれば、縦押縁および横押縁の一方の押縁の小口に当接される当接部と、一方の押縁の中空部に挿入されて固定される固定片部と、他方の押縁の見付面を覆う被覆部とを備えるので、納まりで勝ち側の押縁(縦勝ちであれば縦押縁、横勝ちであれば横押縁)の見付面を被覆部で覆うことができる。この際、被覆部は一方の押縁に対して45度に傾斜された斜辺を備えるため、縦押縁および横押縁の接合部分に45度の斜辺が配置された外観となり、留めと呼ばれる納まりと同様の外観意匠とすることができる。
したがって、押縁が取り付けられる建具枠の角部の納まりを、枠材を45度に切断した小口同士を溶着する留めの納まりとした場合に、建具枠と押縁の角部の納まりの意匠を共通化できて意匠性を向上できる。
また、押縁用接続部材の固定片部は一方の押縁に固定されるが、被覆部は他方の押縁の見付面を覆うだけで固定されていないので、各押縁が収縮した場合、押縁用接続部材は一方の押縁の収縮に伴い移動する。この際、押縁用接続部材の移動を、他方の押縁が規制することがないため、押縁の収縮時に押縁が破損したり建具枠から外れることも防止できる。
さらに、押縁用接続部材の被覆部は、各押縁が収縮した際に、各押縁間に生じる隙間を隠す壁部として機能するため、押縁が収縮した際の隙間を目立たなくでき、この点でも意匠性を向上できる。
【0031】
押縁用接続部材は、長手方向の端部を45度の角度で切断した小口に開口する中空部を備える縦押縁および横押縁の接続部に設けられる押縁用接続部材であって、前記縦押縁および前記横押縁の小口間に介在される傾斜面板部と、前記縦押縁および前記横押縁の一方の押縁の中空部に挿入されて固定される固定片部と、前記縦押縁および前記横押縁の他方の押縁の中空部に挿入される挿入部と、を備え、前記挿入部は、前記各押縁が収縮した際に、前記傾斜面板部と前記他方の押縁の小口との間に生じる隙間を隠す壁部として機能することを特徴とする。
この押縁用接続部材によれば、縦押縁および横押縁の長手方向の端部を45度の角度で切断した小口間に介在される傾斜面板部と、一方の押縁の中空部に挿入されて固定される固定片部と、他方の押縁の中空部に挿入される挿入部とを備えるので、固定片部および挿入部は押縁内に挿入されて隠され、外部に露出するのは傾斜面板部のみとなる。このため、縦押縁および横押縁の45度の小口間に傾斜面板部が配置された外観となり、留めと呼ばれる納まりと同様の外観意匠とすることができる。したがって、押縁が取り付けられる建具枠の角部の納まりを、枠材を45度に切断した小口同士を溶着する留めの納まりとした場合に、建具枠と押縁の角部の納まりを共通化できて意匠性を向上できる。
また、押縁用接続部材の固定片部は一方の押縁に固定されるが、挿入部は他方の押縁の中空部に挿入されるだけで固定されていないので、各押縁が収縮した場合、押縁用接続部材は一方の押縁の収縮に伴い移動する。この際、押縁用接続部材の移動を、他方の押縁が規制することがないため、押縁の収縮時に押縁が破損したり建具枠から外れることも防止できる。
さらに、押縁用接続部材の挿入部は、各押縁が収縮した際に、傾斜面板部と他方の押縁の小口との間に生じる隙間を隠す壁部として機能するため、押縁が収縮した際の隙間を目立たなくでき、この点でも意匠性を向上できる。
【0032】
押縁用接続部材は、縦押縁および横押縁の一方の押縁の小口を他方の押縁の側面に突き合わせた接続部に設けられる押縁用接続部材であって、前記一方の押縁の小口に当接される当接部と、前記一方の押縁に形成された係止溝に係止される係止部と、前記他方の押縁の見付面を覆う被覆部と、を備え、前記被覆部は、前記一方の押縁の長手方向に対する傾斜角度が45度である斜辺を備え、前記各押縁が収縮した際に、前記各押縁間に生じる隙間を隠す壁部として機能することを特徴とする。
この押縁用接続部材によれば、縦押縁および横押縁の一方の押縁の小口に当接される当接部と、一方の押縁の係止溝に挿入される挿入部と、他方の押縁の見付面を覆う被覆部とを備えるので、納まりで勝ち側の押縁(縦勝ちであれば縦押縁、横勝ちであれば横押縁)の見付面を被覆部で覆うことができる。この際、被覆部は一方の押縁に対して45度に傾斜された斜辺を備えるため、縦押縁および横押縁の接合部分に45度の斜辺が配置された外観となり、留めと呼ばれる納まりと同様の外観意匠とすることができる。したがって、押縁が取り付けられる建具枠の角部の納まりを、枠材を45度に切断した小口同士を溶着する留めの納まりとした場合に、建具枠と押縁の角部の納まりの意匠を共通化できて意匠性を向上できる。
また、押縁用接続部材の固定片部は一方の押縁に固定されるが、被覆部は他方の押縁の見付面を覆うだけで固定されていないので、各押縁が収縮した場合、押縁用接続部材は一方の押縁の収縮に伴い移動する。この際、押縁用接続部材の移動を、他方の押縁が規制することがないため、押縁の収縮時に押縁が破損したり建具枠から外れることも防止できる。
さらに、押縁用接続部材の被覆部は、各押縁が収縮した際に、各押縁間に生じる隙間を隠す壁部として機能するため、押縁が収縮した際の隙間を目立たなくでき、この点でも意匠性を向上できる。
【0033】
建具は、建具枠と、前記建具枠内に配置される面材と、前記建具枠に取り付けられて前記面材を押さえる縦押縁および横押縁と、押縁用接続部材と、を備え、前記建具枠は、上枠、下枠および左右の縦枠で構成され、前記各枠の小口は45度の角度で切断されて突き合わせされて接合され、前記縦押縁および前記横押縁は、長手方向に連続する中空部を備え、かつ、一方の押縁の小口を他方の押縁の側面に突き合わせて接続され、前記押縁用接続部材は、前記一方の押縁の小口に当接される当接部と、前記一方の押縁の中空部に挿入されて固定される固定片部と、前記他方の押縁の見付面を覆う被覆部と、を備え、前記被覆部は、前記一方の押縁の長手方向に対する傾斜角度が45度である斜辺を備え、前記各押縁が収縮した際に、前記各押縁間に生じる隙間を隠す壁部として機能することを特徴とする。
この建具によれば、前述した押縁用接続部材を備えるため、同じ作用効果を奏することができる。すなわち、納まりで勝ち側の押縁の見付面を被覆部で覆うことができ、被覆部は各枠の小口の突き合わせ面の延長線上に配置される斜辺を備えるため、縦押縁および横押縁の接合部分に45度の斜辺が配置された外観となり、建具枠と押縁の角部の納まりの外観を共通化できて意匠性を向上できる。また、押縁用接続部材は、他方の押縁に対して移動可能であるため、各押縁の収縮時に押縁が破損したり建具枠から外れることも防止できる。さらに、押縁用接続部材の被覆部は、各押縁が収縮した際に、各押縁間に生じる隙間を隠す壁部として機能するため、押縁が収縮した際の隙間を目立たなくでき、この点でも意匠性を向上できる。
【0034】
建具は、建具枠と、前記建具枠内に配置される面材と、前記建具枠に取り付けられて前記面材を押さえる縦押縁および横押縁と、押縁用接続部材と、を備え、前記建具枠は、上枠、下枠および左右の縦枠で構成され、前記各枠の小口は45度の角度で切断されて突き合わせされて接合され、前記縦押縁および前記横押縁は、長手方向に連続する中空部を備え、かつ、長手方向の端部の小口は長手方向に対して45度の角度で切断され、前記押縁用接続部材は、前記縦押縁および前記横押縁の小口間に介在される傾斜面板部と、前記縦押縁および前記横押縁の一方の押縁の中空部に挿入して固定される固定片部と、前記縦押縁および前記横押縁の他方の押縁の中空部に挿入される挿入部と、を備え、前記挿入部は、前記各押縁が収縮した際に、前記傾斜面板部と前記他方の押縁の小口との間に生じる隙間を隠す壁部として機能することを特徴とする。
この建具によれば、前述した押縁用接続部材を備えるため、同じ作用効果を奏することができる。すなわち、縦押縁および横押縁の45度の小口間に傾斜面板部が配置された外観にでき、枠材を45度に切断した小口同士を溶着する留めの納まりとした建具枠と同じ納まりにできて、意匠性を向上できる。また、押縁用接続部材は、他方の押縁に対して移動可能であるため、各押縁の収縮時に押縁が破損したり建具枠から外れることも防止できる。さらに、押縁用接続部材の挿入部は、各押縁が収縮した際に、傾斜面板部と他方の押縁の小口との間に生じる隙間を隠す壁部として機能するため、押縁が収縮した際の隙間を目立たなくでき、この点でも意匠性を向上できる。
【0035】
建具は、建具枠と、前記建具枠内に配置される面材と、前記建具枠に取り付けられて前記面材を押さえる縦押縁および横押縁と、押縁用接続部材と、を備え、前記建具枠は、上枠、下枠および左右の縦枠で構成され、前記各枠の小口は45度の角度で切断されて突き合わせされて接合され、前記縦押縁および前記横押縁は、一方の押縁の小口を他方の押縁の側面に突き合わせて接続され、前記押縁用接続部材は、前記一方の押縁の小口に当接される当接部と、前記一方の押縁に形成された係止溝に係止される係止部と、前記他方の押縁の見付面を覆う被覆部と、を備え、前記被覆部は、前記一方の押縁の長手方向に対する傾斜角度が45度である斜辺を備え、前記各押縁が収縮した際に、前記各押縁間に生じる隙間を隠す壁部として機能することを特徴とする。
この建具によれば、前述した押縁用接続部材を備えるため、同じ作用効果を奏することができる。すなわち、納まりで勝ち側の押縁の見付面を被覆部で覆うことができ、被覆部は各枠の小口の突き合わせ面の延長線上に配置される斜辺を備えるため、縦押縁および横押縁の接合部分に45度の斜辺が配置された外観となり、建具枠と押縁の角部の納まりの外観を共通化できて意匠性を向上できる。また、押縁用接続部材は、他方の押縁に対して移動可能であるため、各押縁の収縮時に押縁が破損したり建具枠から外れることも防止できる。さらに、押縁用接続部材の被覆部は、各押縁が収縮した際に、各押縁間に生じる隙間を隠す壁部として機能するため、押縁が収縮した際の隙間を目立たなくでき、この点でも意匠性を向上できる。
【0036】
建具において、前記縦押縁および前記横押縁は長手方向の長さ寸法が異なり、前記押縁用接続部材は、前記縦押縁および前記横押縁のうち、長手方向の長さ寸法が短い押縁に取り付けられることが好ましい。
温度変化などによる収縮量は、押縁の長さ寸法に比例し、長手方向の長さ寸法が大きいほど収縮量も大きくなる。したがって、押縁用接続部材を長手方向の寸法が短い押縁に取り付ければ、押縁用接続部材の移動量を小さくできる。このため、建具枠の接合ラインに対し、押縁用接続部材の傾斜面板部や斜辺の位置ずれを小さくでき、意匠性の低下を抑制できる。
【符号の説明】
【0037】
1、1B…嵌め殺し窓(建具)、2…窓枠、21…上枠、22…下枠、23…縦枠、3…面材、40…押縁、40A…横押縁、40B…縦押縁、40C…横押縁、40D…縦押縁、41…押縁本体、42…係合片部、43…見付面部、431…表面部、432…裏面部、433…基端部、434…先端部、435…中空部、43A…小口、43B…小口、44…装着部、50…押縁用接続部材、51…傾斜面板部、52…固定片部、53…挿入部、60…押縁用接続部材、61…当接部、611…室外辺、612…底辺、613…室内辺、62…固定片部、63…被覆部、631…表面部、632…底面部、633…裏面部、635…斜辺、70…押縁用接続部材、71…当接部、711…室外辺、72…係止部、73…被覆部、731…表面部、733…裏面部、735…斜辺、742…段差部。