(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051947
(43)【公開日】2022-04-01
(54)【発明の名称】押縁用接続部材および建具
(51)【国際特許分類】
E06B 3/58 20060101AFI20220325BHJP
【FI】
E06B3/58 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019976
(22)【出願日】2022-02-10
(62)【分割の表示】P 2018143450の分割
【原出願日】2018-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】姫野 賢
(72)【発明者】
【氏名】荒川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 康臣
(72)【発明者】
【氏名】鎌野 裕介
(57)【要約】
【課題】押縁が収縮して押縁間に隙間が生じた場合に、隙間を目立たなくすることができ、押縁接合部の意匠性を向上できる押縁用接続部材および建具を提供すること。
【解決手段】押縁用接続部材70は、長手方向の端部を45度の角度で切断した小口同士を突き合わせて設置される縦押縁40Dおよび横押縁40Cの少なくとも一方の押縁40Cに設けられる。一方の押縁40Cは、第1分断押縁410および第2分断押縁420の2つの押縁を備えて構成される。押縁用接続部材70は、第1分断押縁410および第2分断押縁420間に配置され、第1分断押縁410の見付面を覆う第1被覆部74と、第2分断押縁420の見付面を覆う第2被覆部75とを備える。第1被覆部74および第2被覆部75は、第1分断押縁410および第2分断押縁420が収縮した際に、第1分断押縁410および第2分断押縁420間に生じる隙間を隠す壁部として機能する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の端部を45度の角度で切断した小口同士を突き合わせて設置される縦押縁および横押縁の少なくとも一方の押縁に設けられる押縁用接続部材であって、
前記一方の押縁は、第1分断押縁および第2分断押縁の2つの押縁を備えて構成され、
前記押縁用接続部材は、
前記第1分断押縁および前記第2分断押縁間に配置され、
前記第1分断押縁の見付面を覆う第1被覆部と、
前記第2分断押縁の見付面を覆う第2被覆部と、を備え、
前記第1被覆部および前記第2被覆部は、前記第1分断押縁および前記第2分断押縁が収縮した際に、前記第1分断押縁および前記第2分断押縁間に生じる隙間を隠す壁部として機能する
ことを特徴とする押縁用接続部材。
【請求項2】
上枠、下枠および左右の縦枠で構成され、前記各枠の小口が45度の角度で切断されて突き合わせされて接合される建具枠と、
前記建具枠内に配置される面材と、
前記建具枠の各縦枠にそれぞれ取り付けられて前記面材を押さえる縦押縁と、
前記建具枠の上枠、下枠にそれぞれ取り付けられて前記面材を押さえる横押縁と、
押縁用接続部材と、を備え、
前記縦押縁および前記横押縁は、長手方向に連続する中空部を備え、かつ、長手方向の端部の小口は長手方向に対して45度の角度で切断され、
前記縦押縁および前記横押縁の少なくとも一方の押縁は、第1分断押縁および第2分断押縁を備え、
前記第1分断押縁および前記第2分断押縁は、他の押縁と突き合わされる前記小口が形成された端部側で、前記第1分断押縁および前記第2分断押縁に沿って配置される枠に取り付けられ、
前記押縁用接続部材は、前記第1分断押縁および前記第2分断押縁間に配置され、
前記第1分断押縁の見付面を覆う第1被覆部と、
前記第2分断押縁の見付面を覆う第2被覆部と、を備え、
前記第1被覆部および前記第2被覆部は、前記各分断押縁が収縮した際に生じる隙間を隠す壁部として機能する
ことを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項2に記載の建具において、
前記第1分断押縁および前記第2分断押縁が取り付けられる前記枠の両端部には固定部品が取り付けられ、
前記第1分断押縁および前記第2分断押縁の前記端部側には、前記固定部品が係合される切欠部が形成されている
ことを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具枠に取り付けられる押縁の接合部に設けられる押縁用接続部材、および、この押縁用接続部材を用いた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
窓枠や障子枠などの建具枠と、建具枠に取り付けた押縁とで、ガラス等の面材を挟持する建具において、合成樹脂製の押縁が外気温の変化によって伸縮した際に、押縁の突き合わせ部に生じた隙間が外部に露出することを防止する構造が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1の建具は、例えば、窓正面側から見た形状がL形のブロック状のコーナー部品を設け、縦押縁および横押縁の長手方向両端部をコーナー部品内に挿入して隠すことで、縦押縁や横押縁が収縮して隙間が生じても、その隙間が室外側に露出することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構造では、建具枠の枠材を、45度に切断された小口同士を突き合わせて溶着した「留め」と呼ばれる納まりで構成した場合に、押縁の接合部にはL形のコーナー部品が露出するため、建具枠の接合部分と異なる外観となり、サッシ全体の意匠性向上の制約となっていた。
本発明の目的は、押縁が収縮して押縁間や押縁と枠間に隙間が生じた場合に、その隙間を目立たなくすることができて、押縁接合部の意匠性を向上できる押縁用接続部材および建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の押縁用接続部材は、長手方向の端部を45度の角度で切断した小口同士を突き合わせて設置される縦押縁および横押縁の少なくとも一方の押縁に設けられる押縁用接続部材であって、前記一方の押縁は、第1分断押縁および第2分断押縁の2つの押縁を備えて構成され、前記押縁用接続部材は、前記第1分断押縁および前記第2分断押縁間に配置され、前記第1分断押縁の見付面を覆う第1被覆部と、前記第2分断押縁の見付面を覆う第2被覆部と、を備え、前記第1被覆部および前記第2被覆部は、前記第1分断押縁および前記第2分断押縁が収縮した際に、前記第1分断押縁および前記第2分断押縁間に生じる隙間を隠す壁部として機能することを特徴とする。
【0006】
本発明の建具は、上枠、下枠および左右の縦枠で構成され、前記各枠の小口が45度の角度で切断されて突き合わせされて接合される建具枠と、前記建具枠内に配置される面材と、前記建具枠の各縦枠にそれぞれ取り付けられて前記面材を押さえる縦押縁と、前記建具枠の上枠、下枠にそれぞれ取り付けられて前記面材を押さえる横押縁と、押縁用接続部材と、を備え、前記縦押縁および前記横押縁は、長手方向に連続する中空部を備え、かつ、長手方向の端部の小口は長手方向に対して45度の角度で切断され、前記縦押縁および前記横押縁の少なくとも一方の押縁は、第1分断押縁および第2分断押縁を備え、前記第1分断押縁および前記第2分断押縁は、他の押縁と突き合わされる前記小口が形成された端部側で、前記第1分断押縁および前記第2分断押縁に沿って配置される枠に取り付けられ、前記押縁用接続部材は、前記第1分断押縁および前記第2分断押縁間に配置され、前記第1分断押縁の見付面を覆う第1被覆部と、前記第2分断押縁の見付面を覆う第2被覆部と、を備え、前記第1被覆部および前記第2被覆部は、前記各分断押縁が収縮した際に生じる隙間を隠す壁部として機能することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の押縁用接続部材および建具によれば、押縁が収縮して押縁間や押縁と枠間に隙間が生じた場合に、その隙間を目立たなくすることができて、押縁接合部の意匠性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る建具を示す外観姿図。
【
図5】第1実施形態の押縁用接続部材を示す斜視図。
【
図6】(A)は第1実施形態の縦押縁および横押縁の接合部を室外側から見た図であり、(B)は縦押縁および横押縁の収縮時の状態を示す図。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る建具を示す外観姿図。
【
図8】第2実施形態の分断押縁および押縁用接続部材を示す斜視図。
【
図9】第2実施形態の分断押縁および押縁用接続部材を示す縦断面図。
【
図10】(A)は第2実施形態の縦押縁および横押縁の接合部を室外側から見た図であり、(B)は縦押縁および横押縁の収縮時の状態を示す図。
【
図11】第2実施形態の変形例の建具を示す外観姿図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~3に示すように、第1実施形態に係る建具である嵌め殺し窓1は、窓枠(フレーム)2と、建具枠である窓枠2内に組み込まれる面材3と、押縁40と、押縁用接続部材60とを備えている。本実施形態の面材3は、3枚のガラスを備えたトリプルガラスであるが、2枚のガラスを備える複層ガラスでもよいし、単板ガラスでもよい。
窓枠2は、上枠21、下枠22および左右の縦枠23を四周枠組みすることで構成される。上枠21、下枠22、縦枠23は、
図2,3に示すように、同一断面形状の合成樹脂製の押出形材25で構成されている。なお、本実施形態では、上枠21、下枠22が短辺、縦枠23が長辺の窓枠2とされている。
押出形材25は、面材3の室内面に対向した室内見付片部251(見付片部)と、室内見付片部251に連続した見込片部252とを有している。室内見付片部251には、面材3の室内面に当接するガスケット26が装着されている。見込片部252の室外側端部には、面材3の室外面を押える押縁40が係合する係合溝253が形成されている。
上枠21、下枠22、縦枠23の長手方向の端部(小口)は、前記長手方向に対して45度の角度で切断され、各小口同士を突き合わせて溶着することで四周枠組みされている。
【0010】
押縁40は、上枠21、下枠22に取り付けられる場合は横押縁40Aとなり、左右の縦枠23に取り付けられる場合は縦押縁40Bとなるが、構造は同じであるため、
図4を参照して説明する。
押縁40は、PVC(ポリ塩化ビニル)等の合成樹脂製押出形材で構成される押縁本体41と、押縁本体41に取り付けられて面材3の室外面に当接するゴム製のガスケット45とを備えている。
押縁本体41は、前記係合溝253に係合される係合片部42と、面材3の室外側に配置される見付面部43と、前記ガスケット45が装着される装着部44とを備える。
見付面部43は、室外側に露出する表面部431と、表面部431に対して面材側に間隔を隔てて位置する裏面部432と、表面部431および裏面部432の係合片部42側の端部を連結する基端部433と、表面部431および裏面部432の先端側を連結する先端部434とを備えている。表面部431および裏面部432は、基端部433から先端部434に向かうにしたがって、室内側つまり面材3側に近づくように湾曲されている。
見付面部43には、表面部431、裏面部432、基端部433、先端部434で囲まれる中空部435が形成されている。中空部435は、押縁40の長手方向全長に渡って連続して形成されており、押縁40つまり見付面部43の長手方向の両端部である小口で開口している。すなわち、見付面部43の長手方向の両端部は、その長手方向に対して90度に切断され、縦押縁40Bの上下端部間に横押縁40Aが配置された縦勝ちの納まりとされている。
装着部44は、先端部434の室内側に設けられた一対の保持片部441を備え、この保持片部441によってガスケット45を保持している。係合片部42は、基端部433から延出され、係合溝253に係合される。
表面部431および先端部434の表面には、フィルム411が積層されている。同様のフィルムは、上枠21、下枠22、縦枠23の室外露出面にも積層されており、着色されたフィルム411を用いることで嵌め殺し窓1の外観の色や模様を自由に設定できる。
横押縁40Aおよび縦押縁40Bの見付面部43は、基端部433よりも先端部434が面材3側に位置するため、
図5に示す横押縁40Aの小口43Aの一部は縦押縁40Bで隠されずに露出する。この露出した小口43Aに開口する中空部435に押縁用接続部材60が取り付けられる。
【0011】
押縁用接続部材60は、前記横押縁40Aの小口43Aに対向する対向部61と、横押縁40Aの中空部435に挿入可能な挿入部62と、横押縁40Aの見付面部43を覆う第1被覆部63と、縦押縁40Bの見付面部43を覆う第2被覆部64と、固定部65を備える。押縁用接続部材60は、押縁40の外観色(フィルム411の色)と同色の部品である。
対向部61は、横押縁40Aの小口43Aに対向し、横押縁40Aを押縁用接続部材60側に移動した際には小口43Aに当接可能とされている。本実施形態では、対向部61の平面形状は略三角形状とされている。
挿入部62は、横押縁40Aの小口43Aに開口する中空部435内に挿入可能な形状とされている。
【0012】
第1被覆部63は、対向部61の端縁から横押縁40A側に延出されて設けられている。第1被覆部63は、表面部631と、表面部631の上端に連続する上面部632とを備えている。
第1被覆部63の表面部631は、横押縁40Aの見付面部43の表面を被覆できるように、見付面部43の表面部431に沿って湾曲されている。挿入部62と表面部631との間には、表面部431が配置可能な隙間が形成されている。
上面部632は、押縁本体41の上面を被覆可能に構成されている。
【0013】
第2被覆部64は、表面部641と、窓枠2の内周面に沿って設けられる底面部642と、縦押縁40Bの表面部431に沿って設けられる裏面部643とを備え、略三角錐形状とされている。
第2被覆部64の表面部641は、第1被覆部63の表面部631に連続して設けられ、横押縁40Aの長手方向に対して45度の角度で傾斜した斜辺645を備える。嵌め殺し窓1を室外側から見た際に、表面部641は直角二等辺三角形となるように形成されている。
【0014】
固定部65は、第1被覆部63および第2被覆部64に跨がって形成されている。第2被覆部64の底面部642は、固定部65よりも僅かに突出して設けられ、底面部642と固定部65との間には段差が設けられている。この段差部分に両面粘着シートや接着剤を配置することで、底面部642を上枠21、下枠22の内周面に当接させた状態で押縁用接続部材60を上枠21、下枠22に固定している。
【0015】
次に、嵌め殺し窓1の組立手順について説明する。まず、上枠21、下枠22、縦枠23の各小口を突き合わせて溶着などで固定して四周枠組みして窓枠2を組み立てる。また、ガスケット26を室内見付片部251に取り付けておく。
面材3を窓枠2内に配置し、縦押縁40Bを縦枠23に取り付ける。
次に、上枠21、下枠22に、横押縁40Aおよび押縁用接続部材60を取り付ける。具体的には、横押縁40Aの小口43Aに開口する中空部435に押縁用接続部材60の挿入部62を挿入しておき、固定部65の裏面に両面粘着シートを貼り付けておく。そして、横押縁40Aの係合片部42を、上枠21、下枠22の係合溝253に挿入しつつ、押縁用接続部材60を前記両面粘着シートによって上枠21、下枠22に固定する。
これにより、
図6(A)に示すように、横押縁40Aおよび縦押縁40Bの突き合わせ部は、押縁用接続部材60の第2被覆部64によって隠され、第2被覆部64の斜辺645が、上枠21、下枠22と、縦枠23との突き合わせ面(45度の接合線)の延長線上に位置する。すなわち、斜辺645は、縦押縁40Bの見付面部43の外周側の隅角部と、横押縁40Aの見付面部43の内周側の隅角部とを結ぶ線上に位置する。
【0016】
嵌め殺し窓1が設けられた環境で温度変化が生じたり、高温に曝されて押出時の残留応力の緩和が生じた場合でも、窓枠2は躯体に固定されているので、ほとんど伸縮しない。一方、各押縁40A,40Bは、窓枠2に係合されているだけであり、各枠21~23に対してその長手方向の移動が規制されていないため、熱伸縮する。
ここで、各押縁40A,40Bが収縮した場合、
図6(B)に示すように、横押縁40Aの小口43Aは、横押縁40Aの縮み量だけ縦押縁40Bから離れる方向(左右方向)に移動する。また、縦押縁40Bの小口も縦押縁40Bの縮み量だけ上枠21、下枠22から離れる方向(上下方向)に移動する。
このため、各押縁40A、40Bの間や、縦押縁40Bと上枠21、下枠22との間に隙間が生じるが、この隙間部分には第1被覆部63や、第2被覆部64が配置され、第1被覆部63、第2被覆部64が壁部として機能するので、隙間の大半を隠すことができる。なお、押縁40A、40Bが元の寸法に戻れば、
図6(A)の状態に戻すことができる。
【0017】
[第1実施形態の効果]
(1)嵌め殺し窓1は、上枠21、下枠22と、左右の縦枠23との接合部分を45度の小口を突き合わせた留めの納まりとし、縦押縁40Bおよび横押縁40Aの接合部分に押縁用接続部材60の斜辺645を配置したので、窓枠2と、横押縁40Aおよび縦押縁40Bの角部の納まりの外観を共通にでき、意匠性を向上できる。
特に、押縁用接続部材60は、上枠21、下枠22に固定されているので、横押縁40A、縦押縁40Bが収縮しても、上枠21、下枠22の45度に切断された小口と、押縁用接続部材60の斜辺645の位置がずれないため、意匠性の低下を抑制できる。
(2)押縁用接続部材60は、上枠21、下枠22に固定され、横押縁40Aや縦押縁40Bには固定されていないので、各押縁40A,40Bの収縮を押縁用接続部材60が規制することがなく、押縁40A,40Bの収縮時に押縁40A、40Bが破損したり窓枠2から外れることを防止できる。
(3)押縁用接続部材60の第1被覆部63、第2被覆部64は、各押縁40A、40Bが収縮した際に発生する隙間を隠す壁部として機能するため、押縁40A,40Bが収縮した際の隙間を目立たなくでき、この点でも意匠性を向上できる。
(4)窓枠2において、短辺側である上枠21および下枠22に取り付けられる横押縁40Aの端部を押縁用接続部材60の第1被覆部63で被覆したので、横押縁40Aの収縮時の小口43Aの移動量を小さくでき、第1被覆部63の横押縁40Aの長手方向の寸法を比較的小さくでき、押縁用接続部材60の第1被覆部63が目立ちにくくなり、意匠低下を抑制できる。
(5)横押縁40Aが収縮した場合、その小口43Aが露出すると、フィルム411と異なる素材の基材色が露出して意匠性が低下するが、本実施形態では、横押縁40Aの小口43Aを押縁用接続部材60で隠しているので、横押縁40Aの小口43Aが露出することを防止でき、意匠性の低下を防止できる。
(6)横押縁40A、縦押縁40Bの外観色と、押縁用接続部材60の色とを同一にしたので、横押縁40A、縦押縁40Bの接合部分に押縁用接続部材60が配置されていても統一感のある押縁構造とすることができ、意匠性を向上できる。
【0018】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係る嵌め殺し窓1Bについて
図7-10を参照して説明する。
第2実施形態に係る嵌め殺し窓1Bは、窓枠2Bと、窓枠2Bの上枠21B、下枠22Bに取り付けられる横押縁40Cと、左右の縦枠23Bに取り付けられる縦押縁40Dと、押縁用接続部材70とを備える。
窓枠2Bは、上枠21B、下枠22Bが縦枠23Bよりも長尺とされた横長の窓枠である。
図8,9に示すように、上枠21B、下枠22Bには、横押縁40Cが取り付けられる係合溝253Bと、後述する固定部品80が取り付けられる固定孔254Bとが形成されている。係合溝253Bと固定孔254Bは連続して形成され、固定孔254Bの側面の一部は係合溝253Bに開口している。
縦枠23Bは、縦押縁40Dが取り付けられる係合溝253Bが形成されている。
【0019】
横押縁40Cおよび縦押縁40Dは、
図9にも示すように、前記第1実施形態の押縁40と同じ断面形状の押出形材である。ただし、横押縁40Cおよび縦押縁40Dの長手方向の各端部は、長手方向に対して45度に切断され、
図7に示すように、嵌め殺し窓1Bを室外側から見た場合に、見付面部43が台形形状となるように構成されている。このため、横押縁40Cおよび縦押縁40Dの接合部の小口を突き合わせて接合する「留め」の納まりとなっている。
【0020】
横押縁40Cは、第1分断押縁410および第2分断押縁420の2つの押縁で構成されている。
第1分断押縁410および第2分断押縁420において、縦押縁40Dに突き合わされる小口410A、420Aは、各押縁410,420の長手方向に対して45度に切断され、互いに対向する分断部分の小口410B、420Bは、各押縁410,420の長手方向に対して90度に切断されている。
第1分断押縁410、第2分断押縁420の係合片部42は、一部が切り欠かれて切欠部42Bとされている。この切欠部42Bには、後述する固定部品80が係合する。
【0021】
押縁用接続部材70は、
図7-9に示すように、第1分断押縁410および第2分断押縁420間に配置される。
押縁用接続部材70は、各小口410B、420B間に配置される仕切片部71と、仕切片部71から突設されて第1分断押縁410の中空部435に挿入される第1挿入部72と、仕切片部71から突設されて第2分断押縁420の中空部435に挿入される第2挿入部73と、第1分断押縁410の見付面部43を覆う第1被覆部74と、第2分断押縁420の見付面部43を覆う第2被覆部75とを備える。押縁用接続部材70は、押縁40の外観色(フィルム411の色)と同色の部品である。
【0022】
仕切片部71は、各小口410B、420B間に配置され、各小口410B、420Bに突き合わせることが可能な形状とされている。
第1挿入部72および第2挿入部73は、第1分断押縁410および第2分断押縁420の中空部435に挿入可能な形状とされている。
【0023】
第1被覆部74は、仕切片部71から第1分断押縁410側に延出して設けられている。第1被覆部74は、表面部741と、表面部741の上端に連続する上面部742とを備えている。
第1被覆部74の表面部741は、第1分断押縁410の見付面部43の表面を被覆できるように、見付面部43の表面部431に沿って湾曲されている。第1挿入部72と表面部741との間には、表面部431が配置可能な隙間が形成されている。
上面部742は、第1分断押縁410の押縁本体41の上面を被覆可能に構成されている。
【0024】
第2被覆部75は、仕切片部71から第2分断押縁420側に延出して設けられている。第2被覆部75は、表面部751と、表面部751の上端に連続する上面部752とを備えている。
第2被覆部75の表面部751は、第2分断押縁420の見付面部43の表面を被覆できるように、見付面部43の表面部431に沿って湾曲されている。第2挿入部73と表面部751との間には、表面部431が配置可能な隙間が形成されている。
上面部752は、第2分断押縁420の押縁本体41の上面を被覆可能に構成されている。
固定部品80は、固定孔254Bに挿入される挿入部81と、係合溝253Bに配置される係合片部82とを備える。
【0025】
次に、嵌め殺し窓1Bの組立手順について説明する。まず、上枠21、下枠22、縦枠23の各小口を突き合わせて溶着などで固定して四周枠組みして窓枠2を組み立てる。そして、ガスケット26を室内見付片部251に取り付ける。
また、上枠21、下枠22の固定孔254Bに固定部品80の挿入部81を挿入し、係合溝253Bに係合片部82を配置する。
次に、面材3を窓枠2内に配置し、横押縁40Cを上枠21および下枠22に取り付け、縦押縁40Dを縦枠23に取り付ける。この際、横押縁40Cは、第1分断押縁410および第2分断押縁420間に押縁用接続部材70を配置し、押縁用接続部材70の第1挿入部72および第2挿入部73を、第1分断押縁410および第2分断押縁420の中空部435に挿入して組み立てた状態で、上枠21、下枠22に取り付ける。また、第1分断押縁410および第2分断押縁420の係合片部42を、係合溝253Bに挿入する際に、係合片部42に形成した切欠部42Bを、固定部品80の係合片部82の位置に合わせて挿入し、係合片部82を切欠部42Bに係合する。
これにより、
図10(A)に示すように、横押縁40Cおよび縦押縁40Dの突き合わせ部(角隅部)は、45度に切断された小口同士が突き合わされて留めの納まりとなる。この小口の突き合わせ面は、上枠21、下枠22と縦枠23との小口の突き合わせ面の延長線上に配置される。
横押縁40Cでは、押縁用接続部材70が第1分断押縁410および第2分断押縁420に跨がって配置され、第1分断押縁410および第2分断押縁420間の隙間が第1被覆部74、第2被覆部75で隠される。
【0026】
嵌め殺し窓1Bが設けられた環境で温度変化が生じたり、高温に曝されて押出時の残留応力の緩和が生じた場合でも、窓枠2は躯体に固定されているので、ほとんど伸縮しない。一方、各押縁40C,40Dは、窓枠2に係合されているだけであり、各枠21~23に対してその長手方向の移動が規制されていないため、熱伸縮する。
ここで、横押縁40Cが収縮した場合、
図10(B)に示すように、第1分断押縁410および第2分断押縁420は、縦押縁40Dに突き合わされる小口410B、420B側の端部が、固定部品80の係合片部82に係合されており、長手方向への移動が規制されている。このため、押縁用接続部材70が接続された小口410B、420Bが両端部側に縮み、第1分断押縁410および第2分断押縁420の小口410B、420Bが互いに離れる方向(左右方向)に移動する。この際、押縁用接続部材70の第1挿入部72、第2挿入部73は、第1分断押縁410、第2分断押縁420の中空部435に挿入されているだけで固定されていないので、押縁用接続部材70に対して第1分断押縁410、第2分断押縁420が移動することを許容する。
したがって、第1分断押縁410、第2分断押縁420間の隙間の寸法Wが大きくなるが、この隙間部分には押縁用接続部材70が配置され、押縁用接続部材70の第1被覆部74および第2被覆部75が壁部として機能するので、隙間を隠すことができる。
なお、環境温度が元に戻ることなどで第1分断押縁410および第2分断押縁420が元の寸法に戻った場合は、押縁用接続部材70の第1挿入部72および第2挿入部73にガイドされながら、第1分断押縁410および第2分断押縁420の各小口410B、420Bは互いに近づく方向に移動し、
図10(A)の状態に戻る。
【0027】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
すなわち、嵌め殺し窓1Bは、上枠21、下枠22と、左右の縦枠23との接合部分を45度の小口を突き合わせた留めの納まりとし、縦押縁40Dおよび横押縁40Cの接合部分も同様に、45度の角度で切断した小口同士を突き合わせた留めの納まりとしたので、窓枠2と、横押縁40Cおよび縦押縁40Dの角部の納まりを共通にでき、意匠性を向上できる。
押縁用接続部材70は、横押縁40Cの第1分断押縁410および第2分断押縁420間に配置されているが、第1分断押縁410、第2分断押縁420には固定されていないので、第1分断押縁410、第2分断押縁420の収縮を押縁用接続部材70が規制することがなく、第1分断押縁410、第2分断押縁420の収縮時に第1分断押縁410、第2分断押縁420が破損したり窓枠2から外れることを防止できる。
押縁用接続部材70の第1被覆部74および第2被覆部75は、第1分断押縁410、第2分断押縁420間の隙間を隠す壁部として機能するため、第1分断押縁410、第2分断押縁420が収縮した際に室外側に隙間が露出することもなく、第1分断押縁410、第2分断押縁420の伸縮状態に関係無く同じ外観にできるため、意匠性を向上できる。
第1分断押縁410および第2分断押縁420の小口410A、420A側の端部を固定部品80で長手方向に移動不能に固定したので、第1分断押縁410および第2分断押縁420の小口410A、420Aの位置を固定できる。このため、窓枠2の上枠21、下枠22と縦枠23との接合ラインに対し、横押縁40Cの小口の位置ずれを無くすことができ、意匠低下を抑制できる。
押縁用接続部材70の第1挿入部72、第2挿入部73を、第1分断押縁410、第2分断押縁420の中空部435に挿入したので、第1分断押縁410および第2分断押縁420の見込み方向の位置を揃えることができる。このため、第1分断押縁410、第2分断押縁420の見付面部43間の段差が生じず、この点でも意匠性を向上できる。
第1分断押縁410、第2分断押縁420が収縮した場合、その小口410B、420Bが露出すると、フィルム411と異なる素材の基材色が露出して意匠性が低下するが、本実施形態では、第1分断押縁410、第2分断押縁420の小口410B、420Bを押縁用接続部材70で隠しているので、第1分断押縁410、第2分断押縁420の小口410B、420Bが露出することを防止でき、意匠性の低下を防止できる。
第1分断押縁410、第2分断押縁420の外観色と、押縁用接続部材70の色とを同一にしたので、第1分断押縁410、第2分断押縁420間に押縁用接続部材70が介在されていても統一感のある押縁構造とすることができ、意匠性を向上できる。
【0028】
[変形例]
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
押縁用接続部材60は、上枠21、下枠22に取り付けられるものに限定されず、縦枠23に取り付けてもよい。特に、建具が横長であり、上枠21、下枠22が長辺、縦枠23が短辺の場合は、短辺である縦枠23に押縁用接続部材60を取り付けることが好ましい。
押縁用接続部材70は、横押縁40Cに設けられるものに限定されず、縦押縁40Dに設けられるものでもよいし、
図11に示すように、横押縁40Cおよび縦押縁40Dにそれぞれ設けられるものでもよい。すなわち、縦押縁40Dを第1分断押縁450および第2分断押縁460で構成し、これらの第1分断押縁450および第2分断押縁460間に押縁用接続部材70を配置してもよい。この際、縦枠23には固定部品80を取付け、第1分断押縁450および第2分断押縁460の突き合わせ小口側の端部を固定部品80に係合すればよい。
さらに、第2実施形態の押縁用接続部材70は、上枠21、下枠22には固定されていないが、押縁用接続部材60と同様に、上枠21、下枠22に両面粘着シートや接着剤などで固定してもよい。
前記各実施形態では、押縁40A~40Dは、面材3の室外側に配置される外押縁とされているが、内押縁として用いる場合にも押縁用接続部材60、70を利用することができる。
【0029】
窓枠2および押縁40は合成樹脂製であればよく、その具体的な材質は、各部品に求められる機能などに応じて選択すればよい。
押縁40A~40Dは、ガスケット45が押縁本体41と別体とされていたが、二色成形などによって押縁本体41およびガスケット45を一体に形成してもよい。
前記各実施形態では、嵌め殺し窓1,1Bを建具として説明したが、押縁40A~40Dを用いる建具であれば、開き系、スライド系の窓やドア、戸であってもよい。
【0030】
(まとめ)
本発明の押縁用接続部材は、縦押縁および横押縁の一方の押縁の小口を他方の押縁の側面に対向させて配置した接続部に設けられる押縁用接続部材であって、前記一方の押縁の見付面を覆う第1被覆部と、前記他方の押縁の見付面を覆う第2被覆部と、前記一方の押縁が取り付けられる枠に固定される固定部と、を備え、前記第2被覆部は、前記一方の押縁の長手方向に対する傾斜角度が45度である斜辺を備え、前記第1被覆部および前記第2被覆部は、前記各押縁が収縮した際に生じる隙間を隠す壁部として機能することを特徴とする。
本発明の押縁用接続部材によれば、縦押縁および横押縁の一方の押縁の見付面を覆う第1被覆部と、他方の押縁の見付面を覆う第2被覆部とを備えるので、納まりで勝ち側の押縁(縦勝ちであれば縦押縁、横勝ちであれば横押縁)の見付面を第2被覆部で覆うことができる。この際、第2被覆部は一方の押縁の長手方向に対して45度に傾斜された斜辺を備えるため、縦押縁および横押縁の接合部分に45度の斜辺が配置された外観となり、留めと呼ばれる納まりと同様の外観意匠とすることができる。したがって、押縁が取り付けられる建具枠の角部の納まりを、枠材を45度に切断した小口同士を溶着する留めの納まりとした場合に、建具枠と押縁の角部の納まりの意匠を共通化できて意匠性を向上できる。
また、押縁用接続部材は枠に固定されるため、前記第2被覆部の斜辺を、枠材の小口の延長線上に容易に配置でき、枠材から押縁部分まで突き合わせ部分が連続する意匠を実現できる。さらに、各押縁が収縮しても、押縁用接続部材は枠に固定されていて移動しないので、枠材から押縁部分まで突き合わせ部分が連続する意匠を常時維持できる。さらに、押縁用接続部材の第1被覆部および第2被覆部は、各押縁の見付面を覆うだけで固定されていないので、押縁用接続部材は、各押縁が収縮した場合にその移動を規制せず、押縁の収縮時に押縁が破損したり建具枠から外れることも防止できる。
さらに、押縁用接続部材の第1被覆部および第2被覆部は、各押縁が収縮した際に、押縁と枠間や、各押縁間に生じる隙間を隠す壁部として機能するため、押縁が収縮した際の隙間を目立たなくでき、この点でも意匠性を向上できる。
【0031】
本発明の押縁用接続部材は、長手方向の端部を45度の角度で切断した小口同士を突き合わせて設置される縦押縁および横押縁の少なくとも一方の押縁に設けられる押縁用接続部材であって、前記一方の押縁は、第1分断押縁および第2分断押縁の2つの押縁を備えて構成され、前記押縁用接続部材は、前記第1分断押縁および前記第2分断押縁間に配置され、前記第1分断押縁の見付面を覆う第1被覆部と、前記第2分断押縁の見付面を覆う第2被覆部と、を備え、前記第1被覆部および前記第2被覆部は、前記第1分断押縁および前記第2分断押縁が収縮した際に、前記第1分断押縁および前記第2分断押縁間に生じる隙間を隠す壁部として機能することを特徴とする。
本発明の押縁用接続部材によれば、縦押縁および横押縁の長手方向の端部は45度の角度で切断した小口とされ、互いに突き合わされているので、留めと呼ばれる納まりと同様の外観意匠とすることができる。したがって、押縁が取り付けられる建具枠の角部の納まりを、枠材を45度に切断した小口同士を溶着する留めの納まりとした場合に、建具枠と押縁の角部の納まりを共通化できて意匠性を向上できる。
また、縦押縁および横押縁の少なくとも一方の押縁を分断押縁としている。すなわち、分断押縁は、縦押縁でもよいし、横押縁でもよく、さらには、縦押縁および横押縁の両方ともでもよい。分断押縁は、第1分断押縁および第2分断押縁の2つの押縁に分断され、第1分断押縁および第2分断押縁間に、押縁用接続部材が配置されている。このため、押縁用接続部材で接続された各分断押縁が伸縮してその端部が移動しても、その変位を吸収できる。そして、押縁用接続部材は、第1分断押縁、第2分断押縁の見付面を被覆するだけで固定されていないので、各分断押縁が収縮した場合にその移動を規制せず、分断押縁の収縮時に分断押縁が破損したり建具枠から外れることも防止できる。
さらに、押縁用接続部材の第1被覆部および第2被覆部は、各分断押縁が収縮した際に生じる隙間を隠す壁部として機能するため、分断押縁が収縮した際の隙間を目立たなくでき、この点でも意匠性を向上できる。
【0032】
本発明の建具は、建具枠と、前記建具枠内に配置される面材と、前記建具枠に取り付けられて前記面材を押さえる縦押縁および横押縁と、押縁用接続部材と、を備え、前記建具枠は、上枠、下枠および左右の縦枠で構成され、前記各枠の小口は45度の角度で切断されて突き合わせされて接合され、前記縦押縁および前記横押縁は、長手方向に連続する中空部を備え、かつ、一方の押縁の小口を他方の押縁の側面に対向させて配置され、前記押縁用接続部材は、前記一方の押縁の見付面を覆う第1被覆部と、前記他方の押縁の見付面を覆う第2被覆部と、前記一方の押縁が取り付けられる枠に固定される固定部と、を備え、前記第2被覆部は、前記一方の押縁の長手方向に対する傾斜角度が45度である斜辺を備え、前記第1被覆部および前記第2被覆部は、前記各押縁が収縮した際に生じる隙間を隠す壁部として機能することを特徴とする。
この建具によれば、前述した押縁用接続部材を備えるため、同じ作用効果を奏することができる。すなわち、納まりで勝ち側の押縁の見付面を第2被覆部で覆うことができ、第2被覆部は各枠の小口の突き合わせ面の延長線上に配置される斜辺を備えるため、縦押縁および横押縁の接合部分に45度の斜辺が配置された外観となり、建具枠と押縁の角部の納まりの外観を共通化できて意匠性を向上できる。また、押縁用接続部材は、建具枠に固定され、各押縁の移動を規制しないので、各押縁の収縮時に押縁が破損したり建具枠から外れることも防止できる。さらに、押縁用接続部材の被覆部は、各分断押縁が収縮した際に、各分断押縁間に生じる隙間を隠す壁部として機能するため、分断押縁が収縮した際の隙間を目立たなくでき、この点でも意匠性を向上できる。
【0033】
本発明の建具は、建具枠と、前記建具枠内に配置される面材と、前記建具枠に取り付けられて前記面材を押さえる縦押縁および横押縁と、押縁用接続部材と、を備え、前記建具枠は、上枠、下枠および左右の縦枠で構成され、前記各枠の小口は45度の角度で切断されて突き合わせされて接合され、前記縦押縁および前記横押縁は、長手方向に連続する中空部を備え、かつ、長手方向の端部の小口は長手方向に対して45度の角度で切断され、前記縦押縁および前記横押縁の少なくとも一方の押縁は、第1分断押縁および第2分断押縁を備え、前記第1分断押縁および前記第2分断押縁は、他の押縁と突き合わされる前記小口が形成された端部側で前記枠に固定され、前記押縁用接続部材は、前記第1分断押縁および前記第2分断押縁間に配置され、前記第1分断押縁の見付面を覆う第1被覆部と、前記第2分断押縁の見付面を覆う第2被覆部と、を備え、前記第1被覆部および前記第2被覆部は、前記各分断押縁が収縮した際に生じる隙間を隠す壁部として機能することを特徴とする。
この建具によれば、前述した押縁用接続部材を備えるため、同じ作用効果を奏することができる。すなわち、縦押縁および横押縁の長手方向の端部は45度の角度で切断した小口とされ、互いに突き合わされているので、留めと呼ばれる納まりと同様の外観意匠とすることができる。したがって、押縁が取り付けられる建具枠の角部の納まりを、枠材を45度に切断した小口同士を溶着する留めの納まりとした場合に、建具枠と押縁の角部の納まりを共通化できて意匠性を向上できる。
また、縦押縁および横押縁の少なくとも一方の押縁を、第1分断押縁および第2分断押縁の2つの押縁に分断された分断押縁で構成し、第1分断押縁および第2分断押縁間に、押縁用接続部材が配置されている。このため、分断押縁の45度に切断された両端の小口が、他の押縁の小口に突き合わされた状態で分断押縁が伸縮した場合に、押縁用接続部材で接続された各分断押縁の中間部分が移動することで、前記伸縮による変位を吸収できる。そして、押縁用接続部材は、第1分断押縁、第2分断押縁の見付面を被覆するだけで固定されていないので、各分断押縁が収縮した場合にその移動を規制せず、分断押縁の収縮時に分断押縁が破損したり建具枠から外れることも防止できる。
さらに、押縁用接続部材の第1被覆部および第2被覆部は、各分断押縁が収縮した際に生じる隙間を隠す壁部として機能するため、分断押縁が収縮した際の隙間を目立たなくでき、この点でも意匠性を向上できる。
【0034】
本発明の建具において、前記第1分断押縁および前記第2分断押縁が取り付けられる前記枠の両端部には固定部品が取り付けられ、前記第1分断押縁および前記第2分断押縁の前記端部側には、前記固定部品が係合される切欠部が形成されていることが好ましい。
第1分断押縁および前記第2分断押縁の各端部を建具枠に固定する構造として、各端部に切欠部を形成し、建具枠に取り付けた固定部品を前記切欠部に係合しているので、接着剤や両面テープなどで固定する場合に比べて組立が容易となり、かつ、面材などの交換が必要となった場合に、分断押縁を容易に取り外すことができる。
【符号の説明】
【0035】
1、1B…嵌め殺し窓(建具)、2、2B…窓枠、21、21B…上枠、22、22B…下枠、23、23B…縦枠、3…面材、40…押縁、40A…横押縁、40B…縦押縁、40C…横押縁、40D…縦押縁、41…押縁本体、42…係合片部、42B…切欠部、43…見付面部、435…中空部、43A…小口、60…押縁用接続部材、61…対向部、62…挿入部、63…第1被覆部、64…第2被覆部、65…固定部、70…押縁用接続部材、71…仕切片部、72…第1挿入部、73…第2挿入部、74…第1被覆部、75…第2被覆部、80…固定部品、81…挿入部、82…係合片部、253、253B…係合溝、254B…固定孔、410、450…第1分断押縁、420、460…第2分断押縁、410A、410B、420A、420B…小口、645…斜辺。