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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052014
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】仕切弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 3/14 20060101AFI20220328BHJP
   F16K 3/28 20060101ALI20220328BHJP
   F16K 3/00 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
F16K3/14
F16K3/28
F16K3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158156
(22)【出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】396020361
【氏名又は名称】株式会社水道技術開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】前西 保
(72)【発明者】
【氏名】永森 保行
(72)【発明者】
【氏名】瀬藤 弘
【テーマコード(参考)】
3H053
【Fターム(参考)】
3H053AA02
3H053BA23
3H053DA02
(57)【要約】
【課題】弁体の管内挿入途中での弾性シール部材の交差方向外側への拡張を防止する。
【解決手段】流体管1の管内壁面1aに密着して管内流路を遮断可能な弾性シール部材3を有する弁体Vと、弁体Vを流体管1の管周壁1Aに形成された貫通孔4から管内に送り込む往復移動自在な弁支持部材53と、が備えられている仕切弁装置であって、弁体Vには、弾性シール部材3の底面が管内壁面1aの底部に当接した状態での弁支持部材53の送り込みに伴って発生する圧接反力によってのみ、弾性シール部材3を送り込み方向に対して交差した交差方向の管内壁面1aの側面部に対して圧接させる圧接作動手段6が備えられている
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管の管内壁面に密着して管内流路を遮断可能な弾性シール部材を有する弁体と、前記弁体を前記流体管の管周壁に形成された貫通孔から管内に送り込む往復移動自在な弁支持部材と、が備えられている仕切弁装置であって、
前記弁体には、前記弾性シール部材の底面が前記管内壁面の底部に当接した状態での前記弁支持部材の送り込みに伴って発生する圧接反力によってのみ、前記弾性シール部材を送り込み方向に対して交差した交差方向の前記管内壁面の側面部に対して圧接させる圧接作動手段が備えられている仕切弁装置。
【請求項2】
前記圧接作動手段には、前記弾性シール部材内の底部側に配置され、且つ、前記弁支持部材の端部に対して送り込み方向の一定範囲内で相対移動可能な第1芯材と、前記弁支持部材における前記弾性シール部材内の中間部位において、前記弾性シール部材の内面を前記交差方向から外方側に押圧移動自在に支持される一対の可動片と、前記圧接反力によって前記第1芯材と一対の前記可動片とが相対近接移動して当接することにより、一対の前記可動片を前記交差方向の外方側に離間移動させる強制離間移動部と、が備えられている請求項1記載の仕切弁装置。
【請求項3】
前記圧接作動手段には、前記弾性シール部材内の底部側に配置され、且つ、前記弁支持部材の端部に対して送り込み方向の一定範囲内で相対移動可能に配置される第2芯材と、前記弁支持部材と前記第2芯材とにわたって前記交差方向に屈曲揺動自在に架設される一対の押圧リンク機構と、が備えられ、一対の前記押圧リンク機構には、前記圧接反力による前記弁支持部材と前記第2芯材との近接移動に伴って前記弾性シール部材の内面を前記交差方向から外方側に押圧するシール押圧部が設けられ、前記弁支持部材には、前記弾性シール部材の弾性復元力により、前記押圧リンク機構を前記弁支持部材及び前記第2芯材に対する連結位置よりも前記シール押圧部が前記交差方向の外方側に突出する初期屈曲姿勢で当接保持するリンク姿勢保持部が設けられている請求項1記載の仕切弁装置。
【請求項4】
前記圧接作動手段には、前記弾性シール部材内に略Uの字状の初期形態で前記弁支持部材に固定される弾性圧接体を備え、前記弾性圧接体には、前記圧接反力によって前記管内壁面の周方向に沿う円形状の押圧形態に弾性変形することにより、前記弾性シール部材の内面を前記交差方向から外方側に押圧するシール押圧面が形成され、前記弾性圧接体は、円形状の前記押圧形態に予め曲げ形成され、且つ、前記弾性シール部材の弾性復元力で略Uの字状の前記初期形態に保持されている請求項1記載の仕切弁装置。
【請求項5】
一対の前記可動片を前記交差方向の内方側の初期位置に弾性力で戻し付勢する第1弾性戻し機構が設けられている請求項2記載の仕切弁装置。
【請求項6】
一対の前記押圧リンク機構の前記シール押圧部には、前記圧接反力で前記交差方向の外方側に突出したとき、前記管内壁面の周方向に略沿う円弧状のシール押圧面が備えられている請求項3記載の仕切弁装置。
【請求項7】
前記弾性圧接体の底部と前記弁支持部材の端部との間には、前記弾性圧接体を略Uの字状の初期形態に弾性力で戻し付勢する第2弾性戻し機構が設けられている請求項4記載の仕切弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管の管内壁面に密着して管内流路を遮断可能な弾性シール部材を有する弁体と、前記弁体を前記流体管の管周壁に形成された貫通孔から管内に送り込む往復移動自在な弁支持部材と、が備えられている仕切弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の仕切弁装置として、特許文献1に示す仕切り用弁装置が存在する。この仕切り用弁装置では、スライドスピンドル(弁支持部材)における弾性シール部材内の中間部に、弾性シール部材の内面を送り込み方向に対する交差方向から外方側に押圧可能なシール押圧面を備えた一対の可動片が設けられている。一対の可動片の軸部の上半側部位と対面するスライドスピンドルの中間部における交差方向の両側部位には、スライドスピンドルの軸芯側ほど下方に位置する斜め下向きの第1傾斜面が形成されている。一対の可動片の軸部の上半側部位には、スライドスピンドルの第1傾斜面と当接可能な斜め上向きの第2傾斜面が形成されている。
【0003】
そして、弾性シール部材の底面が管内壁面の底部に当接した状態でのスライドスピンドルの送り込みに伴って、スライドスピンドルの両第1傾斜面が一対の可動片の第2傾斜面と当接して押圧する。この押圧によって一対の可動片が交差方向の外方側に移動し、一対の可動片のシール押圧面により、弾性シール部材を管内壁面に対して流路遮断状態に圧接させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3662897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の仕切弁装置では、流体管の管周壁に形成された貫通孔の中心線とスライドスピンドルの送り込み軸芯とが少し位置ズレしている場合がある。この位置ズレ状態で弁体が管周壁の貫通孔に送り込まれると、貫通孔の挿入途中で弁体の弾性シール部材の周面が貫通孔の周縁に引っ掛かることがある。この引っ掛かり状態でスライドスピンドルがさらに送り込まれると、スライドスピンドルの両第1傾斜面が一対の可動片の第2傾斜面と当接して押圧するため、一対の可動片のシール押圧面によって弾性シール部材が交差方向の外側に拡張され、弁体が貫通孔の周縁に引っ掛かった状態で送込み停止する不都合がある。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、弁体の管内挿入途中での弾性シール部材の交差方向外側への拡張を防止することのできる仕切弁装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は、流体管の管内壁面に密着して管内流路を遮断可能な弾性シール部材を有する弁体と、前記弁体を前記流体管の管周壁に形成された貫通孔から管内に送り込む往復移動自在な弁支持部材と、が備えられている仕切弁装置であって、
前記弁体には、前記弾性シール部材の底面が前記管内壁面の底部に当接した状態での前記弁支持部材の送り込みに伴って発生する圧接反力によってのみ、前記弾性シール部材を送り込み方向に対して交差した交差方向の前記管内壁面の側面部に対して圧接させる圧接作動手段が備えられている点にある。
【0008】
本構成によれば、弾性シール部材を交差方向の管内壁面の側面部に対して圧接させる圧接作動手段は、弾性シール部材の底面が管内壁面の底部に当接した状態での弁支持部材の送り込み力による圧接反力によってのみ作動する。そのため、流体管の管周壁に形成された貫通孔の中心線と弁支持部材の送り込み軸芯とが少し位置ズレしていて、弁体を貫通孔から管内に挿入する際、その挿入途中で弾性シール部材の外周面の一部が貫通孔の周縁に引っ掛かっても、弾性シール部材の底部側に圧接反力が発生しないので圧接作動手段は作動しない。
したがって、弁体の管内挿入途中での弾性シール部材の交差方向外側への拡張に起因する弁体の送込み停止を確実に防止することができる。
【0009】
本発明の第2特徴構成は、前記圧接作動手段には、前記弾性シール部材内の底部側に配置され、且つ、前記弁支持部材の端部に対して送り込み方向の一定範囲内で相対移動可能な第1芯材と、前記弁支持部材における前記弾性シール部材内の中間部位において、前記弾性シール部材の内面を前記交差方向から外方側に押圧移動自在に支持される一対の可動片と、前記圧接反力によって前記第1芯材と一対の前記可動片とが相対近接移動して当接することにより、一対の前記可動片を前記交差方向の外方側に離間移動させる強制離間移動部と、が備えられている点にある。
【0010】
本構成によれば、弾性シール部材の底面が管内壁面の底部に当接した状態での弁支持部材の送り込みにより、弾性シール部材内の底部側に配置された第1芯材に圧接反力が作用する。この圧接反力によって第1芯材と一対の可動片とが相対近接移動して強制離間移動部が作動し、一対の可動片が交差方向の外方側に離間移動される。これにより、弾性シール部材が交差方向の管内壁面の側面部に対して流路遮断状態に圧接される。
したがって、弾性シール部材内の底部側に第1芯材を配置するだけの合理的な改良により、弁体の管内挿入途中での弾性シール部材の交差方向外側への拡張に起因する弁体の送込み停止を防止することができる。
【0011】
本発明の第3特徴構成は、前記圧接作動手段には、前記弾性シール部材内の底部側に配置され、且つ、前記弁支持部材の端部に対して送り込み方向の一定範囲内で相対移動可能に配置される第2芯材と、前記弁支持部材と前記第2芯材とにわたって前記交差方向に屈曲揺動自在に架設される一対の押圧リンク機構と、が備えられ、一対の前記押圧リンク機構には、前記圧接反力による前記弁支持部材と前記第2芯材との近接移動に伴って前記弾性シール部材の内面を前記交差方向から外方側に押圧するシール押圧部が設けられ、前記弁支持部材には、前記弾性シール部材の弾性復元力により、前記押圧リンク機構を前記弁支持部材及び前記第2芯材に対する連結位置よりも前記シール押圧部が前記交差方向の外方側に突出する初期屈曲姿勢で当接保持するリンク姿勢保持部が設けられている点にある。
【0012】
本構成によれば、弾性シール部材の底面が管内壁面の底部に当接した状態での弁支持部材の送り込みにより、弾性シール部材内の底部側に配置された第2芯材に圧接反力が作用する。この圧接反力によって弁支持部材と第2芯材とが近接移動する。この近接移動によって、弁支持部材と第2芯材とにわたって架設されている一対の押圧リンク機構が、交差方向の外方側に屈曲揺動し、一対の押圧リンク機構のシール押圧部で弾性シール部材の内面を交差方向から外方側に押圧する。これにより、弾性シール部材が交差方向の管内壁面の側面部に対して流路遮断状態に圧接される。
したがって、弾性シール部材内の底部側に第2芯材を配置するだけの合理的な改良により、弁体の管内挿入途中での弾性シール部材の交差方向外側への拡張に起因する弁体の送込み停止を防止することができる。
【0013】
しかも、弁体の開弁操作に伴って、弾性シール部材が管内壁面に圧接された締め切り状態から弾性シール部材の底面が管内壁面に非圧接状態で接触する管底当たり状態に戻ると、一対の押圧リンク機構は弾性シール部材の弾性復元力で復帰揺動する。このとき、弁支持部材に設けたリンク姿勢保持部により、一対の押圧リンク機構を、弁支持部材及び第2芯材に対する連結位置よりもシール押圧部が交差方向の外方側に突出する初期屈曲姿勢に当接保持することができるので、弾性シール部材の底部側に圧接反力が作用した時の一対の押圧リンク機構の屈曲揺動を確実に実行できる。
【0014】
本発明の第4特徴構成は、前記圧接作動手段には、前記弾性シール部材内に略Uの字状の初期形態で前記弁支持部材に固定される弾性圧接体を備え、前記弾性圧接体には、前記圧接反力によって前記管内壁面の周方向に沿う円形状の押圧形態に弾性変形することにより、前記弾性シール部材の内面を前記交差方向から外方側に押圧するシール押圧面が形成され、前記弾性圧接体は、円形状の前記押圧形態に予め曲げ形成され、且つ、前記弾性シール部材の弾性復元力で略Uの字状の前記初期形態に保持されている点にある。
【0015】
本構成によれば、弾性シール部材の底面が管内壁面の底部に当接した状態での弁支持部材の送り込みにより、弾性シール部材の内周面に沿う略Uの字状の初期形態で弁支持部材に固定された弾性圧接体の底部に圧接反力が作用する。この圧接反力によって弾性圧接体が略Uの字状の初期形態から円形状の押圧形態に弾性変形する。この弾性圧接体のシール押圧面によって弾性シール部材の内面が交差方向の外方側に押圧される。これにより、弾性シール部材が交差方向の管内壁面の側面部に対して流路遮断状態に圧接される。
したがって、弾性シール部材の内周面に沿って略Uの字状の初期形態の弾性圧接体を配置するだけの合理的な改良により、弁体の管内挿入途中での弾性シール部材の交差方向外側への拡張に起因する弁体の送込み停止を防止することができる。
【0016】
しかも、弾性圧接体は、円形状の押圧形態に予め曲げ形成され、且つ、弾性シール部材の弾性復元力で略Uの字状の初期形態に保持されているので、圧接反力による弾性圧接体の円形状の押圧形態への弾性変形を確実、スムーズに実行できる。
【0017】
本発明の第5特徴構成は、一対の前記可動片を前記交差方向の内方側の初期位置に弾性力で戻し付勢する第1弾性戻し機構が設けられている点にある。
【0018】
本構成によれば、弁体の開弁操作に伴って、弾性シール部材が管内壁面に圧接された締め切り状態から弾性シール部材の底面が管内壁面に非圧接状態で接触する管底当たり状態に戻ると、弾性シール部材の弾性復元力及び第1弾性戻し機構の戻し付勢力との協働により、一対の可動片を交差方向の内方側の初期位置に素早く復帰させることができる。これにより、流体管の貫通孔を通過する弁体の開弁操作を迅速に実行することができる。
【0019】
本発明の第6特徴構成は、一対の前記押圧リンク機構の前記シール押圧部には、前記圧接反力で前記交差方向の外方側に突出したとき、前記管内壁面の周方向に略沿う円弧状のシール押圧面が備えられている点にある。
【0020】
本構成によれば、圧接反力によって一対の押圧リンク機構が交差方向の外方側に屈曲揺動されたとき、押圧リンク機構のシール押圧部のシール押圧面が管内壁面の周方向に略沿う円弧状に形態変化するので、弾性シール部材の広い範囲を交差方向の管内壁面の側面部に対して流路遮断状態に適切に圧接することができる。
【0021】
本発明の第7特徴構成は、前記弾性圧接体の底部と前記弁支持部材の端部との間には、前記弾性圧接体を略Uの字状の初期形態に弾性力で戻し付勢する第2弾性戻し機構が設けられている点にある。
【0022】
本構成によれば、弁体の開弁操作に伴って、弾性シール部材が管内壁面に圧接された締め切り状態から弾性シール部材の底面が管内壁面に非圧接状態で接触する管底当たり状態に戻ると、弾性シール部材の弾性復元力及び第2弾性戻し機構の戻し付勢力との協働により、弾性圧接体を略Uの字状の初期形態に素早く復帰させることができる。これにより、流体管の貫通孔を通過する弁体の開弁操作を迅速に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態の仕切弁装置を示す管底当たり状態での全体断面図
図2】管底当たり状態にある弁体の側面視での全体断面図
図3】締め切り時の弁体の正面視での全体断面図
図4】第1実施形態の別実施例を示す要部の拡大断面図
図5】第2実施形態の仕切弁装置を示す管底当たり状態での全体断面図
図6】管底当たり状態にある弁体の側面視での断面図
図7】管底当たり状態にある弁体の正面視での断面図
図8】弁体の平面図
図9】締め切り時の弁体の正面視での拡大断面図
図10】第3実施形態の仕切弁装置を示す管底当たり状態での正面視の拡大断面図
図11】管底当たり状態にある弁体の側面視での拡大断面図
図12】締め切り時の弁体の正面視での拡大断面図
図13】弾性圧接体の拡大図
図14】第3実施形態の別実施例を示す弁体の正面視での拡大断面図
図15】締め切り時の弁体の正面視での拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1図3は、流体管の一例である水道管1に設置した仕切弁装置を示す。この仕切弁装置は、水道管1に水密状態で取付けられる分割構造の筐体2と、水道管1の管内壁面1aに密着して管内流路を遮断可能な弾性シール部材3を有する弁体Vと、筐体2内の密閉された弁作動空間20において、水道管1の管周壁1Aの上部に不断水状態で穿設された貫通孔4から弁体Vを上下方向に沿って管内に送り込む弁送込機構5と、を備える。
管周壁1Aの貫通孔4の直径は、図1に示すように、水道管1の内径よりも小径に設定されている。
【0025】
筐体2は、図1に示すように、弁体Vの送り込み方向に対して管径方向で水平に交差(直交)する交差方向で相対向する左右一対の下部筐体部材21と、弁作動空間20の下半側を形成する中間筐体部材22と、弁作動空間20の上半側を形成する上部筐体部材23と、弁送込機構5の弁棒51の操作軸部51Aを上方に突出する状態で回転のみ自在に支承する蓋部材24と、を備える。
一対の下部筐体部材21及び中間筐体部材22には、管周方向で相対向するフランジ部21A,22Aの分割面間及び水道管1の外周面との間を密封する弾性パッキン25を装着する。一対の下部筐体部材21と中間筐体部材22とは、管周方向で相対向するフランジ部21A,21A同士及びフランジ部21A,22A同士をそれぞれボルト・ナット26で締結することにより連結されている。
中間筐体部材22の上側フランジ部22Bと上部筐体部材23の下側フランジ部23Aとは、それらの接合面間を密封するOリング27を介装した状態でボルト28にて締結されている。上部筐体部材23の上側フランジ部23Bと蓋部材24とは、それらの接合面間を密封するOリング29を介装した状態でボルト30にて締結されている。
【0026】
蓋部材24には、図1に示すように、弁棒51の操作軸部51Aの外周面との間を密封するOリング31と、弁棒51の操作軸部51Aに設けた鍔部51Bが回転自在に入り込む凹部24Aが設けられている。操作軸部51Aの鍔部51Bの外径は、上部筐体部材23の上側壁に貫通形成された軸挿通孔23aの直径よりも大きい寸法に設定されている。そのため、蓋部材24の凹部24A内に配置された操作軸部51Aの鍔部51Bは、上部筐体部材23の軸挿通孔23aの開口周縁との当接により抜け止め保持されている。
【0027】
弁送込機構5は、図1図3に示すように、水道管1の貫通孔4の中心を通る上下軸芯Y周りで回転自在な弁棒51と、この弁棒51に螺合されるネジコマ52と、ネジコマ52と一体的に弁棒51に沿って上下方向に往復移動自在な弁支持部材である金属製のスライドスピンドル53と、を備える。
スライドスピンドル53の上側筒部53Aには、ネジコマ52を相対回転不能な状態で側方から脱着自在に収納するコマ収納部54と、このコマ収納部54内のネジコマ52を貫通した弁棒51の下側ネジ軸部51Cが移動する軸移動空間55とが形成されている。
【0028】
弁送込機構5による弁体Vの昇降範囲は、弁作動空間20内での最大上昇位置(最大開弁操作位置)から、図3に示すように、弁体Vの弾性シール部材3が水道管1の管内壁面1a及び貫通孔4の内周面に流路遮断状態(止水状態)で圧着された最大下降位置(最大閉弁操作位置)までの範囲となる。この最大下降位置が締め切り位置(締め切り状態)に設定されている。また、最大上昇位置から最大下降位置に閉弁作動される弁体Vの弾性シール部材3が水道管1の管内壁面1aの底部に非圧接状態で接触した瞬間の位置が、管底当たり位置(管底当たり状態)に設定されている。
【0029】
図1に示すように、スライドスピンドル53の上下方向の中間部には、貫通孔4の直径よりも大径の円形状のシール押圧部53Bが一体形成されている。このシール押圧部53Bの交差方向の両端部の上面側には、中間筐体部材22の内面に形成された左右一対の昇降ガイドレール56に沿って移動案内される昇降ガイド部57が一体形成されている。スライドスピンドル53の下側筒部53Cの外面には、シール押圧部53Bのシール押圧面53bよりも下方側の弾性シール構成領域の全周を囲繞するゴムライニングが施されている。このゴムライニングが弾性シール部材3として機能する。
弾性シール部材3は、管内壁面1aに管周方向に沿って圧接可能な管軸方向視で略U字状の管周方向シール部3Aと、この管周方向シール部3Aの上端部に連続し、且つ、貫通孔4を密封可能な平面視円形状の円環状シール部3Bと、を主要構成として備える。
【0030】
図1に示すように、管周方向シール部3Aにおける交差方向の幅は、貫通孔4の直径よりも僅かに小なる寸法に設定されている。また、円環状シール部3Bの下側シール部分3Baの外径は、貫通孔4の直径よりも僅かに小なる寸法に設定されている。この下側シール部分3Baに連続して外方に鍔状に張り出す上側シール部分3Bbの外径は、貫通孔4の直径よりも少し大なる寸法に設定されている。
【0031】
そのため、図1に示すように、弁体Vの弾性シール部材3が管内壁面1aの底部に当接した瞬間の管底当たり位置では、円環状シール部3Bの下側シール部分3Baと上側シール部分3Bbとの段差部位が貫通孔4の上方に位置する。図3に示す締め切り操作位置では、管底当たり位置以降のスライドスピンドル53の送り込みに伴って、円環状シール部3Bの下側シール部分3Baと上側シール部分3Bbとの段差部位が貫通孔4の内周面及び外周面側開口周縁に接触する。それ以降のスライドスピンドル53の送り込みに伴って、シール押圧部53Bのシール押圧面53bが円環状シール部3Bの上面を押圧する。これにより、円環状シール部3Bが径方向外方に弾性変形して貫通孔4の内周面及び外周面側開口周縁に水密状態で強く密着する。
【0032】
上述の如く構成された仕切弁装置の弁体Vには、図1図3に示すように、弾性シール部材3の底面が管内壁面1aの底部に当接した状態でのスライドスピンドル53の送り込みに伴って発生する圧接反力によってのみ、弾性シール部材3を交差方向の管内壁面1aの側面部に対して圧接させる圧接作動手段6が備えられている。
【0033】
そして、図1図3に示すように、弾性シール部材3を送り込み方向に対して交差した交差方向の管内壁面1aの側面部に対して圧接させる圧接作動手段6は、管底当たり位置以降のスライドスピンドル53の送り込みに伴って発生する圧接反力によってのみ作動する。そのため、水道管1の管周壁1Aに形成された貫通孔4の中心線とスライドスピンドル53の送り込み軸芯(上下軸芯Y)とが少し位置ズレしていて、弁体Vを貫通孔4から管内に挿入する際、その挿入途中で弾性シール部材3の外周面の一部が貫通孔4の周縁に引っ掛かっても、弾性シール部材3の底部側に圧接反力が発生しないので、圧接作動手段6は作動しない。
したがって、弁体Vの管内挿入途中での弾性シール部材3の交差方向外側への拡張に起因する弁体Vの送込み停止を確実に防止することができる。
【0034】
次に、圧接作動手段6について詳述する。
圧接作動手段6には、図1図3に示すように、弾性シール部材3内の底部側に配置され、且つ、スライドスピンドル53の端部に対して送り込み方向の一定範囲内で移動可能な金属製の第1芯材60と、スライドスピンドル53における弾性シール部材3内の中間部位において、弾性シール部材3の内面を交差方向から外方側に押圧移動自在に支持される一対の金属製の可動片61と、前記圧接反力によって第1芯材60と一対の可動片61とが相対近接移動して当接することにより、一対の可動片61を交差方向の外方側に離間移動させる強制離間移動部62と、一対の可動片61を交差方向の内方側の初期位置(待機位置)に弾性力で戻し付勢する第1弾性戻し機構63と、が備えられている。
【0035】
第1芯材60は、図1図3に示すように、スライドスピンドル53の下側筒部53Cの内周面に沿って送り込み方向(上下軸芯Y方向)に摺動案内される摺動軸部60Aと、この摺動軸部60Aの下端から水平方向に張り出す状態で一体形成される円板状の反力受け部60Bと、を備える。
摺動軸部60Aの上端部の交差方向の両側部位には、強制離間移動部62の一対の第1傾斜面62aが形成されている。一対の第1傾斜面62aの各々は、スライドスピンドル53の送り込み軸芯(上下軸芯Y)側ほど上方に位置する斜め上向きの傾斜面に構成されている。
また、摺動軸部60Aの上端部の交差方向の中央部位には、後述する可動片61の摺動案内孔64を形成するスライドスピンドル53の上側ガイド壁部53Dに下方から当接可能な当たり面60aが形成されている。この摺動軸部60Aの当たり面60aがスライドスピンドル53の上側ガイド壁部53Dに当接した位置が、一対の可動片61を交差方向の外方側に最も離間移動させた強制離間移動部62の最大離間移動位置(最大押出位置)に設定されている。
【0036】
一対の可動片61の各々は、図1図3に示すように、円弧状のシール押圧面61aを備えたシール押圧ヘッド61Aと、このシール押圧ヘッド61Aの背面の中心又はその近くに突設された軸状の摺動支持部61Bと、を備える。シール押圧ヘッド61Aの直径は、摺動支持部61Bの直径よりも大径に構成されている。そのため、シール押圧ヘッド61Aの背面のうち、摺動支持部61Bの外周面よりも外方に突出する環状背面部が、可動片61が交差方向の内方側に復帰した初期位置において、スライドスピンドル53の交差方向の外側面に当接するストッパー面61Cに構成されている。
【0037】
スライドスピンドル53における締め切り位置で管軸芯Xを水平に通る交差方向の両側部位には、各可動片61の摺動支持部61Bを交差方向に沿って摺動自在に挿通支持する支承部としての摺動案内孔64が形成されている。
図1図3に示すように、各可動片61の摺動支持部61Bの端部には、第1芯材60の各第1傾斜面62aと上下方向から当接可能な強制離間移動部62の第2傾斜面62bが形成されている。各第2傾斜面62bは、スライドスピンドル53の送り込み軸芯(上下軸芯Y)側ほど上方に位置する斜め下向きの傾斜面に構成されている。
【0038】
スライドスピンドル53に対して第1芯材60が圧接反力によって上方に近接移動すると、第1芯材60の両第1傾斜面62aが各可動片61の摺動支持部61Bの第2傾斜面62bに当接して押圧し、第1芯材60の上方への近接移動力が可動片61の強制離間移動力に変換される。
【0039】
そして、管底当たり位置以降のスライドスピンドル53の送り込みに伴って発生する圧接反力は、弾性シール部材3内の底部側に配置された第1芯材60の反力受け部60Bに作用する。スライドスピンドル53に対して第1芯材60が圧接反力によって上方に近接移動する。上方に近接移動する第1芯材60の両第1傾斜面62aが各可動片61の摺動支持部61Bの第2傾斜面62bに当接して押圧し、一対の可動片61が交差方向の外方側に離間移動される。第1芯材60の上方移動は、当該第1芯材60の摺動軸部60Aの上端部に形成された当たり面60aがスライドスピンドル53の上側ガイド壁部53Dに当接したときに停止する。この停止位置が、一対の可動片61を交差方向の外方側に最も離間移動させた最大離間移動位置となり、弾性シール部材3が交差方向の管内壁面1aの側面部に対して流路遮断状態(止水状態)に圧接される。
したがって、弾性シール部材3内の底部側に第1芯材60を配置するだけの合理的な改良により、弁体Vの管内挿入途中での弾性シール部材3の交差方向外側への拡張に起因する弁体Vの送込み停止を確実に防止することができる。
【0040】
第1弾性戻し機構63は、スライドスピンドル53の交差方向の外側面に、各可動片61のシール押圧面61aに戻し付勢力を付与する状態で取付けられたバネ鋼製のバネ板63Aから構成されている。このバネ板63Aは、可動片61のシール押圧面61aが交差方向から嵌合する弧状嵌合板部63aと、この弧状嵌合板部63aの上下両側に連続する取付け板部63bとを備える。
バネ板63Aは、初期位置にある可動片61の最大離間移動位置(最大押出位置)への移動に伴って撓み変形する。この撓み変形したバネ板63Aの弾性復元力が戻し付勢力となる。
【0041】
そして、弁体Vの開弁操作に伴って、弾性シール部材3が管内壁面1aに圧接された締め切り位置から弾性シール部材3の底面が管内壁面1aに非圧接状態で接触する管底当たり位置に戻ると、弾性シール部材3の弾性復元力及びバネ板63Aの戻し付勢力との協働により、一対の可動片61を交差方向の内方側の初期位置に素早く復帰させることができる。これにより、水道管1の貫通孔4を通過する弁体Vの開弁操作を迅速に実行することができる。
【0042】
[第1実施形態の別実施例]
図4は、第1弾性戻し機構63の別実施例を示す。この別実施例では、第1弾性戻し機構63が、一対の可動片61の摺動支持部61Bにわたって張設されたゴム材63Bから構成されている。ゴム材63Bは、初期位置にある可動片61の最大離間移動位置(最大押出位置)への移動に伴ってゴム弾性で伸長する。この伸長したゴム材63Bの弾性復元力が戻し付勢力となる。
【0043】
そして、弁体Vの開弁操作に伴って、弾性シール部材3が管内壁面1aに圧接された締め切り位置から弾性シール部材3の底面が管内壁面1aに非圧接状態で接触する管底当たり位置に戻ると、弾性シール部材3の弾性復元力及びゴム材63Bの戻し付勢力との協働により、一対の可動片61を交差方向の内方側の初期位置に素早く復帰させることができる。これにより、水道管1の貫通孔4を通過する弁体Vの開弁操作を迅速に実行することができる。
【0044】
[第2実施形態]
図5図9は、別実施形態の仕切弁装置を示す。この仕切弁装置では、弁支持部材である金属製のスライドスピンドル70が上下で二分割構造に構成されている。つまり、スライドスピンドル70は、コマ収納部54を有する分割上側スピンドル71と、一対の昇降ガイド部57を有する分割下側スピンドル72と、から構成されている。分割下側スピンドル72は、一対の昇降ガイド部57が一体形成されている大径筒状体72Aと、この大径筒状体72Aの下端に一体形成される環状底板部72Bと、この環状底板部72Bの内周縁から下方に一体的に延設される小径筒状体72Cとを備える。大径筒状体72Aの開口部には、分割上側スピンドル71の下端に形成された連結鍔部71Aが嵌合状態で載置支持する嵌合支持部72aが形成されている。この嵌合支持部72aに嵌合状態で載置支持された分割上側スピンドル71の連結鍔部71Aは、ボルト73で分割下側スピンドル72の大径筒状体72Aに固定されている。
尚、筐体2の構成は、上述の第1実施形態と同一であり、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0045】
図5図6に示すように、分割下側スピンドル72の大径筒状体72A及び環状底板部72Bの各下面がシール押圧面72bに構成されている。分割下側スピンドル72の外面には、シール押圧面72bよりも下方側の弾性シール構成領域の全周を囲繞するゴムライニングが施されている。このゴムライニングが弾性シール部材3として機能する。
弾性シール部材3は、管内壁面1aに管周方向に沿って圧接可能な管軸方向視で略U字状の管周方向シール部3Aと、この管周方向シール部3Aの両上端部に連続し、且つ、貫通孔4を密封可能な平面視円形状の円環状シール部3Bと、を主要構成として備える。
【0046】
図5図7図9に示すように、弾性シール部材3の底面が管内壁面1aの底部に当接した状態でのスライドスピンドル70の送り込みに伴って発生する圧接反力によってのみ、弾性シール部材3を送り込み方向に対して交差した交差方向の管内壁面1aの側面部に対して圧接させる圧接作動手段6が備えられている。
前記圧接作動手段6には、弾性シール部材3内の底部側に配置され、且つ、分割下側スピンドル72の端部に対して送り込み方向の一定範囲内で相対移動可能に配置される第2芯材75と、分割下側スピンドル72と第2芯材75とにわたって交差方向に屈曲揺動自在に架設される一対の押圧リンク機構80と、が備えられている。
【0047】
第2芯材75は、分割下側スピンドル72の小径筒状体72Cの内周面に沿って送り込み方向(上下軸芯Y方向)に摺動案内される筒状の第2摺動軸部75Aと、この第2摺動軸部75Aの下端から水平方向に張り出す状態で一体形成される円環状の第2反力受け部75Bと、備える。小径筒状体72Cの内周面には、第2摺動軸部75Aの外周面との間を密封するOリング76が設けられている。
【0048】
一対の押圧リンク機構80の各々は、図5図7図9に示すように、上側リンク81と下側リンク82を備える。上側リンク81の上端部は、大径筒状体72Aの下面と小径筒状体72Cの外周面との入隅部に設けた上側取付け片83に第1枢支ピン84で揺動自在に枢着されている。下側リンク82の下端部は、第2芯材75の第2反力受け部75Bの上面に設けた下側取付け片85に第2枢支ピン86で揺動自在に枢着されている。上側リンク81の下端部と下側リンク82の上端部は、第3枢支ピン87で屈曲自在に枢支連結されている。
第3枢支ピン87は、図9に示す締め切り状態において、管軸芯Xを通過する水平線上又はその近傍に配置される。
【0049】
上側リンク81における交差方向の外方側の側面81aは、弾性シール部材3の内面に接触する円弧状の上側シール押圧面88aに形成されている。下側リンク82における交差方向の外方側の側面82aは、弾性シール部材3の内面に接触する円弧状の下側シール押圧面88bに形成されている。上側リンク81の側面81aである上側シール押圧面88aと下側リンク82の側面82aである下側シール押圧面88bとをもってシール押圧部88が構成されている。このシール押圧部88は、圧接反力による分割下側スピンドル72と第2芯材75との相対近接移動に伴って弾性シール部材3の内面を交差方向から外方側に押圧する。
シール押圧部88の上側シール押圧面88a及び下側シール押圧面88bは、圧接反力で前記交差方向の外方側に突出した締め切り状態において、管内壁面1aの周方向に略沿う円弧状に構成されている。
【0050】
分割下側スピンドル72には、図7図9に示すように、弾性シール部材3の弾性復元力により、押圧リンク機構80を分割下側スピンドル72及び第2芯材75に対する連結位置よりもシール押圧部88が交差方向の外方側に突出する初期屈曲姿勢で当接保持するリンク姿勢保持部89が設けられている。
リンク姿勢保持部89には、上側リンク81における交差方向の内方側の側面81bと当接する上側姿勢規制面89aと、下側リンク82における交差方向の内方側の側面82bと当接する下側姿勢規制面89bとが形成されている。上側リンク81の内方側の側面81b及び下側リンク82の内方側の側面82bが上側姿勢規制面89a及び下側姿勢規制面89bに当接することにより、第3枢支ピン87が第1枢支ピン84及び第2枢支ピン86よりも交差方向の外方側に突出する初期屈曲姿勢に規制する。
【0051】
そして、管底当たり位置以降のスライドスピンドル70の送り込みに伴って発生する圧接反力は、弾性シール部材3内の底部側に配置された第2芯材75の第2反力受け部75Bに作用する。スライドスピンドル70に対して第2芯材75が圧接反力によって上方に移動する。この第2芯材75とスライドスピンドル70の分割下側スピンドル72との近接移動により、分割下側スピンドル72と第2芯材75とにわたって架設されている一対の押圧リンク機構80が、交差方向の外方側に屈曲揺動し、一対の押圧リンク機構80のシール押圧部88で弾性シール部材3の内面を交差方向から外方側に押圧する。これにより、弾性シール部材3が交差方向の管内壁面1aの側面部に対して流路遮断状態(止水状態)に圧接される。
したがって、弾性シール部材3内の底部側に第2芯材75を配置するだけの合理的な改良により、弁体Vの管内挿入途中での弾性シール部材3の交差方向外側への拡張に起因する弁体Vの送込み停止を防止することができる。
【0052】
しかも、弁体Vの開弁操作に伴って、弾性シール部材3が管内壁面1aに圧接された締め切り状態から弾性シール部材3の底面が管内壁面1aに非圧接状態で接触する管底当たり状態に戻ると、一対の押圧リンク機構80は弾性シール部材3の弾性復元力で復帰揺動する。このとき、スライドスピンドル70に設けたリンク姿勢保持部89により一対の押圧リンク機構80を、分割下側スピンドル72及び第2芯材75に対する連結位置よりもシール押圧部88が交差方向の外方側に突出する初期屈曲姿勢弁に当接保持することができるので、弾性シール部材3の底部側に圧接反力が作用した時の一対の押圧リンク機構80の屈曲揺動を確実に実行できる。
【0053】
さらに、圧接反力によって一対の押圧リンク機構80が交差方向の外方側に屈曲揺動された締め切り状態において、シール押圧部88の上側シール押圧面88a及び下側シール押圧面88bが管内壁面1aの周方向に略沿う円弧状に形態変化するので、弾性シール部材3の広い範囲を交差方向の管内壁面1aの側面部に対して流路遮断状態(止水状態)に適切に圧接することができる。
【0054】
[第3実施形態]
図10図14は、別実施形態の仕切弁装置を示す。この仕切弁装置では、弁支持部材であるスライドスピンドル53の上下方向の中間部に、水道管1の貫通孔4の直径よりも大径の円形状のシール押圧部53Bが一体形成されている。スライドスピンドル53の外面には、シール押圧部53Bのシール押圧面53bよりも下方側の弁体構成領域の全周を囲繞するゴムライニングが施されている。このゴムライニングが弾性シール部材3として機能する。
弾性シール部材3は、管内壁面1aに管周方向に沿って圧接可能な管軸方向視で略U字状の管周方向シール部3Aと、この管周方向シール部3Aの両上端部に連続し、且つ、貫通孔4を密封可能な平面視円形状の円環状シール部3Bと、を主要構成として備える。
尚、本実施形態の各図において、筐体2、弁送込機構5の弁棒51、ネジコマ52を省略した状態で表示している。
【0055】
図10図12に示すように、弾性シール部材3の底面が管内壁面1aの底部に当接した状態でのスライドスピンドル53の送り込みに伴って発生する圧接反力によってのみ、弾性シール部材3を送り込み方向に対して交差した交差方向の管内壁面1aの側面部に対して圧接させる圧接作動手段6が備えられている。
圧接作動手段6は、弾性シール部材3内に当該弾性シール部材3の外周面に沿う略Uの字状の初期形態で埋設され、且つ、スライドスピンドル53に固定される弾性圧接体91を備える。弾性圧接体91は、バネ鋼製の帯状体から構成され、それの両端部は、スライドスピンドル53における交差方向両側の側面53aにボルト92で固定されている。
弾性圧接体91には、圧接反力によって管内壁面1aの周方向に沿う円形状の押圧形態に弾性変形することにより、弾性シール部材3の内面を差方向から外方側に押圧するシール押圧面91aが形成されている。弾性圧接体91は、円形状の押圧形態に予め曲げ形成され、且つ、弾性シール部材3の弾性復元力で略Uの字状の初期形態に保持されている。
【0056】
そして、図10図12に示すように、管底当たり位置以降のスライドスピンドル53の送り込みに伴って発生する圧接反力は、弾性シール部材3内に配置した弾性圧接体91の底部に作用する。この圧接反力によって弾性圧接体91が略Uの字状の初期形態から円形状の押圧形態に弾性変形する。この弾性圧接体91のシール押圧面91aによって弾性シール部材3の内面が交差方向の外方側に押圧される。これにより、弾性シール部材3が交差方向の管内壁面1aの側面部に対して流路遮断状態(止水状態)に圧接される。
したがって、弾性シール部材3内に略Uの字状の初期形態の弾性圧接体91を配置するだけの合理的な改良により、弁体Vの管内挿入途中での弾性シール部材3の交差方向外側への拡張に起因する弁体Vの送込み停止を防止することができる。
【0057】
しかも、弾性圧接体91は、図13に示すように、円形状の押圧形態に予め曲げ形成され、且つ、図10に示すように、弾性シール部材3の弾性復元力で略Uの字状の初期形態に保持されているので、圧接反力による弾性圧接体91の円形状の押圧形態への弾性変形を確実、スムーズに実行することができる。
【0058】
[第3実施形態の別実施例]
図14図15は、圧接作動手段6の別実施例を示す。この別実施例では、弾性圧接体91の底部とスライドスピンドル53の下端部との間に、弾性圧接体91を略Uの字状の初期形態に弾性力で戻し付勢する第2弾性戻し機構93が設けられている。第2弾性戻し機構93はコイルバネ93Aから構成されている。コイルバネ93Aは、管底当たり位置以降のスライドスピンドル53の送り込みに伴って圧縮変形する。この圧縮変形したコイルバネ93Aの弾性復元力が戻し付勢力となる。
【0059】
そして、弁体Vの開弁操作に伴って、弾性シール部材3が管内壁面1aに圧接された締め切り状態から弾性シール部材3の底面が管内壁面1aに非圧接状態で接触する管底当たり状態に戻ると、弾性シール部材3の弾性復元力及び第2弾性戻し機構93を構成するコイルバネ93Aの戻し付勢力との協働により、弾性圧接体91を略Uの字状の初期形態に素早く復帰させることができる。これにより、水道管1の貫通孔4を通過する弁体Vの開弁操作を迅速に実行することができる。
【0060】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第3実施形態では、弾性圧接体91をバネ鋼で製作したげ、この弾性圧接体91を樹脂で製作してもよい。
【0061】
(2)上述の各実施形態では、流体管として、流体の一例である上水を輸送するための水道管1を例示したが、工業用水やガス等の他の流体を輸送する流体管であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
V 弁体
1 流体管(水道管)
1A 管周壁
1a 管内壁面
3 弾性シール部材
4 貫通孔
6 圧接作動手段
53 弁支持部材(スライドスピンドル)
60 第1芯材
61 可動片
62 強制離間移動部
63 第1弾性戻し機構
70 弁支持部材(スライドスピンドル)
75 第2芯材
80 押圧リンク機構
88 シール押圧部
88a シール押圧面(上側シール押圧面)
88b シール押圧面(下側シール押圧面)
89 リンク姿勢保持部
91 弾性圧接体
91a シール押圧面
93 第2弾性戻し機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15