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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052050
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/22 20060101AFI20220328BHJP
   H01L 27/11597 20170101ALI20220328BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20220328BHJP
   H01L 27/11514 20170101ALI20220328BHJP
   H01L 27/11509 20170101ALI20220328BHJP
   H01L 27/11592 20170101ALI20220328BHJP
【FI】
G11C11/22 110
G11C11/22 230
G11C11/22 240
H01L27/11597
H01L27/088 E
H01L27/11514
H01L27/11509
H01L27/11592
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158205
(22)【出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 都文
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 究
【テーマコード(参考)】
5F048
5F083
【Fターム(参考)】
5F048AA01
5F048AB01
5F048AC01
5F048AC10
5F048BA01
5F048BB11
5F048BE03
5F048BF07
5F048BF15
5F048BF16
5F048CB01
5F048CB03
5F048CB04
5F083FR01
5F083FR06
5F083GA10
5F083JA02
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA40
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083KA19
5F083LA03
5F083LA05
5F083LA10
5F083LA19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】好適に制御可能な半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、第1メモリトランジスタと、第1メモリキャパシタと、これらに接続された制御回路と、を備える。第1メモリトランジスタは、第1ゲート電極と、第1半導体層と、これらの間に設けられた第1絶縁膜と、を備える。第1メモリキャパシタは、第1電極と、第2電極と、これらの間に設けられ、第1絶縁膜と共通の材料を含む第2絶縁膜と、を備える。制御回路は、第1ゲート電極に第1プログラム電圧を供給する第1プログラム動作と、第1ゲート電極に第1プログラム電圧より大きい第2プログラム電圧を供給する第2プログラム動作と、第1電極及び第2電極の少なくとも一方に電圧を供給する第1読出動作と、を実行可能に構成されている。また、制御回路は、第1読出動作の実行後に、第1プログラム動作又は第2プログラム動作を実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1メモリトランジスタと、第1メモリキャパシタと、前記第1メモリトランジスタ及び前記第1メモリキャパシタに接続された制御回路と、を備え、
前記第1メモリトランジスタは、
第1ゲート電極と、
前記第1ゲート電極に対向する第1半導体層と、
前記第1ゲート電極と前記第1半導体層との間に設けられた第1絶縁膜と
を備え、
前記第1メモリキャパシタは、
第1電極と、
前記第1電極に対向する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第1絶縁膜と共通の材料を含む第2絶縁膜と
を備え、
前記制御回路は、
前記第1ゲート電極に第1プログラム電圧を供給する第1プログラム動作と、
前記第1ゲート電極に前記第1プログラム電圧より大きい第2プログラム電圧を供給する第2プログラム動作と、
前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方に電圧を供給する第1読出動作と
を実行可能に構成され、
前記第1読出動作の実行後に、前記第1プログラム動作又は前記第2プログラム動作を実行する
半導体記憶装置。
【請求項2】
第1メモリトランジスタと、第1メモリキャパシタと、前記第1メモリトランジスタ及び前記第1メモリキャパシタに接続された制御回路と、を備え、
前記第1メモリトランジスタは、
第1ゲート電極と、
前記第1ゲート電極に対向する第1半導体層と、
前記第1ゲート電極と前記第1半導体層との間に設けられた第1絶縁膜と
を備え、
前記第1メモリキャパシタは、
第1電極と、
前記第1電極に対向する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第1絶縁膜と共通の材料を含む第2絶縁膜と
を備え、
前記制御回路は、
前記第1メモリトランジスタに第1消去電圧を供給する第1消去動作と、
前記第1メモリトランジスタに前記第1消去電圧より大きい第2消去電圧を供給する第2消去動作と、
前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方に電圧を供給する第1読出動作と
を実行可能に構成され、
前記第1読出動作の実行後に、前記第1消去動作又は前記第2消去動作を実行する
半導体記憶装置。
【請求項3】
第1メモリトランジスタと、第2メモリトランジスタと、第1メモリキャパシタと、前記第1メモリトランジスタ、前記第2メモリトランジスタ及び前記第1メモリキャパシタに接続された制御回路と、を備え、
前記第1メモリトランジスタは、
第1ゲート電極と、
前記第1ゲート電極に対向する第1半導体層と、
前記第1ゲート電極と前記第1半導体層との間に設けられた第1絶縁膜と
を備え、
前記第2メモリトランジスタは、
第2ゲート電極と、
前記第2ゲート電極に対向する第2半導体層と、
前記第2ゲート電極と前記第2半導体層との間に設けられた第2絶縁膜と
を備え、
前記第1メモリキャパシタは、
第1電極と、
前記第1電極に対向する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第1絶縁膜と共通の材料を含む第3絶縁膜と
を備え、
前記制御回路は、
前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方に電圧を供給する第1読出動作を実行し、
前記第1読出動作の実行後に、前記第1ゲート電極に読出電圧を供給する第2読出動作を実行し、
前記第2読出動作の実行後に、前記第2ゲート電極に前記読出電圧よりも大きいプログラム電圧を供給するプログラム動作を実行し、
前記プログラム動作の実行後に、前記第1メモリトランジスタに前記プログラム電圧よりも大きい電圧を供給するリフレッシュ動作を実行する
半導体記憶装置。
【請求項4】
第1方向に並ぶ複数の前記第1ゲート電極と、
前記第1方向に延伸する前記第1半導体層と、
前記複数の第1ゲート電極と、前記第1半導体層と、の間に設けられた前記第1絶縁膜と
を備える請求項1~3のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1方向に延伸し、前記第1半導体層によって外周面が覆われた前記第1電極と、
前記第1方向に延伸し、前記第1電極によって外周面が覆われた前記第2電極と
を備える請求項4記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜は、酸素(O)及びハフニウム(Hf)を含む
請求項1~5のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜は、結晶構造として直方晶を含む
請求項1~6のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜は、強誘電体の膜を含む
請求項1~7のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と、この基板の表面と交差する方向に積層された複数のゲート電極と、これら複数のゲート電極に対向する半導体層と、ゲート電極及び半導体層の間に設けられたゲート絶縁膜と、を備える半導体記憶装置が知られている。ゲート絶縁膜は、例えば、強誘電体の膜等の、データを記憶可能なメモリ部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-160374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
好適に制御可能な半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、第1メモリトランジスタと、第1メモリキャパシタと、第1メモリトランジスタ及び第1メモリキャパシタに接続された制御回路と、を備える。第1メモリトランジスタは、第1ゲート電極と、第1ゲート電極に対向する第1半導体層と、第1ゲート電極と第1半導体層との間に設けられた第1絶縁膜と、を備える。第1メモリキャパシタは、第1電極と、第1電極に対向する第2電極と、第1電極と第2電極との間に設けられ、第1絶縁膜と共通の材料を含む第2絶縁膜と、を備える。制御回路は、第1ゲート電極に第1プログラム電圧を供給する第1プログラム動作と、第1ゲート電極に第1プログラム電圧より大きい第2プログラム電圧を供給する第2プログラム動作と、第1電極及び第2電極の少なくとも一方に電圧を供給する第1読出動作と、を実行可能に構成されている。また、制御回路は、第1読出動作の実行後に、第1プログラム動作又は第2プログラム動作を実行する。
【0006】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、第1メモリトランジスタと、第1メモリキャパシタと、第1メモリトランジスタ及び第1メモリキャパシタに接続された制御回路と、を備える。第1メモリトランジスタは、第1ゲート電極と、第1ゲート電極に対向する第1半導体層と、第1ゲート電極と第1半導体層との間に設けられた第1絶縁膜と、を備える。第1メモリキャパシタは、第1電極と、第1電極に対向する第2電極と、第1電極と第2電極との間に設けられ、第1絶縁膜と共通の材料を含む第2絶縁膜と、を備える。制御回路は、第1メモリトランジスタに第1消去電圧を供給する第1消去動作と、第1メモリトランジスタに第1消去電圧より大きい第2消去電圧を供給する第2消去動作と、第1電極及び第2電極の少なくとも一方に電圧を供給する第1読出動作と、を実行可能に構成されている。また、制御回路は、第1読出動作の実行後に、第1消去動作又は第2消去動作を実行する。
【0007】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、第1メモリトランジスタと、第2メモリトランジスタと、第1メモリキャパシタと、第1メモリトランジスタ、第2メモリトランジスタ及び第1メモリキャパシタに接続された制御回路と、を備える。第1メモリトランジスタは、第1ゲート電極と、第1ゲート電極に対向する第1半導体層と、第1ゲート電極と第1半導体層との間に設けられた第1絶縁膜と、を備える。第2メモリトランジスタは、第2ゲート電極と、第2ゲート電極に対向する第2半導体層と、第2ゲート電極と第2半導体層との間に設けられた第2絶縁膜と、を備える。第1メモリキャパシタは、第1電極と、第1電極に対向する第2電極と、第1電極と第2電極との間に設けられ、第1絶縁膜と共通の材料を含む第3絶縁膜と、を備える。制御回路は、第1電極及び第2電極の少なくとも一方に電圧を供給する第1読出動作を実行し、第1読出動作の実行後に、第1ゲート電極に読出電圧を供給する第2読出動作を実行し、第2読出動作の実行後に、第2ゲート電極に読出電圧よりも大きいプログラム電圧を供給するプログラム動作を実行し、プログラム動作の実行後に、第1メモリトランジスタにプログラム電圧よりも大きい電圧を供給するリフレッシュ動作を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るメモリシステム10の構成を示す模式的なブロック図である。
図2】メモリダイMDの一部の構成を示す模式的なブロック図である。
図3】メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
図4】メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
図5】メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
図6】メモリダイMDの模式的な平面図である。
図7】メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な断面図である。
図8】メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な平面図である。
図9図8に示す構造をA-A´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
図10図9のBで示す部分を含む構成を拡大して示す模式的な断面図である。
図11図9のCで示す部分を含む構成を拡大して示す模式的な断面図である。
図12図9のDで示す部分を含む構成を拡大して示す模式的な断面図である。
図13】メモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。
図14】メモリセルMCの分極率について説明するための模式的なグラフである。
図15】メモリセルMCの状態について説明するための模式的な断面図である。
図16】メモリセルMCの状態について説明するための模式的な断面図である。
図17】メモリセルMCの読出動作について説明するための模式的な断面図である。
図18】メモリセルMCの書込シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
図19】メモリセルMCの書込シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
図20】メモリセルMCの書込シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
図21】メモリセルMCの消去シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
図22】メモリセルMCの消去シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
図23】メモリセルMCの消去シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
図24】強誘電体膜123の特性変化について説明するための模式的なグラフである。
図25】プログラム電圧VPGMの調整方法について説明するための模式的なフローチャートである。
図26】プログラム電圧VPGMの調整方法について説明するための模式的な断面図である。
図27】プログラム電圧VPGMの調整方法について説明するための模式的な回路図である。
図28】プログラム電圧VPGMの調整方法について説明するための模式的なグラフである。
図29】消去電圧Veraの調整方法について説明するための模式的なフローチャートである。
図30】消去電圧Veraの調整方法について説明するための模式的なグラフである。
図31】第1実施形態に係るメモリセルMCのインプリントの状態について説明するための模式的な状態遷移図である。
図32】第2実施形態に係るメモリセルMCのインプリントの状態について説明するための模式的な状態遷移図である。
図33】第2実施形態に係る半導体記憶装置のリフレッシュシーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
図34】第3実施形態に係るメモリセルMCのインプリントの状態について説明するための模式的な状態遷移図である。
図35】第3実施形態に係る半導体記憶装置のリフレッシュシーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
図36】第4実施形態に係るメモリセルMCのインプリントの状態について説明するための模式的な状態遷移図である。
図37】第1実施形態~第4実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図38】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図39】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図40】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図41】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図42】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図43】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図44】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図45】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図46】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図47】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図48】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図49】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図50】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図51】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図52】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図53】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図54】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図55】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図56】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図57】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図58】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図59】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図60】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図61】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図62】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図63】その他の実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明するための模式的な断面図である。
図64】その他の実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明するための模式的な平面図である。
図65】その他の実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明するための模式的な斜視図である。
図66】その他の実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明するための模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0010】
また、本明細書において「半導体記憶装置」と言った場合には、メモリダイを意味する事もあるし、メモリチップ、メモリカード、SSD(Solid State Drive)等の、コントローラダイを含むメモリシステムを意味する事もある。更に、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の、ホストコンピュータを含む構成を意味する事もある。
【0011】
また、本明細書において「制御回路」と言った場合には、メモリダイに設けられたシーケンサ等の周辺回路を意味する事もあるし、メモリダイに接続されたコントローラダイ又はコントローラチップ等を意味する事もあるし、これらの双方を含む構成を意味する事もある。
【0012】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0013】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の「間に接続されている」と言った場合、第1の構成、第2の構成及び第3の構成が直列に接続され、且つ、第2の構成が第1の構成を介して第3の構成に接続されていることを意味する場合がある。
【0014】
また、本明細書において、回路等が2つの配線等を「導通させる」と言った場合には、例えば、この回路等がトランジスタ等を含んでおり、このトランジスタ等が2つの配線の間の電流経路に設けられており、このトランジスタ等がON状態となることを意味する事がある。
【0015】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0016】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶことがある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0017】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0018】
[第1実施形態]
[メモリシステム10]
図1は、第1実施形態に係るメモリシステム10の構成を示す模式的なブロック図である。
【0019】
メモリシステム10は、ホストコンピュータ20から送信された信号に応じて、ユーザデータの読出し、書込み、消去等を行う。メモリシステム10は、例えば、メモリチップ、メモリカード、SSD又はその他のユーザデータを記憶可能なシステムである。メモリシステム10は、ユーザデータを記憶する複数のメモリダイMDと、これら複数のメモリダイMD及びホストコンピュータ20に接続されるコントローラダイCDと、を備える。コントローラダイCDは、例えば、プロセッサ、RAM等を備え、論理アドレスと物理アドレスの変換、ビット誤り検出/訂正、ガベージコレクション(コンパクション)、ウェアレベリング等の処理を行う。
【0020】
図2は、メモリダイMDの一部の構成を示す模式的なブロック図である。
【0021】
メモリダイMDは、メモリセルアレイMCAと、メモリセルアレイMCAと、これらメモリセルアレイMCA,MCAに接続された周辺回路PCと、を備える。メモリセルアレイMCAは、ユーザデータの記録に用いられる。メモリセルアレイMCAは、メモリセルアレイMCA内のメモリセルの状態の記録に用いられる。
【0022】
図3は、メモリセルアレイMCAの一部の構成を示す模式的な回路図である。
【0023】
メモリセルアレイMCAは、複数のメモリブロックBLKを備える。これら複数のメモリブロックBLKは、それぞれ、複数のストリングユニットSUを備える。これら複数のストリングユニットSUは、それぞれ、複数のメモリストリングMSを備える。これら複数のメモリストリングMSの一端は、それぞれ、ビット線BLを介して周辺回路PCに接続される。また、これら複数のメモリストリングMSの他端は、それぞれ、共通のソース線SLを介して周辺回路PCに接続される。
【0024】
メモリストリングMSは、ビット線BL及びソース線SLの間に直列に接続されたドレイン側選択トランジスタSTD、複数のメモリセルMC(メモリトランジスタ)、及び、ソース側選択トランジスタSTSを備える。
【0025】
メモリセルMCは、チャネル領域として機能する半導体層、メモリ部を含むゲート絶縁膜、及び、ゲート電極を備える電界効果型のトランジスタである。メモリセルMCのしきい値電圧は、メモリ部の状態に応じて変化する。メモリセルMCは、1ビット又は複数ビットのデータを記憶する。尚、1のメモリストリングMSに対応する複数のメモリセルMCのゲート電極には、それぞれ、ワード線WLが接続される。これらワード線WLは、それぞれ、1のメモリブロックBLK中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。
【0026】
選択トランジスタ(STD、STS)は、チャネル領域として機能する半導体層、ゲート絶縁膜及びゲート電極を備える電界効果型のトランジスタである。選択トランジスタ(STD、STS)のゲート電極には、それぞれ、選択ゲート線(SGD、SGS)が接続される。ドレイン側選択ゲート線SGDは、ストリングユニットSUに対応して設けられ、1のストリングユニットSU中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。ソース側選択ゲート線SGSは、複数のストリングユニットSU中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。
【0027】
図4は、メモリセルアレイMCAの一部の構成を示す模式的な回路図である。
【0028】
メモリセルアレイMCAは、複数のビット線BLと、複数のワード線WLと、複数のプレート線PLと、これら複数のビット線BL、複数のワード線WL及び複数のプレート線PLに接続された複数のメモリセルMCと、を備える。1のワード線WLに接続された複数のメモリセルMCは、それぞれ、お互いに異なるビット線BLに接続されている。また、1のビット線BLに接続された複数のメモリセルMCは、それぞれ、お互いに異なるワード線WLに接続されている。
【0029】
メモリセルMCは、それぞれ、ビット線BLとプレート線PLとの間に直列に接続された選択トランジスタST及びキャパシタCを備える。
【0030】
選択トランジスタSTは、チャネル領域として機能する半導体層、ゲート絶縁膜及びゲート電極を備える電界効果型のトランジスタである。選択トランジスタSTのゲート電極には、それぞれ、ワード線WLが接続される。
【0031】
キャパシタCは、一対の電極、及び、メモリ部を含む絶縁膜を備えるキャパシタである。
【0032】
周辺回路PCは、例えば、動作電圧を生成して電圧供給線に出力する電圧生成回路、所望の電圧供給線をメモリセルアレイMCA内の各配線(ビット線BL、ソース線SL、ワード線WL及び選択ゲート線(SGD、SGS))及びメモリセルアレイMCA内の各配線(ビット線BL、ワード線WL及びプレート線PL)と導通させるデコード回路、ビット線BL,BLの電流又は電圧を検知するセンスアンプ回路等を備える。
【0033】
図5は、周辺回路PCの一部の構成を示す模式的な回路図である。図5には、ワード線WLに電気的に接続されたブロックデコーダBLKDを示している。
【0034】
ブロックデコーダBLKDは、メモリセルアレイMCA中の複数のメモリブロックBLKに対応して設けられた複数のブロックデコードユニットblkdを備える。ブロックデコードユニットblkdは、メモリブロックBLK中の複数のワード線WLに対応して設けられた複数のトランジスタTBLKを備える。トランジスタTBLKは、例えば、電界効果型のNMOSトランジスタである。トランジスタTBLKのドレイン電極は、ワード線WLに接続されている。トランジスタTBLKのソース電極は、配線CGに接続されている。配線CGは、ブロックデコードユニットblkd中の全てのトランジスタTBLKに対応して複数設けられている。配線CGは、ブロックデコーダBLKD中の全てのブロックデコードユニットblkdに接続されている。トランジスタTBLKのゲート電極は、信号供給線BLKSELに接続されている。信号供給線BLKSELは、全てのブロックデコードユニットblkdに対応して複数設けられている。また、信号供給線BLKSELは、ブロックデコードユニットblkd中の全てのトランジスタTBLKに接続されている。
【0035】
メモリセルアレイMCAに対する読出動作、書込シーケンス、消去シーケンスにおいては、例えば、図示しないアドレスレジスタ中のブロックアドレスに対応する一つの信号供給線BLKSELが“H”状態となり、その他の信号供給線BLKSELが“L”状態となる。例えば、一つの信号供給線BLKSELに正の大きさを有する所定の駆動電圧が供給され、その他の信号供給線BLKSELに接地電圧VSS等が供給される。これにより、このブロックアドレスに対応する一つのメモリブロックBLK中の全てのワード線WLが、全ての配線CGを介して、上述した電圧供給線と導通する。また、その他のメモリブロックBLK中の全てのワード線WLがフローティング状態となる。
【0036】
[メモリダイMDの構造]
図6は、メモリダイMDの模式的な平面図である。図7は、メモリダイMDの一部の構造について説明するための模式的な断面図である。図8は、図6の一部の構成を拡大して示す模式的な平面図である。図9は、図8に示す構造をA-A´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。図10は、図9のBで示した部分を含む構成を拡大して示す模式的な断面図である。図11は、図9のCで示した部分を含む構成を拡大して示す模式的な断面図である。図12は、図9のDで示した部分を含む構成を拡大して示す模式的な断面図である。
【0037】
図6に示す様に、メモリダイMDは、半導体基板100を備える。図示の例において、半導体基板100にはX方向に並ぶ2つのメモリセルアレイ領域RMCAが設けられている。また、半導体基板100のY方向の端部には、周辺回路領域RPCが設けられている。
【0038】
また、図7に示す様に、メモリダイMDは、半導体基板100と、半導体基板100上に設けられたトランジスタ層LTRと、トランジスタ層LTRの上方に設けられた配線層D0,D1,D2と、配線層D0,D1,D2の上方に設けられたメモリセル層LMCと、メモリセル層LMCの上方に設けられた配線層M0,M1,M2と、を備える。
【0039】
半導体基板100は、例えば、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型のシリコン(Si)からなる半導体基板である。半導体基板100の表面には、リン(P)等のN型の不純物を含むN型ウェル領域、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型ウェル領域、N型ウェル領域及びP型ウェル領域が設けられていない半導体基板領域、絶縁領域100I等が設けられている。
【0040】
トランジスタ層LTRは、複数のトランジスタTrを備える。これら複数のトランジスタTrは、半導体基板100の表面をチャネル領域とする電界効果型のトランジスタである。これら複数のトランジスタTrは、周辺回路PCを構成する。
【0041】
配線層D0,D1,D2は、それぞれ、複数の配線d0,d1,d2を備える。これら複数の配線d0,d1,d2は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0042】
メモリセル層LMCは、例えば図6に示す様に、Y方向に並ぶ複数のメモリブロック領域RBLKを備える。メモリブロック領域RBLKは、例えば図8に示す様に、Y方向に並ぶ複数のストリングユニット領域RSUを備える。Y方向において隣り合う2つのメモリブロック領域RBLKの間には、酸化シリコン(SiO)等のブロック間絶縁層STが設けられる。
【0043】
メモリブロック領域RBLKは、例えば図9に示す様に、Z方向に並ぶ複数の導電層110と、これら複数の導電層110によって外周面が囲われたトランジスタ構造120と、Z方向に延伸しトランジスタ構造120によって外周面が囲われたキャパシタ構造130と、トランジスタ構造120及びキャパシタ構造130の上端に接続されたトランジスタ構造140と、を備える。
【0044】
導電層110は、X方向に延伸する略板状の導電層である。導電層110は、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。また、導電層110は、例えば、リン(P)又はホウ素(B)等の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。Z方向に並ぶ複数の導電層110の間には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層101が設けられている。
【0045】
一部の導電層110は、それぞれ、トランジスタ構造120の外周面を囲っている。この様な導電層110のY方向の一端及び他端は、ブロック間絶縁層STのY方向の側面に接している。この様な導電層110の一部は、それぞれ、ワード線WL図3)及びこれに接続された複数のメモリセルMC図3)のゲート電極として機能する。また、これよりも下方に位置する複数の導電層110は、それぞれ、ソース側選択ゲート線SGS(図3)及びこれに接続された複数のソース側選択トランジスタSTS(図3)のゲート電極として機能する。
【0046】
また、一部の導電層110は、それぞれ、トランジスタ構造140の外周面を覆っている。この様な導電層110は、図8に示す様に、ストリングユニット間絶縁層SHEを介してY方向に並んでいる。この様な導電層110のY方向の一端及び他端は、ブロック間絶縁層ST又はストリングユニット間絶縁層SHEのY方向の側面に接している。この様な導電層110は、それぞれ、ドレイン側選択ゲート線SGD(図3)及びこれに接続された複数のドレイン側選択トランジスタSTD(図3)のゲート電極として機能する。また、この様な導電層110は、ワード線WL図4)及びこれに接続された複数の選択トランジスタST図4)のゲート電極としても機能する。
【0047】
導電層110の下方には、導電層111(図9)が設けられている。導電層111は、例えば、リン(P)等のN型の不純物又はホウ素(B)等のP型の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。また、導電層111は、例えば、タングステン(W)等の金属、タングステンシリサイド等の導電層又はその他の導電層を含んでいても良い。導電層111は、トランジスタ構造120の下端に接続され、ソース線SL(図3)として機能する。
【0048】
導電層111の下方には、導電層112が設けられている。導電層112は、例えば、リン(P)等のN型の不純物又はホウ素(B)等のP型の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。また、導電層112は、例えば、タングステン(W)等の金属、タングステンシリサイド等の導電層又はその他の導電層を含んでいても良い。導電層112は、キャパシタ構造130の下端に接続され、プレート線PL(図4)として機能する。
【0049】
トランジスタ構造120は、例えば図8に示す様に、X方向及びY方向に所定のパターンで並ぶ。トランジスタ構造120は、例えば図10に示す様に、Z方向に延伸する略円筒状の半導体層121と、半導体層121の外周面に沿ってZ方向に延伸する略円筒状の絶縁層122と、絶縁層122の外周面に沿ってZ方向に延伸する略円筒状の強誘電体膜123と、を備える。
【0050】
半導体層121は、1つのメモリストリングMS(図3)に含まれる複数のメモリセルMC及びソース側選択トランジスタSTSのチャネル領域として機能する。半導体層121は、例えば、多結晶シリコン(Si)等の半導体層である。半導体層121の外周面は、それぞれ導電層110によって囲われており、絶縁層122及び強誘電体膜123を介して、Z方向に並ぶ複数の導電層110と対向している。図11に示す様に、半導体層121の下端部は、導電層111に接続されている。また、図12に示す様に、半導体層121の上端部は、トランジスタ構造140に接続されている。
【0051】
絶縁層122は、例えば、酸化シリコン(SiO)等を含む。
【0052】
強誘電体膜123は、例えば、直方晶の酸化ハフニウムを含んでも良い。強誘電体膜123に含まれる酸化ハフニウムは直方晶を主とするものでも良い。より具体的には、強誘電体膜123に含まれる酸化ハフニウムは、第三直方晶(orthorhombicIII、空間群Pbc21、空間群番号29番)を主とするものでも良い。強誘電体膜123に含まれる酸化ハフニウムの結晶の中で、直方晶の結晶が占める割合が最も多くても良い。尚、直方晶は斜方晶とも称される。
【0053】
また、強誘電体膜123は、シリコン(Si)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、ストロンチウム(Sr)、ランタン(La)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、及び、バリウム(Ba)からなる群から選ばれる少なくとも一つの添加元素を含むことが出来る。
【0054】
酸化ハフニウムに強誘電性を発現させる観点から、上記添加元素の濃度は0.1原子%以上60%以下であることが好ましい。酸化ハフニウムに強誘電性を発現させるための上記添加元素の濃度の適切な範囲は、添加元素の種類によって異なる。例えば、添加元素がシリコン(Si)の場合、強誘電性を発現させるための上記添加元素の濃度の適切な範囲は、3原子%以上7原子%以下である。例えば、添加元素がバリウム(Ba)の場合、強誘電性を発現させるための上記添加元素の濃度の適切な範囲は、0.1原子%以上3原子%以下である。例えば、添加元素がジルコニウム(Zr)の場合、強誘電性を発現させるための上記添加元素の濃度の適切な範囲は、10原子%以上60原子%以下である。
【0055】
キャパシタ構造130は、例えば図10に示す様に、Z方向に延伸する略円柱状の半導体層131と、半導体層131の外周面に沿ってZ方向に延伸する略円筒状の導電層132と、導電層132の外周面に沿ってZ方向に延伸する略円筒状の強誘電体膜133と、強誘電体膜133の外周面に沿ってZ方向に延伸する略円筒状の導電層134と、導電層134の外周面に沿ってZ方向に延伸する略円筒状の絶縁層135と、を備える。
【0056】
半導体層131は、リン(P)等のN型の不純物又はホウ素(B)等のP型の不純物を含む多結晶シリコン(Si)等の半導体層である。図12に示す様に、半導体層131の上端は、トランジスタ構造140に接続されている。
【0057】
導電層132は、キャパシタC図4)を構成する一方の電極として機能する。導電層132は、半導体層131の外周面に接している。導電層132は、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。導電層132は、強誘電体膜133を介して導電層134から絶縁されている。
【0058】
強誘電体膜133は、例えば、強誘電体膜123と同様の材料及び結晶構造を含んでいても良い。また、強誘電体膜133に含まれる各材料の組成比は、強誘電体膜123に含まれる各材料の組成比と、+-5%の範囲で一致していても良い。
【0059】
導電層134は、キャパシタCを構成する他方の電極として機能する。導電層134は、強誘電体膜133を介して導電層132から絶縁されている。導電層134は、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。図11に示す様に、導電層134の下端は、導電層112に接続されている。導電層134は、絶縁層135を介して半導体層121から絶縁されている。
【0060】
絶縁層135は、例えば、酸化シリコン(SiO)等を含む。
【0061】
トランジスタ構造140は、例えば図12に示す様に、Z方向に延伸する半導体層141と、半導体層141の外周面に設けられたゲート絶縁膜142と、を備える。
【0062】
半導体層141は、例えば、多結晶シリコン(Si)等の半導体層である。半導体層141は、ドレイン側選択トランジスタSTD(図3)のチャネル領域として機能する。また、半導体層141は、選択トランジスタST図4)のチャネル領域としても機能する。半導体層141は、略有底円筒状の形状を有し、中心部分には酸化シリコン等の絶縁層143が設けられている。また、半導体層141の外周面は、それぞれ導電層110によって囲われており、導電層110と対向している。
【0063】
半導体層141の上端部には、リン(P)等のN型の不純物を含む不純物領域144が設けられている。不純物領域144は、コンタクトCh及びコンタクトVy(図9)を介して、配線m0に接続されている。
【0064】
半導体層141の下端部は、半導体層121及び半導体層131に接続されている。
【0065】
ゲート絶縁膜142は、例えば、強誘電体膜123及び絶縁層122の上端部であっても良い。
【0066】
配線層M0,M1,M2は、例えば図7に示す様に、それぞれ、複数の配線m0,m1,m2を備える。これら複数の配線m0,m1,m2は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)又はアルミニウム(Al)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。尚、図示の例では、配線m0の一部が、コンタクトVy(図9)及びコンタクトCh(図9)を介して半導体層141(図12)に接続されている。この様な配線m0は、ビット線BL図3)及びビット線BL図4)として機能する。この様な配線m0は、X方向に並び、Y方向に延伸する。
【0067】
[メモリセルMCのしきい値電圧]
次に、図13を参照して、メモリセルMCのしきい値電圧について説明する。図13は、1ビットのデータが記録されるメモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。横軸はワード線WLの電圧を示しており、縦軸はメモリセルMCの数を示している。
【0068】
図13の例では、メモリセルMCのしきい値電圧が、2通りのステートに制御されている。例えば、下位ステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧は、図13のベリファイ電圧VVFYPより小さい。また、上位ステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧は、図13のベリファイ電圧VVFYEより大きい。
【0069】
読出動作に際しては、例えば、選択ワード線WLに、ベリファイ電圧VVFYPより大きくベリファイ電圧VVFYEより小さい読出電圧VCGRを供給する。図13の例において、読出電圧VCGRは、接地電圧VSS程度の大きさを有する。これにより、下位ステートに制御された選択メモリセルMCはON状態となり、上位ステートに制御された選択メモリセルMCはOFF状態となる。
【0070】
また、読出動作に際しては、例えば、非選択ワード線WLに、上位ステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧より大きい読出パス電圧VREADを供給する。これにより、非選択メモリセルMCが、記録するデータに拘わらずON状態となる。これにより、選択メモリセルMCがビット線BL図3)及びソース線SL(図3)と導通する。従って、この状態でビット線BLとソース線SLとの間に電圧を供給し、ビット線BLに電流が流れるか否かを検出することにより、選択メモリセルMCに記録されたデータを読み出すことが出来る。
【0071】
次に、図14図16を参照して、メモリセルMCのしきい値電圧の制御方法について説明する。図14は、メモリセルMCの分極率について説明するための模式的なグラフである。図14に示すグラフの横軸はワード線WLの電圧を示している。図14に示すグラフの縦軸は強誘電体膜123の分極率Pを示している。図15及び図16は、メモリセルMCの状態について説明するための模式的な断面図である。
【0072】
図10等を参照して説明した様に、本実施形態に係るメモリセルMCのゲート絶縁膜は、強誘電体膜123を含んでいる。この様なメモリセルMCに接続されたワード線WLに所定以上の大きさの正極性の電圧及び負極性の電圧を交互に供給すると、図14に示す様なヒステリシス曲線が観察される。図14では、このヒステリシス曲線上に、状態S,Sを示している。
【0073】
状態Sは、上位ステートに制御されたメモリセルMCの状態である。状態Sは、分極率Pが負の分極率Pであり、ワード線WLの電圧が接地電圧VSSの状態である。この状態では、図15に示す様に、強誘電体膜123の半導体層121側の面に負電荷が誘起されている。この状態では、半導体層121に正電荷が誘起されるため、半導体層121に電子のチャネルが形成されづらい。従って、メモリセルMCのしきい値電圧は、正の値となる。
【0074】
状態SのメモリセルMCのゲート電極に読出パス電圧VREAD程度の大きさの電圧を供給した場合、強誘電体膜123における分極の状態は変化しない。この状態でゲート電極への電圧の供給を中断すると、メモリセルMCは状態Sに戻る。
【0075】
状態SのメモリセルMCのゲート電極に所定以上の大きさの正極性の電圧を供給した場合、導電層110-半導体層121間の電界によって強誘電体膜123における分極の方向が反転し、図14に示す様に、強誘電体膜123における分極率Pが増大する。ゲート電極の電圧がプログラム電圧VPGMに到達すると、メモリセルMCの分極率Pは一定の大きさまで変化して飽和する。この状態でゲート電極への電圧の供給を中断すると、メモリセルMCは状態Sに遷移する。
【0076】
状態Sは、下位ステートに制御されたメモリセルMCの状態である。状態Sは、分極率Pが正の分極率Pであり、ワード線WLの電圧が接地電圧VSSの状態である。この状態では、図16に示す様に、強誘電体膜123の半導体層121側の面に正電荷が誘起されている。この状態では、半導体層121に負電荷が誘起される。即ち、半導体層121に電子のチャネルが形成される。従って、メモリセルMCのしきい値電圧は、負の値となる。
【0077】
状態SのメモリセルMCのゲート電極に所定以上の大きさの負極性の電圧を供給した場合、導電層110-半導体層121間の電界によって強誘電体膜123における分極の方向が反転し、図14に示す様に、強誘電体膜123における分極率Pが減少する。ゲート電極の電圧が消去電圧Veraに到達すると、メモリセルMCの分極率Pは一定の大きさまで変化して飽和する。この状態でゲート電極への電圧の供給を中断すると、メモリセルMCは状態Sに遷移する。
【0078】
[メモリセルアレイMCAの読出動作]
次に、図17を参照して、メモリセルアレイMCAの読出動作について、より具体的に説明する。図17は、読出動作について説明するための模式的な断面図である。
【0079】
尚、本実施形態に係る読出動作は、1つのストリングユニットSUに含まれ、且つ、選択ワード線WLに接続された全てのメモリセルMCに対して一括して実行される。以下の説明では、1つのストリングユニットSUに含まれ、且つ、1つのワード線WLに接続された全てのメモリセルMCを含む構成を、ページPGと呼ぶ場合がある。
【0080】
読出動作に際しては、例えば、ビット線BLに電圧VDDを供給し、ソース線SLに電圧VSRCを供給する。電圧VSRCは、例えば、接地電圧VSSと同程度の大きさを有する。電圧VSRCは、例えば、接地電圧VSSより大きく、電圧VDDより小さい。
【0081】
また、選択ワード線WLに接続された複数のメモリセルMCを、選択的にビット線BL及びソース線SLと導通させる。例えば、選択ゲート線(SGD、SGS)に電圧VSGを供給して、選択トランジスタ(STD、STS)をON状態とする。また、非選択ワード線WLに読出パス電圧VREADを供給して、非選択ワード線WLに接続された全てのメモリセルMCをON状態とする。
【0082】
また、選択ワード線WLに読出電圧VCGRを供給する。これにより、下位ステートに対応するメモリセルMCはON状態となり、上位ステートに対応するメモリセルMCはOFF状態となる。この状態で、周辺回路PC中のセンスアンプモジュールによって、選択メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出し、読出データとしてコントローラダイCD(図1)に出力する。コントローラダイCDはこのデータに対して、ビット誤り検出/訂正等を行った上で、ホストコンピュータ20(図1)に転送する。
【0083】
[メモリセルアレイMCAの書込シーケンス]
次に、図18図20を参照して、メモリセルアレイMCAの書込シーケンスについて説明する。図18は、書込シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。図19及び図20は、書込シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
【0084】
尚、本実施形態に係る書込シーケンスは、1つのページPG内の全てのメモリセルMCに対して一括して実行される。
【0085】
ステップS101(図18)では、ループ回数nを1に設定する。ループ回数nは、レジスタ等に記録される。
【0086】
ステップS102では、プログラム動作を行う。
【0087】
プログラム動作では、例えば図19に例示する様に、複数の選択メモリセルMCのうちしきい値電圧の調整を行うものに接続されたビット線BLに電圧VSRCを供給し、複数の選択メモリセルMCのうちしきい値電圧の調整を行わないものに接続されたビット線BLに電圧VDDを供給する。
【0088】
また、プログラム動作では、しきい値電圧の調整を行うメモリセルMCを、選択的にビット線BLと導通させる。例えば、ドレイン側選択ゲート線SGDに電圧VSGDを供給する。電圧VSGDは、例えば、図17の電圧VSGより小さい。これにより、電圧VSRCが供給されたビット線BLに接続されたドレイン側選択トランジスタSTDはON状態となり、電圧VDDが供給されたビット線BLに接続されたドレイン側選択トランジスタSTDはOFF状態となる。また、非選択ワード線WLに書込パス電圧VPASSを供給する。書込パス電圧VPASSは、例えば、図17の読出パス電圧VREADより大きくても良い。
【0089】
また、プログラム動作では、選択ワード線WLにプログラム電圧VPGMを供給する。プログラム電圧VPGMは、書込パス電圧VPASSよりも大きい。これにより、所望のメモリセルMCの強誘電体膜123の分極状態を変化させることが可能である。
【0090】
ステップS103(図18)では、ベリファイ動作を行う。
【0091】
ベリファイ動作では、例えば図20に例示する様に、非選択ワード線WLに読出パス電圧VREADを供給し、選択ゲート線(SGD、SGS)に電圧VSGを供給する。
【0092】
また、ベリファイ動作では、選択ワード線WLにベリファイ電圧VVFYPを供給する。また、選択メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出する。
【0093】
ステップS104(図18)では、ベリファイ動作の結果を判定する。例えば、ベリファイ動作においてOFF状態のメモリセルMCが一定数以上検出された場合等にはベリファイFAILと判定し、ステップS105に進む。一方、ベリファイ動作においてOFF状態のメモリセルMCが一定数以上検出されなかった場合にはベリファイPASSと判定し、ステップS107に進む。
【0094】
ステップS105では、ループ回数nが所定の回数Nに達したか否かを判定する。達していなかった場合にはステップS106に進む。達していた場合にはステップS108に進む。
【0095】
ステップS106では、ループ回数nに1を加算して、ステップS102に進む。また、ステップS106では、例えば、プログラム電圧VPGMに所定の電圧ΔVを加算する。従って、ループ回数nが2以上である場合、ステップS102のプログラム動作では、選択ワード線WLに、プログラム電圧VPGMよりも大きい電圧が供給される。
【0096】
ステップS107では、図示しないステータスレジスタに、書込シーケンスが正常に終了した旨のステータスデータを格納し、コントローラダイCD(図1)に出力し、書込シーケンスを終了する。
【0097】
ステップS108では、図示しないステータスレジスタに、書込シーケンスが正常に終了しなかった旨のステータスデータを格納し、コントローラダイCD(図1)に出力し、書込シーケンスを終了する。
【0098】
[メモリセルアレイMCAの消去シーケンス]
次に、図21図23を参照して、メモリセルアレイMCAの消去シーケンスについて説明する。図21は、消去シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。図22及び図23は、消去シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
【0099】
尚、本実施形態に係る消去シーケンスは、1つのメモリブロックBLK内の全てのメモリセルMCに対して一括して実行される。
【0100】
ステップS201(図21)では、ループ回数nを1に設定する。ループ回数nは、レジスタ等に記録される。
【0101】
ステップS202では、消去動作を行う。
【0102】
消去動作では、例えば図22に例示する様に、メモリセルMCをビット線BLから切り離し、ソース線SLと導通させる。例えば、ドレイン側選択ゲート線SGDに電圧VSG´を供給する。電圧VSG´は、例えば、ドレイン側選択トランジスタSTDをOFF状態とする程度の大きさの電圧である。また、ソース側選択ゲート線SGSに電圧VSG´´を供給する。電圧VSG´´は、例えば、ソース側選択トランジスタSTSのチャネル領域に正孔のチャネルを形成する程度の大きさの電圧である。
【0103】
また、消去動作では、ワード線WLに接地電圧VSSを供給し、ソース線SLに消去電圧Veraを供給する。これにより、メモリセルMCの強誘電体膜123の分極状態を変化させることが可能である。
【0104】
ステップS203(図21)では、消去ベリファイ動作を行う。
【0105】
消去ベリファイ動作では、例えば図23に例示する様に、ワード線WLにベリファイ電圧VVFYEを供給し、選択ゲート線(SGD、SGS)に電圧VSGを供給する。また、メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出する。
【0106】
ステップS204(図21)では、消去ベリファイ動作の結果を判定する。例えば、消去ベリファイ動作においてON状態のメモリセルMCが一定数以上検出された場合等にはベリファイFAILと判定し、ステップS205に進む。一方、ベリファイ動作においてON状態のメモリセルMCが一定数以上検出されなかった場合にはベリファイPASSと判定し、ステップS207に進む。
【0107】
ステップS205では、ループ回数nが所定の回数Nに達したか否かを判定する。達していなかった場合にはステップS206に進む。達していた場合にはステップS208に進む。
【0108】
ステップS206では、ループ回数nに1を加算して、ステップS202に進む。また、ステップS206では、例えば、消去電圧Veraに所定の電圧ΔVを加算する。従って、ループ回数nが2以上である場合、ステップS202の消去動作では、ソース線SLに、消去電圧Veraよりも大きい電圧が供給される。
【0109】
ステップS207では、図示しないステータスレジスタに、消去シーケンスが正常に終了した旨のステータスデータを格納し、コントローラダイCD(図1)に出力し、消去シーケンスを終了する。
【0110】
ステップS208では、図示しないステータスレジスタに、消去シーケンスが正常に終了しなかった旨のステータスデータを格納し、コントローラダイCD(図1)に出力し、消去シーケンスを終了する。
【0111】
[強誘電体膜123の特性変化]
強誘電体は、所定期間以上分極の状態が変化しない場合に、分極の状態が変化しづらくなる、所謂インプリントと言う現象を示す場合がある。
【0112】
例えば図24に例示するグラフには、負方向にインプリントされた状態(以下、「状態S」と呼ぶ場合がある。)の強誘電体膜123の特性と、正方向にインプリントされた状態(以下、「状態S」と呼ぶ場合がある。)の強誘電体膜123の特性と、を図示している。状態Sの強誘電体膜123を状態Sから状態Sに遷移させるためのプログラム電圧VPGMAは、状態Sの強誘電体膜123を状態Sから状態Sに遷移させるためのプログラム電圧VPGMBよりも大きい。また、状態Sの強誘電体膜123を状態Sから状態Sに遷移させるための消去電圧VeraAは、状態Sの強誘電体膜123を状態Sから状態Sに遷移させるための消去電圧VeraBよりも大きい。
【0113】
また、この様なインプリントの影響は、強誘電体膜123における分極反転の回数が増大すればするほど、顕著に表れる傾向がある。
【0114】
ここで、例えば強誘電体膜123の劣化抑制等の観点から、強誘電体膜123に供給する電圧は必要最小限である事が望ましい。そこで、例えば状態Sの強誘電体膜123にあわせてプログラム電圧VPGMをプログラム電圧VPGMBに設定することも考えられる。しかしながら、この様な場合には、書込シーケンスに際して、図18等を参照して説明したループ回数nの数が大きくなってしまい、書込シーケンスに要する時間が長くなってしまう場合がある。同様に、状態Sの強誘電体膜123にあわせて消去電圧Veraを消去電圧VeraAに設定した場合にも、消去シーケンスに要する時間が長くなってしまう場合がある。
【0115】
そこで、第1実施形態においては、書込シーケンス及び消去シーケンスの実行に先立って、プログラム電圧VPGM及び消去電圧Veraの調整を行う。
【0116】
[プログラム電圧VPGMの調整]
図25は、プログラム電圧VPGMの調整方法について説明するための模式的なフローチャートである。尚、図25に示す様な動作は、書込シーケンスを実行するよりも前に実行される。図25に示す様な動作は、例えば、メモリダイMDに書込シーケンスを実行する旨のコマンドが入力されてから実行されても良い。
【0117】
ステップS301においては、書込シーケンスの対象となっているページPGに対応付けられたメモリセルMCに対して、読出動作を実行する。
【0118】
読出動作では、例えば図26に示す様に、選択ワード線WLに電圧VSGを供給し、非選択ワード線WLに接地電圧VSSを供給する。また、読出動作では、ビット線BLをフローティング状態とし、プレート線PLに読出電圧VREADRを供給する。
【0119】
ここで、例えば図27に示す様に、読出動作の実行中においては、接地端子とプレート線PLとの間に、キャパシタCBL、ビット線BL、選択トランジスタST及びキャパシタCが直列に接続された状態となる。図28は、読出動作の実行中におけるキャパシタCBLとキャパシタCとの分圧の状態を示す模式的なグラフである。
【0120】
ステップS301において読出動作の対象となるメモリセルMCは、消去状態に制御されている。以下、メモリセルMCについて、消去状態を「状態S」と呼ぶ場合がある。また、書込状態を「状態S」と呼ぶ場合がある。
【0121】
例えばキャパシタCの強誘電体膜133が状態Sであった場合、プレート線PLに正極性の読出電圧VREADRを供給すると、キャパシタCの分圧がある大きさに到達した時点で強誘電体膜133の分極状態が変化して、キャパシタCに蓄積されていた電荷が放出される。これに伴い、ビット線BLの分圧が、大きく上昇する。これにより、プレート線PLの電圧が読出電圧VREADRに到達した時点で、ビット線BLの電圧(キャパシタCBLの分圧)は電圧VC1となり、キャパシタCの分圧は電圧VC2(=VREADR-VC1)となる。
【0122】
一方、キャパシタCの強誘電体膜133が状態Sであった場合、プレート線PLに正極性の読出電圧VREADRを供給すると、キャパシタCの分圧がある大きさに到達した時点で強誘電体膜133の分極状態が変化して、キャパシタCに蓄積されていた電荷が放出される。これに伴い、ビット線BLの分圧が、大きく上昇する。ここで、状態Sの強誘電体膜133の分極状態が変化する電圧は、状態Sの強誘電体膜133の分極状態が変化する電圧よりも小さい。従って、プレート線PLの電圧が読出電圧VREADRに到達した時点で、ビット線BLの電圧(キャパシタCBLの分圧)は電圧VC1よりも大きい電圧VC3となり、キャパシタCの分圧は電圧VC4(=VREADR-VC3)となる。
【0123】
従って、この状態で周辺回路PC中のセンスアンプSA(図27)によって、ビット線BLの電圧と電圧VREF(VC1<VREF<VC3)との大小関係を検出することにより、キャパシタCが状態Sであったか状態Sであったかを検出することが出来る。
【0124】
尚、メモリセルMCの強誘電体膜133は、読出動作の実行により、状態Sから状態Sに遷移する。
【0125】
ステップS302(図25)においては、メモリセルMCに対する読出動作において、メモリセルMCが状態Sだったか状態Sだったかを判定する。メモリセルMCが状態Sだった場合には、ステップS303に進む。メモリセルMCが状態Sだった場合には、ステップS304に進む。
【0126】
ステップS303においては、プログラム電圧VPGMをプログラム電圧VPGMAに設定して、電圧の調整を終了する。
【0127】
ステップS304においては、プログラム電圧VPGMをプログラム電圧VPGMBに設定して、電圧の調整を終了する。
【0128】
尚、図25に示す処理の終了後、書込シーケンスが実行される。
【0129】
[消去電圧Veraの調整]
図29は、消去電圧Veraの調整方法について説明するための模式的なフローチャートである。尚、図29に示す様な動作は、消去シーケンスを実行するよりも前に実行される。図29に示す様な動作は、例えば、メモリダイMDに消去シーケンスを実行する旨のコマンドが入力されてから実行されても良い。
【0130】
ステップS401においては、消去シーケンスの対象となっているメモリブロックBLKに含まれる複数のページPGに対応付けられた複数のメモリセルMCに対して、読出動作を実行する。
【0131】
読出動作では、例えば図26に示す様に、選択ワード線WLに電圧VSGを供給し、非選択ワード線WLに接地電圧VSSを供給する。また、読出動作では、ビット線BLをフローティング状態とし、プレート線PLに読出電圧VREADRを供給する。
【0132】
ここで、例えば図27に示す様に、読出動作の実行中においては、接地端子とプレート線PLとの間に、キャパシタCBL、ビット線BL、選択トランジスタST及びキャパシタCが直列に接続された状態となる。図30は、読出動作の実行中におけるキャパシタCBLとキャパシタCとの分圧の状態を示す模式的なグラフである。
【0133】
ステップS401において読出動作の対象となるメモリセルMCは、状態Sに制御されている。
【0134】
例えばキャパシタCの強誘電体膜133が状態Sであった場合、プレート線PLに負極性の読出電圧VREADRを供給すると、キャパシタCの分圧がある大きさに到達した時点で強誘電体膜133の分極状態が変化して、キャパシタCに蓄積されていた電荷が放出される。これに伴い、ビット線BLの分圧が、大きく上昇する。これにより、プレート線PLの電圧が読出電圧VREADRに到達した時点で、ビット線BLの電圧(キャパシタCBLの分圧)は電圧VC5となり、キャパシタCの分圧は電圧VC6(=VREADR-VC5)となる。
【0135】
一方、キャパシタCの強誘電体膜133が状態Sであった場合、プレート線PLに負極性の読出電圧VREADRを供給すると、キャパシタCの分圧がある大きさに到達した時点で強誘電体膜133の分極状態が変化して、キャパシタCに蓄積されていた電荷が放出される。これに伴い、ビット線BLの分圧が、大きく上昇する。ここで、状態Sの強誘電体膜133の分極状態が変化する電圧は、状態Sの強誘電体膜133の分極状態が変化する電圧よりも小さい。従って、プレート線PLの電圧が読出電圧VREADRに到達した時点で、ビット線BLの電圧(キャパシタCBLの分圧)は電圧VC5よりも小さい電圧VC7となり、キャパシタCの分圧は電圧VC8(=VREADR-VC7)となる。
【0136】
従って、この状態で周辺回路PC中のセンスアンプSA(図27)によって、ビット線BLの電圧と電圧VREF(VC7<VREF<VC5)との大小関係を検出することにより、キャパシタCが状態Sであったか状態Sであったかを検出することが出来る。
【0137】
尚、メモリセルMCの強誘電体膜133は、読出動作の実行により、状態Sから状態Sに遷移する。
【0138】
ステップS402(図29)においては、メモリセルMCに対する読出動作において、メモリセルMCが状態Sだったか状態Sだったかを判定する。メモリセルMCが状態Sだった場合には、ステップS403に進む。メモリセルMCが状態Sだった場合には、ステップS404に進む。
【0139】
ステップS403においては、消去電圧Veraを消去電圧VeraAに設定して、電圧の調整を終了する。
【0140】
ステップS404においては、消去電圧Veraを消去電圧VeraBに設定して、電圧の調整を終了する。
【0141】
尚、図29に示す処理の終了後、消去シーケンスが実行される。
【0142】
[メモリセルMCのインプリントの状態]
図31に示す例では、工場出荷時に、メモリセルMCの強誘電体膜123及びメモリセルMCの強誘電体膜133が消去状態(状態S,S)とされている。ただし、工場出荷時に、メモリセルMCの強誘電体膜123及びメモリセルMCの強誘電体膜133が書込状態(状態S,S)とされても良い。
【0143】
状態SのメモリセルMC及び状態SのメモリセルMCに対して長時間書込シーケンスが実行されなかった場合、これらのメモリセルMC,MCのインプリントの状態は、状態Sに維持され、又は、状態Sから状態Sに遷移する。
【0144】
状態SのメモリセルMCに対して書込シーケンスを実行する場合、上述の通り、まず、メモリセルMCに対する読出動作が実行され、メモリセルMCが状態Sであるか、状態Sであるか、が検出される。また、この結果に応じて、プログラム電圧VPGMがプログラム電圧VPGMA又はプログラム電圧VPGMBに調整され、この状態で書込シーケンスが実行される。これにより、このメモリセルMCは状態Sから状態Sに遷移する。また、このメモリセルMCに対応付けられたメモリセルMCは、状態Sから状態Sに遷移する。
【0145】
状態SのメモリセルMC及び状態SのメモリセルMCに対して長時間消去シーケンスが実行されなかった場合、これらのメモリセルMC,MCのインプリントの状態は、状態Sに維持され、又は、状態Sから状態Sに遷移する。
【0146】
状態SのメモリセルMCに対して消去シーケンスを実行する場合、上述の通り、まず、メモリセルMCに対する読出動作が実行され、メモリセルMCが状態Sであるか、状態Sであるか、が検出される。また、この結果に応じて、消去電圧Veraが消去電圧VeraA又は消去電圧VeraBに調整され、この状態で消去シーケンスが実行される。これにより、このメモリセルMCは状態Sから状態Sに遷移する。また、このメモリセルMCに対応付けられたメモリセルMCは、状態Sから状態Sに遷移する。
【0147】
[メモリセルMCに対するメモリセルMCの割り当て]
上述の通り、本実施形態においては、メモリセルMCに対する書込シーケンスがページPG単位で実行される。また、メモリセルMCに対して書込シーケンス又は消去シーケンスを実行する場合には、メモリセルMCの状態も変化する。この様な場合には、例えば、メモリセルアレイMCA中の1つのページPGと、メモリセルアレイMCA中の少なくとも1つのメモリセルMCと、を対応付けても良い。尚、ビット線BLとプレート線PLとの間に接続されたキャパシタCは、それぞれ、独立して動作させることが可能である。
【0148】
[第2実施形態]
次に、図32及び図33を参照して、第2実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。図32は第2実施形態に係る半導体記憶装置の動作について説明するための模式的な状態遷移図である。図33は第2実施形態に係る半導体記憶装置の動作について説明するための模式的なフローチャートである。
【0149】
第2実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。
【0150】
ただし、第2実施形態においては、例えば図32に示す様に、状態SのメモリセルMCに対して定期的に読出動作を実行し、状態SのメモリセルMCが含まれていないかどうかを判定する。また、状態SのメモリセルMCが検出された場合には、このメモリセルMCに対応するストリングユニットSUに対してリフレッシュ動作を実行し、このストリングユニットSU中のメモリセルMCのインプリントの状態を状態Sに遷移させる。
【0151】
ここで、メモリセルアレイMCA中のページPGに書込シーケンスを実行した場合、このページPGには、分極状態が制御されるメモリセルMCと、分極状態が制御されないメモリセルMCと、が含まれることとなる。従って、ページPGに対する書き換え回数と、ページPGに含まれる各メモリセルMCに対する書き換え回数とは、必ずしも一致しない。一方、ページPGに対する書き換え回数と、このページPGに対応するメモリセルMCに対する書き換え回数とは一致する。従って、メモリセルMCにおけるインプリントの影響は、メモリセルMCにおけるインプリントの影響よりも大きい。従って、メモリセルMCにおけるインプリントの状態を監視することにより、メモリセルMCのインプリントの状態を好適に制御することが可能である。
【0152】
次に、図33を参照して、第2実施形態に係る半導体記憶装置のリフレッシュシーケンスについて説明する。尚、図33に示す様な動作は、例えば、メモリダイMDにリフレッシュシーケンスを実行する旨のコマンドが入力されてから実行されても良い。
【0153】
ステップS501においては、例えば、ストリングユニットSUに含まれる複数のページPGに対応付けられた複数のメモリセルMCに対して、図30を参照して説明した様な読出動作を実行する。これにより、負方向にインプリントされた状態SのメモリセルMCと、正方向にインプリントされた状態SのメモリセルMCと、を判別する。
【0154】
ステップS502においては、ステップS501において読み出されたメモリセルMCのインプリントの状態が状態Sだったか状態Sだったかを判定する。メモリセルMCが状態Sだった場合には、リフレッシュシーケンスを終了する。メモリセルMCが状態Sだった場合には、ステップS503に進む。
【0155】
ステップS503においては、このストリングユニットSUに含まれる複数のページPGのうちの一つに対して読出動作を実行し、このページPGに記録されていたユーザデータを取得する。
【0156】
ステップS504においては、書込シーケンスを実行し、ステップS503において取得したユーザデータを、他のストリングユニットSU中のページPGに書き込む。
【0157】
ステップS505においては、ストリングユニットSUに含まれる全てのページPGのデータが他のストリングユニットSUに移行されたか否かを判定する。移行されていなかった場合には、ステップS503に進む。移行されていた場合には、ステップS506に進む。
【0158】
ステップS506においては、リフレッシュ動作を実行する。リフレッシュ動作は、例えば、図22を参照して説明した消去動作と同様に実行しても良い。ただし、リフレッシュ動作においてソース線SLに供給される電圧は、消去電圧Veraより大きくても良い。また、この電圧が供給される時間は、消去動作においてソース線SLに消去電圧Veraが供給される時間より長くても良い。
【0159】
[メモリセルMCに対するメモリセルMCの割り当て]
上述の通り、本実施形態においては、書込シーケンスがページPG単位で実行される。また、メモリセルMCに対して読出動作を実行した場合であっても、メモリセルMCに対して書込シーケンス、消去シーケンス又はリフレッシュ動作が実行されない場合がある。この様な場合には、例えば、メモリセルアレイMCA中の1つのページPGと、メモリセルアレイMCA中の複数のメモリセルMCと、を対応付けても良い。
【0160】
[第3実施形態]
次に、図34及び図35を参照して、第3実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。図34は第3実施形態に係る半導体記憶装置の動作について説明するための模式的な状態遷移図である。図35は第3実施形態に係る半導体記憶装置の動作について説明するための模式的なフローチャートである。
【0161】
第3実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第2実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。
【0162】
ただし、第2実施形態においては、例えば図32等を参照して説明した様に、工場出荷時に、メモリセルMCの強誘電体膜123及びメモリセルMCの強誘電体膜133を消去状態(状態S,S)としていた。これにより、メモリセルMCの強誘電体膜123及びメモリセルMCの強誘電体膜133は、負方向にインプリントされた状態Sとなっていた。また、メモリセルMC,MCのインプリントの状態が状態Sに遷移した場合には、リフレッシュ動作を実行して、メモリセルMC,MCのインプリントの状態を状態Sに遷移させていた。
【0163】
一方、第3実施形態においては、例えば図34に示す様に、工場出荷時に、メモリセルMCの強誘電体膜123及びメモリセルMCの強誘電体膜133を書込状態(状態S,S)とする。これにより、メモリセルMCの強誘電体膜123及びメモリセルMCの強誘電体膜133を、正方向にインプリントされた状態Sとする。また、メモリセルMC,MCのインプリントの状態が状態Sに遷移した場合には、リフレッシュ動作を実行して、メモリセルMC,MCのインプリントの状態を状態Sに遷移させる。
【0164】
次に、図35を参照して、第3実施形態に係る半導体記憶装置のリフレッシュシーケンスについて説明する。尚、図35に示す様な動作は、例えば、メモリダイMDにリフレッシュシーケンスを実行する旨のコマンドが入力されてから実行されても良い。
【0165】
ステップS601においては、例えば、ストリングユニットSUに含まれる複数のページPGに対応付けられた複数のメモリセルMCに対して、図28を参照して説明した様な読出動作を実行する。これにより、負方向にインプリントされた状態SのメモリセルMCと、正方向にインプリントされた状態SのメモリセルMCと、を判別する。
【0166】
ステップS602においては、ステップS601において読み出されたメモリセルMCのインプリントの状態が状態Sだったか状態Sだったかを判定する。メモリセルMCが状態Sだった場合には、ステップS603に進む。メモリセルMCが状態Sだった場合には、リフレッシュシーケンスを終了する。
【0167】
ステップS603~ステップS605は、ステップS503~ステップS505(図33)と同様に実行される。
【0168】
ステップS606においては、リフレッシュ動作を実行する。リフレッシュ動作は、例えば、図19を参照して説明したプログラム動作と同様に実行しても良い。ただし、リフレッシュ動作においては、ストリングユニットSUに含まれる全てのワード線WLに、所定の電圧が供給されても良い。また、この電圧は、プログラム電圧VPGMより大きくても良い。また、この電圧が供給される時間は、プログラム動作においてワード線WLにプログラム電圧VPGMが供給される時間より長くても良い。
【0169】
[メモリセルMCに対するメモリセルMCの割り当て]
本実施形態においては、第2実施形態と同様に、メモリセルアレイMCA中の1つのページPGと、メモリセルアレイMCA中の複数のメモリセルMCと、を対応付けても良い。
【0170】
[第4実施形態]
次に、図36を参照して、第4実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。図36は第4実施形態に係る半導体記憶装置の動作について説明するための模式的な状態遷移図である。
【0171】
上述の通り、状態S且つ状態SのメモリセルMC及び状態S且つ状態SのメモリセルMCに対して長時間消去シーケンスが実行されなかった場合、これらのメモリセルMC,MCのインプリントの状態は、状態Sから状態Sに遷移する。ここで、状態S且つ状態SのメモリセルMC及び状態S且つ状態SのメモリセルMCに対して更に長時間消去シーケンスが実行されなかった場合、これらのメモリセルMC,MCのインプリントの状態が、更に正方向にシフトしてしまう場合がある。
【0172】
ここで、この様なメモリセルMCに消去シーケンスが実行された場合、メモリセルMCの状態は、状態Sから状態Sに遷移する。しかしながら、この様なメモリセルMC,MCは、比較的小さい正極性の電圧の供給により、容易に状態Sに遷移してしまう。
【0173】
例えば、図17等を参照して説明した様に、メモリセルMCに対する読出動作に際しては、非選択ワード線WLに読出パス電圧VREADが供給される。ここで、非選択ワード線WLに接続されたメモリセルMCのインプリントの状態がある程度以上正方向にシフトしている場合、これらのメモリセルMCは、読出パス電圧VREADの供給によって状態Sから状態Sに遷移してしまう場合がある。即ち、この様なメモリセルMCに保持されたデータは、読出動作の実行によって破壊されてしまう場合がある。
【0174】
そこで、本実施形態においては、例えば図36に示す様に、状態SのメモリセルMCに対して定期的に読出動作を実行し、メモリセルMCのインプリントの状態がある程度以上正方向にシフトしていないかどうかを判定する。例えば、メモリセルMCに対して図30を参照して説明した様な読出動作を実行し、ビット線BLの電圧が所定の電圧より小さいかどうかを判定する。また、メモリセルMCのインプリントの状態がある程度以上正方向にシフトしていた場合には、このメモリセルMCに対応するストリングユニットSUに対してリフレッシュ動作を実行し、このストリングユニットSU中のメモリセルMCのインプリントの状態を状態Sに遷移させる。この動作は、例えば、第2実施形態に係るリフレッシュシーケンスと同様に実行しても良い。
【0175】
[メモリセルMCに対するメモリセルMCの割り当て]
本実施形態においては、第2実施形態と同様に、メモリセルアレイMCA中の1つのページPGと、メモリセルアレイMCA中の複数のメモリセルMCと、を対応付けても良い。
【0176】
[第1実施形態~第4実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法]
次に、図37図62を参照して、図9図12を参照して説明した様な構造の製造方法について説明する。図37図62は、同製造方法について説明するための模式的な断面図である。図37図38及び図57図60は、図9に対応する断面を示している。図39図44図61及び図62は、図11に対応する断面を示している。図45図56は、図12に対応する断面を示している。
【0177】
メモリダイMDの製造に際しては、まず、半導体基板100に、トランジスタ層LTR、配線層D0、配線層D1、及び、配線層D2(図7)を形成する。また、配線層D2の上面に、図示しない絶縁層を形成する。
【0178】
次に、例えば図37に示す様に、図示しない絶縁層に、導電層112、絶縁層101、シリコン等の半導体層111A、窒化シリコン等の犠牲層111B及びシリコン等の半導体層111Cを形成する。また、複数の絶縁層101及び複数の犠牲層110Aを交互に形成する。この工程は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の方法によって行われる。
【0179】
次に、例えば図38及び図39に示す様に、トランジスタ構造120及びキャパシタ構造130に対応する位置に、複数のメモリホールMHを形成する。メモリホールMHは、Z方向に延伸し、絶縁層101及び犠牲層110A、半導体層111C及び犠牲層111Bを貫通し、半導体層111Aの上面を露出させる貫通孔である。この工程は、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)等の方法によって行う。
【0180】
次に、例えば図40に示す様に、メモリホールMHの内周面に、強誘電体膜123、絶縁層122及び半導体層121を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0181】
次に、例えば図41に示す様に、メモリホールMHの底面に形成された半導体層121、絶縁層122、強誘電体膜123、半導体層111A及び絶縁層101を除去し、導電層112の上面を露出させる。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0182】
次に、例えば図42に示す様に、メモリホールMHの内周面に、絶縁層135を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0183】
次に、例えば図43に示す様に、メモリホールMHの底面に形成された絶縁層135を除去し、導電層112の上面を露出させる。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0184】
次に、例えば図44及び図45に示す様に、メモリホールMHの内周面に、導電層134を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0185】
次に、例えば図46に示す様に、メモリホールMHの内部に、犠牲層MHAを形成する。また、メモリホールMHの内部においてRIE等の方法によって犠牲層MHAの一部を除去し、犠牲層MHAの上端の位置を、一部の犠牲層110Aの下面よりも下方に調整する。
【0186】
次に、例えば図47に示す様に、導電層134の一部を除去し、メモリホールの内部において絶縁層135の内周面を露出させる。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。
【0187】
次に、例えば図48に示す様に、犠牲層MHAを除去する。
【0188】
次に、例えば図49に示す様に、メモリホールMHの内周面に、強誘電体膜133、導電層132及び半導体層131を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。尚、強誘電体膜133、導電層132及び半導体層131は、例えば、メモリホールMHの上端部が閉塞されない程度に薄く形成される。
【0189】
次に、例えば図50に示す様に、半導体層131の一部を除去し、メモリホールの内部において導電層132の内周面を露出させる。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。
【0190】
次に、例えば図51に示す様に、導電層132、強誘電体膜133、及び絶縁層135の一部を除去し、メモリホールの内部において半導体層121の内周面を露出させる。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。
【0191】
次に、例えば図52に示す様に、メモリホールMHの内部に、半導体層141を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。尚、半導体層141は、例えば、メモリホールMHの上端部が閉塞されない程度に薄く形成される。
【0192】
次に、例えば図53に示す様に、メモリホールMHの内部に、絶縁層143を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0193】
次に、例えば図54に示す様に、絶縁層143の一部を除去し、メモリホールの内部において半導体層141の内周面を露出させる。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0194】
次に、例えば図55に示す様に、半導体層141の一部を除去し、メモリホールの内部において絶縁層122の内周面を露出させる。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。
【0195】
次に、例えば図56に示す様に、メモリホールMHの内部に、不純物領域144を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0196】
次に、例えば図57に示す様に、溝STAを形成する。溝STAは、Z方向及びX方向に延伸し、絶縁層101及び犠牲層110AをY方向に分断し、半導体層111Cの上面を露出させる溝である。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0197】
次に、例えば図58に示す様に、溝STAを介して犠牲層110Aを除去する。これにより、Z方向に配設された複数の絶縁層101と、この絶縁層101を支持するメモリホールMH内の構造を含む中空構造が形成される。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。
【0198】
また、例えば図58に示す様に、導電層110を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0199】
次に、例えば図59に示す様に、溝STAの内壁に、ブロック間絶縁層STの一部を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。尚、このブロック間絶縁層STの一部は、例えば、溝STAが閉塞されない程度に薄く形成される。
【0200】
次に、例えば図60に示す様に、溝STAの底面に形成されたブロック間絶縁層STの一部、半導体層111C及び犠牲層111Bを除去し、半導体層111Aの上面を露出させる。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0201】
次に、例えば図61及び図62に示す様に、犠牲層111Bを除去する。また、強誘電体膜123及び絶縁層122のうち、犠牲層111Bの近傍に設けられていた部分を除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。
【0202】
次に、例えば図11に示す様に、導電層111を形成する。この工程は、例えば、エピタキシャル結晶成長等の方法によって行う。
【0203】
その後、溝STAの内部にブロック間絶縁層STを形成し、コンタクト及び配線等を形成し、ダイシングによってウェハを分断することにより、図9図12を参照して説明した様なメモリダイMDが形成される。
【0204】
[その他の実施形態]
以上、第1実施形態~第4実施形態に係る半導体記憶装置について説明した。しかしながら、以上において説明した構造、制御方法等はあくまでも例示に過ぎず、具体的な態様は適宜調整可能である。
【0205】
例えば、第1実施形態~第4実施形態においては、書込シーケンスがページPG単位で実行され、消去シーケンスがメモリブロックBLK単位で実行されていた。しかしながら、この様な方法はあくまでも例示に過ぎず、具体的な方法は適宜調整可能である。例えば、書込シーケンスがページPGより細かい単位で実行されても良いし、消去シーケンスがメモリブロックBLKより細かい単位で実行されても良い。また、第1実施形態~第4実施形態に係る半導体記憶装置において、ランダムアクセスが実行されても良い。この様な場合には、ページPGよりも少ない単位と、メモリセルアレイMCA中の少なくとも一つのメモリセルMCと、を対応付けても良い。
【0206】
また、例えば、第1実施形態~第4実施形態においては、例えば図6図12を参照して説明した様に、メモリセルMCを構成するトランジスタ構造120の内部にキャパシタCを構成するキャパシタ構造130が設けられていた。しかしながら、この様な構成はあくまでも例示に過ぎず、具体的な構成は適宜調整可能である。例えば、図63に示す様に、トランジスタ構造120の内部には、キャパシタ構造130が設けられていなくても良い。
【0207】
この様な場合には、例えば図64に示す様に、周辺回路領域RPCにメモリセルアレイMCAを設けても良い。
【0208】
また、この様な場合には、例えば図65に示す様に、第1実施形態~第4実施形態に係るメモリダイMDのかわりに、メモリセルアレイMCA等が搭載されたチップCFETと、メモリセルアレイMCA等が搭載されたチップCRAMと、を備えるメモリダイMD´を採用しても良い。尚、チップCFET及びチップCRAMは、銅(Cu)等を含む複数の貼合パッド電極Pを備え、これら複数の貼合パッド電極Pを介して電気的、物理的に接続されても良い。
【0209】
また、この様な場合には、例えば図66に示す様に、メモリセルアレイMCAを含むメモリダイMD(MCA)と、メモリセルアレイMCAを含むメモリダイMD(MCA)と、が別々のダイとして構成されても良い。この場合、メモリダイMD(MCA)とメモリダイMD(MCA)とは、一つのパッケージに含まれていても良いし、別々のパッケージに含まれていても良い。
【0210】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0211】
MC,MC…メモリセル、BL,BL…ビット線、WL,WL…ワード線、SL…ソース線、PL…プレート線。
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