(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052052
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】無線通信装置及び探索システム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20220328BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20220328BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
G06K7/10 252
G06K19/077 108
G06K19/07 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158208
(22)【出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 淳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 琢也
(57)【要約】
【課題】無線タグを付した探索対象の位置を容易に視認可能な構成を提供する。
【解決手段】受信した発光指示(点灯コマンド,消灯コマンド)に応じて所定の発光状態になるLED56を有するLEDタグ50を無線通信対象とし、探索対象に付されるLEDタグ50に記録されるタグIDを入力する操作部23等と、操作部23等により入力されたタグIDが記録されるLEDタグ50に対して上記所定の発光状態が点灯と消灯とを所定の点滅間隔で繰り返す点滅状態となるように発光指示を送信する発光指示送信部として機能する制御部21及び無線タグ処理部30と、が設けられる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した発光指示に応じて所定の発光状態になる発光部を有する無線タグと無線通信可能な無線通信装置であって、
探索対象に付される前記無線タグに記録されるタグIDを入力する入力部と、
前記入力部により入力された前記タグIDが記録される前記無線タグに対して、前記発光部による前記所定の発光状態が点灯と消灯とを所定の点滅間隔で繰り返す点滅状態となるように前記発光指示を送信する発光指示送信部と、
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記無線タグから受信した電波の電波強度を検出する検出部を備え、
前記発光指示送信部は、前記検出部によって検出される前記電波強度に応じて前記所定の点滅間隔が変化するように前記発光指示を送信することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記発光指示送信部は、前記検出部により検出される電波強度が所定の閾値以上になると、前記発光部が消灯状態となる消灯指示を前記発光指示として送信することを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記発光指示は、前記発光部を点灯状態にするための点灯指示と前記発光部を消灯状態にするための消灯指示とが前記所定の点滅間隔で送信されることで構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の無線通信装置と、
探索対象に付される前記無線タグと、
を備えることを特徴とする探索システム。
【請求項6】
前記無線タグは、
所定の指定値を受信した際に、前記発光部の駆動源となる電池の電池残量が前記所定の指定値以下であると、前記発光部を第2の発光状態に制御する制御部を備え、
前記無線通信装置は、
前記所定の指定値を前記無線タグに送信する指定値送信部を備えることを特徴とする請求項5に記載の探索システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、探索対象に付された無線タグを探索する無線通信装置及び探索システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、管理対象となる各物品のそれぞれにRFIDタグなどの無線タグが付され、この無線タグを無線通信装置にて読み取ることで、各物品の配置状況等を容易に管理でき、各物品の管理の効率化を図っている。このように各物品の管理の効率化を図る無線通信装置に関連する技術として、例えば、下記特許文献1に開示される位置情報管理システムが知られている。
【0003】
この位置情報管理システムは、書籍のそれぞれに取り付けられる非接触識別タグと、本棚の各収納部にそれぞれ収納された書籍の位置情報等を管理する管理装置と、本棚の収納部ごとに配設されたデータ通信装置とを備えるように構成されている。各データ通信装置のうち指定書籍に取り付けられた非接触識別タグからの応答波を受信した1または2以上のデータ通信装置は、その非接触識別タグから受信した電波の電波強度から当該非接触識別タグの方向および距離を推定する。そして、代表のデータ通信装置により上述のように推定した非接触識別タグの方向および距離に基づいて指定書籍の位置が算出されると、この算出された位置情報は、管理装置に送信される。これを受信した管理装置により指定書籍の位置が特定されるように表示部に表示されることで、指定書籍の探索を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、無線タグが付される管理対象は、書籍のように規則正しく並べられて配置される場合だけでなく、例えば、複数の管理対象が積み重ねられるように配置される場合があり、管理対象の種別等によっては乱雑に山積み等される場合もある。そうすると、探索すべき管理対象(以下、探索対象ともいう)の無線タグから受信した電波の電波強度に応じて、その無線タグがどのあたりに配置されているか概略の範囲を把握できても、正確な位置まで特定できないため、配置状態等によっては、その探索対象を探索するために時間がかかってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、無線タグを付した探索対象の位置を容易に視認可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
受信した発光指示に応じて所定の発光状態になる発光部(56)を有する無線タグ(50)と無線通信可能な無線通信装置(10)であって、
探索対象に付される前記無線タグに記録されるタグIDを入力する入力部(23,40)と、
前記入力部により入力された前記タグIDが記録される前記無線タグに対して、前記発光部による前記所定の発光状態が点灯と消灯とを所定の点滅間隔で繰り返す点滅状態となるように前記発光指示を送信する発光指示送信部(21,30)と、
を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、受信した発光指示に応じて所定の発光状態になる発光部を有する無線タグを無線通信対象とし、探索対象に付される無線タグに記録されるタグIDを入力する入力部と、入力部により入力されたタグIDが記録される無線タグに対して上記所定の発光状態が点灯と消灯とを所定の点滅間隔で繰り返す点滅状態となるように発光指示を送信する発光指示送信部と、が設けられる。
【0009】
これにより、探索対象を探索する場合には、その探索対象に付される無線タグに記録されるタグIDを入力部に対して入力することで、そのタグIDを記録した無線タグが上記点滅状態となる。特に、単に発光部が発光するのではなく、発光部が所定の点滅間隔で点滅するので、例えば、乱雑に山積み等された複数の管理対象の中から探索対象を探索する場合でも、その探索対象に付された無線タグの視認性が向上するので、無線タグを付した探索対象の位置を容易に視認することができる。
【0010】
請求項2の発明では、発光指示送信部により、検出部によって検出される無線タグから受信した電波の電波強度に応じて上記所定の点滅間隔が変化するように発光指示が送信される。これにより、例えば、電波強度が大きくなるほど、すなわち、無線タグとの距離が近くなるほど、上記所定の点滅間隔を短くすることで、探索対象に付した無線タグの視認性がより一層向上するため、探索対象の位置をより明確に視認することができる。
【0011】
請求項3の発明では、検出部により検出される電波強度が所定の閾値以上になると、発光指示送信部により発光部が消灯状態となる消灯指示が発光指示として送信される。これにより、上記所定の閾値を発光部の点滅状態を容易に視認できる距離に応じて設定することで、点滅している発光部を見たユーザがその発光部を有する無線タグに近づいた際に、ユーザが操作することなく点滅していた発光部を自動的に消灯状態に切り替えることができる。
【0012】
請求項4の発明のように、発光指示は、発光部を点灯状態にするための点灯指示と発光部を消灯状態にするための消灯指示とが上記所定の点滅間隔で送信されることで構成されてもよい。
【0013】
請求項5の発明によれば、請求項1と同様の効果を奏する探索システムを実現できる。
【0014】
請求項6の発明では、無線タグには、所定の指定値を受信した際に、発光部の駆動源となる電池の電池残量が所定の指定値以下であると、発光部を第2の発光状態に制御する制御部が設けられる。そして、無線通信装置には、上記所定の指定値を無線タグに送信する指定値送信部が設けられる。
【0015】
これにより、ユーザは、無線通信装置によって各無線タグに対して上記所定の指定値に応じたコマンドを送信することで、上記第2の発光状態になった無線タグが駆動電力不足として認識することができる。このため、上記第2の発光状態になった無線タグの電池交換を行うことで、駆動電力不足に起因して発光部が点滅しないために探索対象が探索できない状態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係る探索システムを概略的に説明する説明図である。
【
図3】
図3(A)は、
図1の無線通信装置の平面図であり、
図3(B)は、
図1の無線通信装置の裏面図である。
【
図4】
図4(A)は、無線通信装置の電気的構成を例示するブロック図であり、
図4(B)は、無線タグ処理部の電気的構成を例示するブロック図であり、
図4(C)は、情報コード読取部の電気的構成を例示するブロック図である。
【
図5】LEDタグの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【
図6】無線通信装置にて行われる探索処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る無線通信装置及び探索システムを具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す探索システム1は、探索対象に付されるRFIDタグなどの無線タグと無線通信可能な無線通信装置10を備え、無線タグがそれぞれ付された複数の管理対象の中から探索すべき管理対象(探索対象)を探索するシステムとして構成されている。本実施形態では、管理対象として衣服などの商品Gが採用されており、各商品Gをそれぞれ特定可能な固有のタグIDを記録した無線タグがその商品Gに付されている。特に、本実施形態では、発光部となるLEDが設けられる無線タグ(以下、LEDタグ50ともいう)が採用されており、このLEDタグ50の発光機能により、探索時の視認性を向上させている。なお、
図1では、便宜上、管理対象となる複数の商品Gのうちの1つを図示して、他の商品Gの図示を省略している。
【0018】
本実施形態に係る無線通信装置10は、ユーザによって携帯されて様々な場所で所定の情報を読み取る携帯型の情報処理端末として構成されている。この無線通信装置10は、アンテナ34を介して送受信される電波を媒介としてLEDタグ50等の無線タグに記憶されている情報を読み書きする無線タグリーダライタとしての機能に加えて、バーコードや二次元コードなどの情報コードを光学的に読み取る情報コードリーダとしての機能を兼ね備え、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。
【0019】
図2及び
図3に示すように、無線通信装置10は、ABS樹脂等の合成樹脂材料により形成される筐体によってその外郭が形成されており、本体部11とこの本体部11に組み付けられる把持部12及び無線通信部13を備えるように構成されている。本体部11の表面11aには、所定の情報を入力する際に操作されるファンクションキー及びテンキー等の操作部23の一部や、所定の情報を表示するための表示部24等が配置されている。また、把持部12の外面には、本体部11の裏面11b近傍であって無線通信部13に対向する部位に、LEDタグ50等に対する読取処理を開始する際に操作されるトリガースイッチ23aが配置されている。また、本体部11の読取側(
図2の左側)の端部には、情報コードからの反射光を取り込むための読取口11cが設けられている。
【0020】
無線通信部13は、送信電波の高出力化を図るためのものであって、読取口11cの下方に位置するように、本体部11の裏面11bの読取側に組み付けられている。この無線通信部13は、その内部に後述するアンテナ34や無線タグ処理部30の機能の一部が収容されるように構成されている。
【0021】
次に、無線通信装置10の電気的構成について、
図4(A)~(C)を参照して説明する。
本体部11は、無線通信装置10全体を制御する制御部21を備えている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、記憶部22とともに情報処理装置を構成している。記憶部22には、LEDタグ50等の無線タグを非接触通信にて読み取る読取処理を実行するためのプログラムや情報コードを光学的に読み取る読取処理を実行するためのプログラム等が制御部21により実行可能に予め格納されている。
【0022】
また、
図4(A)に示すように、制御部21には、操作部23、表示部24、バイブレータ25、ブザー26、外部インタフェース27などが接続されている。操作部23は、トリガースイッチ23aやファンクションキー、テンキー等を備えてその操作に応じた操作信号を制御部21に対して与える構成をなしており、制御部21は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。また、表示部24、バイブレータ25およびブザー26は、制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21からの指令を受けて動作する。外部インタフェース27は、外部機器等との間での無線通信又は有線通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、本体部11の筐体内には、電源部28が設けられており、この電源部28やバッテリ29によって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0023】
また、無線通信装置10は、制御部21により制御されて外部の情報を読み取り可能な情報読取部として機能する無線タグ処理部30及び情報コード読取部40を備えている。
無線タグ処理部30は、アンテナ34及び制御部21と協働して無線タグに対して所定のコマンドを伴う電磁波による通信を行ない、無線タグに記憶されるデータの読取り、或いは無線タグに対するデータの書込みを行なうように機能するものである。この無線タグ処理部30は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、
図4(B)にて概略的に示すように、送信回路31、受信回路32、整合回路33などを有している。
【0024】
情報コード読取部40は、情報コードを光学的に読み取るように機能するもので、
図4(C)に示すように、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部41、結像レンズ42、CCDエリアセンサからなる受光センサ43などを備えた構成をなしており、制御部21と協働して読取対象Rに付されたバーコードや二次元コード等の情報コードCを光学的に読み取るように機能する。具体的には、照明部41から照射された照明光Lfが情報コードCに照射されることで、情報コードCからの反射光Lrが読取口11c及び結像レンズ42を通って受光センサ43にて受光されると、受光センサ43から情報コードCの像に応じた受光信号が出力される。この受光信号は、画像データとして記憶部22に記憶され、情報コードCに記録される情報を解読するためのデコード処理に用いられる。
【0025】
次に、LEDタグ50の電気的構成について、
図5を参照して説明する。
図5に示すように、LEDタグ50は、アンテナ51、復調回路52、制御回路53、メモリ54、変調回路55、LED56、電池57などによって構成されている。
【0026】
復調回路52は、アンテナ51を介して受信した信号に重畳されているコマンド等を復調して制御回路53に出力している。メモリ54には、タグIDなどの所定のデータが記憶されている。
【0027】
制御回路53は、メモリ54から読み出したデータ等を送信データとして変調回路55に出力する構成をなしており、変調回路55は、応答信号を当該送信データで負荷変調してアンテナ51から応答波として送信するように構成されている。また、制御回路53は、後述する点灯コマンドがアンテナ51を介して受信されるとLED56を点灯状態に制御し、後述する消灯コマンドがアンテナ51を介して受信されるとLED56を消灯状態に制御するように構成されている。なお、LED56は、受信した発光指示に応じて所定の発光状態になる「発光部」の一例に相当し得る。
【0028】
電池57は、動作用電源として機能するもので、この電池57により制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0029】
次に、上述のように構成される探索システム1において、探索対象を探索する際に無線通信装置10の制御部21にてなされる探索処理と、この探索処理によって点滅状態になるLEDタグ50の動作とについて、図面を参照して説明する。
【0030】
制御部21にて探索処理が開始されると、
図6のステップS101に示す探索タグID入力処理がなされて、入力部として機能する操作部23に対する所定の操作等に応じて、探索対象の商品Gに付されたLEDタグ50のタグIDが入力される。なお、上記探索タグID入力処理では、ユーザによる操作部23に対する所定の操作等に応じてタグIDが入力されることに限らず、例えば、探索対象に対応する情報コードCが入力部として機能する情報コード読取部40によって光学的に読み取られることで上記タグIDが入力されてもよい。また、上記探索タグID入力処理では、探索対象となり得る全ての商品Gの商品名等がタグIDに関連付けられて予め構築されるデータベースの利用を前提に、商品名等を入力することで、その入力された商品名等からタグIDを特定してもよい。
【0031】
上述のようにタグIDが入力されると、ステップS103に示す点灯コマンド送信処理がなされ、入力されたタグIDが記録されるLEDタグ50のLED56を点灯状態に制御するためのコマンド(以下、点灯コマンドともいう)を含めた送信信号が無線タグ処理部30によりアンテナ34を介して送信される。なお、点灯コマンドは、「発光指示」及び「点灯指示」の一例に相当し、上記点灯コマンド送信処理を行う制御部21及び無線タグ処理部30は、「発光指示送信部」の一例に相当し得る。
【0032】
このような点灯コマンドの送信に応じて上記タグIDが記録されたLEDタグ50からの応答波が受信されると(S105でYes)、ステップS107に示すRSSI値検出処理がなされ、受信した応答波の電波強度(受信信号強度)がRSSI値として検出される。なお、RSSI値を検出する制御部21は、LEDタグ50から受信した電波の電波強度を検出する「検出部」の一例に相当し得る。
【0033】
続いて、ステップS109に示す案内表示処理がなされ、上述のように算出されたRSSI値から求められるLEDタグ50までの距離、すなわち、探索対象の商品Gまでの距離等を含めた案内情報が表示部24に表示される。ユーザは、表示部24に表示される案内情報、より具体的には、探索対象の商品Gまでの距離の変化等に応じて、探索対象の商品Gが位置する方向等を概略的に把握することができる。
【0034】
続いて、ステップS111の判定処理にて、算出されたRSSI値が所定の閾値以上であるか否かについて判定される。本実施形態では、LEDタグ50のLED56の点滅状態を容易に視認できる距離(例えば、1m)を視認距離とするとき、上記所定の閾値は、無線通信装置10から応答波を送信したLEDタグ50までの距離が上記視認距離となるときに算出されるRSSI値に一致するように設定されている。
【0035】
ここで、応答波を送信したLEDタグ50から無線通信装置10までの距離が上記視認距離を超えているために、算出されたRSSI値が所定の閾値未満となる場合には(S111でNo)、上記点灯コマンドの送信から所定の時間(以下、点灯時間ともいう)が経過した後に(S113)、ステップS115に示す消灯コマンド送信処理がなされる。この処理では、点灯状態のLEDタグ50のLED56を消灯状態に切り替えるためのコマンド(以下、消灯コマンドともいう)を含めた送信信号が無線タグ処理部30によりアンテナ34を介して送信される。なお、消灯コマンドは、「発光指示」及び「消灯指示」の一例に相当し、上記消灯コマンド送信処理を行う制御部21及び無線タグ処理部30は、「発光指示送信部」の一例に相当し得る。
【0036】
そして、上記消灯コマンドの送信から所定の時間(以下、消灯時間ともいう)が経過すると(S117)、上記ステップS103の点灯コマンド送信処理がなされる。これにより、算出されたRSSI値が所定の閾値以上となるまで、点灯コマンドの送信から上記点灯時間が経過すると消灯コマンドが送信され、この消灯コマンドの送信から上記消灯時間が経過すると点灯コマンドが送信される状態が繰り返される。
【0037】
その後、ユーザがLEDタグ50に近づいたことで、算出されたRSSI値が上記所定の閾値以上になると(S111でYes)、上記消灯コマンドを含めた送信信号が無線タグ処理部30によりアンテナ34を介して送信されて(S119)、本探索処理が終了する。
【0038】
探索対象の商品Gに付されたLEDタグ50では、上述のように点灯コマンドが受信されると、制御回路53により制御されてLED56が点灯状態になり、上述のように消灯コマンドが受信されると、制御回路53により制御されてLED56が消灯状態になる。すなわち、LED56は、上記点灯時間の点灯状態と上記消灯時間の消灯状態とを所定の点滅間隔で繰り返す点滅状態になる。
【0039】
表示部24に表示される案内情報を見て探索対象の商品Gに近づいているユーザは、上述のように点滅しているLED56を探すことで、探索対象の商品Gを見つけることができる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る無線通信装置10では、受信した発光指示(点灯コマンド,消灯コマンド)に応じて所定の発光状態になるLED56を有するLEDタグ50を無線通信対象とし、探索対象に付されるLEDタグ50に記録されるタグIDを入力する操作部23等と、操作部23等により入力されたタグIDが記録されるLEDタグ50に対して上記所定の発光状態が点灯と消灯とを所定の点滅間隔で繰り返す点滅状態となるように発光指示を送信する発光指示送信部として機能する制御部21及び無線タグ処理部30と、が設けられる。
【0041】
これにより、探索対象を探索する場合には、その探索対象に付されるLEDタグ50に記録されるタグIDを入力することで、そのタグIDを記録したLEDタグ50が上記点滅状態となる。特に、単にLED56が発光するのではなく、LED56が所定の点滅間隔で点滅するので、例えば、乱雑に山積み等された複数の管理対象の中から探索対象を探索する場合でも、その探索対象に付されたLEDタグ50の視認性が向上するので、LEDタグ50を付した探索対象の位置を容易に視認することができる。
【0042】
特に、上記RSSI値検出処理により検出されるRSSI値が所定の閾値以上になると(S111でYes)、無線タグ処理部30によりLED56が消灯状態となる消灯指示が発光指示として送信される。これにより、上記所定の閾値をLED56の点滅状態を容易に視認できる上記視認距離に応じて設定することで、点滅しているLED56を見たユーザがそのLED56を有するLEDタグ50に近づいた際に、ユーザが操作することなく点滅していたLED56を自動的に消灯状態に切り替えることができる。
【0043】
なお、本実施形態の第1変形例として、上記所定の点滅間隔は、上記RSSI値検出処理により検出されるRSSI値に応じて変化させてもよい。具体的には、例えば、検出されるRSSI値が大きくなるほど上記所定の点滅間隔を短くするようにしてもよい。この場合、上記探索処理では、検出されるRSSI値が大きくなるほど、上記点灯時間(S113)及び上記消灯時間(S117)が短くなるように設定される。
【0044】
これにより、RSSI値(電波強度)が大きくなるほど、すなわち、LEDタグ50との距離が近くなるほど、上記所定の点滅間隔が短くなるので、探索対象に付したLEDタグ50の視認性がより一層向上するため、探索対象の位置をより明確に視認することができる。
【0045】
また、本実施形態の第2変形例として、無線通信装置10から各LEDタグ50に対して、LED56の駆動源となる電池57の電池残量が所定の指定値以下となる場合にLED56が上記探索処理時と異なる第2の発光状態(例えば、点灯状態)になる電力確認コマンドを送信してもよい。この場合、LEDタグ50の制御回路53は、無線通信装置10から電力確認コマンドを受信することで、LED56を第2の発光状態に制御する制御部として機能し、無線通信装置10の制御部21及び無線タグ処理部30は、上記電力確認コマンドによって上記所定の指定値を無線タグに送信する指定値送信部として機能する。
【0046】
これにより、ユーザは、無線通信装置10によって各LEDタグ50に対して上記電力確認コマンドを送信することで、上記第2の発光状態になったLEDタグ50が駆動電力不足として認識することができる。このため、上記第2の発光状態になったLEDタグ50の電池57の交換を行うことで、駆動電力不足に起因してLED56が点滅しないために探索対象が探索できない状態を防止することができる。なお、電力確認コマンドは、上記所定の指定値に応じて複数種類用意されてもよい。
【0047】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記各実施形態及び変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明は、衣服などの商品Gを管理対象とする探索システムに採用されることに限らず、例えば、お店のバックヤードに置かれた荷物やホテルのクロークに置かれたスーツケースなどを管理対象とする探索システムに採用されてもよい。この場合、上記荷物やスーツケースを特定するための特定情報(例えば、預けた持ち主の名前)がタグIDに関連付けられて予め構築されるデータベースの利用を前提に、上述した探索タグID入力処理では、上記特定情報を入力することで、その入力された特定情報からタグIDを特定してもよい。
【0048】
(2)上記探索タグID入力処理では、1つのタグIDが入力されることに限らず、複数のタグIDが入力されてもよいし、複数のタグIDを指定可能なグループID等が入力されてもよい。この場合には、入力されたタグID等に対応する複数のLEDタグ50のLED56がそれぞれ点滅するので、複数の探索対象を同時に探索することができる。
【0049】
(3)管理対象に付される無線タグは、LED56を有するLEDタグ50として構成されることに限らず、他の点滅手段を有するように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…探索システム
10…無線通信装置
21…制御部(発光指示送信部,検出部,指定値送信部)
23…操作部(入力部)
30…無線タグ処理部(発光指示送信部,指定値送信部)
34…アンテナ
40…情報コード読取部(入力部)
50…LEDタグ(無線タグ)
53…制御回路(制御部)
56…LED(発光部)