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特開2022-52078需要調整システム、需要調整方法、および需要調整プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052078
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】需要調整システム、需要調整方法、および需要調整プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20120101AFI20220328BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158248
(22)【出願日】2020-09-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】394013002
【氏名又は名称】三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】溝井国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】村本 勝也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】感染リスクの大きさに応じて、サービスの需要をきめ細かく調整することにより、感染防止対策と経済活動をバランスよく両立させることを目的とする。
【解決手段】設定部110は、感染リスクの大きさを表すリスクレベルと、感染リスクが大きくなるに従ってサービスの需要を抑制する利用条件とを利用条件情報に設定する。取得部120は、現在のリスクレベルを取得する。サービス提供部130は、現在のリスクレベルと利用条件情報51とに基づいて、サービスの現在の利用条件を取得し、現在の利用条件を満たす利用者に対してサービスを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスを利用する利用者における感染症への感染リスクに応じて、前記サービスの需要を調整する需要調整システムにおいて、
前記感染リスクの大きさを表すリスクレベルと、前記感染リスクが大きくなるに従って前記サービスの需要を抑制する利用条件とを利用条件情報に設定する設定部と、
現在のリスクレベルを取得する取得部と、
前記現在のリスクレベルと前記利用条件情報とに基づいて、前記サービスの現在の利用条件を取得し、前記現在の利用条件を満たす利用者に対して前記サービスを提供するサービス提供部と
を備えた需要調整システム。
【請求項2】
前記サービス提供部は、
前記現在のリスクレベルと前記利用条件情報とに基づいて、前記現在の利用条件を取得し、前記現在の利用条件を前記利用者に通知する条件通知部と、
前記利用者が前記現在の利用条件を満たすか否かを判定する条件判定部と、
前記利用者が前記現在の利用条件を満たさないと判定すると、前記現在の利用条件を満足していないことを表す警告を前記利用者に通知する警告通知部と
を備える請求項1に記載の需要調整システム。
【請求項3】
前記設定部は、
前記感染リスクが大きくなるに従って、前記サービスを利用するためのチケットの代金が高くなるチケット料金体系を前記利用条件として設定する請求項1または請求項2に記載の需要調整システム。
【請求項4】
前記設定部は、
前記感染リスクが大きくなるに従って、前記サービスを利用する利用回数を制限する利用回数制限を前記利用条件として設定する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の需要調整システム。
【請求項5】
前記設定部は、
前記感染リスクが大きくなるに従って、前記サービスを利用する際の在場時間を制限する在場時間制限を前記利用条件として設定する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の需要調整システム。
【請求項6】
前記設定部は、
前記サービスの利用が許可されていることを証明する許可証の要否を前記利用条件として設定する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の需要調整システム。
【請求項7】
前記設定部は、
前記サービスを利用する際の地理的制限を前記利用条件として設定する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の需要調整システム。
【請求項8】
前記需要調整システムは、
前記サービスを利用した利用者におけるサービス利用時の時間と位置を含む利用履歴情報を管理する履歴管理部を備えた請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の需要調整システム。
【請求項9】
前記サービス提供部は、
前記チケットの代金の少なくとも一部を社会貢献活動のための基金に送金する請求項3に記載の需要調整システム。
【請求項10】
前記設定部は、
前記感染リスクが大きくなるに従って、前記サービスを利用するための整理券あるいはチケットの発行枚数を制限する枚数制限を前記利用条件として設定する請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の需要調整システム。
【請求項11】
前記取得部は、
前記現在のリスクレベルが変更になった場合に、変更後のリスクレベルを前記サービス提供部に送信し、
前記サービス提供部は、
前記変更後のリスクレベルと変更前のリスクレベルとを前記利用者に通知するとともに、前記変更後のリスクレベルと前記利用条件情報とに基づいて、変更後の利用条件を取得し、前記変更後の利用条件と変更前の利用条件との差分に応じた対応を前記利用者に対して実施する請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の需要調整システム。
【請求項12】
サービスを利用する利用者における感染症への感染リスクに応じて、前記サービスの需要を調整する需要調整システムに用いられる需要調整方法において、
設定部が、前記感染リスクの大きさを表すリスクレベルと、前記感染リスクが大きくなるに従って前記サービスの需要を抑制する利用条件とを利用条件情報に設定し、
取得部が、現在のリスクレベルを取得し、
サービス提供部が、前記現在のリスクレベルと前記利用条件情報とに基づいて、前記サービスの現在の利用条件を取得し、前記現在の利用条件を満たす利用者に対して前記サービスを提供する需要調整方法。
【請求項13】
サービスを利用する利用者における感染症への感染リスクに応じて、前記サービスの需要を調整する需要調整プログラムにおいて、
前記感染リスクの大きさを表すリスクレベルと、前記感染リスクが大きくなるに従って前記サービスの需要を抑制する利用条件とを利用条件情報に設定する設定処理と、
現在のリスクレベルを取得する取得処理と、
前記現在のリスクレベルと前記利用条件情報とに基づいて、前記サービスの現在の利用条件を取得し、前記現在の利用条件を満たす利用者に対して前記サービスを提供するサービス提供処理と
をコンピュータに実行させる需要調整プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、需要調整システム、需要調整方法、および需要調整プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
感染症への感染防止の観点から、自治体から事業者へ営業自粛要請がなされることがある。しかし、様々な理由により、従わない、あるいは従うことができない事業者もおり、足並みが揃わない状況がある。また、補償金は自治体の財政に影響を与える一方で、事業社側からは不十分である場合が多い。このように、感染症と共存しなければならない社会において、改善すべき点が見えてきている。
【0003】
感染防止の対策および効果と経済損失とのバランスについては、釣り合っているか否かの確証を持つことが難しい。また、営業自粛は二択の選択であり、感染リスクの大きさおよび現在の状況に柔軟に対応できるような解決法ではない。
【0004】
特許文献1には、感染していない入場者へのラベル発行によって感染者の入場を防止し、感染者の移動経路および接触者を把握して感染被害の拡大を抑制することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-050279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、感染の拡大を防止することはできるが、感染防止対策と経済活動をバランスよく両立させることはできない。
【0007】
本開示は、感染リスクの大きさに応じて、サービスの需要をきめ細かく調整することにより、感染防止対策と経済活動をバランスよく両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る需要調整システムは、サービスを利用する利用者における感染症への感染リスクに応じて、前記サービスの需要を調整する需要調整システムにおいて、
前記感染リスクの大きさを表すリスクレベルと、前記感染リスクが大きくなるに従って前記サービスの需要を抑制する利用条件とを利用条件情報に設定する設定部と、
現在のリスクレベルを取得する取得部と、
前記現在のリスクレベルと前記利用条件情報とに基づいて、前記サービスの現在の利用条件を取得し、前記現在の利用条件を満たす利用者に対して前記サービスを提供するサービス提供部とを備える。
【0009】
前記サービス提供部は、
前記現在のリスクレベルと前記利用条件情報とに基づいて、前記現在の利用条件を取得し、前記現在の利用条件を前記利用者に通知する条件通知部と、
前記利用者が前記現在の利用条件を満たすか否かを判定する条件判定部と、
前記利用者が前記現在の利用条件を満たさないと判定すると、前記現在の利用条件を満足していないことを表す警告を前記利用者に通知する警告通知部と
を備える。
【0010】
前記設定部は、
前記感染リスクが大きくなるに従って、前記サービスを利用するためのチケットの代金が高くなるチケット料金体系を前記利用条件として設定する。
【0011】
前記設定部は、
前記感染リスクが大きくなるに従って、前記サービスを利用する利用回数を制限する利用回数制限を前記利用条件として設定する。
【0012】
前記設定部は、
前記感染リスクが大きくなるに従って、前記サービスを利用する際の在場時間を制限する在場時間制限を前記利用条件として設定する。
【0013】
前記設定部は、
前記サービスの利用が許可されていることを証明する許可証の要否を前記利用条件として設定する。
【0014】
前記設定部は、
前記サービスを利用する際の地理的制限を前記利用条件として設定する。
【0015】
前記需要調整システムは、
前記サービスを利用した利用者におけるサービス利用時の時間と位置を含む利用履歴情報を管理する履歴管理部を備える。
【0016】
前記サービス提供部は、
前記チケットの代金の少なくとも一部を社会貢献活動のための基金に送金する。
【0017】
前記設定部は、
前記感染リスクが大きくなるに従って、前記サービスを利用するための整理券あるいはチケットの発行枚数を制限する枚数制限を前記利用条件として設定する。
【0018】
前記取得部は、
前記現在のリスクレベルが変更になった場合に、変更後のリスクレベルを前記サービス提供部に送信し、
前記サービス提供部は、
前記変更後のリスクレベルと変更前のリスクレベルとを前記利用者に通知するとともに、前記変更後のリスクレベルと前記利用条件情報とに基づいて、変更後の利用条件を取得し、前記変更後の利用条件と変更前の利用条件との差分に応じた対応を前記利用者に対して実施する。
【0019】
本開示に係る需要調整方法は、サービスを利用する利用者における感染症への感染リスクに応じて、前記サービスの需要を調整する需要調整システムに用いられる需要調整方法において、
設定部が、前記感染リスクの大きさを表すリスクレベルと、前記感染リスクが大きくなるに従って前記サービスの需要を抑制する利用条件とを利用条件情報に設定し、
取得部が、現在のリスクレベルを取得し、
サービス提供部が、前記現在のリスクレベルと前記利用条件情報とに基づいて、前記サービスの現在の利用条件を取得し、前記現在の利用条件を満たす利用者に対して前記サービスを提供する。
【0020】
本開示に係る需要調整プログラムは、サービスを利用する利用者における感染症への感染リスクに応じて、前記サービスの需要を調整する需要調整プログラムにおいて、
前記感染リスクの大きさを表すリスクレベルと、前記感染リスクが大きくなるに従って前記サービスの需要を抑制する利用条件とを利用条件情報に設定する設定処理と、
現在のリスクレベルを取得する取得処理と、
前記現在のリスクレベルと前記利用条件情報とに基づいて、前記サービスの現在の利用条件を取得し、前記現在の利用条件を満たす利用者に対して前記サービスを提供するサービス提供処理とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0021】
本開示に係る需要調整システムによれば、感染リスクの大きさに応じて、サービスの需要をきめ細かく調整することにより、感染防止対策と経済活動をバランスよく両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施の形態1に係る需要調整システムの構成例。
図2】実施の形態1に係る需要調整処理のフロー図。
図3】実施の形態1に係る需要調整システムへの利用申請処理の例を示す図。
図4】実施の形態1に係る利用条件情報の構成例。
図5】実施の形態1に係る取得処理およびサービス提供処理の例を示す図。
図6】実施の形態1に係る履歴管理処理の例を示す図。
図7】実施の形態1に係る感染情報管理処理の例を示す図。
図8】実施の形態1の変形例に係る需要調整システムの構成例。
図9】実施の形態1に係る需要調整システムの効果の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。
【0024】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1を用いて、本実施の形態に係る需要調整システム100の構成例について説明する。
需要調整システム100は、サービスを利用する利用者における感染症への感染リスクに応じて、サービスの需要を調整するシステムである。需要調整システム100は、サービスを提供するサービス提供施設に適用される。
ここで、需要調整システム100が適用されるサービス提供施設は、パチンコ店あるいはゲームセンターといった遊興施設、スポーツジム、カラオケ店、テーマパーク、美術館あるいは博物館といった展示施設、ショッピングセンター、百貨店、および飲食店といったサービスを提供する施設であり、業種は特定しない。
【0025】
需要調整システム100は、コンピュータである。需要調整システム100は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、および通信装置950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0026】
需要調整システム100は、機能要素として、設定部110と取得部120とサービス提供部130と履歴管理部140と記憶部150を備える。サービス提供部130は、条件通知部131と条件判定部132と警告通知部133を備える。
記憶部150には、利用条件情報51と利用履歴情報52と利用管理情報53が記憶される。
【0027】
設定部110と取得部120とサービス提供部130と履歴管理部140の機能は、ソフトウェアにより実現される。
記憶部150は、メモリ921に備えられる。なお、記憶部150は、補助記憶装置922に備えられていてもよいし、メモリ921と補助記憶装置922に分散して備えられていてもよい。
【0028】
プロセッサ910は、需要調整プログラムを実行する装置である。需要調整プログラムは、設定部110と取得部120とサービス提供部130と履歴管理部140の機能を実現するプログラムである。
プロセッサ910は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ910の具体例は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0029】
メモリ921は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ921の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、あるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
補助記憶装置922は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置922の具体例は、HDDである。また、補助記憶装置922は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬の記憶媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
【0030】
入力インタフェース930は、マウス、キーボード、あるいはタッチパネルといった入力装置と接続されるポートである。入力インタフェース930は、具体的には、USB(Universal Serial Bus)端子である。なお、入力インタフェース930は、LAN(Local Area Network)と接続されるポートであってもよい。
出力インタフェース940は、ディスプレイといった出力機器のケーブルが接続されるポートである。出力インタフェース940は、具体的には、USB端子またはHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子である。ディスプレイは、具体的には、LCD(Liquid Crystal Display)である。
【0031】
通信装置950は、ネットワークを介して他の装置と通信する。通信装置950は、レシーバとトランスミッタを有する。通信装置950は、有線または無線で、LAN、インターネット、あるいは電話回線といった通信網に接続している。通信装置950は、具体的には、通信チップまたはNIC(Network Interface Card)である。
【0032】
需要調整プログラムは、プロセッサ910に読み込まれ、プロセッサ910によって実行される。メモリ921には、需要調整プログラムだけでなく、OS(Operating System)も記憶されている。プロセッサ910は、OSを実行しながら、需要調整プログラムを実行する。需要調整プログラムおよびOSは、補助記憶装置922に記憶されていてもよい。補助記憶装置922に記憶されている需要調整プログラムおよびOSは、メモリ921にロードされ、プロセッサ910によって実行される。なお、需要調整プログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
【0033】
需要調整システム100は、プロセッサ910を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、需要調整プログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ910と同じように、需要調整プログラムを実行する装置である。
【0034】
需要調整プログラムにより利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値および変数値は、メモリ921、補助記憶装置922、または、プロセッサ910内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
【0035】
設定部110と取得部120とサービス提供部130と履歴管理部140の各部の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えてもよい。需要調整プログラムは、設定処理と取得処理とサービス提供処理と履歴管理処理をコンピュータに実行させる。また、需要調整方法は、需要調整システム100が需要調整プログラムを実行することにより行われる方法である。
需要調整プログラムは、コンピュータが読取可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよい。また、需要調整プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0036】
***動作の説明***
図2を用いて、本実施の形態に係る需要調整システム100における需要調整処理について説明する。
需要調整システム100の動作手順は、需要調整方法に相当する。また、需要調整システム100の動作を実現するプログラムは、需要調整プログラムに相当する。
なお、以下において、利用者41が主体となって行う動作は、利用者41が携帯するスマートフォンによって実施される。スマートフォン以外であっても、タブレット端末、携帯電話端末、あるいは情報処理装置といった通信機能を備えるコンピュータであればよい。また、サービス提供施設42が主体となって行う動作は、サービス提供施設42を運用する事業者が備えるコンピュータによって実施される。
【0037】
図3は、本実施の形態に係る需要調整システム100への利用申請処理を示す図である。
まず、前提条件として、利用者41とサービス提供施設42が、需要調整システム100に需要調整サービスの利用申請を行う。
【0038】
図3の(1)では、利用者41は、需要調整システム100に、需要調整サービスの利用申請を行う。具体的には、利用者41は、スマートフォンを用いて、需要調整システム100に利用申請を実施する。本人確認レベルはマイナンバー相当のものから、サービス提供施設42の会員証レベルでもよい。
【0039】
図3の(2)では、サービス提供施設42が需要調整システム100に利用申請を行う。サービス提供施設42が個別に利用申請をしてもよいし、業界団体による一括申請でもよい。
【0040】
図3の(3)では、需要調整システム100から利用者41に許可証が発行される。ここで発行される許可証は、デジタル許可証である。また、マイナンバーを登録することによりマイナンバーカードを許可証としてもよい。許可証により個人が特定できるものであれば、許可証はどのような形式でも構わない。
【0041】
<設定処理>
ステップS101において、設定部110は、感染リスクの大きさを表すリスクレベル511と、感染リスクが大きくなるに従ってサービスの需要を抑制する利用条件512とを利用条件情報51に設定する。
設定部110は、入力インタフェース930を介して、需要調整システム100の管理者からリスクレベル511あるいは利用条件512を取得する。設定部110は、リスクレベル511あるいは利用条件512を利用条件情報51に設定する。
【0042】
図4は、本実施の形態に係る利用条件情報51の構成例を示す図である。
利用条件情報51には、感染リスクの大きさを表すリスクレベル511として、平時、レベル1、レベル2、レベル3、およびレベル4が設定されている。
感染リスクの大きさを表すリスクレベルは、国あるいは地方自治体により、感染リスクを判断するための外部データを用いて判定され、公表される。感染リスクを判断するための外部データの具体例として、感染状況オープンデータ、クラスタ発生検知情報、抗体保有データベース、あるいは、予防接種履歴データベースといったデータがある。これらの外部データは、例えば、行政および医療機関43が有する情報である。
【0043】
平時は、リスクレベルが公表されていない状態である。レベル1は、感染リスク微小の状態である。レベル2は、感染リスク小の状態である。レベル3およびレベル4は、感染リスク中の状態であり、レベル4はレベル3より感染リスクが大きいものとする。レベル大は国あるいは自治体によるロックダウン相当の要請がなされている状態である。
【0044】
また、利用条件情報51には、許可証の要否、整理券の要否、チケットの要否、チケットの料金体系、予約の要否、利用回数制限、在場回数制限、および地理的制限といった需要調整策513が設定されている。
【0045】
そして、リスクレベル511ごとの需要調整策513には、感染リスクが大きくなるに従ってサービスの需要を抑制する利用条件512が設定される。
【0046】
以下に、感染リスクが大きくなるに従ってサービスの需要を抑制する利用条件512の具体例を説明する。
【0047】
設定部110は、サービスの利用が許可されていることを証明する許可証の要否を利用条件512として設定する。許可証は平時には提示不要だが、レベル1からレベル4では提示要とする。
これにより、平時より、レベル1からレベル4の方が需要が抑制される。
【0048】
設定部110は、サービスを利用する際の整理券の要否を利用条件512として設定する。整理券は、平時とレベル1では不要だが、レベル2では必要とする。レベル3およびレベル4では、後述のチケットを必要とするため整理券は不要とする。
これにより、平時およびレベル1より、レベル2の方がより需要が抑制される。また、整理券は無償であり、チケットは有償である。このため、整理券が必要なレベル2より、チケットが必要なレベル3およびレベル4の方が、より需要が抑制される。
【0049】
設定部110は、感染リスクが大きくなるに従って、サービスを利用するためのチケットの代金が高くなるチケット料金体系を利用条件512として設定する。まず、チケットの要否として、レベル3およびレベル4でチケットが必要とする。そして、レベル3のチケット代金よりもレベル4のチケット代金を高く設定する。これにより、平時、レベル1、およびレベル2より、有償のチケットが必要なレベル3およびレベル4の方が、より需要が抑制される。また、レベル3より、チケット代金が高いレベル4の方が、より需要が抑制される。
【0050】
設定部110は、感染リスクが大きくなるに従って、サービスを利用する利用回数を制限する利用回数制限を利用条件512として設定する。
具体的には、一定期間内の利用回数が設定される。例えば、平時には1か月の利用回数は無制限、レベル1では1か月の利用回数は15回まで、レベル2では1か月の利用回数は10回まで、レベル3では1か月の利用回数は5回まで、レベル4では1か月の利用回数は1回といった利用条件512が設定される。これにより、感染リスクが大きくなるに従って、サービス需要が抑制される。
【0051】
設定部110は、感染リスクが大きくなるに従って、サービスを利用する際の在場時間を制限する在場時間制限を利用条件512として設定する。
具体的には、サービス提供施設42における1回利用時の在場時間が設定される。例えば、平時には無制限、レベル1では6時間まで、レベル2では4時間まで、レベル3では2時間まで、レベル4では1時間までといった利用条件512が設定される。これにより、感染リスクが大きくなるに従って、サービス需要が抑制される。
【0052】
設定部110は、サービスを利用する際の地理的制限を利用条件512として設定する。
具体的には、サービス提供施設42の所在地に基づく地理的制限が設定される。例えば、平時には無制限、レベル1およびレベル2では県内からのみ、レベル3およびレベル4では市内からのみといった利用条件512が設定される。これにより、感染リスクが大きくなるに従って、サービス需要が抑制される。
【0053】
その他、設定部110は、サービスを利用する際の予約の要否、あるいは、サービス提供施設42までの交通手段の制限といった利用条件512を利用条件情報51に設定してもよい。
【0054】
なお、ここでは設定処理をステップS101として実施することにしているが、設定処理はどのタイミングで実施されても構わない。定期的に設定処理を実施してもよいし、所定のタイミングで設定処理を実施することにしてもよい。例えば、行政および医療機関43が有する外部データが更新される度に設定処理を実施するとしてもよい。
【0055】
図5は、本実施の形態に係る取得処理およびサービス提供処理の例を示す図である。図2および図5を用いて、本実施の形態に係る需要調整システム100における取得処理およびサービス提供処理について説明する。
【0056】
<取得処理>
ステップS102において、取得部120は、現在のリスクレベルを取得する。具体的には、自治体により公表されているリスクレベルを取得する。上述したように、リスクレベルは、自治体により、行政および医療機関43が有する外部データといった情報を用いて判定され、公表される。
また、図5の(4)に示すように、行政および医療機関43と需要調整システム100により、感染リスクを判断するための外部データが共有されてもよい。
【0057】
<サービス提供処理>
ステップS103からステップS107において、サービス提供部130は、現在のリスクレベルと利用条件情報51とに基づいて、サービスの現在の利用条件を取得し、現在の利用条件を満たす利用者41に対してサービスを提供する。
【0058】
ステップS103において、サービス提供部130の条件通知部131は、現在のリスクレベルと利用条件情報51とに基づいて、現在の利用条件を取得する。
条件通知部131は、利用条件情報51から、現在のリスクレベルに対応する利用条件512を抽出する。そして、条件通知部131は、現在の利用条件を利用者41に通知する(図5の(5))。具体的には、条件通知部131は、利用者41のスマートフォンに、現在のリスクレベルと現在の利用条件を通知する。通知は、プッシュ通知でもプル通知でもよい。
また、条件通知部131は、サービス提供施設42に対して、現在のリスクレベルと現在の利用条件を通知する(図5の(6))。サービス提供施設42は、通知された現在の利用条件に基づいて、営業時間、入場条件、あるいは受け入れ人数といった営業形態を決定してもよい。
【0059】
ステップS105において、条件判定部132は、利用者41が現在の利用条件を満たすか否かを判定する。利用者41は、条件通知部131により通知された現在の利用条件に基づいて、スマートフォンにより、整理券の申請、予約、あるいはチケットの購入といった処理を実施する。条件判定部132は、これらの処理の過程において、利用者41が現在の利用条件を満たすか否かを判定する。また、利用者41がサービス提供施設42に入場する際および入場した後は、条件判定部132は、利用者41の利用回数制限および在場時間制限といった利用条件を判定する。
【0060】
利用者41が現在の利用条件を満たしていると判定すると、ステップS106に進む。利用者41が現在の利用条件を満たさないと判定すると、ステップS107に進む。
【0061】
ステップS106において、サービス提供部130は、サービスの提供を実施、あるいは継続する。
ステップS107において、警告通知部133は、利用者41に利用条件を満たしていないことを表す警告を通知する。
【0062】
図5の(7)から(14)を用いて具体的に説明する。
図5の(7)では、利用者41のスマートフォンから、需要調整システム100に対して整理券が申請される。例えば、利用者41は、利用するサービス提供施設42、利用日時、および利用時間といった情報を指定して整理券を申請する。
条件判定部132は、現在のリスクレベルがレベル2であれば、整理券が要であると判定し、整理券を利用者41のスマートフォンに配信する(図5の(8))。条件判定部132は、現在のリスクレベルがレベル2以外であれば、整理券が不要であることを表す警告を利用者41のスマートフォンに通知する。
整理券の形式は、整理券利用時に、サービス提供施設42のコード(以下、事業者コード)を読み込むスキャンモードでもよいし、サービス提供施設42に利用者41のコード(以下、利用者コード)を読んでもらう形式でもよく、形式は問わない。また、整理券には、譲渡不可、いたずら・不正利用に対するペナルティといった制限を設けてもよい。
【0063】
図5の(9)では、利用者41のスマートフォンから、需要調整システム100に対してチケットの購入が申請される。チケットの形式は、1回分のチケット、回数券、あるいは定期券スタイルといった形式が考えらえるが、チケットの形式は問わない。
条件判定部132は、現在のリスクレベルがレベル3またはレベル4であれば、チケットが必要であると判定し、レベルに応じたチケット代金で利用者41にチケットを販売する処理を実施する。そして、条件判定部132は、チケットを利用者41に送信する(図5の(10))。条件判定部132は、現在のリスクレベルが平時、レベル1、およびレベル2であれば、チケットが不要であることを表す警告を利用者41のスマートフォンに通知する。
条件判定部132は、販売したチケットのチケット代金をサービス提供施設42に通知するとともに、チケット代金をサービス提供施設42の事業者に送金する(図5の(11))。
なお、図5の(12)に示すように、条件判定部132は、チケット代金の少なくとも一部を感染症対策基金44に送金することとしてもよい。感染症対策基金44は社会貢献活動のための基金の例である。条件判定部132は、あらかじめ決められた配分でチケット代金を分配する。
【0064】
図5の(13)では、条件判定部132は、現在の利用条件を満たす利用者41の入場を許可する。条件判定部132は、利用者41の整理券、チケット、予約、利用回数、あるいは地理的制限といった利用条件を管理する入場管理システムを有する。
例えば、条件判定部132は、利用者41のスマートフォンを介して、入場時にサービス提供施設42の事業者コードと利用者コードを取得する。あるいは、逆に、サービス提供施設42に備えられたコンピュータを介して、利用者41を特定する利用者コードと事業者コードを取得してもよい。条件判定部132は、取得した事業者コードと利用者コードとに基づいて、サービス提供施設42に対する利用者における整理券、チケット、予約、利用回数、あるいは地理的制限といった利用状況が現在の利用条件を満たしているか否かを判定する。条件判定部132は、現在の利用条件を満たす場合に、利用者41の入場を許可する。
【0065】
図5の(14)では、条件判定部132は、利用者41の在場時間制限といった利用条件を管理する退場管理システムを有する。
例えば、条件判定部132は、整理券あるいはチケットで予め決められた在場時間、あるいは現在の利用条件により定められた在場時間に基づいて、警告通知部133にアラートを通知させる。警告通知部133は、予め定められた在場時間が近づくとアラートを通知する。また、警告通知部133は、予め定められた在場時間を過ぎると退場を促すアラートを通知する。また、利用者41が違反した場合は、条件判定部132は、違反の内容を利用履歴情報52に履歴管理部140に記録させる。必要に応じて、利用者41にペナルティあるいはオプション費用の請求が課される仕組みを備えていてもよい。
【0066】
図6は、本実施の形態に係る履歴管理処理の例を示す図である。
履歴管理部140は、サービスを利用した利用者41におけるサービス利用時の時間と位置を含む利用履歴情報52を管理する。
図6の(15)では、図5の(4)と同様に、行政および医療機関43と需要調整システム100により、感染リスクを判断するための外部データが共有される。さらに、設定部110が設定処理を実施することにより、利用条件情報51が最新の状態に更新される。
【0067】
図6の(16)では、履歴管理部140は、利用者41について、利用者コード、許可証・整理券・チケット・予約等の状況、利用日時、利用時間、利用回数、および違反歴といった情報を含む利用履歴を利用履歴情報52に蓄積する。需要調整システム100は、利用履歴情報52の内容を利用者41に提供する。
図6の(17)では、履歴管理部140は、サービス提供施設42について、チケット販売状況、および、利用者データの統計情報といった管理情報を利用管理情報53に保持する。需要調整システム100は、利用管理情報53の内容をサービス提供施設42に提供する。
【0068】
図7は、本実施の形態に係る感染情報管理処理の例を示す図である。
図7の(18)では、図5の(4)と同様に、行政および医療機関43と需要調整システム100により、感染リスクを判断するための外部データが共有される。さらに、設定部110が設定処理を実施することにより、利用条件情報51が最新の状態に更新される。
【0069】
需要調整システム100は、利用履歴情報52および利用管理情報53に基づいて、利用者41に感染リスクがあったか否かを判定してもよい。そして、図7の(19)および(20)に示すように、需要調整システム100は、感染リスクの判定結果を利用者41およびサービス提供施設42にその旨を通知する。感染が疑われる場合、需要調整システム100は、利用者41およびサービス提供施設42にその旨を通知する。利用者41に検査の予約を勧めてもよい。
また、図7の(21)および(22)に示すように、需要調整システム100は、利用者41あるいはサービス提供施設42から、感染の疑いがあった場合の自己申告を受け付けてもよい。
需要調整システム100は、感染リスクの判定結果、自己申告、検査の実施および結果といった情報に応じて、利用履歴情報52に基づき利用者41のサービス利用をトレースする仕組みを備えていてもよい。
【0070】
***他の構成***
<変形例1>
本実施の形態では、チケットによる需要の抑制策として、リスクレベルが高くなるに従ってチケット代金を高くして、需要を抑制する方式について説明したが、その他の方式で需要を抑えてもよい。
例えば、リスクレベルが低いときは1日中使えるチケットとし、リスクレベルが高くなるにしたがってチケットに利用時間の制限を付与してもよい。また、整理券あるいは予約に対し、利用時間の制限を付与してもよい。また、本実施の形態では、チケットのみ有償としたが、その他、整理券あるいは予約といったものを有償とし、リスクレベルが高くなるに従って代金を高くしてもよい。あるいは利用回数および利用時間を有償で購入可能としてもよい。
【0071】
<変形例2>
また、利用者の年齢といった利用者の属性に応じて利用条件を設定してもよい。例えば、若い人の利用条件を高齢者より厳しく設定してもよい。具体例として、20歳から65歳未満の人は、65歳以上の人より利用条件が厳しくなるように利用条件を設定してもよい。
【0072】
<変形例3>
また、設定部110は、感染リスクが大きくなるに従って、サービスを利用するための整理券あるいはチケットの発行枚数を制限する枚数制限を利用条件512として設定してもよい。
条件判定部132は、整理券あるいはチケットの申請があった場合に、整理券あるいはチケットの枚数が、現在のリスクレベルに対応する枚数制限に達しているか否かを判定する。条件判定部132は、整理券あるいはチケットの枚数が枚数制限に達していると判定すると、枚数制限に達している旨の警告を利用者41のスマートフォンに通知する。
【0073】
<変形例4>
また、取得部120は、現在のリスクレベルが変更になった場合に、変更後のリスクレベルをサービス提供部130に送信する。例えば、取得部120は、定期的、あるいは、不定期に、公表されているリスクレベルの検知処理を実行する。取得部120は、現在のリスクレベルが変更になったことを検知すると、変更後のリスクレベルをサービス提供部130に送信する。
サービス提供部130は、変更後のリスクレベルと変更前のリスクレベルとを利用者41のスマートフォンに通知する。また、サービス提供部130は、変更後のリスクレベルと利用条件情報51とに基づいて、変更後の利用条件を取得する。そして、サービス提供部130は、変更後の利用条件と変更前の利用条件との差分に応じた対応を利用者41に対して実施する。
【0074】
具体的には、整理券申請時あるいはチケット購入申請時にはレベル3だったが、サービス利用時にレベル4に上がったという場合がある。このとき、サービス提供部130は、利用者41のスマートフォンに、変更となったリスクレベルと利用条件を通知する。そして、サービス提供部130は、高額になった費用を追加請求する、または、利用者41からのキャンセルを受けて返金するといった、変更後の利用条件と変更前の利用条件との差分に応じた対応を利用者41のスマートフォンに表示する。サービス提供部130は、利用者41の要求に従って、対応を実施する。
また、整理券申請時あるいはチケット購入申請時にレベル3だったが、サービス利用時にレベル2に下がったという場合がある。このとき、サービス提供部130は、利用者41のスマートフォンに、変更となったリスクレベルと利用条件を通知する。そして、サービス提供部130は、低額になった費用を返金するといった、変更後の利用条件と変更前の利用条件との差分に応じた対応を利用者41のスマートフォンに表示する。サービス提供部130は、利用者41の要求に従って、対応を実施する。
【0075】
<変形例5>
本実施の形態では、需要調整システム100における設定部110と取得部120とサービス提供部130と履歴管理部140の機能がソフトウェアで実現される。しかし、変形例として、設定部110と取得部120とサービス提供部130と履歴管理部140の機能がハードウェアで実現されてもよい。
【0076】
図8は、本実施の形態の変形例に係る需要調整システム100の構成例を示す図である。
図8に示すように、プロセッサ910を電子回路909に置き換えてもよい。
電子回路909は、設定部110と取得部120とサービス提供部130と履歴管理部140の機能を実現する専用の電子回路である。電子回路909は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。ASICは、Application
Specific Integrated
Circuitの略語である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略語である。
【0077】
別の変形例として、設定部110と取得部120とサービス提供部130と履歴管理部140の一部の機能が専用のハードウェアで実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。
【0078】
プロセッサ910と、メモリ921と、電子回路909とを、総称して「プロセッシングサーキットリ」という。つまり、需要調整システム100の機能は、プロセッシングサーキットリにより実現される。
【0079】
***本実施の形態の効果の説明***
本実施の形態に係る需要調整システムによれば、平常時は各種サービスの利用に制限はないが、感染拡大時には感染リスクの大きさであるリスクレベルに応じて需要を抑制することができる。
また、金銭的および非金銭的な利用条件を、リスクレベルに応じて割り振ることができるので、感染リスクの大きさに応じて、サービスの需要をきめ細かく調整することができるという効果がある。よって、本実施の形態に係る需要調整システムによれば、感染防止対策と経済活動をバランスよく両立させることができる。
【0080】
また、本実施の形態に係る需要調整システムによれば、外部データの変更に応じて、利用条件をいつでも更新することができる。よって、本実施の形態に係る需要調整システムによれば、感染リスクの大きさに応じて、需要をダイナミックに変更することができる。
【0081】
感染拡大時には、感染拡大防止を目的として、行政により私権が制限される恐れがある。しかし、本実施の形態に係る需要調整システムを適用することにより、民間で感染防止対策と経済活動をバランスよく両立させることが可能となり、安全に経済活動を継続できるという効果がある。
【0082】
また、本実施の形態に係る需要調整システムによれば、チケット代金の少なくとも一部を社会貢献活動の基金である感染症対策基金に送金することにより、利用者が感染症の防止の一翼を担うことができる。これにより、利用者による感染症防止対策に対する関心および社会貢献に対する関心が高まり、結果的に感染症拡大の防止につながる。また、利用者が感染症の防止の一翼を担うことにより、利用者がサービスの提供を受けやすくなり、感染拡大を防止しつつ経済活動を継続することができる。
【0083】
また、本実施の形態に係る需要調整システムによれば、利用履歴情報および利用管理情報から、感染経路のトレースを実現できる仕組みを構築し、感染拡大防止に貢献できる。
【0084】
図9は、本実施の形態に係る需要調整システムの効果の例を示す図である。
利用者にとっては、次のようなメリットがある。
・感染拡大といった有事であってもサービスを利用することができる。
・感染対策に金銭的に貢献することができる。
・感染リスクに関する情報が提供される。
【0085】
サービス提供施設にとっては、次のようなメリットがある。
・感染拡大といった有事でも営業を継続することができる。
・感染に関する情報の提供が容易となる。
・感染対策に金銭的に貢献することができる。
【0086】
社会貢献活動のための基金、例えば、感染症対策基金にとっては、次のようなメリットがある。
・感染対策費用が確保され、感染拡大の早期解決が期待できる。
【0087】
自治体にとっては、次のようなメリットがある。
・休業補償の負担が軽減される。
・感染対策と経済活動の両立が実現される。
・感染経路の特定が容易になる。
【0088】
以上の実施の形態1では、需要調整システムの各部を独立した機能ブロックとして説明した。しかし、需要調整システムの構成は、上述した実施の形態のような構成でなくてもよい。需要調整システムの機能ブロックは、上述した実施の形態で説明した機能を実現することができれば、どのような構成でもよい。また、需要調整システムは、1つの装置でなく、複数の装置から構成されたシステムでもよい。
また、実施の形態1のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、この実施の形態のうち、1つの部分を実施しても構わない。その他、この実施の形態を、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施しても構わない。
すなわち、実施の形態1では、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【0089】
なお、上述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示の範囲、本開示の適用物の範囲、および本開示の用途の範囲を制限することを意図するものではない。上述した実施の形態は、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
41 利用者、42 サービス提供施設、43 行政および医療機関、44 感染症対策基金、51 利用条件情報、52 利用履歴情報、53 利用管理情報、100 需要調整システム、110 設定部、120 取得部、130 サービス提供部、131 条件通知部、132 条件判定部、133 警告通知部、140 履歴管理部、150 記憶部、511 リスクレベル、512 利用条件、513 需要調整策、909 電子回路、910 プロセッサ、921 メモリ、922 補助記憶装置、930 入力インタフェース、940 出力インタフェース、950 通信装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9