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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052143
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】引き外し装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/36 20060101AFI20220328BHJP
   H01H 83/02 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
H01H73/36 B
H01H83/02 G
H01H83/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158340
(22)【出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 賢司
(72)【発明者】
【氏名】安村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 康資
【テーマコード(参考)】
5G030
【Fターム(参考)】
5G030CA03
5G030FC05
(57)【要約】
【課題】引き外し装置に必要なパーツの点数を抑制すること。
【解決手段】引き外しコイル2と、漏電電流により引き外しコイルが励磁されることで引き外しコイル側に引き寄せられるプランジャ3と、プランジャに連動して漏電電流が生じたことを表示する表示手段4と、を備える漏電遮断器の引き外し装置1であって、プランジャは、引き外しコイル側に位置する基端部と、基端部よりも小径となるくびれ部32を備え、くびれ部の先端側が、漏電遮断器の接点を開放するように動作するトリガレバー84に係合し、くびれ部の基端側が表示手段に係合する構成とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き外しコイルと、漏電電流により引き外しコイルが励磁されることで引き外しコイル側に引き寄せられるプランジャと、プランジャに連動して漏電電流が生じたことを表示する表示手段と、を備える漏電遮断器の引き外し装置であって、
プランジャは、引き外しコイル側に位置する基端部と、基端部よりも小径となるくびれ部を備え、
くびれ部の先端側が、漏電遮断器の接点を開放するように動作するトリガレバーに係合し、くびれ部の基端側が表示手段に係合する引き外し装置。
【請求項2】
プランジャは、くびれ部よりも引き外しコイル側に基端部を備え、
表示手段は、表示手段本体を前方向へ付勢する付勢手段を備えるとともに、引き外しコイル側の側面に凹部を備え、
プランジャの基端部が凹部内に位置する通常状態では、付勢手段が表示手段本体を前方向に移動させることが規制され、
引き外しコイルが励磁されて、プランジャが引き寄せられた場合に、上記規制が解除され、表示手段本体に備えられた表示部が前方向へ移動する請求項1に記載の引き外し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏電遮断器の引き外し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1や特許文献2に記載されているように、従来から漏電遮断器には引き外し装置が備えられている。従来の漏電遮断器の引き外し装置は、可動鉄心(プランジャ)に遮断機構部を動作させるフックを取り付け、可動鉄心の摺動時にフックより、漏電遮断器の引き外しを行うものであり、漏電表示装置の係合腕部を、遮断器後部を動作させるトリップアームに係合してトリップアームに連動して表示装置を上下移動させる構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-250321号公報
【特許文献2】実開平04-129457号公報
【0004】
そのため、遮断機構部と漏電表示装置を動かすために、パーツの点数が多くなり、引き外し装置のサイズが大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、引き外し装置に必要なパーツの点数を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、引き外しコイルと、漏電電流により引き外しコイルが励磁されることで引き外しコイル側に引き寄せられるプランジャと、プランジャに連動して漏電電流が生じたことを表示する表示手段と、を備える漏電遮断器の引き外し装置であって、プランジャは、引き外しコイル側に位置する基端部と、基端部よりも小径となるくびれ部を備え、くびれ部の先端側が、漏電遮断器の接点を開放するように動作するトリガレバーに係合し、くびれ部の基端側が表示手段に係合する引き外し装置とする。
【0007】
また、プランジャは、くびれ部よりも引き外しコイル側に基端部を備え、表示手段は、表示手段本体を前方向へ付勢する付勢手段を備えるとともに、引き外しコイル側の側面に凹部を備え、プランジャの基端部が凹部内に位置する通常状態では、付勢手段が表示手段本体を前方向に移動させることが規制され、引き外しコイルが励磁されて、プランジャが引き寄せられた場合に、上記規制が解除され、表示手段本体に備えられた表示部が前方向へ移動する構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、引き外し装置に必要なパーツの点数を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態における引き外し装置を備えた漏電遮断器の斜視図である。
図2図1に示す漏電遮断器の分解斜視図である。
図3】引き外し装置を表示手段側から見た斜視図である。ただし、引き外し装置のケースは省略している。
図4】引き外し装置を引き外しコイル側から見た斜視図である。ただし、引き外し装置のケースは省略している。
図5】引き外し装置とトリガレバーの位置関係を示す図である。
図6図5の分解斜視図である。
図7】表示手段の斜視図である。
図8】表示手段の側面図である。
図9】通常状態におけるプランジャとトリガレバーの位置関係を示す図である。
図10】引き外しコイルに電流が流れ、プランジャが引き寄せられた状態におけるプランジャとトリガレバーの位置関係を示す図である。
図11】漏電が発生した前後の表示手段の動きを表す図である。ただし、(a)では通常状態を表し、(b)では漏電が発生し、基端部が凹部から抜けたタイミングを表し、(c)では表示手段本体が前方に移動したことを表し、(d)では引き外しコイルの励磁が解消された後の状態を表している。
図12図11の(a)から(d)のタイミングにおけるプランジャの位置を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に発明を実施するための形態を示す。本実施形態は、引き外しコイル2と、漏電電流により引き外しコイル2が励磁されることで引き外しコイル2側に引き寄せられるプランジャ3と、プランジャ3に連動して漏電電流が生じたことを表示する表示手段4と、を備えている漏電遮断器80の引き外し装置1である。この引き外し装置1のプランジャ3は、引き外しコイル2側に位置する基端部31と、基端部31よりも小径となるくびれ部32を備え、くびれ部32の先端側が、漏電遮断器80の接点を開放するように動作するトリガレバー84に係合し、くびれ部32の基端側が表示手段4に係合する。このため、引き外し装置1に必要なパーツの点数を抑制することが可能となる。
【0011】
また、この引き外し装置1のプランジャ3は、くびれ部32よりも引き外しコイル2側に基端部31を備え、表示手段4は、表示手段本体41を外方向へ付勢する付勢手段49を備えるとともに、引き外しコイル2側の側面に凹部46を備え、プランジャ3の基端部31が凹部46内に位置する通常状態では、付勢手段49が表示手段本体41を外方向に移動させることが規制され、引き外しコイル2が励磁されて、プランジャ3が引き寄せられた場合に、上記規制が解除され、表示手段本体41に備えられた表示部42が外方向へ移動する。
【0012】
ここで、漏電遮断器80について説明する。なお、以下、前後方向は図1及び図2に示すことから理解されるように、操作可能なハンドル81が突出している面側が前側であり、その反対側に位置する取付面89側が後側である。漏電遮断器80は、回路内に漏電電流が生じた場合に、引き外し装置1により接点が開放するように動作し、回路を遮断する。
【0013】
漏電遮断器80は、上下方向の端部に電源側端子部82と負荷側端子部83を備え、接続された電源や負荷とともに回路を形成する。なお、この漏電遮断器80は、上側に電源側端子部82を備え、下側に負荷側端子部83を備えている。また、漏電遮断器80の内部には、引き外し装置1の他に図示しない接点部と機構部を備える。
【0014】
接点部は、固定接点と可動接点などを備え、固定接点と可動接点が接触することで電源側端子部82と負荷側端子部83が電気的に接続され、固定接点から可動接点が離れることで電源側端子部82と負荷側端子部83との電気的な接続が遮断される。
【0015】
機構部は、ハンドル81の操作に連動して可動接点を動作させ、漏電電流が生じた際に引き外し装置1に連動して可動接点から固定接点を離すように動作させ回路を遮断する。
【0016】
図3から図6に示すことから理解されるように、実施形態の引き外し装置1は、引き外しコイル2と、プランジャ3と、表示手段4と、テスト手段6とそれらを収納するケース5で構成される。引き外しコイル2は、内部にプランジャ3と、プランジャ3を引き外しコイル2の外側に付勢するバネ(図示せず)を備え、引き外しコイル2が励磁されると、プランジャ3を内側に引き寄せる。
【0017】
実施形態のプランジャ3は、略円筒形状であり、基端部31、くびれ部32、先端部33で構成されている。また、このプランジャ3は、基端部31と先端部33よりもくびれ部32の直径サイズは小さくなっている。なお、実施形態における基端部31と先端部33の直径サイズは略同一であり、基端部31の大部分は、引き外しコイル2内に収納される。
【0018】
実施形態のプランジャ3は、くびれ部32の先端部33付近が、機構部であるトリガレバー84と係合する。このプランジャ3には、基端部31のくびれ部32側の面である第1面部34と、先端部33のくびれ部32側の面である第2面部35を備えている。
【0019】
引き外しコイル2が励磁されて、プランジャ3を内側に引き寄せると、表示手段本体41の位置が変更されるため、漏電遮断器80を見た作業者は漏電したことを把握できる。具体的には、漏電遮断器80が形成する回路で漏電電流が生じると、漏電遮断器80の表面から、表示手段本体41の一部である突起状の表示部42が飛び出ることになるため、漏電遮断器80を見た作業者は漏電したことを把握できる。
【0020】
実施形態の表示手段4は、板状の表示手段本体41を備えている。図7及び図8に示すことから理解されるように、この表示手段本体41の上端に表示部42、下端に係合部43、中央下方に付勢手段49を収める収納部44、中央上方にプランジャ3を挿通させる挿通部45を備える。またプランジャ3の挿通部45の一部の周囲には、プランジャ3の基端部31を挿入可能な凹部46が形成される。
【0021】
なお、実施形態の引き外し装置1は、引き外し装置1が正常な動作を行うか否かを確認するために用いられるテスト手段6を備えている。漏電遮断器80の表面に設けられたテストボタンを押圧することで、このテスト手段6の回路を閉じると、引き外し装置1に擬似の漏電電流が流れるように構成しているため、引き外し装置1が正常な動作を行うか否かを確認できる。
【0022】
ここで、漏電電流発生時における引き外し装置1の動きの具体例を説明する。漏電遮断器80の形成する回路に漏電電流が生じると、引き外しコイル2が励磁され、引き外しコイル2内に向けてプランジャ3が引き寄せられる。このようにプランジャ3が引き寄せられることにより、くびれ部32に係合していたトリガレバー84が先端部33の第2面部35に引っ張られる。また、トリガレバー84が第2面部35に引っ張られると、トリガレバー84は軸部85を中心として回動する(図9及び図10参照)。トリガレバー84が回動することで、トリガレバー84と機構部を構成するパーツとの係合が解除され、回路が遮断される。実施形態では、このような流れで漏電電流が発生した場合に回路を遮断するようにしている。
【0023】
次に、漏電電流発生時における表示手段4の動きの具体例を説明する。図11から理解されるように、漏電が発生していない通常状態においては、表示手段4に設けられた凹部46内には、プランジャ3の基端部31とくびれ部32の境の部分(第1面部34)が収納されている。このとき、プランジャ3は引き外しコイル2の内側に配置されたバネにより引き外しコイル2の外側に向けて付勢されており、プランジャ3の第1面部34が凹部46に当接する。表示手段本体41は付勢手段49により前方向に付勢されており、表示手段本体41の後端の係合部43が機構部に係合する状態(通常状態)が維持される。
【0024】
漏電遮断器80の形成する回路に漏電電流が生じると、図12から理解されるように、プランジャ3が引き外しコイル2に引き寄せられ、引き寄せ位置に移動するため、プランジャ3の基端部31に対する凹部46の後面の当接が解除される。その結果、表示手段本体41が前方向に移動する。
【0025】
表示手段本体41が前方向へ移動して、表示手段本体41の挿通部45の前方に設けられた凸部47が、ケース86と当接すると、それ以上に表示手段本体41が前方向へ移動することが規制される。漏電遮断器80の形成する回路に漏電電流が生じると、このような動きにより、表示手段本体41が、通常状態の位置よりも前方向に移動し、表示部42が漏電遮断器80の表面から飛び出す状態となる。
【0026】
引き外しコイル2のプランジャ3への引き寄せが解除されると、引き外しコイル2内のバネの力によりプランジャ3は外側に移動するが、基端部31の第1面部34が表示手段4の外表面に当接することで、プランジャ3の移動が規制される。つまり、プランジャ3の先端部33は、通常状態の位置と引き寄せ位置との間に位置する状態となる。
【0027】
その後、ハンドル81を操作して接点手段を接続状態に戻すと、表示手段本体41の後端の係合部43がハンドル81の操作に連動した機構部によって後方向に引っ張られ、表示手段本体41が後方向へ移動する。
【0028】
表示手段本体41が後方向へ移動することにより、引き外しコイル2の内側に配置されたバネにより外側へ付勢されているプランジャ3は表示手段本体41の凹部46内に嵌まり込むことになり、プランジャ3と表示手段本体41との位置関係は通常状態に戻る。
【0029】
なお、実施形態においては、通常状態において、プランジャ3のくびれ部32に係合されたトリガレバー84と、プランジャ3の第2面部35とは、一定の距離離れている。このようにすることで、トリガレバー84とプランジャ3の第2面部35が当接した状態で、引き外しコイル2によりプランジャ3が引き寄せられるよりも、より強い力でトリガレバー84を引っ張ることができる。
【0030】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 引き外し装置
2 引き外しコイル
3 プランジャ
4 表示手段
31 基端部
32 くびれ部
41 表示手段本体
49 付勢手段
80 漏電遮断器
84 トリガレバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12