IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニチコン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-スイッチング電源装置 図1
  • 特開-スイッチング電源装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052183
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20220328BHJP
【FI】
H02M3/28 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158405
(22)【出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上杉 拓矛
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA02
5H730AA20
5H730AS01
5H730BB23
5H730BB57
5H730DD04
5H730DD41
5H730EE04
5H730EE08
5H730EE59
5H730FD01
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】高耐圧が要求される箇所において、直列に配列された2つのダイオードに印加される電圧のバランスを改善し、一方のダイオードに電圧の偏りが生じることを抑制する。
【解決手段】スイッチング電源装置1は、一次コイル3aと二次コイル3bとを有するトランス3と、スイッチング素子Qを含み、一次コイル3a側にスイッチング電圧を供給するスイッチング回路11と、二次コイル3b側に設けられ、トランス3の交流出力を整流して負荷に出力する整流回路14と、サージ電圧を抑制するため、一次コイル3aに設けられたスナバ回路13と、を備える。スナバ回路13は、同一方向に直列に配列された2つのダイオードD3およびD4と、2つのダイオードD3およびD4の間に接続されたインダクタL2とからなる直列回路50を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次コイルと二次コイルとを有するトランスと、
スイッチング素子を含み、前記トランスの前記一次コイル側にスイッチング電圧を供給するスイッチング回路と、
前記二次コイル側に設けられ、前記トランスの交流出力を整流して負荷に出力する整流回路と、
サージ電圧を抑制するため、前記一次コイル側に設けられたスナバ回路と、を備え、
前記スナバ回路は、同一方向に直列に配列された2つのダイオードと、前記2つのダイオードの間に接続されたインダクタとからなる直列回路を含むことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記スナバ回路は、
アノードが前記直列回路と直列に電気的に接続された主ダイオードと、
一方端が前記主ダイオードと前記直列回路との電気的な接続点に接続されたコンデンサと
を有し、
前記主ダイオードのカソードが前記一次コイルの一端側に電気的に接続されるとともに、前記コンデンサの他方端が前記一次コイルの他端側に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記直列回路の両端部のうち前記主ダイオードに電気的に接続された側と反対側の端部が前記スイッチング素子の電流路を構成する一方の出力端子に接続される一方、前記コンデンサの他方端が前記スイッチング素子の電流路を構成する他方の出力端子に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トランスと、トランスの一次側に設けられ、交流電圧をトランスに供給するスイッチング回路と、トランスの二次側に設けられ、トランスの交流出力電圧を整流する整流回路と、サージ電圧抑止回路(スナバ回路)とを有するスイッチング電源装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-211878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、スイッチング電源の性能向上に伴い、ダイオード部品の小型化が進み、高電圧に耐えられる高耐圧部品の供給が少なくなっている。一方において、スナバ回路などのように高耐圧部品が求められる箇所には、耐圧性能や逆回復時間などの特性が回路構成に対して適切となるように部品を選定することが重要である。回路構成に対して適切でない特性の部品を用いた場合、回路を構成する部品(素子)の発熱や破損の原因となる。
【0005】
上記のような素子の発熱や破損を防ぐために、スナバ回路においてダイオードを2個直列に接続する方法が考えられる。しかし、この場合、非導通時の電圧バランスが安定的でなく、一方のダイオードに電圧の偏りが生じてしまう。電圧バランスを改善する方法としては、抵抗やコンデンサをダイオードと並列に接続する方法が考えられる。しかし、ダイオードの近くにインダクタなどの受動素子が配置される構成の場合、インダクタから発生するサージ電圧の影響が支配的となり、電圧バランスを改善するという効果を得られないおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、高耐圧が要求される箇所において、直列に配列された2つのダイオードに印加される電圧のバランスを改善し、一方のダイオードに電圧の偏りが生じることを抑制するスイッチング電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明のスイッチング電源装置は、一次コイルと二次コイルとを有するトランスと、スイッチング素子を含み、前記トランスの前記一次コイル側にスイッチング電圧を供給するスイッチング回路と、前記二次コイル側に設けられ、前記トランスの交流出力を整流して負荷に出力する整流回路と、サージ電圧を抑制するため、前記一次コイル側に設けられたスナバ回路と、を備え、前記スナバ回路は、同一方向に直列に配列された2つのダイオードと、前記2つのダイオードの間に接続されたインダクタとからなる直列回路を含む。
【0008】
第1の発明によれば、高耐圧が要求される箇所において、直列に配列された2つのダイオードに印加される電圧のバランスを改善し、一方のダイオードに電圧の偏りが生じることを抑制することができる。また、一方のダイオードに印加される電圧が大きくなることを抑制できるため、それぞれのダイオードの耐圧性能が低くても破損や発熱を抑えることができ、部品の選択肢が増える。
【0009】
第2の発明のスイッチング電源装置は、第1の発明において、前記スナバ回路は、アノードが前記直列回路と直列に電気的に接続された主ダイオードと、一方端が前記主ダイオードと前記直列回路との電気的な接続点に接続されたコンデンサとを有し、前記主ダイオードのカソードが前記一次コイルの一端側に電気的に接続されるとともに、前記コンデンサの他方端が前記一次コイルの他端側に電気的に接続されている。
【0010】
第2の発明によれば、カソードが一次コイルの一端側に電気的に接続された主ダイオードと、一端が一次コイルの他端側に電気的に接続されたコンデンサとを有する、いわゆるLCDスナバ回路について、直列に配列されたダイオードに印加される電圧のバランスを改善し、一方のダイオードに電圧の偏りが生じることを抑制することができる。
【0011】
第3の発明のスイッチング電源装置は、第2の発明において、前記直列回路の両端部のうち前記主ダイオードに電気的に接続された側と反対側の端部が前記スイッチング素子の電流路を構成する一方の出力端子に接続される一方、前記コンデンサの他方端が前記スイッチング素子の電流路を構成する他方の出力端子に接続されている。
【0012】
第3の発明では、LCDスナバ回路が、スイッチング素子の電流路を構成する2つの出力端子に接続されている。これにより、スイッチング電圧を供給するためにスイッチング素子のオンオフ制御を行うことに伴って発生するサージ電圧を、スナバ回路によって速やかに吸収することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高耐圧が要求される箇所において、直列に接続された2つのダイオードに印加される電圧のバランスを改善し、一方のダイオードに電圧の偏りが生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係るスイッチング電源装置の回路図である。
図2】比較例に係るスナバ回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明の実施形態に係るスイッチング電源装置1の回路構成について、図1を参照しつつ以下に説明する。
【0016】
スイッチング電源装置1は、フォワード方式のスイッチング電源であり、一次コイル3aおよび二次コイル3bを有するトランス3と、トランス3の一次コイル3a側に設けられた一次側回路4と、トランス3の二次コイル3b側に設けられた二次側回路5とを含む。
【0017】
一次側回路4は、直流電源Eに接続される入力端子T1およびT2と、スイッチング回路11と、制御回路12と、スナバ回路13と、を含む。一次コイル3aの一端側は、入力端子T1およびスナバ回路13の主ダイオードD2(後述)のカソードと電気的に接続されており、一次コイル3aの他端側は、スナバ回路13のコンデンサC1の他方端(後述)およびスイッチング素子QのドレインD(後述)と電気的に接続されている。
【0018】
スイッチング回路11は、図1に示すように、スイッチング素子Q、抵抗R1、R2、R3およびダイオードD1を含む。本実施形態において、スイッチング素子Qは、NチャネルMOSFETであり、一端がドレインD、他端がソースS、制御端がゲートGである。本実施形態におけるソースSおよびドレインDが、それぞれ、本発明におけるスイッチング素子Qの電流路を構成する一方および他方の出力端子である。なお、FET以外のスイッチング素子としては、例えば、IGBTや他のバイポーラトランジスタなどを用いることができる。この場合、2つの出力端子はエミッタおよびコレクタである。
【0019】
ドレインDは、スナバ回路13のコンデンサC1(後述)と接続されている。さらに、ドレインDとコンデンサC1との電気的な接続点P1は、一次コイル3aの他端側と接続されている。なお、ドレインDとコンデンサC1との接続点P1と、一次コイル3aの他端側との間には、インダクタL9が接続されている。ソースSは、抵抗R3およびスナバ回路13のダイオードD4と接続されている。さらに、ソースSとダイオードD4との電気的な接続点P2は、入力端子T2と接続されている。ゲートGは、制御回路12と電気的に接続されている。また、ゲートGと制御回路12との間において、抵抗R1と、直列接続されたダイオードD1および抵抗R2とが並列に接続されている。また、抵抗R2は、前述の抵抗R3と接続されている。
【0020】
スイッチング素子Qの制御端であるゲートGは、ドレインDおよびソースS間の電流路を導通又は遮断するために、後述の制御回路12によってオンオフ制御される。オンオフ制御によって、スイッチング回路11は、2つの出力端子であるドレインDおよびソースSからトランス3の一次コイル3a側にスイッチング電圧を供給する。
【0021】
制御回路12は、後述のフィードバック回路15から送られるフィードバック信号に基づいて、スイッチング素子Qのオンオフ制御を行う。制御回路12は、フィードバック信号に基づいて、例えば、所定の周波数およびデューティ比のパルス波形をもつPWM信号を生成する。
【0022】
スナバ回路13は、一次コイル3a、入力端子T1、T2、スイッチング回路11と接続されている。スナバ回路13の詳細な構成については後述する。
【0023】
二次側回路5は、整流回路14と、フィードバック回路15と、不図示の負荷に直流電流を出力するための出力端子T3およびT4とを含む。整流回路14の出力側にインダクタL9が直列に接続されている。二次コイル3bの一端側は出力端子T3と接続され、二次コイル3bの他端側は出力端子T4と接続されている。また、出力端子T3および出力端子T4は、不図示の負荷と接続される。
【0024】
整流回路14は、トランス3の交流出力を整流して直流出力として負荷(不図示)に出力するための回路である。整流回路14は、図1に示すように、インダクタL3~L8、コンデンサC2、C3、ダイオードD5~D8を含む。直列接続されたインダクタL3とコンデンサC2は、二次コイル3bと出力端子T3およびT4に接続された負荷(不図示)との間で、直列接続されたインダクタL4とダイオードD5、および直列接続されたインダクタL6とダイオードD7と並列に接続されている。また、直列接続されたインダクタL8とコンデンサC3は、二次コイル3bと出力端子T3およびT4に接続された負荷(不図示)との間で、直列接続されたインダクタL5とダイオードD6、および直列接続されたインダクタL7とダイオードD8と並列に接続されている。
【0025】
フィードバック回路15は、二次コイル3bと出力端子T3及びT4に接続された負荷(不図示)との間で、整流回路14と並列に接続されている。フィードバック回路15は、出力端子T3と出力端子T4との間の電圧(すなわち、負荷に出力される出力電圧)を検出して、制御回路12にフィードバック信号を出力する。
【0026】
スイッチング電源装置1は、制御回路12によってスイッチング素子Qのオンオフ制御を行っている。スイッチング素子Qをオフとしたことにより一次コイル3aを含む電流路が遮断されるとサージ電圧が発生する。このサージ電圧により、スイッチング電源装置1を構成する電子部品が破損するおそれがある。これを防ぐために、スイッチング電源装置1は、サージ電圧を吸収する保護回路であるスナバ回路13を有している。
【0027】
スナバ回路13は、主ダイオードD2、ダイオードD3、D4、インダクタL1、L2およびコンデンサC1を含む。主ダイオードD2は、接続点P3において、入力端子T1と接続されるとともに一次コイル3aの一端側に電気的に接続されている。主ダイオードD2のカソードは、一次コイル3aの一端側と電気的に接続されている。また、主ダイオードD2のアノードは、インダクタL1を介して後述する2つダイオードD3、D4とインダクタL2とからなる直列回路50の一端部(ダイオードD3のカソード)に電気的に接続されている。インダクタL1とスイッチング素子Qとの間において、コンデンサC1と、直列回路50とが並列に接続されている。具体的には、スナバ回路13は同一方向に直列に配列された2つのダイオードD3とD4との間に接続されたインダクタL2とからなる直列回路50を含み、コンデンサC1の一方端がインダクタL1を介した主ダイオードD2と直列回路50との電気的な接続点P4に接続されている。コンデンサC1の他方端はインダクタL9を介して一次コイル3aの他端側に電気的に接続されている。すなわち、本実施形態において、2つのダイオードD3、D4およびインダクタL2とからなる直列回路50の両端部のうち主ダイオードD2と電気的に接続された側と反対側の端部が接続点P2を介してスイッチング素子QのソースS(本発明のスイッチング素子Qの電流路を構成する一方の出力端子)に接続される一方、コンデンサC1の他方端が接続点P1を介してドレインD(本発明のスイッチング素子Qの電流路を構成する他方の出力端子)に接続された回路構成となっている。
【0028】
ここで、1つのダイオードのみで高サージ電圧に対応しようとすると、ダイオードには非常に高い耐圧性能が求められる。しかし、近年のスイッチング電源装置の性能向上に伴い、ダイオード部品の小型化が進み、高い耐圧性能を有するダイオード部品の供給が少なくなっている。また、ダイオードは、耐圧性能だけでなく逆回復時間などの特性も含めて回路構成に対して適切な部品を選定する必要があり、単に高耐圧であればよいというわけでもない。よって、回路構成に合った特性を有し、かつ、高耐圧性能を有しているダイオード部品を選定しなければならない場合、部品の選択肢は非常に限られる。
【0029】
本実施形態のスナバ回路13は、同一方向に直列に配列された2つのダイオードD3およびD4を有している。これによって、高耐圧性能を有していないダイオードを用いた場合でも、より高いサージ電圧を吸収することができる。しかしながら、一次コイル3aを含む電流路が遮断されたときにおいて、ダイオードD3とD4との間で電圧バランスが安定的でなく、一方のダイオードに電圧の偏りが生じてしまう。
【0030】
本実施形態では、ダイオードD3とD4との間の電圧バランスを改善するために、コンデンサC1を、直列に接続されたダイオードD3およびD4と並列に接続している。しかし、ダイオードD3およびD4の近くに受動素子(例えば、トランス3やインダクタL1など)が配置されているため、受動素子から発生するサージ電圧の影響が支配的となり、電圧バランスを改善するという効果を十分に得られない。
【0031】
そこで、本実施形態では、スナバ回路13は、同一方向に直列に配列された2つのダイオードD3およびD4と、2つのダイオードD3とD4との間に接続されたインダクタL2とからなる直列回路50を含む。これにより、サージ電圧を吸収するために高耐圧が要求される箇所において、2つのダイオードD3およびD4に印加されるサージ電圧の大きさが調整される。その結果、両者の電圧バランスが改善され、一方のダイオードに電圧の偏りが生じることを抑制することができる。また、一方のダイオードに印加される電圧が大きくなることを抑制できるため、それぞれのダイオードの耐圧性能が低くても破損や発熱を抑えることができ、部品の選択肢が増える。そして、ダイオードとして低耐圧かつ高スイッチング特性をもつ面実装部品を選定すれば、基板への放熱が可能となるために、部品温度にマージンを持つことが可能となる。
【0032】
また、上述したように、本実施形態では、スナバ回路13は、アノードが直列回路50と直列に電気的に接続された主ダイオードD2と、一方端が主ダイオードD2と直列回路50との電気的な接続点P4に接続されたコンデンサC1とを有している。そして、主ダイオードD2のカソードが一次コイル3aの一端側と電気的に接続されるとともに、コンデンサC1の他方端が一次コイル3aの他端側に電気的に接続されている。これにより、主ダイオードD2とコンデンサC1とを有する、いわゆるLCDスナバ回路について、直列に配列された2つのダイオードD3およびD4に印加される電圧のバランスを改善し、一方のダイオードに電圧の偏りが生じることを抑制できる。
【0033】
また、本実施形態のスイッチング電源装置1は、直列回路50の両端部のうち主ダイオードD2に電気的に接続された側と反対側の端部が接続点P2を介してソースSに接続される一方、コンデンサC1の他方端が接続点P1を介してドレインDに接続されている。つまり、LCDスナバ回路が、スイッチング素子Qの電流路を構成する2つの出力端子であるソースSおよびドレインDに接続されている。これにより、スイッチング電圧を供給するためにスイッチング素子Qのオンオフ制御を行うことによって発生するサージ電圧を、スナバ回路13によって速やかに吸収することができる。
【0034】
(実施例)
次に、実施例および比較例のスイッチング電源装置について、スナバ回路の耐圧性能の比較を行った。実施例のスイッチング電源装置1のスナバ回路13は、上記実施形態と同様の構成であり、ダイオードD3、インダクタL2、ダイオードD4の順に直列に接続された直列回路50の回路構成を含む。比較例のスイッチング電源装置のスナバ回路23は、図2に示すように、主ダイオードD12と、インダクタL11と、コンデンサC11と、インダクタL12、ダイオードD13、ダイオードD14の順に接続された直列回路60の回路構成とを含む。また、比較例のスナバ回路23は、主ダイオードD12がインダクタL11を介して直列回路60の一端部に電気的に接続されている。さらに、コンデンサC11の一方端がインダクタL11を介した主ダイオードD12と直列回路60との電気的な接続点P14に接続されている。コンデンサC11の他方端は、一次コイル(不図示)およびスイッチング素子(不図示)のドレインに接続されている。また、直列回路60の両端部のうち主ダイオードD12と電気的に接続された側と反対側の端部がスイッチング素子のソース(不図示)と接続されている。なお、比較例のスイッチング電源装置のその他の回路構成は、実施例のスイッチング電源装置1の回路構成と同様である。また、ダイオードD3、D4、D13、D14は600V耐圧部品を用いた。
【0035】
以下の表1は、実施例のスナバ回路13および比較例のスナバ回路23に同じ電圧を印加したときにおいて、スナバ回路13のダイオードD3、D4およびインダクタL2、ならびに、スナバ回路23のダイオードD13、D14、インダクタL12に印加される電圧を示したものである。
【0036】
【表1】
【0037】
表1において、実施例のVpeakは、ダイオードD3、D4およびインダクタL2の合成電圧のピーク値である。実施例のVLは、インダクタL2に印加されるピーク電圧である。実施例のV1は、ダイオードD3に印加されるピーク電圧である。実施例のV2は、ダイオードD4に印加されるピーク電圧である。また、比較例のVpeakは、ダイオードD13、D14、インダクタL12の合成電圧のピーク値である。比較例のVLは、インダクタL12に印加されるピーク電圧である。比較例のV1は、ダイオードD13に印加されるピーク電圧である。比較例のV2は、ダイオードD14に印加されるピーク電圧である。
【0038】
表1によると、直列に接続された2つのダイオードの間にインダクタL12が接続されていない比較例では、ダイオードD13に印加されるピーク電圧と、ダイオードD14に印加されるピーク電圧との間で大きな偏りがあった。一方で、直列に接続された2つのダイオードの間にインダクタL12が接続されている実施例では、ダイオードD3に印加されるピーク電圧と、ダイオードD4に印加されるピーク電圧との間で、電圧の偏りは抑制されており、2つのダイオードD3およびD4に印加される電圧のバランスが改善していた。
【0039】
(変形例)
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、これらの例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
【0040】
上記実施形態において、スナバ回路13は、一次側回路4に配置されている。しかしながら、スナバ回路13は、一次側回路4および二次側回路5の両方に配置されていてもよい。
【0041】
上記実施形態では、スナバ回路13は、直列回路50と、主ダイオードD2と、インダクタL1と、コンデンサC1とを有している。しかしながら、スナバ回路13は、インダクタL1を有していなくともよい。また、LCDスナバ回路以外にも本発明を適用することができる。
【0042】
整流回路は、上記実施形態の構成に限らず、4個のダイオードによるブリッジ整流回路、半波整流回路、両波整流回路、ダブルブリッジ整流回路、2個のスイッチによるプッシュプル回路、4個のスイッチ素子による同期整流回路などでもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 スイッチング電源装置
3 トランス
3a 一次コイル
3b 二次コイル
4 一次側回路
5 二次側回路
11 スイッチング回路
13 スナバ回路
14 整流回路
50 直列回路
P4 接続点
C1 コンデンサ
D2 主ダイオード
D3 ダイオード
D4 ダイオード
L2 インダクタ
Q スイッチング素子
G ゲート
D ドレイン
S ソース
図1
図2