(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052186
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/00 20060101AFI20220328BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20220328BHJP
F21S 41/147 20180101ALI20220328BHJP
F21S 41/148 20180101ALI20220328BHJP
F21S 41/255 20180101ALI20220328BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20220328BHJP
F21S 43/20 20180101ALI20220328BHJP
F21S 43/15 20180101ALI20220328BHJP
B60Q 1/02 20060101ALI20220328BHJP
B60Q 1/34 20060101ALI20220328BHJP
F21W 102/30 20180101ALN20220328BHJP
F21W 103/60 20180101ALN20220328BHJP
F21W 102/135 20180101ALN20220328BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20220328BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20220328BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20220328BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20220328BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20220328BHJP
F21Y 115/00 20160101ALN20220328BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20220328BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20220328BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20220328BHJP
【FI】
B60Q1/00 E
F21S41/143
F21S41/147
F21S41/148
F21S41/255
F21S43/14
F21S43/20
F21S43/15
B60Q1/02 B
B60Q1/34 B
F21W102:30
F21W103:60
F21W102:135
F21W103:00
F21W103:35
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:20
F21Y115:00
F21Y115:30
F21Y115:20
F21Y101:00 100
F21Y101:00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158411
(22)【出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
(72)【発明者】
【氏名】本多 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】伊東 樹生
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339AA25
3K339AA31
3K339AA32
3K339AA34
3K339AA43
3K339BA01
3K339BA03
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3K339BA08
3K339BA12
3K339BA21
3K339BA22
3K339BA23
3K339BA26
3K339CA01
3K339CA02
3K339CA06
3K339CA12
3K339CA21
3K339CA22
3K339CA24
3K339CA25
3K339CA30
3K339DA01
3K339EA02
3K339GB01
3K339HA01
3K339HA04
(57)【要約】
【課題】前照灯又は標識灯の機能と、路面描画機能の両方の機能を備え、構成がシンプルな、路面描画機能を備えた車両用灯具を提供する。
【解決手段】前照灯または標識灯としての機能に加えて、路面描画機能を備えた車両用灯具であり、前照灯または標識灯の機能を成す光学ユニットと、路面への描画パターンの投影機能を成す路面描画ユニットとを含んで構成され、前記光学ユニットおよび前記路面描画ユニットは、共通の投影レンズで照射を行うことを特徴とする、路面描画機能を備えた車両用灯具を提供する。共通のレンズで配光および描画パターンの両方の投影が行われるため、構成をシンプルにすることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前照灯または標識灯としての機能に加えて、路面描画機能を備えた車両用灯具であり、
前照灯または標識灯の機能を成す光学ユニットと、路面への描画パターンの投影機能を成す路面描画ユニットとを含んで構成され、
前記光学ユニットおよび前記路面描画ユニットは、共通の投影レンズで照射を行う、
ことを特徴とする路面描画機能を備えた車両用灯具。
【請求項2】
前記光学ユニットは前記投影レンズの光軸上近傍に配置され、前記路面描画ユニットは、前記光学ユニットの上方に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の路面描画機能を備えた車両用灯具。
【請求項3】
前記光学ユニットの光源と、前記路面描画ユニットの光源とは、共通の基板に実装される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の路面描画機能を備えた車両用灯具。
【請求項4】
前記光学ユニットは、所望の配光を形成するための拡散レンズを備え、
前記拡散レンズと、前記路面描画ユニットの光源とは、略同一の鉛直面上に配置される、
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかの請求項に記載の路面描画機能を備えた車両用灯具。
【請求項5】
前記光学ユニットおよび前記路面描画ユニットは、照射目的を関連させた照射を行う、
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかの請求項に記載の路面描画機能を備えた車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、車両用灯具、特に前照灯又は標識灯の機能に加えて、路面描画の機能を備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
前照灯又は標識灯の機能を成す光学ユニットを備えた車両用灯具において、路面に所望の描画パターンを照射する路面描画ユニットも、該光学ユニットと共に搭載されたタイプがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の車両用灯具では、前照灯又は標識灯の機能を成す光学ユニットと、路面に所望の描画パターンを照射する路面描画ユニットとの両方を、同じ灯室内に搭載するため、筐体は大型になり、構成も複雑となる。
【0005】
本発明は、これに鑑みてなされたものであり、構成がシンプルで、路面描画機能を備えた車両用灯具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するため、本開示のある態様では、前照灯または標識灯としての機能に加えて、路面描画機能を備えた車両用灯具であり、前照灯または標識灯の機能を成す光学ユニットと、路面への描画パターンの投影機能を成す路面描画ユニットとを含んで構成され、前記光学ユニットおよび前記路面描画ユニットは、共通の投影レンズで照射を行うように路面描画機能を備えた車両用灯具を構成した。
【0007】
この態様によれば、共通の投影レンズを用いることで、ユニットごとに投影レンズを使用する必要がなく、構成がシンプルで省スペースとなる。
【0008】
また、ある態様では、車両用灯具を前記光学ユニットは前記投影レンズの光軸上近傍に配置され、前記路面描画ユニットは、前記光学ユニットの上方に配置されるよう構成した。この態様では、配置により所望の場所に描画パターンおよび配光が投影され、構成がシンプルになる。
【0009】
また、ある態様では、前記光学ユニットの光源と、前記路面描画ユニットの光源とは、共通の基板に実装されるよう構成した。共通の基板に複数の光源が配置されるため、部品削減となり、組付け工数を削減できる。
【0010】
また、ある態様では、前記光学ユニットは、所望の配光を形成するための拡散レンズを備え、前記拡散レンズと、前記路面描画ユニットの光源とは、略同一の鉛直面上に配置されるよう構成した。この態様によれば、光源が複数あっても、互いの照射を邪魔しない構成となる。
【0011】
また、ある態様では、前記光学ユニットおよび前記路面描画ユニットは、照射目的を関連させた照射を行うよう構成した。目的を関連させることで、機能効果を向上させた。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、構成がシンプルで、路面描画機能を備えた車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施の形態に係る車両用灯具を搭載した車両の概略図である。
図1(A)が平面図、
図1(B)が側面図である。
【
図3】同車両用灯具の斜視図である。筐体は省略した。
【
図4】描画パターン投影の説明図である。
図4(A)は描画用光源40の光路図である。
図4(B)は路面に投影された描画パターンを示す平面図である。
【
図5】配光投影の説明図であり、光学ユニットから車両前方の所定位置の仮想スクリーンに投影される配光を示す。
【
図6】第2の実施の形態に係る車両用灯具の縦断面図である。
【
図7】第2の実施の形態に係る車両用灯具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。なお、各図においては、車両内のドライバー視点を基準として、車両及び車両用前照灯の各方向を(上方:下方:左方:右方:前方:後方=Up:Lo:Le:Ri:Fr:Re)として説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施形態に係る車両用灯具1を搭載した車両Cを示す。
【0016】
図1に示すように、車両用灯具1は、車両Cの前部に装着されるフォグランプである。車両用灯具1は、ヘッドランプHLの下方に左右一対で設けられている。
【0017】
車両用灯具1は、主に車両Cが雪や霧の中を走る際に点灯される前照灯(補助灯)であり、車両C前方に向けて、フォグランプの配光LD1として白色または黄色の拡散光を形成して、ドライバーの視界を確保しつつ、対向車両の運転手等に自車の存在を知らしめる。また、車両用灯具1は、車両Cの発進時には、発信通知表示として、車両C前方の路面GRに三連の矩形からなるライン状に伸びる描画パターンM1を投影する。左右に設けられた車両用灯具1が、それぞれ前方へライン状の描画パターンM1を投影するため、車両Cから前方へ向かって伸びる二本の平行な光の点線ラインが車両Cの移動の軌跡として投影される。これにより、濃霧などの視界の悪い悪天候時でも、進行方向に存在する歩行者や対向車両の運転手などの第三者に向けて、車両Cの存在と、車両Cの進行経路を明らかにして、注意を促す。注意喚起の効果を高めるため、描画パターンM1を、所定の周期で点滅させてもよい。
【0018】
このように、車両用灯具1は、フォグランプの配光LD1を照射するという従来の前照灯の機能に加えて、路面GRに所定の描画パターンM1を投影するという路面描画機能も備えている。
【0019】
本実施形態では、車両用灯具1はフォグランプであったが、本開示の構成は、フォグランプに限られず、前照灯として、ハイビームランプ、ロービームランプなど、また標識灯として、テールランプストップランプ、デイライトランニングランプ、クリアランスランプ、ターンシグナルランプ、自動運転表示ランプなどにも、用いることができる。
【0020】
また、ハイビームランプ、ロービームランプなどの前照灯は、所定距離における配光が定められている一方、標識灯は、最大光度と左右照射角度が届く範囲のみが定められている。前照灯か標識灯を問わず、各車両用灯具として定められた規定を満たすように照射される光の形態を配光と称して説明する。
【0021】
(車両用灯具1の構成)
次に、車両用灯具1の構成について説明する。
図2は、車両用灯具1の鉛直断面図である。
図3は車両用灯具1の斜視図である。
図3においては、筐体は省略している。
【0022】
図2に示すように、車両用灯具1は、ランプボディ2と、ランプカバー4と、固定部材10と、投影レンズ20と、灯具用光源30と、描画用光源40と、拡散レンズ50とを含んで構成される。
【0023】
ランプボディ2は前方に開口部を有し、ランプボディ2の開口部に、透光性を有する樹脂やガラス等で形成されたランプカバー4が取り付けられる。ランプボディ2とランプカバー4は、車両用灯具1の筐体であり、ランプボディ2とランプカバー4の内側には灯室Sが画成される。
【0024】
固定部材10は、灯具用光源30、描画用光源40、拡散レンズ50、および投影レンズ20の取付け部材であり、後方側はヒートシンク11となっている。ランプボディ2の背面中央には孔3が設けられており、固定部材10は、前方を灯室S内に収納され、孔3から後方のヒートシンク11部分を外部に露出した状態で、孔3に固定されている。固定部材10は、熱伝導率のよい金属部材で構成されており、ヒートシンク11を介して灯具用光源30および描画用光源40の発熱が外部に放熱される。
【0025】
描画用光源40および灯具用光源30は通電することで光を発する。発光素子として、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)、EL(Electro Luminescence)素子などの半導体発光素子や、電球、白熱灯(ハロゲンランプ)、放電灯(ディスチャージランプ)等を用いることができる。本実施形態においては、灯具用光源30および描画用光源40には、白色光を出射するLEDが用いられている。描画用光源40は複数の発光素子から成る(詳しくは後述)。
【0026】
固定部材10の前方上方は、前方に向かって突出した突出部12が形成されており、突出部12の前面である上方前面13に、基板に装着された描画用光源40が、発光面を前方にして取り付けられている。また、固定部材10下方の前面である下方前面14には、描画用光源40とは別の基板に装着された灯具用光源30が、発光面を前方にして取付けられている。描画用光源40は、突出部12に取付けられているため、突出部12の突出長だけ、灯具用光源30よりも前方に配置されている。
【0027】
拡散レンズ50は、背面を入射面、前面を出射面とした、矩形の小型拡散レンズである。拡散レンズ50は、灯具用光源30の前方にホルダー60を介して設けられており、灯具用光源30からの出射光を入射面から入射し、主に左右方向に拡散して、出射面から出射する。拡散レンズ50は、フォグランプの配光パターンを形成するための光学部材である。ホルダー60は、拡散レンズ50および灯具用光源30の機能を邪魔しないように、その先端側を拡散レンズ50の上下の縁部に設けられたフランジ部51に取付けられ、その後端側は灯具用光源30を避けて、下方前面14に取付けれている。
【0028】
投影レンズ20は、入射面、反射面の少なくとも一方が非球面形状であるレンズである。投影レンズ20は、拡散レンズ50および描画用光源40の前方に、ホルダー70を介して配置されており、灯具用光源30から出射して、拡散レンズ50で拡散された光L2、および描画用光源40から出射した光L1を前方に投影する。
【0029】
車両用灯具1は、前照灯(フォグランプ)としての機能を成す光学ユニットと、路面への描画パターンの投影機能を成す路面描画ユニットとを備えている。
【0030】
路面描画ユニットは、主に描画用光源40および投影レンズ20から構成され、描画用光源40より出射した光L1が投影レンズ20を介して、ランプカバー4を通り、車両Cの前方の路面GRに描画パターンM1として投影される。
【0031】
光学ユニットは、主に灯具用光源30、拡散レンズ50、投影レンズ20から構成され、灯具用光源30より出射した光L2が、拡散レンズ50により拡散されて所望の配光パターンに形成され、投影レンズ20を介して、ランプカバー4を通り、車両Cの前方にフォグランプの配光LD1として投影される。
【0032】
(光学ユニットと路面描画ユニット)
光学ユニットと路面描画ユニットによる配光LD1と描画パターンM1の投影について、
図4および
図5を用いて詳しく説明する。
【0033】
図4は光学ユニットによる描画パターンM1の投影の説明図である。
図4(A)は、描画用光源40の光路図であり、
図4(B)は路面に投影された描画パターンを示す平面図である。
図4(B)は、車両Cの左方に取付けられた車両用灯具1から投影された描画パターンを示し、グラフの目盛りは車両Cの左方に取付けられた車両用灯具1からの距離となっている。軸は同車両用灯具1の投影レンズ20の光軸Axを基準としている。
【0034】
図4に示すように、描画用光源40は、発光面を前面として、上下方向に並置される発光素子(LED)を複数備える。本実施形態では、描画用光源40は、第1発光素子41a,第2発光素子41b,第3発光素子41cの三つの発光素子を備えるが、発光素子は3以上であってもよい。
【0035】
発光素子41a,41b,41cは全て発光面が同一の略正方形で構成され、各発光素子41a,41b,41cから出射した光L1a,L1b,L1cは、それぞれ発光面を基にして、マークM1a,M1b,M1cとして路面GRに投影される。発光素子41a,41b,41cは、全て光軸Axよりも上方に配置されているため、投影レンズ20から出射した光は、水平面よりも下方に向かって出射され、車両C前方の路面GRに投影される。各発光素子から出射して投影レンズに入射した光は、光軸Axから上方に離れているほど、投影レンズ20から出射する水平からの下方角度(出射角度)が大きくなり、車両C近くに発光面形状の略正方形として投影され、逆に、光軸Axに近いほど、投影レンズ20からの出射角度が小さくなり、投影方向である前方に長く伸びて投影される。
【0036】
即ち、光軸Axから最も離れた上方に配置される第1発光素子41aから出射した光L1aは、投影レンズ20を介して、車両Cの近傍(1m付近)に略正方形なマークM1aとして投影される。また、第1発光素子41aの下方に配置される第2発光素子41bから出射した光L1aは、その出射角度が光L1aよりも小さいため、マークM1aよりも遠方(前方)に、距離H1だけ離間して投影方向(前方)に長い略長方形のマークM1bとして投影される。さらに、最も光軸Axに近くに配置される第3発光素子から出射した光L1cは、その照射角度は最も小さいため、マークM1bよりも遠方に、距離H2だけ離間して前方に長く伸びるライン状のマークM1cとして投影される。
【0037】
発光素子41a,41b,41cは、全て光軸Axを含む鉛直面上に配置されており、マークM1a,M1b,M1cは、車両Cの前方にライン状に並んで投影される。投影されるマークM1a,M1b,M1cが重ならず、互いの間隔距離H1,H2(
図4(B)参照)が等しくなるように、第1発光素子41aと第2発光素子41bとの距離D1と、第2発光素子41bと第3発光素子41cとの距離D2は調整されており、出射角度の違いから、距離D1>距離D2となっている(
図4(A)参照)。
【0038】
上記構成により、マークM1a,M1b,M1cから成る点線ライン状の描画パターンM1が路面GRに投影される。マークM1a,M1b,M1cが離間していることから、路面描画としての認知効果が高い。発光素子41a,41b,41cを連続式点灯させて描画パターンM1を動的に変化させても好ましく、これにより周囲への発進通知の効果を高めることができる。
【0039】
図5は光学ユニットによる配光LD1の投影の説明図である。
図5は灯具用光源30の出射光が拡散レンズ50で拡散されて投影レンズ20を介して車両前方の所定位置の仮想スクリーンに投影されるフォグランプの配光LD1を示す。
図2および
図5を用いて説明する。
【0040】
灯具用光源30は拡散レンズ50の光軸Axよりも僅かに上方に配置されているため、拡散レンズ50に入射した光L2は、水平面よりも僅かに下方に傾いて出射する。前述の通り、拡散レンズ50は左右方向に光を大きく拡散することから、仮想スクリーンに投影されるスクリーン配光は、水平面(上下方向0度のH線)よりも下方に、かつ左右方向に広角に広がっている。
【0041】
法規上、フォグランプの配光は水平から下方に1度程度傾けられ、かつ左右方向に大きな照射角度が求められており、これを満足する配光を形成するため、拡散レンズ50は左右方向に長い矩形形状に構成され、左右方向に大きく拡散させる光拡散レンズとなっている。投影レンズ20の後方焦点Faは、拡散レンズ50の出射面中央付近に設定されており、拡散レンズ50で形成された配光パターンは、投影レンズ20により車両Cの前方にフォグランプの配光LD1として投影される。
【0042】
上記のように、路面描画ユニットと光学ユニットは、投影レンズ20を共有しており、配光LD1も描画パターンM1も投影レンズ20を介して車両C前方に投影される。それぞれのユニットで個別の投影レンズを用いらず、両ユニットに共通の投影レンズ20を用いることで、省スペースとなり、車両用灯具のサイズを小さくすることができる。
【0043】
本実施形態の路面描画ユニットは、複数の発光素子41a~41cから成る描画用光源40の形状と配置を調整し、発光素子41a~41cの発光面を利用して描画パターンM1に形成して投影しているため、描画パターンM1を形成するための部材が不要で、描画用光源40の点灯により所望の描画パターンM1を投影することができ、シンプルな構成で、制御が容易となっている。また、部品数を削減して省スペースに助する。
【0044】
路面に投影する描画パターンの形成においては、本実施形態に限らず、光源の前に所望の描画パターンのスリットを有するシェードを配置して、所望の描画パターンを形成してもよい。
【0045】
投影レンズ20の後方焦点Faは拡散レンズ50の出射面中心付近に位置しており、描画用光源40はこの後方焦点Faの略鉛直上に配置される(
図2の二点鎖線参照)。これは目的の異なる二つの光源があることで互いに悪影響を与えることを抑制するためであり、鉛直上に配置することで、例えば、拡散レンズ50から出射した光が描画用光源40の基板に遮光されること、また、描画用光源40の光が拡散レンズ50に入射して意図しない光が出射することを防止している。
【0046】
灯具用光源30は拡散レンズ50の光軸Axよりも僅かに上方に配置されているため、配光LD1は、水平面から僅かに下方に向かって車両C前方に投影される。描画用光源40は、さらにその上方に配置されており、水平面より下方に向かって投影される。投影レンズ20からの出射光は水平面よりも下方に向かって出射するため、グレア防止となる。また配置の調整により投影角度を大きくして車両Cの所望の近傍距離(1m~10m程度)に描画パターンM1を投影している。このように本実施形態では、全体の構成要素を少なくし、全体をコンパクトにまとめて配置し、省スペースとし、かつ機能性を高めている。
【0047】
(第2実施形態)
次に、第2の実施形態について
図6および
図7を用いて説明する。第1の実施形態と同等の構成をもつものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図6は、第2の実施の形態に係る車両用灯具101の縦断面図である。
図6においては、拡散レンズ50を取付けするホルダー60は省略している。
図7は車両用灯具101の斜視図である。
図7においては、筐体は省略した。
【0048】
車両用灯具101は、灯具用光源30と描画用光源40、および投影レンズ20と拡散レンズ50を取付けする固定部材110を備える。固定部材110は、第1実施形態の固定部材10と異なり、突出部12は設けられておらず、その前面は鉛直から前方へ所定の角度で傾斜する傾斜面118となっている。灯具用光源30および描画用光源40は傾斜面118に取付けされている。
【0049】
投影レンズ20は、灯具用光源30および描画用光源40の前方に配置され、ホルダー70を介して傾斜面118に取付けられている。また、灯具用光源30と投影レンズ20との間に拡散レンズ50が配置され、傾斜面118にホルダー60を介して取付けられている。拡散レンズ50のフランジ部51は、拡散レンズ50の左右端部から延在しており、ホルダー60は灯具用光源30を左右から挟むようにして配置されており、灯具用光源30の照射を邪魔しない。
【0050】
上記構成により、路面描画ユニットおよび光学ユニットは、第1の実施形態とほぼ同等に配置されるため、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。ここで、灯具用光源30と描画用光源40は、同一平面に配置されるため、同一の基板に実装されて、傾斜面118に取付されている。灯具用光源30および描画用光源40を同一平面に取付けすることで、共通の基板に灯具用光源30と描画用光源40の両方を実装できる。部品削減により、取付工数を削減でき、作業性が向上する。
【0051】
(変形例)
本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限られない。以下、
図8および
図9に変形例を示す。
【0052】
図8は車両用灯具1の変形例である車両用灯具1Aの縦断面図である。車両用灯具1Aにおいては、灯具用光源30は、突出部12の下面19に、発光面を下にして取付けられている。灯具用光源30の下方には、内面が光の反射面であるリフレクター90が配置されている。車両用灯具1Aの光学ユニットは、灯具用光源30、リフレクター90、および投影レンズ20から構成される。灯具用光源30から出射した光L2は、リフレクター90の反射面で反射して所定の配光パターンに形成され、投影レンズ20を介して、車両Cの前方にフォグランプの配光LD1として照射される。このように、光学ユニットや路面描画ユニットの構成には、他の従来周知の構成を用いても良い。
【0053】
また、車両用灯具1Aの路面描画ユニットは、描画パターンM1の照射角度分だけ傾いて配置されている。即ち、描画用光源40(取付け用の上方前面13)および投影レンズ20は、鉛直から照射角度分だけ前方へ傾いて配置されている。投影レンズ20の光軸Axは描画用光源40を通るように構成されており、描画用光源40から照射した光は、外形をより明確とした描画パターンM1として路面GRに投影される。
【0054】
図9は、変形例である車両用灯具1Bを搭載した車両Cの概略平面図である。車両用灯具1Bは、車両Cの前部に装着され、車両Cの左右への進行方向の変更時に標識灯として機能するフロントターンシグナルランプである。例えば、車両Cが右方へ移動する際には、車両Cの右方に取付けられた車両用灯具1Bが、車両C前方に向けてターンシグナルランプの配光LD2としてアンバー色の拡散光を形成して、これを点滅させ、車両Cが右方へ移動することを対向車両の運転手や進行経路の車両運転手等に知らしめる。このため、車両用灯具1Bの光学ユニットの灯具用光源30には発光色がアンバー色のLEDが用いられている。同時に、車両用灯具1Bは、前方右方の路面GRに3連の矩形からなる描画パターンM1を投影し、進行方向に存在する歩行者などに、車両Cの進行経路を認識させて、注意を促している。
【0055】
車両用灯具1Bは、従来のターンシグナルランプとしての機能に加えて、路面描画機能も備えており、両照射は目的を関連させた内容となっている。配光LD2も描画パターンM1も、「周囲に車両Cの右方への移動を知らしめて注意を促す」という同一目的の照射であり、車両用灯具1Bは、両機能の内容を関連させて照射を行うことで、機能効果を高めている。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態について述べたが、上記の実施形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 :車両用灯具
20 :投影レンズ
30 :灯具用光源
40 :描画用光源
50 :拡散レンズ
Ax :光軸
L1、L2 :光
LD1 :配光
M1 :描画パターン