(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052214
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】鋼管杭
(51)【国際特許分類】
E02D 5/72 20060101AFI20220328BHJP
E02D 5/28 20060101ALI20220328BHJP
E02D 5/24 20060101ALI20220328BHJP
E02D 5/56 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
E02D5/72
E02D5/28
E02D5/24 102
E02D5/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158460
(22)【出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】512256454
【氏名又は名称】KSコンサルタント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591123034
【氏名又は名称】タイガー産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(72)【発明者】
【氏名】北岡 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】島袋 太悟
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041AA02
2D041BA35
2D041CA05
2D041CB01
2D041CB04
2D041CB06
2D041DB02
2D041DB13
2D041FA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】互いに径が異なる2つ杭用鋼管を連結するに際し、連結可能な杭用鋼管の径の範囲を広げることができる鋼管杭を提供する。
【解決手段】鋼管杭1は、第1の杭用鋼管2と、第1の杭用鋼管2とは内径寸法が異なる第2の杭用鋼管4と、第1の杭用鋼管2と第2の杭用鋼管4の間に位置して、これら杭用鋼管2,4を軸方向に連結するアダプタ6と、を備えている。アダプタ6は軸方向に向かうにつれて小径となるテーパ面20を備え、テーパ面20が対向する杭用鋼管4の端部開口18に係合する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の杭用鋼管と、
前記第1の杭用鋼管とは内径寸法が異なる第2の杭用鋼管と、
前記第1の杭用鋼管と前記第2の杭用鋼管の間に位置して、これら杭用鋼管を軸方向に連結するアダプタと、を備え、
前記アダプタは軸方向に向かうにつれて小径となるテーパ面を備え、前記テーパ面が対向する前記第1又は第2の杭用鋼管の端部開口と連結される鋼管杭。
【請求項2】
前記テーパ面の最大径部から最小径部に至る途中の位置に段部が設けられている請求項1に記載の鋼管杭。
【請求項3】
前記アダプタの大径側端部には前記テーパ面とは反対側に向けて突出する挿入部が設けられており、
前記第1の杭用鋼管および前記第2の杭用鋼管のうち、大径の杭用鋼管の端部開口に前記挿入部が挿入され、それ以下の径の杭用鋼管が前記テーパ面と係合する請求項1,2のいずれかに記載の鋼管杭。
【請求項4】
前記第1の杭用鋼管をヘッドの本体部とする請求項1~3のいずれか一項に記載の鋼管杭。
【請求項5】
筒状の本体部を備えたヘッドと、
第2の杭用鋼管と、を備え、
前記ヘッドの本体部の上部にはテーパ面が一体的に形成されて、該テーパ面の最大径部から最小径部に至る途中の位置に段部が形成され、
前記テーパ面に対して前記第2の杭用鋼管の下端が溶接される鋼管杭。
【請求項6】
鋼管杭用のヘッドであって、
該ヘッドは筒状の本体部と、該本体部の上部に一体的に形成されたテーパ面とを備え、
該テーパ面の最大径部から最小径部に至る途中の位置に段部が形成されている、ヘッド。
【請求項7】
第1の杭用鋼管と、
前記第1の杭用鋼管とは内径寸法が異なる第2の杭用鋼管と、
前記第1の杭用鋼管と前記第2の杭用鋼管の間に位置して、これら杭用鋼管を軸方向に連結するアダプタと、を備え、
前記アダプタは軸方向に向かうにつれて小径となる第1のテーパ面と第2のテーパ面を軸方向の両側に備え、前記第1のテーパ面が前記第1の杭用鋼管に端部開口に連結され、前記第2のテーパ面が第2の杭用鋼管の端部開口に連結される鋼管杭。
【請求項8】
前記第1及び/又は前記第2のテーパ面の最大径部から最小径部に至る途中の位置に段部が設けられている請求項7に記載の鋼管杭。
【請求項9】
第1の杭用鋼管と、
前記第1の杭用鋼管とは内径寸法が異なる第2の杭用鋼管と、
前記第1の杭用鋼管と前記第2の杭用鋼管の間に位置して、これら杭用鋼管を軸方向に連結するアダプタであって、
軸方向に向かうにつれて小径となる第1のテーパ面及び第2のテーパ面を軸方向に備え、前記第1のテーパ面が前記第1の杭用鋼管に端部開口に連結可能であり、前記第2のテーパ面が第2の杭用鋼管の端部開口に連結可能である、アダプタ。
【請求項10】
第1の杭用鋼管と、
前記第1の杭用鋼管より大径の第2の杭用鋼管と、
前記第1の杭用鋼管と前記第2の杭用鋼管の間に位置して、これら杭用鋼管を軸方向に連結するアダプタであって、
軸方向に向かうにつれて小径となるテーパ面と筒状の挿入部とを備え、前記第1のテーパ面が前記第1の杭用鋼管に端部開口に連結可能であり、前記挿入部は第2の杭用鋼管の端部開口に挿入可能である、アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は互いに径が異なる杭用鋼管が連結されてなる鋼管杭に関する。
【背景技術】
【0002】
建築土木工事用の鋼管杭は、中空の筒体からなる杭用鋼管を有し、その先端部には地盤を掘削するためのヘッドが取り付けられている。かかるヘッドは筒状の本体部の先端に切削刃を設け、その周面に螺旋羽根板を取り付けた構造である。
そして、特許文献1、2に示すヘッドでは本体部の上面がテーパ面とされている。このテーパ面を用いることで、径の異なる杭用鋼管の下端への連結(溶接)が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案公報第3191583号
【特許文献2】特開2011-80255号公報
【特許文献3】特許第6584707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既述のヘッドでは、筒状の本体部の上面をテーパ面としているので、かかるヘッドの上面に十分な機械的強度を担保するためには、ヘッド自体をそのテーパ面も含めて全体的に鋳造化する必要がある。杭用鋼管による下方への押圧力がヘッドの上面に直接作用するからである。
かかるヘッドは構造体の一部であるため、ヘッドにはその製造コストを低減することが求められているところ、これを鋳造することは、その製造コスト低減の支障となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らはかかる課題を解決すべく鋭意検討を重ねてきたところ、ヘッドにおける筒状本体部とそのテーパ状の上面とを別部材とすれば、ヘッド全体を鋳造化していた従来例に比べてヘッドの製造コストを低減できることに気が付いた。
即ち、テーパ状の上面を形成する部分をアダプタとして、ヘッドにおける筒状の本体部を別体とし、当該アダプタの下部をヘッドの筒状本体部へ溶接し、アダプタの上部のテーパ面は杭用鋼管の下端へ溶接可能とした。
筒状の本体部に対して(鋼管製とすることができる)、切削刃や螺旋羽根板を鋼板から切り出して形成し、これらを溶接により組み付けることも可能であることを考慮すれば(特開2016-173028号公報参照)、テーパ面の部分を別体化することにより、ヘッドのコスト低減の途が広がることがわかる。
ヘッドにおける筒状の本体部を鋼管で作成することに鑑みれば、この本体部を杭用鋼管とみたとき、異径の杭用鋼管の連結にもこのアダプタを利用できることがわかる。
【0006】
よってこの発明は次のように規定することができる。
即ち、この発明の第1の局面の規定の鋼管杭は、
第1の杭用鋼管と、
前記第1の杭用鋼管とは内径寸法が異なる第2の杭用鋼管と、
前記第1の杭用鋼管と前記第2の杭用鋼管の間に位置して、これら杭用鋼管を軸方向に連結するアダプタと、を備え、
前記アダプタは軸方向に向かうにつれて小径となるテーパ面を備え、前記テーパ面と該テーパ面が対向する前記第1又は第2の杭用鋼管の端部開口とが連結される。
このように規定される第1の局面の鋼管杭によれば、連結可能な杭用鋼管の径の範囲を、テーパ面における径の変化の幅に応じて広げることができる。
【0007】
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面で規定の鋼管杭において、前記テーパ面の最大径部から最小径部に至る途中の位置に段部が設けられている。
このように規定される第2の局面の鋼管杭によれば、鋼管組付時、段部を用いることにより、アダプタに対する鋼管の芯ずれを防止することができる。即ち、段部の外周と組付け対象の鋼管の外周とを一致させることで、アダプタの芯と鋼管の芯と芯合わせが容易になる。段部を開先として利用することにより、溶接作業が容易になる。
【0008】
この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、
第1または第2の局面で規定の鋼管杭において、前記アダプタの大径側端部には前記テーパ面とは反対側に向けて突出する挿入部が設けられており、
前記第1の杭用鋼管および前記第2の杭用鋼管のうち、大径の杭用鋼管の端部開口に前記挿入部が挿入され、それ以下の径の杭用鋼管が前記テーパ面へ連結される。
このように規定される第3の局面の鋼管杭によれば、鋼管組付時、前記テーパ面を利用しない大径の杭用鋼管の、アダプタに対する芯ずれが前記挿入部によって防止される。
【0009】
またこの発明の鋼管杭では、前記第1の杭用鋼管をヘッドの本体部とすることができる(第4の局面)。
【0010】
この発明の第5の局面の鋼管杭は次のように規定される。即ち、
筒状の本体部を備えたヘッドと、
第2の杭用鋼管と、を備え、
前記ヘッドの本体部の上部にはテーパ面が一体的に形成されて、該テーパ面の最大径部から最小径部に至る途中の位置に段部が形成され、
前記テーパ面に対して前記第2の杭用鋼管の下端が溶接される鋼管杭。
【0011】
このように規定される第5の局面の鋼管杭によれば、連結可能な第2の杭用鋼管の内径の範囲を、テーパ面における径の変化の幅に応じて広げることができる。テーパ面には段部が設けられているので、この段部を用いることにより、ヘッドに対する鋼管の芯合わせが容易になる。即ち、段部の外周と組付け対象の第2の鋼管の外周とを一致させることで、ヘッドの芯と鋼管の芯とを容易に一致させられる。段部を開先として利用することにより、溶接作業が容易になる
【0012】
この発明の第6の局面は次のように規定される。
鋼管杭用のヘッドであって、
該ヘッドは筒状の本体部と、該本体部の上部に一体的に形成されたテーパ面とを備え、
該テーパ面の最大径部から最小径部に至る途中の位置に段部が形成されている、ヘッド。
このように規定される第6のヘッドによれば、上記第5の局面で説明したとおり、異なる径の杭用鋼管に対して安定して、かつ容易に芯合わせをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態の鋼管杭の先端部分の構成を示した図である。
【
図2】
図2(A)は
図1のアダプタを単体で示した斜視図である。
図2(B)は同アダプタの一部を切り欠いて示した側面図である。
【
図3】
図3はアダプタを介してヘッドと第2の杭用鋼管が連結された状態を示した図である。
【
図4】
図4は本発明の他の実施形態の鋼管杭をヘッドと第2の杭用鋼管に分離して示した図である。
【
図5】
図5は第1の杭用鋼管を小径、第2の杭用鋼管を大径とした鋼管杭の変形例を示した図である。
【
図6】
図6は変形態様のアダプタを示した図である。
【
図7】
図7は他の変形態様のアダプタを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明においては土中に埋設された鋼管杭にとっての上下を、当該鋼管杭における上下とする。
【0015】
図1は本発明の一実施形態の鋼管杭の先端部分の構成を示した図である。同図において、符号1は、建設工事用の基礎杭の埋設工事等に好適に用いることができる鋼管杭で、第1の杭用鋼管としての本体部10を備えるヘッド2と、第2の杭用鋼管4と、これらの間に位置するアダプタ6と、を備えている。
【0016】
ヘッド2は、円筒状の本体部10と、本体部10の下端部に下向きに突設された削刃12と、本体部10の外周面に取り付けられ径方向外側に延びる螺旋羽根板13とを備えている。本体部10の上端には端部開口14が形成され、アダプタ6の挿入部30が挿入されている。
このように構成されたヘッド2は、鋳造によって一体の部品として製造することができる。
また、汎用の鋼管から切り出して本体部10を形成し、汎用の鋼板から切り出して掘削刃12及び螺旋羽根板13を形成し、これらを溶接でつないでヘッドを調製することもできる。
【0017】
第2の杭用鋼管4は、中空の筒体である。本例では、第2の杭用鋼管4の内径がヘッド2の本体部10の内径よりも小さく設定されている。
なお、杭用鋼管の鋼材の厚さは、その径によらず、ほぼ一定の厚さである。
【0018】
アダプタ6は、ヘッド2と第2の杭用鋼管4との間に位置し、径が異なるヘッド2の本体部10と第2の杭用鋼管4を軸方向に連結するためのものである。アダプタ6は、環状の鋳造品若しくは切削加工品であり、
図2(B)で示す軸J周りに対称形状とされている。軸方向の略中央部には軸方向上側に向かうにつれて小径となるテーパ面20が形成されている。即ち本例のアダプタ6によれば、テーパ面20の上側の端部に最小径部21が形成され、テーパ面20の下側の端部に最大径部22が形成されている。
そしてテーパ面20の最大径部22から最小径部21に至る途中の位置に段部25が形成されている。この段部25は、
図2(B)で示すように、テーパ面20の上部傾斜面20aの下端部と、下部傾斜面20bの上端部とを繋ぐ上向きの段差面25aを備えている。
【0019】
ここで本例では、
図2(B)で示すように、テーパ面20の最小径部21の外径寸法をD1、上部傾斜面20aの下端部での外径寸法をD2、また最大径部22の外径寸法をD3とする。
【0020】
テーパ面20の最小径部21からは、軸方向上向きに突出する小径側の挿入部28が連設されている。小径側の挿入部28は円環状を成し、その外径寸法はテーパ面20における最小径部21の外径寸法D1と同じとされている。
【0021】
一方、テーパ面20の最大径部22の下方には、最大径部22に続いて同径のフランジ部29が連設され、続いて軸方向下向きに突出する大径側の挿入部30が形成されている。大径側の挿入部30はテーパ面20と同芯の円環状を成し、その外径寸法D4はフランジ部29の外径寸法D3よりも小さく、詳しくはヘッド2の端部開口14の内径よりも僅かに小径とされている。
【0022】
図3は、アダプタ6を介してヘッド2と第2の杭用鋼管4が連結された状態を示した図である。同図で示すように、ヘッド2の上側の端部開口14にアダプタ6の大径側の挿入部30が挿入されている。この状態で、ヘッド2の上端面とアダプタ6のフランジ部29との間に形成された溝S1を埋めるように溶接が行われ、ヘッド2とアダプタ6とが接合される。
【0023】
一方、第2の杭用鋼管4の下側の端部開口18には、アダプタ6の小径側の挿入部28およびこれに続くテーパ面20の一部が挿入され、第2の杭用鋼管4の端部と係合している。この状態で第2の杭用鋼管4の下端面と傾斜面20との間に形成された開先S2を埋めるように溶接が行われ、第2の杭用鋼管4とアダプタ6とが連結される。
このとき、段部25の外周と第2の杭用鋼管4の外周とを面合わせすることにより、アダプタ6、ひいてはヘッド2と第2の杭用鋼管4との芯合わせをすることができる。
【0024】
このようにしてアダプタ6を介してヘッド2と第2の杭用鋼管4が接合された鋼管杭1は、図示を省略する建設機械に接続され、地盤にねじ込むように回転しながら下端の掘削刃12によって杭先端側の土砂を軟化させ、杭側面の未掘削土砂中に螺旋羽根板13を食い込ませながら土中を進み、所定深さにまで至る基礎杭を形成する。
【0025】
以上のような本実施形態の鋼管杭1によれば、連結可能な第2の杭用鋼管4の内径の範囲を、テーパ面20における径の変化の幅に応じて広げることができる。詳しくは、第2の杭用鋼管4の内径寸法が
図2(B)で示すテーパ面20における径の変化D1~D2の範囲内であれば、かかる第2の杭用鋼管4をアダプタ6を介してヘッド2に連結することができる。
第2の杭用鋼管4の内径が上部傾斜面20aより大径かつ下部傾斜面20bより小径なときは、第2の杭用鋼管の端面を段部25の段差面25aに当てつけることができる。このとき、第2の杭用鋼管4の外径は段部25の外径より大きくし、下部傾斜面20bとの間に開先形成されるようにすることが好ましい。
第2の杭用鋼管4の内径が段部25の外周より大経なときは、第2の杭用鋼管4は下部傾斜面20bに対して連結される。
【0026】
また本実施形態の鋼管杭1によれば、アダプタ6の大径側端部にはテーパ面20とは反対側に突出する大径側の挿入部30が設けられ、ヘッド2の端部開口14に挿入部30が挿入されている。
この挿入部30を端部開口14に対して隙間なく嵌め合わせるようにすることで、アダプタ6とヘッド2との芯合わせが行われる。
【0027】
図4は、本発明の他の実施形態を示した図である。
本例の鋼管杭1Bは、上記実施形態のアダプタ6をヘッドと一体に構成したものである。鋼管杭1Bは、第1の杭用鋼管としてのヘッド2Bと、第2の杭用鋼管4と、を備えている。これらの構成各部のうち、上記実施形態の鋼管杭1の構成と共通する構成については同じ符号を用いて示すとともに、その説明を省略する。
【0028】
図4で示すように、ヘッド2Bの上端部には、アダプタ部40が一体に形成されている。アダプタ部40は、ヘッド2Bと第2の杭用鋼管4とを軸方向に連結するためのものである。アダプタ部40には、軸方向上側に向かうにつれて小径となるテーパ面20が形成されている。即ち本例のアダプタ部40によれば、テーパ面20の上側の端部に最小径部21が形成され、テーパ面20の下側の端部に最大径部22が形成されている。
そしてテーパ面20の最大径部22から最小径部21に至る途中の位置に段部25が形成されている。この段部25は、テーパ面20の上部傾斜面20aの下端部と下部傾斜面20bの上端部とを繋ぐ上向きの段差面25aを備えている。
【0029】
テーパ面20の最小径部21からは軸方向上向きに突出する挿入部28が連設されている。挿入部28は円環状を成し、その外径はテーパ面20における最小径部21の外径と同じとされている。
【0030】
鋼管杭1Bにおいては、第2の杭用鋼管4の下側の端部開口18に、ヘッド2Bの挿入部28およびこれに続くテーパ面20の一部が挿入された状態で第2の杭用鋼管4の端部とテーパ面20とが連結される。連結係合の状態は
図3を参照されたい。
【0031】
以上のような本実施形態の鋼管杭1Bによれば、別体のアダプタを用いることなく、径の異なるヘッド2Bと第2の杭用鋼管4を連結することが可能である。このため鋼管杭1Bでは、上記の鋼管杭1に比べて部品点数を少なくすることができる。また、鋼管杭を組立てる際の工数を削減することができる。
【0032】
<その他の変形例・適用例>
(1)上記実施形態ではテーパ面20の段部25を周方向に連続する態様で設けているが、段部を周方向に非連続に設けることも可能である。また場合によっては段部を設けない構成を採用することも可能である。
【0033】
(2)上記実施形態ではヘッドと杭用鋼管とを連結させる構成について詳述したが、本発明は杭用鋼管同士が連結されるものに適用することも可能である。
【0034】
(3)上記実施形態は、上部の第2の杭用鋼管が小径で、下部の第1の杭用鋼管(ヘッド)が大径の例であったが、本発明は、
図5で示すように、上部の第2の杭用鋼管4Cを大径とし、下部の第1の杭用鋼管2Cを小径とすることも可能である。この場合、同図に示すようにアダプタ6を上下逆向きに配置することができる。
【0035】
(4)
図6には、他の態様のアダプタ160を示した。このアダプタ160ではテーパ面120の段部125が軸方向に形成されている。換言すれば、段分125の平坦面が軸方向と並行(図示上下方向)である。
また、大径の杭用鋼管10へ挿入される挿入部130もテーパ形状とした。
段部125の軸方向の平坦面と第2の杭用鋼管4の外周面との外径寸法を等しくすることで、両者の芯合わせが容易になる。
アダプタ160の最大径部と第1の杭用鋼管10との外径寸法を等しくすることで、両者の芯合わせが容易になる。
図6において、
図1、2と同じ要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
図6の例において、上側のテーパ面の段部を
図1、2と同様に径方向に形成することができる。
テーパ形状に形成された挿入部130にも軸方向若しくは径方向の段部を形成することも可能である。
【0036】
図7に他の実施形態のアダプタ170を示す。
図7において
図2と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
図7の例では、挿入部30の周面に第2テーパ部180が設けられている。これにより、下側の杭用鋼管の径変更に対応できるようになる。
【0037】
以上のように本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0038】
1,1B…鋼管杭
2,2B…ヘッド(第1の杭用鋼管)
2C…第1の杭用鋼管
4,4C…第2の杭用鋼管
6…アダプタ
20…テーパ面
21…最小径部
22…最大径部
25…段部
30…挿入部
40…アダプタ部