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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052215
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】回転軸締結構造。
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/02 20060101AFI20220328BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20220328BHJP
   F16B 37/00 20060101ALI20220328BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20220328BHJP
   F16C 11/10 20060101ALI20220328BHJP
   A47C 7/02 20060101ALI20220328BHJP
   B60N 2/68 20060101ALI20220328BHJP
   F16B 39/22 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
F16B5/02 Y
F16B35/00 U
F16B37/00 D
F16C11/04 F
F16C11/10 A
A47C7/02 A
B60N2/68
F16B39/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158462
(22)【出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102738
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】豊島 一洋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恭平
【テーマコード(参考)】
3B087
3J001
3J105
【Fターム(参考)】
3B087DB07
3B087DB10
3J001FA03
3J001HA02
3J001HA07
3J001HA09
3J001JA10
3J001KA19
3J001KA26
3J001KB01
3J105AA03
3J105AB02
3J105BA07
3J105BA31
3J105DA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】回転軸締結構造の要素部品の形状の製作バラツキに係わらず、組付けが容易で、径方向のガタを低減可能な回転軸締結構造を提供する。
【解決手段】テーパ部32が設けられ、他端部には張り出しフランジ部を有する金属製段付ボルト18と、金属製段付ボルトのテーパ部に対して、金属製段付ボルトの軸線を中心に回転可能に外嵌可能な貫通孔を有する、金属製ナット22より軟質のブッシュ20と、金属製ナットと、を有し、ブッシュの縮径側環状端面38には環状突起部40が設けられ、一方のフレーム14と他方のフレーム16とが相対回転可能な回転軸締結構造10であって、テーパ部の軸線方向の長さは、金属製ナットの締結の際、環状突起部が潰されて潰れ肉部が形成されるよう設定され、金属製ナットの締付により、ブッシュが軸方向に押し潰されて、径方向に広がるように変形することにより、ブッシュと他方のフレームとの間の径方向のガタが低減される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に設けた螺合部に向かって縮径化するテーパ部が設けられ、他端部には張り出しフランジ部を有する金属製段付ボルトと、
該金属製段付ボルトの該テーパ部に対して、該金属製段付ボルトの軸線を中心に回転可能に外嵌可能なテーパ状内周面により構成される貫通孔を有する、前記金属製ナットより軟質のブッシュと、
金属製ナット座面が前記金属製段付ボルトの前記螺合部に螺合する金属製ナットと、を有し、
前記ブッシュの縮径側環状端面には環状突起部が設けられ、
前記金属製段付ボルトを一方のフレームの第1貫通孔に通した状態で、前記金属製段付ボルト又は前記金属製ナットが一方のフレームに当接状態で固着されている一方、第2貫通孔を有する他方のフレームが、前記ブッシュを前記第2貫通孔に通した状態で前記ブッシュに対して外嵌固定され、前記金属製段付ボルトを回転軸として、一方のフレームと他方のフレームとが相対回転可能に構成される、回転軸締結構造であって、
前記テーパ部の軸線方向の長さは、前記金属製ナットの締結の際、前記環状突起部が潰されて前記潰れ肉部が形成されるように、設定され、
前記ブッシュの外周面には、前記環状突起部側の深さが浅くなるように、環状凹部が設けられ、
前記ブッシュの前記環状凹部は、前記他方のフレームの前記第2貫通孔を構成する内周側面に当接する環状底面を有し、
前記環状底面は、前記金属製ナットの締付前には、前記金属製ナット側に近づくほど前記内周側面に干渉するようにテーパ付けされ、
前記金属製ナットの締付により、前記ブッシュが軸方向に押し潰されて、径方向に広がるように変形することにより、前記ブッシュと前記他方のフレームとの間の径方向のガタが低減される、ことを特徴とする回転軸締結構造。
【請求項2】
前記ブッシュの前記環状凹部は、さらに、前記他方のフレームの前記金属製ナット側の面の前記第2貫通孔の開口縁まわりの部分に当接する環状第1側面を有し、
前記環状第1側面は、前記金属製ナットの締付前には、前記環状底面に近づくほど前記開口縁まわりの部分に干渉するようにテーパ付けされる、請求項1に記載の回転軸締結構造。
【請求項3】
前記ブッシュの前記テーパ状内周面は、前記金属製段付ボルトの前記テーパ部よりも、前記金属製ナットに近づくほど縮径するようにテーパ付けられ、前記金属製ナットの締付により、前記ブッシュが軸方向に押し潰されて、径方向に広がるように変形することにより、前記ブッシュとおよび前記金属製段付ボルトとの間の径方向のガタが低減される、請求項1または請求項2に記載の回転軸締結構造。
【請求項4】
一端部に設けた螺合部に向かって縮径化するテーパ部が設けられ、他端部には張り出しフランジ部を有する金属製段付ボルトと、
該金属製段付ボルトの該テーパ部に対して、該金属製段付ボルトの軸線を中心に回転可能に外嵌可能なテーパ状内周面により構成される貫通孔を有する、前記金属製ナットより軟質のブッシュと、
金属製ナット座面が前記金属製段付ボルトの前記螺合部に螺合する金属製ナットと、を有し、
前記ブッシュの縮径側環状端面には環状突起部が設けられ、
前記金属製段付ボルトを一方のフレームの第1貫通孔に通した状態で、前記金属製段付ボルト又は前記金属製ナットが一方のフレームに当接状態で固着されている一方、第2貫通孔を有する他方のフレームが、前記ブッシュを前記第2貫通孔に通した状態で前記ブッシュに外嵌固定され、前記金属製段付ボルトを回転軸として、一方のフレームと他方のフレームとが相対回転可能に構成される、回転軸締結構造であって、
前記テーパ部の軸線方向の長さは、前記金属製ナットの締結の際、前記環状突起部が潰されて前記潰れ肉部が形成されるように、設定され、
前記ブッシュの前記テーパ状内周面は、前記金属製段付ボルトの前記テーパ部よりも、前記金属製ナットに近づくほど縮径するようにテーパ付けられ、
前記金属製ナットの締付により、前記ブッシュが軸方向に押し潰されて、径方向に広がるように変形することにより、前記ブッシュとおよび前記金属製段付ボルトとの間の径方向のガタが低減される、ことを特徴とする回転軸締結構造。
【請求項5】
前記金属製ナット座面が該ブッシュの該縮径側環状端面に当接可能に設けられており、前記金属製段付ボルトを一方のフレームの前記第1貫通孔に通した状態で、前記金属製段付ボルトの前記張り出しフランジ部が一方のフレームに当接状態で固着されている、請求項1に記載の回転軸締結構造。
【請求項6】
前記金属製ナット座面が前記一方のフレームの一方の側面に当接可能に設けられており、前記金属製段付ボルトを一方のフレームの前記第1貫通孔に通した状態で、前記金属製ナット座面が一方のフレームに当接状態で固着されている一方、前記ブッシュの縮径側環状端面と反対の環状端面が、前記張り出しフランジ部に当接状態で設けられている、請求項1に記載の回転軸締結構造。
【請求項7】
前記一方のフレームは、前記ブッシュの前記縮径側環状端面と反対側の環状端面と、前記金属製段付ボルトの前記張り出しフランジ部との間で挟み込み固定されている、請求項5に記載の回転軸締結構造。
【請求項8】
前記ブッシュの内周面の縮径側端部には、前記金属製段付ボルトの前記テーパ部との間に所定広さの環状スペースを形成するようにテーパ返し部が設けられ、それにより、前記金属製ナットの締結の際、前記ブッシュの潰れ肉部の逃がしを形成する、請求項1ないし請求項4 のいずれか1 項に記載の回転軸締結構造。
【請求項9】
前記環状スペースの所定広さは、前記金属製ナットの締結による前記環状突起部の潰れ具合に応じて、設定される、請求項8に記載の回転軸締結構造。
【請求項10】
前記テーパ部の縮径側端面には、前記螺合部のまわりに環状当接面が設けられ、前記金属製ナットの締結の際、前記金属製ナット座面のストッパーを形成し、前記金属製ナット座面が前記環状当接面に当接するとともに、前記環状突起部が潰されて潰れ肉部が形成されるようにしている、請求項8または請求項9に記載の回転軸締結構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸締結構造に関し、より詳細には、回転軸締結構造の要素部品の形状の製作バラツキに係わらず、組付けが容易で、径方向のガタを低減可能な回転軸締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1において、容易な組付け性を確保しつつ、ガタを低減可能な回転軸締結構造および回転軸締結構造の組付方法を提案している。
この回転軸締結構造は、一端部に設けた螺合部に向かって縮径化するテーパ部が設けられ、他端部には張り出しフランジ部を有する金属製段付ボルトと、金属製段付ボルトの該テーパ部に対して、金属製段付ボルトの軸線を中心に回転可能に外嵌可能なテーパ状内周面により構成される貫通孔を有するブッシュと、金属製ナット座面が金属製段付ボルトの螺合部に螺合する金属製ナットと、を有し、金属製ナットの締結の際、ブッシュの縮径側環状端面には潰れ肉部が形成され、金属製段付ボルトを一方のフレームの第1貫通孔に通した状態で、金属製段付ボルト又は金属製ナットが一方のフレーム当接状態で固着されている一方、第2貫通孔を有する他方のフレームが、ブッシュを前記開口に通した状態で外嵌固定され、金属製段付ボルトを回転軸として、一方のフレームと他方のフレームとが相対回転可能である構成としている。
【0003】
一方、この回転軸締結構造の組付方法は、一端部に設けた螺合部に向かって縮径化するテーパ部が設けられる金属製段付ボルトと、金属製段付ボルトの該テーパ部に対して、金属製段付ボルトの軸線を中心に回転可能に外嵌可能なテーパ状内周面により構成される貫通孔を有し、縮径側環状端面には環状突起部が設けられているブッシュと、金属製ナット座面が該ブッシュの縮径側環状端面に当接可能に、金属製段付ボルトの螺合部に螺合する金属製ナットと、を準備する段階と、
金属製段付ボルトを一方のフレームの第1貫通孔に通す一方、ブッシュを他方のフレームの開口に通した状態で、ブッシュの貫通孔に対して、金属製段付ボルトを螺合部の存する縮径側環状端面と反対側の環状端面から挿入する段階と、金属製ナット座面がブッシュの縮径側環状端面に当接するまで、金属製ナットを螺合部にねじ込むことにより、金属製ナット座面により環状突起部を潰して潰れ肉部を形成するとともに、金属製段付ボルトがブッシュ側へ引き込んで、金属製ナット座面とブッシュとの間の隙間、およびブッシュのテーパ状内周面と金属製段付ボルトのテーパ部との間の隙間をなくす段階とを有する、構成としている。
【0004】
以上の構成を有する回転軸締結構造または回転軸締結構造の組付方法によれば、金属製段付ボルトを一方のフレームの第1貫通孔に通した状態で、金属製段付ボルト又は金属製ナットが一方のフレームに当接状態で固着されている一方、第2貫通孔を有する他方のフレームが、ブッシュを開口に通した状態で外嵌固定された状態で、ブッシュの貫通孔に対して、金属製段付ボルトを螺合部の存する縮径側環状端面側から挿入することにより、テーパ部は螺合部に向かって縮径化するので、金属製段付ボルトを貫通孔に通しやすく、通した後はテーパ部が案内機能を果たすことから、容易な組付性を確保することが可能である。
一方、金属製ナットを螺合部にねじ込むことにより、ブッシュの縮径側環状端面には、潰れ肉部が形成されるとともに、金属製段付ボルトがブッシュ側へ引き込まれ、テーパ部がくさびの役割を果たすことにより、ブッシュのテーパ状内周面と金属製段付ボルトのテーパ部との間の隙間がなくなり、ブッシュと金属製段付ボルトとの間の金属製段付ボルトの軸線を中心とする回転方向のガタ発生を防止可能であり、金属製段付ボルトを回転軸として、一方のフレームと他方のフレームとが相対回転可能に構成される。
【0005】
しかしながら、要素部品である両フレーム、金属製段付ボルト、またはブッシュの製造誤差に起因して、以下のような技術的問題点が引き起こされる。
すなわち、金属製ナットを金属製段付ボルトに締結することにより、ブッシュの縮径側環状端面に形成される潰れ肉部を利用することにより、ブッシュのテーパ状内周面と金属製段付ボルトのテーパ部との間の隙間がなくなり、ブッシュと金属製段付ボルトとの間の金属製段付ボルトの軸線を中心とする回転方向のガタ発生を防止可能であるが、たとえば、ブッシュの内外形、金属製段付ボルトの外形、両フレームの板厚、孔径に製造バラツキが生じ得るが、このような場合に、金属製ナットの金属製段付ボルトに対する締結により、ブッシュの潰れ肉部の潰れ量、または潰れ形状を所望に調整することは技術的に困難であることから、製造バラツキ次第で径方向のガタが生じてしまう。
【0006】
【特許文献1】特許第6666818号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の技術的問題点に鑑み、本願発明の目的は、回転軸締結構造の要素部品の形状の製作バラツキに係わらず、組付けが容易で、径方向のガタを低減可能な回転軸締結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明の回転軸締結構造は、
一端部に設けた螺合部に向かって縮径化するテーパ部が設けられ、他端部には張り出しフランジ部を有する金属製段付ボルトと、
該金属製段付ボルトの該テーパ部に対して、該金属製段付ボルトの軸線を中心に回転可能に外嵌可能なテーパ状内周面により構成される貫通孔を有する、前記金属製ナットより軟質のブッシュと、
金属製ナット座面が前記金属製段付ボルトの前記螺合部に螺合する金属製ナットと、を有し、
前記ブッシュの縮径側環状端面には環状突起部が設けられ、
前記金属製段付ボルトを一方のフレームの第1貫通孔に通した状態で、前記金属製段付ボルト又は前記金属製ナットが一方のフレームに当接状態で固着されている一方、第2貫通孔を有する他方のフレームが、前記ブッシュを前記第2貫通孔に通した状態で前記ブッシュに外嵌固定され、前記金属製段付ボルトを回転軸として、一方のフレームと他方のフレームとが相対回転可能に構成される、回転軸締結構造であって、
前記テーパ部の軸線方向の長さは、前記金属製ナットの締結の際、前記環状突起部が潰されて前記潰れ肉部が形成されるように、設定され、
前記ブッシュの外周面には、前記環状突起部側の深さが浅くなるように、環状凹部が設けられ、
前記ブッシュの前記環状凹部は、前記他方のフレームの前記第2貫通孔を構成する内周側面に当接する環状底面と、
前記環状底面は、前記金属製ナットの締付前には、前記金属製ナット側に近づくほど前記内周側面に干渉するようにテーパ付けされ、
前記金属製ナットの締付により、前記ブッシュが軸方向に押し潰されて、径方向に広がるように変形することにより、前記ブッシュと前記他方のフレームとの間の径方向のガタが低減される、構成としている。
【0009】
以上の構成を有する回転軸締結構造によれば、金属製段付ボルトを一方のフレームの第1貫通孔に通した状態で、金属製段付ボルト又は金属製ナットが一方のフレームに当接状態で固着されている一方、第2貫通孔を有する他方のフレームが、ブッシュを開口に通した状態で外嵌固定された状態で、ブッシュの貫通孔に対して、金属製段付ボルトを螺合部の存する縮径側環状端面側から挿入することにより、テーパ部は螺合部に向かって縮径化するので、金属製段付ボルトを貫通孔に通しやすく、通した後はテーパ部が案内機能を果たすことから、容易な組付性を確保することが可能である。
【0010】
一方、金属製ナットより軟質のブッシュの外周面には、環状突起部側の深さが浅くなるように、環状凹部が設けられ、ブッシュの環状凹部は、他方のフレームの第2貫通孔を構成する内周側面に当接する環状底面を有し、環状底面は、金属製ナットの締付前には、金属製ナット側に近づくほど内周側面に干渉するようにテーパ付けされることから、金属製ナットを螺合部にねじ込むことにより、ブッシュの縮径側環状端面には、潰れ肉部が形成されるとともに、金属製段付ボルトがブッシュ側へ引き込まれ、テーパ部がくさびの役割を果たすことにより、ブッシュを径方向に広がるように変形させつつ軸線方向に押し潰すことにより、回転軸締結構造の要素部品の形状の製作バラツキに係わらず、ブッシュの環状底面と他方のフレームの内周側面との間の隙間がなくなり、ブッシュと他方のフレームとの間の径方向のガタを低減可能である。
【0011】
さらに、前記ブッシュの前記環状凹部は、さらに、前記他方のフレームの前記金属製ナット側の面の前記第2貫通孔の開口縁まわりの部分に当接する環状第1側面を有し、
前記環状第1側面は、前記金属製ナットの締付前には、前記環状底面に近づくほど前記開口縁まわりの部分に干渉するようにテーパ付けされるのがよい。
また、前記ブッシュの前記テーパ状内周面は、前記金属製段付ボルトの前記テーパ部よりも、前記金属製ナットに近づくほど縮径するようにテーパ付けられ、前記金属製ナットの締付により、前記ブッシュが軸方向に押し潰されて、径方向に広がるように変形することにより、前記ブッシュとおよび前記金属製段付ボルトとの間の径方向のガタが低減されるのがよい。
【0012】
上記課題を達成するために、本発明の回転軸締結構造は、
一端部に設けた螺合部に向かって縮径化するテーパ部が設けられ、他端部には張り出しフランジ部を有する金属製段付ボルトと、
該金属製段付ボルトの該テーパ部に対して、該金属製段付ボルトの軸線を中心に回転可能に外嵌可能なテーパ状内周面により構成される貫通孔を有する、前記金属製ナットより軟質のブッシュと、
金属製ナット座面が前記金属製段付ボルトの前記螺合部に螺合する金属製ナットと、を有し、
前記ブッシュの縮径側環状端面には環状突起部が設けられ、
前記金属製段付ボルトを一方のフレームの第1貫通孔に通した状態で、前記金属製段付ボルト又は前記金属製ナットが一方のフレームに当接状態で固着されている一方、第2貫通孔を有する他方のフレームが、前記ブッシュを前記第2貫通孔に通した状態で前記ブッシュに外嵌固定され、前記金属製段付ボルトを回転軸として、一方のフレームと他方のフレームとが相対回転可能に構成される、回転軸締結構造であって、
前記テーパ部の軸線方向の長さは、前記金属製ナットの締結の際、前記環状突起部が潰されて前記潰れ肉部が形成されるように、設定され、
前記ブッシュの前記テーパ状内周面は、前記金属製段付ボルトの前記テーパ部よりも、前記金属製ナットに近づくほど縮径するようにテーパ付けられ、
前記金属製ナットの締付により、前記ブッシュが軸方向に押し潰されて、径方向に広がるように変形することにより、前記ブッシュとおよび前記金属製段付ボルトとの間の径方向のガタが低減される、構成としている。
【0013】
以上の構成を有する回転軸締結構造によれば、たとえば、金属製段付ボルトを一方のフレームの第1貫通孔に通し、一方のフレームの側面を金属製段付ボルトの張り出しフランジ部に当接状態で溶接固定する一方、ブッシュを他方のフレームの開口に通し、外嵌固定された状態で、ブッシュの貫通孔に対して、金属製段付ボルトを螺合部の存する縮径側環状端面側から挿入することにより、テーパ部は螺合部に向かって縮径化するので、金属製段付ボルトを貫通孔に通しやすく、通した後はテーパ部が案内機能を果たすことから、容易な組付性を確保することが可能である。
一方、金属製ナット座面が金属製段付きボルトの縮径側環状端面に当接するまで、金属製ナットを螺合部にねじ込むことにより、金属製ナット座面により環状突起部が潰されて潰れ肉部が形成されるとともに、金属製段付ボルトがブッシュ側へ引き込まれ、テーパ部がくさびの役割を果たすことにより、金属製ナット座面とブッシュとの間の隙間、およびブッシュのテーパ状内周面と金属製段付ボルトのテーパ部との間の隙間がなくなり、ブッシュと金属製段付ボルトとの間の金属製段付ボルトの軸線を中心とする回転方向および金属製段付ボルトの軸線方向のガタ発生を防止可能である。
【0014】
また、前記金属製ナット座面が該金属製段付きボルトの該縮径側環状端面に当接可能に設けられており、前記金属製段付ボルトを一方のフレームの前記第1貫通孔に通した状態で、前記金属製段付ボルトの前記張り出しフランジ部が一方のフレームに当接状態で固着されているのがよい。
さらに、前記金属製ナット座面が前記一方のフレームの一方の側面に当接可能に設けられており、前記金属製段付ボルトを一方のフレームの前記第1貫通孔に通した状態で、前記金属製ナット座面が一方のフレームに当接状態で固着されている一方、前記ブッシュの縮径側環状端面と反対の環状端面が、前記張り出しフランジ部に当接状態で設けられているのがよい。
【0015】
さらにまた、前記一方のフレームは、前記ブッシュの前記縮径側環状端面と反対側の環状端面と、前記金属製段付ボルトの前記張り出しフランジ部との間で挟み込み固定されているのがよい。
加えて、前記ブッシュの内周面の縮径側端部には、前記金属製段付ボルトの前記テーパ部との間に所定広さの環状スペースを形成するようにテーパ返し部が設けられ、それにより、前記金属製ナットの締結の際、前記ブッシュの潰れ肉部の逃がしを形成するのがよい。
【0016】
さらに、前記環状スペースの所定広さは、前記金属製ナットの締結による前記環状突起部の潰れ具合に応じて、設定されるのがよい。
加えて、前記テーパ部の縮径側端面には、前記螺合部のまわりに環状当接面が設けられ、前記金属製ナットの締結の際、前記金属製ナット座面のストッパーを形成し、前記金属製ナット座面が前記環状当接面に当接するとともに、前記環状突起部が潰されて潰れ肉部が形成されるようにしているのがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の回転軸締結構造10を車両用シート12のリクライニング部に適用した場合を例として、以下に図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、車両用シート12は、車室フロア(図示せず)に固定される、クッションシートフレーム構造部70と、下端部がクッションシートフレーム構造部70の後端部に対して傾動可能に連結されるバックシートフレーム構造部72と、バックシートフレーム構造部72とクッションシートフレーム構造部70との間に介在するリクライニング部74とを有する車両用シートフレーム構造と、車両用シートフレーム構造全体を覆うように設けられたパッド(図示せず)と、車両用シート12のフレーム構造およびパッド全体を覆うように設けられた袋状の表皮(図示せず)とを有する。
【0018】
バックシートフレーム構造部72のバックシートフレーム76およびクッションシートフレーム構造部70のクッションシートフレーム78はそれぞれ、車両の上下方向および前後方向に延設する一対のサイドフレーム80と、一対のサイドフレーム80同士を連結するパイプとにより構成される。
【0019】
クッションシートフレーム構造部70には、車両用シート12の車両前後方向の位置調整を行う位置調整機構と、クッションシートの高さを調整するリフトアジャスター82が設けられている。
車両用シート12の車両前後方向の位置調整機構は、それぞれ車両の前後方向に延設し、互いに車両の幅方向に所定間隔を隔てた一対のレール構造84を備え、一対のレール構造84はそれぞれ、鋼製であり、車床に固定され、車両の前後方向に延設する固定ロアレール(図示せず)と、クッションシートに固定され、車両の前後方向に延設する可動アッパーレール(図示せず)とを有し、可動アッパーレールは、固定ロアレールに対して嵌合して、車両前後方向に摺動可能である。
【0020】
図2および図3に示すように、回転軸締結構造10は、車両用シート12のリクライニング部74と反対側の側部に適用され、金属製段付ボルト18と、ブッシュ20と、金属製ナット22とを有し、円形開口である第1貫通孔24を有する一方のフレーム14に相当するバックシートフレーム76のサイドフレーム80が、金属製段付ボルト18を第1貫通孔24に通した状態で、金属製段付ボルト18の張り出しフランジ部26に当接状態で固着されている一方、円形開口である第2貫通孔25を有する他方のフレーム16に相当するクッションシートフレーム78のサイドフレーム80が、ブッシュ20を第1貫通孔24に通した状態で外嵌固定され、金属製段付ボルト18が回転軸として、一方のフレーム14と他方のフレーム16とが相対回転可能に構成される。
【0021】
金属製段付ボルト18には、一端部28に設けた螺合部30に向かって縮径化するテーパ部32が設けられ、他端部35には張り出しフランジ部26が設けられる。張り出しフランジ部26の外径は、第1貫通孔24より大きく設定される。螺合部30は、周面にネジ山が設けられた円形断面のネジ山部を構成する。
【0022】
テーパ部32の縮径側端面42には、螺合部30のまわりに環状当接面44が設けられ、肩部が形成されている。
テーパ部32の軸線X方向の長さLは、後に説明するように、金属製ナット22の締結の際、ナット座面23により環状突起部40が潰されて潰れ肉部46が形成されるように、設定されている。
テーパ部32およびテーパ状内周面34(後に説明)のテーパ角度αは、金属製ナット22の締結後に、同一に設定され、それにより、テーパ部32の外周面とテーパ状内周面34とが当接することにより、他方のフレーム16がブッシュ20と一体で、段付ボルト18の軸線を中心に段付ボルト18に対して、つまり、一方のフレーム14に対して相対回転可能にしている。
【0023】
ブッシュ20は、金属製ナット22より軟質であり、テーパ状内周面34により構成される貫通孔36(図2)を有し、テーパ状内周面34は、金属製段付ボルト18のテーパ部32に対して、金属製段付ボルト18の軸線Xを中心に回転可能に外嵌可能とされ、縮径側環状端面38には、金属製段付ボルト18の軸線方向に突出する環状突起部40が設けられている。
図4に示すように、ブッシュ20の内周面48の縮径側端部50には、金属製段付ボルト18のテーパ部32との間に所定広さの環状スペース52を形成するようにテーパ返し部54が設けられ、それにより、金属製ナット22の締結の際、ブッシュ20の潰れ肉部46の逃がしを形成する。潰れ肉部46は、金属製ナット22の締結力により環状突起部40が押し潰されることにより形成され、図4に示すように、環状に外方に拡がるように形成され、このような潰れ肉部46を収容可能なように環状スペース52を設ける。
段付ボルト18のテーパ部32の外周面とテーパ返し部54とナット座面23とにより構成される環状スペース52の所定広さは、金属製ナット22の締結による環状突起部40の潰れ具合に応じて、設定される。
より具体的には、返し角度は、潰れ肉部46が、ブッシュ20と段付ボルト18との間の回転部に食い込むことにより、回転に支障が生じないように、ブッシュ20の種類、金属製ナット22の締結力等に応じて、潰れの広がりを想定して、適宜設定すればよい。
ブッシュ20の外周面には、環状突起部側の深さ(図3のh1とh2との比較)が浅くなるように環状凹部92が設けられ、それにより、ブッシュ20の環状突起部側が変形することにより、ブッシュ20を他方のフレーム16の第2貫通孔25に通すのが容易となるようにしている。
【0024】
図5を参照しながら、以下に、本発明の特徴部であるブッシュ20の内外周面の形状について、説明する。
図5(A)は、金属製ナット22による締付前の状態、図5(B)は、金属製ナット22による締付後の状態をそれぞれ概略的に示す。
図5(A)に示すように、ブッシュ20のテーパ状内周面34は、金属製段付ボルト18のテーパ部32よりも、金属製ナット22に近づくほど縮径するようにテーパ付けられている(図面上Θ)。
これにより、金属製ナット22の金属製段付ボルト18に対する締付前には、ブッシュ20のテーパ状内周面34と金属製段付ボルト18のテーパ部32とが干渉するように設定されている。
【0025】
一方、ブッシュ20の外周面91には、環状突起部40側の深さが浅くなるように、環状凹部92が設けられる。ブッシュ20の環状凹部92は、他方のフレーム16の第2貫通孔25を構成する内周側面に当接する環状底面93と、他方のフレーム16の金属製ナット22側の面の第2貫通孔25の開口縁94まわりの部分に当接する環状第1側面95と、他方のフレーム16の一方のフレーム14側の面の第2貫通孔25の開口縁97まわりの部分に当接する環状第2側面96とを有する。
環状底面93は、金属製ナット22の締付前には、金属製ナット22側に近づくほど内周側面に干渉するようにテーパ付けされている。
環状第1側面95は、金属製ナット22の締付前には、環状底面93に近づくほど開口縁94まわりの部分に干渉するようにテーパ付けされている。
以上より、金属製ナット22の締付により、ブッシュ20が軸方向に押し潰されて、径方向に広がるように変形することにより、ブッシュ20と他方のフレーム16との間の径方向のガタ、およびブッシュ20と金属製段付ボルト18との間の径方向のガタが低減される。
【0026】
テーパ角度αは、金属製ナット22の締結による金属製段付ボルト18の引き込み移動量の設定値に応じて、設定すればよい。
より具体的には、テーパ角度αは、たとえば、金属製段付ボルト18の軸線Xに対して5°以上15°以下である。テーパ角度αが5°未満であると、引き込み移動量の確保が困難となるのに対して、テーパ角度αが15°より大きくなると、組付性の確保が困難となる。
【0027】
金属製ナット22は、ナット座面23がブッシュ20の縮径側環状端面38に当接可能に、金属製段付ボルト18の螺合部30に螺合するようになっている。
一方のフレーム14は、ブッシュ20の縮径側環状端面38と反対側の環状端面58と、金属製段付ボルト18の張り出しフランジ部26との間で挟み込み固定されている。
環状当接面44は、金属製ナット22の締結の際、ナット座面23のストッパーを形成し、ナット座面23が環状当接面44に当接するとともに、環状突起部40が潰されて潰れ肉部46が形成されるようにしている。
なお、金属製ナット22の金属の種類は、ブッシュ20の材質との関係において、金属製ナット22を締結することにより、ブッシュ20の環状突起部40が潰されて潰れ肉部46が形成される限り、任意であり、一方、ブッシュ20の材質は、成形性確保の観点から、熱可塑性樹脂が好ましいが、金属製ナット22より軟質である限り、たとえば、熱処理しない鉄製でもよい
【0028】
以上の構成を有する回転軸締結構造10について、回転軸締結構造10の組付方法を以下に詳細に説明する。
図5(A)に示すように、まず、金属製段付ボルト18を一方のフレーム14の第1貫通孔24に通し、一方のフレーム14の側面を金属製段付ボルト18の張り出しフランジ部26に当接状態で溶接固定する一方、ブッシュ20を他方のフレーム16の第2貫通孔25に通し、外嵌固定された状態で、ブッシュ20の貫通孔36に対して、金属製段付ボルト18を螺合部30の存する縮径側環状端面38側から挿入する。
次いで、図5(B)に示すように、金属製ナット座面23がブッシュ20の先端環状面に当接するまで、金属製ナット22を螺合部30にねじ込むことにより、金属製ナット座面23により環状突起部40が潰されて潰れ肉部46が形成され、金属製段付ボルト18がブッシュ20側へ引き込まれ、テーパ部32がくさびの役割を果たしつつ、ブッシュ20を径方向に広がるように変形させつつ軸線方向に押し潰すことにより、回転軸締結構造10の要素部品の形状の製作バラツキに係わらず、ブッシュ20の環状底面93と他方のフレーム16の内周側面との間の隙間、およびブッシュ20のテーパ状内周面34と金属製段付ボルト18のテーパ部32との間の隙間がなくなり、ブッシュ20と他方のフレーム16との間の径方向のガタ、およびブッシュ20とおよび金属製段付ボルト18との間の径方向のガタの両方を低減可能である。
この場合、金属製段付ボルト18および金属製ナット22それぞれを、バックシートのサイドフレーム80の内側およびクッションシートのサイドフレーム80の外側から組み付けている。
【0029】
なお、他方のフレーム16の第2貫通孔25をブッシュ20の外周面91に設けた環状凹部92に嵌め込み固定する際、環状凹部92の環状突起部40側が浅くなるように設定しておくことにより、ブッシュ20の環状突起部40側を変形させることが可能であり、それにより第2貫通孔25に通しやすくなる。
【0030】
以上の構成を有する回転軸締結構造10によれば、たとえば、金属製段付ボルト18を一方のフレーム14の第1貫通孔24に通し、一方のフレーム14の側面を金属製段付ボルト18の張り出しフランジ部26に当接状態で溶接固定する一方、ブッシュ20を他方のフレーム16の第2貫通孔25に通し、外嵌固定された状態で、ブッシュ20の貫通孔36に対して、金属製段付ボルト18を螺合部30の存する縮径側環状端面38側から挿入することにより、テーパ部32は螺合部30に向かって縮径化するので、金属製段付ボルト18を貫通孔36に通しやすく、通した後はテーパ部32が案内機能を果たすことから、容易な組付性を確保することが可能である。
【0031】
一方、金属製ナット22より軟質のブッシュ20の外周面91には、環状突起部40側の深さが浅くなるように、環状凹部92が設けられ、ブッシュ20の環状凹部92は、他方のフレーム16の第2貫通孔25を構成する内周側面に当接する環状底面93と、他方のフレーム16の金属製ナット22側の面の第2貫通孔25の開口縁94まわりの部分に当接する環状第1側面95を有し、環状底面93は、金属製ナット22の締付前には、金属製ナット22側に近づくほど内周側面に干渉するようにテーパ付けされ、環状第1側面95は、金属製ナット22の締付前には、環状底面93に近づくほど前記開口縁94まわりの部分に干渉するようにテーパ付けされるとともに、ブッシュ20のテーパ状内周面34は、金属製段付ボルト18のテーパ部32よりも、金属製ナット22に近づくほど縮径するようにテーパ付けられることから、金属製ナット22を螺合部にねじ込むことにより、ブッシュ20の縮径側環状端面38には、潰れ肉部が形成されるとともに、金属製段付ボルト18がブッシュ20側へ引き込まれ、テーパ部32がくさびの役割を果たすことにより、ブッシュ20を径方向に広がるように変形させつつ軸線方向に押し潰すことにより、回転軸締結構造10の要素部品の形状の製作バラツキに係わらず、ブッシュ20の環状底面93と他方のフレーム16の内周側面との間の隙間、およびブッシュ20のテーパ状内周面34と金属製段付ボルト18のテーパ部32との間の隙間がなくなり、ブッシュ20と他方のフレーム16との間の径方向のガタ、およびブッシュ20とおよび金属製段付ボルト18との間の径方向のガタの両方を低減可能である。
【0032】
以上の構成を有する回転軸締結構造10による回転軸締結構造10の組付方法によれば、
径方向に、金属製段付ボルト18と一方のフレーム14との間に、ブッシュ20を介在させるとともに、軸線方向に、一方のフレーム14と他方のフレーム16との間に、ブッシュ20を介在させ、金属製段付ボルト18に対して金属製ナット22を締結することにより、金属製段付ボルト18を回転軸として、一方のフレーム14と他方のフレーム16とが相対回転可能に構成される、回転軸締結構造10の組付方法であって、
一端部に設けた螺合部に向かって縮径化するテーパ部32が設けられる金属製段付ボルト18と、金属製段付ボルト18のテーパ部32に対して、金属製段付ボルト18の軸線を中心に回転可能に外嵌可能なテーパ状内周面34により構成される貫通孔36を有し、縮径側環状端面38には環状突起部40が設けられている、金属製ナット22より軟質のブッシュ20と、金属製ナット22座面がブッシュ20の縮径側環状端面38に当接可能に、金属製段付ボルト18の螺合部に螺合する金属製ナット22と、を準備する段階と、金属製段付ボルト18を一方のフレーム14の第1貫通孔24に通す一方、他方のフレーム16と軟質製ブッシュ20とが径方向に干渉するように、ブッシュ20を他方のフレーム16の第2貫通孔25に通した状態で、金属製段付ボルト18のテーパ部32と軟質製ブッシュ20のテーパ状内周面34とが径方向に干渉するように、ブッシュ20の貫通孔36に対して、金属製段付ボルト18を螺合部の存する縮径側環状端面38と反対側の環状端面から挿入する段階と、金属製ナット22座面が金属製段付きボルト18の縮径側環状端面44に当接するまで、金属製ナット22を螺合部にねじ込むことにより、ブッシュ20が軸方向に押し潰されて、径方向に広がるように変形することにより、ブッシュ20と他方のフレーム16との間の径方向のガタ、およびブッシュ20と金属製段付ボルト18との間の径方向のガタが低減する段階とを有する。
その際、他方のフレーム16の第2貫通孔25をブッシュ20の外周面91に設けた環状凹部92に嵌め込み固定する際、ブッシュ20の外形を環状突起部40側に向かって縮径となるようにテーパを設けることにより、環状凹部92の環状突起部40側が浅くなるように設定して、ブッシュ20の環状突起部40側を変形させて第2貫通孔25に通す段階を有するのでもよい。
【0033】
本発明に係る回転軸締結構造10の第2実施形態を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本発明の第2実施形態の特徴は、第1実施形態においては、回転軸締結構造10を車両用シート12のリクライニング部74に適用したが、本実施形態においては、回転軸締結構造10を車両用シート12のリフトアジャスター82に適用した点にある。
【0034】
図6に示すように、車両用シート12の車両高さ方向のリフトアジャスター82は、可動アッパーレール102とそれに対応するクッションシートフレーム78のサイドフレーム80との間をピン結合する平行リンク機構を構成する前リンク106と後リンク108とから構成され、前リンク106あるいは後リンク108の可動アッパーレール102に対する角度を調整することにより、自動的にサイドフレーム80の高さが調整されるようにしてある。
より詳細には、図6に示すように、前リンク106および後リンク108はそれぞれ、リンクピンを構成する金属製段付ボルト18、ブッシュ20および金属製ナット22を介して、可動アッパーレール102の側面部に対してピン結合され、ブッシュ20と一体で鉛直面内において車両幅方向(金属製段付ボルト18の軸線)を中心として回動可能にされている。
なお、リフトアジャスター82は、クッションシートを所定の高さに保持する機構と、平行リンク機構を車両の幅方向を中心に回転駆動する機構とを有するが、従来既知の機構であるので、その説明は省略する。
組付の際、第1実施形態と異なり、金属製段付ボルト18および金属製ナット22それぞれを、前リンク106および後リンク108の外側および可動アッパーレール102の内側から組み付けている。
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、金属製ナット22を螺合部にねじ込むことにより、ブッシュ20が軸方向に押し潰されて、径方向に広がるように変形することにより、ブッシュ20と他方のフレーム16との間の径方向のガタ、およびブッシュ20と金属製段付ボルト18との間の径方向のガタが低減する。
【0035】
本発明に係る回転軸締結構造10の第3実施形態を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本発明の第3実施形態の特徴は、第1実施形態と共通に、回転軸締結構造10を車両用シート12のリクライニング部74と反対側の側部に適用しているが、第1実施形態においては、一方のフレーム14であるバックシートフレーム76のサイドフレーム80に対して、金属製段付ボルト18を溶接固定し、溶接固定した金属製段付ボルト18に対して金属製ナット22を締結していたが、本実施形態においては、一方のフレーム14であるバックシートフレーム76のサイドフレーム80に対して、金属製ナット22を溶接固定し、溶接固定した金属製ナット22に対して金属製段付ボルト18を締結している。
【0036】
より詳細には、図7に示すように、ブッシュ20の環状端面が金属製段付ボルト18の張り出しフランジ部26に当接するまで、溶接固定した金属製ナット22に対して金属製段付ボルト18を締結することにより、環状突起部40が一方のフレーム14の側面に当接するようになっており、第1実施形態と同様に、環状突起部40が潰されて潰れ肉部46が形成されるようにしている。
以上の構成によれば、第1実施形態に比較して、潰れ肉部46が回転部に&#22169;み込むリスクが小さい。より具体的には、第1実施形態と同様に、テーパ返し部54を設けることにより、潰れ肉部46の逃がしとして環状スペース52を設けているが、 第1実施形態と異なり、金属製ナット22とブッシュ20との間に一方のフレーム14が介在することから、環状スペース52に連なって、回転部との間に一方のフレーム14の略厚み分の補助環状スペース53が形成されている。
【0037】
組み付けの際、金属製ナット22を一方のフレーム14の開口まわりに溶接固定するとともに、他方のフレーム16が外嵌するブッシュ20の縮径側端部50と反対の端面を金属製段付ボルト18の張り出しフランジ部26に当接するまで、ブッシュ20の貫通孔36に対して、金属製段付ボルト18を螺合部30の存する縮径側環状端面38側から挿入する。次いで、ブッシュ20と金属製段付ボルト18とを一体にした状態で、溶接固定された金属製ナット22に締結すればよい。
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、金属製ナット22を螺合部にねじ込むことにより、ブッシュ20が軸方向に押し潰されて、径方向に広がるように変形することにより、ブッシュ20と他方のフレーム16との間の径方向のガタ、およびブッシュ20と金属製段付ボルト18との間の径方向のガタが低減する。
【0038】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、第1実施形態および第3実施形態において、金属製ナット22より軟質のブッシュ20の外周面91には、環状突起部40側の深さが浅くなるように、環状凹部92が設けられ、ブッシュ20の環状凹部92は、他方のフレーム16の第2貫通孔25を構成する内周側面に当接する環状底面93と、他方のフレーム16の金属製ナット22側の面の第2貫通孔25の開口縁94まわりの部分に当接する環状第1側面95を有し、環状底面93は、金属製ナット22の締付前には、金属製ナット22側に近づくほど内周側面に干渉するようにテーパ付けされ、環状第1側面95は、金属製ナット22の締付前には、環状底面93に近づくほど前記開口縁94まわりの部分に干渉するようにテーパ付けされるとともに、ブッシュ20のテーパ状内周面34は、金属製段付ボルト18のテーパ部32よりも、金属製ナット22に近づくほど縮径するようにテーパ付けられ、金属製ナット22を螺合部にねじ込むことにより、ブッシュ20を径方向に広がるように変形させつつ軸線方向に押し潰すことにより、ブッシュ20と他方のフレーム16との間の径方向のガタ、およびブッシュ20とおよび金属製段付ボルト18との間の径方向のガタの両方を低減可能であるものとして説明したが、それに限定されることなく、回転軸締結構造10の要素部品の形状の製作バラツキに起因する径方向のガタが低減可能である限り、ブッシュ20と他方のフレーム16との間の径方向のガタ低減のみを重視して、ブッシュ20のテーパ状内周面34が、金属製段付ボルト18のテーパ部32よりも、金属製ナット22に近づくほど縮径するようにテーパ付けられなくてもよく、逆に、ブッシュ20とおよび金属製段付ボルト18との間の径方向のガタのみを重視して、ブッシュ20の環状底面93が、金属製ナット22の締付前には、金属製ナット22側に近づくほど内周側面に干渉するようにテーパ付けられなくてもよい。
【0039】
たとえば、第1実施形態および第3実施形態において、他方のフレーム16が一方のフレーム14に対して相対回転可能なものとして説明したが、それに限定されることなく、一方のフレーム14が他方のフレーム16に対して相対回転可能でもよい。
たとえば、第1実施形態および第2実施形態において、回転軸締結構造10を車両用シートに適用するものとして説明したが、それに限定されることなく、フレーム間の相対回転機能を確保する部位であれば、本願発明の回転軸締結構造10を適用可能である。
たとえば、第1実施形態において、金属製段付ボルト18および金属製ナット22それぞれを、バックシートフレークのサイドフレーム80の内側から、およびクッションシートフレーム78のサイドフレーム80の外側から挿入するものとして説明したが、それに限定されることなく、金属製段付ボルト18および金属製ナット22それぞれを、バックシートフレークのサイドフレーム80の外側から、およびクッションシートフレーム78のサイドフレーム80の内側から挿入するのでもよい。
【0040】
たとえば、第1実施形態において、段付ボルト18のテーパ部32は、張り出しフランジ部に到るまで設け、クッションシートフレーム78のサイドフレーム80の厚み部分に及ぶものとして説明したが、それに限定されることなく、ブッシュ20のテーパ状内周面34が及ぶ範囲、すなわちブッシュ20の軸線方向の長さ分だけ設けるのでもよい。
【0041】
たとえば、第1実施形態において、テーパ部32の縮径側端面には、螺合部のまわりに環状当接面が設けられ、金属製ナット22の締結の際、金属製ナット22座面のストッパーを形成し、金属製ナット22座面が環状当接面に当接するとともに、環状突起部40が潰されて潰れ肉部が形成されるものとして説明したが、それに限定されることなく、環状突起部40が潰されて潰れ肉部が形成されることにより、軸線方向の隙間が低減される限り、このような環状当接面を設けなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の第1実施形態に係る車両用シート12の概略斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る車両用シート12のリクライニング部74と反対側の側部の回転軸締結構造10の概略分解斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る車両用シート12のリクライニング部74と反対側の側部の回転軸締結構造10の概略断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る車両用シート12のリクライニング部74と反対側の側部の回転軸締結構造10において、金属製ナット22締結により樹脂ブッシュ20に潰れ肉部46が形成されている状況を示す部分概念図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る車両用シート12のリクライニング部74と反対側の側部の回転軸締結構造10において、組付前後の状態を示す部分図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る車両用シート12のリフターアジャスター部の回転軸締結構造10の概略分解斜視図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る車両用シート12のリクライニング部74と反対側の側部の回転軸締結構造10の図3と同様な図である。
図8】従来の車両用シート12の回転軸締結構造10を図示する図3と同様な図である。
【符号の説明】
【0043】
α テーパ角度
L テーパ部の軸線方向の長さ
X 軸線
h1、h2 環状凹部の深さ
Θ テーパ差
12 車両用シート
10 回転軸締結構造
14 一方のフレーム
16 他方のフレーム
18 金属製段付ボルト
20 ブッシュ
22 金属製ナット
23 金属製ナット座面
24 第1貫通孔
25 第2貫通孔
26 張り出しフランジ部
28 一端部
30 螺合部
32 テーパ部
34 テーパ状内周面
35 他端部
36 貫通孔
38 縮径側環状端面
40 環状突起部
42 縮径側端面
44 環状当接面
46 潰れ肉部
48 内周面
50 縮径側端部
52 環状スペース
53 補助環状スペース
54 テーパ返し部
56 環状溝部
58 反対側の環状端面
60 直胴部
62 円筒状貫通孔
66 テーパ部
70 クッションシートフレーム構造
72 バックシートフレーム構造
74 リクライニング部
76 バックシートフレーム
78 クッションシートフレーム
80 サイドフレーム
82 リフトアジャスター
84 レール構造
91 外周面
92 環状凹部
93 環状底面
94 開口縁
95 環状第1側面
96 環状第2側面
97 開口縁
104 側面部
106 前リンク
108 後リンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8