(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052230
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】吸着濾過装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/28 20060101AFI20220328BHJP
C02F 1/461 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
C02F1/28 D
C02F1/461 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158487
(22)【出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【テーマコード(参考)】
4D061
4D624
【Fターム(参考)】
4D061DA08
4D061DB09
4D061DB19
4D061DC08
4D061EA03
4D061EB04
4D061FA06
4D061FA13
4D624AA04
4D624AB02
4D624AB04
4D624AB11
4D624AB13
4D624BA02
4D624DB03
4D624DB09
(57)【要約】
【課題】活性炭による排水処理を効率的にすることができる吸着濾過装置を提供しようとするもの。
【解決手段】活性炭の移送機構を有し、前記移送機構により下流側の活性炭と上流側の活性炭を入れ替えるようにした。この吸着濾過装置では、活性炭の移送機構を有し、前記移送機構により下流側の活性炭と上流側の活性炭を入れ替えるようにしたので、下流側(排水の出口側)の(排水中の汚れ成分を吸着する)活性炭を排水処理の時間の経過と共に上流側(排水の入口側)に移送することができ、また上流側の活性炭を排水処理の時間の経過と共に下流側に移送することが出来る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性炭の移送機構を有し、前記移送機構により下流側の活性炭と上流側の活性炭を入れ替えるようにしたことを特徴とする吸着濾過装置。
【請求項2】
本濾過装置から引き出した排水を電気分解して戻すようにした請求項1記載の吸着濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排水を浄化処理する吸着濾過装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、吸着剤に関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、活性炭および他の吸着剤は、塩素化およびハロゲン化有機化合物、トリハロメタン、吸着性有機ハロゲン、揮発性有機化合物、臭気物質、着色汚染物質、生物学的処理システム用化合物、芳香族化合物、殺虫剤などを含む様々な汚染物質の除去のために飲料水産業において一般的に使用される。
浄化は、汚染された水と吸着剤の直接接触によって達成される。浄化中には、水中に存在する様々な汚染物質が吸着剤材料の多孔質構造内に吸着され、この多孔質構造が、後の脱着および/または廃棄のために汚染物質を捕捉し、また保持する。活性炭は、様々な汚染物質の吸着に効果的であるため、この目的に使用される最も一般的な吸着剤である、というものである。
これに対し、活性炭による排水処理を効率的にしたいという要望があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこでこの発明は、活性炭による排水処理を効率的にすることができる吸着濾過装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の吸着濾過装置は、活性炭の移送機構を有し、前記移送機構により下流側の活性炭と上流側の活性炭を入れ替えるようにしたことを特徴とする。
この吸着濾過装置では、活性炭(排水中の汚れ成分を吸着する)の移送機構を有し、前記移送機構により下流側の活性炭と上流側の活性炭を入れ替えるようにしたので、下流側(排水の出口側)の活性炭を排水処理の時間の経過と共に上流側(排水の入口側)に移送することができ、また上流側の活性炭を排水処理の時間の経過と共に下流側に移送することが出来る。
したがって、上流側の汚染された活性炭と下流側の未だあまり汚染されていない下流側を入れ替えることが出来る。
ここで、前記「排水」とは、狭義の排水、廃水、排液、廃液を含む上位概念とする。狭義の排水、廃水は汚れ成分の濃度が比較的低いものであり(例えばCOD 20,000ppm未満)、狭義の排液、廃液は汚れ成分の濃度が比較的高いものである(例えばCOD 20,000ppm以上)。そして、これら全てを含む上位概念を、「排水」として広義に総称することとする。
前記汚れ成分は、主として有機成分である。汚れ成分の濃度を測る指標として、TOC(全有機炭素)、COD(化学的酸素要求量)、NH3(アンモニア性窒素)、N‐ヘキサン値、有機系ss(浮遊物質)成分などを例示することが出来る。
【0006】
(2)本濾過装置から引き出した排水を電気分解して戻すようにしてもよい。
このように構成し、濾過装置から引き出した排水を電気分解して戻すようにすると、電気分解による酸化作用(陽極酸化、電解生成塩素)により排水中の汚れ成分を分解することが出来る。
この吸着濾過装置は、固定床の排水処理に適用できるし流動床の排水処理にも適用することが出来る。
【発明の効果】
【0007】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
上流側の汚染された活性炭と下流側の未だあまり汚染されていない下流側を入れ替えることができるので、活性炭による排水処理を効率的にすることができる吸着濾過装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明の実施の形態を説明する。
〔実施形態1〕
この実施形態の吸着濾過装置は、活性炭(排水中の汚れ成分を吸着する)の移送機構を有し、前記移送機構により下流側(排水の出口側)の活性炭と上流側(排水の入口側)の活性炭を入れ替えるようにした。
【0009】
前記「排水」とは、狭義の排水、廃水、排液、廃液を含む上位概念である。狭義の排水、廃水は汚れ成分の濃度が比較的低いものであり(COD 20,000ppm未満)、狭義の排液、廃液は汚れ成分の濃度が比較的高いものである(COD 20,000ppm以上)。そして、これら全てを含む上位概念を、「排水」として広義に総称する。
前記汚れ成分は、主として有機成分である。汚れ成分の濃度を測る指標としては、TOC(全有機炭素)、COD(化学的酸素要求量)、NH3(アンモニア性窒素)、N‐ヘキサン値、有機系ss(浮遊物質)成分などである。
【0010】
次に、この実施形態の吸着濾過装置の使用状態を説明する。
排水処理は、排水中の汚れ成分の濾過処理と吸着処理である。すなわち、表層の活性炭から汚れ成分が間隙に堆積し、また活性炭の微細孔に吸着されてくるので、上流側から下流側に向けて汚染されていく。
この吸着濾過装置では、活性炭の移送機構を有し、前記移送機構により下流側の活性炭と上流側の活性炭を入れ替えるようにしたので、下流側の活性炭を排水処理の時間の経過と共に上流側に移送することができ、また上流側の活性炭を排水処理の時間の経過と共に下流側に移送することが出来た。
したがって、上流側の汚染された活性炭と下流側の未だあまり汚染されていない下流側を入れ替えることができるので、活性炭による排水処理を効率的にすることが出来るという利点を有する。
【0011】
〔実施形態2〕
この実施形態では、移送機構を逆転可能な回転機構として吸着濾過筒(壁)に内装するようにしており、回転機構の逆転により活性炭を正逆方向に移送することができると共に、吸着濾過筒と回転機構の間隙を移送方向に押し出された活性炭の(前記移送方向に対して)戻り(逆)方向の余剰通路として利用することが出来た。
前記回転機構として、モータにより正逆回転可能なスパイラル・ポンプを使用した。正回転することにより上流側の活性炭を下流側に移送することができ、逆回転することにより下流側の活性炭を上流側に移送することが出来た。
また、本濾過装置の吸着濾過筒から排水を引き出し電気分解して戻すようにており、電気分解による酸化作用(陽極酸化、電解生成塩素)により排水中の汚れ成分を分解することが出来た。
この排水は吸着濾過筒を通過したものとしたが、吸着濾過筒の途中から引き出したものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0012】
活性炭による排水処理を効率的に行うことができることによって、種々の吸着濾過装置の用途に適用することができる。