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特開2022-52248ラミネート装置およびフィルム積層体製造方法
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  • 特開-ラミネート装置およびフィルム積層体製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052248
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】ラミネート装置およびフィルム積層体製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/02 20060101AFI20220328BHJP
【FI】
B29C63/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158513
(22)【出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】福田 健次
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 康裕
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AR02
4F211SA07
4F211SC07
4F211SP04
(57)【要約】
【課題】フィルム同士を貼り合わせるラミネート装置において、第二フィルムに発生したしわを抑制し、第一フィルムと第二フィルムを安定してラミネートすることが出来るラミネート装置を提供する。
【解決手段】第一フィルムを巻き出す第一フィルム巻出し部と、第二フィルムを巻き出す第二フィルム巻出し部と、巻き出された第一フィルムと第二フィルムを貼り合わせフィルム積層体を形成するラミネート部と、第一フィルムと第二フィルムが貼り合わせられたフィルム積層体を巻き取る巻取り部と、を備え、ラミネート部は第一フィルムと第二フィルムを挟む一対のラミネートローラを備え、ラミネートローラのうち片方のローラはローラ端部径増大手段を有し、ローラ端部ローラ径増大手段はローラ端部のローラ径を増大しローラ中央部からローラ端部に向かってローラ径が増大する逆クラウン形状を付与し、またローラ端部のローラの最大外径は止め輪によって変更できる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の第一フィルムに長尺の第二フィルムを貼り合わせフィルム積層体を形成するラミネート装置であって、
長尺の第一フィルムを巻き出す第一フィルム巻出し部と、
長尺の第二フィルムを巻き出す第二フィルム巻出し部と、
巻き出された第一フィルムと第二フィルムを貼り合わせフィルム積層体を形成するラミネート部と、
前記第一フィルムと前記第二フィルムが貼り合わせられたフィルム積層体を巻き取る巻取り部と、
を備え、
前記ラミネート部は、第一フィルムと第二フィルムを挟む一対のラミネートローラを備え、
前記ラミネートローラのうち片方のローラは、ローラ端部径増大手段を有し、
前記ローラ端部ローラ径増大手段は、ローラ端部のローラ径を増大し、ローラ中央部からローラ端部に向かってローラ径が増大する逆クラウン形状を付与し、また、ローラ端部のローラの最大外径は止め輪によって変更できることを特徴とするラミネート装置。
【請求項2】
前記ローラ端部ローラ径増大手段は、前記ローラ端部に気体注入部を内蔵し、ローラ端部ローラ径変更は、前記気体注入部の内圧による前記気体注入部の膨張力を調整することによって為されることを特徴とする請求項1に記載のラミネート装置。
【請求項3】
前記ローラ端部ローラ径増大手段は、前記ローラ端部に弾性体を内蔵し、ローラ端部ローラ径変更は、前記弾性体の弾性力を変える調整によって為されることを特徴とする請求項1に記載のラミネート装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかの一項記載のラミネート装置を用いて、フィルム積層体を製造するフィルム積層体製造方法であって、
長尺の第一フィルムを巻き出す第一フィルム巻出し工程と、
長尺の第二フィルムを巻き出す第二フィルム巻出し工程と、
巻き出された第一フィルムと第二フィルムを一対のラミネートローラで挟み、貼り合わせるラミネート工程と、
前記第一フィルムと前記第二フィルムが貼り合わせられたフィルム積層体を巻き取る巻取り工程と、
前記ラミネートローラのうち片方のローラが有するローラ端部径増大手段が、ローラ端部のローラ径を増大し、ローラ中央部からローラ端部に向かってローラ径が増大する逆クラウン形状を付与し、ローラ端部のローラの最大外径を前記止め輪によって変更することによって第一フィルムと、第二フィルムを貼り合わせる際の、前記ラミネートロールの幅方向のニップ圧を調整する工程と、
を含むことを特徴とするフィルム積層体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フィルム同士を貼り合わせるラミネート装置及びフィルム積層体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙やプラスチックフィルムなどの長尺の巻取り状の基材を巻き戻し、グラビア印刷法や真空中での蒸着法などの成膜方法により、機能性膜を連続的に成膜する技術は、金銀糸に用いられる金属光沢フィルム、食品包装のガスバリアフィルム、フィルムコンデンサーの電極、反射防止などの光学フィルムの製造方法として利用されている。これら商材の品質に対する要望は年々高まり、薄膜化や欠陥サイズの縮小化などが必要となっている。
【0003】
例えば、光学用フィルムなどは、長尺のロール状フィルムに対し、塗工、乾燥といった表面処理を行い、再びロール状のフィルムに戻す。これらが複数回行われることもあり、塗工前に付着した異物を一緒に塗工してしまい、異物欠陥を発生させることや、膜面とローラの接触、またはロール状のフィルム内での巻ズレ、巻締まりなどにより膜面にキズが発生することも考えられ、これらに対する対策が必要となる。
【0004】
そこでこれらの要望に応えるべく、膜面を保護することでその性能を担保する手法が有効と考えられ、膜面に保護膜をラミネートすることが知られている。
【0005】
その他のラミネート技術活用方法として、ベース基材に対して、薄膜の付いた基材をラミネートすることにより、その薄膜を転写させ、多層の機能性基材を製作する方法にもラミネート技術は活用されている。
【0006】
ラミネートは、二つ基材を重ね合わせることでラミネートすることが可能であるため、巻取りロール直前にラミネート基材などを挿入させる方法なども活用されているが、一般的には、ベースの基材とラミネート基材が二つのローラでニップされることによりラミネートされることが主流である。この時、二つの基材はお互いの平面同士がラミネートされる必要があり、基材にしわなどがあるとベース基材とラミネート基材の間に空隙などができ、密着不良が発生する。この問題を解決するために、特許文献1、2に示されるローラが提案されている。
【0007】
特許文献1、2には、ラミネート時に貼り合わせる基材のしわを低減させる技術が示されている。特許文献1では、ラミネートローラ直前に、左右対称に弓状に湾曲した棒状体またはクラウン形状のローラからなるガイド部材を配置することで基材のしわを低減されることが可能となる。
【0008】
特許文献2では、フィルムの搬送方向に対してラミネート部直前のフィルムの幅方向の張力を測定し、測定結果に基づいて、ラミネート部の2本のローラをクラウン形状(中凸形状)または逆クラウン形状(中凹形状)に制御することによって、フィルムのしわ発生を抑制させることができる。
【0009】
またその他に、ラミネート部に用いる少なくとも一つのローラが、その両端部が膨らむことで逆クラウン形状に変形することが出来る構成となっており、フィルムを幅方向外側へ引っ張ることでしわ発生を抑制し、かつラミネートを行うラミネート部しわ取りローラ方式がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008-168598号公報
【特許文献2】特開2013-226733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
基材などの第一フィルムに保護フィルムなどの第二フィルムなどをラミネートする場合、基材もしくは保護フィルムなどの張力が過剰となった場合、基材もしくは保護フィルムなど自身の幅方向に厚み分布が生じている場合、またローラ間の水平、平行(アライメント)に大きなずれが生じた場合、さらにはラミネートローラの自重によるローラの撓みやニップによりラミネートローラに変形などが生じた場合しわが発生することがある。この問題を解決するために、基材もしくは保護フィルムなどの張力を適正化すること、アライメントはある一定以上を維持させること、ラミネートローラに十分な剛性を持たせることが重要とされている。
【0012】
しかしながらしわの発生は、基材などの第一フィルムもしくは保護フィルムなどの第二フィルムの自身の幅方向の厚み分布などの状態変化に起因することがある。例えばベース基材は前工程での例えば塗布膜形成状態の影響を受け、必ずしも基材の全面が同一状態であるとは限らず、例えばフィルム端部ではカールする現象が発生することがある。この場合、基材幅方向の張力が不均一な状態であり、第一フィルムの基材と第二フィルムの保護フィルムなどをラミネートする際のしわ発生の原因となる。
【0013】
加えて同じ工程、装置であっても異なる様々な基材などの第一フィルムおよび保護フィルムなどの第二フィルムを用いることがある。用いる第一フィルムと第二フィルムの組み合わせも多岐に渡る。それら様々な第一フィルムや第二フィルムの組み合わせにおいても同様にしわの低減が求められる。
【0014】
特許文献1に記載の装置では、ラミネートローラ直前に、左右対称に弓状に湾曲した棒状体またはクラウン形状のローラからなるガイド部材を配置しているが、このガイドローラからラミネートローラに距離があるため、このガイドローラにてしわが抑制されても、またガイドローラとラミネートローラの間で基材幅方向の張力が不均一な状態となることで、しわが発生してしまい、ラミネートの不具合が生じてしまう。
【0015】
特許文献2に記載の装置では、ラミネートローラの形状がしわ発生状況により随時変化してしまうために、基材などの第一フィルムと保護フィルムなどの第二フィルムのラミネートにおける幅方向でのニップ圧にもむらが出てしまうことが予想される。つまり、保護フィルムなどの第二フィルムにしわが多数発生した場合、安定したラミネートが難しい。
【0016】
また、ラミネート部しわ取りローラ方式では、ローラの両端部の膨らむ量が一定で決まっており、様々な種類の基材や保護フィルムをラミネートする際にはローラ両端部の膨らみ量が必ずしも最適でなく、ラミネート部で十分にしわ低減出来ないことがある。
【0017】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ラミネート基材となる保護フィルムなどの第二フィルムに発生したしわを抑制し、かつ基材などの第一フィルムと保護フィルムなどの第二フィルムを安定してラミネートすることが出来るラミネート装置およびフィルム積層体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、本発明の請求項1に係る発明は、長尺の第一フィルムに長尺の第二フィルムを貼り合わせフィルム積層体を形成するラミネ
ート装置であって、長尺の第一フィルムを巻き出す第一フィルム巻出し部と、長尺の第二フィルムを巻き出す第二フィルム巻出し部と、巻き出された第一フィルムと第二フィルムを貼り合わせフィルム積層体を形成するラミネート部と、前記第一フィルムと前記第二フィルムが貼り合わせられたフィルム積層体を巻き取る巻取り部と、を備え、前記ラミネート部は、第一フィルムと第二フィルムを挟む一対のラミネートローラを備え、前記ラミネートローラのうち片方のローラは、ローラ端部径増大手段を有し、前記ローラ端部ローラ径増大手段は、ローラ端部のローラ径を増大し、ローラ中央部からローラ端部に向かってローラ径が増大する逆クラウン形状を付与し、また、ローラ端部のローラの最大外径は止め輪によって変更できることを特徴とするラミネート装置である。
【0019】
本発明の請求項2に係る発明は、前記ローラ端部ローラ径増大手段は、前記ローラ端部に気体注入部を内蔵し、ローラ端部ローラ径変更は、前記気体注入部の内圧による前記気体注入部の膨張力を調整することによって為されることを特徴とする請求項1に記載のラミネート装置である。
【0020】
本発明の請求項3に係る発明は、前記ローラ端部ローラ径増大手段は、前記ローラ端部に弾性体を内蔵し、ローラ端部ローラ径変更は、前記弾性体の弾性力を変える調整によって為されることを特徴とする請求項1に記載のラミネート装置である。
【0021】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1~3のいずれかの一項記載のラミネート装置を用いて、フィルム積層体を製造するフィルム積層体製造方法であって、長尺の第一フィルムを巻き出す第一フィルム巻出し工程と、長尺の第二フィルムを巻き出す第二フィルム巻出し工程と、巻き出された第一フィルムと第二フィルムを一対のラミネートローラで挟み、貼り合わせるラミネート工程と、前記第一フィルムと前記第二フィルムが貼り合わせられたフィルム積層体を巻き取る巻取り工程と、前記ラミネートローラのうち片方のローラが有するローラ端部径増大手段が、ローラ端部のローラ径を増大し、ローラ中央部からローラ端部に向かってローラ径が増大する逆クラウン形状を付与し、ローラ端部のローラの最大外径を前記止め輪によって変更することによって第一フィルムと、第二フィルムを貼り合わせる際の、前記ラミネートローラの幅方向のニップ圧を調整する工程と、
を含むことを特徴とするフィルム積層体製造方法である。
【発明の効果】
【0022】
ラミネート基材となる保護フィルムなどの第二フィルムに発生したしわを抑制し、かつ基材などの第一フィルムと保護フィルムなどの第二フィルムを安定してラミネートすることが出来るラミネート装置およびフィルム積層体製造方法を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係るラミネートローラ(しわ取りローラ)を使用したラミネート装置の概略断面図である。
図2】本発明の実施形態に係るラミネートローラ(しわ取りローラ)がラミネートローラとニップした時の模式的斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るラミネートローラ(しわ取りローラ)のローラ端部が拡がらない時の模式的説明図である。図3(a)はラミネートローラ(しわ取りローラ)の概略正面図であり、図3(b)は本発明のラミネートローラ(しわ取りローラ)の外周部の弾性体を除いた概略正面図であり、図3(c)はラミネートローラ(しわ取りローラ)の模式的断面図であり、図3(d)はラミネートローラ(しわ取りローラ)の概略側面図である。
図4】本発明の実施形態に係るラミネートローラ(しわ取りローラ)のローラ端部が拡がった時の模式的説明図である。図4(a)はラミネートローラ(しわ取りローラ)の概略正面図であり、図4(b)は本発明のラミネートローラ(しわ取りローラ)の外周部の弾性体を除いた概略正面図であり、図4(c)はラミネートローラ(しわ取りローラ)の模式的断面図であり、図4(d)はラミネートローラ(しわ取りローラ)の概略側面図である。
図5】本発明の実施形態に係るラミネートローラ(しわ取りローラ)に用いるローラ芯の両端部の構造を説明する模式的斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るラミネートローラ(しわ取りローラ)がラミネートローラとニップした時のローラ端部における概略側断面図である。
【0024】
以下、図面を参照して本発明に係るラミネート装置の実施形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際のラミネートローラ(しわ取りローラ)およびそれを使用したラミネート装置の寸法関係とは異なる場合がある。また、本発明の実施形態は、以下に記載する実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて設計の変更などの変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の実施形態の範囲に含まれる。
【0025】
図1は本発明の実施形態に係るラミネートローラ(しわ取りローラ)を使用したラミネート装置の概略断面図である。図2は本発明の実施形態に係るラミネートローラ(しわ取りローラ)がラミネートローラとニップした時の模式的斜視図である。本発明のラミネートローラ(しわ取りローラ)1を使用したラミネート装置100は第一巻出しフィルム41をフィルム巻出し手段である第一フィルム巻出しローラ11から巻き出して搬送し、一方、第二巻出しフィルム(ラミネートフィルムなど)42を第二フィルム巻き出しロール手段である第二フィルム巻出しローラ12から巻き出す。その後第一巻出しフィルム41と第二巻出しフィルム(ラミネートフィルムなど)42とを貼り合わせる手段であるラミネート部101でラミネートされる。ラミネート部101は本発明のしわ取りラミネートローラ(しわ取りローラ)1とラミネートローラ2との間で、第一巻出しフィルム41と第二巻出しフィルム(ラミネートフィルムなど)42をラミネートするものである。ラミネートされたフィルム積層体43はフィルム積層体43を巻き取る手段である巻取りローラ21で巻き取られる。
【0026】
図3は本発明の実施形態に係るラミネートローラ(しわ取りローラ)のローラ端部が拡がらない時の模式的説明図であり、図3(a)はラミネートローラ(しわ取りローラ)の概略正面図であり、図3(b)は本発明のラミネートローラ(しわ取りローラ)の外周部の弾性体を除いた概略正面図であり、図3(c)はラミネートローラ(しわ取りローラ)の模式的断面図であり、図3(d)はラミネートローラ(しわ取りローラ)の概略側面図である。
【0027】
図4は本発明の実施形態に係るラミネートローラ(しわ取りローラ)のローラ端部が拡がった時の模式的説明図である。図4(a)はラミネートローラ(しわ取りローラ)の概略正面図であり、図4(b)は本発明のラミネートローラ(しわ取りローラ)の外周部の弾性体を除いた概略正面図であり、図4(c)はラミネートローラ(しわ取りローラ)の模式的断面図であり、図4(d)はラミネートローラ(しわ取りローラ)の概略側面図である。
【0028】
ラミネートローラ(しわ取りローラ)1はローラ全体を支持するラミネートローラ(しわ取りローラ)シャフト55が両端にあり、第二巻出しフィルム42に接触するローラ部は弾性体(ゴムなど)51に覆われている。ラミネート部101において第一巻出しフィ
ルム41と第二巻出しフィルム42にしわの発生が無くしわの軽減が必要ない場合はラミネートローラ(しわ取りローラ)1は図3(a)のようにローラの幅方向全域において同じ直径にて使用する。またラミネート部101において第一巻出しフィルム41と第二巻出しフィルム42にしわが有りしわの軽減が必要である場合はラミネートローラ(しわ取りローラ)1は図4(a)のようにローラ両端部の外側がローラ中心から両外側に向かってある位置から徐々に内側と比較して外径が大きくなるテーパ形状をとるローラに変形させ使用する。第二フィルム巻き出しロール手段である第二フィルム巻出しローラ12から巻き出されて搬送された第二巻出しフィルム42の両端部にあたる部分が第二巻出しフィルム42の両端部が外側になるに連れて、ローラ外径が大きくなるローラと接触するため、第二巻出しフィルム42は両端部外側になるに連れて、搬送張力が大きくなり、第二巻出しフィルム42に発生したしわが外側に流れることで最終的にはしわを無くすことが可能となる。
【0029】
図3(b)は本発明のラミネートローラ(しわ取りローラ)1のロール端部が拡がらない時のラミネートローラ(しわ取りローラ)1の外周部の弾性体を除いた概略正面図を示す。図4(b)は本発明のラミネートローラ(しわ取りローラ)1のローラ端部が拡がった時のラミネートローラ(しわ取りローラ)1の外周部の弾性体を除いた概略正面図であり、ラミネートローラ(しわ取りローラ)1において外周部の弾性体(ゴムなど)51をとり除くとラミネートローラ(しわ取りローラ)ローラ芯56で覆われている。ラミネートローラ(しわ取りローラ)1のローラ端部の拡がりを形成する弾性体51の弾性体テーパ変形部51aは、その内部にあるラミネートローラ(しわ取りローラ)ローラ芯56のローラ芯テーパ変形部56aによって成される。
【0030】
図3(c)はラミネートローラ(しわ取りローラ)1のローラ端部が拡がらない時のラミネートローラ(しわ取りローラ)1の模式的断面図であり、図4(c)はラミネートローラ(しわ取りローラ)1のローラ端部が拡がった時のラミネートローラ(しわ取りローラ)1の模式的断面図である。
【0031】
ここではローラ端部ローラ径増大手段は、ローラ端部にチューブなどの気体注入部61を内蔵し、ローラ端部ローラ径変更は、気体注入部(チューブ)61の内圧による気体注入部(チューブ)61の膨張力を調整することによって為される。
【0032】
ラミネートローラ(しわ取りローラ)1の動作は、ラミネートローラ(しわ取りローラ)1の両端部の気体挿入部63から気体注入部(チューブ)61に気体を挿入することで気体注入部(チューブ)61を膨らまし、気体注入部(チューブ)61がローラ芯テーパ変形部56aを押し上げることでラミネートローラ(しわ取りローラ)1の両端部にテーパ状の拡がりを実現している。テーパ状の拡がりのテーパ量はローラ芯テーパ変形部56aの端部に取り付いている止め輪引掛け部64が止め輪(テーパ用)65aに当たり、規定されことで得られる。そのためラミネートローラ(しわ取りローラ)1の両端部のテーパ状の拡がりのテーパ量は止め輪(テーパ用)65aの内径によって規定される。したがって内径の異なる、止め輪(テーパ用)65aを複数個用意し用いれば様々なテーパ量を持つラミネートローラ(しわ取りローラ)1となり、様々なシワの程度に適したテーパ状の拡がりのテーパ量とすることが出来る。またラミネート部101において第一巻出しフィルム41と第二巻出しフィルム42にしわの発生が無くしわの軽減が必要ない場合はテーパが0となる止め輪65を用いることでラミネートローラ(しわ取りローラ)1はローラの幅方向全域において同じ直径にて使用することも出来る。
【0033】
その他の構造としてはラミネートローラ(しわ取りローラ)シャフト55とラミネートローラ(しわ取りローラ)ローラ芯56はベアリング60を介してつながっており、またラミネートローラ(しわ取りローラ)シャフト55と気体注入部(チューブ)61の間に
ブッシュ62を設けている。そのためラミネートローラ(しわ取りローラ)シャフト55の両端部を固定しても、それ以外の部材は円周方向に回転することが可能となる。
【0034】
図5は本発明の実施形態に係るラミネートローラ(しわ取りローラ)1に用いるローラ芯の両端部の構造を説明する模式的斜視図である。図3(c)と図4(c)で気体注入部(チューブ)61によってローラ芯テーパ変形部56aを変形させラミネートローラ(しわ取りローラ)1の両端部にテーパ状の拡がりを設ける事を示したが、この変形を実現させるためラミネートローラ(しわ取りローラ)ローラ芯56の両端部にスリット56bを設けている。スリット56bはラミネートローラ(しわ取りローラ)ローラ芯56の両端部に円周方向に等間隔に配置し、スリット56bのスリット長さは両端部からローラ幅方向ローラ中央側へテーパを実現したい位置まで設ける。このスリット56bによって気体注入部(チューブ)61がローラ芯テーパ変形部56aを内部から均等に半径方向に押し上げ、スリット56bがローラ端部側の方が大きくなるように広がることでテーパ形状を実現している。スリット56bの数としては2個以上であれば広がることが可能であるが、数が多いほどより真円に近い形で変形することが出来るため、6個以上が望ましい。加えてローラ芯テーパ変形部56aは弾性変形内での変形量で留めて使用する。
【0035】
図6は本発明の実施形態に係るラミネートローラ(しわ取りローラ)1がラミネートローラとニップした時のローラ端部における概略側断面図である。ラミネートローラ(しわ取りローラ)1はローラの内側から外側にかけて外径が大きくなる、つまり逆クラウン形状となっている。その際、その逆クラウン形状を維持した状態のままラミネートローラ2とニップされた場合、ローラ中央部が浮いてしまい、第一巻出しフィルム41と第二巻出しフィルム42の中央部はニップされない状態となる。しかし本発明のラミネートローラ(しわ取りローラ)1は両端部の膨張部分は、圧縮空気などの気体を注入することで膨張させており、その気体の圧力を変更すること、例えば、ラミネートローラ(しわ取りローラ)1とラミネートローラ2のニップ圧より遥かに小さい圧力で膨張させることで、図6のようにラミネートローラ2と接触している部分は、ニップ時に押しつぶされるために、ローラ中央部が浮くことは無い。
【0036】
このように、両端部の膨張力を注入する気体を調整することで、第一巻出しフィルム41と第二巻出しフィルム42を貼り合わせる際のフィルム幅方向のニップ時の圧力バランスを調整することができる。この圧力バランスを調整し、ラミネートローラ(しわ取りローラ)1とラミネートローラ2の幅方向ニップ圧全体を、ニップ圧有効範囲内に収めることで、良好なラミネートを実施することができる。
【0037】
また本実施形態では気体注入部(チューブ)61に注入する気体の圧力でテーパ形状を実現しているが、気体に限らず、ばねを配置し、ばね定数を変更することでも気体注入部(チューブ)61とその内部の気体の圧力調整と同等の効果が得られるため、気体注入部(チューブ)61と気体の代わりにばねを用いても良い。
【0038】
以上のように本発明のラミネートローラ(しわ取りローラ)を使用したラミネート装置によれば、しわ発生のないフィルム積層体を作製することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のラミネート装置およびフィルム積層体製造方法は、巻取り状の基材などの第一フィルムに保護フィルムなどの第二フィルムを貼り合わせることができることから、金銀糸に用いられる金属光沢フィルム、食品包装のガスバリアフィルム、フィルムコンデンサーの電極、反射防止などの光学フィルムの製造や、ベース基材に機能層をラミネートすることで転写させた多層フィルムの製造などに利用できる。
【符号の説明】
【0040】
1・・・ラミネートローラ(しわ取りローラ)
1a・・・しわ取りローラ(外周の弾性体を取り除いたもの)
2・・・ラミネートローラ
11・・・第一フィルム巻出しローラ
12・・・第二フィルム巻出しローラ
21・・・巻取りローラ
31・・・フリーローラ
41・・・第一巻出しフィルム
42・・・第二巻出しフィルム
43・・・フィルム積層体
51・・・弾性体(ゴムなど)
51a・・・弾性体テーパ変形部
55・・・ラミネートローラ(しわ取りローラ)シャフト
56・・・ラミネートローラ(しわ取りローラ)ローラ芯
56a・・・ローラ芯テーパ変形部
56b・・・スリット
60・・・ベアリング
61・・・気体注入部(チューブ)
62・・・ブッシュ
63・・・気体挿入部
64・・・止め輪引掛け部
65・・・止め輪
65a・・・止め輪(テーパ用)
100・・・ラミネート装置
101・・・ラミネート部
図1
図2
図3
図4
図5
図6