(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052356
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
F24F 7/003 20210101AFI20220328BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20220328BHJP
B01J 21/06 20060101ALI20220328BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
F24F7/00 A
B01J35/02 J ZAB
B01J21/06 M
A61L9/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158702
(22)【出願日】2020-09-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年9月8日、ベータ・ジャパン合同会社に販売。 令和2年9月16日、ほんわか保育園に販売。
(71)【出願人】
【識別番号】305032254
【氏名又は名称】サンスター技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】宇佐 智治
(72)【発明者】
【氏名】山口 勝浩
【テーマコード(参考)】
4C180
4G169
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180CC03
4C180CC15
4C180CC16
4C180CC17
4C180DD03
4C180EA34X
4C180HH05
4C180MM08
4G169AA03
4G169BA04B
4G169BA48A
4G169CA10
4G169CA11
4G169EA01Y
4G169EC22Y
4G169HA01
4G169HB02
4G169HE03
4G169HF05
(57)【要約】
【課題】小型で有機物分解能力が高い空気清浄機を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る空気清浄機1は、対向する平面的な第1内壁面21及び第2内壁面41の間に画定され、前記第1内壁面21及び前記第2内壁面41の間隔が小さい扁平な流路断面を有し、前記第1内壁面21及び前記第2内壁面41と平行な面内で蛇行する空気流路4と、平板メッシュ状の担持体及び前記担持体の表面に担持される光触媒を有し、前記空気流路4の内部に前記第1内壁面21及び前記第2内壁面41と平行に配置される触媒部材30と、前記第2内壁面41に分散して配設され、前記触媒部材30に前記光触媒を活性化する光を照射する複数の光源51と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する平面的な第1内壁面及び第2内壁面の間に画定され、前記第1内壁面及び前記第2内壁面の間隔が小さい扁平な流路断面を有し、前記第1内壁面及び前記第2内壁面と平行な面内で蛇行する空気流路と、
平板メッシュ状の担持体及び前記担持体の表面に担持される光触媒を有し、前記空気流路の内部に前記第1内壁面及び前記第2内壁面と平行に配置される触媒部材と、
前記第2内壁面に分散して配設され、前記触媒部材に前記光触媒を活性化する光を照射する複数の光源と、
を備える、空気清浄機。
【請求項2】
前記空気流路の入口部にラビリンス構造を形成するよう、前記第1内壁面側から延びる第1整流板及び前記第2内壁面側から延びる第2整流板をさらに備える、請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記光源は、それぞれ前記第2内壁面に形成される凹部の中に収容される、請求項1又は2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記空気流路から空気を吸い出す排気ファンを備え
前記複数の光源は、前記凹部の底部を形成する回路基板に実装され、
前記回路基板の外側の空間は、前記空気流路に比して断面積が小さい開口を通して前記排気ファンの吸込側の流路に連通する、請求項3に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記触媒部材を支持する支持構造を有する筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記第1内壁面を形成する平滑な案内板と、
をさらに備える、請求項1から4のいずれかに記載の空気清浄機。
【請求項6】
前記第1内壁面を形成し、電気的構成要素が配設される中底をさらに備え、
前記筐体は、前記案内板が固定される下部筐体と、前記下部筐体と着脱可能に組み合わされ、前記中底が固定され、前記電気的構成要素を覆う上部筐体と、を有する、請求項5に記載の空気清浄機。
【請求項7】
前記触媒部材と前記第1内壁面との間隔は、1mm以上8mm以下であり、
前記触媒部材と前記第2内壁面との間隔は、4mm以上12mm以下であり、且つ前記触媒部材と前記第1内壁面との間隔よりも大きい、請求項1から6のいずれかに記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化チタン等の光触媒を用いて有機物を分解することにより脱臭効果及び殺菌効果を得る空気清浄機が実用化されている。このような空気清浄機では、光触媒を担持する触媒部材と、触媒部材に光触媒を活性化させる光を照射する光源と、周囲の空気を吸い込んで光触媒に接触させる気流生成手段と、を備える(例えば特許文献1参照)。
【0003】
光触媒を利用する空気清浄機では、光触媒に効果的に光を照射して光触媒を十分に活性化させること、及び光触媒に効率よく空気を接触させることが求められる。例えば特許文献1には、ファンにより気流が生成されるダクトの中に、気流の流れ方向に垂直に延びる棒状の光源と、光源を同軸に取り囲む円筒状に形成された光触媒シートと、を配設した空気清浄機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
空気清浄機が一般家庭等に普及するに従って、空気清浄機の小型化が求められるようになっている。特許文献1に記載されるように、棒状の光源及び円筒状の光触媒シートを気流に垂直に配設すると、空気の流路の断面積が大きくなるため、装置全体の小型化が容易ではない。このため、本発明は、小型で有機物分解能力が高い空気清浄機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る空気清浄機は、対向する平面的な第1内壁面及び第2内壁面の間に画定され、前記第1内壁面及び前記第2内壁面の間隔が小さい扁平な流路断面を有し、前記第1内壁面及び前記第2内壁面と平行な面内で蛇行する空気流路と、平板メッシュ状の担持体及び前記担持体の表面に担持される光触媒を有し、前記空気流路の内部に前記第1内壁面及び前記第2内壁面と平行に配置される触媒部材と、前記第2内壁面に分散して配設され、前記触媒部材に前記光触媒を活性化する光を照射する複数の光源と、を備える。
【0007】
上述の空気清浄機は、前記空気流路の入口部にラビリンス構造を形成するよう、前記第1内壁面側から延びる第1整流板及び前記第2内壁面側から延びる第2整流板をさらに備えてもよい。
【0008】
上述の空気清浄機において、前記光源は、それぞれ前記第2内壁面に形成される凹部の中に収容されてもよい。
【0009】
上述の空気清浄機は、前記空気流路から前記空気を吸い出す排気ファンをさらに備え
前記複数の光源は、前記凹部の底部を形成する回路基板に実装され、前記回路基板の外側の空間は、前記空気流路に比して断面積が小さい開口を通して前記排気ファンの吸込側の流路に連通してもよい。
【0010】
上述の空気清浄機は、前記触媒部材を支持する支持構造を有する筐体と、前記筐体の内部に配置され、前記第1内壁面を形成する平滑な案内板と、をさらに備えてもよい。
【0011】
上述の空気清浄機は、前記第1内壁面を形成し、電気的構成要素が配設される中底をさらに備え、前記筐体は、前記案内板が固定される下部筐体と、前記下部筐体と着脱可能に組み合わされ、前記中底が固定され、前記電気的構成要素を覆う上部筐体とを有してもよい。
【0012】
上述の空気清浄機において、前記触媒部材と前記第1内壁面との間隔は、1mm以上8mm以下であり、前記触媒部材と前記第2内壁面との間隔は、4mm以上12mm以下であり、且つ前記触媒部材と前記第1内壁面との間隔よりも大きくてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、小型で有機物分解能力が高い空気清浄機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態の空気清浄機を示す斜視図である。
【
図4】
図1の空気清浄機の上部の構成要素を取り外した状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態の空気清浄機1を示す斜視図である。
図2は、空気清浄機1の分解斜視図である。
図3は、空気清浄機1の断面図である。
図4は、空気清浄機1の上部の構成要素を取り外した状態の平面図である。
【0016】
図1の空気清浄機1は、概略ドーナツ型に形成される。空気清浄機1は、外周部の1箇所に径方向に外気を吸い込む吸気口2を有し、内周部の吸気口2と反対側の部分に浄化され空気を径方向内向きに吹き出す吹出口3を有する。空気清浄機1は、吸気口2から吸い込んだ空気を、
図1に一点鎖線で示すように、半時計回りに案内する空気流路4を備える。なお、以降の説明において、上下等の位置関係を用いるが、便宜上、空気清浄機1の1つの典型的な使用状態における位置関係を用いて説明するものであり、空気清浄機1の使用時の向きを限定するものではない。
【0017】
空気清浄機1は、
図2に示すように、下部筐体10と、案内板20と、触媒部材30と、中底40と、回路基板50と、排気ファン60と、上部筐体70と、カバー80と、中央化粧部材90と、を備える。下部筐体10及び案内板20は、一体に固定されることにより空気清浄機1の下側半体を形成する。中底40、回路基板50、排気ファン60及び上部筐体70は、一体に固定されることにより、前記下側半体に着脱可能な上側半体を形成する。触媒部材30は、前記下側半体と上側半体との間に挟み込んで保持される。このような構成により、空気清浄機1は、下側半体と上側半体とを分離することで触媒部材30のメンテナンスを行うことができる。カバー80及び中央化粧部材90は、装飾のための構成である。
【0018】
空気流路4は、
図3に示すように、案内板20により形成される平面的な第1内壁面(底面)21と、中底40により構成される平面的な第2内壁面(天面)41と、の間に画定される。下部筐体10及び中底40は、空気流路4の側壁を構成する部分を有する。
【0019】
空気流路4は、第1内壁面21及び第2内壁面41の間隔、つまり厚みが小さい扁平な流路断面をする。このように、扁平な空気流路4に空気を通すことで、後述する触媒部材30に空気を効率よく接触させられる。
【0020】
また、
図4にハッチングで示すように、空気流路4は、第1内壁面21及び第2内壁面41と平行な面内で蛇行する。空気流路4が蛇行することにより、空気と触媒部材30との接触面積を増大できると共に、空気流路4の内部での空気の流速のバラツキを抑制し、空気の触媒部材30への接触を促進できる。空気流路4の蛇行量としては、空気流路4の平均幅の50%以上が好ましい。これにより、空気流路4の入口から出口を見通すことができなくなるので、空気が空気流路4の一部に集中して直線的に吹き抜けることを防止できる。また、空気流路4は、全体として蛇行するだけでなく、内部に隔壁等が設けられることでより均等に空気を流せるよう構成されてもよい。
【0021】
下部筐体10の内側には、案内板20が例えばねじ等によって固定される。また、下部筐体10は、触媒部材30を支持する支持構造を有する。この支持構造は、空気流路4の内部で案内板20を貫通して延びる突起、空気流路4の側壁に形成される段差等を含み得る。このような支持構造を有することで、下部筐体10は、触媒部材30を案内板20との間に一定の間隔を空けて支持する。
【0022】
下部筐体10は、空気流路4の入口部に、下側(第1内壁面21側)から空気流路4の幅全体に亘って延びる第1整流板11を有する。また、下部筐体10には、吸気口2となる部分に異物の進入を防止するフィルタ部材12が取り付けられる。このように複雑な形状を有する下部筐体10は、樹脂成形体によって形成することができる。
【0023】
案内板20は、例えばアルミニウム、ステンレス鋼等の金属板から形成され得る。案内板20は、触媒部材30の下側の空間を空気がスムーズに流れるよう、平滑な第1内壁面21を提供する。また、案内板20は、後述するように第2内壁面41側から照射され、触媒部材30の開口を通過した光を反射することで、触媒部材30の裏面側を活性化させる反射板としても機能する。
【0024】
案内板20により第1内壁面21を画定することで、下部筐体10の設計が容易となる。逆に、第1内壁面21を用いずに平滑な第1内壁面21を画定しようとすると、下部筐体10の裏面、つまり空気清浄機1の底部の外側に下部筐体10の強度を確保するためのリブ等を設けることが必要になるという不都合が生じる。
【0025】
触媒部材30は、空気流路4の内部に、第1内壁面21及び第2内壁面41と平行に、且つ第1内壁面21及び第2内壁面41との間にそれぞれ間隔を空けて配置される。触媒部材30は、平板メッシュ状の担持体及び担持体の表面に担持される光触媒を有する触媒本体31と、触媒本体31を補強するフレーム32とを有する構成とすることができる。
【0026】
触媒本体31は、全体としても、光が通過する多数の開口を有するメッシュ状である。なお、「メッシュ状」とは、多数の開口が平面的に形成されたシート状を意味し、線状の材料を縦横に組み合わせて形成される形状に限られない。触媒本体31の開口率(光が通過する面積の割合)としては、例えば15%以上55%以下とすることができ、20%以上50%以下がより好ましい。これにより、第2内壁面41側から発せられて触媒部材30を透過した光が案内板20によって反射されて触媒部材30の下面側に照射されるので、触媒本体31の光触媒作用がより活性化されて有機物等を分解する効果が向上する。
【0027】
具体例として、担持体としては、金属箔をエッチングしてランダムな微細開口を形成したシート、ワイヤーメッシュ、樹脂成形メッシュ、パンチングメタル等を用いることができるが、光触媒を担持する能力、機械的特性及び経済性に優れるエキスパンドメタルが特に好適に用いられる。担持体をチタンにより形成し、その表面を酸化処理すれば、担持体と光触媒との密着性を向上することができる。また、担持体をアルミニウムによって形成すれば、比較的安価で加工性に優れた触媒本体31を得ることができる。
【0028】
光触媒としては、特に限定されないが、現時点で優れた光触媒作用を有する材料として知られるアナターゼ型酸化チタンを用いることができる。空気との接触面積を大きくするために、光触媒は、担持体の表面を覆う粒子状体又は粉状体であることが好ましい。このような光触媒は、焼結により担持体の表面に固定されてもよい。具体的には、担持体に光触媒の粒子を分散したスラリーを塗布したものを焼成することによって、担持体の表面に光触媒を固定した触媒本体31を得ることができる。
【0029】
フレーム32は、例えば樹脂成形体によって構成することができる。フレーム32は、触媒本体31を挟み込むよう形成できる。フレーム32は、触媒本体31の外周部を保持する部分と、触媒本体31を横断する部分とを有し得る。
【0030】
触媒部材30と第1内壁面21との間隔の下限としては、空気をスムーズに流すために1mmが好ましく2mmがより好ましい。一方、触媒部材30と第1内壁面21との間隔の上限としては、空気を光触媒に効率よく接触させるために8mmが好ましく5mmがより好ましい。
【0031】
触媒部材30と第2内壁面41との間隔の下限としては、触媒部材30に均等に光を照射するために4mmが好ましく6mmがより好ましい。一方、触媒部材30と第2内壁面41との間隔上限としては、空気を光触媒に効率よく接触させるために12mmが好ましく10mmがより好ましい。また、触媒部材30と第2内壁面41との間隔は、触媒部材30と第1内壁面21との間隔よりも大きいことが好ましい。
【0032】
中底40は、空気流路4の第2内壁面41を提供する天板部42と、排気ファン60を収容するファン収容部43と、空気流路4の入口部に上側(第2内壁面41側)から空気流路4の幅全体に亘って延びる第2整流板44と、を有する。また、中底40は、触媒部材30を下部筐体10の支持構造に押し付ける例えば突起、段差等の押圧構造を有する。このような複雑な形状を有する中底40は、樹脂成形体によって形成することができる。
【0033】
中底40には、回路基板50及び排気ファン60が固定される。また、中底40には、回路基板50及び排気ファン60に電力を供給する電源45等、全ての電気的構成要素が配設される。このため、上側半体と下側半体との間にはで電気的接続のためのコネクタが必要ない。
【0034】
天板部42には、触媒本体31に対向する領域に分散して、後述する回路基板50から触媒部材30を活性化する光を照射するための複数の投光開口46が形成されている。投光開口46は、光を広い範囲に照射できるよう、空気流路4に向かって拡大するよう形成されることが好ましい。
【0035】
ファン収容部43の天板部42側の部分には、天板部42に積層される回路基板50の外側(上側)の空間と、排気ファン60の吸込側の流路に連通する連通開口47が形成されている(
図2参照)。連通開口47の断面積は、空気流路4の断面積に比して十分に小さく、回路基板50の上側の空間から少量の空気が排気ファン60によって吸い込まれる。連通開口47に吸い込まれる空気の流れは、回路基板50を冷却する効果をもたらす。本実施形態の連通開口47は、スリット状であるが、特にその形状は限定されない。
【0036】
第2整流板44は、第1整流板11と共に、空気流路4の入口部に、上流側から下流側を直視できないラビリンス構造を形成する。第1整流板11及び第2整流板44は、それぞれ流路の高さを小さくすることにより、流路断面積を局所的に第1内壁面21と第2内壁面41との間における流路断面積よりも小さくする。これにより、空気の吹き抜けを防止することができるので、空気流路4の全体に空気を供給し、空気の触媒部材30への接触を促進できる。
【0037】
回路基板50は、天板部42の上面に密着して配設され、複数の投光開口46の上側を封止することで第2内壁面41に複数の凹部を画定する。回路基板50は、それぞれの投光開口46の中に配置されるよう実装され、触媒部材30を活性化する光を発する複数の光源51を有する。光源51は、投光開口46の中、つまり第2内壁面41の凹部の中に収容され、空気流路4側に突出しないよう配設される。光源51としては、例えば紫外線発光ダイオードを用いることができる。
【0038】
このように、それぞれ第2内壁面41の凹部に収容される小さい複数の光源51を分散して配設することによって、扁平で比較的容積が小さい空気流路4の中に比較的面積が大きい触媒部材30を配置しても、触媒部材30を全体的に活性化させられる。これにより、空気清浄機1の大型化を抑制しつつ、空気中の有機物等を分解して空気を清浄化できる。また、光源51が第2内壁面41から突出しないように凹部に収容して配設されることによって、空気流路4における空気の流れを阻害しないので、空気の触媒部材30との効率的な接触を促進できる。
【0039】
排気ファン60は、中底40のファン収容部43に、天板部42側に吸込流路となる空間を残して収容される。排気ファン60としては、比較的静圧が大きい遠心ファンが好適に用いられる。
【0040】
上部筐体70は、下部筐体10と着脱可能に組み合わされ、下部筐体10と共に空気清浄機1の機能的構成要素を収容する筐体を構成する。上部筐体70は、中底40に接続され、回路基板50等の電気的構成要素を覆う。このように、上側半体に電気的構成要素を収容することによって、ユーザが感電することを防止できる。また、上部筐体70は、排気ファン60から吐出される空気を排気口に案内する排気流路形成部71を有する。このような上部筐体70は、樹脂成形体によって形成することができる。
【0041】
カバー80は、上部筐体70を覆い、意匠性を向上するための部材であり、機能的にはなくてもよい。カバー80は、構造が簡素であるため、金属のプレス品等から形成することができ、空気清浄機1の質感を向上することができる。
【0042】
中央化粧部材90は、さらに意匠性を向上するために、空気清浄機1の中央の開口部を封止するよう装着でされる。特に、中央化粧部材90は、省略してもよく、例えば時計の針を有する部材、照明装置等、異なる意匠及び付加機能を実現する部材と交換されてもよい。
【0043】
以上の構成を有する空気清浄機1は、第1内壁面21と第2内壁面41との間に、扁平な流路断面を有し、厚み方向と垂直な面内で蛇行する空気流路4を画定し、この空気流路4の内部に、平板メッシュ状の触媒部材30を配置し、第2内壁面41に分散して配設される複数の光源51が発する光によって触媒部材30を活性化するので、空気流路4の容積に比して触媒部材30の面積を大きくできる。このため、空気清浄機1は、小型で有機物分解能力が高い。
【0044】
また、空気清浄機1は、小型で意匠性に優れるため、例えばコートハンガーのようなポール状の部材の頂部に取り付けたり、上下を入れ換えて天井から吊り下げたり、中心軸を水平にして壁に取り付けたりして使用することができる。この場合、上述のように中央化粧部材90の選択によって空気清浄機1にさらなる意匠及び付加機能を付与できることが利点となる。
【0045】
以上、本発明の一実施形態に係る空気清浄機について説明したが、本発明に係る空気清浄機の構成及びその効果は、上述したものに限定されない。例として、本発明に係る空気清浄機の形状は、ドーナツ型に限られず、例えば矩形状、三角形状等、任意の形状とすることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 空気清浄機
2 吸気口
3 吹出口
4 空気流路
10 下部筐体
11 第1整流板
12 フィルタ部材
20 案内板
21 第1内壁面
30 触媒部材
31 触媒本体
32 フレーム
40 中底
41 第2内壁面
42 天板部
43 ファン収容部
44 第2整流板
45 電源
46 投光開口
47 連通開口
50 回路基板
51 光源
60 排気ファン
70 上部筐体
71 排気流路形成部
80 カバー
90 中央化粧部材
【手続補正書】
【提出日】2021-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する平面的な第1内壁面及び第2内壁面の間に画定され、前記第1内壁面及び前記第2内壁面の間隔が小さい扁平な流路断面を有し、前記第1内壁面及び前記第2内壁面と平行な面内で蛇行する空気流路と、
平板メッシュ状の担持体及び前記担持体の表面に担持される光触媒を有し、前記空気流路の内部に前記第1内壁面及び前記第2内壁面と平行に配置される触媒部材と、
前記第2内壁面に分散して配設され、前記触媒部材に前記光触媒を活性化する光を照射する複数の光源と、
を備える、空気清浄機。
【請求項2】
前記空気流路の入口部にラビリンス構造を形成するよう、前記第1内壁面側から延びる第1整流板及び前記第2内壁面側から延びる第2整流板をさらに備える、請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記光源は、それぞれ前記第2内壁面に形成される凹部の中に収容される、請求項1又は2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記空気流路から空気を吸い出す排気ファンを備え
前記複数の光源は、前記凹部の底部を形成する回路基板に実装され、
前記回路基板の外側の空間は、前記空気流路に比して断面積が小さい開口を通して前記排気ファンの吸込側の流路に連通する、請求項3に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記触媒部材を支持する支持構造を有する筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記第1内壁面を形成する平滑な案内板と、
をさらに備える、請求項1から4のいずれかに記載の空気清浄機。
【請求項6】
前記第2内壁面を形成し、電気的構成要素が配設される中底をさらに備え、
前記筐体は、前記案内板が固定される下部筐体と、前記下部筐体と着脱可能に組み合わされ、前記中底が固定され、前記電気的構成要素を覆う上部筐体と、を有する、請求項5に記載の空気清浄機。
【請求項7】
前記触媒部材と前記第1内壁面との間隔は、1mm以上8mm以下であり、
前記触媒部材と前記第2内壁面との間隔は、4mm以上12mm以下であり、且つ前記触媒部材と前記第1内壁面との間隔よりも大きい、請求項1から6のいずれかに記載の空気清浄機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
上述の空気清浄機は、前記第2内壁面を形成し、電気的構成要素が配設される中底をさらに備え、前記筐体は、前記案内板が固定される下部筐体と、前記下部筐体と着脱可能に組み合わされ、前記中底が固定され、前記電気的構成要素を覆う上部筐体とを有してもよい。