(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052367
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】服薬管理システム
(51)【国際特許分類】
A61J 7/04 20060101AFI20220328BHJP
G16H 20/10 20180101ALI20220328BHJP
【FI】
A61J7/04 Z
A61J7/04 B
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158719
(22)【出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】520367681
【氏名又は名称】岡村 信二
(71)【出願人】
【識別番号】520367692
【氏名又は名称】村田 里史
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】岡村 信二
(72)【発明者】
【氏名】村田 里史
【テーマコード(参考)】
4C047
5L099
【Fターム(参考)】
4C047NN20
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】新しい機器の操作を覚えるのに負担を感じる人であっても服薬の記録を容易になすことが可能な服薬管理システムを提供する。
【解決手段】機器識別情報を具備し、服薬時に服薬者による操作によって服薬の入力がなされるユーザーデバイス11と、服薬の入力がユーザーデバイス11でなされたことを検出し、服薬の入力を、機器識別情報に対応するデータベースに服薬時刻情報として記録する管理装置13とを備え、ユーザーデバイス11に唯一設けられた入力部14は服薬の入力がなされるのみである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器識別情報を具備し、服薬時に服薬者による操作によって服薬の入力がなされるユーザーデバイスと、前記服薬の入力が前記ユーザーデバイスでなされたことを検出し、該服薬の入力を、前記機器識別情報に対応するデータベースに服薬時刻情報として記録する管理装置とを備え、前記ユーザーデバイスに唯一設けられた入力部は前記服薬の入力がなされるのみであることを特徴とする服薬管理システム。
【請求項2】
機器識別情報を具備し、服薬時に服薬者による操作によって服薬の入力がなされるユーザーデバイスと、前記服薬の入力が前記ユーザーデバイスでなされたことを検出し、該服薬の入力を、前記機器識別情報に対応するデータベースに服薬時刻情報として記録する管理装置とを備え、前記ユーザーデバイスに唯一設けられた入力部は前記服薬の入力及び該ユーザーデバイスの通信設定の操作がなされるのみであることを特徴とする服薬管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の服薬管理システムにおいて、前記管理装置は、前記機器識別情報に対し設定された任意の文字列を該機器識別情報に対応する前記データベースに紐づけて記憶し、前記文字列の入力操作がなされた通信機器に対し、該データベースに記録された前記服薬時刻情報を閲覧させることを特徴とする服薬管理システム。
【請求項4】
請求項1又は2記載の服薬管理システムにおいて、前記管理装置は、服薬がなされるべき内服時間帯に前記ユーザーデバイスでの前記服薬の入力を検出しない際、予め設定された通信機器に服薬未確認の情報を通知することを特徴とする服薬管理システム。
【請求項5】
請求項4記載の服薬管理システムにおいて、前記管理装置は、前記内服時間帯を前記データベースに記録した前記服薬時刻情報に応じて決定することを特徴とする服薬管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、服薬の管理を行う服薬管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
服用すべきタイミング(例えば、朝食後や就寝前)が定められた薬の飲み忘れは、患者の健康回復を遅らせたり、健康状態を悪化させたりすることから、防止されるべきである。薬の飲み忘れには、服薬を管理するシステムが有効であり、その具体例が例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の服薬管理システム(服薬管理装置)は、各タイミングで服用すべき薬を表示すること、並びに、表示されている薬の画像がタッチされることによって薬を飲んだ記録を残すことができる。従って、当該服薬管理システムは、薬の飲み忘れと、間違った薬の服用とを防ぐことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の服薬管理システムは、服薬の記録を残すために患者に入力され得る入力部が多く、新しい機器の操作を覚えるのに負担を感じる人(例えば、高齢者)にとっては、扱いづらいという課題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、新しい機器の操作を覚えるのに負担を感じる人であっても服薬の記録を容易になすことが可能な服薬管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係る服薬管理システムは、機器識別情報を具備し、服薬時に服薬者による操作によって服薬の入力がなされるユーザーデバイスと、前記服薬の入力が前記ユーザーデバイスでなされたことを検出し、該服薬の入力を、前記機器識別情報に対応するデータベースに服薬時刻情報として記録する管理装置とを備え、前記ユーザーデバイスに唯一設けられた入力部は前記服薬の入力がなされるのみである。
【0006】
前記目的に沿う第2の発明に係る服薬管理システムは、機器識別情報を具備し、服薬時に服薬者による操作によって服薬の入力がなされるユーザーデバイスと、前記服薬の入力が前記ユーザーデバイスでなされたことを検出し、該服薬の入力を、前記機器識別情報に対応するデータベースに服薬時刻情報として記録する管理装置とを備え、前記ユーザーデバイスに唯一設けられた入力部は前記服薬の入力及び該ユーザーデバイスの通信設定の操作がなされるのみである。
【発明の効果】
【0007】
第1の発明に係る服薬管理システムは、服薬時に服薬者による操作によって服薬の入力がなされるユーザーデバイスに唯一設けられた入力部が服薬の入力がなされるのみである。また、第2の発明に係る服薬管理システムは、服薬時に服薬者による操作によって服薬の入力がなされるユーザーデバイスに唯一設けられた入力部が服薬の入力及びユーザーデバイスの通信設定の操作がなされるのみである。従って、第1、第2の発明に係る服薬管理システムによれば、新しい機器の操作を覚えるのに負担を感じる人であっても服薬の記録を容易になすことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る服薬管理システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1、
図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る服薬管理システム10は、服薬時に服薬者による操作によって服薬の入力がなされるユーザーデバイス11と、服薬者による服薬の入力を服薬時刻情報としてデータベース12に記録する管理装置13とを備えるシステムである。
【0010】
ユーザーデバイス11を操作する服薬者は、医療機関から処方された薬を服用する者であり、服薬のタイミング(起床時、朝、昼、夜、就寝前等)が医師によって定められている。医療機関から服薬者にユーザーデバイス11を提供することが想定される。
ユーザーデバイス11は、無線LAN及びBluetooth(登録商標)による通信が可能であり、
図1に示すように、入力部の一例である入力釦14及び音を発生する図示しない音発生素子を有し、固有の機器識別情報(本実施の形態では、文字列からなる情報)を具備している。
【0011】
ユーザーデバイス11において、入力操作がなされる入力用のハードウェアは一つの入力釦14のみであり、服薬者は服薬時に入力釦14を押す(操作する)ことによって、服薬の入力を行う(服薬の事実を入力する)。入力釦14は服薬の入力のみに使用される。よって、ユーザーデバイス11に唯一設けられた入力部(入力釦14)は服薬の入力がなされるのみである。
【0012】
ユーザーデバイス11は、Bluetooth(登録商標)によりユーザーデバイス11に接続されたタブレットコンピュータやスマートフォン等からの設定によって、図示しない無線ルーターに無線LAN接続される。無線ルーターに接続されたユーザーデバイス11は無線ルーターに接続されたインターネット回線Wを介して管理装置13と通信可能となる。なお、ユーザーデバイス11は、Bluetooth(登録商標)により接続されたスマートフォンの回線経由で管理装置13と通信することもできる。
【0013】
ここで、本実施の形態においては、入力釦14に対し服薬の入力がなされるのみであるが、入力釦14に対し服薬の入力に加えてユーザーデバイス11の通信設定の操作がなされるように(即ち、入力釦14は服薬の入力及びユーザーデバイス11の通信設定の操作がなされるのみとなるように)、ユーザーデバイス11を設計することもできる。ユーザーデバイス11をこのように設計すれば、ユーザーデバイス11とスマートフォン等とのBluetooth(登録商標)による接続(通信のペアリング)や、ユーザーデバイス11と無線LANのターミナルとの無線LAN接続を、入力釦14を押す操作によってなすことが可能となる。
【0014】
管理装置13は、
図1、
図2に示すように、インターネット回線Wに接続されたサーバーによって構成でき、時計機能及び通信機能を有している。管理装置13は記憶媒体(本実施の形態では、ハードウェアディスク)を具備し、その記憶媒体にデータベース12やソフトウェア等が記憶されている。データベース12は、
図2に示すように、ユーザーデバイス11の機器識別情報に対応するもので、データベース12には、ユーザーデバイス11を使用している服薬者の服薬実績が服薬時刻情報と共に記録される。
【0015】
インターネット回線Wには、
図1に示すように、ユーザーデバイス11及び管理装置13の他に、スマートフォン16、17、18やパーソナルコンピュータ19、20等の通信機器が接続されている。
ここで、スマートフォン16は服薬者の所持物であり、スマートフォン17、18及びパーソナルコンピュータ19は服薬者の家族の所持物であり、パーソナルコンピュータ20は服薬者に薬を処方した病院に設置されたもので、インターネット回線Wを介して管理装置13に情報を入力することができる。
【0016】
医療従事者は、薬の処方時、パーソナルコンピュータ20を用いて、服薬者に提供するユーザーデバイス11の機器識別情報及びそのユーザーデバイス11に対応させる任意の文字列を服薬者の識別子として入力し(機器識別情報に対し任意の文字列を服薬者の識別子として設定し)、インターネット回線W経由で機器識別情報及び文字列を管理装置13に登録する操作を行う。管理装置13(具体的には、管理装置13にインストールされているソフトウェア)は、パーソナルコンピュータ20によって当該操作が行われると、該当の機器識別情報に対応するデータベース12を作成し、パーソナルコンピュータ20で入力された文字列をデータベース12に紐づけて記憶する。以下、管理装置13にインストールされているソフトウェアを「管理ソフトウェア」と言う。
【0017】
更に、服薬者が服薬すべきタイミングが、医療従事者によってパーソナルコンピュータ20で入力され、インターネット回線W経由で管理装置13に送られる。管理ソフトウェアは、管理装置13に送られた服薬すべきタイミングをデータベース12に登録し、データベース12に登録された服薬すべきタイミングそれぞれに対して服薬がなされるべき内服時間帯の初期値を設定する。例えば、服用すべきタイミングが朝、昼、夜であった場合は、朝、昼、夜に対し内服時間帯の初期値として6時~9時、11時~13時、17時~21時がそれぞれ設定される。以下、服用すべきタイミングとして朝、昼、夜が登録されたものとして説明する。
【0018】
服薬者が服薬時に入力釦14を押すと(即ち、服薬の入力がユーザーデバイス11でなされると)、服薬の入力がなされたという信号(以下、「服薬入力信号」と言う)が、ユーザーデバイス11の機器識別情報と共に、インターネット回線W経由で管理装置13に送られる。管理装置13は、ユーザーデバイス11の機器識別情報と共に服薬入力信号を受信して、管理ソフトウェアが、服薬の入力がユーザーデバイス11でなされたことを検出する。
【0019】
服薬の入力を検出した管理ソフトウェアは、服薬入力信号を受信した時刻を時計機能から服薬時刻情報として取得し、
図2に示すように、服薬者による服薬の入力を服薬時刻情報として、受信した機器識別情報に対応するデータベース12に記録する。このように、服薬者はユーザーデバイス11の入力釦14を押すだけというシンプルな操作によって、服薬の実績を管理装置13で記録可能であることから、服薬者の負担を抑制することができる。
【0020】
ここで、データベース12には、管理ソフトウェアが内服時間帯(例えば、6時~9時)にユーザーデバイス11での服薬の入力を検出しない際に服薬未確認の情報を通知する通信機器(本実施の形態では、スマートフォン16、17、18及びパーソナルコンピュータ19)が予め設定可能である。管理装置13は、管理ソフトウェアが内服時間帯に服薬の入力を検出しない際、内服時間帯の終了時刻(例えば、9時)に、予め設定された通信機器及びユーザーデバイス11に対し服薬未確認の情報を通知する。
【0021】
服薬未確認の情報は、管理装置13からユーザーデバイス11、スマートフォン16、17、18及びパーソナルコンピュータ19に対しインターネット回線Wを介して送信される。ユーザーデバイス11は服薬未確認の情報を受信すると、一定期間、音発生素子から音を発する。スマートフォン16、17、18及びパーソナルコンピュータ19は、服薬未確認の情報をプッシュ通知やメールで受信する。これによって、服薬者及びその家族は服薬者が服薬時間帯に服薬していないことを知ることができる。
【0022】
データベース12に服薬時刻情報が一定以上蓄積されると、管理ソフトウェアは、実際の服薬パターンを学習して、データベース12に登録されている内服時間帯を調整する。即ち、管理装置13は、内服時間帯をデータベース12に記録されている服薬時刻情報に応じて決定する。
そして、管理装置13は、調整された内服時間帯を基に、予め設定された通信機器及びユーザーデバイス11に服薬未確認の情報を通知する。本実施の形態において、管理ソフトウェアは、内服時間帯以外の時間帯(例えば、15時)に服薬の入力が確認された場合、誤った時間帯に服薬がなされた旨を予め登録された通信機器及びユーザーデバイス11に通知する機能を有している。
【0023】
また、管理ソフトウェアは、データベース12に記録している服薬時刻情報を管理装置13にアクセスした通信機器(例えば、スマートフォン16、17、18及びパーソナルコンピュータ19、20)に閲覧させる機能を有している。管理装置13へのアクセスとは、具体的に、定められたURLをブラウザで開いて、実績服薬者の識別子である文字列を入力することを意味する。よって、管理装置13は、文字列の入力操作がなされた通信機器に対し、データベース12に記録された服薬時刻情報を閲覧させることができる。医療従事者は、パーソナルコンピュータ20により閲覧した服薬時刻情報を、服薬者の治療方針を決定する際の参考にすること等が可能である。
【0024】
ここで、服薬管理システム10を、服用すべきタイミングが定められていない頓服薬の服用の管理にも利用することができる。服薬者が頓服薬を飲む際にユーザーデバイス11の入力釦14を押すことにより、服薬した事実が服薬時刻情報としてデータベース12に記録される。医療従事者は、服薬時刻情報を閲覧して、頓服薬が服用された回数やその時間帯等を知り、これを参考に治療方針を検討することができる。
【0025】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、入力部はタッチキーであってもよい。
また、管理装置は服薬未確認の情報を通知する機能を有さなくてもよい。管理装置が服薬未確認の情報を通知する機能を有する場合、ユーザーデバイスには該当の情報を通知しないように設計することができる。更に、ユーザーデバイスは音発生素子の代わりに、あるいは、音発生素子に加えて、LEDを有し、服薬未確認の情報を受け取った際にLEDを一定期間点滅するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0026】
10:服薬管理システム、11:ユーザーデバイス、12:データベース、13:管理装置、14:入力釦、16、17、18:スマートフォン、19、20:パーソナルコンピュータ、W:インターネット回線