(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052400
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】RFIDラベル及びRFIDラベルの使用方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/073 20060101AFI20220328BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20220328BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20220328BHJP
G09F 3/02 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
G06K19/073 027
G06K19/077 248
G06K19/077 224
G06K19/077 144
G09F3/00 M
G09F3/00 R
G09F3/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158778
(22)【出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新田 晴彦
(57)【要約】
【課題】既にRFIDラベルが貼り付けられた被着体に、別の情報を含むRFIDラベルを付する場合に、別の情報を含む新たなRFIDラベルのみを読み取り可能にすること。
【解決手段】RFIDラベルは、インレイ基材とインレイ基材の一部に形成されたRFIDアンテナとRFIDアンテナに接続されたICチップとを有するRFIDインレイと、RFIDインレイの一方の面にラミネート用粘着剤層を介して積層されたラベル基材と、RFIDインレイの他方の面に形成された被着体用粘着剤層と、を備え、インレイ基材のRFIDアンテナ以外の領域の少なくとも一部に導電性材料を含む遮蔽層が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インレイ基材と前記インレイ基材の一部に形成されたRFIDアンテナと前記RFIDアンテナに接続されたICチップとを有するRFIDインレイと、
前記RFIDインレイの一方の面にラミネート用粘着剤層を介して積層されたラベル基材と、
前記RFIDインレイの他方の面に形成された被着体用粘着剤層と、を備え、
前記インレイ基材の前記RFIDアンテナ以外の領域の少なくとも一部に導電性材料を含む遮蔽層が形成された、
RFIDラベル。
【請求項2】
請求項1に記載のRFIDラベルであって、
前記遮蔽層と前記RFIDアンテナとが前記インレイ基材の同一面に形成された、
RFIDラベル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のRFIDラベルであって、
前記RFIDアンテナと前記遮蔽層は、同一材料である、
RFIDラベル。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のRFIDラベルであって、
前記RFIDアンテナ及び前記遮蔽層は、アルミニウム又は銅である、
RFIDラベル。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載のRFIDラベルであって、
前記RFIDアンテナ及び前記遮蔽層が導電性インキにより形成された、
RFIDラベル。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のRFIDラベルであって、
前記インレイ基材の前記RFIDアンテナの反対面に積層された前記ラベル基材の表面が情報記録面である、
RFIDラベル。
【請求項7】
インレイ基材と前記インレイ基材の一部に形成されたRFIDアンテナと前記RFIDアンテナに接続されたICチップとを有するRFIDインレイと、
前記RFIDインレイに形成された被着体用粘着剤層と、を備え、
前記インレイ基材の前記RFIDアンテナ以外の領域の少なくとも一部に導電性材料を含む遮蔽層が形成された、
RFIDラベル。
【請求項8】
請求項7に記載のRFIDラベルであって、
前記インレイ基材の前記RFIDアンテナが形成された面の反対面が情報記録面である、
RFIDラベル。
【請求項9】
第一のRFIDラベルが貼り付けられた被着体に、第二のRFIDラベルを貼り付けるRFIDラベルの使用方法において、
前記第二のRFIDラベルは、
インレイ基材と前記インレイ基材の一部に形成されたRFIDアンテナと前記RFIDアンテナに接続されたICチップとを有するRFIDインレイと、前記RFIDインレイに形成された被着体用粘着剤層と、を備え、前記インレイ基材の前記RFIDアンテナ以外の領域の少なくとも一部に導電性材料を含む遮蔽層が形成されたRFIDラベルであって、
前記第一のRFIDラベルのRFIDインレイを前記遮蔽層で覆うように前記第一のRFIDラベルに前記第二のRFIDラベルを重ねて貼り付ける、
RFIDラベルの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDラベル及びRFIDラベルの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被着体に関する情報が予め印字されたラベルにおいて、その情報が更新された場合や情報が付加された場合などに、既に被着体に貼り付けられているラベルの上から更新した情報が印字されたラベルを重ねて貼ることにより、既に被着体に貼り付けられたラベルに印字された情報を利用できなくするラベルの使用方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、更新された情報を含んだバーコードが印字されたラベルを、既に貼り付けられたラベルに印字されたバーコードを覆うようにして重ねて貼ることにより、既に貼り付けられたラベルのバーコードを読み取りできなくしている。これにより、被着体に関する情報を更新することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、製品の製造、管理、流通等の分野において、製品に関する情報や識別情報が書き込まれたICチップから非接触通信によって情報を送受するRFID(Radio Frequency Identification)技術に対応した、いわゆる、RFIDタグ、RFIDラベル等のRFID媒体が普及してきている。
【0006】
RFIDラベルの読み取りは、非接触通信で行われる。このため、特許文献1に記載のラベルの使用方法をRFIDラベルに適用した場合には、被着体に複数のRFIDラベルが存在することになり、いずれのRFIDラベルも読み取りができなかったり、所望と異なるRFIDラベルの情報が読み取られたりすることがあった。
【0007】
そこで、本発明は、既にRFIDラベルが貼り付けられた被着体に、別の情報を含むRFIDラベルを付する場合に、別の情報を含む新たなRFIDラベルのみを読み取り可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、インレイ基材と前記インレイ基材の一部に形成されたRFIDアンテナと前記RFIDアンテナに接続されたICチップとを有するRFIDインレイと、前記RFIDインレイの一方の面にラミネート用粘着剤層を介して積層されたラベル基材と、前記RFIDインレイの他方の面に形成された被着体用粘着剤層と、を備え、前記インレイ基材の前記RFIDアンテナ以外の領域の少なくとも一部に導電性材料を含む遮蔽層が形成された、RFIDラベルが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、インレイ基材のRFIDアンテナ以外の領域の少なくとも一部に導電性材料を含む遮蔽層が形成されている。このため、既に貼り付けられたRFIDラベルのRFIDインレイを遮蔽層で覆うように、当該RFIDラベルが被着体に貼り付けられることにより、別の情報を含む当該RFIDラベルのみを読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るRFIDラベルの外観図である。
【
図3】
図3は、RFIDラベルに含まれるRFIDインレイを説明する外観図である。
【
図5】
図5は、被着体としての袋体に第一のRFIDラベルが貼り付けられている状態を説明する模式図である。
【
図6】
図6は、袋体において、第一のRFIDラベルに第二のRFIDラベルが重ねて貼り付けられている状態を説明する模式図である。
【
図7】
図7は、円筒形状を有する試験管に第一のRFIDラベルが貼り付けられている状態を説明する模式図である。
【
図8】
図8は、試験管において、第一のRFIDラベルに第二のRFIDラベルが重ねて貼り付けられている状態を説明する模式図である。
【
図9】
図9は、第一変形例に係るRFIDラベルの断面図である。
【
図10】
図10は、第二変形例に係るRFIDラベルの断面図である。
【
図11】
図11は、第三変形例に係るRFIDラベルの外観図である。
【
図12】
図12は、第三変形例のRFIDラベルが試験管に貼り付けられている状態を説明する模式図である。
【
図13】
図13は、第四変形例に係るRFIDラベルの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[RFIDラベル]
図1は、本発明の実施形態に係るRFIDラベル10の外観図である。
図2は、
図1のII-II線における断面図である。
【0012】
図3は、RFIDラベル10に含まれるRFIDインレイ6を説明する外観図であり、
図4は、
図3のIV-IV線における断面図である。
【0013】
RFIDラベル10は、アンテナパターン1に、RFID仕様のICチップ5が接続されてなるRFIDインレイ6を備える。
【0014】
アンテナパターン1は、インレイ基材2(以下、基材2と記す)と、基材2に形成されたRFIDアンテナ3と、基材2に形成された遮蔽層4とを備える。
【0015】
RFIDアンテナ3は、RFIDラベル10のラベル幅方向(
図1におけるX方向)に亘って形成されている。
【0016】
また、遮蔽層4は、基材2のRFIDアンテナ3以外の領域に導電性材料を含む材料により形成されている。
【0017】
図2に示されるように、RFIDラベル10は、RFIDインレイ6のICチップ5が配置された面の反対面にラミネート用粘着剤層(以下、第一粘着剤層A1と記す)を介して積層されたラベル基材7を備える。
【0018】
また、RFIDラベル10は、ICチップ5が配置された面に、被着体へ貼り付けるための被着体用粘着剤層(以下、第二粘着剤層A2と記す)を備える。
【0019】
ラベル基材7は、感熱式や熱転写式などにより情報を印字することが可能な印字面を情報記録面として備える。
【0020】
また、RFIDラベル10には、第二粘着剤層A2を介してセパレータSが仮着されている。
【0021】
基材2として適用可能な材料としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート等の樹脂フィルム単体又はこれら樹脂フィルムを複数積層してなる多層フィルムを使用することができる。
【0022】
また、本実施形態においては、基材2として、上記樹脂フィルム基材のほか、厚紙、上質紙、中質紙、又はこれらに塗工層を形成したコート紙等の紙基材を用いることができる。また、基材2として、感熱紙も使用可能である。
【0023】
本実施形態においては、基材2の厚さは、10μm以上300μm以下のものを使用可能である。基材2として紙類を用いる場合には、上記範囲のなかでも、50μm以上260μm以下のものを使用することができ、通常、80μmとすることが好ましい。
【0024】
基材2として樹脂フィルムを用いる場合には、上記範囲のなかでも、25μm以上200μm以下、なかでも、基材2は、厚さ10μm~200μmのものを使用することができる。これらは、用途に応じて、適宜選択可能である。
【0025】
また、RFIDアンテナ3は、導電性材料が含まれた導電性シートによって形成することができる。導電性シートとしては、金属箔を用いることができ、特に、アルミニウム又は銅のシートを用いることができる。また、RFIDアンテナ3は、導電性インキを用いて基材2の所定領域に印刷されていてもよい。
【0026】
図3及び
図4に示されるように、RFIDアンテナ3は、ループ部31と、ICチップ5がマウントされるICチップ接続部32と、ループ部31からラベル幅方向(X方向)に左右対称に延びるメアンダ33,34と、メアンダ33,34の端部に接続されるキャパシタハット35,36とを備える。
【0027】
本実施形態では、RFIDアンテナ3は、一例として、UHF帯(300MHz~3GHz、特に860MHz~960MHz)に対応したアンテナ長さ及びアンテナ線幅になるように設計されたUHF帯RFIDアンテナである。
【0028】
RFIDアンテナ3は、このほか、RFIDの仕様に応じて、マイクロ波(1~30GHz、特に2.4GHz近傍)、及びHF帯(3MHz~30MHz、特に13.56MHz近傍)等の特定の周波数帯に対応したパターンに設計されてもよい。
【0029】
RFIDアンテナ3を形成することのできる金属箔の厚さは、アンテナパターン1の厚さ、或いは、アンテナパターン1を用いて製造されるRFIDラベルの厚さ、及び製造コスト等を考慮して設定することができ、3μm以上50μm以下であることが好ましい。本実施形態においては、製造コストを抑える観点から、一例として、厚さ20μmのアルミニウム箔が用いられる。
【0030】
また、RFIDアンテナ3は、図面には示されていないが、例えば、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の粘着剤や接着剤からなるラミネート用粘着剤層により基材2に接着されている。すなわち、RFIDアンテナ3を基材2に貼り付けるために、第一粘着剤層A1を用いることができる。
【0031】
遮蔽層4は、電波を遮蔽する効果を有し、基材2におけるRFIDアンテナ3が形成された領域以外の領域の一部であって、且つRFIDアンテナ3と同一面に形成されている。
【0032】
例えば、アンテナパターン1をRFIDラベルに用いる場合には、先に、被着体に貼り付けられた別のRFIDラベルのインレイの上に遮蔽層4が重なるように貼り付ける。このことにより、先に貼り付けられたRFIDラベルと読取装置との間の通信を遮蔽することができる。
【0033】
遮蔽層4の電波を遮蔽する効果を有する材料として、導電性材料が含まれた導電性シートによって形成することができる。導電性シートとしては、金属箔、特に、アルミニウム又は銅のシートを用いることができる。また、遮蔽層4は、導電性インキを用いて基材2の所定領域に印刷されていてもよい。遮蔽層4は、上述したRFIDアンテナ3と同一材料から形成することが望ましい。
【0034】
これにより、遮蔽層4を含むRFIDラベルによれば、遮蔽層4が、既に貼り付けられた別のRFIDラベルのRFIDインレイに重ねて貼り付けられることにより、先に貼り付けられた別のRFIDラベルのICチップに記憶された情報を読み取ることができなくなる。
【0035】
ICチップ5は、本実施形態では、UHF帯に対応するものであり、ICチップ5の読取装置であるリーダ(図示されていない)との間で通信可能に設計された半導体パッケージである。
【0036】
ICチップ5は、RFIDアンテナ3のループ部31の一部に設けられたICチップ接続部32に、異方導電性接着剤、異方導電性フィルム等の異方導電性材料によって電気的及び機械的に接続されている。
【0037】
RFIDラベル10において、基材2のICチップ5が搭載された面の反対面には、第一粘着剤層A1によって、ラベル基材7が貼り付けられている。すなわち、第一粘着剤層A1は、ラベル基材7をRFIDインレイ6にラミネートする役割を果たしている。
【0038】
また、RFIDラベル10において、基材2の、ICチップ5が搭載された面には、第二粘着剤層A2によりセパレータSが仮着されている。RFIDラベル10は、セパレータSから剥がされて、第二粘着剤層A2によって被着体に貼り付けることができる。
【0039】
<効果>
本実施形態に係るRFIDラベル10は、電波を遮蔽する効果を有する遮蔽層4を備える。このため、RFIDラベル10の遮蔽層4が、既に被着体に貼り付けられている別のRFIDラベルのRFIDインレイを覆うように重ねて貼り付けられた場合には、別のRFIDラベルのICチップに記憶された情報を読取装置により読み取ることができなくなる。
【0040】
また、遮蔽層4は、RFIDアンテナ3が形成された領域以外の領域に形成されている。このため、RFIDアンテナ3は、遮蔽層4の影響を受けない。したがって、読取装置は、RFIDアンテナ3に接続されたICチップ5に記憶された情報のみを読み取ることができる。
【0041】
[RFIDラベルの使用方法]
続いて、上述したRFIDラベル10の使用方法について説明する。
図5から
図8は、RFIDラベル10の使用方法を説明する図である。
【0042】
図5は、被着体としての袋体P1に第一のRFIDラベル10Aが貼り付けられている状態を説明する模式図であり、
図6は、袋体P1において、第一のRFIDラベル10Aに第二のRFIDラベル10Bが重ねて貼り付けられている状態を説明する模式図である。
【0043】
なお、
図5に示されている第一のRFIDラベル10Aは、RFIDアンテナ101と、RFIDアンテナ101に接続されたICチップ102とを有するRFIDインレイ103を備えた一般的なRFIDラベルである。また、
図6に示されている第二のRFIDラベル10Bは、上述したRFIDラベル10に相当する。
【0044】
本実施形態に係るRFIDラベル10の使用方法では、
図6に示されるように、第二のRFIDラベル10Bが、第一のRFIDラベル10AのRFIDインレイ103を遮蔽層4で覆うようにして、第一のRFIDラベル10Aに重ねて貼り付けられる。
【0045】
これにより、第一のRFIDラベル10AのRFIDアンテナ101に届く電波が遮蔽層4によって遮蔽されるため、第一のRFIDラベル10AのICチップ102に記憶された情報を読取装置により読み取ることができなくなる。
【0046】
また、第二のRFIDラベル10Bにおいて、遮蔽層4は、RFIDアンテナ3が形成された領域以外の領域に形成されている。このため、RFIDアンテナ3は、遮蔽層4の影響を受けない。したがって、読取装置は、RFIDアンテナ3に接続されたICチップ5に記憶された情報のみを読み取ることができる。
【0047】
次に、被着体の別形態として、円筒形状を有する試験管P2に適用される場合について説明する。
【0048】
図7は、円筒形状を有する試験管P2に第一のRFIDラベル10Aが貼り付けられている状態を説明する模式図であり、
図8は、試験管P2において、第一のRFIDラベル10Aに第二のRFIDラベル10Bが重ねて貼り付けられている状態を説明する模式図である。
【0049】
なお、
図7及び
図8においても、
図5及び
図6と同様に、第一のRFIDラベル10Aは、一般的なRFIDラベルであり、第二のRFIDラベル10Bは、上述したRFIDラベル10に相当する。
【0050】
本実施形態に係るRFIDラベル10の使用方法では、
図8に示されるように、試験管P2のような円筒状の被着体に対しても同様に、第二のRFIDラベル10Bが、第一のRFIDラベル10AのRFIDインレイ103を遮蔽層4で覆うようにして、第一のRFIDラベル10Aに重ねて貼り付けられる。
【0051】
これにより、第一のRFIDラベル10AのRFIDアンテナ101に届く電波が遮蔽層4によって遮蔽されるため、第一のRFIDラベル10AのICチップ102に記憶された情報を読取装置により読み取ることができなくなる。
【0052】
また、第二のRFIDラベル10Bの遮蔽層4は、RFIDアンテナ3が形成された領域以外の領域に形成されている。このため、RFIDアンテナ3は、遮蔽層4の影響を受けない。したがって、読取装置は、RFIDアンテナ3に接続されたICチップ5に記憶された情報のみを読み取ることができる。
【0053】
[RFIDラベルの変形例]
<第一変形例>
図9は、第一変形例に係るRFIDラベル20の断面図である。
【0054】
第一変形例は、積層構造がRFIDラベル10のものとは異なっているが、RFIDラベル20の外観は、
図1に示されたRFIDラベル10の外観と同一である。したがって、RFIDラベル20の外観の説明は省略する。また、
図9に示された断面図は、
図1に示されたRFIDラベル10のII-II線と同じ位置でRFIDラベル20を切断した場合の断面図である。
【0055】
第一変形例に係るRFIDラベル20では、RFIDインレイ61において、ラベル基材7が積層される面と第二粘着剤層A2が積層される面とが、RFIDラベル10と逆になっている。
【0056】
すなわち、RFIDラベル20は、
図9に示されるように、アンテナパターン1における基材2のRFIDアンテナ3が形成された面に、ラベル基材7が第一粘着剤層A1を介して積層されており、アンテナパターン1が形成された面の反対面に第二粘着剤層A2が積層されている。そして、RFIDラベル20には、第二粘着剤層A2を介して、セパレータSが仮着されている。
【0057】
RFIDラベル20は、RFIDラベル10とは反対に、基材2におけるICチップ5が搭載された面の反対面を被着体に向けた状態で、被着体に貼り付けられる。
【0058】
第一変形例に係るRFIDラベル20は、電波を遮蔽する効果を有する遮蔽層4を備える。このため、RFIDラベル20の遮蔽層4が、既に被着体に貼り付けられている別のRFIDラベルのRFIDインレイを覆うように重ねて貼り付けられた場合には、別のRFIDラベルのICチップに記憶された情報を読取装置により読み取ることができなくなる。
【0059】
<第二変形例>
図10は、第二変形例に係るRFIDラベル30の断面図である。
【0060】
第二変形例としてのRFIDラベル30は、ラベル基材7を備えない点で、RFIDラベル10と相異する。
【0061】
RFIDラベル30は、ラベルの積層構造がRFIDラベル10とは異なっているが、RFIDラベル30の外観は、
図1に示されたRFIDラベル10の外観と類似である。したがって、RFIDラベル30の外観の説明は省略する。また、
図10に示された断面図は、
図1に示されたRFIDラベル10のII-II線と同じ位置でRFIDラベル30を切断した断面図である。
【0062】
RFIDラベル30は、アンテナパターン12に、RFID仕様のICチップ5が接続されてなるRFIDインレイ62を備える。
【0063】
アンテナパターン12は、基材22と、基材22に形成されたRFIDアンテナ3及び遮蔽層4を備え、アンテナパターン12を構成する基材22に、情報記録面としての印字面が形成されており、基材22の印字面の反対面にRFIDアンテナ3及び遮蔽層4が形成されている。
【0064】
基材22のRFIDアンテナ3が形成された面には、被着体に貼り付けられるための第二粘着剤層A2が積層されており、第二粘着剤層A2を介してセパレータSが仮着されている。したがって、RFIDラベル20は、基材2におけるRFIDアンテナ3及びICチップ5が搭載された面を被着体に向けた状態で、被着体に貼り付けられる。
【0065】
第二変形例に係るRFIDラベル30は、電波を遮蔽する効果を有する遮蔽層4を備える。このため、RFIDラベル30の遮蔽層4が、既に被着体に貼り付けられている別のRFIDラベルのRFIDインレイを覆うように重ねて貼り付けられた場合には、別のRFIDラベルのICチップに記憶された情報を読取装置により読み取ることができなくなる。
【0066】
また、RFIDラベル30は、情報記録面を有する基材22を用いることにより、ラベル基材7が不要になる。これにより、製造コストを低減させることができる。
【0067】
<第三変形例>
図11は、第三変形例に係るRFIDラベル40の外観図である。
【0068】
第三変形例に係るRFIDラベル40は、外観形状がRFIDラベル10と相異する。
【0069】
図11に示されるように、第三変形例のRFIDラベル40は、RFIDアンテナ3が配置されるラベル基部41と、ラベル幅方向であるX方向において、このラベル基部41よりも幅狭に形成されたラベル幅狭部42とを有するL字形状に形成されている。
【0070】
第三変形例に係るRFIDラベル40は、L字形状のアンテナパターン13に、RFID仕様のICチップ5が接続されてなるRFIDインレイ63を備える。
【0071】
アンテナパターン13は、ラベル基部41を形成するインレイ基部23aとラベル幅狭部42を形成するインレイ幅狭部23bとを有するL字形状の基材23と、基材23におけるインレイ基部23aに形成されたRFIDアンテナ3と、基材23におけるインレイ幅狭部23bに形成された遮蔽層43とを備える。
【0072】
RFIDラベル40は、RFIDインレイ63の一方の面にRFIDインレイ63の形状に対応する形状を有するラベル基材73が積層されている。なお、
図11には図示されていないが、RFIDインレイ63の他方の面には、被着体に貼り付けるための第二粘着剤層A2が積層されている。
【0073】
図12は、第三変形例のRFIDラベル40が試験管P2に貼り付けられている状態を説明する模式図である。
【0074】
RFIDラベル40は、L字形状を有するため、試験管P2に貼り付けられた際、
図12に示されるように、幅狭部42のラベル端辺の間に隙間Gが生じる。これにより、試験管P2の内容物が視認可能となる。
【0075】
また、RFIDラベル40は、基部41が試験管P2の全周を覆って貼り付くことにより、重複部Dが形成される。このため、RFIDラベル40は、重複部Dが形成されない場合に比べて、試験管P2の表面から剥がれにくくなる。
【0076】
一例として、被着体が試験管P2の場合には、試験管P2の表面に水分や霜が付着している場合があり、RFIDラベルを貼り付けることが困難である。また、試験管P2の径が特に小径の場合には、RFIDラベルが試験管P2の表面に追従して曲がることが難しくなるため、RFIDラベルが試験管P2から剥がれやすくなるという課題があった。
【0077】
これに対して、第三変形例に係るRFIDラベル40によれば、隙間Gによって内容物の視認性を確保することができるとともに、基部41が重複部Dを有することにより、RFIDラベル40の剥がれにくさを向上できるため、円筒状の試験管P2に好適に適用可能である。
【0078】
なお、RFIDラベル40の積層構造については、
図2に示した構造、
図9及び
図10に示した構造のいずれも採り得る。
【0079】
<第四変形例>
図13は、第四変形例に係るRFIDラベル40の外観図である。
【0080】
第四変形例に係るRFIDラベル50は、外観の形状がRFIDラベル10と相異する。
【0081】
RFIDラベル50は、ラベル幅方向であるX方向における端部の一部にX方向に突出する突出部51を有する。
【0082】
第四変形例に係るRFIDラベル50において、アンテナパターン14は、突出部24aを有する基材24と、基材24に形成されたRFIDアンテナ3と、基材24に形成された遮蔽層4とを備える。
【0083】
RFIDラベル50は、RFIDインレイ64の一方の面にRFIDインレイ64の形状に対応する形状を有するラベル基材74が積層されている。また、
図13には図示されていないが、RFIDインレイ64の他方の面には、被着体に貼り付けるための第二粘着剤層A2が積層されている。
【0084】
RFIDラベル50は、例えば、試験管P2に適用された場合には、試験管P2の全周を覆って、突出部51がRFIDラベル50の一部に貼り付き、
図12に示した例と同様の重複部Dが形成される。このため、RFIDラベル50は、試験管P2の表面から剥がれにくくなる。
【0085】
なお、RFIDラベル50の積層構造については、
図2に示した構造、
図9及び
図10に示した構造のいずれも採り得る。
【0086】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0087】
本実施形態においては、RFIDインレイ6を構成する基材2のRFIDアンテナ3以外の領域の少なくとも一部に導電性材料を含む遮蔽層4が形成されていればよく、RFIDラベルを構成する積層構造については、
図2、
図9及び
図10に示される構造に限定されない。
【0088】
図8においては、第二のRFIDラベル10BにおいてRFIDアンテナ3の延びる方向が試験管P2の周方向に合うように貼り付ける使用方法が説明されている。しかし、第二のRFIDラベル10Bは、RFIDアンテナ3の延びる方向が試験管P2の軸方向に合うように貼り付けられてもよい。
【0089】
本実施形態に係るRFIDラベル10、RFIDラベル20及びRFIDラベル30は、セパレータSが仮着されない、いわゆる台紙なしラベルであってもよい。この場合、RFIDラベル10及びRFIDラベル20においては、ラベル基材7の表面に剥離剤層を設ける。また、RFIDラベル30においては、基材22においてRFIDアンテナ3が形成される面の反対面に剥離剤層を設ける。これにより、セパレータSを不要にできる。
【0090】
図5から
図8においては、第一のRFIDラベル10Aもまた、RFIDラベル10であってもよい。この場合には、遮蔽層4は、RFIDラベル10のRFIDインレイ6を覆うことのできるサイズに設定される。
【0091】
本実施形態において、被着体は、袋体P1又は試験管P2の場合を説明したが、被着体の形態は、これらに限定されない。
【符号の説明】
【0092】
1 アンテナパターン
2 インレイ基材(基材)
3 RFIDアンテナ
4 遮蔽層
5 ICチップ
6 RFIDインレイ
7 ラベル基材
10,10A,10B RFIDラベル
12,13,14 アンテナパターン
20 RFIDラベル
22,23 インレイ基材(基材)
23a インレイ基部
23b インレイ幅狭部
24 基材
24a 突出部
30 RFIDラベル
31 ループ部
32 ICチップ接続部
33,34 メアンダ
35,36 キャパシタハット
40 RFIDラベル
41 ラベル基部
42 ラベル幅狭部
43 遮蔽層
50 RFIDラベル
51 突出部
61,63,64 RFIDインレイ
73,74 ラベル基材
101 RFIDアンテナ
102 ICチップ
103 RFIDインレイ
A1 第一粘着剤層(ラミネート用粘着剤層)
A2 第二粘着剤層(被着体用粘着剤層)
P1 袋体
P2 試験管
S セパレータ