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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052401
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】アンテナパターンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20220328BHJP
   H01P 11/00 20060101ALI20220328BHJP
   B29C 65/48 20060101ALI20220328BHJP
   H01Q 9/42 20060101ALN20220328BHJP
【FI】
G06K19/077 136
G06K19/077 144
G06K19/077 280
H01P11/00
B29C65/48
H01Q9/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158779
(22)【出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新田 晴彦
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AH41
4F211TA03
4F211TJ29
4F211TJ31
4F211TN62
4F211TQ01
(57)【要約】
【課題】電波遮蔽層を容易に形成できるようにすること。
【解決手段】基材と、基材に形成されたRFIDアンテナと、基材におけるRFIDアンテナが形成された領域以外の領域の少なくとも一部に導電性材料によって形成された遮蔽層とを備えたアンテナパターンの製造方法であって、基材の連続体を搬送しながら、基材の連続体に配置されるRFIDアンテナの外周線の内側及び遮蔽層の外周線の内側に粘着剤を配置し、粘着剤が配置された面に導電性シートの連続体を配置し、導電性シートの連続体にRFIDアンテナ及び遮蔽層の形状を切り込み、導電性シートの不要部分を除去する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材に形成されたRFIDアンテナと、前記基材における前記RFIDアンテナが形成された領域以外の領域の少なくとも一部に導電性材料によって形成された遮蔽層とを備えたアンテナパターンの製造方法であって、
前記基材の連続体を搬送しながら、前記基材の連続体に配置される前記RFIDアンテナの外周線の内側及び前記遮蔽層の外周線の内側に粘着剤を配置する粘着剤配置工程と、
前記基材の連続体において前記粘着剤が配置された面に前記導電性材料が含まれた導電性シートの連続体を配置するシート配置工程と、
前記導電性シートの連続体に前記RFIDアンテナ及び前記遮蔽層の形状を切り込む切込工程と、
前記導電性シートの連続体のうち前記RFIDアンテナ及び前記遮蔽層のいずれも構成しない不要部分を除去する除去工程と、
前記基材の連続体に形成された前記RFIDアンテナ及び前記遮蔽層に加圧する加圧工程と、
を備え、
前記粘着剤配置工程において、前記RFIDアンテナ及び前記遮蔽層の外周線と、前記外周線の内側に配置される前記粘着剤との間の余白が搬送方向上流側において広くなるように前記粘着剤の配置位置が位置決めされる、
アンテナパターンの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナパターンの製造方法であって、
前記導電性シートがアルミニウム又は銅から形成された、
アンテナパターンの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアンテナパターンの製造方法であって、
前記除去工程では、前記不要部分を吸引によって除去するアンテナパターンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナパターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の製造、管理、流通等の分野では、製品に関する情報が視認可能に印字されて製品に取り付けられるタグや、製品に関する情報が視認可能に印字されて製品等に貼付されるラベルが用いられている。近年では、識別情報が書き込まれたICチップから非接触通信によって情報を送受するRFID(Radio Frequency Identification)技術が種々の分野に適用されるようになっており、当該分野においても浸透しつつある。
【0003】
このようなRFID仕様のICチップが組み込まれたタグ、ラベル、リストバンド等(以下、RFID媒体という)には、取り付けられる対象物、貼付される対象物、又は装着者(以下、これらを含めて被着体という)に関する情報が視認可能に印字されるとともに、組み込まれたICチップに、被着体に関する様々な情報を記憶することができる。
【0004】
従来、アンテナパターンの製造方法の一例として、基材に積層した金属箔に、アンテナパターンのレジスト層を印刷し、化学的エッチングによってアンテナパターン以外を溶融除去する方法が用いられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-194743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
RFIDラベルに代表されるRFID媒体の読み取りは、非接触通信で行われる。このため、被着体に複数のRFIDラベルが存在する場合には、RFIDラベル同士が干渉し合って、いずれのRFIDラベルも読み取りができなかったり、所望でないRFIDラベルの情報が読み取られたりすることがあった。
【0007】
そこで、不要となったRFIDラベルの情報を読取装置において読み取れなくするための対策が必要となる。
【0008】
一般的に、電波を遮蔽するには、金属等でアンテナを覆うことが考えられる。しかし、被着体に貼り付けられたRFIDラベルに電波を遮蔽するための電波遮蔽層を貼り付け、さらに別のRFIDラベルを貼り付けることは手間がかかる。
【0009】
そこで、本発明は、電波遮蔽層を有するRFIDアンテナパターンを効率よく形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様によれば、基材と、前記基材に形成されたRFIDアンテナと、前記基材における前記RFIDアンテナが形成された領域以外の領域の少なくとも一部に導電性材料によって形成された遮蔽層とを備えたアンテナパターンの製造方法であって、前記基材の連続体を搬送しながら、前記基材の連続体に配置される前記RFIDアンテナの外周線の内側及び前記遮蔽層の外周線の内側に粘着剤を配置する粘着剤配置工程と、前記基材の連続体において前記粘着剤が配置された面に前記導電性材料が含まれた導電性シートの連続体を配置するシート配置工程と、前記導電性シートの連続体に前記RFIDアンテナ及び前記遮蔽層の形状を切り込む切込工程と、前記導電性シートの連続体のうち前記RFIDアンテナ及び前記遮蔽層のいずれも構成しない不要部分を除去する除去工程と、前記基材の連続体に形成された前記RFIDアンテナ及び前記遮蔽層に加圧する加圧工程と、を備え、前記粘着剤配置工程において、前記RFIDアンテナ及び前記遮蔽層の外周線と、前記外周線の内側に配置される前記粘着剤との間の余白が搬送方向上流側において広くなるように、前記粘着剤の配置位置が位置決めされる、アンテナパターンの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明のある態様によれば、基材の連続体を搬送しながら、基材の連続体に配置されるRFIDアンテナの外周線の内側及び遮蔽層の外周線の内側に粘着剤が配置され、粘着剤が配置された面に導電性材料が含まれた導電性シートの連続体が配置され、導電性シートの連続体にRFIDアンテナ及び遮蔽層の形状が切り込まれ、導電性シートの連続体のうちRFIDアンテナ及び遮蔽層のいずれも構成しない不要部分が除去される。このため、電波を遮蔽する遮蔽層を、アンテナパターンを製造する工程において、アンテナパターンとともに容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係るアンテナパターンの製造方法を用いて製造されるアンテナパターンを説明する外観図である。
図2図2は、図1のII-II線における断面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るアンテナパターンの製造方法を実行する製造装置の概略図である。
図4図4は、RFIDアンテナの要部を拡大し、一部を切り欠いて示す部分拡大図である。
図5図5は、遮蔽層の要部を拡大し、一部を切り欠いて示す部分拡大図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係るアンテナパターンを備えたRFIDラベルの一例を、RFIDラベルの一部を切り欠いて説明する外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[アンテナパターン]
図1は、本発明の実施形態に係るアンテナパターンの製造方法を用いて製造されるアンテナパターン1を説明する外観図である。図1に記載された矢印Fは、後述する製造装置100における搬送方向に一致する。また、図2は、図1のII-II線における断面図である。
【0014】
アンテナパターン1は、基材2と、基材2に形成されたRFIDアンテナ3と、基材2に形成された遮蔽層4とを備える。基材2は、後述する図3に示された製造装置100においては、長尺状の連続体Cとなっている。
【0015】
基材2(連続体C)として適用可能な材料としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート等の樹脂フィルム単体又はこれら樹脂フィルムを複数積層してなる多層フィルムを使用することができる。
【0016】
また、本実施形態においては、基材2として、上記樹脂フィルム基材のほか、厚紙、上質紙、中質紙、又はこれらに塗工層を形成したコート紙等の紙基材を用いることができる。また、基材2として、感熱紙も使用可能である。
【0017】
本実施形態においては、基材2の厚さは、10μm以上300μm以下のものを使用可能である。基材として紙類を用いる場合には、上記範囲のなかでも、50μm以上260μm以下のものを使用することができ、通常、80μmとすることが好ましい。
【0018】
また、基材2として樹脂フィルムを用いる場合には、上記範囲のなかでも、25μm以上200μm以下、なかでも、基材2は、厚さ10μm~200μmのものを使用することができる。これらは、用途に応じて、適宜選択可能である。
【0019】
RFIDアンテナ3は、導電性材料が含まれた導電性シートによって形成することができる。導電性シートとしては、金属箔、特に、アルミニウム又は銅のシートを用いることができる。
【0020】
図1及び図2に示されるように、RFIDアンテナ3は、ループ部31と、ICチップ5がマウントされるICチップ接続部32と、ループ部31からRFIDアンテナ3の幅方向に左右対称(X方向)に延びるメアンダ33,34と、メアンダ33,34の端部に接続されるキャパシタハット35,36とを備える。
【0021】
本実施形態では、RFIDアンテナ3は、一例として、UHF帯(300MHz~3GHz、特に860MHz~960MHz)に対応したアンテナ長さ及びアンテナ線幅になるように設計されたUHF帯RFIDアンテナである。
【0022】
RFIDアンテナ3は、このほか、RFIDの仕様に応じて、マイクロ波(1~30GHz、特に2.4GHz近傍)、及びHF帯(3MHz~30MHz、特に13.56MHz近傍)等の特定の周波数帯に対応したパターンに設計されてもよい。
【0023】
RFIDアンテナ3を形成することのできる金属箔の厚さは、アンテナパターン1の厚さ、或いは、アンテナパターン1を用いて製造されるRFIDラベルの厚さ、及び製造コスト等を考慮して設定することができ、3μm以上50μm以下であることが好ましい。本実施形態においては、製造コストを抑える観点から、一例として、厚さ20μmのアルミニウム箔が用いられる。
【0024】
また、RFIDアンテナ3は、図面には示されていないが、例えば、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の粘着剤や接着剤からなるラミネート用粘着剤層により基材2に接着されている。
【0025】
遮蔽層4は、電波を遮蔽する効果を有し、基材2におけるRFIDアンテナ3が形成された領域以外の領域の一部に形成されている。
【0026】
例えば、アンテナパターン1をRFIDラベルに用いる場合には、先に、被着体に貼り付けられた別のRFIDラベルのインレイの上に遮蔽層4が重なるように貼り付ける。このことにより、先に貼り付けられたRFIDラベルと読取装置との間の通信を遮蔽することができる。
【0027】
遮蔽層4の電波を遮蔽する効果を有する材料として、導電性材料が含まれた導電性シートによって形成することができる。導電性シートとしては、金属箔、特に、アルミニウム又は銅のシートを用いることができる。遮蔽層4は、上述したRFIDアンテナ3と同一材料から形成することが望ましい。
【0028】
したがって、遮蔽層4は、RFIDアンテナ3を形成する工程において、RFIDアンテナ3とともに形成することができる。
【0029】
これにより、遮蔽層4を含むRFIDラベルによれば、遮蔽層4を既に貼り付けられたRFIDラベルのRFIDインレイに重ねて貼り付けることにより、先に貼り付けられたRFIDラベルのICチップに記憶された情報を読み取れなくすることができる。
【0030】
[アンテナパターンの製造方法]
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係るアンテナパターンの製造方法について説明する。
【0031】
図3は、本発明の実施形態に係るアンテナパターンの製造方法を実行する製造装置の概略図である。
【0032】
本実施形態に係るアンテナパターン1の製造方法は、図3に示すように、基材2の連続体Cを搬送しながら、基材2の連続体に金属シートの連続体Mを配置し、RFIDアンテナ3及び遮蔽層4の形状を切り抜くというものである。図3における矢印Fは、基材2の連続体Cの搬送方向を示す。
【0033】
アンテナパターン1の製造方法は、連続体Cに粘着剤Aを配置する粘着剤配置工程P1と、連続体Cにおいて粘着剤Aが配置された面に導電性シートとして金属シートの連続体Mを配置する金属シート配置工程P2と、を有する。
【0034】
また、アンテナパターン1の製造方法は、金属シートの連続体MにRFIDアンテナ3及び遮蔽層4の切り込みを形成する切込工程P3と、金属シートの連続体MのうちRFIDアンテナ3及び遮蔽層4のいずれも構成しない不要部分Mbを除去する除去工程P4と、連続体Cに残されたRFIDアンテナ3及び遮蔽層4に加圧する加圧工程P5とを有する。
【0035】
続いて、アンテナパターン1の製造方法における各工程について説明する。
【0036】
粘着剤配置工程P1は、粘着剤配置ユニット110によって実行される。粘着剤配置ユニット110は、粘着剤を貯留する粘着剤タンク111と、粘着剤タンク111から粘着剤を汲み上げる汲上ローラ112と、汲上ローラ112から粘着剤Aを受け取って連続体Cに印刷する版ローラ113と、圧胴114とを有する。また、粘着剤配置ユニット110は、粘着剤Aに紫外光を照射するUVランプ115を有する。
【0037】
粘着剤配置工程P1は、繰り出しローラ101から繰り出された基材2の連続体Cに粘着剤を配置し、紫外線を照射することができる。
【0038】
版ローラ113は、基材2の連続体Cに配置される粘着剤Aの形状に対応する凸状パターン113aが形成された版が版胴に巻き付けられたものである。版ローラ113には、複数の凸状パターン113aが形成されている。複数の凸状パターン113aは、版ローラ113の送り方向と幅方向とに並んで面付けされている。これにより、複数個のアンテナパターン用の粘着剤を同時に連続体Cに印刷できる。各々の凸状パターン113aは、基材2に配置されるRFIDアンテナ3及び遮蔽層4の外周線の内側に収まる形状とされている。
【0039】
連続体Cに配置される粘着剤Aの厚さは、3μm以上25μm以下であることが好ましい。3μm以上であれば、RFIDアンテナ3を粘着する十分な粘着力が得られ、25μm以下であれば、加圧によりRFIDアンテナ3の外周線の外側にはみ出ることがない。この観点から、粘着剤Aの厚さは、より好ましくは、3μm以上10μm以下である。
【0040】
粘着剤配置工程P1において適用可能な粘着剤Aとしては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。本実施形態では、搬送される連続体Cに、フレキソ印刷や凸版印刷によって配置する観点から、紫外線硬化型のアクリル系粘着剤を用いることが好ましい。このほか、スクリーン印刷も適用可能である。
【0041】
粘着剤Aの粘着力は、180°剥離試験(JIS Z 0237)において、500gf/25mm以上であることが好ましく、より好ましくは、800gf/25mm以上であり、さらに好ましくは、1000gf/25mm以上である。粘着力の上限値は、好ましくは、2000gf/25mmである。
【0042】
金属シート配置工程P2は、金属シート配置ユニット120によって実行される。金属シート配置ユニット120は、押圧ローラ121と支持ローラ122とを有する。金属シート配置工程P2では、連続体Cの粘着剤Aが配置された面に連続体Cの搬送路とは別の搬送路によって搬送された金属シートの連続体Mが重ね合わせられ、押圧ローラ121と支持ローラ122との間に挿通されて貼り合わされる。
【0043】
RFIDアンテナ3の外周線の外側及び遮蔽層4の外周線の外側には、粘着剤Aが存在しないため、金属シートの連続体Mは、RFIDアンテナ3及び遮蔽層4を形成する領域以外は、基材の連続体Cに貼着していない。
【0044】
切込工程P3は、切込ユニット130によって実行される。切込ユニット130は、連続体Cに配置された金属シートの連続体MにRFIDアンテナ3及び遮蔽層4の切込を形成するダイロール131と、ダイロール131をバックアップするアンビルローラ132とを有する。
【0045】
ダイロール131の表面には、RFIDアンテナ3の外周線の形状及び遮蔽層4の外周線の形状を有する刃131aが形成されている。刃131aは、フレキシブルダイとすることができる。また、このほかに、彫刻刃、植込刃等で構成することができる。
【0046】
切込ユニット130は、連続体C及び連続体Mからなるワークを挟み込んで連続的に搬送しながら、金属シートの連続体Mに刃131aを食い込ませてRFIDアンテナ3及び遮蔽層4を区画する。これにより、金属シートの連続体Mに切込を形成することができる。
【0047】
除去工程P4は、除去ユニット140によって実行される。除去ユニット140は、ピールローラ141、142を備える。
【0048】
ピールローラ141の一部に金属シートの不要部分Mbを沿わせて搬送方向を変更させるとともに、ピールローラ142の一部にワークを沿わせて、不要部分Mbの搬送方向とは異なる方向に搬送させることにより、連続体C及び連続体Mからなるワークから金属シートの不要部分Mbを引き離す。不要部分Mbは、回収の後、再生加工処理が施され、再び、金属シートの連続体Mとして利用される。
【0049】
また、除去工程P4には、吸引装置143が設けられる。吸引装置143は、ピールローラ141,142による不要部分Mbの引き剥がしによって除去することができなかった不要部分Mbの一部を吸引により除去する。
【0050】
加圧工程P5は、加圧ユニット150によって実行される。加圧ユニット150は、押圧ローラ151と支持ローラ152とを備える。加圧ユニット150では、押圧ローラ151と支持ローラ152との間にワークを挟み込んで加圧することにより、粘着剤Aが連続体Cに配置されたRFIDアンテナ3及び遮蔽層4の全面に亘って押し広げられる。圧力は、2kg・cm以上6kg/cm以下が好ましい。
【0051】
図4は、RFIDアンテナ3の要部を拡大し、一部を切り欠いて示す部分拡大図である。
【0052】
図4に示すアンテナパターン1の拡大部分において、粘着剤AのRFIDアンテナ3の下に位置する部分は、破線で示されている。また、図4において、RFIDアンテナ3の外周線と、RFIDアンテナ3の外周線の内側に配置される粘着剤Aとの間の余白は、mu、md、w1、w2で示されている。
【0053】
本実施形態において、搬送方向上流側の余白muは、搬送方向下流側の余白mdよりも広くなるように粘着剤Aの配置位置が位置決めされる。すなわち、図4において、余白muは、余白mdよりも大きい。
【0054】
図5は、遮蔽層4の要部を拡大し、一部を切り欠いて示す部分拡大図である。
【0055】
図5に示す遮蔽層4の拡大部分において、粘着剤Aの遮蔽層4の下に位置する部分は、破線で示されている。また、図5において、遮蔽層4の外周線と、遮蔽層4の外周線の内側に配置される粘着剤Aとの間の余白は、Mu、Md、W1で示されている。
【0056】
搬送方向上流側の余白Muは、搬送方向下流側の余白Mdよりも広くなるように粘着剤Aの配置位置が位置決めされる。すなわち、図5に示される余白Muは、余白Mdよりも大きい。
【0057】
上述したRFIDアンテナ3の外周線の内側に配置される粘着剤Aとの間の余白が広すぎると、RFIDアンテナ3の縁部分が浮き上がったり、剥がれたりする場合がある。また、余白が狭すぎると、RFIDアンテナ3の外周部から粘着剤Aがはみ出る場合がある。
【0058】
遮蔽層4についても同様に、外周線の内側に配置される粘着剤Aとの間の余白が広すぎると、遮蔽層4の縁部分が浮き上がったり、剥がれたりする場合がある。また、余白が狭すぎると、遮蔽層4の外周部から粘着剤Aがはみ出る場合がある。
【0059】
上記観点から、余白mu(Mu)は、50μm以上300μm以下であることが好ましく、余白md(Md)は、30μm以上100μm以下であることが好ましい(ただし、mu>md(Mu>Md)を満たす)。
【0060】
なお、図4及び図5には示されていないが、粘着剤配置工程P1の前には、粘着剤Aを連続体Cに印刷する際における位置決めと、RFIDアンテナ3及び遮蔽層4の切込を形成する際における切込位置の位置決めのための基準としての基準マークを印刷する工程が実行される。
【0061】
加圧工程P5の後、基材2の連続体CにRFIDアンテナ3が配置されたワークは、巻き取りローラ102に巻き取られる。
【0062】
次に、上述したアンテナパターンの製造方法を実行する製造装置100における動作及びそれによる作用効果について説明する。
【0063】
上述したアンテナパターンの製造方法を実行する製造装置100によれば、繰り出しローラ101から繰り出された基材2の連続体Cは、粘着剤配置工程P1において、版ローラ113と圧胴114との間を通過することにより、RFIDアンテナ3及び遮蔽層4が配置される予定領域であってRFIDアンテナ3及び遮蔽層4の外周線の内側の領域に粘着剤Aが配置される
【0064】
次に、金属シート配置工程P2において、粘着剤Aが配置された連続体Cに、金属シートの連続体Mが重ね合わされる。
【0065】
続いて、切込工程P3において、連続体C及び金属シートの連続体Mからなるワークに、RFIDアンテナ3及び遮蔽層4の外周線の形状の刃131aが形成されたダイロール131によって、RFIDアンテナ3及び遮蔽層4の切込が形成される。
【0066】
次に、除去工程P4において、金属シートの連続体MのうちRFIDアンテナ3を構成しない不要部分Mbが除去される。
【0067】
本実施形態によれば、以上の工程により、遮蔽層4をRFIDアンテナ3とともに形成することができる。
【0068】
続いて、加圧工程P5において、連続体Cに配置されたRFIDアンテナ3及び遮蔽層4に加圧する。
【0069】
本実施形態に係るアンテナパターンの製造方法では、加圧工程P5において、加圧ユニット150が押圧ローラ151と支持ローラ152との間にワークを挟み込んでワークを加圧することにより、粘着剤Aが連続体Cに配置されたRFIDアンテナ3及び遮蔽層4の全面に亘って押し広げられ、RFIDアンテナ3及び遮蔽層4を連続体Cに密着させることができる。
【0070】
また、加圧工程P5では、連続体CにRFIDアンテナ3及び遮蔽層4が配置されたワークが搬送されながら押圧ローラ151と支持ローラ152とで加圧されると、連続体CとRFIDアンテナ3及び遮蔽層4との間に配置された粘着剤Aは、搬送方向上流側に引き延ばされる。
【0071】
このとき、本実施形態に係るアンテナパターンの製造方法では、RFIDアンテナ3及び遮蔽層4の外周線と、外周線の内側に配置される粘着剤Aとの間の余白が、搬送方向上流側において搬送方向下流側よりも広くなるように粘着剤Aが配置されているため、搬送方向上流側に広く設定された余白mu(Mu)に粘着剤Aが引き延ばされても、はみ出すことがない。
【0072】
本実施形態に係るアンテナパターンの製造方法によれば、金属シートの不要部分Mbには、粘着剤Aが付着していないため、不要部分Mbを巻き取る際に、不要部分Mbの巻き取りローラ(図4には図示しない)に不要部分Mbをワークから引き剥がす引剥力を付加する必要がない。
【0073】
したがって、金属シートの不要部分Mbを引き剥がす際に、該引剥力による破断等を考慮することなく、ワークの搬送速度を設定できる。また、金属シートの不要部分Mbには、粘着剤Aが付着しておらず、また粘着剤Aが付着することにより他の異物の付着もないため、回収後の取り扱い性が良好であるとともに、金属シートの再利用性に優れるという利点を有する。
【0074】
[RFIDラベル]
図6は、本発明の実施形態に係るアンテナパターン1を備えたRFIDラベル10の一例を、RFIDラベルの一部を切り欠いて説明する外観図である。
【0075】
RFIDラベル10は、アンテナパターン1にRFID仕様のICチップ5が接続されてなるRFIDインレイ6に、情報記録面としての印字面と、被着体へ貼り付けるための被着体用粘着剤層(後述する第二粘着剤層A2)とが形成されたものである。
【0076】
本実施形態では、ICチップ5は、UHF帯に対応しており、ICチップの読取装置であるリーダ(図示されていない)との間で通信可能に設計された半導体パッケージである。
【0077】
ICチップ5は、RFIDアンテナ3のループ部31の一部に設けられたICチップ接続部32に、異方導電性接着剤、異方導電性フィルム等の異方導電性材料によって電気的及び機械的に接続されている。
【0078】
RFIDラベル10において、基材2のICチップ5が搭載された面には、ラベル基材7がラミネート用粘着剤層(以下、第一粘着剤層A1と記す)によって積層されている。すなわち、第一粘着剤A1は、ラベル基材7をRFIDインレイ6にラミネートする役割を果たしている。
【0079】
また、RFIDラベル10において、基材2の、ICチップ5が搭載された面の反対面には、被着体用粘着剤層(以下、第二粘着剤層A2と記す)によりセパレータSが仮着されている。RFIDラベル10は、セパレータSから剥がされて、第二粘着剤層A2によって被着体に貼着することができる。
【0080】
なお、ラベル基材7は、基材2におけるICチップ5が搭載された面の反対面に配置されていてもよい。この場合には、RFIDラベル10は、基材2におけるICチップ5が搭載された面に第二粘着剤層A2が配置される。そして、RFIDラベル10は、基材2におけるICチップ5が搭載された面を被着体に向けた状態で、被着体に貼り付けられる。
【0081】
また、RFIDラベル10によれば、先に貼り付けられたRFIDラベルのRFIDアンテナを覆うように、遮蔽層4を重ねて貼り付けることにより、先に貼り付けられたRFIDラベルのICチップに記憶された情報を読み取れなくすることができる。
【0082】
RFIDインレイ6に、所定の加工を施すことにより、上記RFIDラベル10のほか、タグ、リストバンド態様等、種々のRFID媒体を形成することができる。
【0083】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0084】
本実施形態に係るアンテナパターンの製造方法において、基材2は、感熱紙であってもよい。また、本実施形態に係るアンテナパターンの製造方法において、粘着剤配置工程P1の前に、基材2の連続体Cへの粘着剤の密着性を高めるために、基材2の連続体Cにアンダーコート層を配置してもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 アンテナパターン
2 基材
3 RFIDアンテナ
4 遮蔽層
5 ICチップ
6 RFIDインレイ
7 ラベル基材
10 RFIDラベル
31 ループ部
32 ICチップ接続部
33,34 メアンダ
35,36 キャパシタハット
100 製造装置
101 繰り出しローラ
102 巻き取りローラ
110 粘着剤配置ユニット
111 粘着剤タンク
112 汲上ローラ
113 版ローラ
113a 凸状パターン
114 圧胴
115 UVランプ
120 金属シート配置ユニット
121 押圧ローラ
122 支持ローラ
130 切込ユニット
131 ダイロール
131a 刃
132 アンビルローラ
140 除去ユニット
141,142 ピールローラ
143 吸引装置
150 加圧ユニット
151 押圧ローラ
152 支持ローラ
P1 粘着剤配置工程
P2 金属シート配置工程
P3 切込工程
P4 除去工程
P5 加圧工程
A 粘着剤
A1 第一粘着剤層(ラミネート用粘着剤層)
A2 第二粘着剤層(被着体用粘着剤層)
C 基材(2)の連続体
F 搬送方向
M 金属シートの連続体
Mb 金属シートの不要部分
mu,md,w1,w2 余白
Mu,Md,W1 余白
図1
図2
図3
図4
図5
図6