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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052506
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】テーブル及びテーブル用遮蔽部材
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/02 20060101AFI20220328BHJP
   A47B 13/00 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
A47B13/02
A47B13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158933
(22)【出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 実
(72)【発明者】
【氏名】海福 恒太
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NQ02
3B053NR04
(57)【要約】
【課題】風合い及び安全性に優れたテーブル用遮蔽部材を提供する。
【解決手段】遮蔽部材12は、天板1の下方に配置されて使用者の大腿部や下半身を隠すものであり、織地や編地等の布帛製である。遮蔽部材12は、遮蔽機能(仕切機能)を有する帯状部14と、その左右両端に設けた取り付け部13とで構成されている。取り付け部13を例えば筒状に形成して支柱2を抱持することにより、遮蔽部材12を左右の支柱2に取り付けることができる。帯状部14はその全高に亙って前後方向に撓み変形するため、テーブルの使用者の脛が帯状部14の下端に当たっても痛みを感じることはなく、安全である。また、帯状部14は負荷が無くなると元の状態に戻るため、変形による美観の悪化は生じない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、前記天板の少なくとも下方に配置された目隠し用の遮蔽部材と、を備え、
前記遮蔽部材は、少なくとも前記天板の下方において左右方向及び上下方向に広がると共に撓み変形可能な帯状部を有し、前記帯状部は、少なくとも下端縁が前後方向の外力によって撓み変形し得るように支持部材によって左右両側から支持されている、
テーブル。
【請求項2】
前記支持部材は左右に配置されており、前記遮蔽部材は、テンション付与手段を介して前記左右の支持部材に張設されている、
請求項1に記載したテーブル。
【請求項3】
前記支持部材は上下方向に長い形態であって左右に配置されている一方、
前記遮蔽部材は、単層又は複層の生地で構成される前記帯状部と、前記帯状部の左右両端に設けた取り付け部とを有しており、前記左右の取り付け部は、筒状の形態になることで前記支持部材を外側から包むようになっており、
前記左右の取り付け部のうち少なくとも一方の取り付け部は、面ファスナ又は他の係脱自在な係止具によって展開状態と筒部状態とに変更自在である、
請求項1又は2に記載したテーブル。
【請求項4】
前記左右の支持部材は、それぞれ前後一対ずつの棒状のフレームで構成され、
前記遮蔽部材の取り付け部は、前後一対の前記フレームを外側から包むように巻かれ、平面視において、前記前後フレームに対応する2点と前記帯状部に連接した1点とを頂点とする略三角形の形態となっている、
請求項3に記載したテーブル。
【請求項5】
前記左右の取り付け部のうち少なくとも一方の取り付け部と前記帯状部とは、上下動するスライダ付きのファスナによって連結されている、
請求項3又は4に記載したテーブル。
【請求項6】
更に、椅子と、前記椅子の使用者が足を載せ得る足載せを備え、
前記遮蔽部材の帯状部は前記足載せよりも上方に配置される、
請求項1~5のいずれかに記載したテーブル。
【請求項7】
前記支持部材は、前記天板を直接的または間接的に支持する天板支持支柱である、
請求項1~6のいずれかに記載したテーブル。
【請求項8】
テーブルにおける天板の上方または下方に配置される目隠し用の遮蔽部材であって、
前記天板の上方または下方において左右方向及び上下方向に広がるように配置される可撓性の帯状部と、前記帯状部を左右両側から支持するように支持部材に取り付けられる取り付け部とを有しており、
前記帯状部は、前記支持部材で支持された状態で少なくとも下端縁が前後方向の外力によって撓み変形し得るように設定されている、
テーブル用遮蔽部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、オフィス等で使用するテーブル及びこれに使用する遮蔽部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人が椅子に腰掛けて使用するテーブルにおいて、天板の下方に目隠し用の幕板を配置することは広く行われている。この幕板は、木製又は金属製のものが多いが、これら木製又は金属製の幕板は硬いため、例えば人の脛が当たると痛いという問題がある。また、重量が重い点や、取り付けが面倒であるといった問題、更には、硬い印象で使用環境の柔和性に欠けるといった問題があった。
【0003】
他方、幕板を布状等の可撓性素材で構成することが提案されており、その例として特許文献1には、幕板(遮蔽用スクリーン)を、天板の下面に設けた回転軸に巻き取りできる巻き上げ式に構成して、幕板の下端縁に心材を取り付けて、心材を左右脚に係止したり、単に垂らしたりできるようにした構成が開示されている。
【0004】
他方、特許文献2には、折り畳み式のテーブルにおいて、幕板の上端と下端とにそれぞれ左右長手の棒材を取り付けて、上端の棒材はブラケットを介して天板に連結し、下端の棒材は脚に連結し、幕板の撓み変形を利用して天板の折り畳みを許容することが開示されている。すなわち、この特許文献2では、テーブルを展開した状態では幕板はピンと張って、テーブルを折り畳んだ状態では、幕板はU形に曲がっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-136349号公報
【特許文献2】特開2000-350622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2の幕板は、木製や金属製の幕板にはない風合いがあって柔らかい印象を与えるが、いずれにしても下端縁に心材、棒材が取り付けられているため、人の脛が幕板の下端縁に当たると痛いという問題があり、この点は、木製や金属板製の幕板と大差ないと云えるが、心材や棒材が曲がってしまうとその後の見栄えが悪くなるという点で、木製や金属製の場合よりも厄介であると云える。
【0007】
また、特許文献1,2の幕板は、上向きに巻き上げたり上下方向に曲がり変形させたりするものであり、使用状態で上下方向に張ることはできても左右方向に張ることはできないが、幕板は一般に左右方向に長いことが多いため、弛みが出やすいという点も懸念される。
【0008】
つまり、特許文献1,2においても、心材や棒材を下方に強く引っ張ると幕板に強いテンションを欠けてピンと張った状態に保持できると云えるが、心材や棒材は左右方向に長いため、左右両端部を下向きに強く引っ張っても当該心材や棒材が曲がり変形して幕板に強いテンションを付与できなくなることが懸念され、従って、弛みが生じやすいと解される。
【0009】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は様々な構成を有しており、その典型例を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明はテーブルに係るもので、
「天板と、前記天板の少なくとも下方に配置された目隠し用の遮蔽部材と、を備え、
前記遮蔽部材は、少なくとも前記天板の下方において左右方向及び上下方向に広がると共に撓み変形可能な帯状部を有し、前記帯状部は、少なくとも下端縁が前後方向の外力によって撓み変形し得るように支持部材によって左右両側から支持されている」
という構成になっている。
【0011】
請求項2の発明は請求項1の展開例であり、
「前記支持部材は左右に配置されており、前記遮蔽部材は、テンション付与手段を介して前記左右の支持部材に張設されている」
という構成になっている。
【0012】
請求項3の発明は請求項1又は2の展開例であり、
「前記支持部材は上下方向に長い形態であって左右に配置されている一方、
前記遮蔽部材は、単層又は複層の生地で構成される前記帯状部と、前記帯状部の左右両端に設けた取り付け部とを有しており、前記左右の取り付け部は、筒状の形態になることで前記支持部材を外側から包むようになっており、
前記左右の取り付け部のうち少なくとも一方の取り付け部は、面ファスナ又は他の係脱自在な係止具によって展開状態と筒部状態とに変更自在である」
という構成になっている。
【0013】
このように、取り付け部を筒状に形成して支持部材に巻いた構造を採用する場合、取り付け部と支持部材との接触面にエラストマー等の摩擦係数が大きい素材からなる可撓性パッド材を介在させると、取り付け部のずり下がりを防止できて好適である。可撓性パッド材は、取り付け部と遮蔽部材とのうちいずれかに取り付けておいてもよいし、遮蔽部材の取り付け作業に際して両者の間に挟み込んでもよい。
【0014】
請求項4の発明は請求項3の発明の展開例であり、
「前記左右の支持部材は、それぞれ前後一対ずつの棒状のフレームで構成され、
前記遮蔽部材の取り付け部は、前後一対の前記フレームを外側から包むように巻かれ、平面視において、前記前後フレームに対応する2点と前記帯状部に連接した1点とを頂点とする略三角形の形態となっている」
という構成になっている。
【0015】
請求項5の発明は請求項3又は4の展開例であり、
「前記左右の取り付け部のうち少なくとも一方の取り付け部と前記帯状部とは、上下動するスライダ付きのファスナによって連結されている」
という構成になっている。
【0016】
請求項6の発明は請求項1~5のいずれかにおいて、
「更に、椅子と、前記椅子の使用者が足を載せ得る足載せを備え、
前記遮蔽部材の帯状部は前記足載せよりも上方に配置される」
という構成になっている。また、請求項7の発明は、請求項1~6のうちのいずれかにおいて、
「前記支持部材は、前記天板を直接的または間接的に支持する天板支持支柱である」
という構成になっている。
【0017】
本願発明は、幕板等の遮蔽部材自体も含んでいる。すなわち、遮蔽部材は、請求項8のとおり、「テーブルにおける天板の上方または下方に配置される目隠し用の遮蔽部材」
であり、この遮蔽部材は、
「前記天板の上方または下方において左右方向及び上下方向に広がるように配置される可撓性の帯状部と、前記帯状部を左右両側から支持するように支持部材に取り付けられる取り付け部とを有しており、
前記帯状部は、前記支持部材で支持された状態で少なくとも下端縁が前後方向の外力によって撓み変形し得るように設定されている」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明では、遮蔽部材は従来の幕板と同様に天板の下方に配置されているため、人が足を伸ばすと脛が遮蔽部材の下端縁に当たることが有り得るが、本願発明の遮蔽部材はその下端縁が前後動するように撓み変形するため、脛が遮蔽部材の下端縁に当たっても人が悼みを感じることはない。従って、ユーザーフレンドリーである。
【0019】
また、人の足が離れると遮蔽部材は元の状態に戻るため、遮蔽部材が変形したままになって美観を損なうようなことはない。従って、可撓性の素材の風合いは保持したまま、形態の安定性を長期に亙って維持できる。この点も本願発明の大きな利点である。
【0020】
更に、遮蔽部材は左右両側から支持されているため、遮蔽部材が左右方向に長い形態であっても全体に強いテンションを掛けることが可能であり、従って、ピンと張った状態を長期に亙って保持して商品価値を向上できる。特に、請求項2のようにテンション付与手段を設けると、ピンと張った状態の保持を確実化できて好適である。
【0021】
遮蔽部材を支持部材に取り付けるに当たっては様々な構造を採用できるが、請求項3のように、筒状の取り付け部によって支持部材を抱持する態様を採用すると、テーブルの脚を支持部材としてそのまま使用できるため、構造を簡単化できると共に、既存のテーブルへの取り付けも容易で汎用性に優れている。
【0022】
また、ビス等の固定手段は要しないため作業は容易であり、更に、少なくとも一方の取り付け部は面ファスナ等の係止具によって筒状に保持されているため、作業を迅速に行える。特に、左右の取り付け部を係止具によって筒状に保持する構造にすると、作業性を格段に向上できて好適である。
【0023】
請求項3において、左右の支持部材は1本ずつの態様でもよいが、請求項4のように左右の支持部材をそれぞれ前後2本のフレーム材で構成して取り付け部を平面視略三角形の形態に形成すると、取り付け部と支持部材との接触面積が大きくなるため、支持強度を向上できると共に、取り付け部を遮蔽部材に巻いただけでもずり下がり不能に保持できる利点がある。
【0024】
また、取り付け部はテーブルの左右側面部において前後方向に広がりを持つため、例えばテーブルが棒足方式である場合、側方からの視線を遮る機能を発揮させることもできる。従って、遮蔽機能の向上にも貢献可能である。
【0025】
更に、取り付け部は平面視三角形状であることによって3つのシート面を有するが、帯状部と繋がった2つの面状部を引っ張り代として利用することによって帯状部に強いテンションを付与できるため、遮蔽部材を張った状態に保持して商品価値を向上できる。この点は、請求項4の大きな利点の一つである。
【0026】
そして、請求項3又は4のように取り付け部を筒状に形成した場合において、帯状部をピンと張った状態に保持しつつ筒状の取り付け部を支持部材に取り付けるのは面倒である場合があるが、請求項5の構成を採用すると、取り付け部と帯状部とが上端のみ又は下端のみで繋がった状態で取り付け部を支持部材に取り付けてから、スライダを引いてファスナによって取り付け部と帯状部とを全高に亙って連結することにより、帯状部をピンと張った状態に保持できる。
【0027】
従って、請求項5の構成を採用すると、遮蔽部材を、取り付けの容易性を確保しつつピンと張った状態に保持できる利点がある。
【0028】
テーブルは高さが異なるものが使用されており、例えば高さが900mm以上のハイテーブルと呼ばれるものも多く使用されている。このようなハイテーブルでは、人が床に足を着けて椅子にいわゆるチョイ掛けしてテーブルを使用することも行われているが、請求項6のように足載せを設けると、椅子に深く腰掛けた状態でテーブルを使用できるため、使用者の身体的負担を軽減できる利点がある。
【0029】
そして、ハイテーブルでは天板の下方の空間の視認性が高くなるため、人が椅子に深く腰掛けて足載せを使用する場合は遮蔽(目隠し)の必要性が高くなるが、請求項6のように遮蔽部材と足載せとを組み合わせると、他人の視線を遮って安心した状態でハイテーブルを使用できる。
【0030】
支持部材は、例えば天板の下面に取り付けるなど様々な態様を採用できるが、請求項7のようにテーブルの支柱を支持部材(フレーム材)として利用すると、既述のとおり、構造を簡素化できると共に、既存のテーブルにも取り付けできて汎用性に優れている。すなわち請求項7では、構造の簡素化と汎用性確保とを確実化できる効果がある。
【0031】
請求項8の発明は遮蔽部材自体に係るものであり、天板の下方に配置する遮蔽部材に適用すると、請求項1の効果をそのまま享受できる。他方、人が相対向して使用できるテーブルにおいて、天板の上方の空間を左右長手の机上パネルで遮ることが行われており、本願請求項8では、机上パネルを遮蔽部材に置き換えることができるが、この場合、人の手が遮蔽部材に当たっても痛みは感じないため、安全である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】第1実施形態を示す図で、(A)は斜視図、(B)は側面図、(C)は正面図、(D)は裏返した状態の部分斜視図である。
図2】(A)は第1実施形態の分離し斜視図、(B)は遮蔽部材の斜視図である。
図3】(A)は図1(C)のIII-III 視断面図、(B)は遮蔽部材の取り付け途中での正面図、(C)は(A)のC-C視断面図である。
図4】(A)は第2実施形態の要部斜視図、(B)は第3実施形態の要部斜視図、(C)は第3実施形態の変形例の平断面図である。
図5】第4実施形態の部分斜視図である。
図6】第5実施形態の平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本願では方向を特定するため前後左右の文言を使用するが、この文言は、普通に使用している人から見た方向を基準にしている。
【0034】
(1).第1実施形態の基本構造
まず、図1~3に示す第1実施形態を説明する。 図1(A)や図2(A)のとおり、テーブルは、左右横長の木製天板1と、天板1の左右両端部を支持する前後一対ずつの支柱(脚)2とを備えており、左右の支柱2は、それぞれ前後長手の接地フレーム3に固定されている。左右の接地フレーム3は前後方向に長く延びており、左右接地フレーム3の前後延出部に正面視門型の台フレーム4を固定、前後台フレーム4に座板5を固定している。従って、本実施形態のテーブルは椅子付きの形態になっているが、椅子を備えていない態様であってもよい。
【0035】
台フレーム4は、平面視横長長方形の上水平枠を前後左右の縦枠で支持した構造になっているが、他の様々な形態も採用できる。また、座板5は左右長手のベンチ方式になっているが、複数の個別シートを左右に並設してもよい。なお、天板1の一端部には液晶式等のモニター6を取り付けている。モニター6は、天板の下部にて固定されたモニター支持アームを介して支持されている。モニター支持アーム6aは、断面四角形の管材を曲げ形成したものであり、天板1の下面に沿う水平部と、天板1の一端部側で垂直に起立する垂直部と、水平部と垂直部を繋ぐ湾曲部と、を有する正面視L字状の形態であり、水平部が天板1の下面および/又は上枠体11の側面にビス等の締結部材(図示せず)で固定され、垂直部にモニター6が固定されている。
【0036】
本実施形態のテーブルは高さが900mm以上のハイテーブルであり、そこで、左右の前支柱2と後ろ支柱2との下部に平面視コ字形のステップフレーム7を固定し、ステップフレーム7によって足載せ8を支持している。図3(C)に示すように、前後のステップフレーム7は相対向した方向に延びるフランジ9を備えており、フランジ9で足載せ8を支持している。足載せ8の上面は、ステップフレーム7の上面よりも少し低くなっている(段落ちしている。)。足載せ8は、金属板製又は木製若しくは合成樹脂製である。
【0037】
足載せ8の左右長さは、ステップフレーム7の左右内側面間の間隔よりも小さい寸法に設定している。このため、足載せ8の左右両側方に、上下に開口した空間10が空いている。足載せ8は人の靴が載るため、足載せ8に砂や泥が残ることが有り得るが、このように上下開口の空間10を形成すると、足載せ8の上面がステップフレーム7の上面より低くなっていても、箒やモップによって泥や泥を床に掃き落とすことができるため、美観の悪化を防止できる。
【0038】
図3(C)に一点鎖線で示すように、両者を同じ高さに設定してもよいのであり、この場合は、空間10を形成しなくても泥や砂を容易に掃き落としできる。空間10を設ける場合、左右片側のみに設けたり、左右中間部に設けたりすることも可能である。足載せ8はステップフレーム7にビス等で固定してもよいし、単に載せただけでもよいし、左右動しないように位置決めできつつ着脱自在であってもよい。
【0039】
図1(D)や図2(A)のとおり、左右の前後支柱2には平面視長方形の上枠体11が固定されており、天板1は上枠体11にビス(図示せず)で固定されていると共に、支柱2は上枠体11に溶接等で固定されている。
【0040】
(2).遮蔽部材
そして、左右支柱2の上部に、織地や編地等の可撓性布帛から成る目隠し用の遮蔽部材12を装架している。遮蔽部材12は、請求項に記載したフレーム材の一例である前後の支柱2を抱持する左右の取り付け部13と、左右の取り付け部13に連結された帯状部14とを備えており、取り付け部13は平面視三角形の形態を成して、三角形の頂点を成す縁部に、帯状部14がスライドファスナ15を介して連結されている。
【0041】
図1(B)に示すように、遮蔽部材12の下端は概ね座板5と同じ程度の高さになっており、遮蔽部材12は左右長手の姿勢になっている。テーブルは高さが高いため、天板1の下方の空間の視認性が広がるが、人の視線は斜め下方に向かうため、遮蔽部材12の下端を座板5の上面と同じ程度の高さに設定しておくと、人が天板1の下方の空間に視線を向けても、使用者の大腿部が見えることはない。従って、スカートを履いた女性でも安心して使用できる。
【0042】
また、遮蔽部材12の下端が低すぎると、使用者の足が遮蔽部材12に当たりやすくなるが、遮蔽部材12の下端を座板5の高さ程度に設定しておくと、足が遮蔽部材12に当たることを抑制できる。結局、本実施形態では、遮蔽部材12の下端は、必要にして十分な高さに設定されていると云える。遮蔽部材12の上端は上枠体11に当接又は近接しているが、上枠体11と遮蔽部材12との間に間隔を空けることも可能である。
【0043】
スライドファスナ15はよく知られたものであり、多数のエレメントが固定された一対のテープ15aと、両テープ15aのエレメントを係脱させるスライダ15bとを有しており、一方のテープ15aは帯状部14に逢着等で固定されて、他方のテープ15aは取り付け部13に縫着等で固定されている。そして、図3に示すように、取り付け部13は、スライドファスナ15における他方のテープ15aから分岐したロングフラップ(第1フラップ)13aとショートフラップ(第2フラップ)13bとを有しており、ロングフラップ13aを支柱2に外側から巻いてのち、ロングフラップ13aの先端側部位をショートフラップ13bに重ね合わせて連結することにより、取り付け部13を筒状の形態と成している。
【0044】
ロングフラップ13aとショートフラップ13bとを連結する係止具として、両者の合わせ面に係脱自在な面ファスナを設けている。従って、ロングフラップ13aとショートフラップ13bとは、互いに重ね合わせたり引き剥がしたりして自在に連結・分離させることができる。係止具としては、鉤状フックやハトメ状フックなど様々な組み合わせを使用できるが、実施形態のように面ファスナを使用すると、連結・分離の作業をワンタッチ的に簡単に行える。また、取り付け部13と帯状部14とを全高に亙って間断無く連結できるため、帯状部14に皺や弛みが発生することを防止できる利点もある。
【0045】
以上の構成において、テーブルの使用者が足を伸ばして脛が帯状部14の下端に当たることが有り得るが、帯状部14の下端には心材は入っておらず容易に撓み変形するため、人が痛みを感じることはない。従って、安全性に優れている。また、人の足が帯状部14に当たっても音は発生しないため、静粛性にも優れている。また、遮蔽部材12は織地や編地のような布帛からなっていて柔らかい風合いがあるため、見た目もよい。
【0046】
遮蔽部材12の取り付けは、図3に示すように、一方又は両方のファスナ15を上端部のみ連結した状態にしてから、左右の取り付け部13のロングフラップ13aを前後支柱2に外側から巻いてショートフラップ13bに重ねることで当該取り付け部13を筒状に形成し、次いで、図3(B)に矢印で示すようにファスナ15のスライダ15bを下方に引いて取り付け部13と帯状部14とを全高にわたって連結したらよい。
【0047】
さて、遮蔽部材12の取り付け作業において、左右両取り付け部13のうちまず一方の取り付け部13を支柱2に巻いてから、他方の取り付け部13を支柱2に巻くことになるが、仮に、左右取り付け部13が全高に亙って帯状部14と連結されていると、他方の取り付け部13を支柱2に巻くに際して、帯状部14を全高に亙って引っ張る手がかりがないため、帯状部14をピンと張った状態でロングフラップ13aをショートフラップ13bに重ね合わせることが厄介であり、このため、遮蔽部材12をピンと張った状態に取り付けることが厄介である。
【0048】
これに対して本実施形態のように、取り付け部13と帯状部14とをファスナ15で連結しておくと、帯状部14の上端のみを張った状態であると、他方の取り付け部13のロングフラップ13aをショートフラップ13bに正確に重ね合わせることを容易に行うことができ、かつ、スライダ15bを引いてファスナ15を全高に亙って結合することにより、取り付け部13と帯状部14とを全高さに亙って引き寄せることができる。従って、遮蔽部材12を張った状態に取り付けることを容易に実現できる。
【0049】
実施形態では、取り付け部13はロングフラップ13aとショートフラップ13bとで構成したが、同じ程度の長さのフラップで構成して、支柱2の外側で互いに重ね合わせることも可能である。但し、本実施形態のように両フラップ13a,13bを支柱2の内側で重ね合わせると、重ね合わせ状態が外から見えないため見た目がよいと共に、物が当たって剥がれることも防止できる利点がある。
【0050】
遮蔽部材12のずり下がり防止手段として、支柱2とロングフラップ13aとの間にエラストマー等の高摩擦材を介在させてもよい。或いは、支柱2とロングフラップ13aとを両面粘着テープによって接合してもよい。この場合は、取り付け部13を支柱2の所定高さに保持できるため、作業性を向上できると云える。
【0051】
(3).他の実施形態
次に、図4,5に示す他の実施形態を説明する。図4(A)に示す第2実施形態では、テーブルは前後に離反した支柱2を備えて、前後支柱2に上下の横桟16が連結されている一方、遮蔽部材12の取り付け部13は縦長のバー17に巻き付け保持されており、バー17の上下露出部がジョイント材18を介して横桟16に連結されている。
【0052】
ジョイント材18としてビスを使用した場合は、ビスを横桟16に外側から挿通してバー17にねじ込むことになる。この場合、ビスでバー17を引き寄せることができるため、遮蔽部材12をピンと張った状態に簡単に保持できる。ジョイント材18として引っ張りばねを使用することもできる。或いは、ジョイント材18として紐材やクランプ材を使用し、バー17を横桟16に縛り固定することも可能である。
【0053】
このようにバー17を使用することは、第1実施形態のように2本の支柱2を備えたテーブルや、前後中間部に1本の支柱2を設けたテーブルにも適用できる。
【0054】
図4(B)に示す第3実施形態では、支持部材として天板1の下面に左右の支持ロッド19を固定し、支持ロッド19に遮蔽部材12の取り付け部13を被嵌している。支持ロッド19は上端にフランジ19aを設けており、フランジ19aが支柱2にビスで固定されている。第1実施形態のように上枠体11を備えている場合は、支持ロッド19を上枠体11に固定することも可能である。
【0055】
この第3実施形態の変形例として、図3(C)では、支持ロッド19に肉厚が周方向に異なった偏心カム20を被嵌している。この例では、偏心カム20を回転させることにより、遮蔽部材12をピンと張った状態に保持できる。偏心カム20は、ボールキャッチなどの係合手段で姿勢を保持してもよいし、ビスで回転不能に固定してもよい。
【0056】
図5に示す第4実施形態は請求項8の具体例であり、天板1の上方に、机上パネルの代わりとして遮蔽部材23を配置している。すなわち、天板1の上方に棚板21が左右2本ずつの支柱22で支持されている構成において、左右の支柱22に、第1実施形態と同様の形態の机上用遮蔽部材23を取り付けている。
【0057】
この実施形態では、遮蔽部材23の下方に、相対向した人のどちらも使用できるコンセント24が配置されている。そして、例えばプラグをコンセント24に抜き差しするに際して、人の手が帯状部14の下端に当たることが有り得るが、帯状部14はその全体が前後方向に撓み変形するため、人が痛みを感じることはなくて安全性に優れている。
【0058】
上記の各実施形態では取り付け部13を筒状に形成したが、図6に示す第5実施形態では、取り付け部25は樹脂テープなどで帯状又は棒状に形成されており、帯状部14の左右両端に縫着や溶着等で固定されている。そして、帯状部14の左右両端部は支柱等の支持部材26に形成された溝27に嵌まっており、取り付け部13がストッパーになって帯状部14を張った状態に保持している。
【0059】
支持部材26の下端には取り付け部13の落下を阻止するキャップ28を取り付けており、キャップ28に、溝27に嵌まるスペーサ28aを設けることにより、溝27の幅を一定に保持している。この図6の実施形態から理解できるように、遮蔽部材12において、少なくとも帯状部14が可撓性を備えていたら足りるのであり、取り付け部13は硬質の部材から成っていてもよい。
【0060】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は、他にも様々に具体化できる。例えば、遮蔽部材を積層構造に形成することができる。この場合は、遮蔽部材の全体を積層構造に形成してもよいし、帯状部のみ又は取り付け部のみを積層構造に形成することも可能である。
【0061】
また、片面使用のテーブルの場合は、遮蔽部材は天板の後端部の下方に配置したらよい。更に、本願発明は折り畳み式のテーブルにも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本願発明は、テーブルに具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0063】
1 天板
2 支持部材(フレーム材)を兼用する支柱(脚)
5 座板
7 ステップフレーム
8 足載せ
11 上枠体
12,23 遮蔽部材
13 取り付け部
13a,13b フラップ
15 スライドファスナ
22 支持部材を兼用する机上支柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6