(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052559
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】印刷システムおよびプリンタ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20220328BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220328BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
G06F3/12 353
G06F3/12 304
G06F3/12 319
G06F3/12 321
G06F3/12 357
G06F3/12 358
G06F3/12 385
H04N1/00 127B
B41J29/38 202
B41J29/38 201
B41J29/38 104
B41J29/38 204
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020159012
(22)【出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 奨
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061HK05
2C061HK19
2C061HM00
2C061HN04
2C061HN05
2C061HN15
2C061HT03
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC15
5C062AC22
5C062AC34
(57)【要約】
【課題】 予め決められた印刷設定となる特定モードを有するプリンタを有する印刷システムにおいて、ユーザが意図しない印刷が行われる機会を低減すること。
【解決手段】複合機2は、印刷ジョブを受け付けると、メモリ12に記憶された印刷パラメータを用いて印刷を実行する。複合機2は、操作パネル16を介してエコモードをオンにする指示を受け付けた場合、エコモードの設定情報に従って、メモリ12に記憶される印刷パラメータのうちエコモード対象項目のパラメータをエコモード用のエコ値に変更する。複合機2は、プリンタドライバ4から受信した印刷ジョブの印刷を行う場合、受信した印刷ジョブにエコモードの指定があれば、エコモード対象項目のパラメータをエコ値とする印刷パラメータを用いて印刷を行う。一方、複合機2は、受信した印刷ジョブにエコモードの指定がなければ、メモリ12に記憶される印刷パラメータを用いて印刷を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタと、前記プリンタに対応するプリンタドライバがインストールされた第1情報処理装置と、を備える印刷システムであって、
前記プリンタのメモリには、
複数の印刷設定項目のパラメータを有する印刷パラメータが記憶されており、
前記プリンタは、
前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いて印刷を行い、
さらに前記プリンタの前記メモリには、
特定モードがオンになった際に前記メモリに記憶される前記印刷パラメータのうち前記特定モードに関連する前記印刷設定項目である特定項目のパラメータを前記特定モードに対応するパラメータに変更するか否かを示す設定情報が記憶されており、
前記プリンタは、
前記プリンタのユーザインタフェースを介して前記特定モードをオンにする指示を受け付けた場合、前記設定情報に従って、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータのうち前記特定項目のパラメータを、前記特定モードに対応するパラメータに変更し、
さらに前記プリンタは、
前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いた印刷のうち、前記プリンタドライバから受信した印刷ジョブの印刷の場合、受信した前記印刷ジョブに前記特定モードの指定があれば、前記特定項目のパラメータを前記特定モードに対応するパラメータとする印刷パラメータを用いて印刷を行い、受信した前記印刷ジョブに前記特定モードの指定がなければ、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いて印刷を行う、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
請求項1に記載する印刷システムにおいて、
前記第1情報処理装置の前記プリンタドライバは、
前記第1情報処理装置のユーザインタフェースを介して前記特定モードの指定を受け付け、
さらに前記第1情報処理装置の前記プリンタドライバは、
前記特定モードの指定を受け付けた後であって、前記特定モードの指定がある前記印刷ジョブが前記第1情報処理装置から前記プリンタに送信される前に、前記プリンタが用いる印刷パラメータの複数の印刷設定項目のうち前記特定項目を、前記特定モードに対応するパラメータと対応付けて、前記第1情報処理装置の表示デバイスに表示させる、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する印刷システムにおいて、
第2情報処理装置を備え、
前記第2情報処理装置は、
第1画面を表示することが可能であり、前記第1画面では、前記プリンタでの印刷に用いられる印刷パラメータの設定を、前記第2情報処理装置のユーザインタフェースを介して受け付け、前記印刷パラメータは、複数の印刷設定項目を有し、前記複数の印刷設定項目には、前記プリンタで前記特定モードがオンになったとき、前記特定モードに対応するパラメータに変更される可能性がある特定項目が含まれ、前記第1画面における前記特定項目に設定可能なパラメータは、前記特定モードに対応するパラメータに限定されず、
さらに前記第2情報処理装置は、
第2画面を表示することが可能であり、前記第2画面では、前記特定項目について前記特定モードに対応するパラメータに変更するか否かを示す変更設定を、前記第2情報処理装置のユーザインタフェースを介して受け付け、
さらに前記第2情報処理装置は、
前記第1画面において、前記第1画面での設定内容を前記プリンタに反映する指示を、前記第2情報処理装置のユーザインタフェースを介して受け付けた場合、前記第1画面にて受け付けられた前記印刷パラメータの設定に従って、前記プリンタに記憶されている前記印刷パラメータを変更し、
さらに前記第2情報処理装置は、
前記特定モードに対応するパラメータを反映する状態になっていれば、前記第2画面において、前記第2画面での設定内容を前記プリンタに反映する指示を、前記第2情報処理装置のユーザインタフェースを介して受け付けた場合、前記第2画面にて受け付けられた前記変更設定に従って、前記プリンタに記憶されている前記印刷パラメータのうち前記特定項目のパラメータを、前記特定モードに対応するパラメータに変更し、前記特定モードに対応するパラメータを反映する状態になっていなければ、前記第2画面での設定内容を前記プリンタに反映する前記指示を無効にする、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
請求項3に記載する印刷システムにおいて、
さらに前記第2情報処理装置は、
前記第2画面において、前記第2画面での設定内容を前記プリンタに反映する前記指示を受け付けた場合、前記特定モードに対応するパラメータを反映する状態になっていれば、前記プリンタに記憶されている前記印刷パラメータのうち前記特定項目について、前記特定モードに対応するパラメータに変更することを示す前記変更設定を受け付けていれば、前記特定モードに対応するパラメータに変更し、前記特定モードに対応するパラメータに変更しないことを示す前記変更設定を受け付けていれば、あらかじめ設定されている初期パラメータに変更し、前記特定モードに対応するパラメータを反映する状態になっていなければ、前記プリンタに記憶されている前記印刷パラメータのうち前記特定項目のパラメータを変更しない、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
請求項3に記載する印刷システムにおいて、
さらに前記第2情報処理装置は、
前記第2画面において、前記第2画面での設定内容を前記プリンタに反映する前記指示を受け付けた場合、前記特定モードに対応するパラメータを反映する状態になっていれば、前記プリンタに記憶されている前記印刷パラメータのうち前記特定項目について、前記特定モードに対応するパラメータに変更することを示す前記変更設定を受け付けていれば、前記特定モードに対応するパラメータに変更し、前記特定モードに対応するパラメータに変更しないことを示す前記変更設定を受け付けていれば、変更せず、前記特定モードに対応するパラメータを反映する状態になっていなければ、前記プリンタに記憶されている前記印刷パラメータのうち前記特定項目のパラメータを変更しない、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
印刷ユニットと、
ユーザインタフェースと、
外部インタフェースと、
メモリと、
コンピュータと、
を備え、
前記メモリには、
複数の印刷設定項目のパラメータを有する印刷パラメータが記憶されており、
前記コンピュータは、
前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いて、前記印刷ユニットに印刷を行わせ、
さらに前記メモリには、
特定モードがオンになった際に前記メモリに記憶される前記印刷パラメータのうち前記特定モードに関連する前記印刷設定項目である特定項目のパラメータを前記特定モードに対応するパラメータに変更するか否かを示す設定情報が記憶されており、
前記コンピュータは、
前記ユーザインタフェースを介して前記特定モードをオンにする指示を受け付けた場合、前記設定情報に従って、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータのうち前記特定項目のパラメータを、前記特定モードに対応するパラメータに変更し、
さらに前記コンピュータは、
前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いた印刷のうち、前記外部インタフェースを介して取得した印刷ジョブの印刷の場合、取得した前記印刷ジョブに前記特定モードの指定があれば、前記特定項目のパラメータを前記特定モードに対応するパラメータとする印刷パラメータを用いて前記印刷ユニットに印刷を行わせ、取得した前記印刷ジョブに前記特定モードの指定がなければ、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いて前記印刷ユニットに印刷を行わせる、
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項7】
請求項6に記載するプリンタにおいて、
前記特定モードに対応するパラメータは、前記特定モードに対応するパラメータと異なるパラメータが設定される場合と比較して、印刷における消費電力と資源消費量との少なくとも一方が少ない、
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載するプリンタにおいて、
読取ユニットを備え、
さらに前記コンピュータは、
前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いた印刷のうち、前記読取ユニットに読み取られた原稿の画像に基づく印刷を行う印刷ジョブの場合、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いて、前記印刷ユニットに印刷を行わせ、前記外部インタフェースを介して取得した印刷ジョブの印刷の場合、取得した前記印刷ジョブに前記特定モードの指定があれば、前記特定項目のパラメータを前記特定モードに対応するパラメータとする印刷パラメータを用いて前記印刷ユニットに印刷を行わせ、取得した前記印刷ジョブに前記特定モードの指定がなければ、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いて前記印刷ユニットに印刷を行わせる、
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項9】
請求項6または請求項7に記載するプリンタにおいて、
さらに前記コンピュータは、
前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いた印刷のうち、外部デバイスに記憶される画像である外部画像であって、前記ユーザインタフェースを介して印刷指示される前記外部画像に基づく印刷を行う印刷ジョブの場合、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いて、前記印刷ユニットに印刷を行わせ、前記外部インタフェースを介して取得した印刷ジョブの印刷の場合、取得した前記印刷ジョブに前記特定モードの指定があれば、前記特定項目のパラメータを前記特定モードに対応するパラメータとする印刷パラメータを用いて前記印刷ユニットに印刷を行わせ、取得した前記印刷ジョブに前記特定モードの指定がなければ、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いて前記印刷ユニットに印刷を行わせる、
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項10】
請求項9に記載するプリンタにおいて、
さらに前記コンピュータは、
前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いた印刷のうち、前記外部画像に基づく印刷を行う前記印刷ジョブの場合、前記印刷ジョブに前記特定モードの指定がなければ、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いて、前記印刷ユニットに印刷を行わせ、前記印刷ジョブに特定モードの指定があれば、前記特定項目のパラメータを前記特定モードに対応するパラメータとする印刷パラメータを用いて前記印刷ユニットに印刷を行わせ、前記外部インタフェースを介して取得した印刷ジョブの印刷の場合、取得した前記印刷ジョブに前記特定モードの指定があれば、前記特定項目のパラメータを前記特定モードに対応するパラメータとする印刷パラメータを用いて前記印刷ユニットに印刷を行わせ、取得した前記印刷ジョブに前記特定モードの指定がなければ、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いて前記印刷ユニットに印刷を行わせる、
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項11】
請求項6から請求項10のいずれか1つに記載するプリンタにおいて、
さらに前記コンピュータは、
前記ユーザインタフェースを介して前記特定モードをオフにする指示を受け付けた場合、前記メモリに記憶されている前記印刷パラメータのうち前記特定項目のパラメータを、あらかじめ設定されている初期パラメータに変更する、
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項12】
請求項6から請求項11のいずれか1つに記載するプリンタにおいて、
さらに前記コンピュータは、
前記ユーザインタフェースを介して前記特定モードをオンにする指示を受け付けた場合、前記特定モードに対応するパラメータに変更することを示す前記設定情報が前記メモリに記憶されていれば、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータのうち前記特定項目のパラメータを、前記特定モードに対応するパラメータに変更し、前記特定モードに対応するパラメータに変更しないことを示す前記設定情報が前記メモリに記憶されていれば、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータのうち前記特定項目のパラメータを、あらかじめ設定されている初期パラメータに変更する、
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項13】
請求項6から請求項11のいずれか1つに記載するプリンタにおいて、
さらに前記コンピュータは、
前記ユーザインタフェースを介して前記特定モードをオンにする指示を受け付けた場合、前記特定モードに対応するパラメータに変更することを示す前記設定情報が前記メモリに記憶されていれば、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータのうち前記特定項目のパラメータを、前記特定モードに対応するパラメータに変更し、前記特定モードに対応するパラメータに変更しないことを示す前記設定情報が前記メモリに記憶されていれば、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータのうち前記特定項目のパラメータを、変更しない、
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項14】
請求項6から請求項13のいずれか1つに記載するプリンタにおいて、
さらに前記コンピュータは、
情報処理装置に表示させる第1画面を提供し、前記第1画面では、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータの設定を受け付け、前記第1画面における前記印刷パラメータの前記特定項目に設定可能なパラメータは、前記特定モードに対応するパラメータに限定されず、
さらにコンピュータは、
前記情報処理装置に表示させる第2画面を提供し、前記第2画面では、前記印刷パラメータのうち前記特定項目について前記特定モードに対応するパラメータに変更するか否かを示す変更設定を受け付け、
さらにコンピュータは、
前記第1画面を介して、前記第1画面での設定内容を反映する指示があった場合、前記第1画面にて受け付けられた前記印刷パラメータの設定に従って、前記メモリに記憶されている前記印刷パラメータを変更し、
さらに前記コンピュータは、
前記特定モードに対応するパラメータを反映する状態になっていれば、前記第2画面を介して、前記第2画面での設定内容を反映する指示があった場合、前記第2画面にて受け付けられた前記変更設定に従って、前記メモリに記憶されている前記印刷パラメータのうち前記特定項目のパラメータを、前記特定モードに対応するパラメータに変更し、前記特定モードに対応するパラメータを反映する状態になっていなければ、前記第2画面での設定内容を前記プリンタに反映する前記指示を無効にする、
ことを特徴とするプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、複数の項目に対する動作が予め決められた特定モードを有するプリンタを含む印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の項目に対する動作が予め決められた特定モードを有するプリンタを含む印刷システムが知られている。例えば特許文献1には、省エネモードを有するプリンタを含むシステムであって、省エネモードを選択することで、プリンタを構成する各機能部への電力供給を遮断する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特定モードとして、例えば環境に配慮した印刷を行うエコモードを有し、エコモードが選択されることで予め決められた印刷設定の各項目の値が変更されるプリンタがある。このようなプリンタについて、さらに管理者等が変更可能なプリンタの内部設定によって、その印刷設定の各項目の値の変更を制限する場合がある。この場合、そのプリンタが、エコモードを指定するパラメータが含まれている印刷ジョブを外部デバイスから受信した際、外部デバイスのユーザが期待するエコモードの印刷設定と、プリンタで動作する一部の項目が制限された印刷設定とが一致せず、ユーザが意図しない印刷物が出力されることがある。
【0005】
本明細書は、予め決められた印刷設定となる特定モードを有するプリンタを有する印刷システムにおいて、ユーザが意図しない印刷が行われる機会を低減する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題の解決を目的としてなされた印刷システムは、プリンタと、前記プリンタに対応するプリンタドライバがインストールされた第1情報処理装置と、を備える印刷システムであって、前記プリンタのメモリには、複数の印刷設定項目のパラメータを有する印刷パラメータが記憶されており、前記プリンタは、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いて印刷を行い、さらに前記プリンタの前記メモリには、特定モードがオンになった際に前記メモリに記憶される前記印刷パラメータのうち前記特定モードに関連する前記印刷設定項目である特定項目のパラメータを前記特定モードに対応するパラメータに変更するか否かを示す設定情報が記憶されており、前記プリンタは、前記プリンタのユーザインタフェースを介して前記特定モードをオンにする指示を受け付けた場合、前記設定情報に従って、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータのうち前記特定項目のパラメータを、前記特定モードに対応するパラメータに変更し、さらに前記プリンタは、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いた印刷のうち、前記プリンタドライバから受信した印刷ジョブの印刷の場合、受信した前記印刷ジョブに前記特定モードの指定があれば、前記特定項目のパラメータを前記特定モードに対応するパラメータとする印刷パラメータを用いて印刷を行い、受信した前記印刷ジョブに前記特定モードの指定がなければ、前記メモリに記憶される前記印刷パラメータを用いて印刷を行う、ことを特徴とする。
【0007】
上記構成の印刷システムは、第1情報処理装置のプリンタドライバから特定モードが指定された印刷ジョブをプリンタが受信した場合、特定モードがオンになった際に特定項目のパラメータを特定モードに対応するパラメータに変更しないことがメモリの設定情報に記憶されていたとしても、プリンタは、特定項目のパラメータを全て特定モードに対応するパラメータとした印刷パラメータを用いて印刷を行う。これにより、プリンタは、第1情報処理装置のユーザの意図する印刷を行うことができる。一方で、特定モードが指定されていない印刷ジョブをプリンタが受信した場合は、プリンタは、現在プリンタに記憶されている印刷パラメータを用いて印刷を行う。これにより、プリンタは、設定情報をプリンタに記憶させた管理者等の意図する印刷を行うことができる。
【0008】
上記装置の機能を実現するためのプリンタ、制御方法、コンピュータプログラム、および当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に開示される技術によれば、予め決められた印刷設定となる特定モードを有するプリンタを有する印刷システムにおいて、ユーザが意図しない印刷が行われる機会を低減する技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】メモリに記憶されている各種情報の一例を示す図である。
【
図3】エコモード設定処理の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】印刷処理の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】エコモード詳細設定処理の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態にかかる装置について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、例えば、プリンタと、当該プリンタに対応するプリンタドライバがインストールされた情報処理装置とを含む印刷システムを開示するものである。
【0012】
図1は、印刷システム1の構成を示す図である。印刷システム1は、複合機2にPC3A,3Bが通信可能に接続されている。複合機2は「プリンタ」の一例である。PC3A,3Bは「第1情報処理装置」の一例である。PC3Bは「第2情報処理装置」の一例である。なお、PCは、2台に限らず、1台でも、3台以上でもよい。
【0013】
複合機2は、印刷機能と画像読取機能と通信機能とを備える装置である。複合機2は、例えば、PC3A,3Bから複合機2宛に送信された印刷ジョブを受け付け、印刷を実行する。また、複合機2は、例えば、本体操作により印刷ジョブを受け付け、印刷を実行する。
【0014】
複合機2は、CPU11と、メモリ12と、を含む制御部10を備えている。さらに、複合機2は、ネットワークインタフェース(以下、「ネットワークIF」とする)13と、USBインタフェース(以下、「USB-IF」とする)14と、モデム15と、操作パネル16と、読取ユニット17と、印刷ユニット18とを備え、これらが制御部10に電気的に接続されている。なお、
図1中の制御部10は、複合機2の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際に複合機2に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0015】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。CPU11は、コンピュータの一例である。メモリ12は、例えば、HDD、フラッシュメモリであり、各種のプログラム、画像データや文書データ等のデータ、各種設定を記憶する領域として利用される。CPU11が備えるバッファも、メモリの一例である。
【0016】
メモリの一例は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0017】
ネットワークIF13は、PC3A,3Bやクラウドサーバ8等の外部装置との通信を行うためのハードウェアを含む。ネットワークIF13の通信方式は、無線でも有線でもよく、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、USB、LAN等、どのような規格の方式でもよい。USB-IF14は、USBメモリ7等の外部記憶装置との通信を行うためのハードウェアを含む。モデム15は、電話回線網に接続し、ファクシミリデータを送受信するためのハードウェアを含む。ネットワークIF13とUSBインタフェース14とモデム15は「外部インタフェース」の一例である。
【0018】
操作パネル16は、情報を画面に表示するハードウェアと、ユーザによる入力操作を受け付けるハードウェアと、を含む。操作パネル16は、表示用のディスプレイと、キーボード、マウス等との組み合わせであっても良いし、表示機能と入力受付機能とを備えるタッチパネルであっても良い。操作パネル16は「ユーザインタフェース」の一例である。
【0019】
読取ユニット17は、原稿を読み取るためのハードウェアを含む。印刷ユニット18は、印刷データを用紙に印刷するためのハードウェアを含む。本形態の印刷ユニット18は、トナー印刷方式を採用するが、インク印刷方式であってもよい。印刷ユニット18は、両面印刷を行うための搬送機構を有している。
【0020】
本形態の複合機2のメモリ12には、埋め込みWebサーバ(EWS:Embedded Web Serverの略 )32が組み込まれている。EWS32は、外部のソフトウェアに、複合機2の内部設定を読み取らせたり、複合機2の内部設定を編集させたりするインタフェースを提供するプログラムである。また、メモリ12には、第1印刷パラメータ41と、エコ値情報42と、変更可否情報43と、第2印刷パラメータ44と、が記憶されている。第1印刷パラメータ41、エコ値情報42、変更可否情報43と、第2印刷パラメータ44と、については後述する。
【0021】
複合機2は、操作パネル16やEWS32を介してエコモードをオン又はオフにする指示を受け付け、エコモードをオンにする指示を受け付けた場合に、エコモードに対応する各種の処理を実行する。なお、複合機2は、プリンタドライバ4からエコモードを指定する指示を受け付けることで、エコモードに対応する各種の処理を実行してもよい。
【0022】
エコモードは、エコモードがオンになった際に、メモリ12に記憶されている印刷パラメータのうち、エコモードに関連する印刷設定項目(以下「エコモード対象項目」とする)のパラメータが、エコモードに対応するパラメータ(以下「エコ値」とする)に変更されるモードである。エコモードは「特定モード」の一例である。エコモード対象項目は「特定項目」の一例である。本明細書において「エコ」は、通常印刷と比較して経済負荷と環境負荷の少なくとも一方を小さくすることと定義する。
【0023】
複合機2は、エコモード対象項目が複合機2の機能に応じて予め規定されている。複合機2は、エコモードがオンになった際にエコモード対象項目のパラメータをエコ値に変更するか否かを示す変更可否情報43を、メモリ12に記憶している。変更可否情報は「設定情報」の一例である。
【0024】
図2は、メモリ12に記憶されている各種情報の一例を示す図である。
図2(a)に示す第1印刷パラメータ41は、複数の印刷設定項目のパラメータを有し、メモリ12のうち、不揮発性メモリ21に記憶されている。本形態では、印刷パラメータは、各印刷設定項目にパラメータと初期パラメータが関連付けられて記憶されている。パラメータは、本体に現在設定されている値であり、操作パネル16やEWS32やPCにインストールされている図示しない設定アプリケーションなどで設定できる。EWS21を用いたパラメータの設定については後述する。パラメータは、プリンタドライバ4を用いて任意に変更できる。初期パラメータは、工場出荷時に予め設定されている既定値であり、基本的には変更できない。印刷設定項目は、例えば、用紙サイズ、用紙種類、カラー/モノクロ印刷、給紙トレイ、両面印刷、スリープ設定、液晶オフタイマ、静音モード、トナーセーブモードを含む。
【0025】
本形態では、
図2(a)のP1部に示すように、印刷設定項目のうち、「両面印刷」と、「スリープ設定」と、「液晶オフタイマ」と、「静音モード」と、「トナーセーブモード」がエコモード対象項目に該当する。なお、エコモード対象項目は、本形態と異なってもよいし、1つであってもよい。
【0026】
「両面印刷」は、両面印刷の設定を行う印刷設定項目である。「両面印刷」で設定可能なパラメータは、「オフ」と「長辺綴じ」と「短辺綴じ」の何れかである。「オフ」は、両面印刷しないことを指示するパラメータである。「長辺綴じ」は、用紙の長辺を綴じ方向として両面印刷することを指示するパラメータである。「短辺綴じ」は、用紙の短辺を綴じ方向として両面印刷することを指示するパラメータである。本形態では、「両面印刷」の初期パラメータは「オフ」である。複合機2は、両面印刷することで用紙消費量を抑制し、経済負荷や環境負荷を小さくできる。
【0027】
「スリープ設定」は、印刷を終了してから、内部機器への電力供給を一時停止するまでの時間を設定する印刷設定項目である。「液晶オフタイマ」は、操作パネル16が操作されなくなってから、操作パネル16に表示される画面を消すまでの時間を設定する印刷設定項目である。「スリープ設定」と「液晶オフタイマ」で設定可能なパラメータは時間である。本形態では、「スリープ設定」の初期パラメータは「5分」であり、「液晶オフタイマ」の初期パラメータは「60秒」である。複合機2は、「スリープ設定」と「液晶オフタイマ」の設定時間を短くされることで電力消費量を抑制し、経済負荷や環境負荷を小さくできる。
【0028】
「静音モード」は、通常印刷より遅い印刷速度で印刷を実行するモードである。「静音モード」で設定可能なパラメータは、静音モードの実行を指示する「オン」、又は、不実行を指示する「オフ」である。本形態では、「静音モード」の初期パラメータは「オフ」である。複合機2は、「静音モード」を実行することで騒音を抑制し、環境負荷を小さくできる。
【0029】
「トナーセーブモード」は、通常印刷よりトナー使用量を少なくして印刷するモードである。「トナーセーブモード」で設定可能なパラメータは、トナーセーブモードの実行を指示する「オン」、又は、不実行を指示する「オフ」である。本形態では、「トナーセーブモード」の初期パラメータは「オフ」である。複合機2は、「トナーセーブモード」を実行することでトナー消費量を抑制し、経済負荷や環境負荷を小さくできる。
【0030】
図2(b)に示すエコ値情報42は、エコモード対象項目のエコ値を記憶し、メモリ12のうち、不揮発性メモリ21に記憶されている。
図2(b)のP3部に示すように、各エコモード対象項目のエコ値は、
図2(a)のP2部に示す初期パラメータと比較して、印刷における消費電力と資源消費量との少なくとも一方を小さくする値が、規定されている。エコ値は変更できない。本形態では、「両面印刷」のエコ値には「長辺綴じ」が設定されている。「スリープ設定」のエコ値には「0分」が設定されている。「液晶オフタイマ」のエコ値には「10秒」が設定されている。「静音モード」のエコ値には「オン」が設定されている。「トナーセーブモード」のエコ値には「オフ」が設定されている。
【0031】
図2(c)に示す変更可否情報43は、エコモード対象項目の変更フラグを記憶し、メモリ12のうち、不揮発性メモリ21に記憶されている。変更フラグには、エコモードがオンになった際にパラメータをエコ値に変更することを許可する「有効」、又は、許可しない「無効」が設定される。変更フラグは、工場出荷時に複合機2の標準的な動作に基づいて「有効」又は「無効」が設定されており、工場出荷後に設定内容を変更できる。例えば、工場出荷時には、エコモード設定項目のうち、「両面印刷」と「静音モード」と「トナーセーブモード」の変更フラグに「無効」が設定され、「スリープ設定」と「液晶オフタイマ」の変更フラグに「有効」が設定されている場合、管理者がEWS32を介して「トナーセーブモード」の変更フラグを「無効」から「有効」に変更できる。
【0032】
図1に示す第2印刷パラメータ44は、印刷ユニット18に印刷を実行させる際に使用されるパラメータを有し、メモリ12のうち、揮発性メモリ22に記憶される。第2印刷パラメータ44は、印刷ジョブを実行する毎に設定され、印刷ジョブに含まれるパラメータや、第1印刷パラメータ41のパラメータに応じて変更される。なお、第2印刷パラメータ44は、基本的に、第1印刷パラメータ41のパラメータと同様のパラメータを有するので、詳細な説明は割愛する。
【0033】
図1に戻り、PC3A,3Bは、プリンタドライバ4やブラウザ5やユーザインタフェース(以下「UI」とする)6などを備える通信端末装置である。UI6は、キーボードやマウスなどの操作デバイスと、液晶ディスプレイなどの表示デバイスとを備える。操作デバイスと表示デバイスは別体でも一体でもよい。PC3A,3Bは、タブレットなどの携帯端末でもよい。
【0034】
プリンタドライバ4は、複合機2に対応しており、複合機2と通信を行って複合機2の動作を制御するプログラムである。プリンタドライバ4は、例えば、印刷アプリ等にて複合機2が指定された状態で印刷実行の指示または印刷設定の編集指示をUI6を用いて受け付けた場合、複合機2のプロパティ設定の指示をUI6を用いて受け付けた場合、に起動される。
【0035】
プリンタドライバ4は、複合機2での印刷に関する詳細な印刷パラメータをUI6に表示させ、UI16を用いて編集指示を受け付ける。例えば、プリンタドライバ4は、給紙トレイや排紙トレイの選択、用紙種類や用紙サイズの選択、用紙サイズとしてユーザ定義サイズの登録、両面印刷の選択、をUI6を用いて受け付ける。プリンタドライバ4は、複合機2を用いて印刷を実行する印刷実行指示を受け付けると、UI6を用いて編集された印刷パラメータを含む印刷ジョブを複合機2に送信する。
【0036】
続いて、本形態の印刷システム1および複合機2による処理について説明する。なお、以下の処理およびフローチャートの各処理ステップは、基本的に、各プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPU11の処理を表している。CPU11による処理は、複合機2のOSのAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OSの記載を省略して各プログラムの動作を説明する。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記載は、「プログラムBがOSのAPIを用いてハードウェアCを制御する」ことを指してもよい。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を、省略した文言で記載することがある。例えば、「CPU11が行う」、「プログラムが行う」のように記載することがある。
【0037】
なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPU11が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPU11がデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。また、「要求する」、「指示する」とは、要求していることを示す情報や、指示していることを示す情報を相手に出力することを示す概念である。また、要求していることを示す情報や指示していることを示す情報のことを、単に、「要求」、「指示」とも記載する。
【0038】
また、CPU11による、情報Aは事柄Bであることを示しているか否かを判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか否かを判断する」のように概念的に記載することがある。CPU11による、情報Aが事柄Bであることを示しているか、事柄Cであることを示しているか、を判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか事柄Cであるかを判断する」のように概念的に記載することがある。
【0039】
先ず、複合機2でのエコモードの設定に応じてエコモード対象項目のパラメータを設定するエコモード設定処理について説明する。
図3は、エコモード設定処理の制御手順の一例を示すフローチャートである。複合機2は、例えば、操作パネル16のホーム画面に表示される設定ボタンを操作されると、エコモード設定ボタンを操作パネル16に表示させる。複合機2は、操作パネル16を用いてエコモード設定ボタンの操作を受け付けると、CPU11が
図3に示すエコモード設定処理を実行する。
【0040】
CPU11は、先ず、エコモードがオンとオフのどちらかを判断する(S11)。例えば、エコモード設定ボタンには、エコモードをオンすることを指示するエコモードオンボタンと、エコモードをオフすることを指示するエコモードオフボタンが排他的に設けられている。CPU11は、操作パネル16を用いてエコモードオフボタンの操作を受け付けると、エコモードがオフであると判断する(S11:オフ)。この場合、CPU11は、第1印刷パラメータ41に記憶される印刷設定項目のうち、エコモード対象項目のパラメータだけをリセットする(S25)。例えば、CPU11は、第1印刷パラメータ41のエコモード対象項目のパラメータに初期パラメータを設定する。その後、CPU11は、エコモード設定処理を終了する。
【0041】
このように、複合機2は、操作パネル16を用いてエコモードをオフにする設定を受け付けた場合、エコモード対象項目のパラメータが初期パラメータに自動的に変更される。そのため、エコモードが操作パネル16を用いて解除された際に、エコモード対象項目の設定をやり直すことが容易になる。
【0042】
なお、CPU11は、S25の処理を省略してもよい。つまり、CPU11は、エコモードがオンにされない場合、第1印刷パラメータ41に記憶されている印刷設定項目のパラメータを維持して、エコモード設定処理を終了してもよい。
【0043】
一方、CPU11は、操作パネル16を用いてエコモードオンボタンの操作を受け付けた場合、エコモードがオンされたと判断する(S11:YES)。この場合、CPU11は、エコモード対象項目の一覧を取得する(S13)。本形態では、CPU11は、「両面印刷」、「スリープ設定」、「液晶オフタイマ」、「静音モード」、「トナーセーブモード」を含む一覧を取得する。
【0044】
一覧を取得したCPU11は、一覧に含まれる各エコモード対象項目にパラメータを設定する。具体的には、CPU11は、パラメータを設定する処理を実行していない未処理のエコモード設定項目を一覧から1つ抽出(S15)、抽出に成功したか否かを判断する(S17)。一覧を取得した時点では何れも未処理のエコモード対象項目である。そこで、CPU11は、例えば、一覧から「両面印刷」を抽出し、抽出に成功したと判断する(S17:YES)。
【0045】
CPU11は、抽出したエコモード対象項目の変更フラグが「有効」であるか否かを判断する(S19)。CPU11は、変更フラグが「有効」であると判断した場合(S19:YES)、処理対象の項目のパラメータにエコ値を設定し、第1印刷パラメータ41に記憶する(S21)。その後、CPU11は、S15に戻る。
【0046】
これに対して、処理対象のエコモード対象項目の変更フラグが「無効」である場合(S19:NO)、CPU11は、処理対象の項目のパラメータに初期パラメータを設定し、第1印刷パラメータ41に記憶する(S23)。その後、CPU11は、S15の処理に戻る。第1印刷パラメータ41は、不揮発性メモリ21に記憶されているので、第1印刷パラメータ41のパラメータは、異なる印刷ジョブの間で共用できる。
【0047】
CPU11は、
図3のS15~S23の処理を繰り返すことにより、一覧に含まれるエコモード対象項目の全てにパラメータを設定すると、未処理のエコモード対象項目を抽出できなくなる。この場合、CPU11は、抽出に成功しないと判断し(S17:NO)、エコモード設定処理を終了する。
【0048】
図4は、パラメータの変更例を示す図である。例えば
図4(a)に示すように、変更可否情報43には、「両面印刷」と「スリープ設定」と「液晶オフタイマ」の変更フラグに「有効」が設定され、「静音モード」と「トナーセーブモード」の変更フラグに「無効」が設定されているとする。
【0049】
S19での処理対象のエコモード対象項目が「両面印刷」である場合、CPU11は、
図4(a)の変更可否情報43に基づいて、「両面印刷」の変更フラグが「有効」であると判断する。すると、CPU11は、例えば
図4(b)に示すように、「両面印刷」の現在のパラメータ「オフ」を、エコ値情報42に記憶されている「両面印刷」のエコ値「長辺綴じ」に変更する。
【0050】
一方、S19での処理対象のエコモード対象項目が「トナーセーブモード」である場合、CPU11は、
図4(a)の変更可否情報43に基づいて、「トナーセーブモード」の変更フラグが「無効」であると判断する。すると、CPU11は、例えば
図4(b)に示すように、「トナーセーブモード」の現在のパラメータ「オン」を、第1印刷パラメータ41に記憶されている「トナーセーブモード」の初期パラメータ「オフ」に変更する。
【0051】
このように、複合機2は、操作パネルを用いてエコモードがオンにされると、印刷パラメータ41に含まれるエコモード対象項目のうち、変更フラグが「有効」であるエコモード対象項目については、パラメータにエコ値を一括設定する。よって、エコモード対象項目のパラメータをエコ値に変更する手間が低減される。すなわち、エコモード設定ボタンは、エコモード対象項目のパラメータを変更するトリガを与えるための操作子であるといえる。また、エコモード設定ボタンによってエコモードをオンにする設定を受け付けたのか、オフにする設定を受け付けたのか、を記憶しておく必要はない。
【0052】
一方、複合機2は、操作パネルを用いてエコモードがオンにされた場合でも、変更フラグが「無効」であるエコモード対象項目については、印刷パラメータ41のパラメータに初期パラメータを設定する。よって、複合機2は、印刷パラメータに従って印刷を実行する際に、特定のエコモード対象項目をエコ値で印刷することを回避し易くなる。なお、CPU11は、S23の処理を省略してもよい。つまり、CPU11は、変更フラグが「無効」であるエコモード対象項目については、第1印刷パラメータ41に記憶されている印刷設定項目の現在のパラメータを維持してもよい。
【0053】
なお、変更可否情報43は、管理者等の特定のユーザが適宜変更できる。よって、例えば、管理者がエコモードで印刷する際に両面印刷させたくない場合には、変更可否情報43の「両面印刷」の変更フラグに「無効」を設定する。これにより、複合機2は、操作パネル16を用いて印刷指示を受け付け、第1印刷パラメータ41に基づいて印刷を実行する際に、「両面印刷」のパラメータが「オフ」にされ、両面印刷を回避できる。よって、複合機2は、変更可否情報43の設定内容によって、エコモードの機能をカスタマイズすることができる。
【0054】
次に、印刷処理について説明する。ここでは、PC3Aから複合機2に送信された印刷ジョブを複合機2が印刷する場合を例にして説明する。
【0055】
図5は、PC3Aに表示される印刷設定画面の一例である。PC3Aは、例えば、印刷アプリで複合機2を指定した印刷設定の編集指示を、UI6を用いて受け付けると、プリンタドライバ4を起動する。プリンタドライバ4は、
図5に示す印刷設定画面D1をUI6に表示させる。印刷設定画面D1には、印刷設定表示領域SA11と、印刷設定領域SA12と、OKボタンA11とが表示されている。
【0056】
印刷設定領域SA12は、印刷パラメータを設定する領域である。印刷設定表示領域SA11は、印刷設定領域SA12にて設定された印刷パラメータが表示される。OKボタン11は、印刷ジョブを送信する指示を受け付けるボタンである。
【0057】
印刷設定領域SA12には、印刷パラメータを個別設定する第1タブTB11(
図5の「基本設定」タグ)と、印刷パラメータを一括設定できる第2タブTB12(
図5の「おまかせ設定」タグ)とを備える。第2タブTB12が選択されると、プリンタドライバ4は、機能選択一覧L11を表示する。機能選択一覧L11には、例えば、エコモードを指定せずに通常印刷する機能を選択する項目ボタンI11(
図5の「通常印刷(A4)」の項目)と、エコモードを指定して通常印刷する機能を選択する項目ボタンI12(
図5の「通常印刷(エコモード)」の項目)が含まれる。
【0058】
例えば、
図5(a)に示すように、プリンタドライバ4は、PC3AのUI6を用いて項目ボタンI11の選択を受け付けると、図中Q1に示すエコモード対象項目を含め、全印刷設定項目にプリンタドライバ4に設定されている現在のパラメータを設定し、表示する。例えば、「両面印刷」に「オフ」、「静音モード」に「オフ」、「トナーセーブモード」に「オフ」が表示される。
【0059】
例えば、
図5(b)に示すように、プリンタドライバ4は、PC3AのUI6を用いて項目ボタンI12の選択を受け付けると、エコモード対象項目のパラメータにエコ値を設定し、図中Q2に示すエコモード対象項目にエコ値を表示する。例えば、「両面印刷」に「長辺綴じ」、「静音モード」に「オン」、「トナーセーブモード」に「オン」が表示される。なお、エコモードを指定した際に印刷設定表示領域SA11に表示されるエコ値は、プリンタドライバ4が複合機2に問い合わせて取得してもよいし、複合機2のモデルごとにプリンタドライバ4が始めから有していてもよい。図中Q2に示すエコモード対象項目以外の印刷設定項目にはプリンタドライバ4に設定されている現在のパラメータが表示される。
【0060】
よって、PC3Aは、エコモードの指定によって、複合機2にどのような印刷設定項目についてどのようなパラメータが設定されるのかが、複合機2に印刷ジョブを送信する前に、表示される。よって、印刷システム1では、PC3Aのユーザの意図に沿った印刷になるか否かを、事前にユーザに確認させることができる。
【0061】
プリンタドライバ4は、UI6を用いてOKボタンA11の操作を受け付けると、印刷ジョブをPC3Aから複合機2に送信する。このとき、印刷ジョブには、プリンタドライバ4に設定されている現在のパラメータと、印刷アプリ等で生成されたコンテンツを印刷するための印刷データが含まれる。
【0062】
なお、プリンタドライバ4はPJL形式の印刷ジョブを生成する。印刷ジョブにPJLコマンドとして、
図5の印刷設定画面D1を介して設定されたパラメータが含まれる。そのPJLコマンドは、その印刷ジョブの印刷に一時的に用いるパラメータを示すコマンドである。PJLコマンドに含まれるパラメータは、第2印刷パラメータ44に一時的に記憶される。つまり、PJLコマンドは、第1印刷パラメータ41として記憶させるパラメータを示すコマンドではない。
【0063】
プリンタドライバ4は、印刷ジョブを生成し送信する機能のほかに、上述した設定アプリケーションとしての機能を備えていてもよい。プリンタドライバ4は、設定アプリケーションとして機能する場合は、第1印刷パラメータ41として記憶させるパラメータを示すコマンドを送信してもよい。
【0064】
複合機2は、印刷ジョブを受信したことを契機に、印刷処理を開始する。ここでは、複合機2がPC3Aから受信した印刷ジョブを印刷する場合について説明する。
【0065】
図6は、印刷処理の制御手順の一例を示すフローチャートである。CPU11は、エコモードを指定するパラメータが印刷ジョブに有るか否かを判断する(S31)。
【0066】
例えば、
図5(b)に示すように、項目ボタンI12を選択した状態でOKボタンA11が押下されることにより、プリンタドライバ4に設定されたパラメータが含まれる印刷ジョブをプリンタ3が複合機2に送信した場合、当該印刷ジョブには、エコモードが指定されている。この場合(S31:YES)、CPU11は、印刷設定項目のうちエコモード対象項目のパラメータを、全て、エコ値情報42に記憶されているエコ値で設定し、第2印刷パラメータ44に一時的に記憶する(S33)。
【0067】
例えば、ユーザは、
図5(b)のQ2に示すように、選択ボタンI12を選択することで印刷設定表示領域S11に表示される「両面印刷」のパラメータ「長辺綴じ」を確認し、OKボタンA11を操作したとする。この場合、ユーザは複合機2が両面印刷で印刷ジョブを実行することを期待する。
【0068】
複合機2は、変更可否情報43に記憶される「両面印刷」の変更フラグに「無効」が設定されている場合、第1印刷パラメータ41の「両面印刷」には初期パラメータ「オフ」が設定されている。この場合、複合機2が、第1印刷パラメータ41のパラメータを第2印刷パラメータ41のパラメータにそのまま設定し、PC3Aから受信した印刷ジョブを実行すると、ユーザが期待する両面印刷が実行されない。
【0069】
しかし、本形態のプリンタ2は、S33の処理を実行することで、エコモードを指定した印刷ジョブをPC3Aから受信した場合、受信した印刷ジョブの印刷に用いるエコ対象項目のパラメータを全てエコ値に決定し、エコ値を優先的に使用する。例えば、複合機2は、変更可否情報43に記憶される「両面印刷」の変更フラグに「無効」が設定されていても、エコ値である「長辺綴じ」を第2印刷パラメータ44の「両面印刷」のパラメータに設定する。このように、複合機2は、PC3Aからエコモードを指定した印刷ジョブを受信した場合に、当該印刷ジョブにだけ、エコモード対象項目の全てにエコ値を設定する。そのため、複合機2は、変更可否情報43に制約されずにエコモード対象項目のパラメータをエコ値として印刷できるようになり、ユーザが期待する両面印刷が実行可能になる。
【0070】
その後、CPU11は、印刷ジョブがその他の印刷設定のパラメータを有するか否かを判断する(S35)。印刷ジョブが、例えば、用紙サイズや用紙種類など、エコモード設定項目以外の印刷設定のパラメータを有する場合(S35:YES)、CPU11は、他の印刷設定のパラメータを、第2印刷パラメータ44に記憶される印刷設定項目のパラメータに反映させる(S37)。これにより、エコモード対象項目のパラメータが、
図5(b)の印刷設定画面D1にてユーザによって確認された値となる。
【0071】
印刷設定項目のパラメータを変更すると、CPU11は、第2印刷パラメータ44のパラメータに従って、印刷ユニット18に印刷を実行させ(S39)、印刷処理を終了する。
【0072】
上記に対して、エコモードを指定するパラメータが印刷ジョブにないと判断する場合(S31:NO)、印刷設定項目のうちエコモード対象項目のパラメータを、全て、第1印刷パラメータ41に現在設定されているパラメータで設定し、第2印刷パラメータ44に記憶する(S41)。複合機2は、操作パネル16を用いてエコモードがオンされることで、変更フラグが「有効」であるエコモード設定項目についてはパラメータにエコ値が設定され、変更フラグが「無効」であるエコモード設定項目についてはパラメータに初期パラメータが設定される。よって、エコモードを指定しない印刷ジョブは、変更フラグの設定に応じて複合機2に設定されたパラメータを優先した印刷が実行可能になる。S41にて初期パラメータを設定したCPU11は、S35以降の処理を実行する。S35以降の処理については上述したので説明を省略する。
【0073】
このように、本形態の印刷システム1は、PC3Aのプリンタドライバ4からエコモードが指定された印刷ジョブを複合機2が受信した場合、エコモードがオンになった際にエコモード対象項目のパラメータをエコモードに対応するエコ値に変更しない「無効」を示す変更可否情報がメモリ12の変更可否情報43に記憶されていたとしても、複合機2はエコモード対象項目のパラメータを全てエコ値とした印刷パラメータを用いて印刷を行う。これにより、複合機2は、PC3Aのユーザの意図する印刷を行うことができる。一方で、エコモードが指定されていない印刷ジョブを複合機2が受信した場合は、複合機2は、複合機2の第1印刷パラメータ41に現在記憶されている印刷パラメータを用いて印刷を行う。これにより、複合機2は、変更可否情報を複合機2に記憶させた管理者等の意図する印刷を行うことができる。このように、本形態の印刷システム1によれば、ユーザが意図しない印刷が行われる機会を低減することができる。
【0074】
尚、複合機2は、PC3Aから受信した印刷ジョブ以外の印刷ジョブを受け付けて、印刷を実行できる。
【0075】
例えば、ユーザは、操作パネル16を用いてコピーの各種設定を受け付ける。複合機2は、操作パネル16を用いてコピー実行指示を受け付けると、読取ユニット17を用いて原稿を読み取り、印刷ユニット18に印刷を実行させる。
【0076】
このように、コピーの場合は、ユーザが原稿を複合機2にセットし、複合機2に直接印刷指示することが想定される。そのため、コピー用の印刷ジョブではエコモードが指定されない。複合機2のCPU11は、
図6に示す印刷処理によってコピー用の印刷ジョブを実行する場合、エコモードが指定されていないので、複合機2に設定された第1印刷パラメータ41をエコモードに設定して印刷を実行する(S31:NO、S41、S35、S37、S39)。よって、複合機2は、コピーの場合、第1印刷パラメータ41を優先して印刷を実行する。ユーザは、本体の設定を見てコピー実行指示を入力しているので、ユーザの意図に沿った印刷が可能である。
【0077】
また例えば、ユーザは、USB-IF14にUSBメモリ7を接続し、操作パネル16を用いてUSBメモリ7から印刷ファイルを選択して印刷実行指示を入力する。すると、複合機2は、USBメモリ7から取得した印刷データを印刷する印刷ジョブを受け付け、印刷を実行する。また例えば、ユーザは、操作パネル16を操作してネットワークIF13を用いてクラウドサーバ8にアクセスし、印刷ファイルをクラウドサーバ8からダウンロードして印刷実行指示を入力する。複合機2は、クラウドサーバ8からダウンロードした印刷データを印刷する印刷ジョブを受け付け、印刷を実行する。これらの印刷は、コピー印刷と同様に、操作パネル16を直接操作して印刷指示することが想定される。よって、複合機2は、これらの印刷を実行する際も、コピー印刷同様に
図6に示す印刷処理を実行し、複合機2に記憶される第1印刷パラメータ41を優先して印刷を実行する。ユーザは、本体の設定を見てジョブ実行指示を入力しているので、ユーザの意図に沿った印刷が可能である。
【0078】
尚、USBメモリ7やクラウドサーバ8などの外部装置に記憶される外部画像を印刷する場合、当該印刷ジョブにエコモードの指定が含まれる場合がある。そのような場合には、複合機2は、上述したPC3Aから受信した印刷ジョブを実行する場合と同様に、
図6に示す印刷処理を実行する。つまり、複合機2は、印刷ジョブにエコモードの指定がある場合には(S31:YES)、エコ値を優先して印刷を実行し(S33)、印刷ジョブにエコモードの指定がない場合には(S31:NO)、複合機2の印刷パラメータ4を優先して印刷を実行する(S41)。
【0079】
このように、複合機2は、外部画像の印刷を行う印刷ジョブを受け付けた場合に、エコモードが指定されるときには、エコモードに対応するエコ値を用いて印刷を行うことで、印刷対象の画像を選択したユーザの意図する印刷を行うことができる。
【0080】
尚、USBメモリ7やクラウドサーバ8の印刷ジョブは、例えば、プリンタドライバ4が生成する印刷ジョブと同様の、PJL形式の印刷ジョブであり、プリンタドライバ4が生成した印刷ジョブと同様に扱われる。
【0081】
続いて、エコモード詳細設定処理について説明する。ここでは、複合機2の管理者がPC3Bを用いて複合機2にエコモードの詳細を設定する場合を例にして説明する。
【0082】
管理者は、UI6を用いてブラウザ5を立ち上げ、ブラウザ5を介して複合機2のEWS32にアクセスする。複合機2は、例えば、管理者識別番号やPC3Bの固有アドレス等をPC3Bから取得し、管理者の権限認証に成功すると、複合機2での印刷に用いられる印刷パラメータの設定を受け付けるための第1画面D2をEWS32を介してPC3Bに提供する。PC3Bは、
図7に示すように、複合機2から提供された第1画面D2をUI6に表示させる。
図7は、第1画面の一例を示す図である。
【0083】
第1画面D2には、エコモードやトナーセーブモードや静音モードなどの複数の印刷設定項目が表示される。第1画面D2は、例えば、モードをオフする指示を受け付けるオフボタンR21aと、モードをオンする指示を受け付けるオンボタンR21bがエコモード設定欄I21に排他的に設けられている。また、第1画面D2には、第1画面D2にて受け付けた印刷設定を複合機2に反映させることを指示する第1適用指示を受け付ける第1適用ボタンA21が備えられている。第1適用ボタンA21が押下されると、第1画面D2にて設定を受け付けたパラメータが第1印刷パラメータ41のパラメータに設定される。
【0084】
また、第1画面D2には、オンボタンR21bが操作された場合にパラメータが変更される可能性があるエコモード対象項目が含まれている。本形態では、トナーセーブモード設定欄I22と静音モード設定欄I23が第1画面D2に含まれている。トナーセーブモード設定欄I22と静音モード設定欄I23には、それぞれ、モードをオフする指示を受け付けるオフボタンR22a,R23aと、モードをオンする指示を受け付けるオンボタンR22b,R23bが排他的に設けられている。
【0085】
管理者がUI6を用いて第1画面D2のエコモード詳細設定スイッチES21を操作すると、複合機2は、EWSを介してPC3Bに第2画面D3を提供する。PC3Bは、
図8に示すように、提供された第2画面D3をUI6に表示させる。
図8は第2画面D3の一例を示す図である。
【0086】
第2画面D3は、複合機2の変更可否情報43に制限されずに、エコモード対象項目についてパラメータをエコ値に変更することを許可するか否かを示す変更可否設定を受け付けるための画面である。第2画面D3には、エコモード対象項目である「両面印刷」、「スリープ設定」、「液晶オフタイマ」、「静音モード」、「トナーセーブモード」の設定欄I31,I32,I33,I34,I35が設けられている。各設定欄I31,I32,I33,I34,I35には、パラメータをエコ値に変更することを許可しないオフ設定ボタンR31a,R32a,R33a,R34a,R35aと、パラメータをエコ値に変更することを許可するオン設定ボタンR31b,R32b,R33b,R34b,R35bが備えられている。また、第2画面D3には、第2画面D3にて受け付けた印刷内容を複合機2に反映させることを指示する第2適用指示を受け付ける第2適用ボタンA31が備えられている。
【0087】
複合機2は、ネットワークIF13を用いて第2適用指示を受信すると、
図9に示すエコモード詳細設定処理を実行する。
図9は、エコモード詳細設定処理の制御手順の一例を示すフローチャートである。複合機2は、エコモード詳細設定処理を実行することで、メモリ12の変更可否情報43に制限されずに、印刷パラメータのエコモード対象項目にエコ値又は初期パラメータを設定できる。
【0088】
複合機2のCPU11は、まず、エコモード対象項目の一覧を取得する(S51)。一覧を取得したCPU11は、パラメータを設定する処理を実行していない未処理のエコモード設定項目を一覧から1つ抽出(S53)、抽出に成功したか否かを判断する(S55)。S51、S53,S55の処理は、
図3に示すエコモード設定処理のS13,S15,S17と同様なので、説明を省略する。
【0089】
CPU11は、抽出に成功したと判断した場合(S55:YES)、エコモードに対応するパラメータを反映する状態かを判断する(S57)。例えば、CPU11は、第1画面D2にて、エコモード設定欄I21のオンボタンR21bが選択されている場合、第2画面D3の設定内容を複合機2に反映する状態になっていると判断する(S57:YES)。この場合、CPU11は、第2画面D3において、処理中のエコモード対象項目の変更可否設定がオンであるか否かを判断する(S59)。CPU11は、第2画面D3のオン設定ボタンが選択されている場合、変更可否設定がオンであると判断する(S59:YES)。この場合、CPU11は、S21と同様に、印刷設定項目のうち、処理対象の項目のパラメータにエコ値を設定し、第1印刷パラメータ41に記憶する(S61)。つまり、印刷パラメータ41にエコ値を優先して設定する。その後、CPU11は、S53の処理に戻り、一覧から次の未処理のエコモード対象項目を抽出する。
【0090】
例えば、複合機2では、変更可否情報43に記憶される「両面印刷」に「無効」が設定され、第1印刷パラメータ41の「両面印刷」のパラメータに「オフ」が設定されているとする。一方、PC3Bは、例えば
図8に示すように、第2適用ボタンA31の操作を受け付けた際に、第2画面D3の「両面印刷」の設定欄I31にてオン設定ボタンR31bが選択されているとする。この場合、CPU11は、第1印刷パラメータ41に記憶される「両面印刷」のパラメータ「オフ」を、エコ値情報42に記憶されている「両面印刷」のエコ値「長辺綴じ」に変更する。
【0091】
これに対して、CPU11は、第2画面D3のオフ設定ボタンが操作されている場合、変更可否設定がオンでないと判断する(S59:NO)。この場合、CPU11は、S23と同様に、処理対象の項目のパラメータに初期パラメータを設定し、第1印刷パラメータ41に記憶する(S63)。つまり、CPU11は、複合機2に設定されている第1印刷パラメータ41を優先して設定する。その後、CPU11は、S53の処理に戻り、一覧から次の未処理のエコモード対象項目を抽出する。
【0092】
例えば、複合機2では、変更可否情報43の「トナーセーブモード」に「有効」が設定され、第1印刷パラメータ41の「トナーセーブモード」のパラメータに「オン」が設定されているとする。一方、例えば
図8に示すように、第2適用ボタンA31の操作を受け付けた際に、第2画面D3の「トナーセーブモード」の設定欄I31にてオフ設定ボタンR35aが選択されているとする。この場合、CPU11は、第1印刷パラメータ41に記憶されている「トナーセーブモード」のパラメータ「オン」を、初期パラメータ「オフ」に変更する。
【0093】
図9に戻り、S53~S63の処理を繰り返し、取得した一覧のエコモード対象項目全てについて、エコモードの詳細を設定すると、CPU11は、未処理のエコモード対象項目を抽出できなくなる。この場合、CPU11は、抽出に成功しないと判断し(S55:NO)、エコモード詳細設定処理を終了する。
【0094】
尚、第1画面D2のエコモード詳細設定スイッチES21を操作した際に、第1画面D2のエコモード設定欄I21にてオフボタンR21aが選択されている場合、CPU11は、第2画面D3を表示しても、エコモードに対応するパラメータを反映する状態になっていないと判断する(S57:NO)。この場合、CPU11は、S59~S63の処理をスキップし、S53の処理に戻る。つまり、CPU11は、第1画面D2にてエコモードの設定がオンにされていない場合、第2適用ボタンA31の操作により第2適用指示を受け付けても、第2画面D3の設定内容を複合機2に反映させない。
【0095】
なお、CPU11は、第1画面D2にてエコモードの設定がオンにされていない場合、第2画面D3の第2適用ボタンA31をグレーアウトさせたり、非表示にさせたりすることで、第2適用指示の入力そのものを禁止し、第2適用指示を無効にしてもよい。
【0096】
図9に示すエコモード詳細設定処理を終了したCPU11は、
図8に示すように完了通知M31を第2画面D3に表示させる。その後、CPU11は、第2適用ボタンA31が再操作されると、第2画面D3を消去し、
図7に示す第1画面D2をPC3BのUI6に表示させる。このとき、第1画面D2に表示されるエコモード対象項目には、第2画面D3の設定内容が反映されている。第1画面D2では、エコモード対象項目のパラメータを任意に変更できる。例えば、複合機2は、第2画面D3の設定に応じて「両面印刷」に「長辺綴じ」を設定した後、第1画面D2にて「両面印刷」のパラメータを「長辺綴じ」から「短辺綴じ」に変更できる。
【0097】
第1画面D2の第1適用ボタンA21が操作されると、複合機2は、第1印刷パラメータ41に現在設定されているパラメータを、第1画面D2を介して受け付けたパラメータに、変更する。よって、複合機2は、エコモードで印刷する際の印刷パラメータが管理者の意図に沿ったものとなり、エコモードの機能を管理者がカスタマイズしやすい。
【0098】
なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、複合機2は、PCとの通信機能と、PCから受信した印刷ジョブを印刷する機能があれば、コピー機能やダイレクト印刷機能やダウンロード印刷機能を備えなくてもよい。
【0099】
省エネモードなどのエコモードと異なるモードを特定モードの一例にしてもよい。また、複合機2は、エコモード以外に、高画質モードや高速印字モードがあってもよい。
【0100】
上記形態では、PC3Aが印刷ジョブを送信しているが、PC3Bが、プリンタドライバ4を用いて、PC3Aと同様に印刷ジョブを複合機2に送信してもよい。あるいは、PC3Bから印刷ジョブを送信しない場合、PC3Bは、プリンタドライバ4を省略してもよい。
【0101】
上記形態では、EWS32が第1画面D2と第2画面D3をPC3Bに提供しているが、第1画面D2および第2画面D3は、PC3Bにインストールされた設定用のプログラムが表示したものであってもよい。この場合、そのプログラムが、第1画面D2と第2画面D3の設定内容に従って複合機2にパラメータの設定を指示する。設定用のプログラムは、専用プログラムでもドライバでもよい。
【0102】
プリンタドライバ4は、エコモードの指定を受け付けた場合に、印刷設定表示領域SA11にエコモード対象項目をパラメータと対応付けてPC3AのUI6に表示させなくてもよい。但し、例えば
図5(b)に示すように表示させるようにすれば、エコモードの指定によって、複合機2にどのような印刷設定項目についてどのようなパラメータが設定されるのかが、PC3Aから複合機2に印刷ジョブを送信する前に、PC3Aに表示されることから、PC3Aのユーザの意図に沿った印刷になるか否かを事前に確認させることができる。
【0103】
図3のS23に示す処理を省略してもよい。S23の処理を省略することで、エコモードの選択を受け付けた際にパラメータをエコ値に変更しない設定がされたエコモード対象項目については、第1印刷パラメータ41に記憶されているパラメータを変更せず、現在複合機2に記憶される印刷パラメータを利用し易くなる。但し、S23の処理を実行することで、操作パネル32やEWS32を用いてエコモードをオフに設定して、エコモードの解除を受け付けた場合、エコモード対象項目のパラメータを初期パラメータに戻し、エコモード対象項目の設定をやり直すことが容易になる。
【0104】
図9のS63の処理を省略してもよい。この場合、エコモードに対応するパラメータを反映する状態になっていないとき(S57:NO)、第2画面D3にてオフ設定ボタンが選択された状態で第2適用ボタンA31の操作を受け付けることで、エコモード対象項目のパラメータをエコ値に変更しない変更設定が受け付けられていた場合、CPU11がエコモード対象項目のパラメータを変更しない。これにより、複合機2は、現在複合機2に記憶される印刷パラメータを利用し易くなる。
【0105】
但し、上記形態のように、エコモードに対応するパラメータを反映する状態になっていないとき(S57:NO)、第2画面D3にてオフ設定ボタンが選択された状態で第2適用ボタンA31の操作を受け付けることで、エコモード対象項目のパラメータをエコモードに対応するエコ値に変更しない変更設定が受け付けられていた場合、CPU11が、エコモード対象項目のパラメータを初期パラメータに戻す。これにより、複合機2は、エコモードに対応するパラメータでの印刷を回避し易くなる。
【0106】
特定モードがエコモード以外である場合、特定モードに対応するパラメータは、消費電力や資源消費量が少ない環境に優しいパラメータでなくてもよい。
【0107】
また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0108】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 印刷システム
2 複合機
3A PC
4 プリンタドライバ
11 CPU
12 メモリ
13 ネットワークIF
16 操作パネル
18 印刷ユニット