(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052569
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、端末装置、サーバ、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20220328BHJP
G10L 15/22 20060101ALI20220328BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20220328BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
G06Q50/02
G10L15/22 300Z
G10L15/22 200Z
G10L15/22 453
G06F3/16 650
G06F3/16 690
G06F3/01 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020159026
(22)【出願日】2020-09-23
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VISUAL BASIC
(71)【出願人】
【識別番号】520368459
【氏名又は名称】一般財団法人アグリオープンイノベーション機構
(71)【出願人】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】学校法人慶應義塾
(74)【代理人】
【識別番号】100127384
【弁理士】
【氏名又は名称】坊野 康博
(72)【発明者】
【氏名】神成 淳司
(72)【発明者】
【氏名】島津 秀雄
【テーマコード(参考)】
5E555
5L049
【Fターム(参考)】
5E555AA04
5E555AA11
5E555AA46
5E555AA63
5E555BA02
5E555BB02
5E555BB04
5E555BC04
5E555CA45
5E555CA47
5E555CB64
5E555DA23
5E555EA03
5E555EA23
5E555FA00
5L049CC01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】農業に関連する情報をより容易に入力することが可能な情報処理システム、情報処理装置、端末装置、サーバ、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理システムにおいて、端末装置10は、端末装置10の位置情報を取得する位置データ取得部112と、農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、位置データ取得部112によって取得された端末装置10の位置情報とに基づいて、農業従事者が農地での作業を行う状況であるか否かを判定する条件判定部113と、条件判定部113によって、農業従事者が農地での作業を行う状況であると判定された場合に、農業従事者に音声によって作業の種類を確認し、確認に対して、農業従事者が回答した音声を音声認識する対話制御部114と、端末装置10を使用する農業従事者が行った農地における作業履歴のデータが記憶する作業履歴データ記憶部174と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業従事者によって使用される端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含む情報処理システムであって、
前記端末装置は、
前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、前記位置情報取得手段によって取得された前記端末装置の位置情報とに基づいて、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であると判定された場合に、前記農業従事者に音声によって作業の種類を確認する確認手段と、
前記確認手段による確認に対して、前記農業従事者が回答した音声を音声認識する音声認識手段と、を備え、
前記サーバは、
前記音声認識手段によって音声認識された前記農業従事者の回答が示す作業を前記農地と対応付けて記憶する作業履歴記憶手段を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記判定手段は、前記位置情報取得手段によって取得された過去の複数の前記位置情報に基づいて、前記端末装置が前記農地の内部に位置しているか否かを判定し、前記農地の内部に位置していると判定された場合に、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であると判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記判定手段は、前記位置情報取得手段によって取得された前記位置情報が農地の内部を示した後、設定された時間が経過した時点で前記位置情報取得手段によって取得された前記位置情報が農地の内部を示している場合に、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であると判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記判定手段は、前記農地での作業と関連付けられた特定の場所を前記農業従事者が訪れたか否かを判定し、前記農地での作業と関連付けられた特定の場所を前記農業従事者が訪れたと判定された場合に、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であると判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
農業従事者によって使用される端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含む情報処理システムであって、
前記端末装置は、
前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記農業従事者による農地での作業に関連する発話を音声認識する音声認識手段と、
前記音声認識手段による音声認識結果と、前記農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、前記位置情報取得手段によって取得された前記端末装置の位置情報とに基づいて、前記農業従事者が作業を行う農地を推定する推定手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された前記端末装置の位置情報に基づいて、前記推定手段によって推定された前記農地に前記農業従事者が進入したか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記サーバは、
前記推定手段によって推定された前記農地に前記農業従事者が進入したと判定された場合に、前記音声認識手段によって音声認識された発話の内容が示す作業を前記農地と対応付けて記憶する作業履歴記憶手段を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
前記農地の周縁を前記農業従事者が歩行することにより前記位置情報取得手段によって取得された前記位置情報に基づいて、前記農地のデータを作成する農地データ作成手段を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記農地における作業の種類を表すデータを記憶する作業種類データ記憶手段を備え、
前記音声認識手段は、前記作業種類データ記憶手段に記憶された前記作業の種類を表すデータを参照して音声認識を行うことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記農地における作業の種類を表すデータと作物を表すデータとを対応付けて記憶する作物別作業種類データ記憶手段を備え、
前記音声認識手段は、対象となる前記作物に基づいて、前記作物別作業種類データ記憶手段に記憶された前記作業の種類を表すデータを参照して音声認識を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記農地と、前記農地において耕作されている作物を表すデータとを対応付けて記憶する農地別作物種類データ記憶手段を備え、
前記音声認識手段は、対象となる前記農地に基づいて、前記農地別作物種類データ記憶手段に記憶された前記作物を表すデータを参照して音声認識を行うことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記端末装置は、
前記音声認識手段による音声認識の結果が、農薬の散布が行われる作業を示している場合に、農薬の名称及び散布量を前記農業従事者に問いかける対話制御手段を備え、
前記作業履歴記憶手段は、
前記農業従事者が回答した音声を音声認識することにより取得された前記農薬の名称及び散布量を表すテキストデータを記憶することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記サーバは、外部からのアクセスに応じて、前記作業履歴記憶手段に記憶されたデータを提供することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
農業従事者によって使用される情報処理装置であって、
前記情報処理装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、前記位置情報取得手段によって取得された前記情報処理装置の位置情報とに基づいて、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であると判定された場合に、前記農業従事者に音声によって作業の種類を確認する確認手段と、
前記確認手段による確認に対して、前記農業従事者が回答した音声を音声認識する音声認識手段と、
前記音声認識手段によって音声認識された前記農業従事者の回答が示す作業を前記農地と対応付けて記憶する作業履歴記憶手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
農業従事者によって使用される情報処理装置であって、
前記情報処理装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記農業従事者による農地での作業に関連する発話を音声認識する音声認識手段と、
前記音声認識手段による音声認識結果と、前記農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、前記位置情報取得手段によって取得された前記情報処理装置の位置情報とに基づいて、前記農業従事者が作業を行う農地を推定する推定手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された前記情報処理装置の位置情報に基づいて、前記推定手段によって推定された前記農地に前記農業従事者が進入したか否かを判定する判定手段と、
前記推定手段によって推定された前記農地に前記農業従事者が進入したと判定された場合に、前記音声認識手段によって音声認識された発話の内容が示す作業を前記農地と対応付けて記憶する作業履歴記憶手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
農業従事者によって使用される端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含む情報処理システムにおける端末装置であって、
前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、前記位置情報取得手段によって取得された前記端末装置の位置情報とに基づいて、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であると判定された場合に、前記農業従事者に音声によって作業の種類を確認する確認手段と、
前記確認手段による確認に対して、前記農業従事者が回答した音声を音声認識する音声認識手段と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項15】
農業従事者によって使用される端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含む情報処理システムにおける端末装置であって、
前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記農業従事者による農地での作業に関連する発話を音声認識する音声認識手段と、
前記音声認識手段による音声認識結果と、前記農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、前記位置情報取得手段によって取得された前記端末装置の位置情報とに基づいて、前記農業従事者が作業を行う農地を推定する推定手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された前記端末装置の位置情報に基づいて、前記推定手段によって推定された前記農地に前記農業従事者が進入したか否かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項16】
農業従事者によって使用される端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含む情報処理システムにおけるサーバであって、
前記端末装置は、
前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、前記位置情報取得手段によって取得された前記端末装置の位置情報とに基づいて、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であると判定された場合に、前記農業従事者に音声によって作業の種類を確認する確認手段と、
前記確認手段による確認に対して、前記農業従事者が回答した音声を音声認識する音声認識手段と、を備え、
前記音声認識手段によって音声認識された前記農業従事者の回答が示す作業を前記農地と対応付けて記憶する作業履歴記憶手段を備えることを特徴とするサーバ。
【請求項17】
農業従事者によって使用される端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含む情報処理システムにおけるサーバであって、
前記端末装置は、
前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記農業従事者による農地での作業に関連する発話を音声認識する音声認識手段と、
前記音声認識手段による音声認識結果と、前記農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、前記位置情報取得手段によって取得された前記端末装置の位置情報とに基づいて、前記農業従事者が作業を行う農地を推定する推定手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された前記端末装置の位置情報に基づいて、前記推定手段によって推定された前記農地に前記農業従事者が進入したか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記推定手段によって推定された前記農地に前記農業従事者が進入したと判定された場合に、前記音声認識手段によって音声認識された発話の内容が示す作業を前記農地と対応付けて記憶する作業履歴記憶手段を備えることを特徴とするサーバ。
【請求項18】
農業従事者によって使用される端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含む情報処理システムで実行される情報処理方法であって、
前記端末装置が、
前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、前記位置情報取得ステップにおいて取得された前記端末装置の位置情報とに基づいて、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であると判定された場合に、前記農業従事者に音声によって作業の種類を確認する確認ステップと、
前記確認ステップにおける確認に対して、前記農業従事者が回答した音声を音声認識する音声認識ステップと、を含み、
前記サーバが、
前記音声認識ステップにおいて音声認識された前記農業従事者の回答が示す作業を前記農地と対応付けて記憶する作業履歴記憶ステップを含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項19】
農業従事者によって使用される端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含む情報処理システムで実行される情報処理方法であって、
前記端末装置が、
前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記農業従事者による農地での作業に関連する発話を音声認識する音声認識ステップと、
前記音声認識ステップにおける音声認識結果と、前記農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、前記位置情報取得ステップにおいて取得された前記端末装置の位置情報とに基づいて、前記農業従事者が作業を行う農地を推定する推定ステップと、
前記位置情報取得ステップにおいて取得された前記端末装置の位置情報に基づいて、前記推定ステップにおいて推定された前記農地に前記農業従事者が進入したか否かを判定する判定ステップと、を含み、
前記サーバが、
前記推定ステップにおいて推定された前記農地に前記農業従事者が進入したと判定された場合に、前記音声認識ステップにおいて音声認識された発話の内容が示す作業を前記農地と対応付けて記憶する作業履歴記憶ステップを含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項20】
農業従事者によって使用される情報処理装置を構成するコンピュータに、
前記情報処理装置の位置情報を取得する位置情報取得機能と、
前記農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、前記位置情報取得機能によって取得された前記情報処理装置の位置情報とに基づいて、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であるか否かを判定する判定機能と、
前記判定機能によって、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であると判定された場合に、前記農業従事者に音声によって作業の種類を確認する確認機能と、
前記確認機能による確認に対して、前記農業従事者が回答した音声を音声認識する音声認識機能と、
前記音声認識機能によって音声認識された前記農業従事者の回答が示す作業を前記農地と対応付けて記憶する作業履歴記憶機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項21】
農業従事者によって使用される情報処理装置を構成するコンピュータに、
前記情報処理装置の位置情報を取得する位置情報取得機能と、
前記農業従事者による農地での作業に関連する発話を音声認識する音声認識機能と、
前記音声認識機能による音声認識結果と、前記農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、前記位置情報取得機能によって取得された前記情報処理装置の位置情報とに基づいて、前記農業従事者が作業を行う農地を推定する推定機能と、
前記位置情報取得機能によって取得された前記情報処理装置の位置情報に基づいて、前記推定機能によって推定された前記農地に前記農業従事者が進入したか否かを判定する判定機能と、
前記推定機能によって推定された前記農地に前記農業従事者が進入したと判定された場合に、前記音声認識機能によって音声認識された発話の内容が示す作業を前記農地と対応付けて記憶する作業履歴記憶機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項22】
農業従事者によって使用される端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含む情報処理システムにおける端末装置を構成するコンピュータに、
前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得機能と、
前記農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、前記位置情報取得機能によって取得された前記端末装置の位置情報とに基づいて、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であるか否かを判定する判定機能と、
前記判定機能によって、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であると判定された場合に、前記農業従事者に音声によって作業の種類を確認する確認機能と、
前記確認機能による確認に対して、前記農業従事者が回答した音声を音声認識する音声認識機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項23】
農業従事者によって使用される端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含む情報処理システムにおける端末装置を構成するコンピュータに、
前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得機能と、
前記農業従事者による農地での作業に関連する発話を音声認識する音声認識機能と、
前記音声認識機能による音声認識結果と、前記農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、前記位置情報取得機能によって取得された前記端末装置の位置情報とに基づいて、前記農業従事者が作業を行う農地を推定する推定機能と、
前記位置情報取得機能によって取得された前記端末装置の位置情報に基づいて、前記推定手段によって推定された前記農地に前記農業従事者が進入したか否かを判定する判定機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項24】
農業従事者によって使用される端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含み、前記端末装置は、
前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、前記位置情報取得手段によって取得された前記端末装置の位置情報とに基づいて、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であると判定された場合に、前記農業従事者に音声によって作業の種類を確認する確認手段と、
前記確認手段による確認に対して、前記農業従事者が回答した音声を音声認識する音声認識手段と、を備える情報処理システムにおけるサーバを構成するコンピュータに、
前記音声認識手段によって音声認識された前記農業従事者の回答が示す作業を前記農地と対応付けて記憶する作業履歴記憶機能を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項25】
農業従事者によって使用される端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含み、前記端末装置は、
前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記農業従事者による農地での作業に関連する発話を音声認識する音声認識手段と、
前記音声認識手段による音声認識結果と、前記農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、前記位置情報取得手段によって取得された前記端末装置の位置情報とに基づいて、前記農業従事者が作業を行う農地を推定する推定手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された前記端末装置の位置情報に基づいて、前記推定手段によって推定された前記農地に前記農業従事者が進入したか否かを判定する判定手段と、を備える情報処理システムにおけるサーバを構成するコンピュータに、
前記推定手段によって推定された前記農地に前記農業従事者が進入したと判定された場合に、前記音声認識手段によって音声認識された発話の内容が示す作業を前記農地と対応付けて記憶する作業履歴記憶機能を実現させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、端末装置、サーバ、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ITの高機能化、低価格化等に伴い、スマートフォンやタブレット端末等の情報処理装置において農業に関連する情報を記録するツールが普及している。
農業に関連する情報の入力を容易にするため、従来、わかりやすいメニュー形式にしたり、音声入力インタフェースを提供したりするといった技術が提案されている。
なお、非特許文献1には、農業に関連する情報を容易に記録することを目的としたシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】島津秀雄、久寿居大、神谷俊之、沼野なぎさ、「産地の営農指導支援システムの研究開発」、人工知能学会誌、Vol.30、No.2、pp.167-173,2015.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、農地での実際の農作業の最中に、スマートフォン等の情報処理装置に情報を入力することは手間を要するものであり、このような入力作業は農業従事者において定着していないのが実状である。
【0005】
本発明の課題は、農業に関連する情報をより容易に入力することが可能な技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る情報処理システムは、
農業従事者によって使用される端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含む情報処理システムであって、
前記端末装置は、
前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、前記位置情報取得手段によって取得された前記端末装置の位置情報とに基づいて、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記農業従事者が前記農地での作業を行う状況であると判定された場合に、前記農業従事者に音声によって作業の種類を確認する確認手段と、
前記確認手段による確認に対して、前記農業従事者が回答した音声を音声認識する音声認識手段と、を備え、
前記サーバは、
前記音声認識手段によって音声認識された前記農業従事者の回答が示す作業を前記農地と対応付けて記憶する作業履歴記憶手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、農業に関連する情報をより容易に入力することが可能な技術を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る情報処理システム1全体の構成を示す模式図である。
【
図2】各装置を構成する情報処理装置800のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】端末装置10の機能的構成を示すブロック図である。
【
図4】サーバ20の機能的構成を示すブロック図である。
【
図5】領域内外の判定方法を説明するための模式図である。
【
図6】多角形の内外判定における計算アルゴリズムの概要を示す図である。
【
図7】端末装置10で実行される自動入力処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図8】自動入力処理が実行される際の農業従事者の行動を示す模式図である。
【
図9】第2実施形態における農地入退判定条件の判定方法の一例を示す模式図である。
【
図10】第3実施形態における農地入退判定条件の判定方法の一例を示す模式図である。
【
図11】第4実施形態における農地入退判定条件の判定方法の一例を示す模式図である。
【
図12】農業従事者自身が作業を行う農地のデータを作成する方法の一例を示す模式図である。
【
図13】端末装置10で実行される農地データ作成処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図14】第6実施形態における自動入力処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図15】第7実施形態における端末装置10の機能的構成を示すブロック図である。
【
図16】作業種類データの一例を示す模式図である。
【
図17】第7実施形態において端末装置10が実行する音声認識処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図18】作物別作業種類データの一例を示す模式図である。
【
図19】第8実施形態において端末装置10が実行する音声認識処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図20】農地別作物種類データの一例を示す模式図である。
【
図21】第9実施形態において端末装置10が実行する音声認識処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図22】第10実施形態において端末装置10が実行する作業情報補充処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
[構成]
図1は、本発明に係る情報処理システム1全体の構成を示す模式図である。
本実施形態に係る情報処理システム1は、農業従事者が携帯する端末装置によって農業従事者の位置を逐次計測し、農業従事者が農地での作業を行うにあたり、適切なタイミングを判定して、音声により、いずれの作業を行うかを農業従事者に問いかける。そして、情報処理システム1は、農業従事者が音声により回答した作業の種類を、農業従事者が位置している農地において行っているものとして記録する。さらに、情報処理システム1は、農地における作業が終了したか否かを判定し、作業が終了した場合に、農地における作業の終了を記録する。
これにより、農業従事者が、端末装置を携帯して農地に赴くと、農業従事者自らが積極的に作業に関するデータを入力しなくても、端末装置から農業従事者に自動的に作業の種類を問い合わせるため、農業従事者が作業に関する情報を入力し忘れることを抑制できる。また、農地における作業の開始及び終了を自動的に判定し、作業履歴のデータが記録される。
したがって、情報処理システム1によれば、農業に関連する情報をより容易に入力することが可能となる。
以下、情報処理システム1の構成を具体的に説明する。
【0010】
図1に示すように、情報処理システム1は、複数の端末装置10と、サーバ20とを含んで構成され、複数の端末装置10とサーバ20とは、インターネット等のネットワーク30を介して通信可能に構成されている。
【0011】
端末装置10は、農業従事者によって携帯される測位機能を備えた端末装置であり、スマートフォン、携帯電話機、タブレット端末あるいはPC(Personal Computer)等の情報処理装置によって構成される。
また、端末装置10は、農業従事者が情報の入力及び出力を行うユーザインターフェース画面(以下、「UI画面」と称する。)を表示すると共に、音声により農業従事者との対話(音声出力及び音声認識)を行う。さらに、端末装置10は、後述する自動入力処理を実行することにより、農業従事者が農地での作業を行う際に、農業従事者が農地での作業を行う状況であるか否かを判定するために設定された条件(以下、適宜「農地入退判定条件」と称する。)に基づく判定を行い、この判定結果に基づいて、音声により、いずれの作業を行うかを農業従事者に問いかける。そして、端末装置10は、農業従事者の音声による回答を音声認識して作業の種類を表すテキストデータを取得する。さらに、端末装置10は、農業従事者が農地での作業を行っている際に、農地入退判定条件に基づく判定を行い、この判定結果に基づいて、農地での作業が終了したことを検出する。なお、端末装置10に入力された各種情報及び自動入力処理の判定結果等は、サーバ20に送信される。
【0012】
サーバ20は、農業従事者の端末装置10からアクセスを受け付けるサーバコンピュータ等の情報処理装置によって構成される。
サーバ20は、複数の農業従事者(農家)に関する情報、複数の農地に関する情報、複数の農業従事者における作業履歴に関する情報を記憶するデータベースを備え、農業従事者の端末装置10から送信された各種情報をこれらのデータベースに逐次記憶する。なお、本実施形態において、複数の農業従事者(農家)に関する情報、及び、複数の農地に関する情報は、サーバ20に予め記憶されているものとする。
【0013】
[ハードウェア構成]
次に、情報処理システム1における各装置のハードウェア構成を説明する。
情報処理システム1において、各装置は、スマートフォン、携帯電話機、タブレット端末あるいはサーバコンピュータ等の情報処理装置によって構成され、その基本的構成は同様である。
【0014】
図2は、各装置を構成する情報処理装置800のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、各装置を構成する情報処理装置800は、CPU(Central Processing Unit)811と、ROM(Read Only Memory)812と、RAM(Random Access Memory)813と、バス814と、入力部815と、出力部816と、記憶部817と、通信部818と、ドライブ819と、撮像部820と、測位部821と、を備えている。
【0015】
CPU811は、ROM812に記録されているプログラム、または、記憶部817からRAM813にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM813には、CPU811が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0016】
CPU811、ROM812及びRAM813は、バス814を介して相互に接続されている。バス814には、入力部815、出力部816、記憶部817、通信部818、ドライブ819及び撮像部820が接続されている。
【0017】
入力部815は、マイク及び各種ボタン等で構成され、マイクは音声認識用途に用いられ、各種ボタンは指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部816は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、映像や音声を出力する。
なお、情報処理装置800がスマートフォンやタブレット端末として構成される場合には、入力部815と出力部816のディスプレイとを重ねて配置し、タッチパネルを構成することとしてもよい。
記憶部817は、ハードディスクあるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各サーバで管理される各種データを記憶する。
通信部818は、ネットワーク30を介して他の装置との間で行う通信を制御する。
【0018】
ドライブ819には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア831が適宜装着される。ドライブ819によってリムーバブルメディア831から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部817にインストールされる。
撮像部820は、レンズ及び撮像素子等を備えた撮像装置によって構成され、被写体のデジタル映像を撮像する。
測位部821は、GPS(Global Positioning System)等の測位システムにより、端末装置10の現在位置を計測する。
なお、情報処理装置800がサーバ20として構成される場合には、撮像部820あるいは測位部821を省略した構成とすることも可能である。
【0019】
[機能的構成]
次に、情報処理システム1における各装置の機能的構成について説明する。
[端末装置10の機能的構成]
図3は、端末装置10の機能的構成を示すブロック図である。
図3に示すように、端末装置10のCPU811においては、ユーザインターフェース制御部(UI制御部)111と、位置データ取得部112と、条件判定部113と、対話制御部114と、データ管理部115と、が機能する。また、端末装置10の記憶部817には、農地データ記憶部171と、位置データ記憶部172と、対話データ記憶部173と、作業履歴データ記憶部174と、が形成される。
【0020】
農地データ記憶部171には、端末装置10を使用する農業従事者が作業を行う農地のデータが記憶されている。本実施形態において、農業従事者の農地のデータは、サーバ20の農地データ記憶部272に予め記憶されており、農地データ記憶部171には、サーバ20から送信された端末装置10を使用する農業従事者の農地のデータが記憶されている。
位置データ記憶部172には、端末装置10において計測された位置データが時系列に記憶される。
対話データ記憶部173には、端末装置10が発話する場合の発話内容を表すデータ(例えば、「いずれの作業を行いますか?」というテキスト及び音声のデータ)が記憶されている。また、対話データ記憶部173には、端末装置10と農業従事者との間で行われた対話内容を表すテキストのデータが記憶される。
作業履歴データ記憶部174には、端末装置10を使用する農業従事者が行った農地における作業履歴のデータが記憶される。
【0021】
UI制御部111は、農業従事者が情報の入力及び出力を行うUI画面の表示を制御する。例えば、UI制御部111は、自動入力処理の開始を指示入力するための画面、地図上に農地や農業従事者の現在位置を表示するための画面、端末装置10と農業従事者との対話内容を表示するための画面等、端末装置10が動作する際に必要となる各種画面を表示する。
【0022】
位置データ取得部112は、測位部821によって計測された端末装置10の現在の位置データを所定時間毎(例えば、30秒毎)に取得する。
条件判定部113は、位置データ取得部112によって取得された位置データに基づいて、端末装置10の現在の状況が農地入退判定条件に適合するか否かを判定する。
本実施形態の農地入退判定条件においては、農業従事者の農地として予め登録されている領域の外部から内部に、端末装置10の位置データが遷移した場合に、農業従事者が農地に進入したと判定すること(進入時の条件)が定義されている。また、本実施形態の農地入退判定条件においては、農業従事者の農地として予め登録されている領域の内部から外部に、端末装置10の位置データが遷移した場合に、農業従事者が農地から退出したと判定すること(退出時の条件)が定義されている。
【0023】
対話制御部114は、条件判定部113によって農業従事者が農地に進入したと判定された場合に、農業従事者に対して、農地において、いずれの作業を行うかを問いかけるための音声出力を制御する。例えば、対話制御部114は、「いずれの作業を行いますか?」あるいは「本日は〇〇作業を行いますか?」といった問いかけのための音声を出力させる。なお、「〇〇作業」の部分は、季節、時刻、過去に行われた作業からの流れ等に基づいて、推定された作業の種類を挿入することができる。
また、対話制御部114は、農業従事者が発話した音声を認識し、テキストデータに変換する。
【0024】
データ管理部115は、端末装置10において使用されるデータを記憶部817から読み出したり、記憶部817に記憶したりする。また、データ管理部115は、サーバ20から送信された各種データを受信したり、端末装置10で取得あるいは生成された各種データをサーバ20に送信したりする。
【0025】
[サーバ20の機能的構成]
図4は、サーバ20の機能的構成を示すブロック図である。
図4に示すように、サーバ20のCPU811においては、作業履歴データ受信部211と、データベース管理部212と、が機能する。また、サーバ20の記憶部817には、農家データ記憶部271と、農地データ記憶部272と、作業履歴データ記憶部273と、が形成される。
【0026】
農家データ記憶部271には、農業従事者の氏名または名称と農業従事者の識別情報(ID)とが対応付けて記憶されている。
農地データ記憶部272には、農業従事者が作業を行う農地の領域を表すデータと、各農地の識別情報(ID)とが対応付けて記憶されている。本実施形態においては、農地データ記憶部272に記憶された農地の領域のデータに、その農地において作業を行う農業従事者の識別情報が対応付けて記憶されているものとする。
作業履歴データ記憶部273には、端末装置10から送信された農業従事者の農地における作業履歴のデータが、農業従事者及び農地と対応付けて記憶される。
なお、情報処理システム1に、サーバ20の作業履歴データ記憶部273に記憶された作業履歴のデータを外部から参照可能とする機能(即ち、外部へのデータ提供機能)を備えることとしてもよい。
この場合、例えば、外部装置からのアクセスに対し、ユーザあるいは装置の認証を行った上で、サーバ20が作業履歴のデータを外部装置に提供する構成とすることができる。
これにより、情報処理システム1の外部装置から、農作物が育てられた履歴を参照したり、農業従事者の農作業の履歴を管理あるいは分析したりすることが可能となる。
【0027】
作業履歴データ受信部211は、端末装置10から送信された農業従事者の農地における作業履歴のデータを受信する。
データベース管理部212は、端末装置10から要求された各種データを記憶部817から読み出し、端末装置10に送信する。また、データベース管理部212は、作業履歴データ受信部211が受信した作業履歴のデータを農業従事者及び農地と対応付けて作業履歴データ記憶部273に記憶する。
【0028】
[領域内外の判定方法]
上述したように、条件判定部113は、端末装置10の現在位置が農業従事者の農地として予め登録されている領域の内部であるか外部であるかを判定する。
このとき、領域の内部であるか外部であるかを判定する種々の技術を用いることが可能であるが、一例として、以下のような判定方法を用いることができる。
【0029】
図5は、領域内外の判定方法を説明するための模式図である。
なお、
図5においては、図中に示すように座標が設定されており、X軸は右方向、Y軸は上方向に数値が大きくなるものとする(後述する
図6においても同様である)。
本実施形態において、領域内外の判定対象となる農地は、一般に多角形で表現することができる。多角形の内外判定は、Point in Polygon問題(PIP問題)と呼ばれ、既に種々の手法が確立されている。例えば、Crossing Number AlgorithmやWinding Number Algorithm等の手法を代表的なものとして挙げられる(参考文献: Shimrat, M., "Algorithm 112: Position of point relative to polygon" 1962, Communications of the ACM Volume 5 Issue 8, Aug. 1962.)。
ここでは、一例としてCrossing Number Algorithmを用いて多角形の内外判定を行う手法を説明する。
【0030】
Crossing Number Algorithmでは、
図5に示すように、ある調査点があると、その調査点から水平方向に(X軸方向に)直線を伸ばし、多角形の辺との交差回数をカウントする。ここで、水平方向に伸ばす直線は半直線で、プラス方向マイナス方向のいずれかを定めて、その方向に伸ばしたものとして判定を行う。現在地点が多角形の内側にある場合は、半直線と多角形の辺との交差回数は奇数回、外側にある場合は偶数回となる。現在位置の水平線が多角形の頂点上にある場合は、2つではなく1つとして計数する。
【0031】
図5においては、同一の多角形に対して異なる位置に調査点をおいた4つの事例を示している。
事例1では交差回数1、事例2は交差回数0、事例3は交差回数4、事例4は交差回数3であり、事例1と事例4は交差回数が奇数であるため多角形の「内側」、事例2と事例3は交差回数が偶数なので多角形の「外側」と判定される。
図6は、多角形の内外判定における計算アルゴリズムの概要を示す図である。
多角形は一次関数の線分の集合で表現される。本実施形態において、領域(農地)の辺に相当する線分の両端の座標は、緯度経度(X,Y)で表現することができる。それぞれの線分は、線分の両端(始点と終点)の座標(x,y)から、y=f(x)の一次関数で表現される。なお、
図6においては、
図5に示す多角形と同じ図形を例として座標を示している。
図5に示す例は、9角形の領域を示している。農地の場合、このような形状の領域は実際に存在し得る。
【0032】
この図形の各線分の式は、
Y=f1(x)(ただし、v11<x≦v12)
Y=f2(x)(ただし、v21<x≦v22)
Y=f3(x)(ただし、v31<x≦v32)
Y=f4(x)(ただし、v41<x≦v42)
Y=f5(x)(ただし、v51<x≦v52)
Y=f6(x)(ただし、v61<x≦v62)
Y=f7(x)(ただし、v71<x≦v72)
Y=f8(x)(ただし、v81<x≦v82)
Y=f9(x)(ただし、v91<x≦v92)
のように表現される。ここで、ただし書きの部分は、例えば、
Y=f1(x)(ただし、v11<x≦v12)
と表現した場合、X軸について、Xの値が、v11より大きく、v12以下の値の範囲であることを示している。
【0033】
ここで、上述したy=f(x)に対して、その逆関数x=g(y)を以下のように定義しておく。
x=g1(y)(ただし、v11<x≦v12)
x=g2(y)(ただし、v21<x≦v22)
x=g3(y)(ただし、v31<x≦v32)
x=g4(y)(ただし、v41<x≦v42)
x=g5(y)(ただし、v51<x≦v52)
x=g6(y)(ただし、v61<x≦v62)
x=g7(y)(ただし、v71<x≦v72)
x=g8(y)(ただし、v81<x≦v82)
x=g9(y)(ただし、v91<x≦v92)
以下、線分の一般表現として、
x=gi(y)(但し,vi1<x≦vi2)
を用いるものとする。
【0034】
ここで、調査点の座標を(xa,ya)とする。
本実施形態の内外判定では、まず、それぞれの線分毎に、調査点のX軸の値が、線分の終点のX軸の値より大きいかどうかを調べる。これは、調査点よりも左側にある線分は、調査点から伸びる半直線と多角形の辺との交差回数を計算する対象から除外することを意味する。これをプログラミング言語(Visual Basic等)の表記に準じた条件式で表すと、
If((xa≦vi2),true,false)
となる。
【0035】
次に、それぞれの線分毎に、調査点のY軸の値を入力としたときのX軸の値を計算し、調査点のX軸の値がその線分のX軸の範囲にあるか否かを調べる。また、範囲に入っていた場合、その値が調査点のX軸の値より大きい(右側にある)か否かを調べる。この両方の条件を充足した場合にのみ戻り値がtrueとなる。例えば、
図6の線分f8(=g8)の場合では、線分f8は、調査点(xa,ya)からY軸の値を不変にしてX軸の値を大きくしていく線分(図中で破線で表現している)と線分f8が交差している。これを検知する場合は、まず、線分f8を表す逆関数式x=g8(y)で、X軸の値としてyaを入力し、線分f8上のX軸の値g8(ya)を算出する。次に、この値が、線分f8の両端のX軸値であるf8(v81)とf8(v2)の範囲の値になっているかどうかを調べる。もしも範囲に入っていた場合は、次に、g8(ya)がxaより大きい値であるかどうかを調べ、大きい値の場合は、調査点と交差していると判断する。これをプログラミング言語の表記に準じた条件式で表すと、
If((vi1<gi(ya)≦vi2)AND(xa≦gi(ya)),true,false)
となる。
【0036】
この条件式の戻り値がtrueになる場合、この線分が交差点を有することを意味している。したがって、総和を表す演算子Σを用いて、
Σ(If((vi1<gi(ya)≦vi2)AND(xa≦gi(ya))),true,false)
によってtrueの数を合計し、その結果が奇数であれば多角形の「内側」、偶数であれば多角形の「外側」と判定することができる。
なお、
図6においては、太線で示した3つの線分(第2の線分、第5の線分、第8の線分)を取り出して具体的な計算を例示している。
【0037】
第2の線分は、調査点よりも左側に存在している例である。この場合は、
If((xa≦vi2),true,false)
でfalseになるため、交差回数の計算対象外になる。
第5の線分は、X座標については、その範囲に調査点を含む例である。ただし、調査点から伸びる半直線は、第5の線分を左側に延長した部分とは交差するが右側に延長した部分とは交差しない。したがって、以下の条件式では、戻り値がfalseになる。
(If((vi1<gi(ya)≦vi2)AND(xa≦gi(ya))),true,false)
【0038】
第8の線分は、調査点からX軸の右方向に伸ばした半直線が交差する線分である。第8の線分は、調査点よりも右側に存在しているため、
If((xa≦vi2),true,false)
の戻り値はtrueとなる。また、調査点は、第8の線分を右側に延長した部分と交差するため、
(If((vi1<gi(ya)≦vi2)AND(xa≦gi(ya))),true,false)
の戻り値もtrueとなる。
【0039】
図6において、多角形を構成する9つの線分のうち、調査点からX軸を右側に延長した半直線と交差する線分は、第8の線分のみであり、trueの数は1つ、即ち、奇数である。
したがって、この調査点は、この多角形の内側に存在するという判定結果となる。
【0040】
[動作]
次に、情報処理システム1の動作を説明する。
[自動入力処理]
図7は、端末装置10で実行される自動入力処理の流れを説明するフローチャートである。
また、
図8は、自動入力処理が実行される際の農業従事者の行動を示す模式図である。
以下、
図8を適宜参照しながら、自動入力処理の流れを説明する。
自動入力処理は、端末装置10の入力部815を介して自動入力処理の実行が指示入力されることに対応して開始される。
【0041】
自動入力処理が開始されると、ステップS1において、UI制御部111は、農業従事者が情報の入力及び出力を行うUI画面を表示する。
ステップS2において、位置データ取得部112は、測位部821によって計測された端末装置10の位置データを取得する。
【0042】
ステップS3において、条件判定部113は、端末装置10の位置データに基づいて、農地入退判定条件における進入時の条件に適合するか否かの判定を行う。
農地入退判定条件における進入時の条件に適合しない場合、ステップS3においてNOと判定されて、処理はステップS2に移行する。
一方、農地入退判定条件における進入時の条件に適合する場合、ステップS3においてYESと判定されて、処理はステップS4に移行する。
【0043】
ステップS4において、対話制御部114は、農業従事者に対して、農地において、いずれの作業を行うかを問いかけるための音声(「何の作業をしますか?」等)を出力し、農業従事者からの音声による回答を音声認識する。即ち、音声によって作業内容が確認される。
ステップS5において、データ管理部115は、農地における作業の開始を記録すると共に、作業の開始を示す情報をサーバ20に送信する。具体的には、データ管理部115は、農地の識別情報と、音声認識により特定される作業の種類と、作業の開始時刻とを対応付けて、作業履歴データ記憶部174に記憶すると共に、これらの情報をサーバ20に送信する。
ステップS6において、位置データ取得部112は、測位部821によって計測された端末装置10の位置データを取得する。
【0044】
ステップS7において、条件判定部113は、端末装置10の位置のデータに基づいて、農地入退判定条件における退出時の条件に適合するか否かの判定を行う。
農地入退判定条件における退出時の条件に適合しない場合、ステップS7においてNOと判定されて、処理はステップS6に移行する。
一方、農地入退判定条件における退出時の条件に適合する場合、ステップS7においてYESと判定されて、処理はステップS8に移行する。
【0045】
ステップS8において、データ管理部115は、農地における作業の終了を記録すると共に、作業の終了に関する情報をサーバ20に送信する。具体的には、データ管理部115は、ステップS5において記録された農地における作業の開始を示すデータ(農地の識別情報と、音声認識により特定される作業の種類と、作業の開始時刻とが対応付けられた作業履歴データ記憶部174内のデータ)に作業の終了時刻を対応付けて記憶すると共に、作業の終了時刻をサーバ20に送信する。サーバ20においては、作業の開始を示すデータと対応付けて、作業の終了時刻のデータが作業履歴データ記憶部273に記憶される。
ステップS8の後、自動入力処理は終了する。
【0046】
このような処理により、情報処理システム1においては、農業従事者が、端末装置10を携帯して農地に赴くと、農業従事者自らが積極的に作業に関するデータを入力しなくても、端末装置10から農業従事者に自動的に作業の種類を問い合わせるため、農業従事者が作業に関する情報を入力し忘れることを抑制できる。また、農地における作業の開始及び終了を自動的に判定し、作業履歴のデータが記録される。
したがって、情報処理システム1によれば、農業に関連する情報をより容易に入力することが可能となる。
【0047】
なお、上述の実施形態において、情報処理システム1を他のシステムあるいはアプリケーションと連携させて、農業に関連する情報を入力するシステムを構築することとしてもよい。
即ち、情報処理システム1の実装形態としては、クラウドシステム上に構築された情報処理システム1が単独で上述の実施形態の機能を備えることや、情報処理システム1の主要な機能(例えば、端末装置10の機能)を情報処理システム1が提供し、他の機能(例えば、サーバ20の機能等)を情報処理システム1以外のシステム(各種営農支援システム等)が提供すること等が可能である。
【0048】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第1実施形態においては、農地入退判定条件に基づく判定を行う際に、農業従事者の農地として予め登録されている領域の外部から内部に、端末装置10の位置データが遷移した場合に、農業従事者が農地に進入したと判定するものとした。同様に、農業従事者の農地として予め登録されている領域の内部から外部に、端末装置10の位置データが遷移した場合に、農業従事者が農地から退出したと判定するものとした。
これに対し、第2実施形態においては、計測された位置データに誤差が含まれることに鑑み、端末装置10の直近の複数の位置データを用いて、農地入退判定条件に基づく判定を行う点が異なっている。
【0049】
即ち、第2実施形態における情報処理システム1は、第1実施形態の情報処理システム1に対し、条件判定部113における判定方法が異なるものであるため、条件判定部113について主として説明し、他の部分は第1実施形態の説明を参照するものとする。
条件判定部113は、位置データ取得部112によって取得された直近の複数の位置データ(例えば、直近の5つの位置データ)に基づいて、端末装置10の現在の状況が農地入退判定条件に適合するか否かを判定する。
【0050】
図9は、第2実施形態における農地入退判定条件の判定方法の一例を示す模式図である。
図9に示す例では、農地入退判定条件に基づく判定を行う際に、端末装置10の直近の5つの位置データを参照し、農地として予め登録されている領域の内部または外部のうち、これら5つの位置データにおける閾値(例えば半数)以上のサンプルが属している領域に、農業従事者が位置していると判定している。
例えば、
図9における「状態1」では、農業従事者が農地の外部に位置しており、端末装置10の直近の5つの位置データのうち、半数以上が農地の外部の位置を示している。
この場合、条件判定部113は、農業従事者が農地の外部に位置していると判定する。
【0051】
また、
図9における「状態2」では、農業従事者が農地に進入して農地の内部に位置しており、端末装置10の直近の5つの位置データのうち、半数以上が農地の外部の位置を示している。
この場合、条件判定部113は、農業従事者が農地の外部に位置していると判定する。
【0052】
また、
図9における「状態3」では、農業従事者が農地の内部に位置しており、端末装置10の直近の5つの位置データのうち、半数以上が農地の内部の位置を示している。
この場合、条件判定部113は、農業従事者が農地の内部に位置していると判定する。
また、
図9における「状態4」では、農業従事者が農地から退出して農地の外部に位置しており、端末装置10の直近の5つの位置データのうち、半数以上が農地の内部の位置を示している。
この場合、条件判定部113は、農業従事者が農地の外部に位置していると判定する。
【0053】
また、
図9における「状態5」では、農業従事者が農地の外部に位置しており、端末装置10の直近の5つの位置データのうち、半数以上が農地の外部の位置を示している。
この場合、条件判定部113は、農業従事者が農地の外部に位置していると判定する。
本実施形態における自動入力処理では、
図7に示す第1実施形態の自動入力処理のステップS3において、このように直近の複数の位置データを用いた判定が行われ、直近の複数の位置データにおける閾値以上のサンプルが農地の内部の位置を示している場合、農地入退判定条件に適合したと判定される。
【0054】
このように、端末装置10の直近の複数の位置データを用いて、農地入退判定条件に基づく判定を行うことで、位置データに誤差が含まれる場合においても、農地の境界付近において、農地入退判定条件による判定結果が農地の内部と外部とで頻繁に変化する状況を抑制でき、農業従事者が農地の内部に位置しているか、外部に位置しているかを安定して判定することができる。
【0055】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
第1実施形態及び第2実施形態においては、農地入退判定条件に基づく判定により、農業従事者が農地に進入したと判定された場合に、農地における作業の種類を端末装置10が農業従事者に問いかけるものとした。
これに対し、第3実施形態においては、農業従事者が農地に進入したと判定された後、設定された時間が経過した時点で農地の内部に継続して位置している場合に、農地入退判定条件が充足されたものとし、農地における作業の種類を端末装置10が農業従事者に問いかける点が異なっている。
【0056】
即ち、第3実施形態における情報処理システム1は、第1実施形態及び第2実施形態の情報処理システム1に対し、条件判定部113における判定方法が異なるものであるため、条件判定部113について主として説明し、他の部分は第1実施形態または第2実施形態の説明を参照するものとする。
【0057】
条件判定部113は、位置データ取得部112によって取得された位置データ及びタイマーのカウント時間に基づいて、端末装置10の現在の状況が農地入退判定条件に適合するか否かを判定する。本実施形態において、条件判定部113は、経過時間をカウントするためのタイマーを備えており、端末装置10の位置データが農地の内部を示すものとなった時点でタイマーのカウントを開始し、所定時間継続して位置データが農地の内部を示している場合に、農地入退判定条件に適合したと判定する。
【0058】
図10は、第3実施形態における農地入退判定条件の判定方法の一例を示す模式図である。
図10に示す例では、端末装置10の位置データが農地の外部から内部に遷移したと判定された際に、タイマーのカウントが開始される。
タイマーが設定された時間(例えば、10分)を経過した後、再び、端末装置10の位置データを取得し、この位置データが農地の内部を示している場合、端末装置10は農業従事者に農地での作業の種類を問いかける。一方、端末装置10の位置データが農地の外部を示している場合には、農地での作業を行わなかった(あるいは誤差等によるエラー)と判定し、タイマーのカウントをリセットする。
本実施形態における自動入力処理では、
図7に示す第1実施形態の自動入力処理のステップS3において、このようにタイマーによるカウントが行われ、設定された時間を経過した後に位置データが農地の内部を示している場合、農地入退判定条件に適合したと判定される。
【0059】
このように、端末装置10の位置データと、位置データによる農地の内部または外部の判定結果をタイマーでカウントした結果とを用いて農地入退判定条件を定義することにより、農業従事者が作業以外の目的で一時的に農地に進入したり、位置データの誤差等によるエラーのために一時的に農地の内部を位置データが示したりした場合にも、農業従事者が農地の内部に進入したか否かを、より適切に判定することが可能となる。
【0060】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
第1実施形態~第3実施形態においては、農地入退判定条件に基づいて、農業従事者が農地の内部に進入したと判定された場合に、端末装置10が農業従事者に音声によって作業の種類を問い合わせるものとした。
これに対し、第4実施形態においては、端末装置10の位置データに基づいて、農地での作業と関連性の強い場所(例えば、納屋等)を農業従事者が訪れたか否かを判定し、農地での作業と関連性の強い場所を農業従事者が訪れた場合に、農地での作業を行う蓋然性が高いものとして、農地入退判定条件が充足されたものとする点が異なっている。
【0061】
即ち、第4実施形態における情報処理システム1は、第1実施形態~第3実施形態の情報処理システム1に対し、条件判定部113における判定方法が異なるものであるため、条件判定部113について主として説明し、他の部分は第1実施形態~第3実施形態の説明を参照するものとする。
条件判定部113は、位置データ取得部112によって取得された位置データ及び予め登録されている特定の場所の地図データに基づいて、端末装置10の現在の状況が農地入退判定条件に適合するか否かを判定する。
【0062】
図11は、第4実施形態における農地入退判定条件の判定方法の一例を示す模式図である。
図11に示すように、第4実施形態における情報処理システム1では、農地での作業と関連性の強い場所(ここでは、納屋とする)が、農地の識別情報と対応付けて予め登録されている。
【0063】
即ち、第4実施形態における情報処理システム1では、農地での作業と関連性の強い場所の地図データが登録されており、端末装置10の位置データに基づいて、この場所を農業従事者が訪れたと判定された場合、この場所と対応付けられている農地を農業従事者が訪れようとしているものと推定し、農地入退判定条件が充足されたものとする。なお、農地での作業と関連性の強い場所が複数の農地に対応付けられている場合、それらの農地のいずれかを農業従事者に提示して選択を受け付けることが可能である。
【0064】
本実施形態における自動入力処理では、
図7に示す第1実施形態の自動入力処理のステップS3において、このように農地での作業と関連性の強い場所の地図データに対する端末装置10の位置が判定され、この場所を農業従事者が訪れた(農地での作業と関連性の強い場所の地図データと端末装置10の位置データとが完全に一致した、または、位置データの差が設定された範囲以内(例えば、3[m]以内)となった)と判定された場合、農地入退判定条件に適合したと判定される。
【0065】
このように、農地での作業と関連性の強い場所を登録しておき、この場所を農業従事者が訪れた場合に、農地入退判定条件が充足されたものと判定することで、納屋等で農地における作業の準備がほぼ確実に行われる場合に、農地で作業が行われることを適確に判定することができ、農業従事者に対して、適切なタイミングで作業の種類を問いかけることが可能となる。
【0066】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
第1実施形態~第4実施形態においては、端末装置10を使用する農業従事者が作業を行う農地のデータが、農地データ記憶部171及び農地データ記憶部272に予め記憶されているものとした。
これに対し、農業従事者自身が作業を行う農地の周縁を歩行することにより、実際に作業が行われる領域を反映させた農地のデータを作成することが可能である。
この場合、データ管理部115が後述する農地データ作成処理を実行することにより、農地の周縁を示す位置データを取得して、農地のデータを作成する。
【0067】
図12は、農業従事者自身が作業を行う農地のデータを作成する方法の一例を示す模式図である。
図12に示す例では、農業従事者自身が、農地の周縁における出発点から、位置データ取得部112によって位置データを取得しながら、農地の周縁を辿るように歩行することで、農地の周縁(境界)の位置データが時系列に取得される。このとき、位置データ取得部112が測位部821の計測結果を取得する時間間隔をより短く(例えば、1秒毎)することとしてもよい。
【0068】
具体的には、
図12に示すように農地のデータを取得する場合、農業従事者は、出発点から農地の辺に沿って歩行し、頂点の位置において、現在位置が頂点であることを明示的に入力する操作(画面における操作または音声による入力等)を行う。そして、頂点から延びる次の辺に沿って歩行し、次の頂点に到達した場合、再び、現在位置が頂点であることを明示的に入力する。このような動作を繰り返して、農地の周縁を一周して出発点まで戻ると、データ管理部115が、この過程において時系列に取得された位置データ(頂点の位置データを含む)により囲まれた領域を、農地のデータとして農地データ記憶部171に登録する。
【0069】
次に、上述の方法により農地のデータを作成するための農地データ作成処理について説明する。
図13は、端末装置10で実行される農地データ作成処理の流れを説明するフローチャートである。
農地データ作成処理は、端末装置10の入力部815を介して農地データ作成処理の実行が指示入力されることに対応して開始される。
【0070】
農地データ作成処理が開始されると、ステップS101において、位置データ取得部112は、測位部821によって計測された端末装置10の位置データを取得する。
ステップS102において、データ管理部115は、出発点の設定が行われる状況であるか否かの判定を行う。出発点の設定が行われる状況としては、例えば、農地データ作成処理の開始直後や、農業従事者によって出発点の設定を行うための操作が行われた場合等が挙げられる。
出発点の設定が行われる状況でない場合、ステップS102においてNOと判定されて、処理はステップS104に移行する。
一方、出発点の設定が行われる状況である場合、ステップS102においてYESと判定されて、処理はステップS103に移行する。
【0071】
ステップS103において、データ管理部115は、出発点として現在の位置データを農地データ記憶部171に記憶する。
ステップS104において、データ管理部115は、頂点の設定が行われる状況であるか否かの判定を行う。頂点の設定が行われる状況としては、例えば、農業従事者によって頂点の設定を行うための操作が行われた場合等が挙げられる。
頂点の設定が行われる状況でない場合、ステップS104においてNOと判定されて、処理はステップS106に移行する。
一方、頂点の設定が行われる状況である場合、ステップS104においてYESと判定されて、処理はステップS105に移行する。
【0072】
ステップS105において、データ管理部115は、頂点として現在の位置データを農地データ記憶部171に記憶する。
ステップS106において、データ管理部115は、辺上の位置として現在の位置データを農地データ記憶部171に記憶する。
【0073】
ステップS107において、データ管理部115は、現在の位置データが出発点の位置データと一致するか否かの判定を行う。現在の位置データが出発点の位置データと一致するか否かについては、これらの位置データが完全に一致する場合及びこれらの位置データの差が設定された範囲以内(例えば、3[m]以内等)である場合等に一致していると判定することができる。
現在の位置データが出発点の位置データと一致しない場合、ステップS107においてNOと判定されて、処理はステップS101に移行する。
一方、現在の位置データが出発点の位置データと一致する場合、ステップS107
においてYESと判定されて、農地データ作成処理は終了する。
農地データ作成処理によって作成された農地のデータは、農地を識別する情報(ID)が付されて、農地データ記憶部171に記憶されると共に、サーバ20に適宜送信される。
【0074】
本実施形態の方法で農地のデータを作成することにより、地図データにおける区画を農地として登録したり、地図データ上で農地に対応する領域の周縁を辿ったりして農地のデータを作成する場合に比べ、実際の農地の形状に則した農地のデータを作成できると共に、農地入退判定条件に基づく判定を行う場合と同様の精度の位置データで周縁を特定することができる。
【0075】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
第1実施形態~第3実施形態においては、農地入退判定条件に基づいて、農業従事者が農地の内部に進入したと判定された場合に、端末装置10が農業従事者に音声によって作業の種類を問い合わせるものとした。
これに対し、第6実施形態においては、農業従事者が農地付近で農地での作業に関連する発話を行うと、端末装置10から最も近い農地で発話内容に関連する作業が行われるものと推定し、農地入退判定条件が充足されたものとする点が異なっている。なお、このとき、農業従事者が実際に進入した農地が推定結果と一致しているか否かを判定し、一致している場合に、推定された農地での作業として、作業履歴のデータを記録し、一致していない場合には、推定結果を破棄して、農業従事者が実際に進入した農地での作業として、作業履歴のデータを記録することができる。
【0076】
即ち、第6実施形態における情報処理システム1は、第1実施形態~第3実施形態の情報処理システム1に対し、条件判定部113における判定方法及び対話制御部114の機能と、自動入力処理の内容が異なっている。
【0077】
初めに、条件判定部113及び対話制御部114について説明する。
条件判定部113は、位置データ取得部112によって取得された位置データと、対話制御部114によって認識された農業従事者の発話内容に基づいて、農業従事者が農地付近で農地での作業に関連する発話を行ったか否かを判定する。そして、条件判定部113は、農業従事者が農地付近で農地での作業に関連する発話を行ったと判定した場合、現在位置から最も近い農地において農地入退判定条件が充足されたものと判定する。即ち、農業従事者が、現在位置から最も近い農地において、発話内容に基づく作業を行うものと推定される。
【0078】
また、条件判定部113は、位置データ取得部112によって取得された位置データに基づいて、農業従事者が実際に進入した農地(端末装置10の位置データが遷移した農地)が推定結果と一致しているか否かを判定する。農業従事者が実際に進入した農地(端末装置10の位置データが遷移した農地)が推定結果と一致している場合、推定された農地での作業として、データ管理部115によって作業履歴のデータが記録される。なお、農業従事者が実際に進入した農地(端末装置10の位置データが遷移した農地)が推定結果と一致していない場合には、推定結果が破棄され、農業従事者が実際に進入した農地での作業として、データ管理部115によって作業履歴のデータが記録される。
【0079】
対話制御部114は、農業従事者が発話した音声を認識し、テキストデータに変換する。また、対話制御部114は、農業従事者に対して、農地での作業を確認するための音声出力を制御する。
【0080】
次に、本実施形態における自動入力処理について説明する。
図14は、第6実施形態における自動入力処理の流れを説明するフローチャートである。
自動入力処理は、端末装置10の入力部815を介して自動入力処理の実行が指示入力されることに対応して開始される。
【0081】
図14に示す自動入力処理において、ステップS11及びステップS12の処理は、
図7に示す自動入力処理のステップS1及びステップS2と同様である。
ステップS13において、対話制御部114は、農業従事者による農地での作業に関連する発話があるか否かの判定を行う。
農業従事者による農地での作業に関連する発話がない場合、ステップS13においてNOと判定されて、処理はステップS12に移行する。
一方、農業従事者による農地での作業に関連する発話がある場合、ステップS13においてYESと判定されて、処理はステップS14に移行する。
【0082】
ステップS14において、対話制御部114は、農業従事者による農地での作業に関連する発話から作業内容を特定する。
ステップS15において、条件判定部113は、端末装置10の現在位置から最も近い農地で作業を行うものと推定する。
ステップS16において、条件判定部113は、推定された農地に対して農地入退判定条件(進入時の条件)に適合したものと判定する。
ステップS17において、位置データ取得部112は、測位部821によって計測された端末装置10の位置データを取得する。
【0083】
ステップS18において、条件判定部113は、端末装置10の位置データに基づいて、農業従事者が農地に進入したか否かの判定を行う。
農業従事者が農地に進入していない場合、ステップS18においてNOと判定されて、処理はステップS17に移行する。
一方、農業従事者が農地に進入した場合、ステップS18においてYESと判定されて、処理はステップS19に移行する。
ステップS19において、条件判定部113は、農業従事者が進入した農地が推定結果と一致しているか否かの判定を行う。
農業従事者が進入した農地が推定結果と一致していない場合、ステップS19においてNOと判定されて、処理はステップS20に移行する。
一方、農業従事者が進入した農地が推定結果と一致している場合、ステップS19においてYESと判定されて、処理はステップS21に移行する。
【0084】
ステップS20において、条件判定部113は、実際に進入した農地に対し、農地入退判定条件(進入時の条件)に適合したと判定する。
なお、以降のステップS21からステップS24の処理は、
図7に示す自動入力処理のステップS5からステップS8と同様である。
ステップS24の後、自動入力処理は終了する。
【0085】
このような処理により、農業従事者が農地に進入していない状態であっても、農地での作業に関連する発話を行うと、端末装置10から最も近い農地で発話内容に関連する作業が行われるものと推定され、農地入退判定条件が充足されたものと判定される。そして、農業従事者が、推定された農地に実際に進入した場合、農業従事者の発話から特定された作業が開始されたものとして、作業履歴のデータが記録される。
したがって、情報処理システム1によれば、農業に関連する情報をより容易に入力することが可能となる。
【0086】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
上述の各実施形態において、農地における作業の種類を表すデータ(「剪定」、「摘果」等のテキストデータ)を記憶部817に記憶しておき、端末装置10における各種処理に用いることが可能である。
例えば、端末装置10が農業従事者の発話を音声認識する場合に、記憶部817に記憶されている作業の種類を表すテキストデータを音声認識のための辞書として用いることが可能である。
【0087】
図15は、第7実施形態における端末装置10の機能的構成を示すブロック図である。
図15において、端末装置10の機能的構成は、
図3に示す第1実施形態の機能的構成に対し、記憶部817に作業種類データ記憶部175が形成される点及び対話制御部114が作業種類データ記憶部175を参照して音声認識を行う点で異なっている。
【0088】
初めに、記憶部817及び対話制御部114について説明する。
端末装置10の記憶部817には、農地データ記憶部171と、位置データ記憶部172と、対話データ記憶部173と、作業履歴データ記憶部174と、作業種類データ記憶部175と、が形成される。
これらのうち、農地データ記憶部171、位置データ記憶部172、対話データ記憶部173及び作業履歴データ記憶部174については、上述の実施形態と同様である。
作業種類データ記憶部175には、農地における作業の種類を表すデータ(以下、「作業種類データ」と称する。)がテーブル形式のデータとして記憶されている。
【0089】
図16は、作業種類データの一例を示す模式図である。
図16に示すように、作業種類データには、農地における作業の識別情報(ID)と、農地における作業の名称のテキストデータと、農地における作業の発音を表すテキストデータ(ここではカタカナとする)とが対応付けて記憶されている。
作業種類データを参照することにより、発音を表すテキストデータから農地における作業の名称を特定したり、音声認識によって取得された発話のテキストデータに近い発音のテキストデータを選択したりすることが可能となる。
【0090】
なお、作業種類データを構成する各作業のデータについては、例えば、農業従事者によって、農業従事者自身が行う作業のデータを入力したり、サーバ20あるいは他のサーバ(農業に関するデータを保有する各種サーバ等)から取得したりすることが可能である。
対話制御部114は、農業従事者が発話した音声を認識し、テキストデータに変換する。また、対話制御部114は、農業従事者に対して、農地での作業を確認するための音声出力を制御する。本実施形態において、対話制御部114は、農業従事者が発話した音声を認識する際に、作業種類データを参照して、作業種類データに含まれる農地における作業の発音を表すテキストデータのいずれかを音声認識の結果として特定する。
【0091】
次に、端末装置10が実行する音声認識処理について説明する。
図17は、第7実施形態において端末装置10が実行する音声認識処理の流れを説明するフローチャートである。
音声認識処理は、上述の各実施形態における自動入力処理で音声認識が行われる際のサブフローとして実行される。
【0092】
音声認識処理が開始されると、ステップS31において、対話制御部114は、発話の音声データを取得する。
ステップS32において、対話制御部114は、発話の音声データを音響分析する。なお、音響分析の手法としては、既存の種々のものを用いることができる。
ステップS33において、対話制御部114は、発話に対応するテキストデータの候補を取得する。本実施形態においては、音声認識の結果取得されるテキストデータとして、確率(信頼度)の高さによってスコアが付された複数の候補が取得されるものとする。
【0093】
ステップS34において、対話制御部114は、作業種類データを参照し、テキストデータの候補の中から、発話に対応するテキストデータを特定する。このとき、例えば、スコアが最も高いテキストデータの候補が、作業種類データにおける作業の発音を表すテキストデータのいずれかに一致(または類似)するか否かを判定し、一致(または類似)する場合には、そのテキストデータの候補を発話に対応するテキストデータとして特定することができる。一方、スコアが最も高いテキストデータの候補が、作業種類データにおける作業の発音を表すテキストデータのいずれにも一致(または類似)しない場合、次にスコアが高いテキストデータの候補が、作業種類データにおける作業の発音を表すテキストデータのいずれかに一致(または類似)するか否かを判定し、一致(または類似)する場合には、そのテキストデータの候補を発話に対応するテキストデータとして特定することができる。このような処理を繰り返すことで、発話に対応するテキストデータが特定される。
ステップS34の後、処理は自動入力処理に戻る。
【0094】
このような処理により、一般的な音声認識処理を行って農業従事者の発話を音声認識するよりも、農業従事者が発話した農地における作業の種類を高い精度でテキストデータに変換することができる。
【0095】
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態について説明する。
第7実施形態においては、端末装置10が農業従事者の発話を音声認識する場合に、記憶部817に記憶されている作業の種類を表すテキストデータを音声認識のための辞書として用いることとした。
これに対し、第8実施形態においては、農地における作業の種類を表すデータ(テキストデータ)を作物と対応付けてテーブル形式等のデータとして記憶部817に記憶しておき、自動入力処理において、これらのデータを利用する点が異なっている。
【0096】
即ち、第8実施形態における情報処理システム1は、第7実施形態の情報処理システム1に対し、作業種類データ記憶部175の内容と、対話制御部114の機能と、自動入力処理(サブフローとして実行されり音声認識処理)の内容が異なっている。
初めに、作業種類データ記憶部175及び対話制御部114について説明する。
作業種類データ記憶部175には、農地における作業の種類を表すデータ(テキストデータ)と作物とが対応付けられたテーブル形式のデータ(以下、「作物別作業種類データ」と称する。)がテーブル形式のデータとして記憶されている。
【0097】
図18は、作物別作業種類データの一例を示す模式図である。
図18に示す例では、農地における作業の種類を表すデータとして、「剪定」、「摘果」、「定植」、「施肥」、「防除」、「収穫」の各テキストデータが、「ミカン」、「枝豆」、「トマト」の各作物と対応付けてテーブル形式のデータに格納されている。
【0098】
また、
図18に示す作物別作業種類データには、各作物に関する作業として、「剪定」、「摘果」、「定植」、「施肥」、「防除」、「収穫」のそれぞれが行われるか否かを示すデータが格納されている。
図18に示す例では、各作物に関する作業として、「剪定」、「摘果」、「定植」、「施肥」、「防除」、「収穫」が行われる場合には「〇」、行われない場合には「×」が格納されている。例えば、剪定作業は、果樹であるミカンでは重要な農作業の1つであるが、野菜である枝豆やトマトでは行われない、ということを示している。
【0099】
対話制御部114は、農業従事者が発話した音声を認識し、テキストデータに変換する。また、対話制御部114は、農業従事者に対して、農地での作業を確認するための音声出力を制御する。本実施形態において、対話制御部114は、農業従事者が発話した音声を認識する際に、対象となる作物を特定し、作物別作業種類データを参照して、作物別作業種類データにおける作業の種類を表すテキストデータのうち、特定された作物において行われる作業の種類を表すテキストデータのいずれかを音声認識の結果として特定する。
【0100】
次に、端末装置10が実行する音声認識処理について説明する。
図19は、第8実施形態において端末装置10が実行する音声認識処理の流れを説明するフローチャートである。
音声認識処理は、上述の各実施形態における自動入力処理で音声認識が行われる際のサブフローとして実行される。
なお、
図19に示す音声認識処理において、ステップS41からステップS43の処理は、
図17に示す音声認識処理のステップS31からステップS33と同様である。
【0101】
ステップS44において、対話制御部114は、作業を確認する対象となる作物を特定する。作業を確認する対象となる作物を特定する方法としては、例えば、音声認識の結果取得される作物を表すテキストデータを単独で用いたり、季節、時刻、過去に行われた作業からの流れ等も反映させて特定したりすることができる。また、
図17のステップS34と同様の処理を行い、スコアが最も高いテキストデータの候補が、作物別作業種類データにおける作物の発音を表すテキストデータのいずれかに一致(または類似)するか否かを判定し、一致(または類似)する場合には、そのテキストデータの候補が発話に対応するテキストデータとして特定することとしてもよい。
【0102】
ステップS45において、対話制御部114は、作物別作業種類データを参照し、ステップS44で特定された作物において行われる作業を対象として、テキストデータの候補の中から、作業を表すテキストデータを特定する。このとき、例えば、スコアが最も高いテキストデータの候補が、作物別作業種類データにおける作業の種類を表すテキストデータのうち、特定された作物において行われる作業の種類を表すテキストデータのいずれかに一致(または類似)するか否かを判定し、一致(または類似)する場合には、そのテキストデータの候補を発話に対応するテキストデータとして特定することができる。一方、スコアが最も高いテキストデータの候補が、作物別作業種類データにおける作業の種類を表すテキストデータのうち、特定された作物において行われる作業の種類を表すテキストデータのいずれにも一致(または類似)しない場合、次にスコアが高いテキストデータの候補が、作物別作業種類データにおける作業の種類を表すテキストデータのうち、特定された作物において行われる作業の種類を表すテキストデータのいずれかに一致(または類似)するか否かを判定し、一致(または類似)する場合には、そのテキストデータの候補を発話に対応するテキストデータとして特定することができる。このような処理を繰り返すことで、作業を表すテキストデータが特定される。
ステップS45の後、処理は自動入力処理に戻る。
【0103】
このような処理により、作業の対象となる作物が特定された場合、その作物に関して行われる可能性がある作業を限定することができるため、農業従事者が発話した農地における作業の種類をより高い精度でテキストデータに変換することができる。
【0104】
[第9実施形態]
次に、本発明の第9実施形態について説明する。
第8実施形態においては、農地における作業の種類を表すデータ(テキストデータ)を作物と対応付けてテーブル形式等のデータとして記憶部817に記憶しておき、自動入力処理において、これらのデータを利用するものとした。
これに対し、第9実施形態においては、農地(農地の識別情報)と、その農地において耕作されている作物とを対応付けて記憶部817に記憶しておき、自動入力処理において、これらのデータを利用する点が異なっている。
【0105】
即ち、第9実施形態における情報処理システム1は、第8実施形態の情報処理システム1に対し、作業種類データ記憶部175の内容と、対話制御部114の機能と、自動入力処理のサブフローとして実行される音声認識処理の内容が異なっている。
初めに、作業種類データ記憶部175及び対話制御部114について説明する。
作業種類データ記憶部175には、作物別作業種類データに加え、農地(農地の識別情報)と、その農地において耕作されている作物とが対応付けられたテーブル形式のデータ(以下、「農地別作物種類データ」と称する。)がテーブル形式のデータとして記憶されている。
【0106】
図20は、農地別作物種類データの一例を示す模式図である。
図20に示す例では、農地において耕作されている作物として、「ミカン」、「枝豆」、「トマト」の各作物が、農地の識別情報(ID)と対応付けてテーブル形式のデータに格納されている。
対話制御部114は、農業従事者が発話した音声を認識し、テキストデータに変換する。また、対話制御部114は、農業従事者に対して、農地での作業を確認するための音声出力を制御する。本実施形態において、対話制御部114は、農業従事者が発話した音声を認識する際に、対象となる農地を特定し、農地別作物種類データを参照して、特定された農地において耕作されている作物を特定する。さらに、対話制御部114は、作物別作業種類データを参照して、作物別作業種類データにおける作業の種類を表すテキストデータのうち、特定された作物において行われる作業の種類を表すテキストデータのいずれかを音声認識の結果として特定する。
【0107】
次に、端末装置10が実行する音声認識処理について説明する。
図21は、第9実施形態において端末装置10が実行する音声認識処理の流れを説明するフローチャートである。
音声認識処理は、上述の各実施形態における自動入力処理で音声認識が行われる際のサブフローとして実行される。
なお、
図21に示す音声認識処理において、ステップS51からステップS53の処理は、
図17に示す音声認識処理のステップS31からステップS33と同様である。
【0108】
ステップS54において、対話制御部114は、作業を確認する対象となる農地を特定する。作業を確認する対象となる作物を特定する方法としては、例えば、端末装置10の現在位置から最も近い農地を選択したり、端末装置10の移動経路から推定される農地を選択したりすることができる。
【0109】
ステップS55において、対話制御部114は、農地別作物種類データ及び作物別作業種類データを参照し、作業を表すテキストデータを特定する。具体的には、対話制御部114は、農地別作物種類データを参照し、ステップS54で特定された農地において耕作されている農作物を特定する。さらに、対話制御部114は、作物別作業種類データを参照し、特定された作物において行われる作業を対象として、テキストデータの候補の中から、作業を表すテキストデータを特定する。このとき、例えば、スコアが最も高いテキストデータの候補が、作物別作業種類データにおける作業の種類を表すテキストデータのうち、特定された作物において行われる作業の種類を表すテキストデータのいずれかに一致(または類似)するか否かを判定し、一致(または類似)する場合には、そのテキストデータの候補を発話に対応するテキストデータとして特定することができる。一方、スコアが最も高いテキストデータの候補が、作物別作業種類データにおける作業の種類を表すテキストデータのうち、特定された作物において行われる作業の発音を表すテキストデータのいずれにも一致(または類似)しない場合、次にスコアが高いテキストデータの候補が、作物別作業種類データにおける作業の種類を表すテキストデータのうち、特定された作物において行われる作業の種類を表すテキストデータのいずれかに一致(または類似)するか否かを判定し、一致(または類似)する場合には、そのテキストデータの候補を発話に対応するテキストデータとして特定することができる。このような処理を繰り返すことで、作業を表すテキストデータが特定される。
ステップS55の後、処理は自動入力処理に戻る。
【0110】
このような処理により、農業従事者が作業を行う農地が特定された場合、その農地と対応付けられている作物から、その作物に関して行われる可能性がある作業を限定することができるため、農業従事者が発話した農地における作業の種類をより高い精度でテキストデータに変換することができる。
なお、農地別作物種類データ及び作物別作業種類データを参照することで、農業従事者が農地において行う作業が特定された場合、その作業の種類から、作業の対象となる農作物を限定することも可能である。この場合、対象となる農地をより高い精度で判定することが可能となる。
【0111】
[第10実施形態]
次に、本発明の第10実施形態について説明する。
上述の各実施形態において、農業従事者が、農地における作業として特定の作業(「防除」等)を発話したことが音声認識された場合、その特定の作業(「防除」作業等)に関連する情報を対話制御部114が問いかけることが可能である。
例えば、農地における作業として、「防除」が行われると判定された場合、対話制御部114が、農薬の名称及び散布量を農業従事者に問いかけ、農業従事者からの回答を音声認識することができる。
【0112】
即ち、第10実施形態における情報処理システム1は、各実施形態の情報処理システム1に対し、対話制御部114の機能及び自動入力処理(サブフローとして実行される作業情報補充処理)の内容が異なっている。
対話制御部114は、農業従事者が発話した音声を認識し、テキストデータに変換する。また、対話制御部114は、農業従事者に対して、農地での作業を確認するための音声出力を制御する。さらに、対話制御部114は、農業従事者が発話した音声を認識し、発話の内容が特定の作業を表していると判定した場合、その特定の作業に関連する情報を農業従事者に問いかける。そして、対話制御部114は、その特定の作業に関連する情報を問いかけた結果、農業従事者が発話した回答の音声を認識し、音声認識結果を作業履歴データ記憶部174に記憶する。本実施形態においては、農業従事者が発話した音声が、特定の作業として「防除」作業を表していると判定された場合に、対話制御部114は、「防除」作業に関連する情報(ここでは、農薬の名称及び散布量とする)を農業従事者に問いかける。そして、対話制御部114は、農業従事者が発話した回答の音声を認識し、音声認識結果のテキストデータが表す「農薬の名称」及び「散布量」を、「防除」作業と対応付けて、作業履歴のデータの一部として作業履歴データ記憶部174に記憶する。
【0113】
次に、端末装置10が実行する作業情報補充処理について説明する。
図22は、第10実施形態において端末装置10が実行する作業情報補充処理の流れを説明するフローチャートである。
作業情報補充処理は、上述の各実施形態における自動入力処理で音声認識結果が取得された場合にサブフローとして実行される。
【0114】
作業情報補充処理が開始されると、ステップS61において、農業従事者が発話した音声が、特定の作業(「防除」作業等)を表しているか否かの判定を行う。
農業従事者が発話した音声が、特定の作業(「防除」作業等)を表していない場合、ステップS61においてNOと判定されて、処理は自動入力処理に戻る。
一方、農業従事者が発話した音声が、特定の作業(「防除」作業等)を表している場合、ステップS61においてYESと判定されて、処理はステップS62に移行する。
ステップS62において、対話制御部114は、特定の作業(「防除」作業等)に関連する情報(農薬の名称及び散布量等)を農業従事者に問いかけるための音声出力を制御する。
【0115】
ステップS63において、対話制御部114は、農業従事者が発話した回答の音声を認識する。
ステップS64において、対話制御部114は、音声認識結果のテキストデータが表す特定の作業に関連する情報(「農薬の名称」及び「散布量」等)を、特定の作業(「防除」作業等)と対応付けて、作業履歴のデータの一部として作業履歴データ記憶部174に記憶する。
ステップS64の後、処理は自動入力処理に戻る。
【0116】
このような処理により、音声認識によってテキストデータとされた特定の作業に関連する情報(農薬の名称及び散布量等)を作業履歴のデータの一部(例えば、防除記録のデータ)として記録しておき、農作物の出荷時に、添付資料として発行可能な形式に整形して出力すること等が可能となる。
【0117】
以上のように、本実施形態に係る情報処理システム1は、端末装置10と、サーバ20とを含む。端末装置10は、位置データ取得部112と、条件判定部113と、対話制御部114と、を備える。サーバ20は、作業履歴データ記憶部273を備える。
位置データ取得部112は、端末装置の位置情報を取得する。
条件判定部113は、農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、位置データ取得部112によって取得された端末装置10の位置情報とに基づいて、農業従事者が農地での作業を行う状況であるか否かを判定する。
対話制御部114は、条件判定部113によって、農業従事者が農地での作業を行う状況であると判定された場合に、農業従事者に音声によって作業の種類を確認する。
対話制御部114は、確認に対して、農業従事者が回答した音声を音声認識する。
作業履歴データ記憶部273は、対話制御部114によって音声認識された農業従事者の回答が示す作業を農地と対応付けて記憶する。
これにより、農業従事者が作業に関する情報を入力し忘れることを抑制できるため、農業に関連する情報をより容易に入力することが可能となる。
【0118】
条件判定部113は、位置データ取得部112によって取得された過去の複数の位置情報に基づいて、端末装置10が農地の内部に位置しているか否かを判定し、農地の内部に位置していると判定された場合に、農業従事者が農地での作業を行う状況であると判定する。
これにより、農地の境界付近において、農地の内部に位置しているか否かの判定結果が農地の内部と外部とで頻繁に変化する状況を抑制でき、農業従事者が農地の内部に位置しているか、外部に位置しているかを安定して判定することができる。
【0119】
条件判定部113は、位置データ取得部112によって取得された位置情報が農地の内部を示した後、設定された時間が経過した時点で位置データ取得部112によって取得された位置情報が農地の内部を示している場合に、農業従事者が農地での作業を行う状況であると判定する。
これにより、農業従事者が作業以外の目的で一時的に農地に進入したり、位置データの誤差等によるエラーのために一時的に農地の内部を位置データが示したりした場合にも、農業従事者が農地の内部に進入したか否かを、より適切に判定することが可能となる。
【0120】
条件判定部113は、農地での作業と関連付けられた特定の場所を農業従事者が訪れたか否かを判定し、農地での作業と関連付けられた特定の場所を農業従事者が訪れたと判定された場合に、農業従事者が農地での作業を行う状況であると判定する。
これにより、納屋等の特定の場所で農地における作業の準備がほぼ確実に行われる場合に、農地で作業が行われることを適確に判定することが可能となる。
【0121】
また、情報処理システム1は、端末装置10と、サーバ20とを含む。端末装置10は、位置データ取得部112と、条件判定部113と、対話制御部114と、を備える。サーバ20は、作業履歴データ記憶部273を備える。
位置データ取得部112は、端末装置10の位置情報を取得する。
対話制御部114は、農業従事者による農地での作業に関連する発話を音声認識する。
条件判定部113は、対話制御部114による音声認識結果と、農業従事者が作業を行う農地の位置情報と、位置データ取得部112によって取得された端末装置10の位置情報とに基づいて、農業従事者が作業を行う農地を推定する。
条件判定部113は、位置データ取得部112によって取得された端末装置10の位置情報に基づいて、推定された農地に農業従事者が進入したか否かを判定する。
作業履歴データ記憶部273は、条件判定部113によって推定された農地に農業従事者が進入したと判定された場合に、対話制御部114によって音声認識された発話の内容が示す作業を農地と対応付けて記憶する。
これにより、農業従事者が農地に進入していない状態であっても、農地での作業に関連する発話を行うと、所定の農地において発話内容に関連する作業が行われるものと推定される。そして、農業従事者が、推定された農地に実際に進入した場合、農業従事者の発話から特定された作業が開始されたものとして、その作業が農地と対応付けて記憶される。
したがって、農業に関連する情報をより容易に入力することが可能となる。
【0122】
また、情報処理システム1において、端末装置10は、データ管理部115を備える。
データ管理部115は、農地の周縁を農業従事者が歩行することにより位置データ取得部112によって取得された位置情報に基づいて、農地のデータを作成する。
これにより、実際の農地の形状に則した農地のデータを作成できると共に、農地への侵入を判定する場合と同様の精度の位置データで周縁を特定することができる。
【0123】
また、情報処理システム1において、サーバ20は、作業種類データ記憶部175を備える。
作業種類データ記憶部175は、農地における作業の種類を表すデータを記憶する。
対話制御部114は、作業種類データ記憶部175に記憶された作業の種類を表すデータ(作業種類データ)を参照して音声認識を行う。
これにより、一般的な音声認識処理を行って農業従事者の発話を音声認識するよりも、農業従事者が発話した農地における作業の種類を高い精度でテキストデータに変換することができる。
【0124】
また、情報処理システム1において、サーバ20は、作業種類データ記憶部175を備える。
作業種類データ記憶部175は、農地における作業の種類を表すデータと作物を表すデータとを対応付けて記憶する。
対話制御部114は、対象となる作物に基づいて、作業種類データ記憶部175に記憶された作業の種類を表すデータを参照して音声認識を行う。
これにより、農業従事者が発話した農地における作業の種類をより高い精度でテキストデータに変換することができる。
【0125】
また、情報処理システム1において、サーバ20は、作業種類データ記憶部175を備える。
作業種類データ記憶部175は、農地と、農地において耕作されている作物を表すデータとを対応付けて記憶する。
音声認識手段は、対象となる農地に基づいて、作業種類データ記憶部175に記憶された作物を表すデータを参照して音声認識を行う。
これにより、農業従事者が作業を行う農地が特定された場合、その農地と対応付けられている作物から、その作物に関して行われる可能性がある作業を限定することができるため、農業従事者が発話した農地における作業の種類をより高い精度でテキストデータに変換することができる。
【0126】
対話制御部114は、音声認識手段による音声認識の結果が、農薬の散布が行われる作業を示している場合に、農薬の名称及び散布量を農業従事者に問いかける。
作業履歴データ記憶部273は、農業従事者が回答した音声を音声認識することにより取得された農薬の名称及び散布量を表すテキストデータを記憶する。
これにより、音声認識によりテキストデータとされた農薬の名称及び散布量を作業履歴のデータの一部(例えば、防除記録のデータ)として記録しておき、農作物の出荷時に、添付資料として発行可能な形式に整形して出力すること等が可能となる。
【0127】
サーバ20は、外部からのアクセスに応じて、作業履歴データ記憶部273に記憶されたデータを提供する。
これにより、情報処理システム1の外部から、農作物が育てられた履歴を参照したり、農業従事者の農作業の履歴を管理あるいは分析したりすることが可能となる。
【0128】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の実施形態における情報処理システム1のシステム構成は一例であり、情報処理システム1の機能が全体として実現されていれば、より多くのサーバにサーバ20の機能を分散して実装したりすることが可能である。
また、上述の実施形態における情報処理システム1の機能を単体の情報処理装置に実装することも可能である。
【0129】
また、上述の実施形態及び各変形例を適宜組み合わせて、本発明を実施することが可能である。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、上述の実施形態における機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システム1を構成するいずれかのコンピュータに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に示した例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0130】
また、上述した一連の処理を実行するためのプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0131】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0132】
1 情報処理システム、10 端末装置、20 サーバ、30 ネットワーク、800 情報処理装置、811 CPU、812 ROM、813 RAM、814 バス、815 入力部、816 出力部、817 記憶部、818 通信部、819 ドライブ、820 撮像部、821 測位部、831 リムーバブルメディア、111 UI制御部、112 位置データ取得部、113 条件判定部、114 対話制御部、115 データ管理部、171 農地データ記憶部、172 位置データ記憶部、173 対話データ記憶部、174 作業履歴データ記憶部、175 作業種類データ記憶部、211 作業履歴データ受信部、212 データベース管理部、271 農家データ記憶部、272 農地データ記憶部、273 作業履歴データ記憶部