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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052576
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】棚および培養装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 49/00 20060101AFI20220328BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
A47B49/00 503C
C12M1/00 C
A47B49/00 503D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020159033
(22)【出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】PHCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邊 翔太
(72)【発明者】
【氏名】米原 亮
(72)【発明者】
【氏名】石川 瑛介
(72)【発明者】
【氏名】大竹 智之
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029AA27
4B029GA01
(57)【要約】
【課題】物品の出し入れが容易であり、かつ、物品が傾くことを抑制する棚および培養装置を提供すること。
【解決手段】棚は、収納室の水平な底面上に載置される棚であって、物品が載置される水平な載置面を有し、かつ、収納室の開口を介して出し入れされるテーブルと、テーブルを鉛直軸回りに回転可能に支持する支持体と、テーブルが収納室の開口を介して出し入れされる際に、載置面を水平に維持する水平維持機構と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納室の水平な底面上に載置される棚であって、
物品が載置される水平な載置面を有し、かつ、前記収納室の開口を介して出し入れされるテーブルと、
前記テーブルを鉛直軸回りに回転可能に支持する支持体と、
前記テーブルが前記収納室の開口を介して出し入れされる際に、前記載置面を水平に維持する水平維持機構と、
を備える、棚。
【請求項2】
前記水平維持機構は、前記収納室の外部かつ手前側に位置し、かつ、前記底面よりも高さが低い段違い面に接触する接触部を有する、
請求項1に記載の棚。
【請求項3】
前記水平維持機構は、前記支持体より前記収納室の奥側に配置されるカウンターウエイトを有する、
請求項1または2に記載の棚。
【請求項4】
前記水平維持機構は、前記底面上に載置され、かつ、前記収納室の手前側から奥側に向けて延びるスロットを有するカウンターウエイトと、前記スロット内をスライド可能に構成され、かつ、前記支持体に連結されたフックとを有する、
請求項1に記載の棚。
【請求項5】
前記水平維持機構は、前記テーブルが前記収納室の開口を介して出る量を規制する規制部を有する、
請求項1から4の何れか1項に記載の棚。
【請求項6】
収納室を構成する水平な底面と、
前記底面上に載置される棚と、を備え、
前記棚は、物品が載置される水平な載置面を有するテーブル、前記テーブルを鉛直軸回りに回転可能に支持する支持体、及び、前記テーブルが前記収納室の開口を介して出し入れされる際に、前記載置面を水平に維持する水平維持機構を備える、
培養装置。
【請求項7】
前記収納室の水平な底面よりも高さが低い底面を有するアイソレータと連結できるように構成されており、
前記水平維持機構は、前記テーブルが前記収納室と前記アイソレータの内部との間で出し入れされる際に、前記載置面を水平に維持する、
請求項6に記載の培養装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚および培養装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、細胞などの培養物を入れた容器などを置く棚を、培養室内に備える培養装置が開示されている。棚は、培養室内からスライドして引き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-12014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
棚から容器を取り出す際、容器内の培養物にストレスを与えることを避けるべく、他の容器等にぶつけることなく、また、容器を傾けずに、安静に取り出すことが望ましい。しかしながら、培養室の奥側に置かれている容器の手前側には、培養室の手前側に置かれている容器があるので、奥側に置かれている容器を安静に取り出すことは、比較的困難な作業となる。培養室の内部に容器を収納する場合も同様である。この困難性は、培養装置がアイソレータに接続されている場合に顕著である。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するもので、物品の出し入れが容易である棚および培養装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本開示における棚は、収納室の水平な底面上に載置される棚であって、物品が載置される水平な載置面を有し、かつ、収納室の開口を介して出し入れされるテーブルと、テーブルを鉛直軸回りに回転可能に支持する支持体と、テーブルが収納室の開口を介して出し入れされる際に、載置面を水平に維持する水平維持機構と、を備える。
【0007】
また、本開示における培養装置は、収納室を構成する水平な底面と、底面上に載置される棚と、を備え、棚は、物品が載置される水平な載置面を有するテーブル、テーブルを鉛直軸回りに回転可能に支持する支持体、及び、テーブルが収納室の開口を介して出し入れされる際に、載置面を水平に維持する水平維持機構を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の棚および培養装置によれば、物品の出し入れが容易であり、かつ、物品が傾くことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施形態に係る培養装置がアイソレータに取り付けられた状態を示す概要図
図2】培養装置がアイソレータに取り付けられた状態において、棚が培養装置に収納された状態を示す拡大断面図
図3】棚が培養装置から引き出された状態を示す図
図4】水平維持機構の概要図
図5】水平維持機構の変形例を示す概要図
図6】水平維持機構の変形例を示す概要図
図7】本開示の第2実施形態に係る培養装置において、棚が培養装置から引き出された状態を示す図
図8】本開示の第3実施形態に係る培養装置において、棚が培養装置に収納された状態を示す図
図9】水平維持機構を培養室の奥側から見た側面図
図10】本開示の第3実施形態に係る培養装置において、棚が培養装置から引き出された状態を示す図
図11】本開示の第4実施形態に係る培養装置において、棚が培養装置に収納された状態を示す図
図12】本開示の第4実施形態に係る培養装置において、棚が培養装置に収納された状態を示す図
図13】水平維持機構の断面図
図14】本開示の第4実施形態に係る培養装置において、棚が培養装置から引き出された状態を示す図
図15】本開示の第5実施形態に係る培養装置において、棚が培養装置に収納された状態を示す図
図16】本開示の第5実施形態に係る培養装置において、棚が培養装置から引き出された状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本開示の棚および培養装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、図1の矢印で示すように、図1における上側および下側をそれぞれ棚30および培養装置1の上方および下方とし、同じく左側および右側をそれぞれ棚30および培養装置1の左方および右方とし、同じく紙面奥側および紙面手前側をそれぞれ棚30および培養装置1の後方および前方として説明する。
【0011】
培養装置1は、図1に示すように、アイソレータ2の側面に着脱可能に連結されている。アイソレータ2の内部には、培養物の調整、加工および観察などを除染された状態で行うためのワークスペースSが構成されている。また、アイソレータ2には、ワークスペースSにおける作業を行うためにユーザが手を入れるグローブ2aが取り付けられている。培養物は、細胞や微生物などである。培養物は「物品」の一例である。
【0012】
培養装置1は、培養物を培養するものである。培養装置1は、図2および図3に示すように、アイソレータ2に連結される側(本実施形態では右側)が開口された収納室Rを有する断熱箱体10および収納室Rを開閉する扉20を備えている。収納室R内の温度は、培養物の培養に適した温度および湿度に調整される。また、収納室Rには、培養物の培養に適したガスが供給される。
【0013】
収納室Rは、直方体状に形成されている。培養装置1は、収納室Rの底面Raが水平となるように、姿勢の調整が行われている。扉20が開状態である場合、収納室Rの開口は、ワークスペースSと連通する(図3)。
【0014】
収納室Rの底面Raと、ワークスペースSの底面Saとは、互いに高さが異なっている。ワークスペースSの底面Saは、収納室Rの外部かつ手前側に位置する。また、ワークスペースSの底面Saは、収納室Rの底面Raより下方に位置しており、収納室Rの底面Raよりも低い位置にある面、つまり、段違い面となっている。
【0015】
収納室Rには、棚30が開口を介して出し入れ可能に収納されている。
【0016】
棚30は、培養物が入れられた容器T(「物品」の一例)を載せるものである。棚30は、収納室Rの底面Raに載置されている。棚30は、台部31、支持体32、および、複数のテーブル33を備えている。なお、図2に示すテーブル33の個数は、2つであるが、テーブルの個数が2つに限定されないことは言うまでもない。
【0017】
台部31は、直方体状に形成され、収納室Rの底面Raに左右方向にスライド可能に載せられている。台部31の底面には、図4に示されるように凹部31aが形成されている。凹部31aは、台部31の底面の縁寄りの位置に形成されている。棚30は、凹部31aが培養装置1の開口側(つまり、アイソレータ2に連結される側、換言すれば、段違い面側。本実施形態では右側)に位置する姿勢で、収納室Rに載置される。
【0018】
支持体32は、柱部材32a、および、軸受部32bを備えている。柱部材32aは、上下方向(具体的には鉛直方向)に沿って延びるように配置される。軸受部32bは、台部31に固定され、柱部材32aを鉛直軸回りに回転可能に支持する。
【0019】
テーブル33は、円板状に形成され、容器Tが載置される載置面33aを有している。テーブル33は、柱部材32aに対して着脱可能に取り付けられ、かつ、柱部材32aに鉛直軸回りに一体回転可能に支持される。載置面33aは、柱部材32aの回転軸に直交するように、柱部材32aに取り付けられている。したがって、テーブル33は、載置面33aが水平に保たれた状態で回転する。なお、柱部材32aは回転せず、柱部材32aに対してテーブル33が回転するように棚30が構成されていてもよい。この場合、各テーブル33が互いに独立して回転することができるので、回転させる必要のないテーブルに載置されている培養物に回転に伴うストレスを与えることを防止することができる。
【0020】
さらに、棚30は、水平維持機構34を備えている。水平維持機構34は、棚30が収納室Rの開口を介して出し入れされる際に、載置面33aを水平に維持する。水平維持機構34は、図4に示すように、台部31の底面に形成された凹部31aに配置されている。
【0021】
水平維持機構34は、軸部材34a、接触部34b、バネ部材34c、および、取付部材34dを備えている。
【0022】
軸部材34aは、凹部31aに、前後方向に沿って延びるように、かつ、台部31に対して軸部材34aの軸線回りに回転可能に配置されている。
【0023】
接触部34bは、脚部材34b1および車部材34b2を備えている。接触部34bは、後述するように、第1位置P1と第2位置P2との間を移動する。第1位置P1は、接触部34bが凹部31aに収納される位置である。第2位置P2は、接触部34bの先端側が凹部31aから出ている位置である。
【0024】
脚部材34b1は、棒状に形成されている。脚部材34b1の基端部には、軸部材34aが通る長穴34b3が形成されている。長穴34b3内における軸部材34aの位置は、調整可能である。
【0025】
車部材34b2は、脚部材34b1の先端部に、脚部材34b1に対して回転可能に取り付けられている。接触部34bが第1位置P1にあるとき、脚部材34b1はおよそ左右方向に沿って延びており、車部材34b2は凹部31aに収納されている。接触部34bが第2位置P2にあるとき、脚部材34b1は上下方向に沿って延びており、車部材34b2は凹部31aの下方に位置する。
【0026】
バネ部材34cは、脚部材34b1を軸部材34aの軸線回りに図4の時計回り方向に付勢する。バネ部材34cは、例えば、トーションバネである。バネ部材34cは、軸部材34aを取り巻くように配置されるとともに、一端が軸部材34aに固定され、他端が凹部31aの内面(つまり台部31)に固定されている。
【0027】
取付部材34dは、軸部材34aに脚部材34b1を固定する部材である。取付部材34dは、例えば、軸部材34aの表面に形成された雄ネジに螺合し、軸部材34aに形成されたヘッド部とともに脚部材34b1を挟持するナットである。
【0028】
水平維持機構34が以上のように構成されているので、接触部34bは、バネ部材34c力によって、接触部34bの先端側が凹部31aから飛び出す方向に付勢されている。よって、凹部31aが収納室Rの内部に位置するとき、車部材34b2は凹部31aの内部において収納室Rの底面Raに押しつけられており、凹部31aが収納室Rの外部に移動すると、車部材34b2は凹部31aの下方に飛び出す。なお、凹部31aの内部には、図示しないストッパが設けられており、脚部材34b1がストッパに当接すると、接触部34bの回転は停止する。車部材34b2が収納室Rの底面Raに押しつけられているときに接触部34bが位置する位置が第1位置であり、脚部材34b1がストッパに当接しているときに接触部34bが位置する位置が第2位置である。
【0029】
次に、棚30が収納室Rから出し入れされる際の棚30の動作について説明する。棚30が収納室Rに収納されている状態であるとき(図2)、載置面33aが水平に保たれている。また、接触部34bは、凹部31aに収納される第1位置P1に位置する。また、車部材34b2が収納室Rの底面Raに当接することで接触部34bの回転が規制されている。
【0030】
ワークスペースSで培養物の調整等が行われる際に、棚30は、収納室Rの開口を介してワークスペースSに向けて左右方向に沿って引き出される(図3)。車部材34b2が収納室Rの右端より右方に位置した場合、車部材34b2は収納室Rの底面Raに当接しない。よって、接触部34bの回転が規制されないため、接触部34bは、第1位置P1から回転し、第2位置P2に位置する。なお、図3において、棚30は、テーブル33の右側に載置された容器Tが収納室Rの外側に位置するところまで引き出されている。また、台部31の左側は、収納室Rの底面Raに接触した状態である。
【0031】
接触部34bが第2位置P2に位置した場合に、車部材34b2の下端がワークスペースSの底面Saに接触し、かつ、載置面33aが水平になるように、軸部材34aに対する長穴34b3の位置ひいては脚部材34b1の位置が調整されている。換言すれば、接触部34bの凹部31aからの突出長さが、収納室Rの底面Raの高さとワークスペースSの底面Saの高さの差に等しくなるように、軸部材34aに対する脚部材34b1の位置が調整されている。よって、棚30が収納室Rから引き出された場合においても、水平維持機構34は、台部31を、ひいては載置面33aを水平に保つことができる。つまり、水平維持機構34は、培養物が傾くことを抑制することができる。
【0032】
続けて、テーブル33に載置された容器TがワークスペースSに取り出される。収納室Rは、アイソレータ2に取り付けられたグローブ2aに差し込まれた手ではアクセスしにくい位置にある。よって、収納室Rから容器Tを取り出したり、収納室Rに容器Tを入れたりすることは比較的困難である。しかしながら、本実施形態においては、テーブル33の一部が収納室RからワークスペースSに移動するまで棚30を移動させることができる。よって、容易に容器TをワークスペースSに取り出すことができる。
【0033】
また、収納室Rの奥側に載置された容器Tは、収納室Rの手前側に載置された容器Tによってアクセスが妨げられるので、取り出しが一層困難である。しかしながら、本実施形態によれば、テーブル33を鉛直軸回りに回転させることにより、収納室Rの奥側に載置された容器Tを、傾くことを抑制しつつ、収納室Rの手前側の外部(つまりワークスペースS内)に移動させることができる。よって、収納室Rの奥側に載置された容器Tの取り出しが容易になる。
【0034】
取り出された容器Tに入れられた培養物の調整等が終了した場合、培養物が入れられた容器Tがテーブル33の載置面33aにおける収納室Rの手前側に載置される。
【0035】
テーブル33を鉛直軸回りに回転させることにより、収納室Rの手前側に載置された容器Tを、収納室Rの奥側に移動させることができる。よって、収納室Rの奥側への容器Tの収納が容易になる。
【0036】
続けて、棚30は、収納室Rに向けて左右方向に沿って押し込まれ、脚部材34b1が断熱箱体10の底壁11に当接する。さらに棚30が押し込まれると、脚部材34b1は断熱箱体10の底壁11に押されて、第2位置P2から第1位置P1に向けて回転する。棚30が収納室Rに収納された場合、水平維持機構34は第1位置P1に位置する。この間、水平維持機構34は、台部31を、ひいては載置面33aを水平に保つことができる。つまり、水平維持機構34は、培養物が傾くことを抑制することができる。
【0037】
以上で、培養物の出し入れが完了する。本実施形態に係る培養装置及び棚によれば、培養物の出し入れを容易に行うことができる。
【0038】
次に、第1実施形態における水平維持機構34の第1変形例について図5を用いて説明する。第1変形例の水平維持機構134は、接触部134bおよびバネ部材134cを備えている。
【0039】
接触部134bは、下側部が上方から下方に向かうにしたがって細くなるテーパ状に形成されている。バネ部材134cは、接触部134bを下方に向けて付勢するコイルばねである。
【0040】
棚30が収納室Rに収納されている状態であるとき、接触部134bは、凹部31aに収納されている第1位置P1に位置する。また、接触部134bの下端が収納室Rの底面Raに接触することで、接触部134bの移動が規制される。
【0041】
棚30が収納室Rから引き出されたとき、接触部134bは、凹部31aから下方に突出し、接触部134bの下端がワークスペースSの底面Saに接触する第2位置P2に位置する。接触部134bが第2位置P2に位置したときに、テーブル33の載置面33aが水平に保たれるように、接触部134bおよびバネ部材134cの諸元は定められている。
【0042】
棚30が収納室Rに収納されるために押し込まれるとき、接触部134bのテーパ面が断熱箱体10の底壁11に当たる。さらに棚30が押し込まれたとき、接触部134bのテーパ面が断熱箱体10の底壁11に押されて、接触部134bが上方に向けて移動する。棚30の全部が収納室Rに収納されたとき、接触部134bは第1位置P1に位置する。
【0043】
次に、第1実施形態における水平維持機構34の第2変形例について図6を用いて説明する。第2変形例の水平維持機構234は、第1変形例の水平維持機構134と比べて、接触部234bのテーパ面の形状が異なっている。水平維持機構234の接触部234bのテーパ面は、左方から右方に向かうにしたがって、上方から下方に向かうように傾斜する平面である。
【0044】
<第2実施形態>
次に、本開示の棚30および培養装置1の第2実施形態について、主として第1実施形態と異なる部分について図7を用いて説明する。第2実施形態の水平維持機構334は、カウンターウエイト334eによって構成されている。
【0045】
カウンターウエイト334eは、台部31の上面の縁寄りの位置に配置されている。棚30は、カウンターウエイト334eが培養装置1の奥側(本実施形態では左側)に位置する姿勢で、収納室Rに載置される。
【0046】
棚30は、カウンターウエイト334eが収納室R内に位置するように引き出される。棚30が収納室Rから引き出された際に載置面33aが水平に保たれるように、カウンターウエイト334eの重さおよび位置が定められている。
【0047】
なお、上述した第1実施形態またはその変形例において、水平維持機構34、水平維持機構134または水平維持機構234は、カウンターウエイト334eをさらに有してもよい。
【0048】
<第3実施形態>
次に、本開示の棚30および培養装置1の第3実施形態について、主として第1実施形態と異なる部分について図8乃至図10を用いて説明する。
【0049】
第3実施形態の棚30は、第1実施形態の台部31および水平維持機構34に代えて、それらの機能を併せ持つ水平維持機構434を備えている。水平維持機構434は、支持体32に連結されたフック434f、および、カウンターウエイト434eを有している。
【0050】
フック434fは、板状の部材である。フック434fの縁寄りの位置には、柱部材32aが嵌合する穴が形成されている。本実施形態において、柱部材32aは、軸受部32bを貫通するように構成されている。軸受部32bを貫通した柱部材32aの下端部がフック434fに形成された穴に差し込まれることによって、柱部材32aとフック434fは一体化される。なお、一体化されたとき、フック434fは柱部材32aが延在する方向に対して直交する。
【0051】
カウンターウエイト434eは、直方体状に形成されている。カウンターウエイト434eには、スロット434e1が形成されている。スロット434e1には、フック434fおよび柱部材32aの下端部が挿入される。フック434fおよび柱部材32aの下端部が所定方向に往復スライドできるように、スロット434e1の形状および大きさが決定されている。具体的には、スロット434e1は、2つの空間を組み合わせた形状を有している。空間の1つは、カウンターウエイト434eの側面の1つに開口する平板状の空間であり、その中をフック434fがスライド可能な大きさとなっている。もう一つの空間は、カウンターウエイト434eの上面に開口する細長い直方体状の空間であり、その中を柱部材32aの下端部がスライド可能な大きさとなっている。つまり、スロット434e1は、フック434fがスライドする方向に直交する平面による断面形状が逆T字状となる形状を有している。
【0052】
カウンターウエイト434eの姿勢が、フック434fがスライドする方向が、培養装置1の手前側から奥側および奥側から手前側となる姿勢となるように、棚30は、収納室Rの底面Ra上に載置される。
【0053】
カウンターウエイト434eは培養装置1に対して移動しない。カウンターウエイト434eに対してつまり培養装置1に対して、フック434f、支持体32およびテーブル33が、培養装置1の奥側から手前側に向かう方向(具体的には、左右方向)に沿って移動する。よって、テーブル33の右側が収納室Rの開口を介して引き出される。
【0054】
カウンターウエイト434eの重さ並びにフック434fの形状および大きさは、テーブル33の一部が収納室Rから引き出された場合においても、載置面33aが水平に保たれるように定められている。
【0055】
なお、棚30は、カウンターウエイト434eの側面に設けられたスロット434e1の開口が、培養装置1の奥側を向く姿勢となるように配置されることが好ましい。このような姿勢とすれば、フック434fまたは柱部材32aの下端部がスロットの端部においてカウンターウエイト434eの右側壁434e2に当たる位置までしか、フック434fおよび柱部材32aの下端部をスライドさせることができない。よって、テーブル33が手前側に過剰に引き出され、支持体32およびテーブル33が倒れてしまうことを未然に防止することができる。カウンターウエイト434eの右側壁434e2は、「規制部」の一例である。
【0056】
<第4実施形態>
次に、本開示の棚30および培養装置1の第4実施形態について、主として第1実施形態と異なる部分について図11乃至図14を用いて説明する。なお、図13においては、棚30が収納室Rに収納された状態における台部31および支持体32の位置が実線にて示され、テーブル33の一部が収納室Rから出された状態における台部31および支持体32の位置が破線にて示されている。
【0057】
第4実施形態の水平維持機構534は、レール部534gおよびストッパピン534hを備えている。レール部534gおよびストッパピン534hは、例えば、抗菌性を有する銅合金ステンレスを用いて形成されている。ストッパピン534hは、「規制部」の一例である。
【0058】
レール部534gは、収納室Rの底面Raに固定されている。レール部534gは、支持体32より前方および後方に、左右方向に沿って延びるように並べられている(図12)。台部31は、レール部534gに対して左右方向にスライド可能に載せられている。レール部534gは、台部31がスライドした場合においても、載置面33aが水平に保たれるように形成されている。なお、図12において、レール部534gの本数は2本であるが、これに限定されないことは言うまでも無い。
【0059】
また、第4実施形態の凹部531aは、棚30が収納室Rに収納されている状態において、レール部534gの上面に対向する位置に、レール部534gが延びる方向すなわち左右方向に沿うように形成されている。
【0060】
ストッパピン534hは、レール部534gの上面から上方に向けて突出するように形成されている。ストッパピン534hは、凹部531aの内側に位置するように配置される。ストッパピン534hおよび凹部531aは、棚30の位置決めをする機能を有する。
【0061】
具体的には、棚30が収納室に収納されている状態(図11及び図13)から、台部31が右方にスライドされると、ストッパピン534hが凹部531aの左側面に当たるまで、テーブル33の一部は収納室Rから引き出される(図13及び図14)。このように、ストッパピン534hは、テーブル33が収納室Rの開口を介して出る量を規制する。ストッパピン534hと凹部531aの左側面とが当たったときの棚30の重心が収納室R内に位置するように、ストッパピン534hおよび凹部531aは設けられている。これにより、テーブル33の一部が引き出される場合においても、載置面33aは、水平に保たれる。
【0062】
一方、テーブル33の一部が収納室Rから引き出された状態(図13及び図14)から、台部31が左方にスライドされると、ストッパピン534hが凹部531aの右側面に当たり、棚30が収納室Rに収納される(図11及び図13)。これにより、棚30が収納されたことを認識することができる。
【0063】
<第5実施形態>
次に、本開示の棚30および培養装置1の第5実施形態について、主として第1実施形態と異なる部分について図15及び図16を用いて説明する。第5実施形態の水平維持機構634は、ワイヤ部材634iによって構成されている。ワイヤ部材634iは、屈曲可能に設けられている。ワイヤ部材634iは、例えば、抗菌性を有する銅合金ステンレスを用いて形成されている。ワイヤ部材634iは、「規制部」の一例である。
【0064】
ワイヤ部材634iは、台部31と収納室Rの左側壁とを接続する。棚30が収納室Rに収納された状態において、ワイヤ部材634iは、屈曲した状態である。
【0065】
棚30が収納室Rに収納されている状態から、台部31が右方にスライドされると、テーブル33の一部は、ワイヤ部材634iが真っ直ぐに延びきるまで、収納室Rから引き出される。このように、ワイヤ部材634iは、テーブル33が収納室Rの開口を介して出る量を規制する。ワイヤ部材634iが真っ直ぐに延びきったときの棚30の重心が収納室R内に位置するように、ワイヤ部材634iの長さは定められている。これにより、テーブル33の一部が引き出される場合においても、載置面33aは、水平に保たれる。
【0066】
<変形例>
本発明は、これまでに説明した実施形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、各種変形を各実施形態に施したものや、異なる実施形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0067】
例えば、培養装置1は、アイソレータ2に連結されているが、安全キャビネットやクリーンベンチに連結されてもよい。また、培養装置1は、単体で用いられてもよい。
【0068】
また、棚30は、培養装置1に収納されているが、薬品保冷庫、血液保冷庫、冷凍装置、または、キャビネットなどの収納室Rを有するものに収納されてもよい。この場合、棚30には、薬品、血液などの物品が入れられた容器Tがテーブル33に載置される。
【0069】
また、上述した第1および第2実施形態の水平維持機構34,334においても、レール部534gおよびストッパピン534h、または、ワイヤ部材634iを有してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、培養装置、薬品保冷庫、血液保冷庫、冷凍装置、および、キャビネットなどの収納室を有するもの、並びに、棚に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 培養装置
2 アイソレータ
30 棚
32 支持体
33 テーブル
33a 載置面
34、134、234、334、434 水平維持機構
34b、134b、234b 接触部
334e,434e カウンターウエイト
434e1 スロット
434e2 右側壁(規制部)
434f フック
534g レール部
534h ストッパピン(規制部)
634i ワイヤ部材(規制部)
R 収納室
Ra 底面
図1
図2
図3
図4
図5
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図16