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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052851
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】検体採取容器
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20220329BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20220329BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20220329BHJP
   B65D 51/28 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
G01N1/10 V
G01N1/10 N
G01N33/48 S
G01N33/50 G
B65D51/28 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020159345
(22)【出願日】2020-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】391048500
【氏名又は名称】大扇産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】合田 昭男
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
3E084
【Fターム(参考)】
2G045CB07
2G045JA07
2G052AA29
2G052AD06
2G052AD26
2G052AD46
2G052BA17
2G052DA02
2G052DA08
2G052DA12
2G052DA15
2G052DA27
2G052EA03
2G052GA29
2G052JA02
2G052JA08
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB05
3E084AB10
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084EA03
3E084EC03
3E084FB02
3E084HA03
3E084KB03
(57)【要約】
【課題】嵩張ったりせず、保管や輸送するのに便利なものとなり、保管中や輸送中に粉塵や雑菌などで汚染されることがない検体採取容器を提供する。
【解決手段】検体の収容体1と、検体のフィルターとした底板2cを有した中栓体2と、栓部材8を天板3aから垂設した蓋体3とを備え、収容体1に前記中栓体2を収容して、この収容体1の開口部に蓋体3をねじ込めるようにして、これらを一体に組み合わせたものとし、中栓体2と蓋体3との間にスペーサSを介在させて、収容体1の開口部に蓋体3をねじ込んだときは、蓋体3の栓部材8の下端が中栓体2の底板2cから離れた位置にまでしかねじ込めないようにし、さらに中栓体2と前記蓋体3との間にスペーサSを介在させないで、収容体1の開口部に蓋体3をねじ込んだときは、蓋体3の栓部材8の下端が中栓体2の底板2cに接近した位置までねじ込めるようにしている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体の収容体と、検体のフィルターとした底板を有した中栓体と、栓部材を天板から垂設した蓋体とを備え、
前記収容体に前記中栓体を収容して、この収容体の開口部に蓋体をねじ込めるようにして、これらを一体に組み合わせたものとし、
前記中栓体と前記蓋体との間にスペーサを介在させて、前記収容体の開口部に前記蓋体をねじ込んだときは、前記蓋体の栓部材の下端が前記中栓体の底板から離れた位置にまでしかねじ込めないようにし、
前記中栓体と前記蓋体との間にスペーサを介在させないで、前記収容体の開口部に前記蓋体をねじ込んだときは、前記蓋体の栓部材の下端が前記中栓体の底板に接近した位置までねじ込めるようにしていることを特徴とする検体採取容器。
【請求項2】
前記中栓体の側周壁の上端に嵌合凸部を設けたものとすると共に、前記蓋体の側周壁の内周上端に嵌合凹部を設けたものとし、
前記蓋体と前記中栓体との間にスペーサを介在させて、前記収容体の開口部に前記蓋体をねじ込んだときは、このスペーサによって遮られ、前記蓋体の嵌合凹部に中栓体の嵌合凸部が嵌合しないようにし、
前記蓋体と前記中栓体との間にスペーサを介在させないで、前記収容体の開口部に前記蓋体をねじ込んだときは、このスペーサによって遮られることなく、前記蓋体の嵌合凹部に中栓体の嵌合凸部が嵌合するようにしていることを特徴とする請求項1に記載の検体採取容器。
【請求項3】
前記中栓体の底板の外面に、破断した後も一部が連結されたままになって収容体内に落下しないようにした不透過フィルムを貼り付けたものとしていることを特徴とする請求項1または2に記載の検体採取容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、唾液などの検体を採取して保存しておくための検体採取容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の検体採取容器としては、例えば図12、13に示したように、唾液を採取するときに使用する唾液採取用容器11と、漏斗12と、唾液の保存液を収容した保存液収容容器13からなるものが存在する(特許文献1)。
【0003】
前記検体採取容器を使用するには、図12に示したように、唾液採取用容器11に取り付けられた漏斗12から被検者の唾液を唾液採取用容器11に採取する。次に、唾液採取用容器11から漏斗12を外して、この漏斗12に代えて図13に示したように、保存液収容容器13を唾液採取用容器11の上端のネジ部14にねじ込んで取り付ける。
【0004】
このようにすると、保存液収容容器13の下面から唾液採取用容器11の開口端11aが差し込まれ、保存液収容容器13の下面が圧壊して、この保存液収容容器13内の保存液が唾液採取用容器11内に流入する。そして、この保存液が唾液採取用容器11内の唾液と混合し、唾液と保存液が気密状態で保存されるとしている。
【0005】
さらに、この種の検体採取容器としては、例えば図14に示したように、唾液採取部21が取り付けられたベース部22の他端にハンドル部23を備えた唾液採取器24と、この唾液採取器24を内挿して収容する採取試料容器25とを別体としており、これら唾液採取器24と採取試料容器25とを、蓋体26を有した箱体27内にシ-ル部材28で封をして収納されているものが存在する(特許文献2)。
【0006】
前記検体採取容器を使用するには、蓋体26を開放状態にしてから、シ-ル部材28を剥がして箱体27から唾液採取器24を取り出す。次に、唾液採取器24の唾液採取部21を口に入れて唾液をこの唾液採取部21に吸着させる。その間に、箱体27から採取試料容器25を取り出し、この採取試料容器25に図15に示したように、唾液採取器24を上方から内挿して唾液採取作業を終了する。
【0007】
そして、このようにして唾液採取作業を終了した検体採取容器は、蓋体27に付属させるなどしていた封筒29などに入れて、所定の検査機関に郵送して、各種の検査を行うとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017-194324号公報
【特許文献2】特再公表WO2004-38382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献1に記載された検体採取容器では、唾液採取用容器11と保存液収容容器13とが組み合わされた状態ではなく、別々に分離した状態となっており、嵩張ったりするので、保管や輸送するのに不便である。
【0010】
さらに、前記特許文献1に記載された検体採取容器では、使用する前は唾液を採取する漏斗12が唾液採取用容器11内には収納されずに露出しているので、保管中や輸送中に粉塵や雑菌などで汚染されることがある。また、汚染されないようにするには、個包装などする必要がある。
【0011】
しかも、前記特許文献1に記載された検体採取容器では、使用するときには唾液採取用容器11に取り付けられた漏斗12を、この唾液採取用容器11から取り外さなければならない。そのため、採取した唾液を検査機関等に郵送するまでに、唾液で汚染された漏斗12をその場で処理しなければならず、廃棄汚染の問題が生ずることがある。
【0012】
また、前記特許文献2に記載された検体採取容器でも、唾液採取器24と採取試料容器25とが、別々に分離した状態となって箱体27に収容されているので、嵩張ったりして、保管や輸送するのに不便である。
【0013】
さらに、前記特許文献2に記載された検体採取容器では、シ-ル部材28で封をされ箱体27内に唾液採取器24が収納されているといっても、この唾液採取器24の唾液採取部21が箱体27内で露出しているので、保管中や輸送中に粉塵や雑菌などで汚染されることがある。
【0014】
そこで、本発明は、従来の課題を解決するものであり、特許文献1に記載された唾液採取用容器、漏斗、保存液収容容器や、特許文献2に記載された唾液採取器、採取試料容器に相当する構成部材を、別々に分離した状態ではなく組み合わされた状態にして、嵩張ったりせず、保管や輸送するのに便利であり、さらに特許文献1に記載された漏斗に相当する構成部材を個包装などしないでも、保管中や輸送中に粉塵や雑菌などで汚染されることがない検体採取容器を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の検体採取容器は、検体の収容体1と、検体のフィルターとした底板2cを有した中栓体2と、栓部材8を天板3aから垂設した蓋体3とを備えている。前記収容体1に前記中栓体2を収容して、この収容体1の開口部に蓋体3をねじ込めるようにして、これらを一体に組み合わせたものとしている。そして、前記中栓体2と前記蓋体3との間にスペーサSを介在させて、前記収容体1の開口部に前記蓋体3をねじ込んだときは、前記蓋体3の栓部材8の下端が前記中栓体2の底板2cから離れた位置にまでしかねじ込めないようにしている。さらに、前記中栓体2と前記蓋体3との間にスペーサSを介在させないで、前記収容体1の開口部に前記蓋体3をねじ込んだときは、前記蓋体3の栓部材8の下端が前記中栓体2の底板2cに接近した位置までねじ込めるようにしている。
【0016】
本発明の検体採取容器において、前記中栓体2の側周壁の上端に嵌合凸部2bを設けたものとすると共に、前記蓋体3の側周壁の内周上端に嵌合凹部3bを設けたものとしている。そして、前記蓋体3と前記中栓体2との間にスペーサSを介在させて、前記収容体1の開口部に前記蓋体3をねじ込んだときは、このスペーサSによって遮られ、前記蓋体3の嵌合凹部3bに中栓体2の嵌合凸部2bが嵌合しないようにしている。さらに、前記蓋体3と前記中栓体2との間にスペーサSを介在させないで、前記収容体1の開口部に前記蓋体3をねじ込んだときは、このスペーサSによって遮られることなく、前記蓋体3の嵌合凹部3bに中栓体2の嵌合凸部2bが嵌合するようにしている。
【0017】
本発明の検体採取容器において、前記中栓体2の底板2cの外面に、破断した後も一部が連結されたままになって収容体1内に落下しないようにした不透過フィルム7を貼り付けたものとしている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の検体採取容器は、収容体1に中栓体2を収容して、収容体1の開口部に蓋体3をねじ込んで、これらを一体に組み合わせたものとしているので、嵩張ったりせず、保管や輸送するのに便利なものとなる。
【0019】
さらに、本発明の検体採取容器は、使用前や使用後に収容体1に中栓体2が収容され、蓋体3が被せられているので、保管中や輸送中に粉塵や雑菌などで汚染されることがないものとなる
また、本発明の検体採取容器は、医療資格のある従事者でなくとも被験者自身で採取できるので医療従事者への二次感染を避けられる。
【0020】
また、本発明の検体採取容器は、一体に組み合わせられており、被験者が使用方法に迷うことなく誤操作を生じない。
【0021】
また、本発明の検体採取容器は、採取検体が付着した部材に触れることなく採取検体を収納し、分析機関などに送ることができるので二次感染を生じず安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の検体採取容器の第一実施形態を示す断面図である。
図2図1中の四角枠で囲んだ部分の拡大断面図である。
図3図1に示す検体採取容器の蓋体を外し、中栓体に唾液を採取した状態の断面図である。
図4図3に示す検体採取容器に再び蓋体を被せ、唾液を濾過している状態の断面図である。
図5図4中の四角枠で囲んだ部分の拡大断面図である。
図6図4に示す検体採取容器の蓋体を再び外し、唾液と保存液の混合液を取り出している状態の断面図である。
図7】本発明の検体採取容器の第二実施形態を示す断面図である。
図8図7に示す検体採取容器を倒した状態の断面図である。
図9図7に示す検体採取容器の蓋体を外し、中栓体に唾液を採取した状態の断面図である。
図10図9中の四角枠で囲んだ部分の拡大断面図である。
図11図9に示す検体採取容器に再び蓋体を被せ、唾液を濾過している状態の断面図である。
図12】従来の検体採取容器の一例を示しており、唾液採取用容器と保存液収容容器が別々に分離された状態の斜視図である。
図13図12に示した保存液収容容器を唾液採取用容器に取り付けるときの斜視図である。
図14】従来の検体採取容器の他の例を示しており、唾液採取器と採取試料容器とが別々に箱体に収納された状態の斜視図である。
図15図14に示した採取試料容器に唾液採取器を内挿して収容するときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の検体採取容器を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
本発明の検体採取容器は、収容体1と中栓体2と蓋体3とスペーサSとを備え、収容体1に中栓体2を収容して、中栓体2と蓋体3との間にスペーサSを介在させるか、または介在させないで、収容体1の開口部に蓋体3をねじ込めるようにして、これらを一体に組み合わせたものとしている。
【0025】
前記収容体1は、図1、7に示したように、合成樹脂で作成された略円筒状の外管1aの内部に、中空部を介して有底の内管1bを設けたものとしており、この内管1b内に検体の保存液Lを収容している。さらに、この収容体1は、開口端に外ネジ部4を形成し、後に述べる蓋体3の側周壁に形成した内ネジ部5をねじ込めるようにしている。なお、前記保存液Lは、採取した検体が直ぐに検査される場合などには不要であり、必要に応じて収容体1内に収容されている。
【0026】
前記中栓体2は、合成樹脂で作成されており、上端を開口部2aとし、内部を中空としており、側周壁の上端に嵌合凸部2bを設けたものとすると共に、この嵌合凸部2bの下方の側周壁の内面に係止突起6を形成し、検体のフィルターとした底板2cを有したものとしており、前記収容体1内に収容して、この収容体1の側周壁の上端内面と中栓体2の側周壁の外面とを密着させたものとしている。前記嵌合凸部2bは、後に述べる蓋体3の側周壁の内周上端に設けた嵌合凹部3bに嵌合したり、嵌合しなかったりするようにしている。なお、前記中栓体2は、図に示したように開口部2aを広口としたものとし、検体を唾液などとした場合、その開口部2aから唾液を入れ易くし、中空部に一旦、溜めておけるようにしている。
【0027】
前記検体としては、図に示したように中栓体2の開口部2aを広口とした場合には唾液とするのが好ましいが、喀痰、耳鼻咽喉ぬぐい液、血液、尿などの各種の検体も用いることができる。
【0028】
前記保存液Lとしては、ウイルス不活性化、RNA抽出、RNA安定保存の溶液、またはDNA抽出、DNA安定保存の溶液としたり、さらに目的とする検体を殺菌、または不活性化して、測定物質を安定保存する溶液など、幅広いものを用いることができる。
【0029】
前記中栓体2の底板2cは、唾液などの検体に含まれる夾雑物を除去可能なフィルターとしており、検体の粘度にかかわらず、検体に含まれる夾雑物を強制的に濾過できるものとしている。このフィルターは、中栓体2の成形時に微細孔hを形成したものとしたり、不織布などで形成したものとすることができるが、収容体1内に保存液Lを収容する場合は、この保存液Lを常圧で透過しないものとすることができる。また、前記フィルターとした底板2cは、保存液Lを常圧で透過するようなものとした場合でも、図7に示したようにその底板2cの外面に不透過フィルム7を貼り付けることより、図8に示したように横に倒した場合などにも、保存液Lを透過しないものとすることができる。なお、前記フィルム7は、後に述べる蓋体3の栓部材8によって中栓体2内の唾液が加圧されたときに、この加圧力によって破断するものとしており、破断した後も、一部が連結されたままになるようにして、このフィルム7が前記収容体1内に落下しないようにしている。
【0030】
前記蓋体3は、合成樹脂で作成されており、栓部材8を天板3aから垂設した円筒体としており、先に述べたように側周壁に形成した内ネジ部5を収容体1の開口端に形成した外ネジ部4にねじ込めるようにしている。さらに、前記蓋体3は、側周壁の内周上端に先に述べた嵌合凹部3bを設けたものとしており、後に述べるようにこの蓋体3と前記中栓体2との間にスペーサSを介在させて、前記収容体1の開口部に前記蓋体3をねじ込んだときは、このスペーサSによって遮られ、前記嵌合凹部3bに中栓体2の側壁の上端に設けた嵌合凸部2bが嵌合しないようにしているが、前記蓋体3と前記中栓体2との間にスペーサSを介在させないで、前記収容体1の開口部に前記蓋体3をねじ込んだときは、このスペーサSによって遮られることなく、前記嵌合凹部3bに中栓体2の側周壁の上端に設けた嵌合凸部2bが嵌合するようにしている。
【0031】
そして、本発明の検体採取容器は、図1、7に示したように、前記中栓体2と前記蓋体3との間にスペーサSを介在させて、前記収容体1の開口部に前記蓋体3をねじ込んだときは、前記蓋体3の栓部材8の下端が前記中栓体2の底板2cから一定間隔をおいて離れた位置にまでしかねじ込めないようにしている。
【0032】
さらに、本発明の検体採取容器は、図4、11に示したように、前記中栓体2と前記蓋体3との間にスペーサSを介在させないで、前記収容体1の開口部に前記蓋体3をねじ込んだときは、前記蓋体3の栓部材8の下端が前記中栓体2の底板2cに前記一定間隔よりも接近した位置までねじ込めるようにしている。
【0033】
前記スペーサSは、合成樹脂で作成された略円筒の短管としており、その短管の上端が前記蓋体3の天板3aに当接し、短管の下端が前記中栓体2の側周壁の内面に形成した係止突起6の上端に当接するようにしている。
【0034】
本発明の検体採取容器は、以上に述べたように構成されているので、次のようにして使用される。
【0035】
先ず、本発明の検体採取容器は、図1の状態から図3に示したように、収容体1から蓋体3を取り外し、蓋体3からスペーサSを取り除き、このスペーサSを廃棄する。この場合、未だ検体の採取前なので、前記スペーサSは汚染されておらず、そのまま廃棄しても廃棄汚染の問題は生じない。
【0036】
次に、図3に示した蓋体3を取り外した収容体1の中栓体2内に、その開口部2aから唾液を入れ、図4に示したように、収容体1に再び蓋体3を取り付ける。この場合、蓋体3を徐々にねじ込んでいくと、蓋体3に垂設した栓部材6が徐々に下がっていき、中栓体2内の唾液が加圧される。すると、中栓体2内に入っていた唾液が、フィルターとした底板2cを通過して収容体1内に流れ落ち、収容体1内の保存液と混合する。なお、前記底板2のフィルターの外面にフィルム7を貼り付けたものでは、中栓体2内の唾液の加圧力によって、このフィルム7が破断する。また、この場合、図4、5に示したように、前記中栓体2の上端に設けた嵌合凸部2bが、蓋体3の内周上端に設けた嵌合凹部3bに嵌合し、中栓体2が蓋体3から抜け落ちないようになる。
【0037】
そして、本発明の検体採取容器は、蓋体3が収容体1に取り付けられた状態で、唾液と保存液の混合液は気密状態で保管されたり、輸送される。この場合、前記中栓体2の底板2cの外面に貼り付けたフィルム7は、図11に示したように破断した後も一部が連結されたままになっているので、このフィルム7が収容体1内に落下することがない。したがって、後に述べるように収容体1内の唾液と保存液の混合液をシリンジ9などで取り出す場合に、フィルム7が邪魔になるようなことはない。
【0038】
前記検体採取容器は、検査機関などで図6に示したように、収容体1から蓋体3を取り外され、収容体1内の唾液と保存液の混合液がシリンジ9などで取り出され、検査に供される。この場合、前記中栓体2は、上端に設けた嵌合凸部2bが蓋体3の内周上端に設けた嵌合凹部3bに嵌合し、取り外した蓋体3から落下することなく、その蓋体3を廃棄することができるので、唾液で汚染された中栓体2には触れることがない。
【0039】
本発明の検体採取容器は、以上に述べたように構成されているので、保管や輸送するのに便利なものとなる共に、保管中や輸送中に粉塵や雑菌などで汚染されることがないものとなる。
【0040】
また、本発明の検体採取容器は、被験者自身で採取できるので医療従事者への二次感染を避けられる。
【0041】
また、本発明の検体採取容器は、一体に組み合わせられており、被験者が使用方法に迷うことなく誤操作を生じない。
【0042】
また、本発明の検体採取容器は、採取検体が付着した部材に触れることなく採取検体を収納し、分析機関などに送ることができるので二次感染を生じず安全性が高い。
【符号の説明】
【0043】
1 収容体
2 中栓体
2b 嵌合凸部
2c 底板
3 蓋体
3a 天板
3b 嵌合凹部
7 不透過フィルム
8 栓部材
S スペーサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15