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特開2022-52858冷凍食品、冷凍食品の製造方法、冷凍食品の提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052858
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】冷凍食品、冷凍食品の製造方法、冷凍食品の提供方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 3/365 20060101AFI20220329BHJP
   A23L 3/36 20060101ALI20220329BHJP
   A23L 7/113 20160101ALN20220329BHJP
【FI】
A23L3/365 A
A23L3/36 A
A23L3/365 Z
A23L7/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020159356
(22)【出願日】2020-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】513129209
【氏名又は名称】株式会社武蔵野ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 定明
(72)【発明者】
【氏名】安田 信行
(72)【発明者】
【氏名】池田 久紀
(72)【発明者】
【氏名】石川 浩志
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 歩
(72)【発明者】
【氏名】安藤 孝太
【テーマコード(参考)】
4B022
4B046
【Fターム(参考)】
4B022LA01
4B022LB02
4B022LJ05
4B022LJ06
4B022LJ08
4B022LQ07
4B022LS03
4B046LA01
4B046LB10
4B046LC11
4B046LE15
4B046LE18
4B046LE20
4B046LG60
4B046LP69
4B046LP71
4B046LP80
(57)【要約】
【課題】電子レンジによる解凍・加熱時間を短縮できると共に、食品全体を均一に解凍・加熱することができる冷凍食品、冷凍食品の製造方法、及び冷凍食品の提供方法を提供する。
【解決手段】冷凍食品1は、容器3と、容器3内に収容され、複数の層で構成される冷凍された食品5と、を有し、食品5は、複数の層の最下部に配置され、冷凍された麺11を含む麺層13と、複数の層の最上部に配置され、冷凍により複数の氷片15として形成された麺11の調味液を含む調味液層17と、麺層13と調味液層17の間に配置され、冷凍された具材19を含む具材層21を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、
前記容器内に収容され、複数の層で構成される冷凍された食品と、を有し、
前記食品は、
冷凍された固形食材を含む第1層と、
冷凍により複数の氷片として形成された前記固形食材の調味液を含む第2層と、
を有することを特徴とする冷凍食品。
【請求項2】
前記第1層は、
前記複数の層の最下部に配置されており、
前記第2層は、
前記複数の層の最上部に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍食品。
【請求項3】
前記食品は、
前記第1層と前記第2層の間に配置され、冷凍された具材を含む第3層を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の冷凍食品。
【請求項4】
前記容器内に収容され、前記第2層を前記容器から取り出すことが可能なように収容する収容体をさらに有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の冷凍食品。
【請求項5】
前記調味液の前記複数の氷片は、粒状である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の冷凍食品。
【請求項6】
複数の層で構成される冷凍された食品を容器内に収容した冷凍食品の製造方法であって、
固形食材を冷凍する第1冷凍工程と、
前記固形食材の調味液を冷凍する第2冷凍工程と、
冷凍した前記調味液の氷塊を破砕して複数の氷片を形成する氷片形成工程と、
前記容器内に、冷凍された前記固形食材を含む第1層と、前記調味液の前記複数の氷片を含む第2層と、を配置する配置工程と、
を有することを特徴とする冷凍食品の製造方法。
【請求項7】
複数の層で構成される冷凍された食品を容器内に収容した冷凍食品の製造方法であって、
固形食材を冷凍する冷凍工程と、
前記固形食材の調味液を液体窒素ガス中に滴下して粒状に凍結させて複数の氷片を形成する氷片形成工程と、
前記容器内に、冷凍された前記固形食材を含む第1層と、前記調味液の前記複数の氷片を含む第2層と、を配置する配置工程と、
を有することを特徴とする冷凍食品の製造方法。
【請求項8】
容器と、
前記容器内に収容され、複数の層で構成される冷凍された食品と、を有し、
前記食品は、
冷凍された固形食材を含む第1層と、
冷凍により複数の氷片として形成された前記固形食材の調味液を含む第2層と、
前記容器内に収容され、前記第2層を前記容器から取り出すことが可能なように収容する収容体と、を有する冷凍食品の提供方法であって、
前記収容体を前記容器から取り出す取出工程と、
前記第1層を電子レンジで解凍及び加熱させる解凍・加熱工程と、
加熱された前記容器内の前記第1層の上部に、前記収容体に収容された前記調味液の前記複数の氷片を振り掛ける振掛工程と、
加熱された前記固形食材と前記氷片とをかき混ぜるかき混ぜ工程と、
を有することを特徴とする冷凍食品の提供方法。
【請求項9】
容器と、
前記容器内に収容され、複数の層で構成される冷凍された食品と、を有し、
前記食品は、
冷凍された固形食材を含む第1層と、
冷凍により複数の氷片として形成された前記固形食材の調味液を含む第2層と、
前記容器内に収容され、前記第2層を前記容器から取り出すことが可能なように収容する収容体と、を有する冷凍食品の提供方法であって、
前記収容体を前記容器から取り出す取出工程と、
前記収容体に収容された前記調味液の前記複数の氷片を前記容器内の前記第1層の上部に振り掛ける振掛工程と、
前記第1層と前記氷片を電子レンジで解凍及び加熱させる解凍・加熱工程と、
を有することを特徴とする冷凍食品の提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジによって加熱することにより食される、容器に収容された冷凍食品、冷凍食品の製造方法、及び冷凍食品の提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、耐熱性容器の底部に凍結させたご飯ないし麺類を配置し、その上に調理した具材を調味汁と共に凍結した状態で配置し、容器を閉蓋した冷凍食品であって、具材と調味汁とからなる凍結層を、中央部に穴を開けたドーナツ形状とした冷凍食品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2-116985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の冷凍食品では、具材と調味汁からなる凍結層が大きな氷塊として形成されているため、電子レンジによる解凍・加熱時間が長くなると共に、食品全体が均一に解凍・加熱されないという課題があった。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、電子レンジによる解凍・加熱時間を短縮できると共に、食品全体を均一に解凍・加熱することができる冷凍食品、冷凍食品の製造方法、及び冷凍食品の提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、容器と、前記容器内に収容され、複数の層で構成される冷凍された食品と、を有し、前記食品は、冷凍された固形食材を含む第1層と、冷凍により複数の氷片として形成された前記固形食材の調味液を含む第2層と、を有する冷凍食品が適用される。
【0007】
また、本発明の別の観点によれば、複数の層で構成される冷凍された食品を容器内に収容した冷凍食品の製造方法であって、固形食材を冷凍する第1冷凍工程と、前記固形食材の調味液を冷凍する第2冷凍工程と、冷凍した前記調味液の氷塊を破砕して複数の氷片を形成する氷片形成工程と、前記容器内に、冷凍された前記固形食材を含む第1層と、前記調味液の前記複数の氷片を含む第2層と、を配置する配置工程と、を有する冷凍食品の製造方法が適用される。
【0008】
また、本発明の別の観点によれば、複数の層で構成される冷凍された食品を容器内に収容した冷凍食品の製造方法であって、固形食材を冷凍する冷凍工程と、前記固形食材の調味液を液体窒素ガス中に滴下して粒状に凍結させて複数の氷片を形成する氷片形成工程と、前記容器内に、冷凍された前記固形食材を含む第1層と、前記調味液の前記複数の氷片を含む第2層と、を配置する配置工程と、を有する冷凍食品の製造方法が適用される。
【0009】
また、本発明の別の観点によれば、容器と、前記容器内に収容され、複数の層で構成される冷凍された食品と、を有し、前記食品は、冷凍された固形食材を含む第1層と、冷凍により複数の氷片として形成された前記固形食材の調味液を含む第2層と、前記容器内に収容され、前記第2層を前記容器から取り出すことが可能なように収容する収容体と、を有する冷凍食品の提供方法であって、前記収容体を前記容器から取り出す取出工程と、前記第1層を電子レンジで解凍及び加熱させる解凍・加熱工程と、加熱された前記容器内の前記第1層の上部に、前記収容体に収容された前記調味液の前記複数の氷片を振り掛ける振掛工程と、加熱された前記固形食材と前記氷片とをかき混ぜるかき混ぜ工程と、を有する冷凍食品の提供方法が適用される。
【0010】
また、本発明の別の観点によれば、容器と、前記容器内に収容され、複数の層で構成される冷凍された食品と、を有し、前記食品は、冷凍された固形食材を含む第1層と、冷凍により複数の氷片として形成された前記固形食材の調味液を含む第2層と、前記容器内に収容され、前記第2層を前記容器から取り出すことが可能なように収容する収容体と、を有する冷凍食品の提供方法であって、前記収容体を前記容器から取り出す取出工程と、前記収容体に収容された前記調味液の前記複数の氷片を前記容器内の前記第1層の上部に振り掛ける振掛工程と、前記第1層と前記氷片を電子レンジで解凍及び加熱させる解凍・加熱工程と、を有する冷凍食品の提供方法が適用される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の冷凍食品等によれば、電子レンジによる解凍・加熱時間を短縮できると共に、食品全体を均一に解凍・加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る冷凍食品の構成の一例を表す断面図である。
図2】第1実施形態に係る冷凍食品の構成の他の例を表す断面図である。
図3】冷凍食品の製造工程の一例を表すフローチャートである。
図4】第1実施形態に係る冷凍食品の変形例を表す断面図である。
図5】第1実施形態に係る冷凍食品の変形例の製造工程の一例を表すフローチャートである。
図6】第2実施形態に係る冷凍食品の構成の一例を表す断面図である。
図7】第2実施形態に係る冷凍食品の提供工程の一例を表す説明図である。
図8】第2実施形態に係る冷凍食品の提供工程の他の例を表す説明図である。
図9】第2実施形態に係る冷凍食品の変形例を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0014】
<1.第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
【0015】
(1-1.冷凍食品の構成)
図1及び図2を参照しつつ、第1実施形態に係る冷凍食品の構成の一例について説明する。図1は、第1実施形態に係る冷凍食品の構成の一例を表す断面図である。図2は、第1実施形態に係る冷凍食品の構成の他の例を表す断面図である。
【0016】
図1の上段に示すように、冷凍食品1は、容器3と、容器3内に収容され、複数の層で構成される冷凍された食品5とを有する。冷凍食品1は、電子レンジによって加熱することにより食される、容器3に収容された冷凍食品である。
【0017】
容器3は、食品5を収容する略お椀状の容器本体7と、容器本体7の上部に着脱される容器蓋9とを有する。容器本体7及び容器蓋9の材質は、油や水を透過させない耐熱性素材で、電子レンジの使用が可能な素材であれば特に限定されるものではない。例えば、ポリプロピレン、発泡ポリプロピレン、ポリスチレン、発泡ポリスチレン、合成樹脂フィルム等で構成される。
【0018】
食品5は、冷凍された麺11(固形食材の一例)を含む麺層13(第1層の一例)と、冷凍により複数の氷片15として形成された、麺11の調味液を含む調味液層17(第2層の一例)と、冷凍された具材19を含む具材層21(第3層の一例)を有する。麺層13は、複数の層の最下部に配置され、調味液層17は、複数の層の最上部に配置され、具材層21は、麺層13と調味液層17の間に配置されている。氷片15は、調味液を凍結させた氷塊を破砕することで形成されており、各々が任意の形状や大きさとなっている。なお、図1では理解を容易とするために各層を水平な面で区画して図示しているが、各層の間に仕切り等は設けられていないため、各層の材料が部分的に混在して配置されてもよい。
【0019】
麺11は、茹でる等の調理を施した後に冷凍されており、例えばうどん、そば、そうめん、中華麺、パスタ、ビーフン、春雨等であるが、その他様々な麺類としてもよい。氷片15として形成された調味液は、例えば出汁、つゆ、スープ、ソース、しょうゆ等であるが、その他様々な流動性を有する調味料としてもよい。具材19は、適宜の調理を施した後に冷凍されており、例えば肉、魚、卵焼き、野菜、薬味等であるが、その他様々な具材としてもよい。
【0020】
上記構成である冷凍食品1は、調味液の冷凍物を複数の氷片15として形成するので、電子レンジのマイクロ波が各氷片15において吸収され易くなり、調味液の解凍・加熱時間を大幅に短縮できる。また、マイクロ波が複数の氷片15に亘ってまんべんなく吸収されるので、加熱ムラを少なくして均一に解凍・加熱できる。したがって、冷凍食品1を電子レンジで加熱すると、図1の下段に示すように、最上部に位置する調味液層17の氷片15が溶け、溶けた調味液23が下の具材層21の具材19及びさらにその下の麺層13の麺11に向かって垂れ落ちる。これにより、電子レンジのマイクロ波による加熱に加えて、溶けて垂れ落ちる調味液23の熱により、具材19や麺11についても早く均一に解凍・加熱することができる。したがって、電子レンジによる解凍・加熱時間を短縮できると共に、食品全体を均一に解凍・加熱することができる。また、解凍・加熱時間を短縮できるので、麺11の過加熱や伸びを防止できる。さらに、調味液23が垂れ落ちることで具材19や麺11における味付けのムラを少なくでき、均一な味付けで食することができる。
【0021】
図2の上段に示すように、冷凍食品1は麺11に代えてご飯25(固形食材の一例)を配置している。すなわち、食品5は、複数の層の最下部に配置され、冷凍されたご飯25を含むご飯層27(第1層の一例)と、複数の層の最上部に配置された調味液層17と、ご飯層27と調味液層17の間に配置された具材層21を有する。調味液層17と具材層21の構成は図1と同様である。ご飯25は、炊飯等の調理を施した後に冷凍されており、例えば白米や玄米等であるが、その他様々な米類としてもよい。
【0022】
図2に示す冷凍食品1を電子レンジで加熱すると、図2の下段に示すように、最上部に位置する調味液層17の氷片15が溶け、溶けた調味液23が下の具材層21の具材19及びさらにその下のご飯層27のご飯25に向かって垂れ落ちる。これにより、電子レンジのマイクロ波による加熱に加えて、溶けて垂れ落ちる調味液23の熱により、具材19やご飯25についても早く均一に解凍・加熱することができる。したがって、電子レンジによる解凍・加熱時間を短縮できると共に、食品全体を均一に解凍・加熱することができる。また、解凍・加熱時間を短縮できるので、ご飯25の過加熱を防止できる。さらに、調味液23が垂れ落ちることで具材19やご飯25における味付けのムラを少なくでき、均一な味付けで食することができる。
【0023】
なお、上述した冷凍食品1の構成は一例であり、上述の内容に限定されるものではない。例えば、具材層21は必ずしも配置される必要はなく、例えば麺層13又はご飯層27と調味液層17の2層構成としてもよい。また、例えば麺層13とご飯層27の両方を配置したり、具材層21を種類のことなる具材で複数層としたり、調味液層17を種類のことなる調味液で複数層にする等により、4層以上の多層構成としてもよい。
【0024】
(1-2.冷凍食品の製造方法)
次に、図3を参照しつつ、冷凍食品1の製造方法の一例について説明する。図3は、冷凍食品1の製造方法(製造工程)の一例を表すフローチャートである。
【0025】
図3に示すように、ステップS10では、適宜の冷凍装置(図示省略)により、予め茹でる等の調理を施した麺11、又は、予め炊飯等の調理を施したご飯25を冷凍する。なお、本ステップS10が、固形食材を冷凍する第1冷凍工程の一例に相当する。
【0026】
ステップS20では、適宜の冷凍装置(図示省略)により、予め適宜の調理を施した具材19を冷凍する。
【0027】
ステップS30では、適宜の冷凍装置(図示省略)により、麺11又はご飯25の調味液を冷凍して、所定の形状、大きさの氷塊を形成する。なお、本ステップS30が、固形食材の調味液を冷凍する第2冷凍工程の一例に相当する。
【0028】
ステップS40では、適宜の破砕装置(図示省略)により、上記ステップS30で形成した調味液の氷塊を破砕して複数の氷片15を形成する。なお、本ステップS40が、冷凍した調味液の氷塊を破砕して複数の氷片を形成する氷片形成工程の一例に相当する。
【0029】
ステップS50では、例えばロボット等の適宜のピックアンドプレース装置(図示省略)により、冷凍食品1の容器本体7の最下部に、上記ステップS10で冷凍した麺11又はご飯25を配置する。
【0030】
ステップS60では、例えばロボット等の適宜のピックアンドプレース装置(図示省略)により、上記ステップS50で配置した麺11又はご飯25の上に、上記ステップS20で冷凍した具材19を配置する。
【0031】
ステップS70では、例えばロボット等の適宜のピックアンドプレース装置(図示省略)により、上記ステップS60で配置した具材19の上に、上記ステップS40で形成した調味液の氷片15を配置する。
【0032】
なお、上記ステップS50及びステップS70が、容器内に、冷凍された固形食材を含む第1層と調味液の複数の氷片を含む第2層とを配置する配置工程の一例に相当する。以上により、本フローチャートを終了する。
【0033】
なお、上述した工程は一例であって、上記工程の少なくとも一部を削除又は変更してもよいし、上記以外の工程を追加してもよい。また、上記工程の少なくとも一部の順番を変更してもよいし、複数の工程が単一の工程にまとめられてもよい。
【0034】
(1-3.冷凍食品の変形例)
なお、第1実施形態は、上記に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。次に、図4を参照しつつ、第1実施形態に係る冷凍食品の変形例について説明する。
【0035】
図4は、第1実施形態に係る冷凍食品の変形例を表す断面図である。図4の上段に示すように、本変形例の冷凍食品1は、前述の調味液層17に代えて調味液層29を配置している。すなわち、食品5は、複数の層の最下部に配置され、冷凍された麺11を含む麺層13と、複数の層の最上部に配置され、冷凍により複数の氷片31として形成された、麺11の調味液を含む調味液層29(第2層の一例)と、麺層13と調味液層29の間に配置され、冷凍された具材19を含む具材層21を有する。氷片31は、麺11の調味液を液体窒素ガス中に滴下して粒状(略球形状)に凍結させることで形成されており、各粒の形状や大きさが略均一に形成されている。麺層13と具材層21の構成は図1と同様である。
【0036】
上記構成である冷凍食品1を電子レンジで加熱すると、図4の下段に示すように、最上部に位置する調味液層29の氷片31が溶け、溶けた調味液23が下の具材層21の具材19及びさらにその下の麺層13の麺11に向かって垂れ落ちる。これにより、前述と同様に、具材19や麺11についても早く均一に解凍・加熱することができる。したがって、電子レンジによる解凍・加熱時間を短縮できると共に、食品全体を均一に解凍・加熱することができる。特に、氷片31の形状や大きさが略均一であるため、前述の氷片15よりも調味液をより早くより均一に解凍・加熱することができる。
【0037】
なお、調味液層17,29は必ずしも食品5における最上部に配置する必要はない。例えば、麺層13又はご飯層27の上部に調味液層17,29を配置し、その上部に具材層21を配置してもよい。また、固形食材は、流動性を有する調味液と混ぜ合わせて食される固形の食材であれば、麺又はご飯以外としてもよい。
【0038】
(1-4.冷凍食品の変形例の製造工程)
次に、図5を参照しつつ、上記構成である冷凍食品1の変形例の製造工程(製造方法)の一例について説明する。図5は、冷凍食品1の変形例の製造工程の一例を表すフローチャートである。
【0039】
ステップS10及びステップS20は、前述の図3と同様であるため説明を省略する。なお、本ステップS10が、固形食材を冷凍する冷凍工程の一例に相当する。
【0040】
ステップS35では、例えば液化窒素を利用して液体を粒状に凍結する個別急速冷凍装置(IQF装置。図示省略)を用いて、麺11又はご飯25の調味液を液体窒素ガス中に滴下して粒状に凍結させることで、複数の氷片31を形成する。なお、本ステップS35が、固形食材の調味液を液体窒素ガス中に滴下して粒状に凍結させて複数の氷片を形成する氷片形成工程の一例に相当する。
【0041】
ステップS50及びステップS60は、前述の図3と同様であるため説明を省略する。
【0042】
ステップS70では、例えばロボット等の適宜のピックアンドプレース装置(図示省略)により、上記ステップS60で配置した具材19の上に、上記ステップS35で形成した調味液の氷片31を配置する。以上により、本フローチャートを終了する。
【0043】
なお、上述した工程は一例であって、上記工程の少なくとも一部を削除又は変更してもよいし、上記以外の工程を追加してもよい。また、上記工程の少なくとも一部の順番を変更してもよいし、複数の工程が単一の工程にまとめられてもよい。
【0044】
(1-5.第1実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態の冷凍食品1は、容器3と、容器3内に収容され、複数の層で構成される冷凍された食品5と、を有し、食品5は、複数の層の最下部に配置され、冷凍された麺11を含む麺層13又は冷凍されたご飯25を含むご飯層27と、複数の層の最上部に配置され、冷凍により複数の氷片15,31として形成された麺11又はご飯25の調味液を含む調味液層17,29と、を有する。
【0045】
一般に電子レンジにおける加熱では、マイクロ波は食品の表面から所定の距離(例えば数十mm程度)しか進入できない。このため、冷凍食品の解凍・加熱では、食品の周囲の部分は多くのマイクロ波を吸収して加熱されるが、中心部分はなかなか昇温しないということが起こりうる。したがって、例えば調味液を氷片とせずに大きな氷塊として形成した場合、電子レンジにより調味液の全部を解凍・加熱するために長時間を要すると共に、加熱ムラが生じて全体が均一に解凍・加熱されないという課題が生じる。また、麺やご飯は調味液よりも昇温しやすい性質を有するため、調味液の全部を解凍・加熱する間に、麺やご飯に過加熱や伸びが生じてしまうという課題もある。
【0046】
上記第1実施形態の冷凍食品1では、調味液の冷凍物を複数の氷片15,31として形成するので、電子レンジのマイクロ波が各氷片15,31において吸収され易くなり、調味液の解凍・加熱時間を大幅に短縮できる。また、マイクロ波が複数の氷片15,31に亘ってまんべんなく吸収されるので、加熱ムラを少なくして均一に解凍・加熱できる。したがって、電子レンジによる解凍・加熱時間を短縮できると共に、食品全体を均一に解凍・加熱することができる。また、解凍・加熱時間を短縮できるので、麺11又はご飯25の過加熱や伸びを防止できる。
【0047】
また、本実施形態では特に、麺層13又はご飯層27は、複数の層の最下部に配置されており、調味液層17,29は、複数の層の最上部に配置されている。これにより、溶けた調味液が下の麺11又はご飯25に向かって垂れ落ちる。したがって、電子レンジのマイクロ波による加熱に加えて、溶けて垂れ落ちる調味液の熱により、麺11又はご飯25についても早く均一に解凍・加熱することができる。また、調味液が垂れ落ちることで麺11又はご飯25における味付けのムラを少なくでき、均一な味付けで食することができる。
【0048】
また、本実施形態では特に、食品5は、麺層13又はご飯層27と調味液層17,29の間に配置され、冷凍された具材19を含む具材層21を有する。これにより、電子レンジのマイクロ波による加熱に加えて、溶けて垂れ落ちる調味液の熱により、具材19についても早く均一に解凍・加熱することができる。また、仮に具材を食品の最上部に配置した場合、解凍・加熱する間に具材が乾燥する可能性がある。本実施形態では、具材19に調味液が垂れ落ちるので乾燥を防止でき、具材19を味付けすると共にみずみずしさを保つことができる。
【0049】
また、本実施形態では特に、調味液の複数の氷片15は、調味液を凍結させた氷塊を破砕することで形成されており、各々が任意の形状や大きさとなっている。このように、氷片15を氷塊を破砕することにより形成する場合には、氷片の製造装置や製造工程を簡素化できる。
【0050】
また、本実施形態では特に、調味液の複数の氷片31は、粒状の氷片として形成されている。これにより、複数の氷片31の粒の形状や大きさを略均一にすることができるので、調味液をより早くより均一に解凍・加熱することができる。
【0051】
<2.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、調味液の氷片を容器から取り出せるように冷凍食品を構成する。
【0052】
(2-1.冷凍食品の構成)
図6を参照しつつ、第2実施形態に係る冷凍食品の構成の一例について説明する。なお、第2実施形態において前述の第1実施形態と同様の構成には同符号を付し、適宜説明を省略する。
【0053】
図6は、第2実施形態に係る冷凍食品の構成の一例を表す断面図である。図6に示すように、冷凍食品33は、容器35と、容器35内に収容され、複数の層で構成される冷凍された前述の食品5とを有する。
【0054】
容器35は、食品5を収容する略お椀状の容器本体39と、中蓋41(収容体の一例)と、容器本体39の上部に中蓋41を挟むように着脱される容器蓋43とを有する。中蓋41は、容器35内に収容され、調味液の氷片15を容器35から取り出すことが可能なように収容する、皿状の部材である。容器本体39、中蓋41、及び容器蓋43の材質は、油や水を透過させない耐熱性素材で、電子レンジの使用が可能な素材であれば特に限定されるものではない。例えば、ポリプロピレン、発泡ポリプロピレン、ポリスチレン、発泡ポリスチレン、合成樹脂フィルム等で構成される。
【0055】
食品5の構成は前述の第1実施形態と同様であるが、第2実施形態では、複数の層の最上部に配置され、冷凍により複数の氷片15として形成された、麺11の調味液を含む調味液層17(第2層の一例)が、中蓋41に収容されている。麺層13と具材層21は前述の第1実施形態と同様である。すなわち、冷凍された麺11を含む麺層13(第1層の一例)は、複数の層の最下部に配置されており、冷凍された具材19を含む具材層21(第3層の一例)は、麺層13と調味液層17(中蓋41)の間に配置されている。
【0056】
なお、上述した冷凍食品33の構成は一例であり、上述の内容に限定されるものではない。例えば、麺層13に代えて、前述の図2に示した冷凍されたご飯25を含むご飯層27(第1層の一例)を配置してもよい。また、氷片15に代えて、前述の図4に示した粒状の氷片31を配置してもよい。
【0057】
(2-2.冷凍食品の提供方法)
次に、図7及び図8を参照しつつ、冷凍食品33の提供方法の一例について説明する。図7は、冷凍食品33の提供方法(提供工程)の一例を表す説明図であり、図8は、冷凍食品33の提供方法の他の例を表す説明図である。
【0058】
図7に示す提供方法では、まず冷凍食品33の容器本体39から容器蓋43が取り外され、調味液の氷片15を収容した中蓋41が容器本体39から取り出される(取出工程の一例)。次に、容器本体39が電子レンジ(図示省略)に投入されて、容器本体39に収容された麺11及び具材19が電子レンジで解凍及び加熱される(解凍・加熱工程の一例)。次に、加熱された容器本体39内の麺11及び具材19の上部に、中蓋41に収容された調味液の複数の氷片15が振り掛けられる(振掛工程の一例)。次に、例えば箸45等の調理器具により、加熱された麺11及び具材19と氷片15とがかき混ぜられる(かき混ぜ工程の一例)。
【0059】
これにより、調味液の氷片15が溶け、麺11及び具材19が溶けた調味液23により冷却され、冷たい麺として提供することができる。冷やし加減は、麺11及び具材19の電子レンジによる加熱加減や、調味液の氷片15を加えた後のかき混ぜ時間(提供するタイミング)等で、ユーザの好みに応じて調節できる。例えば調味液の氷片15が溶け切らない状態で提供することで、しゃりしゃりとした氷の触感を味わうことが可能な冷凍食品33を提供できる。当該提供方法は、例えば冷やしうどん、冷やしそば、冷麺、冷やし中華、冷製パスタ等、夏に冷たい麺やご飯を提供する場合に好適である。
【0060】
また、図8に示す提供方法では、まず冷凍食品33の容器本体39から容器蓋43が取り外され、調味液の氷片15を収容した中蓋41が容器本体39から取り出される(取出工程の一例)。次に、容器本体39内の麺11及び具材19の上部に、中蓋41に収容された調味液の複数の氷片15が振り掛けられる(振掛工程の一例)。次に、容器本体39が電子レンジ(図示省略)に投入されて、容器本体39に収容された麺11、具材19、及び調味液の氷片15が電子レンジで解凍及び加熱される(解凍・加熱工程の一例)。これにより、調味液の氷片15が溶け、溶けた調味液23が下の具材19及びさらにその下の麺11に向かって垂れ落ちる。
【0061】
これにより、均一な味付けの暖かい麺を提供することができる。このように、ユーザの好みに応じて、冷凍食品33の提供の仕方を2通りに変化させることができる。
【0062】
なお、図7及び図8に示す冷凍食品33の提供工程は、ユーザによって実行されるものであるが、上述した冷凍食品33の構成により、どのユーザが実行する場合でも同様の工程が実行されることとなり、再現性を有するものとなっている。
【0063】
(2-3.冷凍食品の変形例)
なお、第2実施形態は、上記に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。次に、図9を参照しつつ、第2実施形態に係る冷凍食品の変形例について説明する。
【0064】
図9は、本発明の第2実施形態に係る冷凍食品の変形例を表す断面図である。図9に示すように、本変形例の冷凍食品33は個包装袋47を有する。個包装袋47は、例えば合成樹脂フィルム等で構成されており、容器35内に収容され、調味液の氷片15を容器35から取り出すことが可能なように収容する。本変形例では、複数の層の最上部に配置され、冷凍により複数の氷片15として形成された、麺11の調味液を含む調味液層17(第2層の一例)が、個包装袋47に収容されている。麺層13と具材層21は前述の第1実施形態及び第2実施形態と同様である。
【0065】
本変形例においても、上記第2実施形態と同様の効果を奏する。なお、調味液の氷片15を収容した個包装袋47を冷凍食品33とは別売りとし、ユーザが好みの調味液を選択できるようにしてもよい。
【0066】
(2-4.第2実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態の冷凍食品33は、容器35内に収容され、調味液の氷片15を容器35から取り出すことが可能なように収容する中蓋41又は個包装袋47を有する。
【0067】
これにより、ユーザは1種類の冷凍食品33を2通りの食べ方で食することが可能となる。1つ目の食べ方は、中蓋41又は個包装袋47を容器35から取り出し、残った容器本体39を電子レンジに投入して麺11及び具材19を解凍・加熱させ、解凍・加熱された容器本体39内の麺11及び具材19の上部に、取り出した中蓋41又は個包装袋47に収容された調味液の氷片15を振り掛け、麺11及び具材19と氷片15とをかき混ぜる方法である。これにより、麺11が調味液により冷却され、冷たい麺又はご飯として食することができる。
【0068】
2つ目の食べ方は、中蓋41又は個包装袋47を容器35から取り出し、中蓋41又は個包装袋47に収容された調味液の氷片15を容器本体39内の麺11及び具材19の上部に振り掛け、容器本体39を電子レンジに投入して麺11及び具材19と調味液の氷片15を共に解凍・加熱させる方法である。これにより、均一な味付けの暖かい麺を食することができる。このようにして、ユーザの好みに応じて食べ方を変化させることができる冷凍食品33を提供できる。
【0069】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0070】
1 冷凍食品
3 容器
5 食品
11 麺
13 麺層(第1層)
15 氷片
17 調味液層(第2層)
21 具材層(第3層)
23 調味液
25 ご飯
31 氷片
33 冷凍食品
35 容器
41 中蓋(収容体)
47 個包装袋(収容体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9